ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

6. Transformer-less/トランスレス

Miniature Superhet/ミニアチュア管スーパー

Transformer-less/トランスレス

Short Wave/短波付き

6: MT Standard Trsless -Wooden
62: MT Standard Trsless -Plustic
61: Two Band -MT Standard Trsless -Wooden
62A::Two Band -MT Standard Trnless -Plustic

Short Wave/短波付き

AM Stereo and FM

62C::Two Band -MT Deluxe Trsless -Plustic
62B:: Two Band -MT Standard Trsless -Plustic -Dual Speaker
65: AM Stereo -Two Band -MT Trsless
63: FM Radios

Page 6. Miniature Five Tube Superhet -(II)Wooden Cabinet Transformer-less (1955-1957)/MT管標準型5球スーパー木製箱入りトランスレス

1st ed. (1998.3.20),(2002.8.2),(2002.8.18),(2004.1.25), 2nd ed. (2006.7.8)-(2010.5.3)-(2013.8.14)

HomePageRadio/Radio_P6.html

Part 1. BC Band Radio/BC帯専用ラジオ

H(48). Televian model 5M-11 in 1955/山中電機テレビアン(5M-11)ラジオ, ('97.12.28), [2002.8.18], [2013.8.14]

H188 Hitachi H-201 in 1956/日立 H-201 ('04.1.24), ['04.1.25]

H(65). Sharp 5M-67 in 1955/シャープ5M67, , ('98.7.26) [98.8.2],['2.8.18]

H(37). Nanaora NRC NR-6M-53 in 1957/七欧通信機ナナオラNR-6M-53, ('97.6.22) ['02.8.18]

FM-AM Radio Section was moved to "FM Radio Page" FMラジオは移転しました ['00.5.5]

 


BC Band Radio/BC帯専用ラジオ


国内トランスレス・ミニアチュア管ラジオの歴史は1950年代中頃より始まった。まだST管全盛期で,ミニアチュア管ラジオはトランスレスといえども高価だった。


H(48). Televian model 5M-11/山中電機テレビアン 5M11 in 1955,
('97.12.28), [2002.8.18], [2013.8.14]

東京大森の山中電機製のテレビアン受信機。MT管トランスレス・ラジオ最初期のモデルの1つ。型番5M-11。「テレビアン」は「ナナオラ(七欧無線電気/七欧通信機)」,「ヘルメス(大阪無線)」などとともに,戦前からの老舗の1つだったが,戦後は苦戦し,1950年代末に東芝に吸収された。

以前,「MT出力管は35C5の時代であり,製造年月は1951年から1955年の間に絞り込める。キャビネットが木製で,パネルの一部にプラステイックが使われている。ダイヤルが旧式を物語っている。どうも1952年頃のように見える。」と書いたが,実は1953年頃でもトランスレスmT管ラジオを出しているメーカは無かった。トランス付きのmT管ラジオも大メーカは1953年頃が始まりであった。そこで,1955年頃ということに修正しよう。

[2002.8.18]マツダ12BD6真空管年代から55年を再確認。

[2013.8.14]Yahoo Auctionにて同形のラジオを発見、型番5M-11を確認。

キャビネットは木製。全体にかなり痛んでおり,ニス塗りだが塗装は残っていない。汚れも酷く本当のジャンク。正面パネルのうちダイヤル部はプラステイック製で,スピーカグリル側とダイヤル右側はパーテイクル・ボードむき出し。何か不自然である。オリジナルはその上にカラー合板かプラステイック板が貼り合わせてあったものが剥がれ落ちたのではないかと想像している。

[2002.8.18記]

裏面。普通の木製ラジオの造り。シャーシやVC,などの鉄部には赤錆が見られる。VCは高床式。シャーシ右端の球は35C535W5で,後ろはケミコンの熱遮蔽板。

(現状)キャビネットに湿度による変形,シャーシやVCなどに赤錆がある。

型番を示す紙。インキは薄くて読めない。型番はL-785型だろうか。製造番号は5031889/ 5631389と読める。

掃除をしてみたが,実に泥とホコリと錆と虫の死骸。ようやくここまで清掃。鉄部は錆が酷い。

ダイヤル面の板はパーティクル・ボード。今の時代,ボロボロと剥がれてくる。糊がなくなっている。ダイヤル板は柔らかい樹脂製で貼り付けてある。

スピーカは自社ブランドであるが紙が貼ってあるだけ。出力トランスはフレーム部の赤錆が酷い。1次側断線。表側の絶縁紙は糊が剥がれている。

H 48 97.C.28 2.5k 山中電機(unkown) 55? WB MT-5SL □□■□▲○

ダイヤル:54-160 x10 kc

ツマミ:(1)Switch, (2)Volume,(3)Tuning

真空管:

