ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

Radio Tubes After WWII/戦後のラジオ球

Audio Tubes/オーディオ球

History of Rectifie

American Rectifier

European Rectifier

Japanese Rectifier

Voltage Amp Tube -European


Page-A_REC_US: Rectifier Tubes for Audio and TV/オーディオとTV用の高真空整流管

- (II) American Type Rectifier/米国型の整流管 -

2nd Edition (2006.11.23)-(2010.11.23)-(2013.5.3)

HomePageVT/Audio_REC_US.html


(Direct Heat)
80 Family
5Z3 Family

KX-80

5Y3-GT

5Y3-WGTA

KX-5Z3/5Z3

5U4G

5U4GB

(Direct Heat)

(Indirect Heat)
5R4 Family
84 Family
Others

5R4-GY

5R4-GYA

84/6Z4

6X5GT

6X4/EZ90

5V4G

(Indirect Heat)
Others

(For Radio)

6BY5-GA

25Z6GT/G, 25Z6GT,

35Z5GT


American Type Rectifier


80 Family

整流管280は米国RCAが1927年に発表,国内では東京電気マツダがKX-280という名称で1930年(昭和5年)にUX-245とともに国産化。初めはナス管(S型)だったが,1933年に電極支持を堅固にするためガラス管形状を変更しST管とした。80の誕生である。国内でも同じ頃KX-80となった。その後,1936年にSTガラスのままベースをオクタル版とした5Y3-Gが米国で誕生し,また,ベースの異なる5Y4Gもマイナーではあるが作られたが,いずれも国内では作られていない。戦後,1946年に米国ではガラス管を小型の直管としたGT版の5Y3-GTが誕生し,1955年頃までには5Y4GTも登場している。国内では戦後80系の製造が本格化した他,GT管の国産化が始まり,東芝マツダが1949-50年頃に5Y3GTを国産化し,各社もGT管を製造し始めた。しかし,1950年代にあっても価格の安いST管の需要が多く,電蓄など一般用途には80系が普及した。5Y3-GTは主に通信機用(業務用)に製造されたが,1950年代中頃のHi-Fiブームには6V6-GTなどと組み合わせて出力10W程度の一般の小型オーデイオ・アンプにも使われた。

1950年代の初頭の電蓄ではスピーカの磁石がコイルでできたフィールド・チョーク型のダイナミック・スピーカが用いられた。このため励磁コイルにDC100V-100mA程度の電源を必要とし,42ppなどのアンプに要する電源は250V-300V/100mA程度であるが,予め電源トランスの+B巻線を50V-100V程度高めに設定して整流管のプレートに供給し,整流出力電圧の一部を励磁コイルに消費させるという方法を取った。


KX-80/80

[YcV][YcV][YcV]

Toshiba Matsuda KX-80 (end of 1940s, 1級,偽物?)

[1kP]

Toshiba Matsuda KX-80 (end of 1940s, 1級,偽物?)

上記のKX-80は我がST Tube before WWII/Part 1(Radio_tube_3.html)のペントード時代の高級ラジオ球で紹介した「戦後,東芝マツダのKX-80」を再掲載したものです。造りは実に粗悪で,戦後,偽物が横行した時代の「カンマツ」か?と疑われるものでした。文字は白字に(KX-80), 裏に(マツダ),横に(1級)のスタンプがあります。電極の造りは,プレートは着炭黒化。カシメ3つ。ゲッタは皿。ガラス管は長さ不揃い。2本のサンプルはステムを同一レベルに並べてみると同じロットであることが分かる。ベースピンは真鍮で長さ不揃い。ステム支柱は5本でプレート2本,フィラメント2本,中点1本。ところで,この構造,下の新しい時代の東芝マツダのKX-80と見比べて見て下さい。本物だと分かります。

[1kP]

Toshiba Matsuda KX-80 (begining of1950s ガラスステム印ヨ) and 80 (end of 1950s, 青字ミ)

左は東芝マツダのKX-80(1950年代始め),プレートはくすんだ灰黒色,皿ゲッタ。造りは1940年代末とほぼ同じ。箱にはSB302DB, (箱に筆書きで1955.9.8\320と記載)。em=[55,51]。

右の80(1950年代後半)は着炭黒化。カシメ穴がやや小さくなり,上部マイカはマグネシア処理,下部ステム上面もマグネシア塗布。充填棒2本の角ゲッタ。em=[21,15],エミ減。  

