ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

日本の真空管の開発の歴史

戦後日本のラジオ・TV球-JIS名/CES規格の球-

Odd number K Series : High Vacuum Half Wave Rectifier/高真空半波整流管

(1999.6.16)+(1999.8.21) +(08.03.22)
HomePageVT/CESk.html

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN


目次

高真空整流管シリーズの概要

Half Wave Rectifier/半波整流管

Kf:半波整流管[JIS/CES以前および非JIS名]

KX-80B (Kf), KX-12B (Kf), KX-12F (Kf),

Kh:半波整流管[JIS/CES以前および非JIS名]

KX-12K (Kh) /12K-GT (Kh), KX-12FK (Kh), KX-80BK (Kh), KX-80HK (Kh)

K(1):半波整流管[JIS/CES]

6X-K1(Kf), 12X-K1(Kh), (旧)5X-K3(=KX-12F), (新)5G-K3, 30G-K5, 30G-K7, (旧)30G-K9, (新)5M-K9, 25M-K15, (旧)100G-K31

TV Damper/TVダンパー管

K(1) Kh: ダンパー整流管

6/12G-K17, 6/12/17/25R-K19(6/12/17/25BR3), 12R-K21,12C-K43, 30R-K47 (30AE3同等),

TV High Voltage Rectifier/TV高圧整流管

K(1) :高圧整流管

1R-K23(1S2), 1D-K25, 1D-K27,

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半波整流管概略

 JIS/CES名の登録は,商工省が制定した臨時日本標準規格第53号により社団法人電気通信協会が小型真空管の型名付与規格第7条による機関の指定を受けて,1942年に初の型名付与を行ったことに始る。JIS/CES登録の整流管は奇数が半波整流,偶数が両波整流管である。半波にはB電源用,TVダンパー用,TV高圧電源用が含まれる。半波は通番で1から47まで(24種分)が確認されているが,欠番が5種(K11,K13,K33,K35,K45)あり,19種である。内訳は,B電源整流用が6種,TVダンパー用が5種,TV高圧用が8種である。一方,両波は通番で2から24ま(12種分)が確認されているが,欠番が1種(K14)あり,11種である。

 初期の頃には同じ通番の球でも,ヒータ電圧が違うだけでなく最大出力電流が違う例もある(6X-K1,12X-K1)。また,同じ通番でGT管とMT管が作られた例もある(30G-K9,5M-K9),(100G-K31,1R-K31)。したがって,通番の他に外形,電気的規格の違いを考慮すると,実質的には半波+3の22品種,両波+1の12品種の合計34種である。半波の内訳は,B電源整流用9品種(ST3,GT4,MT7pin2),3倍圧整流(GT1)。TVダンパー用が5種(GT1,MT9pin3,コンパクトロン1),TV高圧用が8種(MT9pin2,7pin1,SubMT丸型4)である。また両波にはカソード・フィラメント共通の通常のものが11種であるが,2倍圧整流のカソード分離型が1種含まれている。

CES登録名でない戦後の整流管で有名なものもある(80BKなど)。そこで,本章にはこれらも解説した。半波傍熱(KX-12K,12K-GT,KX-12FK,KX-80BK,KX-80HK)。

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Kf:直熱型半波整流管 [JIS/CES以前および非JIS名]

KX-80B (Kf)

東芝マツダ

(原型・構造・特性)

5.0V,1.25A,4B,400V,70mA

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KX-12B (Kf)

東芝マツダ

(原型・構造・特性)

5.0V,0.5A,4B,180V,30mA

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KX-12F (Kf)

東芝マツダ

(原型・構造・特性)

5.0V,0.5A,4B,350V,40mA

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Kh: 傍熱型半波整流管[JIS/CES以前および非JIS名]

KX-12K (Kh) /12K-GT (Kh)

東芝マツダ/東洋

(原型・構造・特性)

5.0V,

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KX-12FK (Kh)

NEC,松下

(原型・構造・特性)

5.0V,0.5A,350V,40mA

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KX-80BK (Kh)

NEC1948年 -->1950年前半('08.3記),松下

(原型・構造・特性)

5.0V,0.7A,-,1100V/460mA, 350V/70mA,5kΩ,8μF

(松下54)5.0V,0.7A,-,1000V/420mA, 350V/74mA

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KX-80HK (Kh)