12BE6 松下

12BD6 マツダ(左下点)....1955年

12AV6 ホリゾン

35C5 松下<0C> 1960.3

35W4 松下<4I> 1964.9

(部品)

Chem:トーケン。

SP:Televian permanent speaker, Model P__

Back to TOP


H(65). Sharp/早川電機シャープ 5M-67 in 1955
, ('98.7.26) [98.8.2],['2.8.18]

[2002.8.18]マツダ12BD6はオリジナルであることが判明。55年製造と推定。

小型で無駄が無く,お洒落なデザインである。木製なのに2度驚く。この時代にあって,良くこんな形のものを採用したものだと感心。TV時代には木製キャビネットの技術も進歩したが,その最先端のデザイン?骨董市で14inch 球式白黒TVを衝動買いした後,ふと覗いたお店に2台のプラステイック・ラジオに混じり置いてあった。とても欲しくなり後のやりくりを考えながら交渉して半額に負けてもらいました。

正面の図。斬新なキャビネット・デザイン。左のツマミは音量(ヴォリウム・コントロール),右は同調(チューニング)。周波数はダイヤルに大きな数字が表示され,上部の逆三角形に合わせる。ここはパイロット・ランプで明るくなる。撮影の腕前が悪く赤色がうまく出ていないのが残念。

このラジオは斜め正面の方が特徴は良く現れています。正面パネルは下2/3がプラステイックのお面を付け,これが斜めにしぼんでいくデザインとなっています。側面には縦に細長い通風孔が2つ開けられています。

裏面のシャーシ上の様子。キャビネット内ギリギリの詰め込み。奥行きが無いので10cmスピーカの磁石部分がシャーシ後面になる。球は左より12BE6,12BD6,12AV6,35C5,35W4。上部にフェライト棒によるバー・アンテナ。途中,ぷっつり折れて,テープが巻いてある。

裏板の様子。シャーシ上の熱出力密度が高いので,通風孔には気を使っています。中央下のP.U.端子は改造されている。

(状態)

キャビネット:傷はあるが保存されている。天板の検査証は一部が折れ曲がり紛失。Serial No.は途中までしか残っていない。裏板の止め用ネジ4個のうちの1個紛失。ANT入力はプラグ・ジャック式だが,ビニル線が直接ハンダ付けされている。

電気回路:電源スイッチ(キャビネット側面)がはずされ,VRスイッチに変更されている。キャビネットは穴が開いたまま。バーアンテナが折れている。シャーシが中央で歪んでいる。PU端子が増設され,裏板が切り取られている。

部品はホコリが積っている以外に目だった損傷はない。

H(64) 1998.7.26 @5k シャープ 5M-67 1955 Wood MT-5S

早川電機工業 MT5球スーパ

Serial No.3455xx- 天井右側仕様書,天井左側面回路図付き,

90-100-110V,23VA,微電界級,Po1W

キャビネット:木製箱型。塗装は茶ニス?。プラスティックのお面。

サイズ:120H,300W,78D,

ダイヤル:軸直接展開型。ツマミ: 1)VR, 2)Tune

周波数: 535-1605kc/s,IF=455kc/s T-823,50-60c/s,23VA

端子:(Antジャック),(PU)ネジ留め式,

真空管:

12BE6,NEC<銀725,馬蹄形ゲッタ>

12BD6,マツダ<-,角形ゲッタ> (左下点)

12AV6,NEC<銀-,馬蹄形ゲッタ>

35C5,<銀725,長方角形ゲッタ>

35W4,<銀525,長方角形ゲッタ

+SP4 ",

(部品)

Ant-coil:,Osc-coil:,VC:,IFT: 角型T823-A,-B, ,SP:4" PM-40

真空管は12BD6だけがマツダ製で残りはNEC製。NEC製は出力管35C5を除き,銀色の退色が少なく新品同様にも見えるが,35C5も含めてpin-1と7の間に黄色のマークがあり,シャープが付けた可能性があり,オリジナルらしい。12BD6はしかしNECでは製造していなかったことを考えるとどうもマツダもオリジナルのようである。ただし,黄色のマークはない。

Back to TOP


H188 Hitachi H-201 in 1956/日立 H-201
('04.1.24)

日立(製作所)のミニアチュア管によるトランスレス5球スーパーラジオ。本機の製造年はキャビネット裏のスタンプからは1956年,同社初のトランスレス・ミニアチュア管のモデルと思われる。日立製のトランスレス・ミニアチュア管の初期のモデルを見たくてYahooオークションでこのラジオのジャンクを入手した。

