Return to Tube Ham Radios/真空管アマチュア無線にもどる
Overview of UNICA UR-2A/概要
Inside View/中身
世が真空管時代からトランジスタ時代へ移行する末期の1970年頃,日本国のどこかにユニカ興業という,いまでいうガレージメーカがありました。当時のCQ誌の販売店の広告には,5種類の受信機が載っていました。メーカーの広告では無いところが,怪しげな雰囲気を醸し出しています。
民生用品であるテレビはカラー時代でありましたが,真空管時代の終わりの時期に当たり,トランジスタやICを併用したハイブリッド時代であり,あと2年もすると真空管セットは全く消えて無くなるという時代でありました。ラジオは据え置き型や卓上型もとっくにトランジスタ化されていました。真空管セットが見られたのは,オーデイオかアマチュア無線に限られていました。アマチュア無線界はSSB化して数年,真空管セット全盛期であり,ハイブリッド化はやや遅れ,安定度の要求されるVFOのみの半導体化という変則的な時代でした。
BC-SWのオールバンド受信機なるものはそれほど多くなく,必要ならばSONYなどの短波ラジオを買えば済んだ時代でした。そんな中で,珍しくも昔ながらの通信用受信機の顔をしたトランジスタ受信機を販売していたのがこの会社です。
Model Band Price 備考 UNR-30 II BC-SW (4 Band) \9,300 扇型ダイヤル, BFO, VOL UR-302 BC-SW (4 Band) \10,300 扇型ダイヤル,BFO, Spread, VOL, S-Meter UR-600 Ham Band \18,000 扇型ダイヤル,BFO, Spread, VOL, S-Meter UR-1A II BC-SW (4 Band) \14,500 横往行ダイヤル,BFO, VOL, S-Meter UR-2A BC-SW (4 Band) \25,500 横往行ダイヤル,BFO, Spread, VOL, S-Meter 通信型受信機の顔というのは,姿形は真空管時代のもので,5球スーパをトランジスタ化したのがロークラスの受信機,昔のトリオ9R59などの高1中2スーパーをトランジスタ化したのが,ここでご紹介するUR-2Aなのです。この受信機はこのシリーズの中でも最高峰の受信機なのです。まずはそのお姿からご覧にいれましょう。
9R59をそのまま半導体化したような史上最悪の受信機。コイルとバリコンは一見豪華だが何か設計が間違っていると思われる。ダイヤル糸はかけなおしたが,機構設計がおかしく重い。BC帯は感度が悪く小型トランジスタラジオに負ける。そこで局発の基板部分に改造を試み,いろいろ遊んでみたが,うまくゆかず途中で放棄した。現状,プリント基板は改造時に一部禿げたが,コイル,バリコンは触っていないから,元にもどすのは簡単と思われる。回路図はプリント基板から手書きで作ったが,書きなぐりでよければ付ける。さて,お遊び用のノークレーム品としていかが。
キャビネット上蓋は側面のネジ4本で止まっているが,とても小さいネジだし,ネジが無いとがたんと下に落ちる構造。ストッパーが欲しい。
Specification/仕様:RF(3SK39(Q))-MIX(2SC460)-FIL(MFH51)-IF(2SC454)-IF(2SC454)-
同調機構。糸かけ機構の設計は何か間違っている。フライホイール付きドライブ軸。左はメイン,右はスプレッド。メインは滑車の位置からして上部左に往復2カ所,上部右に1カ所かかる。バリコンのプーリーの接線は直線でなければ無理な力がバリコンに加わる。スプレッドは直線で設計されている。しかし,メインバリコンは上に釣り上げられる形となっており,糸切れやスムーズに回らない原因となっている。
底板を剥がすとコイルパックのシールド板が見える。これも泣かされる。一見頑丈。しかし,コイルは鉄損があるし,コアは付け足しのような機械強度の弱さ。四角の穴が生きていない。元々の設計は四角い穴にマイカ製のトリマコンデンサが来るようにできていたかもしれない?しかし,付け足し的なコアになってしまった。発振用のコイルのトリマは実に弱い。鉄で欠ける。