(2004.1.25)-(2004.8.15)-(2004.12.24)+(2005.1.22)
D(196) Matsushita Electric Industry -National radio Model 4D-112/松下電器産業ナショナルラジオ4D-112 in 1948, ('04.7.24), , not yet (updated '04.7.25)
FG(197) Toshiba Matsuda All wave super ZS-1007 in 1949/東芝マツダ全波スーパーZS-1007, ('04.08.25)
H(198) Sanyo SF-98 in 1958 ('04.9.18)/三洋電機SF-98 ('04.10.24)
K(199) Matsushita-National Autoradio A510 in 1958/松下ナショナル オートラジオA510 ('04.10.30)
C(200) Nanaola type 96/796 RF 3 stages 6 tube radio receiver chassis in 1933-1935 /七欧無線電気商会ナナオラ96型/796型高周波3段6球受信機シャーシ ('04.11.29)
F(201) Nanaola type 97 Tombstone 7 tube superheterodyne receiver in 1935-1937 /七欧無線電気商会ナナオラ97型縦型スーパー7球スーパーヘトロダイン受信機 ('05.1.13)
F(202) Victor 5R-70 in 1939 ('05.2.8)/ビクター5球スーパーヘテロダイン受信機 ('05.3.2)
Return to Radio Gallery/真空管ラジオ展示室にもどる
S23.6製,ser.8526らしい。探していたラジオ。戦前に開発されたトランスレス用ST管を用いた戦後のコンパクトラジオ。放送局型,戦後の国民型とも違い,デザインはおもいきり米国風となっている。その意味で変わったラジオ。
裏のループアンテナが見えた。果たして内容は保存されているだろうか?その答え,真空管は交換されていたが,良く保存されていた。内容は12V管を用いたダイナミックスピーカの高1ラジオ。12Y-V1, 12Y-R1, 12Z-P1, KX-12Fなのだが,整流管にはKX-80HKに置き換えられている。ループアンテナだし,キャビネットは米国風,小型,ダイヤルもコンパクトな糸かけ式。
電源50-60HZ,100V,23VA, 受信周波数550-1500kc, 感度階級 微電界級,電気的出力700mW, 製造昭和23年6月,No.8526.
12Y-V1 Tm灰スート,
12Y-R1 TVC
12Z-P1 Tm放送刻印
KX-12F/KX-80HK Tm
東芝が東京芝浦電気と名乗った戦後直ぐの全波スーパーラジオ。戦後解放された短波を聴くために新作のGT管を使った。東芝は当時雑誌で「我が国で初めてのGT管スーパー」と紹介したが,日本無線JRCが先に作っているので,2番煎じである。米国互換GT管を製造する前の日本独自のGT管が使われている意味で大変珍しい。
1947年にはオールウェーブとして日本無線JRCR103(3bans,RF1,IF2,GT7球), 日本通信工業日通1号(2bans,RF1,IF1,ST7球),松下電器産業8A-1(4 bands,RF1,IF1,ST8球),原口無線キャラバン643B(3bans,RF1,IF1,ST7球), 日立製作所TTA-71(3bans,RF1,IF1,ST7球),
東洋通信機RS-53, RS-61(2bans,IF1,ST6球),日本電気NEC RA-110A, RA-111(2bans,IF1,ST6球),コロンビアRA-61(2bans,IF1,ST6球)などがあった。こんな中で東芝の2bans5球スーパーは日本電気A-110Aに似たものであるがGT管を使用している点で特異な存在だったかもしれない。
12G-C5, 12G-R6, 12G-DH3, 30G-P9, 30G-K5。球は全て米国型GT管に交換されていた。
12SA7-GT(TEN IK2)-JAN-CKR-12SH7/VT-288-12C8(Philips)-35L6GT(Matsuda)-35Z5GT(TEN 5A5K)
三洋電機が1957年頃作った珍しい高周波増幅付きトランスレスラジオ。通常12BD6と12AV6が使われるIFと検波増幅段に東芝の新作複合管20R-DHV1を用いた。したがって,トランスレスなのに高周波増幅とマジックアイまで付いた贅沢なやつである。
12BD6-12BE6-20R-DHV1-30A5-19A3+12Z-E8。
欠点は保守球の入手難。
12BD6(TM 1957), 12BE6(TM 1958), 20R-DHV1(TM 1958), 30A5(NEC 452=1957), 19A3 (TM 1958)
松下電器産業ナショナルが初めて販売したと思われるオートラジオA-520。12V用。当時,6V, 12V, 24Vの3種を販売した。チューナー,電源パワーアンプ,スピーカーをばらばらにして小型化を図った欧州型。真空管は米国ミニアチュア管,チューナーは12Vシリーズの12BA6, 12BE6, 12BD6, 12AV6, パワーアンプは6V管の6AR5であった。
Auto radio National type A520 No.3551, Battery 12V +アース。
Vib Taiko Vibrator, Type 12SD, 115-, Date 58-11, Seirial 5A, 12 V only, Taiko Densi Seisakusho, Tokyo Japan.
