(2002.10.25)+(2003.2.16)+(2003.10.25)+(2003.12.13) (From Aug. 2002 to Jan. 2003/ 2002年8月から2003年1月まで)
P(170) US Zenith 4L41 in 1954?/米国ジーナス 4L41 ('02.8.25), not yet
H(171) Toshiba Kanariya-L 5YC-794 in 1965/東芝カナリヤL, 5YC-794, ('02.8.27), not yet
F(172)=F(9) National CM-615 in 1956 Part2/松下電器ナショナル CM-615 その2, ('02.9.22), not yet, Radio_P5
X(173) US General Electric (GE) 518F in 1952?/米国GE 518F, ('02.9.22), not yet
F(174) Toshiba Matsuda Uguisu-A, 5SV-60 in 1955/東芝マツダ うぐいすA, 5SV-60, ('02.9.30), not yet
F(175) Toshiba Matsuda Kanariya-A, 5MB-42 in 1954/東芝マツダ カナリヤA, ('02.10.14), not yet
DE(176) Sharp 5R-50 in 1949?/早川電機工業シャープ 5R-50, ('02.10.20), not yet(updated '0312.13)
F(177) Homemade Push-Buton AM-Tuner/自作プッシュボタン式AMチューナ ('02.10.27), not yet (updated '0312.13)
D(178)=D(153) Toshiba Public-Type-1 ZS-1021 in 1947 Part2/東芝 国民型受信機1号 その2, ('03.1.1), not yet (updated '0312.13)
H(179) Toshiba Kanariya-K 5YC-763 in 1965/東芝カナリヤK, 5YC-763, ('03.1.28), not yet
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米国ジーナスの電池とACの両用ミニアチュア電池管式ポータブル・ラジオ。(綴りのローマ字読みはゼニスなのだがジーナスが近いらしい)。地元の骨董市で発見し入手。私は滅多に外国製ラジオ,とりわけ米国製ラジオは買わないようにしているのだが,このラジオには妙に惹かれるところがあってつい買ってしまった。始めテーブル・トップのACラジオかと思っていたら,何とポータブルじゃあないか。それにしてはあまりにもふとっちょだ。「米国製かー」と唸っていたら「鳴りますよ」といわれて2度びっくり。古い電池管式ラジオをいきなり試したなんて何と危ない!と思いながらも,鳴ってしまったからにはきっと状態が良かったのだろうな,そういえば,私はほとんど鳴るラジオは持っていない!1台くらい鳴るものがあっても良いなと思い直した。完璧な品なら日本では相当高価になるはずなのだが,実は両側面にネジ込み部が露出していて何か足りない。色々考えると取っ手が無いのに気づいた。無いと分かるとたちまち不完全なジャンクラジオと成り下がる。私が一番お世話になっている骨董屋なので少しだけ値切って購入した。このような不完全品を買うのは私のような中途半端なコレクターに限られる。読者諸氏はマネをしてはいけません。
持って帰って鳴らしてみると本当に鳴る。驚くべき感度と音量なので3度ビックリした。テーブル・トップラジオと遜色無く鳴るし,ループアンテナも実に良くできている。さすが米国製と感心した。だから,私は米国製を集めないようにしているのである。
