ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

Other Radios/その他のラジオ

Portable/ポータブル

Autoradio/自動車ラジオ

9: : Battery Tube Portable Radio
Transistor Radios
10: Tube Auto Radio
10B: Transister Auto Radio

Page 9. Portable Battery Tube Radio (1951-1960)/ポータブル電池管ラジオ

1st ed. (1998.8.4)+(2000.6.5)+(2001.1.14)+(2001.1.20)+(2002.3.5), 2nd ed.(2006.7.16)-(2010.5.3)

HomePageRadio/Radio_P9.html


P(117) Shirasuna Silver BX-100 4 tube super in1954/白砂電機シルバーBX-100 4球スーパー , ('00.1.9), ['00.6.5]

P(118) CROWN PR535 4 tube super in 1957?/旭無線電気クラウンPR535, 4球スーパー ('99.12.28) ['00.6.5]

P(135) Shirasuna Silver DX-300 AC-DC 4 tube super in 1955/白砂電機シルバーDX-300 4球スーパー, ('01.1.4), ['01.1.20]

P(119) Koyo Excel T211 4 tube super in 1957?/光洋エクセルT211, 4球スーパー ('00.1.25) ['00.6.5]

P(62). Tokai Radio Ind. Million P-46 4 tube super in 1955/東海無線工業ミリオンP-46 4球スーパー, ('98.5.24) [98.8.4]

P(120) Sato-Denki 4 tube portable super Kit in 1999/サトー電気4球ポータブルスーパーキット, ('99.12.16), ['00.6.5]

P(133) Toshiba Matsuda Companion D, 5PB-90 5 tube super in 1956/東芝マツダ コンパニオンD, 5PB-90, 5球スーパー('00.12.8), ['01.1.20]


MT Portable Radio/MT管ポータブル・ラジオ


米国では戦前の1940年1月にRCAが新型の電池管(Miniature Tube/MT管, フィラメント50mA管)を開発,GE, RCA Victor, Zenith, Admiral, Philco, Garod, Crosleyなど約10社のラジオ・メーカが1940年から41年にかけてさっそく製品化しました。真空管のラインナップは,周波数変換が1R5, 高周波増幅が1T4, 検波増幅が1S5, 電力増幅が1S4(100m管)でした。1940年1月に発表後,翌年までにはAC電源でも使える3way Portable用にフィラメントが1.5V/100mA-3V/50mA両用とした3S4も出ました。日本では電気通信学会誌の1941年11月号に「超小型放送受信機」という題名で,RCA Victorの乾電池ラジオBP-10やAdmiralの3way Portable 29-GSなど,写真と回路図入りの解説が掲載され,少なくとも専門家の間には米国の様子は分かっていたはずです。戦前には東芝マツダが米国相当管を試作したのですが,戦争のためにMT管の国産化は中断し,戦後に持ち越されました。

戦後になって日本では軍用球が市場に溢れました。戦時中には品川電機が米国mt管を基に独自のB03, B04を作っていましたが,1948年頃にはB03, B03Aを用いたポータブル・ラジオの自作記事が雑誌をにぎわせました。また,戦後UY-14Mなどのピーナッツ管も使われました。しかし,旧来のラジオ・メーカは復興のための家庭用ラジオの製造に忙しく,しかし,資材入手難,財政的な逼迫,会社存亡の危機など,激動期にあって,ポータブルどころではなかったようです。一息ついた1949年頃になって米国型のMT管(フィラメント50mA管)をNEC,TEN,JRC,仲田電機がようやく製品化,ラジオ・メーカも大手早川電機シャープが1950年になって初めて4球スーパのPR-2を販売しました。ドアを開けるとスイッチが入るもので,戦前のスタイル。このころの電池式ラジオは写真に見るばかりです。七欧無線電機(ナナオラ)2way電池式受信機は1R5, 1T4, 1U5, 3S4の4球構成でセレン整流器を用いたものでした。モダンなデザインでしたが,これは卓上型(Table Top)のラジオでポータブルではありません。電池箱が下にあり,どちらかというと非常用ラジオかエリミネータが出る前の昭和初期のラジオといったところです。折しも,極度の不景気でラジオ会社は倒産も続出,なかなか売れません。しばらくは,米国のコピー製品が出たようです。