Chem; 81018,
6AR5 Nat (NK) ..1958.11
ナナオラ96型は1932年(昭和7年)に発売された高周波3段のペントード6球の超遠距離用高級セットで,1933年(昭和8年)7月のカタログによれば,北米ウオールナットベニア使用近代型ミゼットキャビネットにダイナミック組み込み。SG球高周波3段ワンコントロール,6球式、235-235-224-224-247-280、ダイナミック組み込み、卸し98円。高さ50cmのカセドラル型キャビネットで,シャーシは796型といいます。卸し49.80円。スピーカは482P型(ペントード用)ダイナミックコーン(卸し10.50円)。1935年7月には,シャーシのみの写真がカタログに掲載されていましたが,販売用の内容や価格はありません。95型795型は高周波2段でこれは1939年まで掲載されていたのに対し,高周波3段は1935年頃で消えたようです。
外観はツマミを除き田口達也氏のヴィンテージラヂオ物語りに出てくるナナオラ94型と良く似ています。シャーシは若干部品配置が異なります。94型はどうも96型の後継機のようですが,手持ちのカタログにはありません。やはり1935年(昭和10年)頃の一時期だけに販売されたものかもしれません。不思議なことに田口氏の94型の回路図は94型のものが流用されているようで,真空管はUY-235, UY-224と紹介されているものの,写真に見える球はUZ-2A5, KX-80に置き換えられているし,高周波球は見えませんが,年代やシールドケースの形状からするとUY-35B, UY-24BもしくはUZ-58, UZ-57だったかもしれません。
私はYahooオークションでシャーシ796型だけ入手しました。遠距離用高級受信機だけあって、内容はダイナミック用大形電源トランスとSG球高周波3段用の4連バリコンが残っていますが,トリオらしきスーパーコイルと小型角型IFT2個が導入され、58-56-58-57-2A5-80の6球スーパーになっていました。真空管シールドケースも何故か鉄製ビクターに良く使われたものに変わっていました。あれって,UZ-58などの上部のシールドに良いように狭めてあるのかもしれませんが。
一番変わったのはこのシャーシ裏の配線状況でしょう。部品集合用ベークライト製端子板が消え失せて,ナナオラの面影を留めていません。
このラジオは戦前のスーパーヘテロダイン受信機です。遠距離用高級受信機で、内容はダイナミックスピーカ付きの3連バリコンの高周波1段スーパーヘテロダイン受信機。
見つけたのはYahooオークションであるが、スピーカ無しのジャンクで、キャビネットは下部が壊れ,ダイヤル窓がラスは無く,ツマミも無く,シャーシにはダイヤル駆動機構と目盛り板は無かった。スピーカはケーブルが切断されていたが,残りのケーブルとコネクタは残っており,シャーシ内部は保存されていた。
ナナオラ97型は1935年(昭和10年)頃のモデルで超遠距離用高級セット、7球式、58-58-56-58-2A6-2A5-280、ダイナミック組み込み。「スーパーヘトロダイン」「新型球を使用し最新2A6をA-V-C自動音量調整として使用もので従来市販のスーパーにはかつて見なかっった驚異的高能率のものであります。」として,カセドラルの箱で売り出したもので,1935年7月には,482P型ダイナミックコーン(卸し9.35円,定価13.50円)組み込み,マツダ真空管揃え付き,改正前卸し102円でした。同じ頃,2A7, 2B7, 2A5, 280使用の簡易型4球スーパーナナオラ34型も販売されましたが,こちらはプロジェクション窓ですが,キャビネットはすでに縦型で卸し72円でした。
