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戦前の日本標準真空管の名称には分類Bは無く,ビーム出力管には4極5極出力管の分類Pが当てられた。このため米国系ビーム管6L6の日本版UZ-6L6Aの登録名は6Z-P4であった。また,戦争末期の1943年に米国6V6-GT相当のGT管PH-1が作られたが,民生用ラジオ管ではなかったため独自の名称を名乗った。分類Bが誕生したのは戦後登録が再開した1946〜1947年頃と思われる。これまでにJIS/CES登録のビーム管は通番で28まで確認されているが,欠番がなお5つある(B4,B5,B17,B18,B22)。
CES登録のビーム管は外形構造(外囲器,ベース)別に見ると,GT管10品種,MT9ピン4品種,MT7ピン1品種,マグノーバルが5品種,コンパクトロン4品種である。初期の頃はGT管が圧倒的に多く,後にマグノーバル,コンパクトロンへと移行した。マグノーバルはJISの命名法が確立してから出現したため,初期の頃は「その他のB」を用いて命名されてたが,1960年代に入り新しい記号(H)が定義され,以後同じマグノーバルでも6B-B14と6H-B21などと2種類の口金ベース名称が混在することになった。コンパクトロンは新記号(C)誕生後に登録された。ST管ならびにノーバル管は無い。
なお,JIS/CES名に似た海外製品が見受けられ,欠番と重なり合っているものもある。例えば230GB4は米国系ブラウン管名。また6/13/18/27GB5は,欧州系の水平偏向出力管で,米国EIA名に登録されたのは1960年代中ごろである。(EL500(6GB5),XL500(13GB5),LL500(18GB5),PL500(27GB5))。JIS/CES名は正式にはハイフンが真ん中に付くが,製品にプリントする場合にはしばしば省略されているので注意が必要。
通信機(軍)用GT型ビーム出力管。東芝マツダ。1942〜1943年。Hシリーズ。
(原型・構造・特性)
12.0V,0.25A,GT29-(66mm/80mm,ベース8GB),(-,H,P,G2,G1,-,H,K-G3)
250V,250V,-12.5V,45mA,4.5mA,RL5k,4.3W
第2次大戦中,東芝が陸軍の電波兵器用に開発したGT管Hシリーズの1つ。原型は米国6V6-GT(1937年)で,自動車用蓄電池により点火できるようにヒータ電圧を12.0Vにしたもの。米国12V6-GT(12.6V)とは,ヒータ規格がやや異なる以外電気的特性は同じであるが,外形が6V6-GT/12V6-GTに比べて10mm短い。ちなみにメタル管6V6は東芝が1937年にUS-6V6として国産化している。
Hシリーズは日本初のGT管で,同時に万能5極管RH-2,RH-4,RH-8,整流管KH-2,検波用双2極管DH-2,周波数変換用7極管CH-1が開発された。Hシリーズの名称は開発者浜田氏の頭文字を取っている。ヒータ電圧は12Vに統一されあるが,ヒータ電流は球により異なりAC100Vで用いるトランスレス動作は考慮されてない。
(その後)
戦後,1946〜1947年頃工場の再開とともに生産され,もっぱら通信,測定などの業務用に用いられた。その後,米国系のGT管の生産が軌道に載り始めた1948-49年頃には廃品種となった。
初期のGT型トランスレス・ラジオ用ビーム出力管。川西機械(後にTEN)1948年。トランスレス用低電圧大電流型出力管で米国35L6GT相当の球。従来のビーム管は生産上難点が多いが特殊な方法を講じて量産向きにしたとある。
(原型・構造・特性)赤印は電波科学(1948.3-4)掲載のTENのデータ
pin=-,f+,p,sg,g,-,f-,k (国洋)
30.0V,0.175A,GT-,7AC,Ebmax200V,Eg2max117V
200V,100V.,-8.0V,38mA,3.0mA,rp450k,gm5.6mA/V,RL3k,3.0W
100V,100V,-7.5V,36mA,2.0mA,rp300k,gm5.5mA/V,RL3.5-4.5k,1.1W,7%
90V,90V,-,-,-,Po=0.8-0.9W,9%
80V,80V,-,-,-,Po=0.65-0.75W
(時代背景)
12G-C5,12G-V4,12G-DH6,30G-B1,30G-K7(半波用)同時発表。
初期のGT型トランス付きラジオ用ビーム出力管。開発者不明。1948年頃。
(原型・構造・特性)
pin=-,f+,p,sg,g,-,f-,k (国洋)
6.3V,0.3A,---,250V,250V,-12.5V,30mA,3.5mA,gm3mA/V
代表特性から見ると6V6の2/3スケールの球のようだ。同一動作条件において,ヒータ電力,Ib,gmが2/3だから。
(時代背景)
6G-B2が登録された1948年から1956年に12G-B3が登録されるまでの間,国内メーカは米国系GT管,MT管の国産化に忙しく,日本独自のGT管の開発は無かった。
白黒TV水平偏向出力管。開発者東芝1956年。トランスレス600mAシリーズ,14インチ90度偏向用。欧州系25E5(PL36)系第1弾。
(原型・構造・特性)
12.6V,0.6A,,GT29-12A,6AM()
100V,100V,-7.7V,100mA,7mA,5.3k,14mA/V,μ6,
550V*/10W,200V/5W,Ik150mA,Pb+Psg=13W,Ehk200Vac,100Vdc
原型は欧州系のPL36/25E5(1951〜1954年頃,Mullard/Philips社)で,国内トランスレスTV用に600mA系としたもの。原型はパービアンスが高く低い電源電圧でも十分な偏向出力が得られる球であるが,当初600mA系は作られていなかった。このため,ヒータを米国系の12BQ6GTBと同じものに取り替えた品種を新たに作り,JIS/CES登録したもの。したがって,類似管というよりは同等管である。原型の系列には6.3V(1.25A)管のEL36/6CM5(国内では始め松下,後に日立も生産)があったため,「6G-B3」は作られなかった。450mA管にも該当する球はなく,国内で450mAが普及しだした1960年代始めに17G-B3(16.8V)がやや遅れて発表された。なお,原型の系列でも12G-B3の発表よりだいぶ後に600mA管(12.8V)としてXL36/13CM5が発表されているが,国内では使用されなかった。
12G-B3の電極構造は原型と全く同じに見える。開発元の東芝は1960年代になって,300mA系に対応する品種として25E5(PL36)も生産したが,両者の作りは全く同じである。PL36/25E5は同時代の米国球6BQ6-GTと比べパービアンスが遥かに高いが,その秘密は何だったろうか?。後年のNEC(新日電)の記事によると,12G-B3のプレート内面にはサブ・プレート(・フィン)がプレート枠材にサンドウィッチされ,カソードに向かって突き出た構造になっているそうである。このサブ・プレートは2次電子のスクリーンへの逆流防止に効果があり,よけいにプレート電流を稼げる仕組である。ただし,パービアンスが高い分だけ肩異常も起きやすい。しかし,初期の時代のセットはUHFコンバータが無かったためスニベッツ対策は余り問題にならなかったのである。
12G-B3の最大定格であるが,東芝(マツダ)は当初原型と全く同じに発表した(設計中心Eb550V10W,Esg250V5W,Pb+Psg=13W)。ところが,開発直後に参入したNEC(新日電)は最大スクリーン電圧だけ50V少ない200Vと発表し,また後に東芝は最大定格をEb600V,Esg200Vに訂正している。また,悪いことにPL36/25E5の最大プレート電圧は松下や欧州系メーカでは250Vと発表しておりこれが正式の規格である。これら混乱は最大定格の定義に関する米国流と欧州流の違いに起因しており,12G-B3とPL36/25E5の違いを意味するものではない。
[モデル]
12G-B3のサンプルには各社により幾つかのモデルがある。まず,特筆すべきは,私が所有するサンプルではNEC(時代の異なる3本)だけが他社とかけはなれて20〜30%程パービアンスが高いことだ。この傾向は同族の12G-B7にも言えることで,NECは規格外のチョンボしているとしか思えない。球の作りに関しては次の通り。開発元の東芝(マツダ)は開発の翌年(1957年)の写真は既にステム構造にはボタン・ステムを用いており,全メーカともピンチ・ステムの例はない。電極とベース・ピンを接続するリード線の引回しは,放熱を助けるためのNCピンやICピンの利用方法を巡り各社に差異が見られる。また,ベース・ピンの本数にも違いが見られ,東芝は一貫してNCピンを欠いたベースを用いているのに対して,NECは初期の頃全ピン付いたベースを採用していた。NECによれば,全ピン・ベースのモデルでは,NCピンも放熱用に配線しているため一見繋がっているように見えるが,実はベース内のガラスの根元でリード線を切り,ベース・ピンとは電気的に絶縁し,規格を保っているという話。ガラス表面や電極支持マイカ板上で起る放電現象に関しては,シールド・リングが有効と分り,後期の製品には酸化クロムの帯がGTベース内面やガラス表面に塗付されたものが各社とも作られた。
東芝のサンプルに関しては,5つのモデルが確認できた。
[(モデル1(1D,1E,1F))]丸ガラス,丸ゲッタ,G1大(6mm)黒フィン,スパイラル・ヒータ,アルミ・クラッド鉄プレート,プレート側面に丸穴2つ,プレート放熱フィンには片側穴4つ。プレート・フィン(サンドウィッチ板)は金属色,G1銀棒,G2銅棒,マイカ板は全周ツメあり,透明マイカ。電極下部(足)にもマイカ板あり,ベースは5pin,ガラス印字はTOSHIBAのロゴ。
[(モデル2(1H))]電極下部(足)にマイカ板なし
