ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

2. Golden Ages before WWII/戦前の黄金期

Namiyon and Pentodes/並四とペントード
2: Golden Ages Four-tube Midget
22: Golden Ages Four-tube Tallboy
24: Golden Ages Four-pen Tabletop
25: Golden Ages Super-het

Page 25 Golden Ages Super-het Radio/黄金時代のスーパーヘテロダイン・ラジオ (1933-1938年)

1st ed. (2005.1.22), (2005.6.10), 2nd ed. (2006.6.26)+(2009.8.1)+(2010.5.3)//(2010.6.27)

HomePageRadio/Radio_P25.html 

F(201) Nanaola type 97 Tombstone 7 tube superheterodyne receiver in 1935-1937 /七欧無線電気商会ナナオラ97型縦型スーパー7球スーパーヘトロダイン受信機 ('05.1.13)

F(202) Victor 5R-70 in 1939 ('05.2.8)/ビクター5球スーパーヘテロダイン受信機 ('05.3.2)

E(210) RCA Victor model 8T2 chassis in 1936/RCAビクター8T2シャーシ ('07.10.3)

 


C(201) Nanaola type 97 Tombstone 7 tube superheterodyne receiver in 1935-1937 /七欧無線電気商会ナナオラ97型縦型7球スーパーヘトロダイン受信機 ('05.1.13)

このラジオは戦前のスーパーヘテロダイン受信機です。遠距離用高級受信機で、内容はダイナミックスピーカ付きの3連バリコンの高周波1段スーパーヘテロダイン受信機。

ナナオラ97型(1934年)

ナナオラ297シャーシ(1935年)前期

ナナオラ97型は1934年(昭和9年) 頃のモデルで超遠距離用高級セット、7球式、58-58-56-58-2A6-2A5-280、ダイナミック組み込み。「スーパーヘトロダイン」「新型球 を使用し最新2A6をA-V-C自動音量調整として使用もので従来市販のスーパーにはかつて見なかっった驚異的高能率のものであります。」として,カセド ラルの箱で売り出したもので,1935年7月には,482P型ダイナミックコーン(卸し9.35円,定価13.50円)組み込み,マツダ真空管揃え付き, 改正前卸し102円でした。同じ頃,2A7, 2B7, 2A5, 280使用の簡易型4球スーパーナナオラ34型も販売されましたが,こちらはプロジェクション窓ですが,キャビネットはすでに縦型で卸し72円でした。

Nanaola97の回路図(橋本明洋氏寄贈)

 

ナナオラ35型(1936年)

ナナオラ297シャーシ(1939年)後期

 

翌1936 年には、6V管6A7を用いたナナオラ35型という新型の5球スーパーが発売された模様です。キャビネットは縦型、ダイヤルはエアプレーン型に変わってい ます。その後,ナナオラ97型はダイヤル窓をエアプレーン型から四角に改良されたようです。私の入手したナナオラ97型は、キャビネットが縦型でダイヤル もエアプレーン、スペーカグリルのデザインが1936年のナナオラ35型に似ています。同じ時期に作られたのでしょう。ナナオラ97型は,1937年(昭 和12年)9月(昭和11年8月の価格表)には卸し 105.60円,定価155円でした。97型のシャーシ(797型)は卸し66円,定価94.50円,マツダ球付き,ダイナミック付きで卸し90.35 円,定価130円。同じ1937年に6V管6A7を用いたナナオラ35A型という新型の5球スーパー(Raytheon 6A7-6D6-75-42-80)は卸し85円,定価125円で販売されていました。

1939年1月には高周波付きの本格スーパーは97型の形式がそのまま継続され,キャビネットが縦型で四角ダイヤル窓に改良された97A型受信機は 卸し137円,定価195円と値上がりしながら販売していました。97型のシャーシ(797型)は卸し87.50円,定価117.50円,マツダ球付き, ダイナミック付きで卸し119円,定価160円。またナナオラ35A型が卸し115円,定価165円で販売されていました。

Yahooオークションで見つけたナナオラ97型は、スピーカ無しのジャンクで、キャビネットは下部が壊れ,ダイヤル窓がラスは無く,ツマミも無く, シャーシにはダイヤル駆動機構と目盛り板は無かった。スピーカはケーブルが切断されていたが,残りのケーブルとコネクタは残っており,シャーシ内部は保存 されていた。

Dial窓のガラス,駆動機構と目盛り板がありません。

58-58-56-58-2A6-2A5-280。

部品は残っています。

 

右の太い筒がIFTで175kHzと思われます。初めて見ましたが,昔の高周波コイル用シールドをそのまま流用したようです。

 

 

x

 

Back to TOP


F(202) Victor 5R-70 in 1939 ('05.2.8)/ビクター5球スーパーヘテロダイン受信機 ('05.3.2)