その後,朝鮮戦争で景気が回復しはじめて,本当のポータブルの時代が到来しました。1954年頃には,不経済な米国50mA系のフィラメントに代わり,PhilipsのDシリーズ(25mA系)が現れ,国内では提携していた松下ナショナルがまず国産化。他の国内球メーカは焦りの色濃く,神戸工業TENや東芝マツダは急遽日本独自のSFシリーズを開発し対抗しました。また,日本電子管製作所(パーム)や太陽電子(アポロ)はサブミニアチュア管のSFシリーズも作りました。この頃になると,ラジオ産業もポータブルを組み立てる新興会社が続出,輸出も好調で,大変な賑わいとなりました。

1955年9月に無線と実験に特集が組まれ写真と回路図が掲載されました。それだけでも,以下のようなメーカがありました。イースター(マル信無線電気),シルバー(シルバー商事),バンビイ(富士電機音響製作所),クラウン(旭無線電気),リンカーン(リンカーン無線電機),オータ(オータ・ポータブル工業),サトー(佐藤部品),ユニオン(大成無線),スタンダード(スタンダード無線工業),フジ(村山無線),ナマジマ(中島無線),パーム(日本電子管製作所),ミリオン(東海無線工業合資会社),パートナー(日本無線研究所)。

標準形式は4球ポータブルで,これは5球スーパの整流管を除いて高圧の積層乾電池に置き換えた形式です。真空管は米国型,1R5, 1T4, 1S5, 3S4がスピーカを鳴らすことができますが,大柄で消費電力も大きいのが欠点。そのため,早くからセレン整流器を内蔵した3ウエイ電源(AC, 外部DC, 乾電池)の4球ポータブルも登場しました。高圧はもちろんトランスレスですが,フィラメントも全部直列に接続しても7.5V/50mAですからAC100Vを整流した電源を用います。点火中に球を抜くと他のフィラメントが断線するという事故が起きました。もちろん,電源回路の故障でも全フィラメントが断線という事故も起きたそうです。実に危険なものでした。

また,乾電池式で省電力を図る方法として,イヤフォーンで聞く3球ポケット・ラジオも作られました。周波数変換管,中間周波増幅管,検波増幅管の3本で,スピーカは鳴らせませんが電池の消費が少なく小型です。デラックスなポータブルは高周波増幅付きの5球形式で,短波を含めた3バンド型も作られました。

1955年から数年の間にポケット型真空管ラジオのためにラジオ部品が究極なまでに小型化されました。IFT,バリコン,ボリューム,スピーカ,プラスティック・ケース,バーアンテナ,高圧電池,イヤフォーンなど。しかし,1955年は同時にSONYのトランジスタ・ラジオが出現,1950年代後半は多くのラジオ会社がやがてトランジスタ式へと移行して行きました。トランジスタさえ手に入れば,あとは家内工業みたいなものだったのです。そのままスムーズにトランジスタ・ラジオに移行できました。さらに真空管ポータブルが開拓した米国市場にトランジスタ・ラジオはそっくりそのまま肩代わりして米国への輸出攻勢に拍車がかかる一方で,真空管式ポータブルそのものは電池の消耗のために見放され,1960年頃にはすっかり消えて無くなりました。

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P(117) Shirasuna Silver BX-100 4 tube super in 1954?/白砂電機シルバーBX-100 4球スーパー ('00.1.9), ['00.6.5]

Shirasuna Electric four tube super for dry battery, made in October 1954.