[(モデル3(3D))]ベース印字。コの字型(4mm)灰色フィン,G1,G2銅棒,マグネシア・マイカ板,ヒータピン足部に白色マグネシア塗布。
[(モデル4(★))]平ガラス,上部マイカ2枚,
[(モデル5(★9A))]マイカ板は全周12コの爪のうち4コを欠き,片側2コづつないものが上下に使用。G1,G2フィンない。G1,G2銀棒。
[背景]
TV(白黒)用水平偏向出力管として,国内では初め米国系のUY-807や専用管6BG6-Gが使われたが,ブラウン管の偏向角が70度から薄い90度に発展するとともに,それらの後継である米国6BQ6GT系(6G-B6の項参照)や欧州で発展したPL36/25E5系が国産化され,普及しはじめた。さらにトランス・レス時代を迎えたが,商用電源電圧(100V)が米国(117V)あるいは欧州各国(220V)に比べて低く,倍電圧整流でも220V程度の+B電圧しか得られないため,米国系12BQ6GTの場合十分な偏向出力が得られず苦肉の策として+Bだけにトランスを使用したセミ・トランスレスTVなどが出現した。これに対して,欧州PL36/25E5系は高感度,高パービアンスなので低い+B電圧でも十分な出力を得ることができたが,ヒータが300mA系(PL36/25E5),やや遅れて6.3V系(EL36/6CM5)が発表されただけで,600mA系は,当時,欧州では需要が無いため発表されていなかった。参考までに述べると,600mA系は後にXL36/13CM5として,また150mA系もHL36/50E5として発表され,1960年代後半には,スニベッツ対策としてG3を分離した50JY5も発表された。そこで,国内では完全トランスレス化のために,PL36/25E5を600mA化した日本独自の12G-B3が開発されたのである。また,その少し後には専用のダンパー管12G-K17も日本独自に開発された。
(その後)
12G-B3は国内白黒トランスレスTV(14インチ,90度偏向)の標準管として一世を風靡し,東芝,NEC(新日電),日立,松下,TEN,三菱,双葉など各社より生産された。またOEMではシャープ(日立)などがあった。TV用として普及したため,その保守には1本づつの購入が原則であり,今日国内に大量のストックを探すのは難しい。
白黒TV水平偏向出力管。12G-B3の改良版。トランス付き用。東芝1957年。
(原型・構造・特性)
6.3V,1.2A,,GT29-12A,6AM,
100V,100V,-7.7V,100mA,7mA,5.3k,14mA/V,μ6,550V*/13W,200V/5W,Ik150mA,Pb+Psg=?,Ehk200Vac,100Vdc
6G-B3Aは12G-B3の改良型で,ガラス容器と電極構造をそのままに最大定格のうちプレート損失だけを(10Wから13Wへ)引き上げたもの。改良に当るためCES命名法に従ってAが付けられた。プレート損失の引き上げは,プレート材料の変更による放熱の改善が図られていると思われるが,これを証明する資料はない。プレートはアルミ・クラッド鉄。
原型の12G-B3はフィリップス系EL36/6CM5,PL36/25E5の600mA管として誕生したため,6.3V管「6G-B3」の存在理由は無く作られなかったが,この「6G-B3A」は最大定格を引き上げたため,ようやく別名で販売できた。この他,開発元の東芝(マツダ)は,6G-B3Aでは,同時期に開発した6G-B6と共に,長期的な寿命に効果のあるボタン・ステム化を図ったと説明している。しかし,原型の12G-B3でも行われいるように思える。後続のNEC(新日電)は1958年に発表し,オーディオ用にペア・チューブも市販,トランス付きpp動作例を発表した。
「12G-B3A」はNECのマニュアルの他,東芝の資料に見られるが市販されていない。6G-B3Aの開発後,東芝はAのサフィックスの無い450mAシリーズの17G-B3を発表しているが,12G-B3Aや17G-B3Aを公式に発表してない。NECのデータ・ブックにはしばしば,6(12)G-B3(A)なる表現があり,まぎらわしいが,12G-B3と6G-B3A以外は販売されていない。データ・ブックの見出しには,12G-B3Aという項目も見られるが結局販売されていない。東芝系も実情は同じで,しばしばこの名前が登場する。
手元にある6G-B3Aと従来の12G-B3,17G-B3のサンプルを比較する限り,外観上は全く同一に見え,最大定格に差があるような気配は見えない。12G-B3/17G-B3は6G-B3Aの開発後も長期に渡り生産され続けたことを考慮すると,6G-B3Aだけに電極材料に特別なものを使用したり特別な製造工程を経ているとは考えにくい。したがって,6G-B3Aの開発とともに12G-B3/17G-B3系の最大定格もうやむやのうちに引き上げられたと見るべきである。
(その後)
東芝,NEC,日立,TENなどで生産された。トランス・レスTV用の12G-B3に人気が集中したこと,プレート損失の僅かな増加はたいしてメリットにならず,また大型化したブラウン管用には後に同特性で最大定格の大きい6/12G-B7が開発されたこと,さらには6.3V管には米国系の球が豊富にあったこともあり,さほど普及しなかった。NECはグリーン・シリーズと称してHi-Fi用のペア球を販売し,自らこれを用いたアンプを販売したが,さほど普及しなかった。今日でも,まとまったストックが見つかることがある。
白黒TV水平偏向出力管。6G-B3Aのトランス・レス600mAシリーズ管。東芝。1963年。
(原型・構造・特性)
12.6V,0.6A,GT29-12A,6AM,
100V,100V,-7.7V,100mA,7mA,5.3k,14mA/V,μ6,550V*/13W,200V/5W,Ik150mA,Pb+Psg=?,Ehk200Vac,100Vdc
6G-B3Aを600mAシリーズ化したもので,最大定格は同じであるが,6G-B3Aの規格にヒータのウォームアップ・タイムの規定を付加したためサフィックスBとなった。内容は,NEC(新日電)が市販し損ねた幻の12G-B3Aと同じ。12G-B3の後継管であるが,どれだけ新規採用されたか不明。12G-B3の保守用には利用されたと思われる。
(その後)サンプルは入手できずておらず,存在を示す資料が僅かにあるだけである。
白黒TV水平偏向出力管。東芝1957年。NEC(新日電)1958年(1)。米国6BQ6系第1弾。まず6.3V管が作られ,後にレス用の600mA,300mAが作られた。
(原型・構造・特性)
6.3V,1.2A,GT29-12A,6AM,
250V,150V,-22.5V,65mA,2.4mA,6mA/V,600V/11W,200V/2.5W
米国6BQ6-GTB系の完全コンパチ球として開発。ステム構造と外形だけが異なる。NEC(新日電)の説明では,従来のピンチ(つまみ)・ステムをボタン・ステムに改良し高熱によるガラス浸食を防ぐとともに,トップ・プレート・キャップの温度を下げるためガラス管長を長くしたとある。しかし,本当の狙いは,同時に生産していた12G-B3/6G-B3A系の球と外囲器やベースを共通化して,生産の効率を上げるためだったのではないか?と思われる。もっとも,その後米国系6BQ6系は名称を変えずに全てボタン・ステム化してしまった。その後の球の発展の歴史では,米国,日本を問わずこの程度の改良では名称変更は見られない。例えば東芝の6V6-GTは旧東芝マツダ時代のピンチ・ステムをボタン・ステムに改良し,ガラス管の形状を若干変更しても同一名称を通している。
6BQ6GTB/6CU6系の特性に関してであるが,国産球(東芝)は米国球に比べてパービアンスが高いなど微妙な違いが知られている。これは,おそらく1959年頃と思われる。東芝6G-B6は,1958年のマツダ・ブランド時に,プレートの厚みは7mmだったが,1959年以降の東芝ブランドでは,何とプレート厚みを9mmにし内部にサブ・プレート・フィンを付けたモデルに切り換えている。また6BQ6GTB/6CU6のモデルも同様に実施している。このプレート材料はまさに6G-B3A/12G-B3などと同じものだったのである。
[モデル]手持ちのサンプルには7種がある。
(1:)丸ガラス,天井マイカ付き,角ゲッタ2個,8ピン・ベース,U字型G1黒化フィン,G1,G2支柱間接続用黒化金具,ストレート・ヒータ,透明マイカ板,マツダ印
(2:)G1コの字フィン
(3:)5ピン・ベース
(4:(F)01)天井マイカなし,丸ゲッタ1個,サブ・プレート・フィン付き9mmプレート
(5:(F)2B)マグネシア塗布マイカ,スパイラル・ヒータ,東芝ロゴはベース・プリント
(6:無印)平ガラス,G1灰フィン,G1,G2金具金属色
(7:無印)G1フィンなし
(その後)
東芝,NEC,日立などで生産された。国内各メーカは国内向けに6G-B6という品種を作ったにも関わらず輸出向けに6BQ6/6CU6系も生産するという非効率的なことを続けた。国内では6G-B6系は一時期一世を風靡しかけたが,12G-B3系の台頭,それに続く14インチ白黒TVの衰退とともに,国内需要が無くなり比較的早く生産が打ち切られた。東芝はまずトランス・レスの12/25G-B6系を1962年頃までに廃止,さらに6G-B6も1963年には廃止している。1960年代後半には輸出向けの6BQ6/6CU6系も需要が無く投げ売り状態になった。6BQ6GTB系は世界的に使用されたため今日でも海外製品が豊富に入手できるが,6G-B6も米国に輸出されたため,逆輸入の6G-B6もたまに姿を表す。
白黒TV水平偏向出力管。東芝1960年(1958年)。12G-B3系の改良型で欧州25E5系の第2弾。まずレス用600mA管12G-B7が開発され,次いで6.3V管,1963年には300mA管(25V)が作られた。
(原型・構造・特性)
6.3V,1.2A,GT38-04,6AM,
