低増幅率3極管の概略
12Y-L1, (旧)2X-L2(UX-30), (新)6M-L2, (旧)3Y-L3/6Y-L3(UY-56/UY-76), (新)6M-L3, 6M-L4, 20D-L5, 9D-L6, 6N-L7, 5M-L8
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低増幅率3極管はLシリーズが11品種(外形はSTが4種,mT7ピンが4,サブミニが2, ニュービスタ(N)が1種),LLシリーズが5品種(mT9ピンが5種)の計16品種である。戦時中の名称制度には3品種あったが,そのうち1品種(L1)のみが日本独自の名前として残り,2品種(L2,L3)は米国互換管であって戦後廃止されたので,戦後のJIS名制度ではL2から新型管が登録された。
トランスレス・ラジオ用傍熱型3極管。東芝マツダ1939?。1941年登録
(原型・構造・特性)
12.0V,0.15A,ST,
180V,-0.7V,4.5mA,1.6mA/V,μ18,11k,Cgp/in/out 4,3.5,3.5,Thw10s
日本独自の特性?局発用と思われる。
電池用直熱型3極管。東芝マツダ。1941年登録。一般に業務用。米国系UX-30の別名。
(原型・構造・特性)
2.0V,0.06A,ST,
180V,-13.5V,3.1mA,0.9mA/V,μ9.3,10.3k,Cgp/in/out 5,3,3
(その後)国内では戦時中にUF-30も作られた。名称は1940年代後半まで。その後廃止された。
神戸工業TENの開発。UHF発振,高周波増幅用。
(原型・構造・特性)
6.3V,0.175A,MT,135V,-4.5V,14mA,3.6k,5mA/V,μ18
原型は6BQ7Aの片ユニットと思われ,これを低増幅率にしたもの。
ラジオ用傍熱型3極管。東芝マツダ。登録1942年以降。米国系UY-56/UY-76の別名。
(原型・構造・特性)
2.5V,1.0A/6.3V,0.3A,ST,5A
(増幅)250V,-13.5V,5.0mA,9.5k,1.45mA/V,μ13.8
(陽極検波)250V,-20V,Ib0=0.2mA
(その後)名称は1940年代後半まで。その後廃止された。
超高周波発振用3極管。松下〜1959年。
(原型・構造・特性)
6.3V,0.175A,MT18-(38.0mm/44.5mm),(P,G,H,H,K,G,P)
(AMP)90V,0V,Rk280Ω,15mA,1?mA/V,μ15,150V/2.2W,Ik25mA,Ehk90V
(OSC900MHz)80V,Rk150Ω,Rg10k,24mA,Ig0.4mA
原型不明。松下;極超短波帯(UHF)の超高周波発振用に設計された7pinMT型の3極管で,フレーム・グリッドを使用しているから,相互コンダクタンスが高く,また自己インダクタンスを小さくするためにグリッドとプレートはそれぞれ2本のリード線で引き出されており,周波数900MHzまでの自励振混合,または発振などに好適。
東芝60年。UHFOSC
(原型・構造・特性)
6.3V,0.175A,MT18-(),(P,G,H,H,K,G,P)
(AMP)80V,Rk150Ω,17.5mA,2.1k,6.5mA/V,μ13.5,150V/2.5W,-50V
原型6AF4A。東芝;TVの極超短波帯(UHF)の発振用に設計された7pinMT型の中増幅率,傍熱型3極管。特性は6AF4Aと全く同じで,ヒータ入力を少なくしてあるので,周波数変動,その他安定な動作が得られる。自己インダクタンスを小さくするためにグリッドとプレートはそれぞれ2本のリード線で引き出されている。
低電圧動作傍熱3極管。NEC(日電)。1962年。工業用。
(原型・構造・特性)
20V,0.03A,SmT9(9-4),(G,NC,H,P,K,P,H,P)
20V,Rk10k,0.1mA,-,0.32mA/V,μ11
原型不明。NEC;高入力抵抗,低電圧動作(ヒータ,プレート電圧が共に20V)で,簡単にトランジスタと供用できる。管壁熱輻射でトランジスタの特性が損われない。寿命と経年変化を考慮した設計。マイクロフォニックが小さい。リード線直接半田付けの他,短く切ってソケット使用も可。
低電圧動作3極管。NEC(日電)。1963年。工業用。
(原型・構造・特性)
9.0V,0.06A,SmT9(9-4),(NC,NC,H,P,K,P,H,P,top=G)
20V,Rk10k,0.1mA,-,0.32mA/V,μ11
20D-L5の改良型で,ヒータを電池点火用に低圧化し,トップ・グリッド化してプリント基盤実装用としたもの。ヒータ電圧と電極容量を除く他の特性は20D-L5と同じ。
日立1964,測定器用
(原型・構造・特性)
6.3V,0.135A,NY,12V,-1V,2.2mA,2.2k,3.4mA/V,μ7.5
低いプレート電圧で使用でき,グリッド電流が少ないので,各種測定器,計算機に使用される。測定器用としては高信頼性,高安定性のため,ニュービスタの6CW4や7586が使用されていたが,これに8056とともに加えたもの。
TV用。NEC1964年(7)。(=6DZ4)
(原型・構造・特性)
4.7V,0.3A,MT,80V,Rk150,17.5mA,-,6.5mA/V,μ13.5
6DZ4の300mA系
高周波増幅用中増幅率双3極管。NEC(日電)。通信用。開発はNTTの電気通信研究所。
(原型・構造・特性)
19.0V,0.15A,mt21,120V,Rk180,8.5mA,5.5k,5.5mA/V,μ30
NEC;12AT7や2C51に比べて低温に設計,熱容量を大きくし,長寿命化。グリッド逆電流にも考慮。無人中継装置,端局変復調器,リレー回路など,信頼性と長寿命の要求される場合に好適。
(その後)他に,TEN〜60も作った。
中増幅率双3極管。TEN。〜1960年。通信用。
(原型・構造・特性)
19.0V,0.15A,mt21,250V,-8.5V,10.5mA,7.7k,2.2mA/V,μ17
米国12AU7/5814Aの19V版。
TEN〜1960年(12AT7改良,12AV7)
(原型・構造・特性)
12.6V,0.225A,mt21,150V,Rk230,10mA,5.5k,5.5mA/V,μ30
NEC;従来の12AT7を改良し,長寿命化。ヒータ電流が異なる,増幅率が多少低い,シールドを設けてユニット間遮蔽を完全にした。陰極は電子密度が小さく,低温に設計,中間層抵抗の生じない材料を使用し,長寿命。パルス回路に用いても特性劣化しない。グチッド逆電流に設計と材料から考慮,平衡型増幅器のパルス回路に好適。
日立1959年。測定器用の高入力抵抗管。
(原型・構造・特性)
不明。
NEC?1968年。(12FQ7,12FQ7/12R-LL5)
(原型・構造・特性)
6FQ7の300mA版。当初12FQ7は米国EIAに無かったが,その後登録され,12R-LL5は無くなった。
東芝1969年。
(原型・構造・特性)
不明。