白砂電機の電池管4球スーパ。乾電池のみに対応する初期の大型ラジオ。1954年10月製。Yahooオークションで入手。保存状態は非常に良かった。

Cabinet made by Bakelite. Right hand side nob is Frequency dial and left volume with power switch./ ベークライト製のキャビネット。右側面に周波数ダイヤル,左側面にボリューム兼電源スイッチ。

Back side/裏面。何もない。

 

Sales tag and Frequency dial/販売タグと周波数ダイヤル

Inside view. 8.5 cm speaker at center. Upper clear box is "A" dry battery. a big B battery should be located at right side space of the speaker magnet. /内部。中央に8.5cmのスピーカ。上部にA電池1本のプラスティック製の透明な箱。B電池はスピーカの右のスペース。かなりでかい電池である。

 A battery is 1.5V and B 67.5V, type BL-145./A電池は1.5V, B電池は67.5V, BL-145。

All tube's are made by Kobe kogyo TEN (Fujitsu). From the left hand side, 1S5(TEN DC4), 3S4(BK5), back 1T4(DH4), front 1R5(DII). All were in 1954, except with 3S4(1952?). Unfortunatly, 3S4 is dead (air leak by pin tension). Big size IFT is used as 20mm.

真空管は全てTEN製。左から1S5(TEN DC4), 3S4(BK5), 奥に1T4(DH4), 手前に1R5(DII)。3本は1954年製であるが3S4だけは1952年製か?3S4は残念なことにステムからひびがが入り死んでいる。このひびはソケットのハンダ付けによるテンションが酷くかかった模様。IFTは20mm角のでかいものが使われている。

Looks like Tight wiring/かたい配線のようである。抵抗類は経年変化が大きいベークライト・モールド型。抵抗値が大きく変わる。コンデンサもベークライト・モールド。ベークライトが収縮し割れがはいる恐れあり。注意。

Envelope and manual/取り説と封筒

Circuit; Superhet using battery/ 回路形式:電池式スーパーヘテロダイン

Rec Frequency; 530-1650kc/ 受信周波数 530-1650kc

IM Freqency; 455kc/ 中間周波数 455kc

Tubes;1R5, 1T4, 1S5, 3S4/ 使用真空管 1R5, 1T4, 1S5, 3S4

Antenna; Oxside core antenna/ アンテナ オキサイドコア・アンテナ

Output; 150mW/ 出力 150mW

Power; A1.5V UM-1 x1, B67.5V BL-145 x1/ 電源 A電池1.5V UM-1 x1, B電池67.5V BL-145 x1

Speaker; 3-1/2 inch PDS/ スピーカ 3-1/2 inch ダイナミックスピーカ

Size; 195x140x60mm / 形状 195x140x60

Weight; 1.6kg (inc. battery)/ 重量 1.6kg (電池共)

Original Price 6,800 yen (in 1954)/ 価格 \6,800

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P(135) Shirasuna Silver DX-300 AC-DC 4 tube super in 1955/白砂電機シルバーDX-300 AC-DC4球スーパー, ('01.1.4), ['01.1.20]

白砂電機のAC-DC 2ウエイ電源のポータブル・ラジオ。1955年4月製?キャビネットは大きい(215x135x60mm)。通常の50mA管を用いているが,単1型2本を直列にして電池の延命を図っている。入手した機種は国内向けに販売されたもので,内部に英語の貼り紙もあるが,一部日本語の貼り紙がある。Yahooオークションでジャンクとして入手。保存状態は良くない。

正面右の大きい同調ダイヤル。左上にボリューム兼電源スイッチ。AC-DC切替スイッチは内部にある。シルバーの社名の文字(エンブレム)が破損している。

キャビネット裏面。交流電源を持つので上部と右側面に放熱口。

キャビネット構造は上部に放熱孔,開閉のために下部に蝶番を,上部は板バネの爪が2カ所ありぱちんとロックできるように改善された。一見,内部は汚れている。上部の開口部からホコリや湿気が入ったため。シャーシ止め用ネジは3カ所あるが,現状右2カ所はネジ紛失し止まっていない状態。誰かがはずしたまま放置したらしい。電池ボックス付近の金属板は赤錆。

右側のアルミ板は交流電源のユニット。写真では茶色のACプラグがユニット上部に差し込まれているが,これがAC-DC切替スイッチ。すなわち,スイッチはキャビネット内部にある。差し込むことによりDCになり,引き抜けばACになる。下にセレン整流器があり絶縁のために紙製パネル(放熱のために多孔)。スピーカは見えないが電源部裏に2-1/2inch(6.5cm)のかわいいものがある。電源アルミ板下部の茶色はイヤフォーンソケット2個。スピーカとイヤフォーンの切替はスイッチで行う。電源アルミ板中央の赤いスライド・スイッチ/E-S(SP-Phone Switch)がそれ。イヤフォーンは裏蓋を開けて接続後,キャビネット下部のACケーブルの引き出し口から外に出す。