100V,100V,-7.7V,100mA,7mA,5.3k,14mA/V,μ6,700V*/15W,250V/5W,Ik150mA,Pb+Psg=?,Ehk200Vac,100Vdc
原型は12G-B3。17インチのブラウン管用にプレート,スクリーンの最大定格を(Eb700V15W,Esg250V5W)に引き上げたもの。改造は米国における6BQ6GTBから6DQ6への大型化に習って,12G-B3の内部構造は維持しながらプレート横方向だけを大型化し,ガラス管径を太く(T29からT38)して放熱を改善したものである。したがって,静特性は12G-B3と同じであるが,最大損失が大きくなり外観も立派になった。12G-B7の代表特性曲線は東芝が1960年に発表し,各社ともこれを掲載したが,肩特性に関して誤りあるいは測定法の違いがあり後に修正が施された。また,各社とも12G-B7は1960年に発表されたが,JIS/CES登録番号では次の6G-B8が1958年に開発されていることから,開発年代は発表より2年早い1958年だったと考えられる。実際,1958年には東芝は6/12DQ6Aの国産化と6G-B9の開発に取り組んでおり,同じプレート材料,ガラス管,ベースを使用すれば12G-B3/6G-B3Aのパワー・アップが可能だった訳である。しかし,1960年に発表しながらも,その生産は,ブラウン管サイズで決まるTVの物品税が改正され大型化時代が始る1962年まで待たねばならなかった。なお,同時期に専用ダンパー管として従来の12G-K17の性能を上回るMT管の12R-K19が発表された。
(その後)
東芝,NEC(61年9),日立(60年),TEN,双葉,三菱などで生産された。松下は参加していない。OEMではシャープ(東芝),サンヨー(NEC)などがあった。白黒ブラウン管の大型化と広角化により各TV製造メーカが採用した。その後,1960年代半ばには小型カラーTV用にも使われたらしい。TVでは「国際性が無い」ことを理由に使用は下火になったが,真空管式カラーTVの新製品が作られていた1970年頃にも国内では現役で使われた実績がある。当時のゼネラル(TEN)のTVでは,一般的な高圧レギュレータ3極管の6BK4系(高価だった)に代えて12G-B7を高圧パルス調整管として用いていたのである。米国ではこの種の仕事に専用管が作られたが,レギュレーションが多少悪くなるのをがまんすれば,通常の水平出力管で十分代用できるそうである。この面白い応用は,同社では大量のストックを抱えていたか,あるいは破格な値段で仕入れることができたためと思われる。これは市場原理に基づく例外的な使用法で,他にもビクターではカラー用水平偏向管30KD6などの代りに価格の安い25E5を2パラで用いた例がある。さらに,アマチュア無線では,12G-B3は価格が安く出力も取れヒータがバッテリー点火できることなどから,1960年代後半にY無線から短波帯モービル用SSBトランシーバ(パラ出力50W機)の終段にも用いられた。したがって,12G-B7は1970年代始めまで現役で普及していた球である。しかし,1972年頃には国内TVは全てトランジスタ化されてしまい,輸出向け以外のTV用真空管の製造は終了してしまった。今日では入手は容易ではないが,米国に一部ストックがある。
オーディオ出力管。東芝。1958年。
(原型・構造・特性)
6.3V,1.5A,GT35-2,7S(-,H,P,G2,G1,-,-,H,K-G3),
250V,250V,-8V(57Ω),140-151mA,12-28mA,15k,20mA/V,RL1.6k,15W,9.5%,μ15
(T69)800V/35W,440V/10W,(T62)500V/35W,400V/10W
大ホールや営業用のオーディオ装置向けに東芝が開発した大出力ビーム管で,大出力,高感度,低歪,ペア管を謡文句に,専用整流管5G-K22と組合せて発表された。6G-B8は米国系カラーTV水平偏向出力管6CB5Aを原型にして,特性を米国TungSolの6550や英国GEC(MOV)のKT88などと類似に仕上げたもので,最大プレート損失35W(設計中心),最大出力はAB1ppで150Wと肩を並べる性能を持っており,さらに感度が約2倍に改善され使い易い半面,オーディオ管としての歪特性が悪化しているのが欠点である。
[時代背景]
開発当時,国内ではオーディオHiFi装置のブームが到来していた。オランダ・フィリップスは1954年頃にB級プッシュプルで100Wが得られるEL34(EIA名6CA7)を発表し,まもなく米国でも系列会社から出荷している。国内ではフィリップスと技術提携していた松下から1955年に発表され,たちまち大出力装置の国内市場を独占した。この頃,ドイツではテレフンケンがEL156を既に発表していたが,英国,ドイツ,フランス,米国,日本など主要各国に世界的な販売ネットワークを有するフィリップスの敵ではなかった。一方,米国では需要が期待できるカラーTVの水平偏向用ビーム管だけに開発意欲が集中し,民生用大出力管ではEL34/6CA7に対抗できる品種は無かった。しかしEL34/6CA7に刺激されて,米国ではTungSolから6550が,次いで英国ではGEC(MOV)から6550を強化したKT88が発表された。これらの球は,いずれも中央部が平坦な箱型プレートを持ち,プレートや電極支持の構造は,6550が6L6系の堅牢型高信頼管5881(1951〜1954年)の,またKT88が6L6系のオーディオ管KT66(1937年)の流れを汲む作りをしている。ところが,特性的には大きく異なり低電圧動作時における電流異常領域が大きいためシングル動作は向いておらず,大電流・大出力に重点をおいた設計で,ウルトラ・リニアー接続のプッシュプル仕様も発表されている。この理由は,EL34/6CA7とほぼ同時期(1954〜1955年)に米国RCA(?)が開発し,英国にも出現した初代カラーTV用水平偏向出力管6CB5を特性の原型としていたからではないかと推測される。この6CB5の外形は,胴の短いSTガラスを用いたトップ・プレートのG管で6550と同じであり,また感度を除くプレート特性も6550に非常に良く似ているのである。もっともST型の6CB5は翌年までには通常のチューブラー型の6CB5Aに改良されてしまった。6CB5はTV用の普及品であるので,その作りはやわい。
[6G-B8の開発]
その頃,国内メーカは米国の新製品情報には特に敏感だったからTungSolの6550の風聞も耳にしたはずで,6550の国産化も有りえる話であったはずであるが,東芝は何故かオーディオ用大出力管については自社開発の道を選択したのである。東芝は,カラーTV国産第1号を作るため6CB5Aを1956年に国産化し,その際に民生用大出力管の設計・製造技術を修得していた。その技術転用第1号が6G-B8になったのである。6G-B8は東芝が独自に開発したオーディオ用大出力管として国内では有名になったが,そのような訳で,水平偏向管6CB5Aの肩特性の良さ(大出力)を活かしつつ,オーディオ管としての適性(高インピーダンス負荷)を持たせて,6550やKT88の特性に近づけたものが6G-B8なのではないかと考えられる。その作りは,TV用の普及品の姿がそのまま踏襲されている点が,他の6550やKT88との違いにもなっていると考えられる。
[6G-B8の設計]
原型6CB5Aからの主な改良点としては,まず,使いやすくするためヒータ電力を原型の40%削減して6CA7と同規格(6.3V,1.5A)にした。また,電力感度の向上に重点を置き,増幅率(3極接続時)を15に高めている。これは6CB5Aのμ3.8の約4倍である。ちなみに,6CA7は11。3極管はμを大きくすると感度は高くなるが,ゼロ・バイアス電流が小さくなるため出力が小さくなってしまう。そこで,6G-B8ではパービアンスを6CB5Aの4倍に高めて,ゼロ・バイアス電流の低下を約半分に抑えていることが分る。このお陰でgmも何と2倍に改善されている。なお,多極時の内部抵抗は原型5kΩに対して6CA7と同じ15kΩになった。
計算例
(6G-B8)250V,250V,-8V(57Ω),140-151mA,12-28mA,15k,20mA/V,RL1.6k,15W,9.5%,μ15
3接時 ... gm=gm(P)x(Ib+Isg)/Ibより,μ15=21.7mA/V X 0.69k at 250V,-8V
Ib=G(Eb/μ)3/2より,152mA=G(-8+250v/15)3/2,G=5.96(6CB5Aの4.0倍)
250Vのゼロバイアス電流は,Ib=5.96x(250/15)3/2=406mA (実際387mA)
gm=G2/3Ib1/3=(5.96)2/3X(406)1/3=24.3mA/V
μ15=24.3mA/Vx0.617k at 250V, -0V
(6CB5A)175V,175V,-30V,90mA,6mA,5k,8.8mA/V,μ3.8,880V/26W,220V/4W
3接時 ... gm=gm(P)x(Ib+Isg)/Ibより,μ3.8=9.39mA/V X 0.405k at 175V, -30V
Ib=G(Eb/μ)3/2より,96mA=G(-30+175V/3.8)3/2 G=1.49
250Vのゼロバイアス電流は,Ib=1.49 X (250/3.8)3/2=795mA
gm=G2/3Ib1/3=(1.49)2/3X(795)1/3=12.1 mA/V
μ=3.8=12.1mA/Vx0.314k at 250V, -0V
このように,6G-B8は6CB5Aに比べてパービアンスが4倍,gmは2倍あるのが分る。以上が完成後の比較である。6CB5Aからの改造ではヒータ電力を40%削減しているから,そのままだとパービアンスは3/5倍に減少する(G=0.894)。Ib=G(Eb/μ)3/2とgm=G2/3Ib1/3より,gmもただちに3/5倍に減少するのが分る(μ3.8=7.26mA/Vx0.523k at 250V, -0V)。ここで,パービアンスを一定のまま,増幅率μだけを3.8から15に変更すると,