さて,モデル4L41であるが,実はシャーシに付けられたモデル番号である。私は米国製ラジオの資料をほとんど持っていないので製造年は不明であるが,内蔵する真空管の製造年を調べる限り1954年製のようだ。内容はミニアチュア管ポータブル・ラジオとしては後期の(戦後米国での主流の)構成で,コンバータが1R5, IF増幅が1U4, 検波増幅が1U5, 電力増幅が3V4である。3V4は我が国ではNEC(新日本電気)が国産化しているが,国内販売したかどうかは定かでない。我が国の出力管はもっぱら3S4か3S4-SF,後に3Y4が用いられている。
Inside view of 4L41, opend door/ 蓋を開くと内部はご覧の通り。重い電池を置くスペースは下部に設けられており,シャーシが逆さに取り付けられているのは昔ながらのスタイル。電池はZ-67とZ-5とある。米国製のポータブル・ラジオははじめて見たが,シャーシがこれほどまでに分厚い鉄板で頑強に作られしかもでかいのには驚いた。蓋側には10cm x20cm程の金属板が貼り付けられているが,その裏にはループ・アンテナがあるようだ。電波を遮蔽する金属板は何の目的で貼り付けられているのかは想像できない。
Side view of the chassis/手前のL型シャーシはAC電源ユニットのようで,向こう側のシャーシが4球スーパーユニットのようである。シャーシは鉄板でがっちりとできており,マウント方法も8角ボルトを用いた堅牢なもの。この手のボルトは先に紹介した1950年代のPhilcoのカーラジオや後に紹介するGEの5球スーパにも見られ,米国のラジオ産業では標準的に用いられていたのだろう。
Four Tube Super Unit Chassis; Tubes are, from left, 3V4, 1U5(back), 1U4 and 1R5/ 球は左が3V4, その奥に1U5, 中央1U4, 右1R5。うち,コンバータ1R5を除く球はZenithのマークが入っている。IFTも比較的大型で,その裏に黒い筒型の大きなケミコンがある。右にバリコンが見える。全ての部品が通常の5球スーパーの部品のようにでかい。
1R5; Sylvania? (B1E)
1U4; Zenith/RCA (4-13/273) ...1954
1U5; Zenith (426) ....1954
3V4; Zenith/GE ...
東芝カナリヤの最後のモデル,そして東芝最後の真空管ラジオである。Yahooオークションで見かけて入手。東芝の社報「東芝レビュー」には「かなりやK」の記録が最後であって「かなりやL」は隠れた存在であった。まさか,Kよりも後にも製品があったなんて。実は「カナリヤK」は,1965年のモデル5YC-763だけでなく,まったく血縁関係の無い初代「カナリヤK」5LP-108(1956年)があって,実に2重登録の大ちょんぼであった。しかし,その後に出た本モデル「かなりやL」は,さらに恥の上塗りをするような存在であって,大東芝が販売するラジオにしては少しお粗末,おもちゃの類のラジオといっても過言ではない。
Front view of Toshiba Kanariya-L/かなりやL。実に性能が良くない。同調操作がダイレクトで,感度が良いだけに選局が困難である。これは本当になさけないラジオなのであった。
Ser. 390041, 50/60cps, 100V 25VA, 1Wmax, 530-1605kc
真空管は1965年12月と66年の1月製である。
12BE6 Toshiba (6A)
12BA6 Toshiba (5L)
12AV6 Toshiba (6A)
30A5 Toshiba (6A)
35W4 Toshiba (6A)
IFT; 324829
Chem; 125L100FA, 60uF, 40uF
SP 35618.. 10cm