バーアンテナは本来キャビネット内部いっぱいの長さのものが使用されているはずだが,現状は折れて短くなっている。バーアンテナでは感度が不足する場合,緑色の補助外部アンテナ線もある。バリコンの左,出力トランスの上に仕舞う場所がある。

補助アンテナ接続法。

輸出向けの貼り紙だが国内向けにもそのまま出荷したらしい。電池はA; (1.5V, UM-1 )x2, B; 67.5V, BL-M145。出力管3S4は3V/50mAまたは1.5V/100mAだから,高1付きの5球構成だと丁度良いのだが,4球構成では1本半端になり,結局1T4と直列に抵抗を挿入している。

真空管は4本。TENの通常の50mA管が使用されている。左より1R5(EB3), 3S4(EB2, シールド箔が巻いてある), 1S5(FC5K), 奥は1T4(EB1)。製造はEBは1955年2月,FCは1956年3月でFCには頭に緑のペイントが無いから,本機は1955年に製造され,翌年以降に検波管1本だけ交換されたと思われる。IFTはフラット型になり20x10mmというところ。

電池箱右のコンデンサ,ベークライト・モールドの0.5uF/400Vは割れている。

Circuit; Superhet 2way PS/ 回路形式:2電源式スーパーヘテロダイン

Rec Frequency; 530-1650kc/ 受信周波数 530-1650kc

IM Freqency; 455kc/ 中間周波数 455kc

Tubes;1R5, 1T4, 1S5, 3S4/ 使用真空管 1R5, 1T4, 1S5, 3S4

Antenna; Oxside core antenna/ アンテナ オキサイドコア・アンテナ

Output; ?mW/ 出力 ?mW

Power; A1.5V UM-1 x2, B67.5V BL-M145 x1, or AC 100V/ 電源 A電池1.5V UM-1 x2, B電池67.5V, BL-M145, or AC 100V

Speaker; 2-1/2inch(6.5cm) PDS/ スピーカ(6.5cm) ダイナミックスピーカ

Size; 215x135x60mm / 形状 (215x135x60mm)

Weight; ?kg (inc. battery)/ 重量 ?kg (電池共)

Original Price ? yen (in 1954)/ 価格 \?

赤字部分はBX-100と違うところ

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P(62). Tokai Radio Ind. Million P-46 4 Tube Super in 1955/東海無線工業ミリオンP-46 4球スーパー, ('98.5.24) [98.8.4]

Four Tube radio P-46 made by Tokai Radio Industry (Million) in 1955. This is saved power type radio without speaker and output tube.

東海無線工業合資会社(静岡市)製の4球ポケットラジオ。スピーカーと出力管を省いたイヤフォーン型の省電力タイプの高1付きスーパー。ついに骨董市でポータブル(ポケット)・ラジオ発見。しかもSF型なので高価であったが購入。その後,幸運にも保守用のSF管も秋葉原で発見,近頃には破格の値段で多量に仕入れて来ました。(球については別のページに掲載予定)。

Pocket radio. Price was 4,980 yen included ear phone. Cabinet is made by unti-shock styrole. However, it is not so strong for shock. ポケット・ラジオ。当時は,イヤフォン1個付きで@4,980円で販売されました。キャビネットは耐衝撃スチロール製だが,それ程強くなく,裏蓋のはめ込みを中心にひび割れがある。

専用のショルダー・ケース。当時@400円。皮製でイヤフォーン入れも付いている。蓋をあけるとダイヤルが操作できる。

Inside View. From the upper left hand side, volume, ear phone jack and bar antenna. From the middle left, variable condencer, four tubes. 7mm IFTs are backside of the tubes. From the lower left, battery scape for UM-2 and BL-30L(45V).

