ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

Radio Tubes After WWII/戦後のラジオ球

 New Styles after WWII/戦後の新しいスタイルの球

SMT. Subminiature Tube

CMP. Compactron (12T12)

NV. Novar -Magnoval (9T12) -Neonoval (9T9)

Small. Ceramics, Nuvistor, and Micro-metal tubes


Page-Small; Ceramics, Nuvistor, and Micro-metal tubes/小型管;セラミックス管、ニュービスタ、小型金属管

1st ed.(2011.9.23)-(2013.6.20)
HomePageVT/Radio_Tube_Small.html



Small Receiving tubes/小型受信管

Ceramics/セラミックス
Nuvistor/ニュービスタ
Micro-metal Miniature/小型金属管

7077,7266,

6CW4,2B-H5,2N-H11,2N-H12,8393,

8526,

No Photo


Introduction/はじめに

このページは、小型受信用真空管を特集します。セラミックス管(東芝、「スタックトロン」)7077, 7266、ニュービスタ管(日立)8393など、そして小型金属受信管(東芝)8526。


Ceramics Tube - Stacktron ; 7077, 7266

セラミックス管は、1950年代中頃に米国GEが開発し、1958年にはTubeDesignNewsで「軍用装置のメーカはGEのセラミックス3極管7077は平均雑音が5dBも低いことを見つけた」と記事にしています。1964年には送信管に属しますが、ライトハウス板極管6442, 7815に代わるものとして、ミニアチュア・プレーナー・セラミックス・マイクロウェーブ管7911も作っています。

東芝はこのセラミックス受信管を1961年にペットネーム「スタックトロン」として国産化しました。東芝は、はじめ東芝の製品番号M3147(6BY4相当), M3148(7077相当), M3343(7266相当)で開発し、翌後にはEIA名7266, 7077を出荷しました。いずれも「UHF帯の電子機器に使用してセラミックス管として耐熱性、超寿命などの特徴が活用できる」と東芝レビューに語っています。また翌年の1962年には、UHF出力段のドライブ用としてプレート損失の大きい(Pp=5W)、比較的大型のセラミックス管M3455を開発している。1963年には「テレビジョン低可視聴地域解消のためUHFサテライト局が増設されスタックトロンの使用も急に増加した」として、高周波発振増幅用7486(高増幅率3極管), 電力出力段ドライブ用プレート損失5Wの8506(高増幅率3極管, これは先のM3455)を開発している。

8506は「NHK技研の研究依頼に基づき開発、完成した」「8506の名称は従来のM3455をEIAに登録し付与された国際名称である」「これは、今までのUHF用受信管とUHF用小型送信管の中間の電力を扱うもので、現在、NHKで計画、実施中のUHFテレビ放送機に7077,7266とともに全面的に使用されている。また、今後UHF移動無線、ロケットその他広範囲の応用が期待されている」(NewProduct)

[AfJ]

Toshiba Ceramics Tube/東芝のスタックトロン 7266, 7077

Toshiba 7077 and Box/ 東芝のスタックトロン 7077と箱

Toshiba 7266 and Box/ 東芝のスタックトロン 7266と箱

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Nuvistor -8393

ニュービスタはRCAが1960年に開発したもので、1960年に7586を、1961年に6CW4を発表、国内では日立が国産化し市販しました。日立は1962年7月にRCAの6CW4を国産化、トランスレスTV用の2B-H5を開発、1962年10月に7586を国産化、紹介している。実際に国内で市販し普及させたのは日立だけであった。しかし、VHFのTVチューナーでは6GK5を始めとするニュートロード型ミニアチュア管に駆逐され、ニュービスタの出る幕は無かった。また、通信用としてもスタックトロンや小型金属管のように高温に耐える特徴が無かったため、従来の真空管の代替に過ぎず使用は限定的だった。

東芝は1961年に試作品M3205を開発したが、サブミニアチュア管(ミクロトロン)やスタックトロンを優先し、実用しませんでした。また、三菱電機は、やや遅れて、1964年に6CW4, 2B-H5, 2DV4, 6DV4, 8058を開発したことを報告しているが、その後、市販されなかったのではないかと思われる。

Hitach 6CW4 in Dec 1968, and 2B-H5 [Zj8], [ZlB]

日立 6CW4 (刻印8 49, 黒印字8-12, 緑9 X)1968年12月製。何年か前に秋葉原の秋月でザルにざくざくと売っていたもの。右はHitachi 2B-H5(刻印-, 黒印字59, 緑-)

Socket, Hitachi/ソケットは日立製のものでタクシー無線(7N-R30)に使用していたジャンク。[0cT]

Hitachi 2N-H11 in 1971?/(刻印1ケ, 緑H8)1971年製?(岡田章氏がーさんの寄贈)。[0cT]

From left, Hitachi 6CW4 and 2N-H12(5 L29), in Dec 1965, Right, there Base pins [Zj6]

1965年12月製の2N-H126CW4は参考。ベースピンは6CW4と異なり,高周波向けに足が多い。足は新品でも腐食していることが多い。

Box of 2N-H12/箱。段ボールで巻いてある。 [Zj6]

[Af2]

Hitachi 8393/ 日立のニュービスタ8393

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Micro-Metal Miniature Type Receiving Tube; 8526

小型金属受信管(Micro Metal miniature type receiving tube)は、1963年に東芝が開発しました。当時、東芝は米国の工業用の多品種のサブミニアチュア管の国産化に取り組んでおり、一方では新技術として、GEのセラミックス管、RCAのニュービスタの国産化に取り組んでいました。セラミックス管はUHFや高温環境で使用できる新技術として発展が期待されましたが、ニュービスタは新技術の割には民生用受信管と競合する分野でしか利用が期待できずコスト的に不利、しかも、国内他社とも競合すると予想されます。東芝は実用化を断念、その代わりに、ニュービスタとセラミックス管の特徴を用いて、従来のサブミニアチュア管を作る戦法に出ました。東芝の小型金属受信管は、ステムはセラミックスでニュービスタと同じですが、大きく異なるのは、マイカ板に高温でもガス発生の無い人工マイカを使用した以外、不通の真空管と同じ電極構造を持ち、多極管や双3極などの複合管を作ることができる、高温でも動作できる点です。これなら、業務用真空管の分野では多少のコスト高でも十分なメリットが期待できます。

1963年には、RCAのEIA名5734(機械的変位変換管、外囲器はガラス管?)の外囲器をメタル化したM3514(後に5734A)を開発し、さらに通常のサブミニアチュア管をメタル化したM3450, M3451, M3581, M3582(EIA名8524(5636相当), 8526(6111相当), 8527(5718相当), 8529(5899相当))を開発し、1964年には5734A, 8525(6021相当), 8528(5902相当), 8530(5840相当)を作りました。いずれも、UHFサテライト装置用にスタックトロンといっしょに実用に供したようです。(ここまでは東芝レビューの情報)

その後に、東芝の製品番号のままの名称のM3687, M3706,A, M3713が作られています。(1966年真空管活用自由自在より)

あまりにも、特殊すぎて、やはり売れなかったようです。時代は、トランジスタとの競合も時間の問題となっていました。

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