[1kP]

Unknown (?) 80, NEC 80 (05) 1960, Futaba KX-80 (1950s)

Unknown (?) 80, プレートはくすんだ灰黒色。サポート位置が内側のためプレート間隔広い。電極上部マイカは円盤で,サイドマイカ支持。ステム支柱は5本でプレート2本,フィラメント2本,中点1本。ステム「ウ」。内部白粉散乱。em=[49,42]。

NEC 80 (C01 黄色字05) 1960, リブ無し,黒化プレート,皿ゲッタ。フィラメントはU,マイカバネ。四角のマグネシア塗布マイカ。ステム支柱は6本でプレート2本,フィラメント2本,中点2本を束ねて1本に。サポート位置が外側のためプレート間隔狭い。em=[50,51]。

Futaba KX-80 (緑字D4?またはみ0), プレートはアルミ被覆鉄製で4リブ付き。ステム支柱は5本でプレート2本,フィラメント2本,中点1本。サンプルは中古であり,ステムはプレート引出線が高温によりガラス内部が黒化,em=[54,51]


5Y3-GT

5Y3-GTはST管のKX-80の電極をGT管に詰め込んだものです。

[1kT]

5Y3-GT GE (59-39 188-5), 1959

米国GE製の(管名は消えていますが)5Y3-GTです。プレートは着炭黒化されたもので,カシメ片側3個,次に紹介する東芝製に良く似ていますので手本となったモデルかもしれません。バンタムステム,角ゲッタ。未計測。

[1kO]

Toshiba Matsuda 5Y3-GTs, From left, Midle of 1950s, End of 1950s, (05)1960.5 and (0Y) 1960.11.

東芝(マツダ)のサンプル。すべて中古。最左の1950年代中頃はプレートの色がくすんだ金属色でニッケル板に僅かに着炭したもの?カシメ3つ。リブなし。ツマミ・ステム(バンタム・ステム)で,ゲッタは皿形,ガラス管長はやや短い。em=[52,46]。次の3本は1950年代末から1960年にかけての通信用球で,いずれも造りが同じ。プレートがアルミ被覆鉄になった。またガラスも少し長くなっている。ゲッタは角形に。2番目のサンプルはガラス管壁にマツダと表示されている1959年までの製品。em=[53,48]。3番目は1960年5月の製品でベースにマツダのロゴが白字でプリントされ,ガラス管にはToshibaのロゴがある。em=[51,48]。4番目は1960年11月の製品で,ベースのロゴが消え,完全にブランド名は東芝になる。em=[52,50]。

[1kP]

Toshiba 5Y3-GT 1960s (Button Stem), From left (8E 1968), (No code), and (One Star).

東芝のステムがボタン型になった1960年代のサンプル。左は通信用8E(1968.5)で,ボタンステムのお陰で電極は全体的に下に移動し,管頭部に空間ができた。さらに電極上部マイカの面積が広くなり爪が片側5個,サポートが良くなり堅牢になりました。ゲッタも1960年代初頭からドーナツ型に,位置もプレート側面に変わった。プレートの支持はピンチステム時代の左右の2本の支柱に代わって3番ピン,7番ピンに直接支持される格好となり,さらにプレート引出線4番ピン,6番ピンも支持に加わり,堅牢です。それでも,使用前,使用後には熱膨張により真空管は「ぴきん,ぴきん」と音を立てます。箱は緑帯の通信用で4CF60T2サ10です。em=[未計測]。2番目のサンプルは無印(No code)で,製造年代を知る手がかりがありませんが,同じ造りです。箱は一般用で4CF60P2コ09です。\440とあります。em=[60,56]。3番目のサンプル(ベースに星1つ/One Star)は電極の造りは同じですが,ゲッタが2個あります。これだけは中古です。em=[58,54]

[1kO]

From Left, TEN 5Y3-GT(GI1P, )1957, NEC 5Y3-GT (08D 98) 1969, NEC 5Y3-GT (120 69) 1966, Tung-Sol 5Y3GT(3225735-3) 1957.

