ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

日本の真空管の開発の歴史

戦後日本のラジオ・TV球-JIS名/CES規格の球-

D Series : 検波用2極管付き

(1998.5.16-2000.2.4)
/HomePageVT/CESd.html

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN


目次

検波用2極管付きJIS名管の概略

D:検波用2極管

DH2, 6W-D1, 6/12G-D1, 6M-D2, 6M-D3(VH2), 6M-D4

DDH:検波用2極高増幅率3極管

5R-DDH1

DDP:検波用2極出力5極管

6R-DDP1 (出力管Pを見よ)

DE:検波用2極同調指示管

6M-DE1, 6G-DE2

DH:検波用2極高増幅率3極管

12Z-DH1, 3/6Z-DH2,

3/6Z-DH3, 3/6/12Z-DH3A, 12G-DH3, 6W-DH3S,

12G-DH4(N-231), 12G-DH5, 6/12G-DH6

DHV:検波用2極高増幅率3極リモート5極管

6R-DHV1/20R-DHV1, 6R-DHV2

DR:検波用2極シャープ5極管

1E-DR1, 1U5-SF, 1AS5/1U5-SF,

1S5-SF, 1AR5/1S5-SF

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検波用2極管概略

 日本名を持つ検波用2極管は,純粋な2極管D(内容はDとDD)と,その複合管DDH, DDP, DE, DH, DHV, DRあるいは双2極管とと戦前の日本標準真空管の名称には分類Dは7種に分けられる。

 CES登録の管は外形構造(外囲器,ベース)別に見ると,GT管10品種,MT9ピン4品種,MT7ピン1品種,マグノーバルが5品種,コンパクトロン4品種である。

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D:検波用2極管

DH2

12.0V,0.175A,7Q,

(D)100V,4mA

(6H6-GT)7Q,100V,4mA

6H6-GTの12V版。12H6-GTとはヒータが異なる。

 

6W-D1

(DD)

6.3V,0.3A,WD1,()

(D)100V,4mA

6H6-GTをST化したもの。

 (受信送信用真空管ポケットブック,ニューラジオ編集部, 大盛社, 1952)

6G-D1/12G-D1

(DD)

6.3V,0.3A/12.0V,0.175A,7Q

150V,8mA

(7C4/1203(VHF用)のunitX2と同じ?)

 (受信送信用真空管ポケットブック,ニューラジオ編集部, 大盛社, 1952)

6B-D1

6.3V,0.175A,-,-

pin=k,-,f,f,k,-,p

(国洋電機工業の真空管規格表)

6B-D2

JRC, サブミニ管。詳細不明。

6M-D2

 (国洋電機工業の真空管規格表に6M-D2の記載あるが,これは5極管である(VH3)の混同か?)

6M-D3(VH2)

検波用2極管。TEN。1950年頃。VH2として開発。後にJIS登録し6M-D3となった。

(2007.2.18)

(VH2)6.3V,0.175A,VH2,270V,5mA

(6M-D3)* Ebinv270V, Ibpeak16.5mA, Iomax5.5mA

pin=k,nc,h,h,k,nc,p

(6AL5)6.3V,0.3A,150V,10mA

*(新版無線工学ハンドブック,オーム社,1964,)

6M-D4(6B-D1)

検波用2極管。TENと思われる。1950年頃。当初JIS登録し6B-D1となった。まだMの記号が無い頃。Mが割り当てられて,名称が6M-D4に変わったと思われる。VH2とピン配置のみ異なる?

(2007.2.18)

6.3V,0.175A,200V,2mA

pin=p,k,h,h,p,nc,k

*(新版無線工学ハンドブック,オーム社,1964,)

4G-D5

Palmのノイズダイオード

(2007.2.18)

4M-D6

Palmのノイズダイオード

(2007.2.18)


DDH:検波用2極高増幅率3極管

5R-DDH1

日立

6BN8の600mA版。

 


DDP:検波用2極出力5極管

6R-DDP1

(出力管Pを見よ)

 


DE:検波用2極同調指示管

6M-DE1

TV同調指示用検波2極付き。トーヨー無線(世田谷),1956年

小売価格550円。発表時,TV同調指示回路が技術的に確立されたメーカに供給される,とあり,一般にも市販されるとあった。

 

6G-DE2

TV同調指示用検波2極付き。トーヨー無線(世田谷),1956年

6M-DE1と同時に開発。発表時,価格未定。

 


