ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

Special tubes -Japan before WWII/戦前の特殊管

VI. Japanese Industrial and Military Tubes/日本の産業用・軍用真空管

34. Wired Communication Tubes

22.Japanese Special Tubes before WWII

32_63IMb. Industry & Military(II) Japanese 6.3V ST tubes of American Octal

2_IndMil. Industry & Military (III) Japanese Original 6.3V ST tubes


Page-22. Japan Oriented Special Tubes before WWII/戦前の日本独自の特殊管

3rd Edition (2006.11.11)

HomePageVT/Radio_tube_22.html


Introduction/はじめに

Special Receiving Tubes before WWII/戦前の特殊受信管

Table 1 Special Receiving Tubes manifactured by Tokyo Shibaura Electric/東芝が作った特殊受信管

Table 2 Special Receiving Tubes manifactured by Japan Radio Corp./日本無線が作った特殊受信管

Table 3 Special Receiving Tubes manifactured by Mitsubishi Electric./三菱電機が作った特殊受信管

Table 4 Special Receiving Tubes manifactured by Riken./理研が作った特殊受信管


Introduction/はじめに

ここで紹介する球は,戦前の業務用の真空管です。通信管というのは「電子管の歴史」によると「電話,テレビなどの中継,端局,測定器などで使われる真空管で,一般にマイクロ波管を除く」とあり,受信用真空管に限れば,戦前には日本電気の電話用真空管が有名です。電話用真空管については別に特集を組むことにして,ここでは戦前の日本電気以外の通信管にスポットを当てたいと思います。

テレビや測定器用の球といえば戦後確立されたようにみえますが,よくよく調べてみると戦前にもそれに類するものがありました。さらに,戦後は米国の軍用管が日本でも高信頼管や工業用真空管の特別版として国産化され使用されましたが,戦前には日本にも強力な軍隊があり,独自に軍用無線機や電波兵器を開発しており,そこに使用していた真空管は,今日では開発メーカーの歴史の一駒として語り継がれていることに気づきます。その一部の真空管は,東京電気/東芝マツダのHシリーズや日本無線のFM02A05など,私の「日本独自の特殊管」のページで既に紹介しています。

日本電気以外の通信管は「通信管」として扱った解説記事も無いのですぐには思い当たりませんが,よくよく考えてみると,東京電気/東芝マツダの500番代の球や6000番台の球はテレビ用や測定器用の特別仕様の球だったと気づきます。また,軍用受信管は,東京電気/東芝マツダのHシリーズやソラ,日本無線のFM02A05以外にも,日本電気,東京電気/東芝マツダ,日本無線そして三菱電機が異なる品種を開発し製造した記録があり,さらに,ロダン,品川電機,松下電器,川西機械(テン,神戸工業)などが製造に加わった史実があります。真空度計などにはドン真空管も使われています。

ここでは,乏しいサンプルや資料を材料に特集してみました。


Special Receiving Tubes before WWII/戦前の特殊受信管


日本電気以外の会社の戦前・戦中の通信・測定・軍用真空管について話しましょう。東京電気/東芝マツダは1930年代には測定器用の特別仕様の500番代の球を製造していましたが,1930年代末には,新たに6000番台の球を製造し,測定器の他,テレビ,軍用などに供しました。

テレビと言えば日本でも戦前からテレビがありました。英国や米国では戦前に本放送にこぎ着けましたが,日本は戦争による中断で実験放送だけに終わりました。テレビ放送はもちろん,テレビ受像機には沢山の真空管が必要で,大部分は従来のラジオ球が使えましたが,実用化のためにはどうしても高ゲインの増幅管が必要でした。ゲインを少々上げるだけで何が改善できるのかというと,実は一般家庭のお茶の間にテレビ受像機を置けるようになる!という画期的な成果が期待できるのです。実用化のためには,月並みな言葉ではありますが,コンパクトで低価格,が実現できなければならなかったのです。これが大変重要でした。

また,その他,わずかではありますが,日本無線が海軍用の受信管を開発しています。日本無線はもっぱら送信管メーカーとして,ドイツTelefunkenと提携して真空管を製造してきたのですが,戦争が始まる頃には海軍の要請でドイツ形の受信用真空管を国産化し,次いで日本向けに改良した幾つかの受信管を独自に製造しました。航空機用万能管としては,1940年(昭和15年)にNF-2を,次いでNF-6,そして独自のFM02A05とつながりました。またドイツ形のVHF用の球としてRV12P2000を6.3Vに改修したRE-3を1940年(昭和15年)に開発しています。

RCA系の一般受信管や東京電気/マツダが開発した特殊な受信管も軍用に使用され,日本電気は独自の名称で(前出),また三菱電機も独自の名称(RT1からRT4)で相当管を製造しました。その他の会社は開発会社の名称を用いたようです。

Table 1 Special Receiving Tubes manifactured by Tokyo Shibaura Electric/東芝が作った特殊受信管

Purpose

Base

Eh

Ih

Eb V

Esg V

Eg V

Ib mA

mu

rp

gm mA/V

Po W

UX-512

Triode for Micro Current Measurem.

512 G=top

5.0

0.25

135

-9.0

7.0

8.2

5k

1.6

UX-512A

Triode for Micro Current Measurem.

=112A

4D

5.0

0.25

135

-9.0

7.0

8.2

5k

1.6

UP-513

Triode for Jayroscope

UX-514

Triode for Micro Current Measurem.

512

4.0

0.6

10

-1.5

0.015

8

307k

0.026

UX-54A

Tetrode for Micro Current Measurem.