日本ビクター蓄音器株式会社製。同社は外資系(米国RCA)の販売会社として1927年に設立され,主にレコードや蓄音器 の販売をしたようで,1931年になると国産電気蓄音機JRE-31を販売しました。1935年頃から我が国でも廉価なラジオのブームが訪れ,各社が参入 する中,同社は1937-38年頃から電気蓄音器兼用の高級ラジオに狙いを定めて販売を始めました。製品は主にスーパーヘテロダインと日本独自の5球高周 波2段受信機でしたが,兎に角,ビクター製品は高価にもかかわらず良く売れたようです。1939年頃に5球高周波2段だけでも5種のラインアップがありど れもこれも100円以上しました。スーパーヘテロダイン受信機は米国RCAの旧製品のライセンス生産的な路線で,日本風に改良?がなされています。真空管 は東京電気マツダを使用し,他の部品も国産のようですが,設計は米国製品に忠実であったように見受けられます。ただ,その後大平洋戦争が始まる頃には,我 が国のラジオはぜいたく品が抑えられ,貧乏な国策型,放送局型一辺倒になるので,日本ビクターが出したラジオは別項で紹介したトランスレス高周波2段受信 機を最後に戦前の活躍は終止符を打ったようです。

本5R-70は戦前のスーパーヘテロダイン受信機で,遠距離用高級受信機,内容はダイナミックスピーカ付きの3連バリコンの高周波1段付きなのに5 球スーパーヘテロダイン受信機。見つけたのはYahooオークションであるが、ジャンクで、キャビネットは下部が壊れ,ツマミも1個無く。シャーシ内部は 保存されていた。

その秘密は中間周波数増幅なしのプレート検波式。これは1928年のRCA/GEのモデル28をそのまま踏襲したスタイル。(JA8BI/1, 日本古典ラヂオ同好会No.22, 1993.5,モービルハム参照)。真空管は58, 2A7, 57, 2A5, 80。IF173kc。シャーシは球の配置は全くといって良い程同じ。深いシャーシの理由は元々短波付き3バンド受信機でバリコン内臓,スピーカもシャー シ上中央にあった。これをモノバンドとし,スピーカを外付けにして,バリコンをシャーシ上に移動,ダイヤル機構がシャーシ上にきた。何故,この時代にこの ようなラジオを販売したのかは定かで無いが,我が国独特の事情によるものとしか言い様がない。米国ではオールバンド,HiFiセット,機械的なプリセット 一発選局式のラジオが最先端で,IF455kc, メタル管の新型ラジオだったのであるが,本機のように旧式の設計を忠実に作っているところなど,技術者不在,といえなくもない。

 Front

 Back

 Back chassis

 FC dynamic Speaker

Bottom view of the chassis 

Back to TOP


E(210) RCA Victor model 8T2 chassis in 1936/RCAビクター8T2シャーシ ('07.10.3)

米国RCAビクターのラジオで、昭和11年(1936年)の8T2型シャーシである。8球スーパーヘット受信機で、高周波1段、マジックアイ付き。キャビ ネットは失われているが、四角い縦型で、ダイヤルは扇型。ダイナミックスペーカ。兄弟に、モデル8T11型ラジオ、8K11型ラジオがある。Yahoo オークションで入手。本機はコンソール型電蓄の中身だった可能性もある。時代的に、ナナオラのスーパーとは比較にならない重厚な造りである。

回路図はノスタルジアエアーにPDFファイルがある。外観は次を参照。

http://www.geocities.com/pieter_dekock/8t2.htm

真空管構成 6K7-6A8-6K7-6H6-6F5-6F6-5Z4 +6E5

受信範囲 3バンド(MW540-1625kc, LW150-350kc, SW5.7-18Mc)

珍 しいことに、開発されたばかりのメタル管を使用。(1)特に整流管5Z4は初代で長い筒のメタルガラス管である。(2)スーパー専用の検波増幅管6Q7はまだ開発されておらず、6H6と6F5を使用。(3)マジックア イは開発されたばかりで、初代6E5はドーム型のST管である。

Metal Tubes ; Early 5Z4 and 6H6

真空管情報

5Z4: Radiotron made in USA Cunningham (刻印), Base:Licensed only to extent indicate on curton

6H6: Radiotron Cunningham(刻印)ヘソあり。

6K7: Radiotron made in USA, 銀印字(H)、ヘソあり

6K7:ハRadiotron made in USA, 銀印字(H)、ヘソあり

6A8: Radiotron made in USA, 銀印字(H)、ヘソあり, フランジ, Base:License as stated on curton

6F6; RCA Radiotron, 銀印字, 頭錆、ヘソなし、フランジ,

6E5; Radiotron赤, Licensed,... Curton, ST管、コイルなし。

6F5; 欠品

Location of main parts on the chassis

Circuit diagram

Front view of the Chassis

Top

Bottom

Dial

Bot1

Bot2

Side

シャーシの造りは1930年代なのに1950年代と見間違える。米国のラジオ産業、恐るべし。

Back to TOP

(c)2005-2006 Koji HAYASHI All rights are reserved.