裏蓋を外した図。左上にVR,イヤフォン・ジャック,バーアンテナ。中段左からバリコン,真空管4本,その陰にIFT,7mm角くらい。下段左より,電池は単2のスペースと45VのBL-030L。バーアンテナ内蔵。3連バリコンはとても大きいが,当時のトランジスタ・ラジオにも使われた。その割に内部はとてもコンパクト。

まだ通電していない。果たして,電池は?45Vのものはテスターを当てると17.6Vから見る見る間に下がっていく。単2を入れて測ると何と2V。うーむ。球も点火しない。錆で抵抗が高いのか?ガリガリ音から確認できたのはイヤフォーンの活きていることだけであった。

Although the tubes described in the circuit diagram are 1T4, 1R5, 1T4 and 1S5, this used SF(Saved power filament) type tubes such as 1R5-SF, 1T4-SF and 1S5-SF made by TEN. / 回路図には1T41R51T41S5とあるが,実は神戸工業TENのSFシリーズが使われている。

仕様

Ser.601778。 1955年11月17日製

回路方式:同調型高周波増幅段付き4球スーパー

受信周波数:535-1605kc,中間周波数:455kc

サイズ:139w x 79h x29d,重量:370g (電池含む)

真空管:

1T4-SF TEN <EH4> 1955年7月-4

1R5-SF TEN <EG4> 1955年6月-4

1T4-SF TEN <EH4> 1955年7月-4

1S5-SF TEN <EG4> 1955年6月-4

電源:A電池は1.5V, UM-2, B電池は45V, BL-030L

ANT:10mmX110mm高能率ファリステイック・アンテナ

イヤフォーン:連続挿入式クリスタル・レシーバ(特許)

(4個でも5個でも同時に使える,とある。プラグの上にさらにソケット穴があり,親亀の背中に子亀が乗り,子亀の上に孫亀が乗る,...という具合に)

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P(133) Toshiba Matsuda Companion D, 5PB-90, 5 tube super in 1956/東芝マツダコンパニオンD 5球スーパー, ('00.12.8), ['01.1.20]

大メーカー東芝が作った真空管式ポータブル・ラジオ。コンパニオンDは3ウエイ電源(すなわち,乾電池,100VAC,それに直流)に対応したもの。内容も高1付きスーパーと本格的であるが,スピーカも5インチ(12.5cm)と,このラジオはとにかくでかい。

東芝(マツダ・ラジオ)は1955年から1957年にかけて省電力型(SF)の電池管式ポータブル・ラジオ,コンパニオン・シリーズを販売した。

Name

Type

Year

Tube

Others

Companion A

4PC-61

1955

4S

SP=3", SF Tube, 電池専用

Companion B

4PC-75

1955

4S

SP=3", SF Tube, 電池専用

Companion C

4PE-79

1955

4S

SP=3", SF + Submini, 電池専用

Companion D

5PB-90

1956

RF+4S

SP=5", 3Way電源, Po=150mW, 肩掛けベルト=AC+Ant, 色は3種(ネズミ,うす緑,うす茶)イヤホーン2個付き

Companion E

4PF-105

1956

4S

SP=3", 3Way電源, Po=100mW, イヤホーン2個付き

Companion F

5PB-143

1957

RF+4S

1T4SF, 1R5SF, 1T4SF, 1U5SF, 3Y4

SP=4", 3Way電源, 肩掛けベルト=AC+Ant, AC電圧切替SW,電池省電力SW付き

ポータブル・ラジオの分野は他の弱小ラジオ会社が活躍したせいもあって,大メーカーは苦戦をしいられ,特色を出すのに苦心したに違いない。ヒータ電流25mAのSF管の使用はその1つだが,東芝マツダは球の供給メーカでもあり,他のラジオ会社との競合は得策でなかった。東芝はポータブル・ラジオとして豪華な仕様のものを出すに留まり,1957年に後継機を出した後は,すぐにトランジスタ化してしまった。やがて真空管ポータブルは消滅した。

