ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

Appendix/おまけ

8: Japanese TVs/日本のテレビ
81: Other Electronics/その他
83: Xtal radio/鉱石ラジオ
82: Recent Homemade Radio/最近の自作ラジオ

Page 8. Tube Television (1952-1971年)/真空管テレビ

1st ed. (1998.8.4)+(1998.11.23)+(2000.5.21)+(2001.5.2)+(2001.5.4), 2nd ed, (2006.7.16)-(2010.5.3)

HomePageRadio/Radio_P8_TV.html

Transformer-less Monocrome TV/トランスレス白黒TV

T2. Mitsubisi 14T-120 in 1960?,('98.7.26), ['98.7.26]

T4. Mitsubishi Portable TV 12P-365 in 1966, ('00.5.20) ['00.5.27] ['01.5.5]

T1. Toshiba 19GH/Pales-19 in 1965, ('90.x), ['98.8.5]

T3. National TF-63W in 1969,('98.9.27) [98.11.23]

UHF Tuner/UHFチューナー (Tube and Transister)

U4. Toshiba UHF Converter LA23 in 1963, ('00.6.1) ['00.6.5] ['01.5.3]

U1. National UHF Converter TY521 in 1970s, ('90.x) ['00.5.7]

U5. SANYO TV Converter in 1964, ('01.5.3) ['01.5.2] ['01.5.3]

U2. National UHF Converter TY522 in 1970s, ('90.x) ['00.5.7]

U3. KTK UHF Converter US-C303 in 1970s, ('90.x) ['00.5.7]


Transformer-less Monocrome TV/トランスレス白黒TV


TVはラジオと違って大柄だから保存は容易でない。1960年代には廃棄されたTVはジャンク部品の宝庫に見えたが,それもつかの間,意外と使える部品が少ないと分かると,分解するのもいやになった。ブラウン管の始末や鉄くずの処理は大変なのだ。最後には,猫またぎ,犬またぎになった。だからこそ,現在まで残っている当時のTVは貴重でもある。私が分解した最後のTVは自宅のカラーTVだったが,これをいつまでも保存しておく気はさらさらなかった。ブラウン管のエミッション不足で出ない色があり,また色ずれもひどかった。やはり,カラーTVは後世のトランジスタ式に限る?しかし,白黒TVの場合はまだ映るのにしまい込まれたケースが多く,多分,手を入れれば容易に生き返るだろう。もし,どうしても真空管式カラーTVが欲しければ,今日のカラーブラウン管を使う(現行モデルを真空管化する)のが早道ではないだろうか。一度試してみたいと思っています。


T2. Mitsubisi 14T-120 in 1960?
,('98.7.26), ['98.7.26]

98.7.2骨董市で入手。三菱電機の14インチ白黒TV。1960年頃。ブラウン管を含め18球。ブラウン管は,当時流行の90度偏向のメタルバック型14RP4A。これでも当時の規格は角型。画面サイズ(有効径)は330mm以上,それ以前の70度偏向のブラウン管14HP4に比べてこんもりしたガラス部分が42mm短縮され195mmに,またテレビの奥行きが55mm短くなった。ただし,90度偏向により所用プレート電圧も12kVから14kVに。

三菱電機は1959年には同じブラウン管のモデル14T-160を出していた。これは17球+セレン整流器の日本型トランスレスTVであった。水平偏向管とダンパー管に旧型の12BQ6GTB/12AX4GTAを使用していた。今回の14T-120は1960年頃に出た改良版で,水平偏向管とダンパーを12G-B3/12G-K17にマイナーチェンジしたモデルである。どなたか回路図ありませんか?(と書いたら,読者のご厚意により入手できました。感謝)

14T-120の正面。キャビネットは木製合板。

裏蓋。左のドームはブラウン管の突端を納める部分。90度偏向で薄型とはいえ,まだまだ厚かった。シャーシの球の配置が印刷されている。

内部は比較的綺麗。内部状態の調査,観察はまだしていない。しかし,何分大きいので,入手後直ぐに撮影,その後直ぐに物置に入り眠りについた。

(つづく)

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T1 Toshiba 19-GH /Pales-19 in 1965
, ('90.x), ['98.8.5]

パレス(宮殿)19という名称で宮殿がお茶の間にやってきた。19インチ・コンソール型の白黒TV。大面積のバッフル板に低音用20cm,高音用10cmスピーカ搭載で臨場感,画面はPST?方式で鮮明という謡文句。一人で運ぶのは重い。水平偏向出力管はマグノーバルの6B-B13系。垂直偏向管は6R-A9