このラジオの文献は見当たらないが,翌年の1957年の日立評論に同じトランスレスモデルのB568の記事が掲載されており,「B568は音の良い木製キャビネットを採用、またH-202も販売中」とあるので,H-202の後継機種としてB-568が販売されたものと分かる。また、B-568は内尾さんのWebページに修理録が掲載されており,シャーシは本H-201と同じであることが確認できる。したがって,H-201, H-202, B-568は同一シャーシを用いてキャビネットデザインだけを変えたもの,H-202はイヤフォーン用ジャックをキャビネット側面に出したもので,H-201は日立の元祖ミニアチュア管トランスレスなのだと推定できる。

Front View of Hitach H-201, Volume Nob is not original./

音量ツマミは私が撮影のために付けた借り物でオリジナルでは無い。大ジャンクであったが,写真撮影はまともに見える。

入手したものは,正面パネルにスピーカグリル用プラスティック板が無くも穴あき状態,VC用同調ツマミも1つ無い,OPT付きスピーカが無い,裏板は割れている,という完全ジャンクだった。その他,正面のダイヤル部シャーシ止めネジ1個欠品。裏板止め金具2個欠品。ACプラグがSharp製。ヒューズ欠品。ケミコンの止めネジ1個紛失。20ohm抵抗焼損。VCシャフトずれ。しかし,その後,グリル用プラスティック板が見つかり,また無いと思われたVC用同調ツマミは実は音量調節VRのツマミに位置を変えていただけで,無かったのは小さな音量調節用ツマミだけ,ちょっと手を入れれば,まともになりそうである。

Back View of H-201, Speaker had been lost/スピーカが無い.真空管を抜いて撮影した。

木製のキャビネットで小型,バーアンテナ付き,トランスレスという設計は,前年のシャープ製の5球スーパー(H(64). Sharp/早川電機シャープ 5M-67 in 1955)と良く似ており,その時代の流行りである。ただ,垂直シャーシは珍しく,また出力管と整流管の上部に熱遮蔽板があるのは後期のプラスティック・ラジオに受け継がれた技術でもある。バーアンテナには外部入力端子が用意されている。

Back Panel, Broken/裏板は割れている

Paper/はり紙

Ser.285605。キャビネット裏に(31.5.24)とスタンプされており,1956年5月24日であるから,Serial No.後半の5605は,56年5月を意味することが分かる。するとSerial No.前半の2桁は日付け,すなわち5月28日製かもしれない。真空管にもステム側に5の文字がスタンプされており,56年5月製であると推定できる。

Circuit Diagram of H-201/回路図

回路は何の変哲も無いトランスレスである。フローティングアース式。

Tubes, left four, 12BE6, 12BD6, 12AV6 and 35W4, made in 1956 and 30A5 in 1960s.

真空管は,出力管35C5以外はオリジナルで,真空管のプリントは銀色で「横長の管名枠の下に日立ロゴとローマ字でHITACHIを並記」するスタイルである。本ラジオを入手したお陰で,日立が1954-5年頃に用いていた「管名枠の上に大きな日立ロゴのみ」というスタイル(ロゴを知らない海外ユーザーには日立製だと分からない)が1956年には変更されていたことを確認できた。なお,出力管35C5は1960年代の30A5に変えられていた。

Vertical Chassis with Bar Antenna

シャーシを取り出した状況であるが,中央の12AV6はシールド付きで,ソケット裏側からコンデンサのワックスが流れ出て真空管のボタンベースと足を固めていた。そのワックスはまた下部のIFT側面と12BD6ソケットや球の側面にも及んでいた。

Back Side View of the Chassis, Bar Antenna

Top View of the Chassis

VCの軸はシャーシ面に対して曲がっている。恐らくゴム足が潰れて歪んだもの。おかげで同調ダイヤルのツマミが曲がった状態になる。

Front Side View of the Chassis, Tubes are, fron left, 35W4, 35C5, 12AV6, 12BD6 and 12BE6.

from the Left hand side, 35C5 socket and 35W4 socket

35W4のソケット端子に接続されたヒータラインの抵抗20ohmが焼損して白く見える。本機のスピーカが取り外されている,ヒューズがない理由と関係があるかもしれない。出力管に異常電流が流れ,OPTが焼損?ヒューズも切れたのだろう。パイロットランプに8Vの規格外が付いている。これが原因か?また,出力管35C5のソケットのリベットが2本とも脱落しソケットが1cm程シャーシから沈んでしまった(裏から見ると浮いてしまっている)。出力管を強く押し付けた際にリベットが脱落したに違いない。

修理はOPT付き10cmスピーカを入手して取り付ければ概観的には整う。木製キャビのトランスレスは痛みも大きく綺麗なラジオは案外少ないのではないか。部品取りにせずになるべく修理保存するのが良い。

Tubes;

12BE6 着炭P, (緑字Eへ5)(5).