DH:検波用2極高増幅率3極管

12Z-DH1

検波用双2極高増幅率3極管。東芝マツダ1939年。1941年登録。

(原型・構造・特性)

12.0V,0.15A,ST38-,6B(6G)(H,Pt,Pd1,Pd2,K,top=G),Thw10s

(H)180V,-2.5V,2.8mA,30k,1.2mA/V,μ35;Cgp2.5pF,Cgk1.5pF,Cpk6pF

(D)50Vrms,0.24mA;Cpp1pF,Cpk3pF,Cpk3pF

3極部は日本独自の仕様?で,UZ-2A6/UZ-75の3極部のμを1/3にしたもの。gmは変らず,rpが1/3に。

 

3/6Z-DH2(UZ-2A6/UZ-75)

検波用双2極高増幅率3極管。東芝マツダ。1941年以降登録。

(原型・構造・特性)

2.5V,0.8A/6.3V,0.3A,ST-,6B(6G)(H,Pt,Pd1,Pd2,K,top=G),

(H)250V,-1.35V,0.4mA,91k,1.1mA/V,μ100

(D)?

UZ-2A6/UZ-75の別名。

 

3Z-DH3/6Z-DH3

検波用単2極高増幅率3極管。東芝マツダ1948

(原型・構造・特性)

2.5V,1A/6.3V,0.3A,ST-,DH3(H,Pt,Pd,-,K,H,top=G)

(H)180V,-2.0V,0.9mA,91k,1.1mA/V,μ100

(大盛H)180V,-2.0V,0.8mA,100k,1.1mA/V,μ100

原型は米国6SQ7-GT。ST化するとともに余計な2極部を省き,価格を下げたもの。

3Z-DH3は後に他のメーカが製作?。松下(1954以前)

 

3Z-DH3A/6Z-DH3A/12Z-DH3A

検波用単2極高増幅率3極管。東芝マツダ1948。TEN6.3V系1948年。全部松下(1954以前)

(原型・構造・特性)

2.5V,1A/6.3V,0.3A/12.0V,0.175A,ST,(H,Pt,G,Pd,K,H)

(H)250V,-2.0V,0.9mA,91k,1.1mA/V,μ100

原型は6Z-DH3。トップ・グリッドを足に持ってきたもの。12.0V系は175mAの戦後ホーム・トランスレス・シリーズ用。3Z-DH3Aは後に他のメーカが製作?。

 

12G-DH3

東芝マツダ1948

検波用単2極高増幅率3極管。東芝マツダ1948。松下(1954以前)。

(原型・構造・特性)

12.0V,0.175A,GT-,CH9(-,Gt,K,Pd,-,Pt,H,H)

(H)180V,-2.0V,0.9mA,91k,1.1mA/V,μ100

(大盛H)180V,-2.0V,0.8mA,100k,1.1mA/V,μ100

原型は米国6SQ7-GTで,ST版の6Z-DH3,6Z-DH3Aと同時に,GT管を開発したもの。ユニットの特性は他に同じ。余計な2極部を省き,価格を下げてある。ベース・ピン接続は日本独自の配置。

 

6W-DH3S

検波用単2極高増幅率3極管。サン真空管(品川区大井林町)1956。

6Z-DH3Aの改良型で,ハム対策とNFBを兼ねて,2極部と3極部のカソードを分離したもの。HiFiラジオ時代に生まれた。2極部は従来の6Z-DH3Aに比べてパービアンスが改良され,6AL5同等になり,検波歪も著しく改良されている。価格は430円で6Z-DH3Aに比べてやや高い程度という。6W-DH3Sはメーカ独自の名称であり,JIS/CES名には登録されてないと思われる。6AV6S/12AV6Sと同時発表。

 

12G-DH4(N-231)

検波用双2極高増幅率3極管。JRC1947

(原型・構造・特性)

12.6V,0.22A,GT,DH4(G,H,-,K,Pd,Pd,H,Pt)

(H)250V,-2V,1.5mA,1.5mA/V,μ90

(大盛H)250V,-2V,2mA,60k,1.5mA/V,μ90

(D)

3極部は日本独自の仕様?で,特性は6SQ7-GTに類似しているが,感度を高めており,増幅率はやや低くrpも低い。

 

12G-DH5

検波用単2極高増幅率3極管。不明。

(原型・構造・特性)

12.0V,0.175A,GT-,CH9(-,Gt,K,Pd,-,Pt,H,H)