左のサンプル,神戸工業TEN 5Y3-GTは1957年製通信用で,プレートは黒粉着炭。4リブ,カシメなしスポット溶接。馬蹄形の大きなゲッタ。ピンチ・ステム(バンタム・ステム)。em=[60, 56]。2番目のNEC 5Y3-GT(08D 98)は1969年製。ドーナツ・ゲッタ。ベースは背の低いボタンステム用で,ベース底はセパレータ付きと新しい。しかし,ステムはやや背の高いピンチ・ステムで実に古めかしい。製造コードは新しい1969年を示しているのだから,考えられることはNEC製ではなく多分他社のOEM製品と判断される。em=[62,57]。3番目のNEC (120 69)は1966年製でガラスは合わせガラス。ボタンステム,やや大きいドーナツゲッタで天井位置に。箱形のプレート。ベース底はセパレータ付き。黄色文字。em=[53, 49]。最後,4番目は米国Tung-Sol製で,製造は1957年。プレートは艶あり黒化プレート。ゲッタは角形。em=[45,43]。全て中古。

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5Z3 and 5U4-G Family

5Z3は1933年に米国RCAが出力管2A3を発表するに当たり併用すべき整流管として発表したST50型の全波整流管。「大電力を必要とする交流受信機や拡声機の整流装置に使用する(マツダ51)」。高真空の全波整流管280/80の2倍の電流が取り扱える。その後,1937年にオクタル・ベース化した5U4-Gも発表された。また,米国では大型TVの電源用として出力電流を40%アップした改良版5U4-GBが1954年に発表された。

国内では,5Z3は東京電気(東芝マツダ)が1933-34年にKX-5Z3(1955年以降は名称を5Z3に変更)として国産化し,戦前には大電流用の主流をなした。そのオクタル版5U4-Gが国産化されたのはTV時代が到来した戦後の1952-3年頃であった。その後,5U4-GBが国内では東芝が1956年に国産化した。さらに,国内では5U4GBの形状を簡単にした量産型として5G-K18が1957年に東芝より発売され,数年間使用された。これはガラス管の絞りをなくしてジャンボシェルとしたもの。

1950年代末の14インチ白黒TVの+B電源の所要量は,トランス付きの場合で250V/220mA,トランスレスの場合で200V/260mA程度であった(一木吉典)。その頃の標準的な整流管は5U4-Gであって,無負荷時のAC入力電圧(実効値)とDC出力電圧を等しくとった場合,最大で240mA,通常は200-220mA程度に使われた。そこで,問題になったのは5U4-Gの定格仕様ではなくて,寿命であった。寿命に関係する要素として,プレート・エミッションとステム電解が挙げられ,前者は1955,56年頃パービアンスを20%程度向上させプレート損失を低減したこと(5U4G --> 5U4GB),後者はステム引き出し線の熱伝導度を向上させステム温度を下げたことにより,故障半減期200-300時間を1000時間で故障率僅かというまでに改善したとのことである。

Data

Ef/If

Out-line

Eb peak max inv

Ib peak max/ plate

Eac max

C, Zp-p min

Lin

Idc min

Regu -lation

1951 Matsu da

5.0V/3.0A

ST-50

50+/-1 117+/-5 132+/-5

1550 V

675 mA

500 V

550 V

4 uF, 75 ohm

3 H

225 mA

1958 Matsu da

ST-50

51max 121max 137max

1550 V

675 mA

Io(0.2s)= 2.35A

900 V (450V)

1000V (500V)

900 V (450V)

1100V (500V)

10 uF, 170 ohm

10 uF, 230 ohm

10 H

10 H

430V/225mA, 510V/112.5mA

590V/156mA, 660V/78mA

345V/270mA, 365V/135mA

440V/225mA, 460V/112.5mA

80V

70V

20V

20V

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Toshiba KX-5Z3/5U4G Type-I

[1kH][1kH]

Toshiba Matsuda KX-5Z3 (1950年代前半), これをType-Iと勝手に銘々しておく。管名印字は銀印で1950年代,名称はKX付きなので製造は1955年以前。旧型。(京都府の辻野泰忠さん寄贈)。

[1kF][1kF][1kH]

Toshiba Matsuda KX-5Z3 (1950年代前半), カシメの無いプレート。

Type-Iはプレートはリブ無し,黒色光沢。折り曲げ部は4mm程度の幅でピンチステムからの支持支柱を挟んで6点のスポット溶接。電極上部は円盤マイカに金属ベルトを巻き込んで固定。円盤マイカはサイドマイカで固定。フィラメントは逆V型で,上部の支持は吊り竿型。釣竿の支柱はピンチステムから伸びてくる。ゲッタは皿型(真ん中が丸,裏に金網)2個で電極下部にある。サンプルはゲッタ膜が退化している。ステムには「W」の刻印。上部マイカ板に青でW3。ガラス管壁に白でACまたはAOの印。ベース底に(YA)の朱印。ステム中央は支柱5本が立て込んでいる。フィラメントのジュメット線3本,その間に吊り用支持棒2本が割り込んだ形である。間隔は1から1.5mm程度しかない。