数年前に物置に入れたまま出てこないので,文献の写真(東芝レヴーVol.21,No.3より)で代用。数奇な運命を辿り,保存された。職場の同僚が当時購入し使用していたもの。その後,置場所に困り足を外して職場で湯沸かし台として長年使用。最後に私が頂いてきた。裏板は現在ベニア板に代わっている。

(つづく)

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T4. Mitsubishi Portable TV 12P-365 in 1966, ('00.5.20) ['00.5.27] ['01.5.5]

三菱電機の12P-365。1966年。後期12インチ白黒ポータブルTV。ブラウン管を含め15球。実に軽い!8.2kg, 真空管は450mA系コンパクトロン。Yahooオークションで入手。入手後の感想は「実に良くできている!」ということ。回路技術的にはそれほど新しくも無し,製作技術は古い,しかし,キャビネットの設計は良く,全体的なまとめ方は良く放熱も良かったのだろう,とにかく66年から2000年までの34年間もったのだから。

水平偏向管は自社開発のコンパクトロン管17C-B24。チューナ部は後期だけあって3GK5, 5GS7。4BZ6,4BZ6,4CB6, 8CL8, 8JV8, 8B10, 4AV6, 5MP29, 17JZ6, 17CB24, 12BT3, 1X2B?, 鉄シャーシ。ダイレクト配線,角形IFT。+B電源はシリコン・ダイオード4本のブリッジ整流でセラミックス・コンデンサがパラに入っている。66年といえばもうFL50の時代。シリコンは常識だよな。

キャビネットは前面がポリスチロール製,バックカバーがポリプロピレン製の柔らかいもので,わずか4本のタップビスで止まっている。堅牢軽量,取り外し簡単。サービス上有利。グランド線1本の差し込みを外すだけ。シンプル・グリーンで綺麗になった。電気的には鉄シャーシを使用し組立は手作業で今一だが。

(状態)34年のホコリが積もっていたが,ポータブルだけあって室内に保存!否,現用されていたと見え,内部の金属部分に錆も無く,欠品も無い。綿ホコリは絵筆で落とした。カーボン系のホコリも払った。キャビネット表面の歴戦の汚れは洗剤によるふき取りで落ちた。中から真空管や綺麗なアルミのIFTが見えた。大した物だ。ゴキブリなどの住んだ痕も無い。油膜はシャーシ中央のトランスに絶縁用パラフィンが融けだしトランス底部に固着していたのでネジ4本をはずしてもキャビネット・カバーがはずれなかったが,油膜はCRT周辺とトランスだけである。水平偏向管は一見GT管の25E5と見間違える程下部が黒かったがクロム・リングがあったせいでもある。真空管の表面の文字も落ちていないから長年使用温度が低かったと見える。

(回路)回路上では4AV65M-P29が気になるところ。珍しい。

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T3. National TF-63W in 1969,('98.9.27) [98.11.23]

松下電器産業のナショナルTF-63W。1969年頃。後期14インチ白黒TV。ブラウン管を含め14球。実に軽い!真空管は300mA系と150mA系の2系統並列型。水平偏向管は25E5系の150mA管でスニベッツ対策済みの50JY625E5系は古いのだがその点だけが新しい!?チューナ部は後期だけあって4GK5, 7GS7

98.9.27骨董市で入手。どなたか回路図ありませんか?(と書いたら,その後読者のご厚意により入手できました)

キャビネットは化粧合板で軽い。内部も小型だから実に軽い。音の良さを考慮してか,スピーカのバッフル板の分だけ横幅がある。奥行きも薄い。

シャーシも実に小型。写真シャーシ中央は側板を用いて隠しているが,プリント基板1枚。シャーシには錆が出ている。

裏板

裏板に印刷された真空管配置図。

[2000.5.21補足]

シャーシは立体的で裏から見てU字型にできている。チューナ部はU字型の左に配置され,真空管は2本ある。左側シャーシには真空管はなくトランス,チョーク類。中央平坦部に主要基板1枚があり,ここに8本が集中している。右シャーシには水平偏向・ダンパ,高圧部の3本があり,フライバック・トランスや電源部がある模様。