Ib=G(Eb/μ)3/2=(0.894)(250V/15)3/2=60.78 mA
gm=G2/3Ib1/3=(0.894)3/2X(60.78)1/3=3.67mA/V
μ15=3.67mA/Vx4.08k at 250V,0V
と計算できる。ここから出発して,まずパービアンスG=SC/x2を決定するG2の対カソード距離を縮めてG=0.894から5.96に4.0/0.6=6.66倍向上させ大電流特性にし,さらにG1の位置,線径,巻数などを変更して,gmを向上させ,結果的に6G-B8を誕生させた訳である。G2位置は6CB5Aの半分以下(X=1/2.58=0.388)に縮めているはずである。増幅率μを4倍にするにはG1巻線の線径を2倍かピッチを4倍にすれば良い。gmを2倍にするにはG1位置をX=0.707倍とする必要があり,また線径も細くしてあるはずである。このように,6G-B8は大電流,高感度という目的を達成した。以上の議論は球の基本的性能を議論するために3極管接続時の主要パラメータで設計の経過を追ったものだが,ビーム接続時の性能が残っている。6G-B8は高gm管なのであるが,原型に比べるとG2の位置がカソードに近いため2次電子抑制効果が悪くなり,低電圧領域の電流異常領域も非常に大きくなっているのである。これは,6550やKT88に対しても同様のことが言え,歪特性が悪化している他,この電流異常領域を避けて設計する必要があるため,ビーム接続時にはオーディオ用としては高圧高電流プッシュプル以外には使用できないことを意味する。
[(電極の構造)]
構造面から改造を見ると,6G-B8と東芝製の6CB5Aのサンプルを比較すると,ヒータはスパイラル型の6.3V,0.75Aを2本パラに用いて丈夫にしている。電極構造は原型と同じ形状のものを用いているが,ヒータ電力40%削減のためカソード横幅を縮小(5mm/7mm),これにともない,各電極の横幅は多少縮小されている。G1(8mm/-),G2(13mm/-),ビーム・プレート枠(18mm/20mm),プレート(25mm/30mm)。また,各電極の縦寸法は(40mm/38.5mm)でほとんど変更がない。6CB5Aのプレートは上下に空隙があり実質寸法は38.5mm。また6G-B8のカソードは上下各5mmがコーティングされておらず,実質寸法は30mmである。真空管の性能を決める対カソード距離は道具が無いのとサンプルの6CB5Aを壊すのが惜しいので残念ながら測定できていない。外観で判断する限りプレート(11mm/10mm),ビーム・プレート(6mm/-)でそれほど顕著な変更は認められない。G1・カソード間距離あるいは巻線ピッチに変更があるはずであるが,正確なところは不明。
[(最大定格と電極材料)]
電極材料に関してであるが,最大定格を原型の(880V/26W,220V/4W)から(500V/35W,400V/10W)へ引き上げる努力がなされているように見える。しかし,6CB5Aは水平偏向出力動作時,6G-B8はオーディオ動作時の定格であるから直接的な比較はできない。プレート材料は両者ともにカーボン・スーッテッド・ニッケル板を使っており,6CB5Aの方がやや面積が大きいくらいであるから実質的に同じと見てよい。G2の最大損失が6G-B8の方が遥かに大きいが,何故そうなのかは構造的には明確でなく,むしろヒータ加熱が40%削減された点が大きと思われる。G2の放熱に関して,6CB5Aは各G2支柱頂部にバットマン型の大型黒化フィンを2枚設けて強化しているのに対して,6G-B8ではむしろG1の放熱に力点が置かれ,G1支柱頂部に同等のフィン(20x10)を2枚付け強化しているのに対して,G2には小型の黒化フィン(6x6)2枚で済ましいる。また,6CB5Aは未確認だが,6G-B8はG1,G2に金メッキ線を採用しカソード蒸発物質の付着を防止,高温動作を可能にしている。さらに,各電極の配線は太い板(幅3mm)で行い放熱を助長し,高温下でのグリッド・エミッション低減と高電力損失化を図っている。
[(外観とその後の設計変更)]
初期の外形は,同時発表の5G-K22と同じで,ややスリムなT35ガラス管を使用し,ベース部で絞り込まずT35のままスッポリ収る太いシェル(39.4mm)を用いている。このやり方は,同時期に国産化あるいは開発したT38の6CB5A,5G-K18,6G-B9にも見られる。その後,1960年代中頃にT35の規格が廃止されたのに伴い,やや太いT38ガラスをベース下部で絞り込んで中型シェルをはめた形になり見栄えが良くなった。ゲッタ・リングも初期型は頂部2個だったものが,頂部2個プラス側面1個の3個型になり,さらにコスト・ダウン型の頂部大型リング1個型のものも作られた。
[(性能と動作例)]
(AB1pp)自己Bias
320V,320V,(60Ω),241-242mA,16-50mA,RL2.5k,40W,5%, 11Vrms 60年
241-230mA,16-33mA, 30W,2.9% 8.2rms
241-220mA,16-22mA, 15W,1.2% 5Vrms
(AB1pp)固定Bias
300V,300V,-16.5V,120-250mA,7-51mA,RL2.5k, 40W,5%, 11.5Vrms 58年
400V,300V,-17V, 100-255mA,6-40mA,RL3.5k, 60W,4.2%,11.9Vrms
500V,310V,-18V, 110-255mA,4-45mA,RL4.5k, 80W,3.6%,12.6Vrms 62年
600V,320V,-19V, 110-285mA,4-46mA,RL5k, 110W,3.6%,13.5Vrms
700V,320V,-20V, 90-275mA,2-42mA,RL6k, 130W,3.2%,14.2Vrms 69年
800V,330V,-22V, 67-268mA,2-48mA,RL7.5k,151W,3.4%,15.4Vrms
(3接A1s)自己Bias
350V,(160Ω),103-109mA,RL2k,7.5W,8%, 12.2Vrms, 58年
(4W, 5.7%, 9.2Vrms)
(注)Ib0の値は10.3mAと記載されているが誤り
(3接AB1pp)自己Bias
380V,(100Ω),188-204mA,RL2k,18.5W,2.5%,14.3Vrms 58年
(10W, 1%, 10.4Vrms)
開発当時(1958年),東芝は6G-B8の実力を定めることができず,まずシングルで15W,プッシュプルで30W(300V時)の出力管として発表した。ちなみに3結プッシュプルでは18.5Wであった。その後,代表動作例は2転,3転し,初期(1958年)の発表は300V動作までのものに限られていたが,原型が高圧を得意とする水平偏向管だったことを良く知っている多くのアマチュアによって高圧を加えた実験が試みられ大出力の動作例が発表され,東芝自身も早い時期に参考動作例として800V動作AB1プッシュプル150Wを発表した。しかし,東芝の公式のデータ・ブックには,その後500V動作までが加えられ,1969年版には700V動作130Wまでが正式に載ったに留った(ただし誤植で180Wとなっている)。
開発当時の特性に関する3つの力点のうち,大出力と感度は確かに後世にも通用する仕様であったが,歪については強度のNFBを前提とした設計を行っており,裸特性は良くない。ビーム管は低電圧時にプレートからの2次電子抑制が十分できないためプレート曲線にダイナトロン特性が強く現れるという欠点があり,6L6系の他,新型5極管の6BQ5や6CA7でさえも多かれ少なかれその影響が見られるが,低電圧大電流型管の6G-B8は特にこの領域が大きい。したがって,標準動作以外に動作させようがないし,また,インピーダンス負荷では動作曲線がこの領域を横切るため,さらに歪は悪くなる。さらに大出力管の欠点として,熱膨張に対する過分なマージンを必要としマイカ板の穴と電極支柱などの弛みが大きいため,電極支持が弱く,振動に弱い。特に初期のものはガタが多く,家庭において音源と同居した通常のHiFiアンプには向かない。
[(その後)]
特に低電圧大電流型であるため,オーディオ管としては大電流電源の確保,大電流が流せる出力トランスの確保が難しいため余り普及せず,もっぱら業務用のPA用出力管,電源のレギュレータ管として使われた。したがって,一般管とHi-Fi用の他,通信用,後に通測用Hi-S管が作られ,1960年代末まで長く生産された。
[(原型の6CB5A)]
(参考6CB5A)6.3V,2.5A,175V,175V,-30V,90mA,6mA,5k,8.8mA/V,μ3.8,880V/26W,220V/4W
6CB5Aは,1954〜1955年頃にRCA(?)によって開発された初代カラーTV水平偏向用ビーム出力管6CB5のマイナー・チェンジ版で,1956年頃に開発されたと思われる。当時の最新鋭管としてRCAなどのカラーTVに採用されていた。6CB5はST型ガラス管にオクタル・ベースを付けたG管で,ほぼ同時に同定格の6CD6-Gも発表されている。6CB5Aはガラス管をチューブラー型にしたGT管で,その後のカラーTV水平偏向管のルーツになった。6CB5の直系は,6CB5Aを経て6DQ5,6JE6,6JS6へとその後の主流に発展し,一方6CD6-Gは脇道的存在となり,6CD6-GA,25CD6GBを経て,6EX6が最後に作られたに過ぎない。