松下ナショナル製のマジックアイ付きミニアチュア管標準型ラジオ。既に同型を所有しているが,1台目は保存状態が良いがツマミがない。地元の骨董市で見かけて入手。ツマミが1つだけ付いた状態だったので,ツマミだけ売ってくれるかと聞いたところ,中に他のもツマミがあるよと言われて覗くと,ローゼット式のツマミが4つ入っていたので,補修用にまとめて買ってきた。だから同じものが2台になってしまった。本モデルは,以前に1956年製と紹介しているが,実際は1955年4月以降の製品で,2号機は製造番号がやや若く,部品が1955年11月製と1955年末の製品であった。
Tubes: from left, 6BE6(NEC), 6BD6(NEC), 6AV6(Matsushita), 6X4 and 6AR5/6BD6は何故か真空漏れしている。鉄部の赤錆を除く保存状態は1号機と似たもので,バリコンの防振ゴム(白)は融け出している。また,6.3Vヒータ線(緑,黄色)は絶縁材が硬化し,全体的にぼろぼろであるから通電はしない方が良い。
Ser. 002828
SP; 11552
IFT 11552
Circuit Diagram/回路図。シャーシを取り外すのが面倒なのでカメラをラジオ内に挿入して部品の隙間から回路図の一部だけを斜めに撮った。
Dial Strings, Tube Location and Specification/ダイヤル糸かけ図と配置図,それに仕様書。
いちど米国のミニアチュア管ラジオを見たいと思って地元の骨董市で入手した時計付きミニアチュアラジオ。Yahooオークションで大枚払って入手してみたら酷いジャンクだったそうで,勉強になったと骨董市の知り合いの出店者からただ同然に入手。なるほど,キャビネットは酷い状態。時計は動くらしいが,60HZ仕様と思われる。ラジオ部は音がでなかったという。試していない。
年代不明だが,以前目にしたモデル517Fは1951年製だったので,このモデルも1951-52年と考えた。何故,このラジオが欲しかったかというと,ひとつは米国GEの50年代のミニアチュア管の年代特定法を調べていたこともあり,もう1つは五右衛門風呂のような珍しい真空管シールド・ソケットを用いていたからということもあった。
Front view of US General Electric model 518F/GEの時計付きラジオ。正面下部のボリュームツマミがないし,時計の3つのツマミは無く,軸も1つは半分,1つは全部が折れている。
Bottom view of the cabinet/キャビネットには酷い割れ,欠けがある。それどころか,ちゃっと変だ。シャーシとキャビネットのネジ穴が合わない。シャーシ下部から出ているボルトはキャビネットの穴よりさらに外側にある。鉄のワッシャーで無理矢理止めていた。フロント・パネルのダイヤル穴が合うのが不思議なのだ。本当にオリジナルのキャビネットなのだろうか?
Back view/裏面。シャーシ裏面に電源のスライド・スイッチがある。目覚まし時計なので正面にスイッチがないのか?さらにシャーシ金属部が露出しているのも解せない。米国ではトランスレスは感電しないのか?プラグに極性があれば挿入に間違いはなく事故はないかもしれない。しかし,日本では使えない。
Chassis Back View; from left, 35W4, 50C5, 12AV6, 12BA6, 12BE6/シャーシ背面。真空管は左より35W4, 50C5, 12AV6, 12BA6, 12BE6である。真空管は50C5だけが1960年代の日本製。他は米国製。
キャビネットの割れだけでなくシャーシも相当酷い錆があり保存状態は良くない。しかし,このラジオのシャーシは一風変わっている。構造が四角い弁当箱ではなくテーパーを付けた凝った造りである。シャーシ構造はしっかりしており,さすが米国製。さらに,真空管のソケットは周りにUFOのような環があり,まるで真空管が五右衛門風呂に浸かっている感じ様子が気に入って,このラジオを購入した。この真空管シールド・ソケットはミニアチュア管の下部をシールドする役割を果たすだけでなく,実はシャーシ内面にはソケット端子は出ておらず,上面でハンダ付けする構造になっており,感電防止のカバーの役割を果たしていることが分かった。