真空管:松下製国際松葉ロゴで1969年製。

V1; 4GK5, V2: 7GS7,

V3; 6EH7/EF183(9E), V4;6EH7, V5;6EJ7/EF184(9D), V6; 12BY7A(9E H), V7; 17A8, V8;16A8(9D K), V9;18GV8, V10; 6BX6/EF80(9C),

V11; 50JY6, V12;34R3, V13;1S2

ヒータ結線:(1)Hot-34R3-50JY6(9D)-17A8-E

(2)Hot-6EH7-6EH7-6EJ7-12BY7A-6BX6-(PL/R)-4GK5-7GS7-16A8-(CRT)-18GV8-E

キャビネット:化粧板張り付けベニア板製,パーテイクル板はSPのバッフル板と底板。天井は角材とベニアでできている。

(状態)

保存状態がよほど悪い。シャーシには錆が出ている。ブラウン管のカーボン・コートも剥がれあり。チューナー部も錆。底板はパーテイクル板だがボロボロとテレビの下に落ちる。

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UHF Tuner/UHFチューナー


U4. Toshiba UHF Converter LA23 in 1963, ('00.6.1) ['00.6.5] ['01.5.3]

これは東芝製の真空管式コンバータです。クリスタル・ミキサー,6DZ4の局発,6D-HH13の後段アンプです。コンバータ・ユニットは片岡電気/ALPS製です。ch.13-62(470-770MHz)に対応。Ser.90601548。サイズは205x80x195。東芝の文献で真空管UHFコンバータの存在を知り,欲しいとは思ったものの今となっては入手困難と思っていました。でも,Yahooオークションが誕生し,事態は一変。偶然にも簡単に入手できました。

左はUHF-VHF切替スイッチ,右はチューニング。電源スイッチは頭に。入手時は真っ黒けだったが掃除をして磨いた。

LA23は文献に無いモデルですが,1961年に出た原型LA11と内容的に大差なく,参考にできます。LA11はミクサにM8470A, 発振に6M-L4,ポストアンプに6D-HH13を使用しており,受信周波数は670-770MHz(ch.46-ch.62)と狭帯域でした。出力はch.2またはch.3/300ohmです。1963年のLA23は局発を日本独自の球から米国への輸出を考慮したものに変わり,帯域も全UHFチェンネルをカバーすることになりました。キャビネットも金属製からプラスティック製へと変わり,トランスレスTVと接続した時の電撃を避けることができるよう配慮されています。なお,1964年には後続のLA24が発売されました。これはデザインはそのままで,「ダイヤル修正装置」が付いたそうです。コンバータの出力チャンネルはch.2かch3にTV放送がある地域ではそれと重ならないchを選択せねばなりません。しかし,ダイヤル目盛りも発振周波数も固定ですから,出力チャンネルの選択次第で目盛りに狂いを生じます。LA24はユーザーの不評に答えて修正する機能を追加した,とあります。私の持っているLA23は多少狂いがあるのでしょう。1965年にはトランジスタ式のLC31が発売され,真空管式UHFチューナの時代は僅か4年で終わりました。

左より,UHF-ant, VHF-ant, TV

側面と下部に放熱用の穴。

シャーシ。底から見た図。逆さにマウントされる。中央にアルプス製のUHFコンバータ・ユニット。右端に6DZ4が見える。ユニットは3つのキャビティから成り,写真奥から(1)プリセレクタ,(2)ミクサ,(3)局発である。同調はバリコン方式である。出力は写真左の鉄製小箱の後段アンプ・ユニットにつながる。中央下には電源トランスがある。正面パネル部左右にはパイロットランプが配置される。

ダイヤル機構は糸かけ式で,シャーシの正面パネルの外側に配置され,プラスティック製の化粧パネルで覆われる。2重パネルになっている。

写真左側(バックパネル側)に電源整流回路,電源トランスとブロック型ケミコンがあり,その他,金属ケース入りのシリコンダイオード1個,L型抵抗2本がL型ラグ板を用いて配線されている。右側はコンバータ・ユニットで発振管6ZD4が見える。

後段アンプ。上から見ると鉄の小箱に見えるが,実際はL型アングル。アルミの筒が6R-HH13

このコンバータは入手時がたがただった。化粧用正面パネル裏の左右に2本づつのプラスティック製ネジ柱がある。ネジはタップネジなのだが,柱の太さが足りず,強度不足で割れていた。するとパネルががたがたになってしまうのであった。瞬間接着材で補修したが。前面黒塗りなのは左右のパイロットランプで照らすため。パイロットランプ側面には銀紙が貼ってあった。