このType-Iモデルは,戦前から1950年代前半までおなじように製造された模様。

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Toshiba KX-5Z3/5U4G Type-II

[1kH]

Toshiba Matsuda KX-5Z3 (Middle of 1950s)。東芝マツダの1950年代中頃のモデル。カシメのあるプレート。このサンプルはステムに「モ」の刻印。また青字で1。ステム片面が茶色に変色している。em=(38,38)。エミ減。

[1kF][1kF][1kH]

Toshiba Matsuda KX-5Z3 (Middle of 1950s)

東芝マツダのKX-5Z3(1950年代中頃)のモデルは,プレートはリブ無し,灰色金属色。折り曲げ部は4mm程度の幅でまずカシメ5個付きでさらにその外側にピンチステムからの支持支柱を挟んで6点のスポット溶接。電極上部は円盤マイカに金属ベルトを巻き込んで固定。円盤マイカはサイドマイカで固定。フィラメントは逆V型で,上部の支持は吊り竿型。釣竿の支柱はピンチステムから伸びてくる。ゲッタは皿型(棒状のリブ横1本)1個で電極下部にある。ステム中央は支柱5本。

[1kF]

Matsuda 5U4-G (1950年代中頃)。5U4-Gも同じ造りで製造された。このサンプルはem=[52,52]

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Toshiba 5Z3/5U4G Type-III

[YcR][YcR]

Toshiba Matsuda 5Z3 (New Type since end of 1950s). 東芝マツダの1950年代末の新型5Z3。このサンプルはステムに「5」,em=(50,48)。

[YcR]

Toshiba Matsuda 5Z3 (end of 1950s). カシメ付き黒化プレート。

東芝マツダの1950年代末のモデルである。プレートは4リブ,黒色粉塗布。折り曲げ部は6-7mm程度の幅で,まずピンチステムからの支持支柱を挟んでスポット溶接,その外側にリブに沿ってカシメ4個付き。プレート上部にはマイカ板に接触する部分に四角の切り欠きがある。電極上部は長方形マイカに3カ所爪で固定。長方形マイカはサイドマイカで固定。フィラメントは逆U字型で,上部の支持はマイカ板の2つの穴を通してマイカ板をバネ代わりにしている。ゲッタは角型(充填棒2本)2個で電極上部のプレート側面にぶら下げている。ステム部はフィラメント吊りを廃止したので支柱2本が無くなりフィラメント左,共通,右の3本のみとなってすっきりした。この造りはマイカ板の形やゲッタのぶら下げ方こそ違うがRCA1954年の5U4Gを手本にほぼ忠実に作ったものである。

[1kH]

Matsuda 5U4-G (1959年頃) and Toshiba 5U4-G(1960年頃)

マツダ5U4-G(1959年頃)のサンプルはゲッタ膜が退化している。em=[42,42]。東芝5U4-Gは片ユニットがやや意気が悪い。em=[42,48]。

[1kH][1kH]

Plate and Mica disc of Matsuda 5U4-G (1959)

東芝の後期5U4-G(1960年頃)の箱は(SB-303-2DD ち09),定価700円とある。

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RCA 5U4G Type-III

[1kH]

Emerson 5U4-G (274 4-35) (RCA 5U4-G, 1954), Emersonブランド,RCA製造の1954年製。エミッションはem=[60, 55)。造りは東芝TypeIIIにほぼ同じ。

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Nippon Electric 5Z3/5U4G Type-I

[1f2]

Nippon Electric (NEC) KX-5Z3 。新日電(民生用)製。KX付きの名称から製造は1955年以前。旧型。これもマツダと同じ頃の製造。構造は同じだが,プレートにリブがある。サンプルは上部マイカに青でM3。(京都府の辻野泰忠さん寄贈)

[1kF][1kG][1kH]