当時の6CB5Aの特徴を振返ると,その特性はそれまでの白黒用水平偏向出力管の最大定格を約2倍に引き上げた低電圧大電流型ビーム管で,構造的には大きなエミッションを得るために大型ヒータと偏平大面積のカソードが使われ,さらに大電力損失を可能にするため,大型のプレート,G1頂部放熱フィン,プレートやグリッド・フィンのカーボン・スートが図られており,GT管としては大径のT38ガラス管が使用されていた。
[(8417との比較)]
(8417)6.3V,1.6A,PP.400V,275V,-13V,100-294mA,4.4-34mA,RL2.8k,65W
500V,300V,-15.5V,100-270mA,3.4-31mA,RL4.2k,100W
米国では1960年代後半に東芝6G-B8とほぼ同仕様の8417なる球を開発したメーカがありRCA,GE,SYLVANIA,RAYTHEON,WESTINGHOUSE各社が生産または販売した。6CB5Aから独自に発展させるには余りにも6G-B8にパラメータが似すぎており,やはり6G-B8を原型とする米国の改造球(類似管)と見たほうが良い。WESTINGHOUSE版はG1にコの字型の放熱フィンを備えるのみ。RCA(1972年)は規格をPPのパラメータのみ載せており特性図はない。SYLVANIAは電極構造図を載せているようだ。これによると,G1,G2金メッキ線。シャドウ・グリッド。キャビ・トラップ・プレートである。カソード幅は6G-B8とほぼ同じ。プレートの縦方向の長さは6G-B8と同じで,横24.6mmに対し24mm,幅11.3mmに対し8mm(キャビ・トラップの分狭い)。G1,G2,BPの横幅は6G-B8に比べてそれぞれ2mm短い。プレートのキャビ・トラップ幅は7.5mmになっている。異なる点はグリッドのピッチがやや細かい点だそうである。特性も良く似ており,プレート曲線などは6CB5Aの面影を残している。
白黒TV水平偏向出力管。東芝1958年。6.3V管のみ作られた。6DQ6A相当。
(原型・構造・特性)
6.3V,1.2A,GT38-30A,-,
250V,150V,-22.5V,75mA,2.7mA,20k,6.6mA/V,700V/15W,200V/3W
原型は米国系6DQ6Aで,ベース・外形(GT38-17)だけが異なる同等管。6DQ6系は6BQ6系や25E5系よりも一周りプレート損失が大きく16インチ級のブラウン管に対応している。6/12DQ6A(6.3V系,600mA系)は日立が1956年に国産化のための試作を行っているが,東芝は1958年に製造を開始した。この時,廉価版としてこの6G-B9を作った。
6G-B9と6DQ6Aのベース接続番号の違いは,6DQ5Aでは1,3番ピンはNC,また6番ピンは無しと定義されているのに対して,6G-B9は1,3番ピンも無しとしている。また,形状であるが,6DQ6Aは,ガラス管がT38,ベースには短形中形シェルと呼ばれるガラス管より細いものを使用しベース部で絞り込みを行った形である。この絞り込みは,工数が余計にかかるため,6G-B9はガラス管T35とジャンボシェル(径43.7mm)を採用し,ガラスのベース部での絞り込みを省略して,コスト低減を図った。1956年に国産化した6BC5A,続いて開発した5G-K18や6G-B8は同じ作りである。後にこれが経済的でなくなるとともに,6G-B9の存在意義が失われた。6DQ6Aの後継管6DQ6Bは,東芝では1960年に絞り込み型で製造開始された。
(その後)
1958年から廃止される1960年までの短期間だけ流通した。入手は難しい。
出力トランス付き回路用のオーディオ管。NEC(新日電)。1959(12)年。
(原型・構造・特性)
6.3V,1.0A,mt21-4(78mm),10-26(G2,NC,G1,H,H,G1,K-G3,IC,P)
250V,250V,-9V,56-70mA,3.8-13mA,-,10.2mA/V,RL2.4k,7W,10%,(A)μ14,
設計中心/350V/14W,350V/5W,Ehk100V,(A)350V/15W;
NEC(新日電)のオリジナル開発品。原型はTV音声出力などに使われた米国系の高感度ビーム管6BK5で,ガラス管が長くなっている点を除けば電極外観は良く似ている。低価格,大出力(プッシュプル動作で30W以上)が謡文句で,当時,NECは6R-B10の特徴と用途を以下のように説明している。「AB1プッシュプルとしてB電圧350Vdc足らずで,30W以上の出力が得られるミニアチュア管で,喫茶店コンサート等に最適な新品種である。また,3極接続AB1プッシュプルでもはB電圧350Vdc足らずで10W以上の出力が得られ,手頃なものになっている。」
6R-B10の特徴は,低価格化のために当時TV用に生産していた6BK5のプレート等の電極材料を流用したこと,また大出力化のためにプレート・スクリーン損失の増大と高圧化,高パービアンス化を図ったことである。特性改善の力点はプッシュプル動作時の大出力化に置かれており,シングル動作の利点は余りない。一例として,東芝が1957年に開発した6R-P15(6BQ5系)と比較すると,A1シングル動作時(250V)の感度(gm)と出力は,6R-P15が11mA/V,6.8Wに対して,6R-B10は10.2mA/V,7Wであり,良さは全く現れていない。ところが,AB1プッシュプル動作時にはGT管の6L6-G,6L6-GBよりも大きな出力を得ることができる動作例が発表されている。
また,6R-B10のもう1つの注目すべき性能は,3極管接続時の出力である。
(A)AB1pp;350V,-18.5V,76-124mA,RL3.3k,12W,2%,350V/15W
6R-B10の増幅率は6BQ5系(μ19)や6R-P15(μ17)よりもやや小さいμ14に設定されており,3極管接続に向いている。このためプッシュ・プル出力は,300V自己バイアス時,6BQ5(5.2W),6R-P15(5.5W)に対して40%〜30%大きい7.3Wが得られ,さらに6R-B10は350V動作が許されるために固定バイアス時には最大12Wが得られる球となっている。
さて,原型の改造点を3極定数で検討して見よう。まず,6BK5の基本的特性であるが,3接パラメータが資料に無いので,一木氏マニュアルのグラフ(Ib,Eb曲線)と計算より求める。
(6BK5) 250V,250V,-5V,35mA,3.5mA,100k,8.5mA/V,RL6.5k,3.5W,250V/9W,250V/2.5W
グラフよりμ25=9.5mA/Vx2.63k, (Eb100〜150V,Eg0〜-2V)
Ib=26mA at 100V,0V, 45mA at 150V, 34mA at 250V,-5V
Ib=G(Eb/μ)3/2より,26mA=G(100V/25)3/2, G=3.25
45mA=G(150V/25)3/2, G=3.06
34mA=G(-5+250V/25)3/2, G=3.04
μ25はゼロ・バイアス時の曲線のEb100V〜150Vで評価したものだが,μ一定ではパービアンスは一定には求まらない。Eg=-2V,-4Vとバイアスが深くなると曲線は寝てくる。そこで,ゼロ・バイアス時に求めたG=3.25を基準に,250V,-5V時のμを計算すると,
グラフのIb; 34mA=3.25(-5+250/μ)3/2より,μ=25.6
5接のIb+Isg; 38.5mA=3.25(-5+250/μ)3/2より,μ=24.5
どちらも誤差の範囲だ。すなわち,μは25でよく,G=3.25で良い。
250V時のゼロ・バイアス電流は,
Ib=3.25x(250V/25)3/2=102.8mA
gm=G2/3Ib1/3=(3.25)2/3(102.8)1/3=2.19x4.68=10.3mA/V at 250V
(6BK5) μ25=10.3mA/Vx2.43k at 250V,0V
さて,6R-B10はヒータ電力を原型(6.3V,1.2A)の5/6減の(6.3V,1.0A)に変更している(これは6L6系に比較するとまだ10%大きい)。これにより,パービアンスは5/6に減少し,G=3.25x5/6=2.71,gmも5/6倍に減少する。
(6BK5) μ25=8.58mA/Vx2.91k at 250V,0V ヒータ1A
パービアンス(G=2.71)一定のままμを25から6R-B10のμ14に変更すると,
250V時のゼロ・バイアス電流は,
Ib=2.71x(250V/14)3/2=204.5mA
gm=G2/3Ib1/3=(2.71)2/3(204.5)1/3=1.94x5.88=11.4mA/V at 250V
になる。すなわち,
(6BK5) μ14=11.4mA/Vx1.22k at 250V,0V ヒータ1A,μ変更
である。これを,6R-B10の代表特性のEg=-9Vに換算してみると,
250V,-9V時,Ib=2.71x(-9V+250V/14)3/2=71.4mA
gm=G2/3Ib1/3=(2.71)2/3(71.4)1/3=1.94x4.14=8.03mA/V at 250V
(6BK5) μ14=8.03mA/Vx1.74k at 250V,-9V ヒータ1A,μ変更
となる。これに対して6R-B10の最終仕様は,5極時のgm,Ib,Isgより
Ib=56+3.8=59.8mA, gm=10.2x59.8/56=10.9mA/V at Eb250V,Eg-9V,
Ib=G(Eb/μ)3/2より,59.8mA=G(-9.0+250V/14)3/2, G=2.27
(6R-B10)μ14=10.9mA/Vx1.28k at 250V,-9V