その後,ナナオラ97型はダイヤル窓をエアプレーン型から四角に改良されたようですが,1937年(昭和12年)9月(昭和11年8月の価格表)には卸し105.60円,定価155円でした。97型のシャーシ(797型)は卸し66円,定価94.50円,マツダ球付き,ダイナミック付きで卸し90.35円,定価130円。6V管6A7を用いたナナオラ35A型という新型の5球スーパー(Raytheon 6A7-6D6-75-42-80)は卸し85円,定価125円で販売されていました。
1939年1月には高周波付きの本格スーパーは97型の形式がそのまま継続され,キャビネットが縦型で四角ダイヤル窓に改良された97A型受信機は卸し137円,定価195円と値上がりしながら販売していました。97型のシャーシ(797型)は卸し87.50円,定価117.50円,マツダ球付き,ダイナミック付きで卸し119円,定価160円。またナナオラ35A型が卸し115円,定価165円で販売されていました。
日本ビクター蓄音器株式会社製。同社は外資系(米国RCA)の販売会社として1927年に設立され,主にレコードや蓄音器の販売をしたようで,1931年になると国産電気蓄音機JRE-31を販売しました。1935年頃から我が国でも廉価なラジオのブームが訪れ,各社が参入する中,同社は1937-38年頃から電気蓄音器兼用の高級ラジオに狙いを定めて販売を始めました。製品は主にスーパーヘテロダインと日本独自の5球高周波2段受信機でしたが,兎に角,ビクター製品は高価にもかかわらず良く売れたようです。1939年頃に5球高周波2段だけでも5種のラインアップがありどれもこれも100円以上しました。スーパーヘテロダイン受信機は米国RCAの旧製品のライセンス生産的な路線で,日本風に改良?がなされています。真空管は東京電気マツダを使用し,他の部品も国産のようですが,設計は米国製品に忠実であったように見受けられます。ただ,その後大平洋戦争が始まる頃には,我が国のラジオはぜいたく品が抑えられ,貧乏な国策型,放送局型一辺倒になるので,日本ビクターが出したラジオは別項で紹介したトランスレス高周波2段受信機を最後に戦前の活躍は終止符を打ったようです。
本5R-70は戦前のスーパーヘテロダイン受信機で,遠距離用高級受信機,内容はダイナミックスピーカ付きの3連バリコンの高周波1段付きなのに5球スーパーヘテロダイン受信機。見つけたのはYahooオークションであるが、ジャンクで、キャビネットは下部が壊れ,ツマミも1個無く。シャーシ内部は保存されていた。
その秘密は中間周波数増幅なしのプレート検波式。これは1928年のRCA/GEのモデル28をそのまま踏襲したスタイル。(JA8BI/1, 日本古典ラヂオ同好会No.22, 1993.5,モービルハム参照)。真空管は58, 2A7, 57, 2A5, 80。IF173kc。シャーシは球の配置は全くといって良い程同じ。深いシャーシの理由は元々短波付き3バンド受信機でバリコン内臓,スピーカもシャーシ上中央にあった。これをモノバンドとし,スピーカを外付けにして,バリコンをシャーシ上に移動,ダイヤル機構がシャーシ上にきた。何故,この時代にこのようなラジオを販売したのかは定かで無いが,我が国独特の事情によるものとしか言い様がない。米国ではオールバンド,HiFiセット,機械的なプリセット一発選局式のラジオが最先端で,IF455kc, メタル管の新型ラジオだったのであるが,本機のように旧式の設計を忠実に作っているところなど,技術者不在,といえなくもない。