Electrode of Nippon Electric (NEC) KX-5Z3

NEC1950年代前半のモデル。5本のリブ。黒色光沢。プレートの引出線は支柱ではなく,支柱横から出た線である。左写真にプレートの斜め左に見えるぐにゃりと曲がった線がそれ。上部で溶接されており,プレートの三角支持の役割も果たしている点が大いに変わっている。

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Nippon Electric 5Z3/5U4G Type-II

[1kF]

Nippon Electric (NEC) 5U4-G (1958-8), 日電製,通信機用。このサンプルはフィラメント断。別のサンプル(1957-7)はマイカに(20 E 33)の文字,新品か?em=[51,51]

NEC(日電の業務用)の1957-8年のモデル。プレートは灰色金属色。折り曲げ部は4mm程度の幅でまずカシメ5個付きでさらにその外側にピンチステムからの支持支柱を挟んで4点のスポット溶接。電極上部はマグネシア処理円盤マイカに爪2個と支柱1本で固定。円盤マイカは送信管のようにサイド金属棒4本で固定。フィラメントは逆V型で,上部の支持は吊り竿型。釣竿の支柱はマイカ板中央部に金属ベルトを巻き付けて溶接。ゲッタは角型(充填棒2本)1個で電極下部にある。(1957年製にはゲッタが2個見られた)。ステムに30xx51のペイント。ヒータ断。同じNECでも通信機用は民生用(新日本電気)の5Z3で見られたリブが無いなど,別会社の製造というところか。

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Hitachi 5Z3/5U4G Type-I

[1kF]

Hitachi 5U4-G (-1959), 中古,em=[56, 56]

日立製はさすが1950年代末期はRCAと技術提携していただけあって,1950年代中頃のRCA製,あるいは東芝後期に良く似ている。ステムに緑で(38A),または別のサンプルは(37E)。ガラスに94とあり,1959年製と分かる。

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5U4-GB

[1kT]

Unknown American 5U4-GB (End of 1950s?)

TV Junk. RCA製だろうか?左は頭に管名表示がある。ボタンステム。T管のガラス下部を絞っている。プレートは箱形に四角く成形しているが,リブ無し。プレート合わせ目は放熱フィンを兼ねており,十字型断面となっている。支持支柱を挟んで5点のカシメ穴。電極下部にはフィラメントの端に溶接されたリブ付きの金属板があり,熱伸びを吸収するとともに端部の放熱を良くしている。電極上部,下部マイカはそれぞれ爪が片側7個あり,堅牢である。ゲッタは茶色がかっている。中古で未計測。

造りは同じ。5G-K18のガラス下部を絞って小型

[1kQ]

Toshiba 5U4-GB (1L, 1961), (2D, 1962) and (no code, new in Box, end of 1960s)

Toshiba 5U4-GB 1961, 1962および1960末。造りは同じ。5G-K18のガラス下部を絞って小型ベースとしたもの。プレートは同社5U4-Gと同様に丸みを帯びた形状で黒化しているがリブ無しで厚みがある模様。片側4点の大きなカシメ穴。電極下部の金属板,電極上,下部のマイカ板の爪片側7個など米国製と同じ造り。ゲッタは中古(1L), (2D)は茶色がかっているが,開封したばかりの新品でさえもやや茶色がかっている。em=[49,42], [49,47] and [未計測]。箱は4CF10P2 ぬ11, 定価\770。

[1kQ]

[1kQ] From left, NEC 5U4-GB (H5 1958-5 24) and Hitachi 5U4-GBs(D5, 1965?)

NEC(H5 通信機用 1958-5 24), こちらは日本電気製の業務用の球。角ゲッタ2個。ボタンステム。プレートは箱形で黒化しているがリブ無し。合わせ目がフィンを兼ねて十字型断面となっている。支持棒を挟んで片側5点の大きなカシメ穴。フィラメントは中継点のみフィラメントの端に溶接されたリブ付きの金属板がある。電極上部マイカは爪が片側7個あるが,下部は爪無しで,ボタンステムからのサポートに頼る。em-[57,56]

Hitachi (D5, 1965?), ドーナツゲッタ1個。ボタンステム。プレートは箱形で黒化しており4リブ。合わせ目がフィンを兼ねて十字型断面となっている。片側3点の大きなカシメ穴。フィラメントは中継点のみフィラメントの端に溶接されたリブ付きの金属板がある。電極上部マイカは爪が片側7個あるが,下部は爪無しで,ボタンステムからのサポートに頼る。em=[54,55]. [54,53], 定価720円。