Back side of Front Panel/正面パネルの裏側。左にスピーカが配置され,右には金属カバーを被った電気時計がある。このカバーはやわにできている。中央に容量の異なる親子型バリコンが縦に据え付けられており,軸の先端にキノコの傘に見えるツマミ兼用ダイヤルがある。我が国では東芝が1955-56年頃のミニアチュア管初期のラジオにこの構造を真似たラジオを作っている。東芝はさらに発展させバリコン・音量調節兼用の同軸構造の地球儀型ラジオへと発展したのはご承知かと。バリコンから出ている黄色(Cold)と緑色(Hot)の線は裏板のアンテナ・コイル用。
Loop Antena Coil on the back Panel/ループ・アンテナ・コイル。ちゃんと接続金具がある。コイルも固められほぐれない。コイル引き出し線はバックパネルの金具を介してシャーシ側のリード線(黄色(Cold)と緑色(Hot)の線)に接続する形式となっており,メンテナンスが極めて容易である。
50C5, ...ITT? JAPAN 502, ドーナツゲッタ
IFT; X 119-1-15 M77J602-2, X 119-1-14 M77J602-2
SP; K691182 188,
Watch; No. C-57
Chem; 50uF, 150WV, K65J853-5
Chem; 0.47MFD 400VDC TYPE PPX6547
初期のミニアチュア管ラジオに狙いを定めて購入したものの1つ。うぐいすAは16cmのスピーカを搭載した従来のST管普及型ラジオをそのままのサイズでミニアチュア化した第一号といえよう。Yahooオークションで入手。鳴らしてみるとボリュームがゼロに絞れないが大きな音で鳴った。
東芝の1955年製。東芝レビュー(Vol.11-4)に「普及型として実用本位の木製キャビネットの5球スーパーで,十分な音量を持ち,デザインは断然優れ,レコードプレーヤと併用することにより電蓄として使用できる。うぐいすAはリモートスイッチの付いた親切設計」と紹介している。ちなみに同年やや後に発売されたうぐいすB(5VC-83)は「負帰還回路を使用し切換により希望の音質が得られ,強力なスピーカとともに明快な音色を楽しむことができる」とある。
当時,東芝はラジオにミニアチュア管を本格的に採用し,名称も従来のモデル名と愛称を並記して販売しはじめた時期にあり,愛称には鳥の名前が付けられた。高級型は7RA-70(めじろA)の1種,標準型はアイ付き6球スーパー6SB-52, 53,66, 6TB-86(かっこうB)の4種,そして普及型うぐいす2種の他,卓上型の元祖カナリヤシリーズ6種が発売されている。
Toshiba-Matsuda Uguisu-A, Left nob(Not original) ; Function switch, (a)PWR, (b)Tone, Right nob; Coaxial (a)Tune, (b)Volume/うぐいすA, ツマミは右がオリジナルで左は違う。左は電源と音質切換のファンクション・スイッチ。右のツマミは2重式でVolumeと同調。
Back view/裏面。ST管時代のキャビネット造りを踏襲しているので,実にがらんとしている。このサイズはスピーカからくるので,その後もがらんとした印象は続く。後のHi-Fiラジオはもっとひっどかった。
Name Plate/銘板, 周波数535-1650kc, 出力が1.3Wしかないのは歪みを抑えているせいであろう。スピーカと箱のサイズが十分であってうるさい程大きな音量が得られる。
From left, 6BE6(NEC), 6BD6(NEC), 6AV6(Toshiba-Matsuda, Original), 5M-K9(Original) and 6AR5(Original)/真空管は6BE6, 6BD6, 6AV6, 6AR5, 5M-K9という定番である。