2.0

0.2

6.0

4.0

-4.0

0.04

1

Ig= 10-14

0.025

UX-54B

2.0

0.05

6.0

4.0

-4.0

0.04

Rg

Ig= 10-14

0.027

UY-536 (>1933-)

special 236

UY-537

special 237

UY-538

special 238

UY-539

special 239

UX-540

special 240

US-61

Pentode

8N

6.3

0.3

250

100

-2

5

Isg=1.2

1M

2.0

UZ-6001*

Low Noise Pentode

=UZ-560

#5005

#5005A

UZ-577

#5009

#5009A

6F

6.3

0.3

250

100

-3

2.3

2M

1.25

UZ-6001 (1939)

Low Noise Pentode =UZ77

6F

6.3

0.3

250

60

-1.5

1.7

715 Isg=0.4

650k

1.1

UX-6201 (1939)

High mu Triode for Measurem.

=UX-540

#5001

#5001A

4D

5.0

0.25

180

-3

0.5

30

86k

0.35

UX-6202

DH Tetrode

34

1.7 1.9

0.05

225

45

0

1.5 0.9

UX-6203 (1939)

Low mu Triode for VTVM

Top grid

4.0

0.48

4

0

0.14

3

(15k)

0.2

UY-6301 (1939)

Low Noise Triode

56

6.3

0.6

250

Rk 160

9

100

13k

7.7

UZ-6302 (1940)

SCO Pentode for High Freq.

6F

6.3

0.6

250

150

Rk 140

12

Isg= 2.5

-k

10

UZ-6303 (1941)

RCO Pentode for Audio

6F

6.3

0.6

250

100

-3

13

6.0

UZ-6304 (1941)

Power Pentode

6B

6.3

0.7

250

150

-3

32

Isg= 6

180k

13

US-6305

IF Amp for VHF Receiver

8BK

6.3

0.5

250

100

-3

5.2

Isg= 1.5

1M

4.0

UL-6306 (1942?)

twin Pentode RH8 x2=RD5

6.3 12.6

1.0 0.5

UX-6501 (1941)

Osc Triode =RX1

Ut-6502 (1941)

Converter =RW2/Ut6A7

KX-6901 (1940)

Rectifyer for HV

2.5

5.0

16.5k

2.0

RC4 (1941-42)

Special

VHF Pentode =RC4

(like RV12P2000)

6.3

0.3

250

100

-2.0

5.0

Isg=1.5

0.3

H Series and Sora (1942)

CH1

DH2

KH2

PH1

RH2

RH4

RH8

省略

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Table 2 Special Receiving Tubes manifactured by Japan Radio Corp./日本無線が作った特殊受信管

Purpose

Base

Eh

Ih

Eb V

Esg V

Eg V

Ib mA

mu

rp

gm mA/V

Po W

RE-3 (1940) Special

VHF

(like RV12P2000) Telefunken SF-1A

C4 spec

6.3

0.23

200

100

-2

4.0

2000

Isg=1.5

2.6

NF-2 (1940)

Pentode =Telefunken NF-2

F6 Ptyp

12.6

0.21

200

100

-2

4.0

400?

Isg= 1.5

2.3

NF-6

Pentode

NF6 Oct

6.3

0.43

200

100

-2

3.2

4000

Isg=1.1

2.3

FM2A05A (1941)

Multi-purpose Pentode

(like Telefunken NF-2)

7R Oct

12.6

0.23

250

100

-2

3.3

4000

Isg= 1.1

2.3

N-231

=Ut-6L7G

N-551

Twin Pentode Power

51 Oct

5.0

0.18

100

100

-4.0

12

Isg=3.0

120k

3.5

0.3

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Table 3 Special Receiving Tubes manifactured by Mitsubishi Electric./三菱電機が作った特殊受信管

Purpose

Base

Eh

Ih

Eb V

Esg V

Eg V

Ib mA

mu

rp

gm mA/V

Po W

RT-1

=Ut-6A7

RT-2

=UZ-75

RT-3

=UZ-6D6

RT-4

=Ut-6B7

RT-5

=UZ-43

RT-6

=KZ-25Z5

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Table 4 Special Receiving Tubes manifactured by Riken./理研が作った特殊受信管

Purpose

Base

Eh

Ih

Eb V

Esg V

Eg V

Ib mA

mu

rp

gm mA/V

Po W

UN-1K3

Triode Acorn

5BD

1.1

0.15

135

-4.5

3

13.5

18k

0.75

UN-1K5

Pentode Acorn

5BE

1.1

0.15

135

90

-1.5

0.5

275

550k

0.5

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References/参考文献

このページにある表は下記の参考文献に基づいて作りました。

1) ニューラジオ編集部編, 最新 受信送信用真空管ポケットブック, 大盛社 (1952.8)

2) 社団法人日本電波協会編纂(梶井剛), 11.各種真空管特性一覧表, p.1131-p.1177, 無線工学ポケットブック(1941.7, 1947.3)

3) 樋口千代造, 他, 実用ラジオサービスブック, XXV.最新受信用真空管の規格一覧表, p.346-425, 理工学社, 年代不詳.(1948-1949)

4) 田尾司六, 解説真空管, 日本放送出版協会, 1949.

5) 梅田徳太郎, 受信管製造の記録, 1976, (電子管の歴史, 資料編, 1987)

 

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1st edition (1998.6.18)+(1998.11.17)+(2000.9.10)+(2000.9.30)+(2000.10.7), (2002.11.24), (2006.9.3)