正面図。右側に周波数ダイヤルとスイッチ付きボリューム。右側にはダイヤルなどの保護カバー(扉)があったが紛失している。

プラスティック製キャビネットは破損しており,割れがある。裏面の青テープが貼ってあるところ。右下の茶色の部分にはイヤホーン用のソケット穴が2つある。右側面の上部に金属製の肩掛けベルト用留め具がある。ビニール製の肩掛けベルト内部には平行2線のACコードが仕込まれており,AC電源使用時にはACコードとなる一方でこれがまたアンテナ線をも兼ねている。

内部。5球構成。アルミ・シャーシを使用。右側のアルミ板の下にはAC電源がある。アルミ板の茶色の部分はAC/DC-Battery切替スイッチである。VRには(31.08)とあり1956年8月製であることが分かる。製造番号CD 108が見える。なお,バリコンには30183,ケミコンにはMR60731,IFTには20162の数字が見える。

裏板

貼り紙。

受信周波数: 540-1600kc, 真空管: 1T4SF, 1R5SF, 1T4SF, 1U5SF, 3S4SF

電池はA: 1.5V 単1型(UM-1)または特単1(UM-1A),B: 67.5V BL-M145

RF付き5球スーパであり,左から1T4-SF, 奥に1R5-SF, 手前1T4-SF, 奥に3S4-SF, 手前1U5-SF。検波管1U51S5のピン配置を変えた球で,米国では戦後直ぐに1S5に取って代わったが,日本のポータブル産業は何故か1S5を使用し続けた。輸出用には1U5の方が良かったらしい。東芝マツダはSF管を作る際に1U5-SFだけを作ったが,TENは1S5-SFも作っている。そんな訳で,このラジオには1U5-SFが採用されているのである。キャビネット右上に赤いケーブルが見えるが,そこにAC整流用の酸化銅半導体整流器らしきものが付いている。IFTはフラット型。まだ大きい。東芝は出力管3S4-SFを開発しこのコンパニオンD,Eまで採用してきたが,翌年の後継機では何故か欧州3Y4/DL97を採用し,3S4SFの使用を止めてしまった。

左やや上にA電池スペース,下部にB電池スペース。右にスピーカ。5インチ(12.5cm)とでかい。

Circuit; Superhet 3 way PS/ 回路形式:3電源式スーパーヘテロダイン

Rec Frequency; 530-1650kc/ 受信周波数 530-1650kc

IM Freqency; 455kc/ 中間周波数 455kc

Tubes;1T4SF, 1R5SF, 1T4SF, 1U5SF, 3S4SF/ 使用真空管: 1T4SF, 1R5SF, 1T4SF, 1U5SF, 3S4SF

Antenna; Oxside core antenna/ アンテナ オキサイドコア・アンテナ

Output; 150mW/ 出力 150mW

Power; A1.5V UM-1 x1, B67.5V BL-M145 x1, or AC 100V/ 電源 A電池1.5V UM-1 x1, B電池67.5V, BL-M145, or AC 100V

Speaker; 5 inch PDS/ スピーカ(12.5cm) ダイナミックスピーカ

Size; 220x140x70mm / 形状 (220x140x70mm)

Weight; ?kg (inc. battery)/ 重量 ?kg (電池共)

Original Price 12,900 yen (in 1956)/ 価格 \12,900

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P(118) CROWN PR535 4 tube super in 1957?/旭無線電気クラウンPR535, 4球スーパー ('99.12.28) ['00.6.5]

旭無線電気(クラウン)のポケット・ラジオ。サイズ160x95x50。これは輸出用モデルで,実際にカナダに輸出されたもの。1998年末に米国のeBayオークションでカナダ人から入手したもの。30年ぶりの里帰りか。内部の真空管はオリジナルである。50mA管が使用されている普通のもの。A電池の消費は早かったろう。

右側に周波数ダイヤル,その上にスイッチ付きボリューム。左側面にイヤフォーン・ジャック。

全てがとてもぎっしりと詰まったコンパクトなラジオ。シャーシは鉄製。真空管は全て日立製。左より1R4, 1T4, 1S5, 奥に3S4。輸出用なのだが,検波管は1S5系である。ベースに緑字があるが読めない。恐らく1957年製。IFTは12mm角のとてもコンパクト。バリコンもコンパクトではあるが比較的大きな鉄製のもの。スピーカは2-1/2inch(6.5cm)程度。その下に出力トランス。バーアンテナは丸棒型で約120mm。

押印されているシリアル番号らしきもの030557は1957年5月3日とも読める。青字のうっすらとした印はカナダ国税庁?の関税支払いの印。National Revennue Canada, DUTY PAID.