東芝マツダ

(原型・構造・特性)

5.0V,0.6A,350V,65mA,200Ω,8μF,390V/32.5mA-,335V/65mA,1000V/400mA

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K(1):半波整流管[JIS/CES]


6X-K1(Kf)

ラジオ用直熱型半波整流管。品川電機。1939年頃?1942年登録。

(原型・構造・特性)

6.0V,0.18A,ST38-105mm,4B,125Vrms/15mA,ST12/105mm

名称は1942年に再登録。この品川電機の6X-K1は,マツダの12X-K1とともに初の日本名称登録球で型名K1を同時に付与された。最後の番号は同種の真空管では特性の区別を表わすとあるが,6X-K1は直熱型で15mA,12Z-K1は傍熱型30mAであるから特性は異なる。ヒータ電圧が異なるから良しとしたのだろうか?その後,このような例はない。

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12X-K1(Kh)

トランスレス・ラジオ用傍熱型半波整流管。東京芝浦電気マツダ支社1939年。1942年登録。

(原型・構造・特性)

12.0V,0.15A,ST38-105mm,4B/(大盛4G),125Vrms/30mA,30s

ユニットは同時開発のトランスレス用倍電圧整流管24Z-K2の片ユニットに同じ。名称は1942年に再登録。12Z-P1,12Z-DH1,12W-C1,12Y-V1,12Y-R1,12Y-L1などと同時発表。

(その後)開発後,NHKの放送局型ラジオには採用されず多量に製造されることはなかった。また戦後は需要が無く製造は全くされなかった。

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(旧)5X-K3(=KX-12F)

ラジオ用直熱用半波整流管。東京電気マツダ。1942年?

(原型・構造・特性)

5.0V,0.5A,ST38-3,4B,300V,40mA,850V/,C:300V,4μF,

KX-12Fの別名。名称登録が1942年頃。登録後もKX-12Fで生産された。戦後,再びKX-12Fへ。ちなみに歴史は次の通り。国産整流管の主流。

KX-112A(1929年),KX-112B(1930年),KX-12B(1934年),KX-12F(1936-1937年)

ガラス管は2種類(ST38-3とST38-2)あり,足も4PINと3PINモデルがある。戦後はガラス管が小さくなり,足も3本になった。

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(新)5G-K3

ラジオ用傍熱型半波整流管。東芝マツダ1948年頃?

(原型・構造・特性)

(T58)5.0V,0.75A,GT-,-,1000V/420mA,70mA,350Vac

(松54)(KX-80BKと同等)5.0V,0.7A,GT29-(86/70mm),10-12(NC,H,NC,NC,P,NC,NC,H-K),

1000V/420mA,74mA,350Vac,Cin;350Vac,5kΩ,8μF,70mA

(松60)(KX-80BKと同等)5.0V,0.7A,ST38-,10-12,1100V/460mA,74mA,350Vac

Cin;350Vac,5kΩ,8μF,70mA

原型はKX-80HKあるいはKX-80BK(資料が矛盾しており特定不能)。東芝と松下ではパラメータが異なり(0.75A,0.7A),さらに松下はKX-80BKと同等としている(松55,松58,松60)が,KX-80BKに関しては(RAD)と松(CES)でIk70mAと74mAと異なっている。NECが1948年にKX-80BKを発表しているが(このパラメータ調べる必要あり)。

 おそらく,各社がまちまちのパラメータで製作したものと思われる。

(その後)東芝マツダ,松下,岡谷ロダンなど各社が作った。東芝は1951年に現役で掲載?1955年には不掲載,1958年には旧品種として掲載。松下は1955年,1958年ならびに1960年に現役で掲載。

(参考KX-80HK)

5.0V,0.6A,ST38-,10-12,1000V/400mA,65mA,350Vac,

Cin;350Vac,200Ω,8μF,32.5mA/390Vdc,65mA/335Vdc

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30G-K5

トランスレス・ラジオ用傍熱型半波整流管。東芝マツダ1948年

(原型・構造・特性)

30V,0.175A,5AA,200V/70mA,570V/420mA

12G-C5,12G-R6,12G-DH3,30G-P9,30G-K5同時発表。

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30G-K7

トランスレス・ラジオ用傍熱型半波整流管。川西(TEN)1948年

(原型・構造・特性)

30V,0.175A,6AD,250V/100mA,700V

12G-C5,12G-V4,12G-DH6,30G-B1,30G-K7同時発表。

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(旧)30G-K9

トランスレス・ラジオ用傍熱型半波整流管。東芝マツダ1948年?