両者にgmの食い違いがあるが,これはパービアンスGの値が違うことに原因しており,6R-B10の方がさらに小さく,その比は2.27/2.71=0.83である。合計のパービアンス低下は0.69倍で,ヒータ電流では1.2Ax0.69=0.83Aに相当する。この計算結果は,6R-B10が当初,ヒータ電流0.8Aで設計された事実を裏付けている。すなわち,初期の6R-B10はヒータ電力を1.2Aから0.8Aに下げて,μの値を25から14に下げたものだったのである。初期のヒータ電流0.8Aは,同時期にNECが国産化したビーム管6EM5に相当する。したがって,初期の6R-B10は,原型として6BK5ならびに6EM5といっても過言ではない。ところが,何等かの事情で,ヒータ電流は,途中,設計変更され1.0Aになったのである。なお,μを下げる変更は,μ=px/d2で,線径を太く,ピッチを粗く,G1-G2距離を縮めるのいずれかである。
改造後の6R-B10は,6BK5のパービアンスをG=2.27にまで落とした後に,同じ要領で計算すれば得られるはずである。問題は,ヒータを0.8Aから1.0Aに増加した6R-B10ではどこを改造しているか?である。パービアンスGはヒータ電流の増強により5/4倍に増加するが,カソードとG2間距離を離すことにより,増加分を打ち消すことができる。パービアンスを4/5倍に減少するには,G=cs/x2より,x=1.12倍にすれば良い。これには,G2巻線を外側に12%程大きく巻けば良い。この場合,μ一定が条件だから,G1巻線も同時に外側にシフトさせ,線径を太くしピッチを大きくする必要があろう。同一パービアンスでヒータ電力だけ大きくする処置は,製造上のカソード・エミッションのばらつきを緩和するとともに,G1とG2巻線の工作のしやすさや放熱の強化に繋がるはずである。
次に,最大定格(設計中心)について見てみよう。原型の6BK5は,Eb250V/Pb9W,Esg250V/Psg2.5Wと発表されている。全合計は9W+2.5W+ヒータ7.56W=19.06Wである。また,代表的な5極出力管6BQ5の場合,Eb300V/Pb12W,Esg300V/Psg2.5W,ヒータは6.3V,0.76A=4.788Wで,全合計19.3Wである。ところが,6R-B10は350V/14W,350V/5W,改造後ヒータ6.3Wで25.3Wと圧倒的に大きい(30%増し)。改造前は24.0W。6BQ5の規格ではPsgは短時間なら4.5Wとあり,G2の放熱を強化すれば21.3W連続は可能であるが,これでも10%増しに過ぎない。この落差はどこから来たのだろう?もちろん,G1-G2の目合せ,サブ・プレート・フィン,G1とG2の支柱頂部それぞれに独立した放熱フィンにより,最大損失は改善されており,また高圧化のために,ベース・ピンにおいてPとG2の周囲はIC,NCが配置されている。しかし,最大損失は勇み足だったとの声が高い。
(その後)
NEC(日電)だけで生産された。MT管で30W以上の出力が得られるというセンセーショナルなデビューで,NEC(新日電)では自社でアンプの商品化も行った(MA-835,1961年)。しかし,ユーザの反応は今一つで,シングル動作では平凡な球に過ぎない,プッシュ・プルでは大電流動作が災いしスクリーン電圧ドロップにより定格出力が得にくい,プレートが赤熱する等の苦情が相次いだ。また,品質管理されているペア製品でも,動作例に載っている最大出力がでないものが多いという話もある。NECは製品のバラツキについて「CESの規格を満足しており,使用責任はユーザにある」旨のことを述べているが,少なくとも動作例については,平均的な球ではなく「最良」の球を使った動作例を宣伝していたと思われるから,やはりメーカの責任に帰すべき問題だったと思われる。6R-B10にとって致命的だったのは発表後に,雑誌で酷評されたことである。また,他のオーディオ球の動向も人気に関係している。6R-B10の発表は1959年末から1960年にかけてであったが,翌1961年にそれまで圧倒的な人気を誇っていた5極出力管EL84/6BQ5の高電圧型が登場した。米国では1961年頃,(フィリップス傘下のAmperex?によって)まずEb400V,Esg300Vで24Wが得られる7189(設計中心400V/12W,300V/2W-4W)が発表されRCAなどが販売,国内では同時期(1961年6月)に松下が国産化した。続いて(GEなどにより?)7189A(設計最大440V/13.2W,400V/2.2W-4.4Wp)が発表され,日立,NEC(新日電)が1961年に国産化した。東芝は1962年に7189を,1963年に7189Aを製造した。こんな状況であったので,6R-B10は人気が盛り上がらず1960年代後半には廃品種となった。
(参考6BK5)
6.3V,1.2A,mT21-3,-,250V,250V,-5V,35mA,3.5mA,100k,8.5mA/V,RL6.5k,3.5W,250V/9W,250V/2.5W
原型の6BK5は,僅か5Vpeak(3.5Vrms)のドライブ電圧で3.5Wの出力が得られる高感度の球である。gmの向上には後の欧州球に見られるようにグリッド線を細くしてカソードに近づける方法が一般的になったが,この球は初期の設計でグリッド線を太いままにして,MT管最大のヒータ(6.3Vx1.2A)を入れて強引にカソード・エミッションを稼ぎパービアンスを高めた球である。5極接続時の感度はgmだけが問題となるが,後のEL84/6BQ5などと比較するとそれほどgmが高いともいえない。プレートやスクリーン損失について見ても,大電力ヒータは不利で自己加熱のために最大損失が低めになっている。最大電圧も250Vに規定されているため,プッシュプル動作ではシングル出力の2倍しか得られず,高電圧動作でプレート電流を稼いで出力を得ようという目論見も成立しない。
6BK5の隠された特徴は,3極接続時に現れる。増幅率μが何と25と非常に高い球になっている。したがって,gmが高い割に内部抵抗の低い球になっている。
μ25=9.35mA/Vx2.67k, 250V,-5V, Ib=38.5mA
3極接続時のプッシュプルは精々2Wである。最大電圧がどこで決まったかは不明だが,もし,5極接続時のプレートやスクリーン損失で決定されているならば,電流の少ない3極接続時には350V動作も可能かも知れない(Pb=9+1.25=10.25W)。
(参考6BQ5)
6.3V,0.76A,mT21-3,-(IC,G1,K-G3,H,H,IC,P,IC,G2),
250V,250V,-7.3V,48-49.5mA,5.5-10.8mA,38k,11.3mA/V,RL5.2k,5.7W,10%,(A)μ19,
設計中心/300V/12W,300V/2W-4Wp
(参考6R-P15)
250V,250V,-8V,54-59mA,6.8-16mA,-,11mA/V,RL4k,6.8W,10%,(A)μ17,
(参考6L6-G)
6.3V,0.9A,250V,250V,-14V,72-79mA,5-7.3mA,22.5k,6mA/V,RL2.5k,6.5W,10%,(A)μ8
設計中心/360V/19W,270V/2.5W
(PP)360V,270V,-22.5V,88-132mA,5-15mA,26.5W,2%
トランス付きTVの垂直偏向出力管。東芝。1959年。6.3V管の他に600mAシリーズの8R-B11もある。オーディオ管の動作例も知られている。
(原型・構造・特性)
6.3V,0.8A
8.5V,0.6A,mt21-4,10-27,
200V,200V,-12.5V,45mA,2.5mA,-,7.5mA/V,RL4k,4.5W
(参考6AQ5)6.3V,0.45A,
250V,250V,-12.5,45-47,4.5-7,50k,4.1mA/V,5k,4.5W,8%
(参考6CZ5)6.3V,0.45A,
250V,250V,-14,46-48,4.6-8,73k,4.8mA/V,5k,5.4W,10%
(参考6EM5)6.3V,0.8A,
250,250,-18,35-,3-,-,5.1mA/V,
原型は米国8EM5あたりと思われる。TV垂直偏向出力用のビーム管は,初期頃6V6-GTをMT化したMT7pinの6AQ5系が使われたが出力や耐圧が問題になり,パービアンスや耐圧を改良したMT9pinの6CZ5系,さらにヒータを強化しパービアンスや直線性を改善した8EM5が誕生した。日本の6/8R-B11はこの8EM5の類似球で,8EM5に比較するとパービアンスはやや高く,電力感度が50%upしたものである。電極構造は8EM5に似ている。いずれの球も肩特性は古典的な6V6-GTの延長線上にあり,6/8R-B11はその頂点に立つ球である。その後の高パービアンス球とは異なる。
東芝のモデルでは初期の頃プレートには光沢のある黒化金属色板であったが,後にアルミ被覆灰プレートになった。ヒータはコイルである。
(その後)
東芝は8EM5の生産より先に本球を生産販売し,数年後に8ME5の生産販売に参入した。他にNEC,TENなどで生産された。600mAの8R-B11は他の球の出現により1963〜1965年頃比較的早く保守品になったが,6.3V系の6R-B11はオーディオ用途にも活用されたため,60年代後半まで生産され比較的最近までストックがあった。
8インチ白黒TV水平偏向用9ピンMT出力管。NEC(新日電),1961年。
(原型・構造・特性)
12.6V,0.38A/6.3V,0.76A,mt21-3,10-49,
200V,200V,-14V,45mA,4.2mA,-,-,-,3.5W,300V/9W,330V/2.5W
100,200,-11,70,7.0,9.5mA/V,11k,
(参考PL81/21A6)21.5V,0.3A,170V,170V,-22V,45mA,3mA,10k,6.2mA/V,μ5.3,250V/8W,250V/4.5W
原型不明。外囲器はトップ・プレート型MT9ピン。12.6V管(0.38A)は8インチ白黒TV用にダンパ管12R-K21とともに開発された。12.6V管は真空管とトランジスタのハイブリッド構成の小型TV用にバッテリー動作を考慮したもので,通常の定電流型のトランスレス管ではないがダンパ管12R-K21と直列点火が可能である。特性は,高gm以外不明。