12BD6 着炭P, (緑字cク11)(5)...pin2が折れてガラス少々剥離。上半身の半周がコンデンサのワックス付着

12AV6 着炭P, (緑字Eナ5)(5)...ベース底にコンデンサのワックス付着

30A5 着炭P, (緑字Hナ)...ドーナツG

35W4  燻銀P, (緑字1Eチ11)(5)...カソード少々剥離

PL; Nikken 8V

VC Model C-115 Cap 12-430pF, IFT; T-823A, B 455kc

VR Noble 500kA, (31.4A)

Chem Nippon Chemicon 0456202 (40,40,20, 150WV)

SP; 4" PDS(欠損)

バーアンテナ,185x10

Back to TOP


H(37) Nanaola NRC NR-6M-53 in 1957/七欧通信機ナナオラ 6M-53, ('97.6.22), ['02.8.18]

戦前の2大ラジオメーカー七欧無線商会ナナオラの末裔,七欧通信機(ナナオラ)のトランスレス。キャビネットは木製中型,スピーカは6半で,しかもマジックアイ付き,50年代後半では中クラス(やや高級)のラジオ。七欧通信機は1950年代末に東芝に吸収された。

この時代,木製キャビネットの正面パネルにはプラスティック製のお面を被せるのが流行した。お面の左半面は縦格子構造のスピーカ・グリルで青味がかった灰色,右半面はダイヤル・スケールと操作部でクリーム色の下面とクリヤーの上面の2重構造。ダイヤルは縦型スライド式だが,同社の1954年製の6S-23AM(アイ付きST5球スーパ)にも見られ,それほど奇異ではない。キャビネット木材は2枚の平行貼り合わせ板を用いているのが少々変っている。回路はトランスレスだが,アイ付きで,パイロット・ランプもある。これは19A3のおかげ。メーカ製は一般にPC(パディング・コンデンサ)を使っていない。12BD6はゼロ・バイアス。AVCはD-AGC,PU時に12BE6,12BD6の+Bが切れる。トーン・コントロールSWがある。19A3はパラに100Ω,直列に15Ωあり。PowerSWとSPのコンデンサが連動(プチという音がしない?)。

[2002.8.18]年代を58年から57年に訂正。

キャビネット内部がいやにすっきりしている。

(状態)

キャビネット:天板1枚(正面パネル側)紛失し,内部にホコリが積っている。キャビの糊は全体的に剥がれ,内部三角補強材も脱落,完全分解寸前。キャビ側板は2枚の板を横に貼り合せたものだが,バラバラに動く。かろうじてキャビ後面のL字金具で底板,側板,天板が留っている。裏板サン(溝切り)は在るが,脱落している。裏板はACコードの絡みつきで紛失を免れた。回路図:ダイヤル機構説明図:仕様書:検査証は剥がれていたが底板からほこりにまみれて見つかった。

電気回路:部品はホコリが積っている以外に目だった損傷はない。

H3 37 97.6.22 .5k ナナオラNRC NR-6M-53 57 WB ST-5SL E ★★☆□▲○

-------------------------------------------------------------

七欧通信機「ナナオラ・ファミリー・スーパ」アイ付きMT管レス・スーパ

貼紙:回路図/ダイヤル機構説明図/仕様書/検査証あり,Seri:?????

キャビネット:木製箱型,プラスティック面。

サイズ: 450Wx250Hx190D(公称),450x225x178

ダイヤル:縦スライド型。ツマミ: 1)PoSW+ToneSW, 2)PuSW+Vol, 3)Tune

周波数: 535-1605kc/s,IF=455kc/s,仕様:Po=2.3Wmax,AC100V,50-60c/s,23VA

端子:(Ant,E)ワイヤのみ,キャビ内面に金属紙容量板,(PU)ネジ留め式?

真空管:

12BE6,松下<A1/NJ?> .... 50-48 >36 1958

12BD6,松下<A1/NL> ....★15 <41 1958

12AV6,マツダ<右上> ....★[43,32,39]> [32,40,40] 1957

30A5,松下<10 OR OI>....★36-30/42-41 <50 1957?

19A3,マツダ<右上>...... 52 >40 1957

12Z-E8,.................未チェック

+SP6.5",

(部品)

Ant-coil:,Osc-coil:,VC:,IFT:角型,SP:6.5"

Back to TOP

(c)1998-2000-2002, 2013 Koji HAYASHI All rights are reserved.