(原型・構造・特性)

30V,0.175A(0.17A),5AA,200V/80mA

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(新)5M-K9

ラジオ用傍熱型半波整流管。東芝マツダ1950〜51年

(原型・構造・特性)

5.0V,0.6A,mT19-3?(67mm),(NC,NC,H-K,H,P,NC,NC)

(T55)Cin;350Vac,200Ω,8μF,60mA,(395Vdc/30mA,340Vdc/60mA),1000V/360mA,Ik60mA

(RAD)Cin;280Vac,200Ω,40μF,-,30mA/280V,60mA/240V

原型は,東芝マツダの傍熱型半波整流管KX-80HKで,外囲器をST管から7ピンMT管にしたもの。特性はKX-80HKとほぼ同じで,また国内他社のKX-80BKとも類似しているが,最大定格だけはMT化によりやや低くなった。

 日本のラジオは1947年にGHQの命令によりスーパー形式が義務付けられ,1948年頃から5球スーパが主流になった。米国のスーパ形式のラジオは,戦前のST管の時代,戦争中のメタル,GT管,ロクタル管のオクタル管時代を経て,戦後はMT管の時代に入っていた時期である。日本のラジオはST管が主流で,1948年にスーパ専用管として6W-C5,6Z-DH3,6Z-DH3Aが開発され,標準形式として普及用6W-C5,6D6,6Z-DH3A,6Z-P1,KX-12F,大出力高級向けUZ-42,KX-80BK(NEC,松下,他)またはKX-80HK(マツダ,TEN)がようやく確立された。2つの整流管KX-80BKとKX-80HKは同時期に開発された傍熱型片波整流管で,従来のKX-12Fとの互換性(ヒータ5V,片側巻線用)とケミコンの保護になる傍熱型だったので爆発的に普及した。電流容量で言えばKY-84が知られており,2つのプレートを結めば同様に片側巻線用に使用できたはずであるが,6.3V巻線に余分な負担を強いる,ソケットがUXからUYに交換しなければならない,球の価格が高い,などの理由で結局誰も使わなかったのである。

 国内では,スーパ用真空管のMT管化は1950年〜1951年に米国のMT管6BE6,6BD6,6AV6,6AR5などが国産化され,ようやく始った。ところが,米国では,整流用MT管はトランス・レス用の半波整流管では,35W4,45Z3,117Z3が作られたに過ぎず,トランス付きセットの整流用MT管では,僅かに両波整流用6X5-GTをMT化した6X4だけが知られいるだけだった。米国においても,大きな出力の「まともな」ラジオは高周波部分はMT化してもオーディオと整流の部分は旧来のGT管やロクタル管を用いていたのである。一方,購買力と電力供給事情が悪い日本では,小型の半波整流管が必要とされていたのである。そこで,ラジオ用MT管の国産化と同時にKX-80BKあるいはKX-80HK相当の整流管5M-K9が開発されたのである。これにより国内標準のMT管式5球スーパが誕生した。ただし,5M-K9はすぐには普及しなかった。初期の標準型は予想に反して6X4が使われ,6BE6,6BD6,6AT6,6AR5,6X4というラインだったのである。

(その後)この球は国内事情にマッチしたため,ラジオだけでなく小型装置の電源全てに用いられ一世を風靡した。このため,東芝の他国内各社(NEC(新日電),日立,松下,TENなど)で長年に渡って多量に生産された。

(参考KX-80HK)

5.0V,0.6A,350V,65mA,200Ω,8μF,390V/32.5mA-,335V/65mA,1000V/400mA

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25M-K15

トランスレス・ラジオ用半波整流管。東芝マツダ1954年。

(原型・構造・特性)

25.0V,0.15A,mT18-3,-;(NC,NC,H,H,P,NC,K)

330Vp,420mAp,70mA,Ehk330Vp

Cin;117Vac,15Ω,40μ,100mA,(50mA at 140Vdc, 100mA at 120Vdc)