[21A6との比較]
MT型の水平偏向出力管としては,唯一欧州フィリップス系PL81(21A6)が知られている。PL81/21A6と比較すると,省電力化したためヒータ電力が(6.3V,1A)から6BQ5並み(6.3V,0.76A)と25%小さくなったにもかかわらずgmは50%程upしている。ヒータ省電力の効果として外囲器の余剰放熱能力(1.5W)がプレート損失の強化に繋がると期待されるが,改善の割合は意外に小さく(8Wから9W),スクリーン損失は逆に(4.5Wから2.5W)と半分以下の能力に下がってしまっている。各電極の耐圧だけはupしているが。
オーディオ動作例としてA1シングル・アンプが発表されている他,12R-B12がトップ・プレート型のためアマチュア無線への応用(30MHz以下のC級増幅)も宣伝されたが,もともと水平偏向管として開発したため電極間容量の管理がなされておらず,発表後改造した模様。
(その後)
フィリップス系のPL81/21A6は国内では1950年代の中期の放送開始時に松下が14インチ(70度偏向)までのTVセットに実用したが,MT管では最大損失と高耐圧の点で不利なため,ブラウン管の大型化,偏向角の増大とともに役割を終えたが,1950年代のOTLブームにアマチュアが一部使用したため辛うじて生き残っていた。さらに,NECの12R-B12は発表時期が遅かったせいもあり,国内における水平偏向用トランジスタの開発と重なり,ほとんど普及せずに終わった。今日入手の見込はない?。
オーディオ出力管。松下?。1961年。6.3V管の他,レス・オーディオ用に50V管が作られた。欧州25E5系の第3弾。
(原型・構造・特性)
6.3V,0.985A(?),GT29-7C(32.54mm-87.31mm),7S,
300V/14W,200V/5W,IK150mA,0.5M,Ehk+200V+dc100V/-350V
50V,0.15A(7.5W),GT29-7C/(2:H,3:P,4:G2,5:G1,7:H,8:K-G3)
130V,100V,-8V,100mA,5.0mA,7.7k,14mA/V,RL1.3k,5.1W
静特性は水平偏向出力管PL36/25E5や12G-B3に類似しており,原型はPL36/25E5と考えられる。改造点は,オーディオ向きに水平偏向管特有のトップ・プレートをベース・ピンに変更したこと,OTL用にEhkが考慮されていること,そしてレス・オーディオ用に50V管を作ったことである。PL36/25E5は高gm・低内部抵抗・低電圧大電流型のオーディオ管としても知られており,商用交流電源の直接整流もしくは倍電圧整流が+B電源として使用できるから,50V管を使えば,さらに経済的なアンプが製作できる。当然ながら後の松下の6/50H-B26にも類似している。
外形の規格では,6V6-GT等の旧形がGT29-2A(GTベースはB8-6)に対し,この球は外形GT29-7C(ベースはB8-58)である。両規格はほどんど同じでベースが旧時代のものからやや厚みが薄い新型になったもの。この50G-B13が開発された時期に6V6-GT等が新型ベースに変更されたのであろう。
(その後)
市販された記録がない。後継の6/50H-B26が最大損失等の点で優れており,存在価値が無かった。
白黒TV水平偏向出力管。東芝1961年。6.3V管の他,トランスレス用の600mA,450mA,300mAが作られた。欧州25E5系の第4弾。
(原型・構造・特性)
6.3V,1.2A/12.6V,0.6A/16.8V,0.45A/25.0V,0.3A,MN29-?,10-51
100V,100V,-7.7V,100mA,7mA,5.3k,14mA/V,μ6,700V*/13W,250V/5W
6G-B3Aをマグノーバル化したもの。電極構造は6G-B3Aと全く同じで,プレートとスクリーンの最大電圧は12G-B7と同様に700Vと250Vに上げられたが,プレート損失だけが15Wに及ばず13Wに留った。CES名の当時の口金の分類では,マグノーバルが無く「その他」の記号Bに分類された。その後,マグノーバルには記号Hが与えられたためとCES名にはBとHが混在することになった。ベース・ピン配置は欧州系マグノーバル管6GB5/EL500系と同じで,1から順に,G1,G1,K-G3,H,H,P,G2,G2,K-G3,ICである。
(その後)
東芝の他,12B-B14についてはNEC(新日電),松下,双葉が生産した。時代的にはブラウン管が大型化した後に開発されたため,ほどほどに普及した。したがって今日比較的入手が容易である。
白黒TV水平偏向出力管。東芝1961年。米国6BQ6GTB系の第2弾。6G-B6の改良管。
(原型・構造・特性)
6.3V,1.2A,MN29-?,10-51,
250V,150V,-22.5V,65mA,2.4mA,6mA/V,650V/12W,200V/2.7W
6G-B6をマグノーバル化したもの。最大定格は(500V11W,200V2.5W)から(650V12W,250V2.7W)に引き上げられた。
(その後)
東芝だけが生産したと思われる。需要は少なく,6B-B14系のように他の3つのヒータ規格600mA,450mA,300mAに対応するトランス・レス管は作られなかった。
カラーTV用?水平偏向出力管。日立1962年。米国6/25DQ5系の省ヒータ電力管。16V管は600mA用である。
(原型・構造・特性)
16.0V,0.6A,GT38-02,175V,125V,-14V,110mA,5.0mA,15mA/V,9k,900V/24W,175V/5W
(25DQ5)26.3V,0.6A,175V,125V,-25V,100mA,5.0mA,10.5mA/V,5.5k,900V/24W,175V/3.2W
(21JS6A)21V,0.6A,175V,125V,-25V,125mA,4.5mA,11.3mA/V,5.6k,μ3,990V/28W,190V/5.5W
原型は米国25DQ5系と見られる。ヒータ電力は25DQ5が(26.3V,0.6A=12.6W)のところ9.6Wと20%減少している。したがって,16G-B16のカソード面積はやや小さく細いスリーブを用いているが,プレートなどの電極構造は同じである。gmを50%UPし感度改善を図っている。
(その後)日立だけが生産したようである。今日でも,まとまって入手できる機会がある。
白黒TV水平偏向出力管。開発者不明(日立?)。1962〜1963年頃?。米国6BQ6GTB系の第3弾で,25BQ6GTBの省ヒータ電力管。
(原型・構造・特性)
6.3V,1.2A,GT29-11,6AM,250V,150V,-22.5V,57mA,2.1mA,14.5k,5.9mA/V,600V/11W,200V/2.5W
(25BQ6GTB)25V,0.3A,GT29-11,6AM,250V,150V,-22.5V,65mA,2.4mA,6mA/V,600V/11W,200V/2.5W
6BQ6GTB系の300mA管25BQ6GTBのヒータ電力を20%減少させたもの。最大定格は同じ(600V11W,200V2.5W)で,ヒータ電圧が20Vになった。ややパービアンスが低く,特性も完全なコンパチ管ではなく細部の異なった類似管と思われる。
(その後)資料が無い。
TV垂直偏向出力管。開発者不明。1962年〜64年。600mAシリーズのみ。
(原型・構造・特性)
8.0V,0.6A,
200V,200V,-22.5V,37mA,1.6mA,40k,5.6mA/V,275V/7.5W,275V/2.0W,IK50,ik175
200V,200V,-38V,0.1mA,
45V,150V,0V,180mA,36mA
原型不明。ヒータ電力からすると8CW5(8.0V,0.6A)相当。8EM5,8R-B11(8.5V,0.6A)はやや強力。MT9pinの8CW5に比べると最大定格は(250V/10W,250V/1.75W)よりも一周り小さいが,パービアンスは8CW5(60V,170V,145mA)に対してさらに高い。
(時代背景)
初期の頃,垂直偏向出力管には多極管としてMT7ピンの5極管6AR5やビーム管5AQ5が使われた。その後,ビーム単管では米国の6CZ5系,6EM5系などが,また5極管では欧州系複合管6BM8系,6GV8系や単管の6CW5系などが用いられた。いずれも放熱の関係からMT9ピンが採用されており,新型管でMT7ピンを採用したものは無かった。特にビーム管は小型化が難しく5AQ5以上のものは知られてなかった。
白黒TV水平偏向出力管。東芝1964年。欧州25E5系の第5弾で,6B-B14系の改良管。
(原型・構造・特性)
6.3V,1.2A/12.6V,0.6A/16.8V,0.45A/25.0V,0.3A,MN29-51,10-63
100V,100V,-7.7V,100mA,7mA,5.3k,14mA/V,μ6,700V*/13W,250V/5W
6B-B14にスニベッツ振動防止対策としてKとG3を分離したもの。独立したG3に適当な正電圧を掛けることにより,スニベッツ振動が抑制できる。最大定格等の仕様は6B-B14と同じ。この球以降,CES名のマグノーバル管の分類は新しい記号(H)が用いられた。6.3V管の他,トランスレス用の600mA,450mA,300mAが作られた。
ベース・ピンは1から順に,G1,G1,K,H,H,P,G2,G2,IC,G3である。すなわち,6B-B14系のK-G3はpin3とpin8にあったが,pin3にKを残し,pin8をICにしてpin9にG3を持ってきたのである。この配置ではICピンが遊んでいるにもかかわらず,G3には1本しか接続されてない。しかし,スニベッツ対策にはG3に正電圧を掛けるだけでなく,シールド効果をきかせるためには遊休ピンを用いて高周波インピーダンスを下げた方が良い。これが後に6H-B25として改良された理由である。
