ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

Radio Tubes After WWII/戦後のラジオ球

5. GT Tubes/GT管

5.Japanese Early-Times 12V and Transformer-less Tubes

5B.Japanese Early-Times 6.3V

5C. Japan made American Type


Page 5B. Early-times 6.3V tubes and Communication Tubes/初期の6.3V管と通信用管

3rd Edition (2006.10.27)+(2008.6.30)+(2008.7.21)-(2011.8.15)-(2013.5.4)

HomePageVT/Radio_tube_5B.html


3. Kobe Industry TEN Transformer-less GT and 6.3V GT/TENのトランスレスGT管と6.3V管

4. Minor Japanses Type GTs/少数派の日本型GT管

5. American Type GTs and 5V Rectifiers/米国型GT管と5V整流管

TEN (Kobe-Kogyo)
Matsuda (Toshiba)

6G-R7

TEN
6G-K14

TEN
5G-K3

Matsuda, KDH, Matsushita

6G-DH3

Matsuda
 


Kobe Industry TEN transformer-less Tube and 6.3V Communication Tubes/TENのトランスレス管と6.3V通信管

川西機械(神戸工業)TENは1947年頃にGT管を開発した。

日本独自の仕様の6.3V管も通信用に開発した。それが6G-R7である。なお米国型を国産化した1949年には6G-K14も作っている。

Function/ 構造

Purpose/ 用途

Name/ 管名

Similar American/ 米国相当管

Pentode/ 5極

RF Amp/ 高周波増幅

Semi-remote cut-off/ セミリモートカットオフ

6G-R7

6SD7+

Diode/ 双2極

Full-wave Rectifier/ 両波整流

6G-K14

6X5*

*相当管だが,ヒータ電流はやや増加しているので特性は若干異なる

+1998.8.12版にRH-4相当と書きましたが,6SD7-GT相当の誤り。BMの会,宇多さんにご指摘いただきました。感謝します。

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6G-R7

川西機械(神戸工業)TENが1948年頃に開発した高周波増幅用の5極管。この球は,一般のラジオ用ではなく通信用に開発された。ヒータ電流を約10%UPした日本独自の仕様で,(資料により6.3V, 0.3Aとなっているものもあるが),内容は米国6SD7-GT相当。JIS/CESの分類はRシャープカットオフ4極,5極だが,一木氏のマニュアルには6G-R7はセミリモートと書かれている。(6G-R7は東芝マツダも製造した。開発が東芝であったのか,川西機械/神戸工業TENであったのかは不明?, 2008.6.30追記)

6.3V,0.35A,GT,8N(S,H,G3,G1,K,G2,H,P)

250V,100V,(250Ω),6.0mA,1.9mA,1M,3.6mA/V

[Yh8]

Kobe Industry TEN 6G-R7/神戸工業TENの6G-R7。管名表示の下に「通信用」とある。製造年代不明。この球の構造はST管時代の電極をそのままGT管とした感じ。異なる点はゲッタが電極頂上にあること,ピンチ・ステムの両側を包むように金属板を配置しシールドしていること。シングル・エンド型だがシールドは良い。左のサンプルはロット番号20056,ゲッタは板の中央を四角く切り抜き,1辺に窪みをつけてゲッタ材を充填したものを使用。gm=-65。ややエミ減。右のサンプルはロット番号1555,ゲッタは太い針金で四角を作り1辺にゲッタ材を載せた小さな金属片を取り付けたものを使用。gm=93。ともにp-sgショートを示す。

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6G-K14

 実はこれは(Audio_REC_JP)に既に掲載していた。改めてここで紹介する。

[1kO]

Kobe-Kogyo TEN 6G-K14 (2u 1040)/神戸工業テンの6G-K14

6G-K14はラジオ用。TEN 通信用。皿ゲッタ,バンタムステム。黒化プレート。

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Minor Japanese Type GT/日本型の少数派GT管

日本で生まれた球のGT版がある。1948年頃にラジオ用の国産GT管が生まれたが,主にトランスレス管で12V球なのだが,その6.3V管が作られた。東芝12G-C5(#3003)に対する6G-C5(東芝, #3018),そして12G-DH3に対するメーカー不明の6G-DH3である。それらは,公式記録に現れない。東芝が開発した6G-C5でさえ,米国互換の6SA7-GTの発売に至ったため,マニュアルに痕跡をとどめる程度で,記録がほとんど無い。しかし,少しは流通したらしい。6G-C5ではマツダ1951年のマニュアルでは,保守用品種に指定されていた。1951年7月のMJ誌の記事では,6G-C56SA7-GTに取って代わられ,だんだん使われなくなったとある。6G-DH3は発売されたかどうか,全くのところ不明。現物はある。

また,GT管が製造される頃になって,戦後現れた国民的ラジオ用出力管6Z-P1や整流管KX-12FKなどのGT管が現れた。GT管6G-P1はJIS名なので,記録上名称だけが残っているが,販売の痕跡は1950年-51年頃の雑誌に見られた。(丸子真空研究所ミュー, ラジオ技術誌1950.11と松下の広告MJ誌1951.4,三重県津田さん調べ)。現物は沖電気製もある。12FK-GTはマイナーな名称であるが幾つかの会社が製造。(松下の広告MJ誌1951.4,三重県津田さん調べ),現物は大塚久さんの著書にトーヨー製が見られる。