Cin;235Vac,100Ω,40μ,100mA,(50mA at 280Vdc, 100mA at 235Vdc)

原型は米国35W4(35Z5-GTのMT版)で,国内の商用電源100VAC向けに省ヒータ電力化したもの。35W4のパイロット・ランプ点灯用機能を取り去り,ヒータ電力を約30%削減。特性は同じだが最大出力電流も30%削減(100mAから70mA)された。米国のMT管5級スーパ標準型は12BE6,12BA6,12AV6,50C5,35W4とすると合計122.8Vであり,高周波1段12BA6を追加する場合には出力管を35C5に変更し合計120.4Vにすることができる。しかし,国内では5級スーパ標準型は出力管に35C5を用いても合計107.8Vであり,ヒータ電圧はやや不足していたが無理に用いられていた。このため,ヒータ電圧10Vを節約し35C5系の場合は97.8Vとなる整流管25M-K15が開発されたのである。

(その後)国内各社(NEC(新日電),日立,エレバムなど)で生産された。しかし,25M-K15はヒータ電圧だけを解決するもので,国内標準型MT管5級スーパにはなお,パイロット・ランプが点灯できない,100V整流の低B電圧では十分なスピーカ出力が得られないという欠点が残されていた。このため,米国の35C5に代る出力管として,ヒータ電圧が5V低く(合計102.8V),さらに低B電圧で能率の良い欧州系HL94/30A5が1956年に東芝などによって国産化され,国内MT管5級スーパ標準型が完成した。このため,25M-K15の需要はほとんど失われ,僅かに残された用途は,パイロット・ランプ無しの高周波1段付きレス・スーパであった(30A5と25M-K15を組み合わせて合計105.4V)。しかし,翌年の1957年にはさらに省ヒータ電力・パイロット・ランプ付き整流管(米国?)19A3(19.0V,0.15A)が東芝により国産化され,高周波1段でも30A5使用時に合計99.4Vが実現され,25M-K15の活路は完全に断たれた。販売は1960年代前半に終了した。

(参考35W4)35V,0.15A/mT18-3,(NC,NC,H,H,P,Ht,K)(PL点灯用タップ付き)

330Vp,600mAp,100mA,PL付き60mA(抵抗無し)-90mA(抵抗付き),Ihs3.5A,Ehk330Vp

(PL無し)Cin;117Vac,15Ω,40μ,100mA,(50mA at 140Vdc, 100mA at 120Vdc)

Cin;235Vac,100Ω,40μ,100mA,(50mA at 280Vdc, 100mA at 235Vdc)

(PL付き)Cin;117Vac,15Ω,100μ,60mA(PL並列抵抗無し),70mA(300Ω),80mA(200Ω),90mA(100Ω)

パイロット・ランプは6.3V,150mA豆球

(参考19A3)19V,0.15A/(PL付き17.3V)mT18-3,(NC,NC,H,H,P,Ht,K)(PL点灯用タップ付き)

350Vp,450mAp,-,PL付き60mA(抵抗無し)-70mA(抵抗付き),-,Ehk350Vp

(PL無し)Cin;127Vac,0Ω,100μ,70mA,(35mA at 150Vdc, 70mA at 140Vdc)

(PL付き)Cin;100Vac,25Ω,100μ,60mA(PL並列抵抗無し),70mA(200Ω)

パイロット・ランプは3.2V,160mA豆球(JIS C7509)

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(旧)100G-K31

トランスレス・TV用半波3倍圧整流管。?1955年。

(原型・構造・特性)

100Vしかわかっていない?(THiguchi)

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K(1) Kh: ダンパー整流管

6G-K17/12G-K17

TV用ダンパ管。東芝マツダ1956年(12G-K17)/1956年(6G-K17)

(原型・構造・特性)

6.3V,1.2A/12.6V,0.6A,GT29-2C,Epk4500Vp,6W,175mA,(整流管のとき,epk1230V,175mA)