(その後)
後に,ベース・ピン配置を変更した6/12/17H-B25が作られこれが普及したため,B21系は普及しなかった。
TV水平偏向出力管。開発者東芝?。1964年。欧州25E5系の第6弾で,12G-B7系のコンパクトロン版。
(原型・構造・特性)
12.6V,0.6A/16.8V,0.45A,C38-79,10-65,
100V,100V,-7.7V,100mA,7mA,5.3k,14mA/V,770V/18W,250V/4W
12G-B7をコンパクトロン化したものである。外囲器は原型と同様にT38であるがベースを省略したことにより放熱効果が改善されて最大定格は6G-B7系(700V15W,250V5W)から(770V18W,250V4W)とやや大型化した。また先の6H-B21系と同様にスニベッツ対策としてKとG3が分離されている。ただし,G3はインピーダンスを下げるため2本配置されているが,G1とG2は放熱効果が良いので各1本となっている。トランスレス用の600mA,450mAだけが作られた。以上の改良は,原型の12G-B7と類似の米国6DQ6系がコンパクトロン化されて6JM6A系になったのと全く同じで,12/17C-B23のベース・ピン配置には6JM6A系のものが採用されている。
(参考6JM6A)
6.3V,1.2A,250V,150V,-22.5V,70mA,2.4mA,7.3mA/V,15k,μ4.4,770V/17.5W,220V,3.5W
16.8V,0.45A, 55V,150V,0V,345mA,30mA
TV水平偏向出力管。三菱?,日立?。1964-65年。欧州25E5系の第7弾で,17G-B3をコンパクトロン化したものに相当。トランスレス用の450mAだけが作られた。
(原型・構造・特性)
16.8V,0.45A,C29-93,10-65,100V,100V,-7.7V,120mA,8mA,5.3k,15mA/V,770V/14W,250V/5W
12G-B3系の450mA管17G-B3をコンパクトロン化したものに相当。外囲器は原型と同じT29を採用しており,外観は同じT29のマグノーバル管17B-B14や17H-B21などと似ている。スニベッツ対策については17H-B21と同様にKとG3が分離されており,ベース・ピン配置は12/17C-B23や6JM6Aと同様である。プレート最大定格だけが(700V13W)から(770V14W)へと僅かに大きくなり,また,パービアンスが20%UPしているので,従来の12G-B3系列とやや特性が異なる。
(その後)
日立も作った。
白黒TV水平偏向出力管。東芝。1965年。欧州25E5系の第8弾で,6B-B14系,6H-B21系の改良型。
(原型・構造・特性)
6.3V,1.2A/12.6V,0.6A/16.8V,0.45A,MN29-51,
100V,100V,-7.7V,100mA,7mA,5.3k,14mA/V,μ6,700V*/13W,250V/5W
6B-B14のKとG3を6H-B21と同様に分離したもので,6H-B21とはピン接続だけが異なる。具体的には,遊んでいるICpinを利用してG3の高周波インピーダンスを下げたもので,ベース・ピンは1から順に,G1,G1,G3,H,H,P,G2,G2,G3,Kである。すなわち,6H-B21系のpin3のKをpin9へ,余ったpin3にG3を,またpin8のICを止めてG3を接続したものである。6.3V管の他,トランスレス用の600mA,450mAが作られた。
(その後)国内では600mAの12H-B25のみが特に普及し,輸出もされた。
オーディオ用出力管。松下。1964-65年。欧州25E5系の第9弾で,6.3Vとレス・オーディオ用の50V管がある。
(原型・構造・特性)
6.3V,1.25A/50V,0.15A,MN29-44,10-62
130V,130V,-12V(68Ω),123mA,8.5mA,4k,15mA/V,RL0.8k,8W,350V/18W,300V/5W
欧州系の水平偏向出力管25E5を原型として開発された低電圧大電流型のオーディオ用出力管。欧州25E5系の第9弾。25E5の電極ユニットをT9マグノーバル管に入れて,トップ・プレートを廃したもの。したがって,電極構造等の外観は松下製の後期の25E5と全く同じ。外観上,同一ユニットを使用しているように見えるが,その最大定格は25E5(水平偏向動作)の最大定格(Ebb600V13W,Esg250V5W)に対して,(Eb300V18W,Esg300V5W)とかなり大きくなっている。その理由の1つは,水平偏向動作とオーディオ動作における最大定格の違いによるものである。規則性は発表されてないが,一般に水平偏向管をオーディオ動作させると最大定格(プレート損失,スクリーン損失)はやや増加することが知られている。もう1つの理由は放熱の改善である。6/50H-B26は25E5に比べて特別な放熱フィンを取り付けた様子はなく,さらにトップ・プレートの廃止によるプレート放熱の悪化も若干あるが,マグノーバル化によるガラス管下部からの対流による放熱の改善は大きく,またG2取り出し線を2本にしたことによるG2放熱の改善も見逃せない。各電極の耐圧に関しては,最大プレート電圧Eb300Vは水平偏向管動作時のEbb600Vの半分で妥当である。ところが,最大スクリーン電圧Esgは25E5の250Vに対して300Vに上昇している。通常,水平偏向管であろうとオーディオ管であろうと余り変らないのが常識であるが,パービアンスの高い球の場合,最大スクリーン電圧は電極間の耐圧ではなく主にプレート電流の増加により足留めされていると言われている。したがって,プレート損失に余裕ができれば,最大スクリーン電圧も上げることが可能なのである。
(その後)
松下は自社のオーディオ・アンプにこれを採用し,片チャンネル10本のOTLアンプと片チャンネル2本使用したトランス付きプッシュ・プル・アンプの2種を発売した。したがって,ある程度流通することになった。また,NECも1966年頃から生産した。水平偏向出力管を原型とするオーディオ管は他に東芝の6G-B8や会社不明の6G-B13がある。
(その後のその後)
1969年4月松下から,TV垂直偏向出力用マグノーバル管25HX5(欧州名不明)が発表された。この球はPL36/25E5のシングル・エンド型マグノーバル版で,まさに50H-B26の25V管のような性格を持っている。最大定格も300V時の音声信号では同じ位になろう。この球は米国にストックがある。
(参考25HX5)
25V,0.3A,MNT29-(89.2mm/80.5mm),(G1,K-G3,K-G3,H,H,G2,G1,IC,P)
100V,100V,-8.2V,100mA,7mA,14mA/V,5k,5.6μ,
45V,125V,-1V,325mA
2.5kVp,800V*/400V/14W,550V*/300V/2.5W,Ik220mA,1.0M,Eh200V
TV水平偏向出力管。NEC1966年。米国6JZ6系の変種でトランスレス600mA用,6KA6系互換としたもの。
(原型・構造・特性)
15.8V,0.6A,C38-79,-,
130V,130V,-20V,46mA,1.8mA,9.9k,9mA/V,770V/18W,220V/3.5W
原型は米国6JZ6系で,6JZ6の電極ユニットをそのまま使用し,外囲器をT38からT29に変更し,ベース・ピン配置を6/16/21KA6系に合せたもの。これまでのCES登録水平偏向出力管は,17C-B24を除くと,6BQ6GT系,25E5系,6DQ5系,6DQ6系の4種に限られてきたが,この球は第5世代の新しい球である。
米国6/21JZ6系は,米国6/16/21GY5系の改良管で,スニベッツ対策としてG3とKのピン接続を分離したもの。最大定格は(Ebb770V18W,Esg220V3.5W)である。国内では,先に6G-B7系の600mAシリーズ・コンパクトロン管12C-B23が開発されており,これに比べると,6JZ6系はヒータ電力が大きい割に,プレート最大定格は同じで,スクリーン耐圧と損失はかえって小さくなっていて,性能的には見劣りするように思える。しかし,6/16/21GY5系ならびに6/21JZ6系は,ビーム管特有の肩特性の異常を防止するためにプレート構造に6KD6等と同様のキャビトラップ・プレートを採用してIb/Isg比を高く取りながら高パービアンス化を図った新型管であり,同一のプレート損失条件でも出力が増大できるという特徴を持つ。さらに6/21JZ6系はG3も分離しているので,G3に正電圧をかけることにより,スニベッツが防止できる。
(その後)
NECだけが生産したようである。あまり普及しなかった。
TV水平偏向出力管。東芝1967年。米国6JZ6系の球でEIA登録されていないトランスレス600mA用管を日本で定義したもの。
(原型・構造・特性)
15.8V,0.6A,C38-79,-,130V,130V,-20V,46mA,1.8mA,9.9k,9mA/V,770V/18W,220V/3.5W
米国6JZ6系同等。米国6JZ6系は6GY5系(6.3V,600mA,450mA,300mA)のスニベッツ対策管(G3-K分離型管)であるが,改良の際に米国内の需要の少ない600mA管は切り捨てられてしまった。これに対して国内では,6GY5系では600mA管16GY5と450mA管21GY5が普及し,その後継管にも需要があった。このため国内では6JZ6系を導入する際に,450mA管の21JZ6を生産すると同時に600mA管を新たに作りJIS/CES登録したものである。16C-B27とは兄弟関係にある。
(その後)
東芝の他,NECも生産し,600mA系の16GY5のスニベッツ対策管として白黒TV用に用いられた。