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5R4 Family

5R4-GYは比較的電圧の高い整流管で,はじめにマイカノール・ベースのST管5R4GYが1942年に誕生,次いで1954年頃外形に関する改良が行われ5R4GYAが誕生した。


5R4-GY

5R4-GYは出力電流は5U4-G並なのだが,より高圧に耐え,しかもフィラメント電流は2/3の2Aと効率が良い。何か造りが違う。したがって,値段が違う。東芝製は5U4-Gの約3倍の定価\2000であった。名称のGYは本来マイカノール樹脂製のベースを意味しているはずだが,国内ではマイカノール・ベースは使われていない。ツマミステム内部の引出線はガラス管による絶縁策を施している。

[1kH]

Toshiba Matsuda 5R4-GY (-1958 and 1959), 東芝マツダ製。マツダ1958年頃(007, ステム部にガラス刻印5, タ), em=[47, 49]。Toshiba 1959年製(通信用, 99, ステム部に青字でナ,ベースにマツダ), em=[49, 47]。箱, SB-303-2DB せ09。ガラス容器のだるまの肩の形状が違う。

[1kH]

Plate from under view

[1kH][1kH]

Upper Mica and stem with glass pipes

プレートはリブなし,黒色粉塗布。折り曲げ部は4mm程度の幅でカシメ4個付き。ピンチステムからの支持支柱は短く,箱に溶接されているだけ。プレート上部にはマイカ板に接触する部分に四角の切り欠きがあり電極上部はサイドマイカで固定された円盤形マイカに3カ所爪で固定。フィラメントは逆V字型で,上部の支持はピンチステムからの支柱を用いた吊り型。ゲッタは角型(充填棒2本)2個で電極上部のプレート側面にぶら下げている。電極下部には長方形マイカを使用し爪2個で固定している。ステム部は昔ながらのフィラメント3本と吊り支柱2本の計5本型。フィラメント引出線にはガラス・パイプが挿入されており,振るとかちゃかちゃいう。

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5R4-GYA

[1kQ]

GE 5R4-GYA (57-18 188-4), 1957.

米国GEの1957年製。プレートは箱形で5リブ。黒化艶消し。電極上部と下部マイカは円盤で爪が沢山。フィラメントは逆V型で,上部は吊り式。吊りの金具は下部マイカ中央から支持棒が立ち上がっている。電極下部のフィラメント中継点はリブ付き金属板。ゲッタは角形でプレートサイドに溶接。中古。em=[46,46]

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84/6Z4 Family

84/6Z4は6.3V点灯,バイブレータ電源の整流を目的とした自動車ラジオの整流管として1933年に誕生しました。2つの名前の由来は分かりません。RCAが84と銘々し,誰かが6Z4と銘々した球が合流して84/6Z4となったのでしょう。国内では1934年に国産化しKY-84が誕生しました。初期の頃はKZ-25Z5のように独立した2極管が2ユニット封入された双極管構造だったと思われますが,のちにカソード・スリーブが1本化された構造となりました。

[1kP]

National Union 84/6Z4 G4 (77-16), 1977

ゲッタは皿であり,電極支持は金属棒,1940年代の昔の製品に書き直した可能性が高い。em=[48,48]

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6X5-GT

6X5はメタル管として1936年に誕生し,1937年に6X5-Gが,そして1938年にGT版の6X5-GTが誕生しています。6X5-GT84/6Z4をGT管としたもので,電極構造はメーカにより異なるが,基本的には6.3V/0.4Aの1本の円柱カソードの有効面積を2分する形でプレートが配置されており,84/6Z4の後年の姿をそのまま受け継いだものといえ,下記の3種類に大別できる。

第1の構造は,細身のカソードを用いて,軸方向に分割し上下に独立したプレートを配置する形式で,電極支持のためにマイカ板が中間にも必要になる。84/6Z4に採用された昔からの形式である。6X5-GTでは,Sylvania 1950年製(312 0-52B)やCBS-Hytron 1951年製(210 51-22 B)に見られる。

第2の構造は太く短いカソードスリーブを用いて円周方向を2分割しカソードを挟む独立した2枚のプレートを配置する形式である。中間のマイカ板が省略できるが,対抗面に他のプレートがあると熱輻射を受け有効面積が減じるので1枚のプレートは左右非対称としている。電極サイズが5mm程小さくできるので背の低い球にできる。Raytheon 1948年製(280848)や1954年製(4-09 B)に見られる。米国では戦後,第1,第2の構造の球が主流であって,サイズの異なる6X5-GTが流通していた。