シャーシ配置は,何故か整流管が奥に引っ込んでいて,しかもIFTが2本並んで奥にある。5M-K9と6AR5の頭は平坦で1954-55年頃の特徴を残している。また,IFTが2本並ぶ配置も当時の東芝やテレビアンのモデルに見え,当時の流行であったようにみえる。球の放熱による安定性と保守性を重視し,逆に回路上の安定性はゲインを抑えて危険回避しているといったところか。
Chassis back face, from left, Ant wire, Remote terminal(R, R0) and Pic-up terminal(PU,E)/シャーシ背面の端子類,左よりアンテナ線(黒), リモート端子,ピックアップ端子。
初期のミニアチュア管ラジオに狙いを定めて購入したものの1つ。真空管の構成が6BE6, 6BD6, 6AV6, 6AR5, 5M-K9という標準的な,何の変哲もないただのプラスティックラジオだが,実は記念すべきラジオ。東芝が作ったオーソドックスなデザイン第一号のプラスティックラジオである。MAというシャーシはRadio_Page_5BのG(167)で既に紹介済みの5MA-21というモデルで,オート・トランス型ミニアチュア管ラジオある。まだ,カナリヤという文字は無かった。本機はシャーシがMBとなり,「カナリヤA」と銘々された。カナリヤの名前は設計の後から付いたようで,パネルには表示がなく裏板に紙が貼ってあるだけである。このラジオは小形ではあるが,実はトランスレスではなく,またMAのようなオートトランスでもない。全くのフルスペックの電源トランス付きのラジオなのである。したがって,相当重く,しかも初期の製品だけあってシャーシの造りは非常にしっかりしている。
当初,カナリアシリーズはうぐいすと同じ普及型に数えられたが,後に卓上型と分類されるようになった。1954年から1955年にはカナリヤAからFまでの6機種が発売された。シャーシ番号を見る限り,カナリヤAとDは同じ設計(MB)でトランス付きだが,残る4機種はフェライト・コア・アンテナとトランスレスが特徴で,シャーシはLA, LB, LCの3種であった。したがって,このような重い小形ラジオは同時代のクロック・ラジオ5YA-47, ピアノラジオ5BA-50, 兄弟分の5MB-56カナリアDに限られると思われる。
内部部品は保存状態が良く,清掃後,外見上痛んでいる様子もないので,鳴らしてみるとアンプ部は生きており,さらに6BE6のソケットの接触不良があったが,小さな音で受信できることは確認できた。しかし,シャーシ全体にはワックスのシミだしによる汚染があり,ソケット電極の錆落としやワックス落としと合わせてメンテナンスが必要と思われた。
当時はプラスティック・キャビネットの放熱を真剣に考えたようだ。バックパネルには無数の穴が開けられ,また天井に接するところには切り欠きが,そして真空管の真上にはバックパネルに付けられた金属板が熱遮蔽として使われている。
左より6BE6, 5M-K9, 6BD6, 6AV6, 6AR5。IFTの配置は6BD6を挟む形で良いが,整流管が意外なところにある。6AR5は日立製(4-11, 1964年)に交換されていたが,他はオリジナル。
6BE6 マツダ(左下点), (base数字なし), 丸頭, ゲッタ角型
6BD6 マツダ(点なし), (base12), 丸頭, ゲッタ馬蹄形
6AV6 マツダ(左下点), (base数字なし), 丸頭, ゲッタ角型
5M-K9 マツダ(点なし), (base数字なし), 平頭, ゲッタ角型
6AR5 日立(411), 白印字 上部JAPAN
VC; 30113, IFT; DF-1, DF-2
VR; 40164 CM50501, 500kohm
PT; 20101, OPT; 1201,
Chem Toshiba AD MRS0302, PV300, WV250V, 30A, 20B, 5C, CAN NEG.
