Return to Square of H.m. Radio/自作管球ラジオの広場にもどる
以前ちょっと書きましたが最近低電圧動作のラジオを作りましたので報告します。
今回は3極5極管の6AB8を使用して低電圧動作の1球高一ラジオを作りました。
6AB8は3極部と5極部がカソードが共通で使いづらいかわりヒータ電力は比較的少ないので電源に電池を使用してポータブルラジオとして完成させています。A電池には単3を6個使用し、B電池には006Pを2個使用し、更にA電池の6個の単3をこれに直列に接続していますのでB電圧は単電池の電圧が1.5Vのときには27V,想定している放電終了電圧の0.9Vのときには16.2Vで動作します。(A電池は使い古しの電池を使う場合が多いので多めにしています。)B電池が006P2個で済むのはメリットかとも考えましたがやはり電池管を使用して006P5個位で動作させる方が電池代は安くつきます。ポータブルラジオでありながらヒータが橙色に光るのがはっきり見えるのが面白いといえば面白い点です。
このラジオ、あまり手間を掛けず作りたかったのでケースは100円ショップで売られていた透明プラスチックケースに組み込まれています。その他、機械的構造もやっつけ仕事的で多少おはずかしい状態ではありますが,皆さんにご覧いただければ幸いです。
特色
1、MT管1球でスピーカを動作させる高一。
2、6.3V傍熱管使用のポータブルラジオ。
3、バリコンにポリバリコンを使用
4、B電圧16.2−27Vの低電圧動作。
使用球
6AB8 1球
回路構成
高周波増幅 :6AB8 5極部
検波 :6AB8 3極部でグリッド検波
電力増幅 :6AB8 5極部(レフレックスでRF段と共用)
電源
A電池=単3 6個
B電池=006P 2個(A電池も直列に接続)
大きさ
160mm x 115mm x 48mm (つまみ部分除く)
主要部品
例によって大半はトランジスタラジオ用の流用、又は改造使用。
真空管
TV抜き球の6AB8を使用。5極部は500キロオーム程度のグリッドリークをつなぐと初速度電流により−0.5V程度にバイアスされ、この条件で使用しています。この使い方でEp=Esg=12Vでは相互コンダクタンスは1.4mA/V程度あります。3極部は500キロオーム程度のグリッドリークをつなぐと初速度電流により−1V程度にバイアスされ,この条件でEp=12V時増幅率=12,相互コンダクタンス=0.4mA/V程度です。当初B電圧6Vで計画したのですがさすがに6Vでは無理でした。ラジオとしての動作は確認はしていないのですが12V程度では使用できそうです。普通の球でこのように低電圧で動作するものは6AB8以外にも実は結構多いようです。
バリコン:
FM、AM多バンド用で、AM用の部分が330pF程度の2連になっているポリバリコンで厚さが30mm位あり、内部のスペースに余裕があり、各ステータ間の間隔が比較的広く開いています。この種のバリコンはまだミツミあたりのカタログにも載っています。ユニット間にシールドはないので発振の心配があり発振するようであればシールドを取り付けようと思っていたのですが、各ステータ間の間隔が広いためか発振することはありませんでした。シャフトには延長シャフトを付けて普通のつまみを使用しています。
RFコイル:
直径8mm位のコア入りボビンに同調コイル(130T)と再生コイル(22T)を巻き、これに5.6mHのコア入りのチョークコイルを同軸上に接着しプレートコイルとしています。
再生バリコン
VRで代用
検波管の負荷
ST−30(相当品)をタップを使用せずチョークとして使用しチョーク負荷としています。
出力トランス
トランジスタラジオ用のトランスのコア(15mmx20mmx5mm位)に1次側2300T、2次側60T巻いたものを使用。
性能
寝屋川市(大阪府)の自宅鉄筋アパート内で、内蔵バーアンテナのみで京阪神の地元AM局は全て分離受信できます。 夜間は同条件で遠距離局を結構受信することができます。最大出力はせいぜい10mW程度ですが一人で聞く程度であれば実用上十分な音量が得られます。A電池の寿命は単価が最も安いと思われる100円ショップの6個100円の単三で間欠使用してtotal約1時間30分程度です。B電圧は15V程度になっても十分動作します。
その他
最近,高一の製作に必要な等容量の2連エアバリコンは手に入り難いですが,このようにポリバリコンを使用することができる場合もあることがわかりました。また、AC電源で使用するようにする場合でもB電源はヒータトランスの6.3Vを倍電圧整流する程度で得られる電圧で動作するので電源回路の製作が簡単になります。
以上,何かの参考になれば幸いです。