原型は米国6AX4-GTで,パービアンスの向上とプレート損失の増大を図ったもの。東芝は1956年に国内電源事情によりマッチしたトランスレスTV用水平偏向出力管として欧州PL36/25E5の改造管12G-B3を開発し,それとほぼ同時に専用ダンパ管12G-K17を開発した。東芝はトランス付き小型TV用に米国の水平偏向管6BQ6-GTとダンパ管6W4-GTを1953年に国産化しており,さらにトランス・レス管として1955年12BQ6GTB/12CU6と12AX4GTを国産化していた。ダンパ管6W4-GTはパービアンスが高い半面,耐圧が低いという欠点があり,一方6AX4-GTはその逆の欠点があった。より高い性能のダンパ管としては米国では6AU4-GTAが開発されており,パービアンスは6W4-GTより僅かに高く6AX4-GT比べると2倍高い,耐圧やプレート損失も6AX4-GTを越えているが,ヒータ電力が50%大きいため国内トランスレスTVには採用しずらいという欠点があった。そこで,東芝は1956年に6AU4-GTAの国産化を進めるとともに6AX4-GTの改造を進め,ヒータ電力は12AX4-GTと同じだが,特性はパービアンスが2倍でプレート損失が20%以上UPしてほとんど6AU4-GTAに類似した12G-K17を完成させた。したがって,12G-K17は6AX4-GT系の上位互換管で差し替えが可能であるが,特性的にはむしろ6AU4-GTAの省電力管と見た方が良い。6AU4-GTA系との違いは,ヒータ電力が33%小さいため最大プレート電流が190mAに対して175mAと制限されている点だけである。なお,6.3V管の6G-K17はやや遅れて1958年に6DQ5Aの国産化やその外形を変更した日本球6G-B9の開発と同時に開発された。

(参考6AX4GT)6.3V,1.2A,GT29-2C,Epk4400Vp,4.8W,125mA

(参考6AU4GTA)6.3V,1.8A,GT29-2C,Epk4500Vp,6.0W,190mA

(その後)NEC(新日電)は1956年に6AX4GTのパービアンスを6W4-GT程度に高めた6AX4GT(H)なる球を発表し,また米国ではやや遅れてRCA/GE系では6AX4GTの改良版6AX4-GTA,Sylvaniaでは6DA4/12D4なる球も発表されたが,12G-K17の性能がやや勝っていたため,国内では翌1957年に日立,NECも生産に踏み切り,12G-K17で一本化された。

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6R-K19/12R-K19/17R-K19/25R-K19

(6BR3/12BR3/17BR3/25BR3)

TV用ダンパ管。東芝マツダ1960年(6/12R-K19),1961年(25R-K19)

(原型・構造・特性)

12.6V,0.6A,mT21-9,Epk5500Vp,6.5W,220mA

原型は12G-K17ならびに他のMTダンパ管。水平偏向出力管12G-B3をグレードアップした12G-B7の専用ダンパ管として同時に開発。MT型のダンパ管としては,6AX4-GTの性能をやや上回る欧州系のEY81/6R3(6.3V,0.81A),PY81/17Z3(17V,0.3A),HY81/34R3(34V,0.15A)があり,松下が1959年以前から国産化していた。一方,米国ではGT管の12D4を越えて12G-K17に近い性能を持つ6/12AF3が発表され,1960年に日立により国産化された。さらに,欧州では最大損失以外は36AU4-GTAの性能を上回るPY88/30AE3をも開発し,国内でもすでに松下が国産化していたのである。特に,PY88/30AE3の性能はめざましいものがあったが,従来の12G-K17と比較するとヒータ電力がやや大きく,600mA化とすると15Vとなり国内ではヒータ電圧が苦しくなる欠点があった。しかし,この頃は,小型ダンパー管の技術は日本に秀でたものがあり,日本独自の開発を進めて,ヒータ電力を従来の12.6V,0.6Aの枠内で,PY88と同程度の出力電流値を持ち,プレート損失を6.5Wに上げた球を開発した。この結果,12G-K17の性能を遥かに越えた球が出来上がったのである。6/12AF3とは上位互換で差し替えが可能である。

(その後)性能的に優れていたため,国内に爆発的に普及した。開発年に9月NEC(新日電),日立など各社が同時に生産開始している。また,性能が優秀なため後に米国EIAに登録され,米国では6/12/17/25BR3としてTVセットとともに輸出された。国内ではNECなどは12BR3/12R-K19と表示した。