第3の構造は,戦後の6X4に見られる構造のもので,さらに有効面積を増加させるためにカソード断面に対してプレートフィンを十字型に配置したものである。実際のサンプルは1950年代の日本製のものに見られる(松下6X5-GT参照)。米国製ではだいぶ後に作られたと思うが見たことはない。

[2b6]

Sylvania JAN CHS 6X5GT/G VT-126-B (1940s)

[1kT]

FMCO 6X5-GT (QOM 312 0-52B, Sylvania,1950), em=[49,49], FMCO 6X5-GT (210 51-22 B, CBS-Hytron 1951), em=[52,51], Bendix Radio 6X5-GT (280848, Raytheon, 1948), em=[34,23]<40, and Fomoa (4-09 B, unknown meker1954), em=[52,48]

ゲッタはそれぞれ,皿ペレット型,同じ,小型角ゲッタ,中型角ゲッタ。

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6X4/EZ80

6X46X5-GTのミニアチュア版で,1945年末に自動車用ならびにFMラジオ用として開発されました。6X5-GTが原型の84/6Z4の電極構造をそのまま受け継いだのに対して,6X4はミニアチュア化する際に僅か17mmの管内ではプレートフィンが納まらないので,再設計されている。RCAは有効面積を増加させるためにカソード断面に対してカソード断面に対してプレートフィンを十字型に配置したものを作った。また,Tung-Solはカソードを片側に寄せて断面がV字型となる配置のものを作った。この米国球は欧州Philipsに多大なる影響を与え,EZ80/6V4を生むきっかけを作った。

[1kT]

6X4s, from left, RCA (56-43), 1956, GE/HP (60-04 188-21)

プレート構造はRCA, GE, 各社類似。断面は十字型。RCAは黒化プレートでカシメは合計6個。ゲッタは馬蹄形に小さなペレット穴2個。GEは灰色のアルミ被覆鉄でカシメは4個。ゲッタは角型。

[1kT]

Toshiba Matsuda (通信用, 1950s, ツ), Toshiba (通信用, 8C01 36.2 031, 1961), Toshiba (8H) 1968, and (One Star) 1960s

プレート構造は先の米国製とは違い長い。断面は潰れたX字型。ヒータはヘアピン型。1950年代から1961製頃までは角型。以後ドーナツ型。em=[67,66], 他は[新品未計測]。

[1kT]

Toshiba 6X4 (通信用07) 1960, Matsushita-National EZ90/6X4(01/MJ) 1959,

NEC 6X4(F10 通信用61-11 K6), and NEC 6X4(A10 14) 1961

プレート構造は各社とも米国製に類似し断面は十字型。ヒータは松下だけはコイル型,他社はヘアピン型。全てゲッタは角型。em=[48,48], [57,57], [62,61] and [61,62]。注目すべきは,左の東芝製(1960年)で先に紹介した東芝製と全く違う電極の造りで松下製に似ている。しかしガラスに合わせ目はなくベース部のガラス数字がある点は東芝製を物語っている。一体何故1960年の極一部だけが先の東芝の造りと異なるのか?不思議である。

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5V4-G Family

5V4-Gは米国の整流管にあって珍しく傍熱型である。ラジオ用両波整流管6X5-GTの倍の容量を持つと思えば良い。米国RCAが83Vを1934年に発表。オクタル・ベース版としてRCAは5V4Gを1937年に発表。

80系を駆逐できたかというとそうは問屋が卸さなかった。おそらくコストの問題だったのだろう。80系のような直熱型整流管はヒートアップが早いので負荷回路に傍熱型の真空管があるとヒートアップに時間を要しアンバランスになる。+B電源回路は無負荷となり整流管の出力電圧が上昇する。その間,整流回路の平滑コンデンサ(ケミコン)には過渡的に高電圧がかかり,サージ電圧に対する品質が悪いケミコンの時代には良くパンク事故を起こした。このため,整流管にも傍熱型を用いると良いのだが,初期の頃はコストも高く整流効率も悪かった。しかし,1930年代から1940年代には効率の良い傍熱型整流管が登場した。傍熱型のなによりの利点はカソードが等電位に作れるので,プレートとの距離を狭めることができ,パービアンスの高い,すなわちレギュレーションの良い整流管となるのである。電極材料をより多く要し精密な工作が必要なことはコスト高に繋がり,なかなか普及しないという問題を生ずる。