受信周波数535-1605kc, IF455kc, A:1.5V, B:67.5V. A電池はUM-1A, B電池はEverready No.416, 67.5V.

革のケースが付いている。留め具のところ少し破れているが。こんな調子。クラリーノのような感じ。

B電池としてこれが入っていた。もちろん腐食していて使えない。SHRIRO INCORPORATEDとあるが,ラジオ内部の紙にはShriro Watch Inc., New York, Battery Dept.とある。米国製かと思ったら裏面にJISのマークとmade in Japan. ふーむ。電池も輸出していた。カナダでも電池が入手できたのだろうか?あるいはこのラジオはカナダでこの電池1回分しか鳴らなかった?

Circuit; Superhet Battery radio/ 回路形式:電池式スーパーヘテロダイン

Rec Frequency; 530-1650kc/ 受信周波数 530-1650kc

IM Freqency; 455kc/ 中間周波数 455kc

Tubes;Hitachi 1R5, 1T4, 1S5, 3S4/ 使用真空管 1R5, 1T4, 1S5, 3S4

Antenna; Oxside core antenna/ アンテナ オキサイドコア・アンテナ

Output; ?mW/ 出力 ?mW

Power; A1.5V UM-1A x1, B67.5V BL-045 x1/ 電源 A電池1.5V UM-1A x1, B電池67.5V, BL-045

Speaker; 2-1/2inch(6.5cm) PDS/ スピーカ(6.5cm) ダイナミックスピーカ

Size; 160x95x50mm / 形状 (160x95x50mm)

Weight; ?kg (inc. battery)/ 重量 ?kg (電池共)

Original Price ? yen (in 1957)/ 価格 \?

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P(119) Koyo Excel T211, 4 tube super in 1957?/光洋エクセルT211, 4球スーパー('00.1.25) ['00.6.5]

これはブランド名がExcelであるが国内メーカ名は光洋というらしい。先のクラウンと似たようなサイズ(152x93x52)のコンパクトなポケット・ラジオであるが,真空管は省電力タイプのSF管である。このラジオも米国eBayオークションで米国人から入手。30年ぶりに里帰り。

右に周波数ダイヤル,右下部にスイッチ付きボリューム,左側面下にイヤフォーン・ジャック。キャビネット右上に割れがある。

裏面。右上に放熱孔。

内部。何と造りが逆さま?真空管は上から吊り下げられている。真空管は左が1AM4/1T4-SF(TEN GE5I), 右が1AS5/1U5-SF(TEN, GD3), 左奥に1AQ5/1R5-SF(GF5), 右奥に3S4(WestingHouse, 9R48)。3本はオリジナルのTEN製で1957年製だが,出力管は修理のために持ち込まれた普通の100mA管米国WH製の3S4である。本来は3W4/3S4-SF。検波管は1U5系であることに注意。シャーシはアルミ製。その上部に板型のバーアンテナがある。120mm。スピーカは6.5cm(2-1/2inch)。

回路図には特にSF管であることは示されていない。

A電池は1.5V, B電池は67.5Vまたは45Vとある。

革製ケースの痛みは酷い。糸が解れている。革が収縮しキャビネットが入らなくなっている。水に濡らしたのだろうか?

Circuit; Superhet Battery radio/ 回路形式:電池式スーパーヘテロダイン

Rec Frequency; 530-1650kc/ 受信周波数 530-1650kc

IM Freqency; 455kc/ 中間周波数 455kc

Tubes; 1AQ5/1R5-SF(TEN GF5), 1AM4/1T4-SF(TEN GE5I), 1AS5/1U5-SF(TEN, GD3), 3S4(WestingHouse, 9R48).