(参考PY81/17Z3)17V,0.3A,mT21-?,Epk4500Vp,-W,150mA

(参考PY88/30AE3)30V,0.3A,mT21-?,Epk6000Vp,5W,220mA

(参考12AF3)12.6,0.6A,mT21-?,Epk4400Vp,6.0W,185mA

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12R-K21

小型TV用ダンパ管。NEC(新日電)1962年(4)

(原型・構造・特性)

12.6V,0.38A Epk3500Vp,165mA

8インチTV用。ヒータは同時開発の12R-B12と直列して電池動作が可能。原型は,欧州系のEY81/6R3(6.3V,0.81A),PY81/17Z3(17V,0.3A),HY81/34R3(34V,0.15A)で,耐圧を下げる代りに,電流容量を増加させたものと考えられる。

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12C-K43

TV用ダンパ管。三菱1965年。

(原型・構造・特性)

12.6V,0.6A 5500V,250mA

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30R-K47 (30AE3同等)

TV用ダンパ管。NEC?松下?。1966〜1967年?。

(原型・構造・特性)

30V,0.3A 5500V,200mA

原型のPY88/30AE3は松下例えば日立が1962年に国産化している。

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K(1) :TV 高圧整流管

1R-K23(1S2)

TV高圧低電流用半波傍熱型整流管。NEC(新日電)1963年(4)

(原型・構造・特性)

1.4V,0.55A 27kV,0.55mA,50mApeak

原型は欧州系1S2(DY86)。名称には1R-K23の後にカッコ付きで1S2が表示されている。ブラウン管の大型化に伴い高圧整流用管1S2の構造に変更を加え耐圧Epkを高くしたもので,パービアンスはやや低くなっている。改造点は電極下部にある金属製のボトム・シールドを廃止してプレートの径を大きくし,従来のシールドに代えて外囲器のガラス内壁にクロム塗布し電極に結んだものである。

(参考1S2/DY86)1S2/DY86は9pinMT型の欧州系半波傍熱型整流管。米国1X2Bよりも耐逆電圧が高く大型ブラウン管の高圧電源用に好適。

1.4V,0.55A,MT21-(67.5mm/74.0mm),(HKS,H,IC,HKS,H,HKS,IC,H,HKS,top=P)

27kV,0.88mA,44mApeak

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1D-K25

小型トランジスタTV用高圧整流用。開発者不明。1963年。

(原型・構造・特性)

0.6V,0.2A 6.5kV,0.14mA,2.8mA

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1D-K27

小型トランジスタTV用高圧整流用。開発者不明。1963年。

(原型・構造・特性)

0.7V,0.2A 10kV,0.2mA,4mA

 

1D-K29

小型トランジスタTV用高圧整流管。東芝1963年

(原型・構造・特性)

0.9V,0.2A 9kV,0.2mA,4mA

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1R-K31 (>1X2B)

白黒TV用高圧整流用。NEC(新日電)1965年(2)

(原型・構造・特性)

1.25V,0.5A,mT21-7,22kV,1.0mA,50mAp

原型は米国1X2B。ヒータ電流を0.2Aから0.5Aに増加させ,出力電流を2倍の1mA取れるようにしたもの。

(1X2B)1.25V,0.2A,22kV,0.5mA,45mAp,

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1D-K37

小型トランジスタTV用高圧整流用。開発者不明。1965〜1966年。

(原型・構造・特性)

1.25V,0.2A 11kV,0.27mA,5.5mA

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1M-K39

小型トランジスタTV用高圧整流用。NEC(新日電)1966年(6)

(原型・構造・特性)

1.25V,0.2A 18kV,0.5mA,45mA

原型は1X2Bで,これを小型化。9インチ以下のトランジスタTV用に開発。従来は,サブミニアチュア管5642や1D-K25が耐圧の関係からシリーズで使われていた。5642は松下(1961年)の例では,8インチTV用に2本シリーズにしヒータ巻線も別系統にする必要があり,面倒だった。これを1本ですますことができ,大きさは従来の1X2Bよりも小型にできている。

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1R-K41(1BK2/1R-K41)

白黒TV用高圧整流用。NEC(新日電)1967〜68年

(原型・構造・特性)

1R-K31と互換性がある。その他不明。

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