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U5. Sanyo TV Converter in 1964, ('01.5.3) ['01.5.2] ['01.5.3]

これはサンヨー製の真空管式コンバータです。コンバータ・ユニットは東芝と同様に片岡電気/ALPS製で,クリスタル・ミキサー,6DZ4の局発,6R-HH2の後段アンプです。使用真空管も東芝製。ch.13-ch.60に対応。モデル名がどこにも無く,単に「TVコンバータ」と表示しています。Ser.9000569。サイズは270x120x180とでかい。Yahooオークションで入手。このコンバータはたまたま目が止まったもの。売り主はラジオと思っていたようです。

左から電源スイッチ,UHF-VHF切替スイッチ,チューニング。右ツマミの金属飾りが1つ紛失している。汚れがあるが,掃除してないのでご勘弁。

東芝のLA23では周波数修正機能が無く,1664年発売のLA24は目盛りは固定で修正装置を搭載したのに対し,同年発売のサンヨー製では簡易に目盛りを2つ用意し対応した。目盛り上段がch.2出力用,下段がch.3出力用である。だから,ダイヤルが大きく目盛り表示がやや煩雑になっている。なお,目盛り板にはマジックでチャンネルが手書きしてあるが,ユーザーにはまだ使用上の不便さが残っていた証拠。東芝に比べてパネルは5割増しくらいだ。プラスティック製キャビネットは東芝よりは丈夫で,放熱も無理のない設計です。

バックパネル。背面に放熱穴がある。

側面はこんな形。

放熱穴はバックパネルの他に底にある。底から入って後ろに出るのは東芝と比べて自然な設計だ。

シャーシ上部。中央にアルプス製の6DZ4のコンバータ,右が電源部。左の陰に後段アンプ6R-HH2がある。ダイヤル機構は内側にある。ラジオと全く同じ作りなので,東芝製よりも全体的に大きい。トランスの上に39年(1964年)製とある。

右に後段アンプ6R-HH2が見える。

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U1. National UHF Converter TY521 in 1970s, ('90.x) ['00.5.7]

これは松下電器製のトランジスタ式コンバータです。

同調周波数は470MHz-770MHz。

端子は左からUHF, TV, VHF。後面は金属製でTVとの組み合わせにより感電の危険あり?

中央の鉄の箱がUHFコンバータ・ユニット。それ以外はU-Vバンド切替スイッチと電源。

底から見た図。

トランジスタ式のUHFコンバータ・ユニットでは,ダイオード・ミクサ,トランジスタ式局発の他に,RFアンプが付くが,入力は非同調のベース接地アンプとして,キャビティの数を真空管式と同様に3つとするのが一般的であったようだ。キャビティは左よりRFアンプ,ミクサ,局発。

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U2. National UHF Converter TY522 in 1970s, ('90.x) ['00.5.7]

本器はTY521の後継で,モダンになった。周波数表示がチャンネルになり,また後段アンプが追加されて感度が高くなるとともに,強電界での使用を考慮しアッテネータで後段アンプのゲインを下げることもできる。

感電対策が取られた模様で,金属部の露出がなくなった。右上のジャンパ・スイッチは後段アンプの増幅度切替(アッテネータ)。

左に1石の後段アンプ(バラ組)とU-V切替スイッチ,中央に電源トランス,右にUHFコンバータ・ユニット,その下に電源整流回路。

シャーシ下面。

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U3. Kansai TV Kougyo Telecon UHF Converter US-C303 in 1970s, ('90.x) ['00.5.7]

関西テレビ工業KTK製のUHFコンバータ。

周波数目盛りはch.45-ch.62と,ハイバンド地帯専用のコンバータになっている。どうやら,全周波数をカバーするコンバータというのは,どの地域でも販売できる半面,性能はいまいちだったようだ。そこで,こんな地域限定のコンバータが現れた。

背面パネル,左よりアッテネータ・スイッチ,UHF, VHF。出力は300ohmフィーダが直接配線されている。

UC-303, UHF トランジスタコンバータ。周波数帯域:UHF 45-62ch, VHF 1-12ch。UHF変換ch : 2-3ch。入力インピーダンス:200 ohm, 出力インピーダンス:300 ohm, 消費電力0.5W。製造番号(Ser.) 50360623。

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