SP; Toshiba 10kohm 5W
Front View of the Cassis/シャーシ正面。左側のスピーカは下側の2カ所で防振ゴム付きネジ止め,スピーカの裏側にも磁石ヨーク部に1カ所で防振ゴム付きネジ止めと丁寧である。中央に縦型電源トランス,スペースを稼いでいる。右側にバリコン。鉄フレームでがっちりと支えているが,バリコンも防振ゴムでマウントしている。バリコンの同調軸は円盤のダイレクト表示であるにもかかわらず糸掛けプーリーで減速し使いやすくしている。
オーソドックスなST管式の木製箱5球スーパーラジオ。しかし,真空管は東芝のトランスレス・ホームスーパー用の175mAシリーズトランスレスST管のうち,12V管だけを用いて整流管だけKX-12Fを用いた変則スーパーという珍しいラジオ。トランス式なのだ。何故,トランスレス管を使ったのか?真空管不足の時代のものなのだろう。6.3V管が品薄になった時期があったと聞いている。以前紹介したシャープの5A-30Sも不思議な構成だった。
Yahooオークションで高価で入手。鳴るという話しだったが,袋打ちACコードはゴムが硬化し,布をむくと粉々になる極めて危険な状態なので諦めた。
Sharp 5R-50, シンプルなデザイン。屋根が傾斜しているのが少し変わっている。バリコンは直接接続のダイヤル。糸かけがないので減速せずやや使いにくいかもしれない。
球に1級マークがあり,1940年代末なのだろう。ケミコンはマツダ・マークがある。アンテナ端子がなくコードが直接出ている点,プレーヤ用のPU端子が無い点も,当時のST管ラジオの中ではちょっと変わっている。
VCはデザインの関係で宙に浮いている。IFTもこの頃は検波側が非同調なので短い。スピーカーが意外と小さいのもまだ16cmスピーカーが高価だった頃。
1950年代中頃,ラジオのスイッチ式の同調機構が売り出された。スイッチ選局は古くは糸掛けバリコンの回転を機械的に止める方式のものが米国や欧州では戦前から高級な卓上ラジオに使用され,戦後も活躍したが,日本では流行らなかった。放送局も少なかったし。日本で実用になるのは1950年代末に自動車ラジオが一般化してからである。ここに紹介するのはCを切り替えるもの。かな。(updated '0312.13)
Yahooオークションで人気が今一なのを見て思わず入手。私には人気がある。年末に落札したのだが何と正月1日に配送され家人のひんしゅくをかった。(updated '0312.13)
1950年代に修理の手が入り,ケミコンが交換され,また真空管も一部交換されていますが,その後,乱暴な取扱いを受けてか,B-37が割れてベースのみ残り,裏板,ツマミがありません。内部にはバリコンに錆もありますが保存状態は比較的良好,まだ朽ち果ててはいません。
Tubes/ 真空管は2本有りません。12Y-V1は交換された模様。シールドキャップありません。
12Y-V1; CES Elevam ET-3, 411 (1954.11?)
12Y-R1; Toshiba Matsuda 4,ヒ,青
12Z-P1; lost
24Z-K2; Toshiba Matsuda 1, イ, 青
B37; only base
('03.1.28), not yet
東芝カナリヤの最後から2番目のモデルである。BCとSWの2 bands構成。Yahooオークションで見かけて入手。「カナリヤK」は,1956年の初代「カナリヤK」5LP-108と,まったく血縁関係の無い1965年のモデル5YC-763があるが,本機は後者である。Yahooでは良く見かけるが,特に欲しいとも思わぬ凡庸なデザインである。それでも真空管ラジオの最後期の姿を見たくて入手した。
この機種まではまじめに作っていた。いちおう糸かけダイヤルで同調は容易,シャーシも堅牢,スピーカも標準サイズ。東芝は「特に電源雑音の軽減を計り,意匠に新鮮味を加えた」と説明している。スピーカ・グリルにアルミ多孔板を用いたのは当時の流行で,STARやTRIOなどの通信機を髣髴させる。木目調の貼り紙が意匠をこらした1つか?キャビネットは薄いピンク。電源ノイズ対策は回路図を見ても分からなかった。
Back view/シャーシは他機種のものを流用したとかで,馬鹿穴が開いていることで有名。しかし,果たしてKanariya-Jのものだったろうか?シャーシ上のデザインは異なる。
Specification, Ser. SN 395274
Power Supply; 50-60 HZ, 100V, 25VA
Output; 1.5W max
Freq. Range; MW 530-1605 kHz, SW; 3.9-12 MHz
Parts
VC; KO 330284B, IFT; Toshiba 455kHz, 324829 x2, SP; 2W 8ohm, PD-1062A Toshiba 355170, Chassis; 270040, Cabinet; 375103 Toshiba
Tubes;
12BE6, 12BA6, 12AV6, 30A5, 35W4 (5D), all tubes were made in 1965.