[1kH]

Toshiba 5V4-G, 東芝マツダ製。(無印)1959年頃製。(12), 1961年製。

プレートは黒粉塗布とアルミ被覆鉄。マグネシア塗布長方形マイカ。角ゲッタ(充填棒2本)2個。ヘアピン型ヒータ。カソードスリーブの引き出し線とヒータの片側は下部で接続されている。(00), 1960年製。箱, SB-302-2DB 9ウ。09え。定価1000円。em=[60,55], [59,57]

[1kO]

Raytheon 5V4-G E1M(280 213) 1952年製。東芝と同じ造り。ただし,Raytheonも下記の構造のものも販売していた。em=[50,52]。

[1kH]

TEN Kobekogyo 5V4-G. 神戸工業。GD4 (1964製?) 黒粉塗布で面積広いが対面構造のため輻射面は外側になる。マグネシア塗布円盤形マイカ。周囲に爪付き。コイルヒータ。ヒータの上部はヒータ芯線を挟んで潰している。だから下部はヒータ1本とカソードのみ配線されている。em=[60,61], [61,62]

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6BY5-GA

6BY5-GAは傍熱型整流管で,その内容は,ラジオ管35W4を6.3V化して2つ封入したような球。1950年代に登場したと思われる。

[1kT]

CBS 6BY5-GA (I5M XC), TV Junk.

角ゲッタ。T型断面を持つ小型プレートの棒熱型整流管を2つ封入。TVジャンク。

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For Radio Receiver


25Z6GT/G, 25Z6GT

25Z6GTはトランスレス・ラジオ用の傍熱型倍電圧整流管で,1933年に米国でRaytheonから発表されたST管25Z5のGT版です。まず,メタル管25Z6が1935年に米国RCAから発表され,次いでガラス管25Z6GTが1936年に作られました。外形が異なるオクタル管25Z6-G(ガラスの形状はT管だったかもしれない)と25Z6-GTが発表されたのを受けて,戦前には,品種整理のために表示を25Z6-GT/Gとした球が作られました。戦後,25Z6-Gが消滅した頃,25Z6-GT/Gも消滅し,25Z6-GTだけが製造されました。国内では25Z6はオクタル・ベース版G, GT等を含めて作られた形跡はありません。

[1kT]

From Right, RCA Radiotron 25Z6-GT (TE6), begining of 1940s?, em=[-46,47], JAN CRC 25Z6-GT/G RCA SC8657A (652), 1946, em=[36,44].

RCA (TE6)は1940年代前半の民生用と思われ,昔ながらの小型ユニットが2個横並びに配置されています。カソードスリーブに対してプレート・フィンは片側だけに延びた非対称型で,フィン部分には2本の支柱を挟み込んで一番外側の支柱でステム部に接続してあります。メタル・シェル付きです。一方,同じRCA製でもJAN CRC (652)1946年は軍用だけあって,斬新な設計で,やや幅広いプレートの電極が斜めに2つ配置されています。

[1kT]

National Union 25Z6-GT/G (UL), これはどちらかというと戦後直ぐの製造と思われますが,やや新しくカソードスリーブを挟んで左右非対称ではありますがプレートフィンが両側に延びています。皿ペレットゲッタ。ともに第1ユニットのカソードリボンが断線。em=[-,44]. だから,片波整流管として使える?

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35Z5GT

35Z5GTはトランスレス・ラジオ用の傍熱型片波整流管で,1939年に登場した150mAシリーズ向けです。国内では1950年頃に国産化され,ラジオにGT管が用いられた一時期使用されました。

[1kT]

GE 35Z5GT(7-17 188-5) and GE (may be 35Z5GT) (58-04 188-5)

GE (7-17 188-5), 1947年,バンタム・ステム。プレートは黒化した丈夫そうなやつ。em=[52]

GE (58-04 188-5), 1958年,プレートはコスト削減のためか黒化してない金属色で1947年に比べて幅広い面積を持ちます。2枚合わせのプレートのうち片面は両脇に支柱用のリブが付き,反対側の1枚はのっぺらぼうです。プレート・サイドの角ゲッタ。ボタンステム。em=[52]

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