6G-DH3

ここに,現物の6G-DH3を入手した。製造は東芝(マツダ)のようである。(2008.6.30-7.21)

[8gL][8gL]

6G-DH3, (Toshiba Matsuda)/メーカ名無いが東芝マツダと思われ。

名無しであったが,ヒータ点火し,6.3V管と認定した。すなわち,6G-DH3を確定。

TV7により測定。gm=22, em=4,。エミ減模様。気になるところは,ゲッタ対向面のガラス部が白くなっているところだが,反対側は銀膜があり,単純なガスリークとはちょっと違う。活性化を試みる。12V短時間点火し。2回目gm=44, em=48, 復活。3回目,gm=44, em=44, かな。安定している。生きている。

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American Type GT and 5V Rectifier/米国型GT管と5V整流管

日本電気(NEC),日本無線(JRC),東芝(マツダ),神戸工業(TEN),丸子(?)は1949年末までに米国型のGT管の国産化を果たし,生産を始めた。国内はST管が主流の時代でラジオ・ブームに沸いている時期であったが,球メーカは世界的な主流はGT管であると考え,力を入れていた。国内需要はこれからであったが,また輸出を睨んだ生産でもあった。

American Type GT/G Tubes produced in Japan until End of 1949/1949年末までに国産化された米国型GT/G管

6.3V/5V Tubes

150mA Tubes

Function/ 電極構造

Purpose/ 用途

6C5GT

Triode/ 3極

Detector Amp/ 検波・増幅

6F6GT

Pentode/ 5極

Power Amp/ 電力増幅

6H6GT

Twin Diode/ 双2極

Detector/ 検波

6V6GT

Beam/ ビーム

Power Amp/ 電力増幅

6X5GT

Twin Diode/ 双2極

Rectifier/ 整流

6SA7GT

12SA7GT

Penta-grid/ 5格子

Frequency Converter/ 周波数変換

6SD7GT

Pentode -Vari-mu/ 5極バリミュー

RF Amp Vari-mu/ 高周波可変増幅

6SJ7GT

12SJ7GT

Pentode/ 5極

RF Amp/ 高周波増幅

6SK7GT

12SK7GT

Pentode -Vari-mu/ 5極バリミュー

RF Amp Vari-mu/ 高周波可変増幅

6SL7GT

Twin Triode/ 双3極

Detector Amp/検波・増幅

6SQ7GT

12SQ7GT

Dual Diode Triode/ 双2極3極

Detector Amp/検波・増幅

35L6GT

Beam/ ビーム

Power Amp/ 電力増幅

35Z5GT

Diode/ 2極

Rectifier/ 整流

5Y3G

Twin Diode/ 双2極

Rectifier/ 整流

米国型のGT管を用いて5球スーパを作ろうとすると,整流管は5Y3Gか6X5GTを採用しなければならない。しかし,国内の主力のST管ラジオの整流管は,直熱型のKX-12Fから傍熱型のKX-80BK,KX-12K,KX-80HKに移る時期ではあっても,片波整流が主流であるのに違いはなかった。トランス巻き線から言っても,両波整流はまだまだ贅沢品だったのである。このため,米国型GT管による5球スーパにも片波整流が要求され,1950年には日本独自の5G-K35GB5*が開発されている。

*5GB5は旭真空工業というマイナーな会社の開発(1951年)であり,定格は(350V, 75mA)。管名が変則的なので,ミスプリントで5G-K5の誤りとすると,これは東芝マツダの30G-K5(200V,70mA)の5V管となるが,規格も異なるようだ。また,12KというGT管も知られているが,これはKX-12KのGT版であろう。

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5G-K3

5G-K3は1950年に日本独自に新しく開発された片波整流管。CES/JIS登録名のうちK3は,5X-K3(KX-12Fの別名)があったが,1950年に旧来馴染みの無い名称は廃止され,欠番となったが,5G-K3の開発で,埋められたもの。

Matsuda

[YhC]

Toshiba-Matsuda 5G-K3/東芝マツダの5G-K3。ガラス管上の管名やロゴはほとんど消えている。製造は1950年代半ばと推定。プレート材料はやや黒化したニッケルで30G-K5と比べると遥かに造りは近代的。em=57で活きている。

Kanto-Denshi-Hanbai

[YhC][YhC]

Kanto Denshi Hanbai 5G-K3/ 関東電子販売の5G-K3(7C, 1967年3月)。ガラス管,ベースは近代的だが,電極は昔ながらの作りで,できはいまいち。角ゲッタ,プレートはニッケルにカーボン塗布。新品なのだが,エミッションは小さく,em=42。保守用に作られたのだろう。

Matsushita

[AfIr]

Matsushita 5GK3-GT

5GK3-GTはJIS名を無視した命名。

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