Return to Square of H.m. Radio/自作管球ラジオの広場にもどる
私はSMT管のラジオを今までに何台か製作しています。構成はどれもほとんど同じですが,一応最新のものの概略は下記のとうりです。回路 :電池管式4球スーパー
電源 :A電源=単2×1 B電源=015(22.5V)×2
使用球 :周波数変換 =5678
:中間周波増幅 =5678
:検波(グリッド検波)=5678
:電力増幅 =1AD4
球以外の部品 :主要部品はトランジスタラジオ用の流用または改造
大きさ(mm):100×65×30 (195cc)
裏側からの写真です。左は回路基板,右は電池。
回路基板の下側にスピーカがすっぽり入り込んでいます。スピーカは一応普通のダイナミック型(45mm位)ですが,マグネット部の高さの低い物を使用しています。出力トランス,ボリウム(S付)も基板の下側にあります。電池の下側には何もありません。
5678、1AD4は本来導電性の塗料でコーティングされていますが中が見えなくておもしろくないのではがしてしまっています。その分球と球の間にシールド板があったりアルミフォイルが巻いてあったりします。IFTは7mm角で2個共単同調で使用しているので分離はいまいちです。バリコンはジャンク屋で見つけた15mm角位の小型なものです。
回路は、中間周波増幅,電力増幅は特に変わったところはありません。検波は2極管検波+電圧増幅にしたかったのですが球が手に入らないのとどうしても4球以内にしたかったので諦めました。周波数変換も専用の変周管が手に入らない(最近サトー電気で1V6が入手できますが)のとやはり4球以内にしたかったので5極管コンバータにしています。回路はフィラメント用にコイルを2重に巻くタイプですがアンテナ側の同調回路との干渉により発振が不安定になるのを防ぐため中和回路を設けています。それでも発振はやや不安定な傾向があるのですが一応A電池=1V、B電池=30Vまでは動作します。
試作はMT管式ポータブルの回路をブロックごとに使用予定の回路,部品に置き換えていくというような方法で行いました。実は1970年前後の6石スーパーをかなり意識して作っています。というのは,私は中学のころ友人と”トランジスタと真空管はどちらが優れているか?”という他愛もない議論をしたことがあるのですが友人の「真空管ではあのポケットサイズのトランジスタラジオみたいなものは出来ないだろう?」という言葉には返す言葉もなく,それ以来ずっと,なんとか真空管式で当時の6石スーパー並のものを作れないものかと考え,ようやく実現したというわけです。まあ,かなりしょーもない話ですが(^^;)。
部品の配置は実は「4本の球がきれいに並んでいること。」に一番重点を置いて決めてあったりします。
音量調整は、100kΩのSW付きVRが直接、検波管のプレートの負荷になる形ではいっています。 トランジスタラジオ用の小型のSW付きVRは昔は5kΩのものがほとんどだったのですが最近は50kΩとか100kΩのものが手に入ります。それでも5678の負荷としては低いのですが、実際には1MΩ位にした場合とそれほど差はないようです。
真空管を受けているのは、お察しのとうりICソケット(1.5mmピッチ)を切り取って作ったソケットで,一応球の交換がしやすいようになっています。
015の電池ホルダは手作り(というほど大したものではありませんが)のものです。015は、平らな電極が両端にありますので1.5Vの単電池と同じような感じで使用します。あのラジオの場合は基板上に+と−の端子が並べて設けてあり、これに、互いに逆向きに2個並べた015を、ケース側に設けたショート板兼押圧ばねで押し付ける構造になっています。
余談ですが私はこれを調整しているとき、誤ってA+とB+をショートさせてしまったことがあります。このときはさすがにもともとフラッシュバルブ用の電池だけあって4本の球が一瞬フラッシュの如く青白く輝いて断線して呆然としました。これ以来、基板上に設けた+の端子とラジオの回路との間に470Ω位の抵抗を入れ、誤ってA+とB+をショートさせた場合に備えるようにしています。
CRの値とコイルの仕様
それほど理論的な裏付けはありません。実際に使用される部品のバラツキ等によって,多少変更する必要があると思われます。実際に製作される場合は下記の内容を参考に調整してみて下さい。
(コンバータ回路)
C7-R1は,この時定数が大きいとブロッキング発振気味になります。Rは高い方が感度が良くなる傾向があります。C7は小さすぎると周波数の低い方で発振が不安定になります。12pFはほとんど下限値です。
C8は中和用のコンデンサで,使用するアンテナコイルや局発コイルの種類によっては必要ない可能性もあるのですが,このようにTR用のコイル類を改造して使用する場合は必須のようです。特に高い周波数のとき,アンテナ側の同調回路を局発の周波数に同調させても発振が止まったり異常な状態になったりしないようになる値に調整します。0.5-1pF刻みで可変し,1-3pF位の範囲で調整します。
R2は,0-1Mohmの範囲で可変し発振の安定性と感度の両立する値を探します。発振の安定性はそれほどクリテイカルには変化しないようです。
R3は周波数により発振の振幅が大きすぎる場合,周波数により振幅が変化する場合など,入れると効果的な場合があります。基本的にはそのような場合はフィラメントコイルの巻き数を加減します。
局発コイルはだいたい図の仕様が良いようです。L4は使用するバリコンにより巻き数が多少異なります。私が使用したのは150pF位の同容量のものが2連だったので,120pFのC9がバリコンに直列に入っています。一般的な親子バリコンであればこのC9は不要です。また,L4は110t位が良いと思います。
L2, L3は巻き数が少ない方が感度が良くなる傾向がありますが,発振が不安定になるので兼ね合いで加減します。
L5は中和用で基本的にL2, L3と同じ巻き数にしますが,C8の値が大きすぎてトラッキングに影響するような場合には巻き数をもっと増やすことによりC8の値を小さくすることができます。
(中間周波増幅)
R4はIFの発振止めで,必要ならば入れます。
C14は小さい方が,R6は大きい方が感度が良くなる傾向がありますが,一般的なR6=1Mohm, C14=100pFとしても大きな差はないと思われます。
(フィラメント回路)
各フィラメントに入っているC3-C6は1uFは必要ないのですが,0.1uF程度のものはいれたほうが無難です。
(IFT)
IFTは実機では図のような仕様になっています。IFT-Aはお送りした写真のものとは変わっています。が,巻き数が多すぎ,Qが低下しているような感じです。実際,トータルの感度は普通の電池管式4球スーパに劣らないのですが,分離は悪くなっています。図に書いたように(Tr用IFTをそのまま使用)する方がよいと思います。
IFT-Bは単同調でも良いのですが,IFT-Aは単同調だと局発の成分がIF段に漏れだしていろいろ不具合を起こすようです。
(出力トランス)
出力トランスは図の巻き数で,8ohm負荷で1次側は実測14kohmになっています。ただし,巻き数比から計算すると7kohm位なので測定方法が正しくないかもしれません。いずれにしても,負荷が低めなので巻けるだけ巻いているという感じです。
コイルのデータ表
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図による説明 |
仕様 | ||||||||||||||||
OSCコイル |
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7mm角IFT改造。巻き方向は全て同じ。
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IFT-A |
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7mm角IFT, 2個改造。
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IFT-B |
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7mm角IFT, 2個改造。
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推奨IFT |
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上のIFTはあまりできが良くありません。 Tr用IFTをそのまま使用し,左図のように使用するのが良いと思われます。 | ||||||||||||||||
OPT |
コア寸法 |
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