Antenna; Oxside core antenna/ アンテナ オキサイドコア・アンテナ

Output; ?mW/ 出力 ?mW

Power; A1.5V UM-1A x1, B45V/67.5V BL-045/BL-030 x1/ 電源 A電池1.5V UM-1A x1, B電池45V/67.5V, BL-030/BL-045

Speaker; 2-1/2inch(6.5cm) PDS/ スピーカ(6.5cm) ダイナミックスピーカ

Size; 152x93x52mm / 形状 (152x93x52mm)

Weight; ?kg (inc. battery)/ 重量 ?kg (電池共)

Original Price ? yen (in 1957)/ 価格 \?

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P(120) SATO-Denki 4 tube portable super kit in 1998/サトー電気4球ポータブルスーパーキット ('99.12.16), ['00.6.5]

サトー電気(東京・町田市)が近年発売した電池管4球スーパーキット。1R5, 1T4, 1S5, 3S4の構成。佐藤裕也氏の連載記事の1つ「高感度,4球ポータブル・スーパー・ラジオ」真空管式ラジオ製作入門シリーズその24,ラジオの製作('98.4),に紹介されたラジオである。また,外部DC電源もあり,これは入門シリーズその23,ラジオの製作('98.3)にある。Yahooオークションを通じて,東京の安藤さんが製作したものを入手。

Overview of Four Tube Portable Super Radio/4球ポータブル・スーパー・ラジオの概観。ツマミは左より(1)Tune, (2)Volume。左に外部アンテナ端子,右にイヤホーン・ジャックがある。プラスティック・ケースの塗装は制作者安藤さん独自のもの。

2つのプラスティック・ケースを蝶番で繋げて,フックで開閉できるようにしてある。背面にDC電源コネクタがある。記事では部品が小さくなったから昔のラジオに比べて小型とあるが,実に堂々と大きいラジオでしょう?175x108x80mm。

真空管は右より, 1R5, IFT, 1T4, IFT, 1S5, 3S4。主要部品としてIFTは20mm角の真空管用。同調コイルは平型のバーアンテナ(140mm),バリコンはTr用発振コイル(コアは赤)。

回路は標準的で,RCAの真空管マニュアルに掲載されているポータブル電池式スーパーヘテロダイン受信機(17-1など)の回路構成を参考にしているようですが,幾つか変更点が見受けられます。周波数変換管1R5にAVCはかけておらず,安定化を図ったのでしょうか。また,局発の+BはIFのスクリーン+Bと独立に給電するよう変更しており,抵抗値は変わっています。それ以外では小型スピーカを2個並列にして能率をあげているように見えますが,逆に言うと少し大きなスピーカが入手できない事情もあったのでしょう。どちらが本当は能率が良いのか分かりません。

出力管のトランスはCM20という200V:5Vトランスの流用で,かなり大型です。インピーダンス的には,2次側リード線が赤-黒では30k:10ohm, 赤-赤では30k:20ohm程度になるので,8ohm並列では 6k:4ohmとなり,3S4の標準負荷5kに近い使用になっています。しかし,苦労割に低感度です。

電池は006P(9V)x8, UM-1(1.5V)。

Circuit; Superhet 2way PS/ 回路形式; 2電源式スーパーヘテロダイン

Rec Frequency; 570-1450kc/ 受信周波数 570-1450kc

IM Freqency; 455kc/ 中間周波数 455kc

Tubes; 1R5(Admiral? Zenith), 1T4(RT 5-9/BCMT 1T4-8.45), 1S5(Unknown 3c2), 3S4(Raytheon).

Antenna; Oxside core antenna/ アンテナ オキサイドコア・アンテナ

Output; ?mW/ 出力 ?mW

Power; A1.5V UM-1A x1, B9V 006Px8/ 電源 A電池1.5V UM-1A x1, B電池9V 006Px8

Speaker; 2inch PDS x2/ スピーカ; (5cm)ダイナミックスピーカx2

Size; 175x108x80mm / 形状 (175x108x80mm)

Weight; ?kg (inc. battery)/ 重量 ?kg (電池共)

Original Price 17,100+5,100 yen (in 1998)/ 価格 \17,100+5,100

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