(大盛H)250V,-2V,2.5mA,39k,1.8mA/V,μ70

12G-DH3とベース互換で,3極部の特性はμがやや低く,米国6SL7-GT/6AQ7-GTに近い。

(参考6SL7-GT/6AQ7-GT)

(大盛H)250V,-2V,2.3mA,44k,1.6mA/V,μ70

 

6/12G-DH6

検波用双2極高増幅率3極管。エレバム川西(TEN)1948

(原型・構造・特性)

12.6V,0.22A,GT

(H)250V,-2V,0.8mA,1.1mA/V

(大盛)12.6V,0.175A,GT,8Q(6SQ7と同じ)

(H)250V,-2V,1.0mA,91k,1.1mA/V,μ100

(H)100V,-1V,0.5mA,110k,0.9mA/V,μ100

6G-DH6は米国6SQ7-GTの別名。12G-DH6は米国12SQ7-GTと特性同じでヒータのみ違う。

 


DHV:検波用2極高増幅率3極リモート5極管

6R-DHV1/20R-DHV1

高周波増幅5極,検波2極,低周波増幅3極管。東芝1956/20R-DHV1 <日立58 TEN<59

9ピンミニアチュア第1弾。

pin=K(t)+k(d), g1(p), g2(p), h+k(p)+g3(p),h,p(p),p(d),p(t),g(t)

6.3V(5.7V-6.9V),0.48A

(V)250V,100V,-1.0V,9.0mA,3.0mA,300k,3.5mA/V,-20V(40μA/V)

,Eb300V,Esg100V,Ebsg300V,Eg0V,3W,0.4W

(H)100V,-1V,0.5mA,80k,100,1.25mA/V,/Eb300V,Eg0V,Pb0.5W

250V,-2V,1.2mA,62.5k,100,1.6mA/V

(D)150Vrms/1.5mA,250μA/DC

 中間周波増幅段に使用する可変増幅率5極部,低周波電圧増幅段に使用する高増幅率3極部,および検波段に使用する2極部を同一管内に封じた9ピン・ミニアチュア管。5極部のgmは6BA6と6BD6の中間程度(3.5mA/V)で使いよく,3極と2極は6AV6と同一特性。ただし,2極部は1ユニット。現在の5球スーパは,6BE6,6R-DHV1,6AR5,5M-K9と4本で同一特性を得ることができる。(57年の製品ニュースでは)同時に20R-DHV1も作られた。

 ピンが足りないため,5極部のカソードとヒータ片側が共通になっている。このため,ハムを防止する意味でカソードは接地し,さらに,自己バイアス回路が組めないので,AVCに-1Vが義務付けられている。また,3極と5極が同居しているため,外部ハム誘導,高周波発振を防止する意味で外部シールドも義務付けられている。これらが欠点になり,翌年,改良型6R-HV1ができた。

 

6R-DHV2

高周波増幅5極,検波2極,低周波増幅3極管。NEC1956-57<'59。「ラジオハイファイ超複合管」。9ピンミニアチュア第2弾。6BD6と6AV6を合わせたような球。東芝と異なり3極管カソードを5極・2極のカソードと分離しているのでNFBが掛けられる。ただし,トップ金具がある。

pin=k(t), g1(p),g2(p),h,h,p(p),g3(p)+k(p)+k(d), g(t), p(t), top=p(d)

6.3V,0.5A

(V)250V,100V,-3.0V,10.0mA,3.0mA,-k,1.8mA/V,

(V)250V,80V,0V,11.5mA,3.3mA,-k,2.0mA/V,

,Eb300V,Esg125V,3W,0.65W

(H)Eb300V,Pb0.5W

250V,-2V,1.2mA,-k,100,1.6mA/V

(D)


DR:検波用2極シャープ5極管

6Z-DR1

6.3V,0.3A,ST,7D,250V,100V,-3V,6mA,1.5mA,800k,1mA/V

 

1U5-SF/1AS5

東芝マツダ1954,1AS5/1U5-SF TEN,NEC

1S5-SF/1AR5

東芝マツダ1954,1AR5/1S5-SF TEN,NEC

1E-DR1

東芝マツダ1955, ('07.2.3補足)

ラジオ用サブミニ管。1U5/1U5-SF相当の2極5極管。1E-R11とともに開発。

Ef1.25V(1〜1.5), If25mA,

(5極部)Eb45V, Esg45V, 0V, Ib0.8mA, Isg0.25mA, rp-, gm0.35mA/V, Rg5Mohm, Ebmax100V, Esgmax75V

(3極部)Ip0.35mA at Ep5V

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