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突然,何の脈絡も無く紹介するのが英国GECのU-10である。傍熱型両波整流管。
4.0V, 1A, 250V, 60mA
これは,1930年代末の英国製ラジオHMV 1113に使用される球であって,1985年にオランダで入手した際に実装されていたのは,Philipsの1821であったことは,私のページに紹介済みである。そこで,保守球を求めて1980年代末に秋葉原をさまよい入手したのがこのU-10であった。
ところが,U-10は何と直熱型だったではないか。道理でPhilipsの1921も直熱型のはずであった。私の以前の調べが間違っていたらしい。
角ゲッタで,米国80系に良くにている。プレートは着炭黒化,リブ無し,4カシメ。ステムから電極線が異様に太い。クロムメッキ鉄線のように見える。
この球も偶然に入手した球であって,その昔,英国製のソラトロンという高圧安定化電源があった。レギュレータにはEL37がパラレルで3本ほど並んでいたのだが,整流管にはFW4/800x2とAZ31が使われていた。本体はご用済みになり,その保守用球も廃棄されたが,その名残りである。これも,米国80系と同じ様な系列にも数えられるが,あるいは,米国の高圧用といえば,5R4-GYと比較できるかもしれない。
同じく英国製のソラトロンという高圧安定化電源の保守球である。AZ31はPhilips系の名称であって,4.0Vのオクタルである。
GZ34はオランダPhilipsが1950年頃開発。米国EIAに1955年頃登録して5AR4となった。国内では1955年8月に松下電器産業からまず欧州名GZ34でデビューした。5AR4/GZ34と標記したのは1955年11月のことであった。従来の米国系の整流管5U4-Gやその改良型5U4GBに比べて高パービアンスで能率,レギュレーションともに優れ,次第に米国系整流管を駆逐した。発売当時の謳い文句。「1.ヒータ省電力,2.米国型と差し替え可能,3.傍熱型高パービアンスでレギュレーション良好,4.ボタンステムでステム電解無し,5.超寿命,6.メタル・シェルでルーズベース無し」。米国系整流管はもっぱらTVに使われたのに対して,5AR4は国内ではオーディオにのみ使われた。その理由は日本のTVが1950年代末はトランスレスが主流になり,5AR4のヒータ点火ができなかったこと,セレン整流器が発達したこと,大型TVでは北米向け輸出が主流だったので米国系真空管が主流だったことなどがあげられよう。しかし,TV以外の用途での攻勢はすさまじく,国内各社は以後1960年代始めまでに類似管あるいは5AR4そのものの製造に踏み切った。1957年NECは5AR4類似の国産管5G-K20の製造を開始,1959年には東芝が6G-A4と組み合わせる5AR4類似の国産管5G-K24の製造を開始,1961年にはHi-Fi用として5AR4そのものの製造を開始した。1960年には日立が6CA7とともに製造を開始,NECも1961年に6CA7を,1963年には5AR4を製造した。
(9L)は平ガラス,角ゲッタ2個。(2F)はドーナツ2個。(6C)は丸ガラス,ドーナツ1個。プレートのカシメが少ないのが特長。3点づつだがサイドの放熱フィンにカシメは無い。em=[59,59]., [58,59],[58,57]
Toshiba 5AR4 (no code) 東芝5AR4はドーナツゲッタ。アルミ被覆鉄。十字断面でそれぞれ3つのカシメからなる。電極支持は上部円盤マイカの爪とステムからの支持。em=[57,58], [61,60]。
NEC 5AR4 (930 通信用 P2), 丸ガラス,ドーナツ1個。プレートのカシメは松下同様3点と少なくサイドの放熱フィンにカシメは無いが,カソードの温度を下げる目的でか片側2カ所排気穴がある。em=[59,59]. 箱入り。
Hitachi 5AR4, (ベース底22 下部マイカ板緑字でQBウ) 1962, ドーナツ1個。プレートのカシメは片側6点と多いが,サイドの放熱フィンにカシメは無い。em=[55,55]. 箱入り。
GE/HP 5AR4(1960), Hewlett Packar made by General Electric (60-09 188-21)とある。計測器用の保守部品である。ガラス径が他より細い。28.2mm。東芝32mm, 松下31mm。ベースにそのまま入れるため?プレートの断面は十字ではなく,2つ綴じで,端部は片側がT型,片側がL型になっている。その代わり,熱伝導を良くするプレート材料として,表側がアルミ被覆,中間部が鉄,内面が銅を用いている。後のTV用ダンパー管や出力管に多用されたものである。em=[58,59]
以上,各社とも非常に完成された形であるといえる。
EZ80はPhilipsが1950年頃に開発したラジオ受信機用に全波整流管で,米国EIAに登録して6V4という名称をもらった。米国の6X4に類似した構造だが,ヒータ定格が0.4Aから0.6Aへと50%アップし,出力も60mAから90mAへと出力電流を大きくした改良型であって,7ピンミニアチュアから9ピン・ノーバルへと拡大したのもうなずける。その原型は1947年に開発したリムロック管EZ40/6BT4であり,ノーバル管(9pin MT)に焼きなおしたものがEZ80/6V4なのである。もっぱら欧州で比較的消費電流の大きいマルチバンド用のラジオ受信機の標準管として出力管EL84/6BQ5などとともに用いられた。我が国ではしばらくは国産化されなかったが,1961年に入って輸出用に東芝が作った記録がある。
これはイギリスの商社ブランドの球で,最近秋葉原でラジオの保守用として求めたもの。構造は1950年代の米国RCA 6X4と全く同じで,各ユニットはU字型の横顔を持ち,これを2つ組み合わせると十字型断面となる。EZ80/6V4の電極サイズは6X4と比べて一回り大きいことが分かる。プレートはアルミ被覆鉄製で,全てスポット溶接の堅牢な造り。ドーナツ・ゲッタ。ヒータは松下と同じコイル型。造りは良いことが分かるが,うっすらと管名がプリントされているだけで,製造会社を含め素性不明。ガラス面には何のコードもなくPhilips系の製造ではないと思われる。新品未計測。
サンプルはこの他にラジオに入った1950年代のPhilips Miniwatt EZ80があるのだが,残念なことに物置から出てこないので眺められない。
EZ81はPhilipsが1954年頃に開発したオーディオ用の全波整流管で,米国EIAに登録して6CA4という名称をもらった。EZ80の発展形で,小型サイズながら150mAの出力を持ち,昔の80/5Y3-GT系を上回る性能を持つ。出力管EL84/6BQ5などのシングル・ステレオ・アンプが組める程度の出力電流が取れる。米国80/5Y3GT並であるが,コンパクトであってパービアンスが高かった。我が国では松下電器産業がECL84/6BM8とともに1956年11月に国産化し,1957年には東芝やNECが5V版の5R-K16を出した。翌年には日立も製品化した。1950年代末から1960年代初頭に活躍したが,時既に遅し,シリコン・ダイオードの時代が訪れ,早々に引退した。
EY82はPhilipsが1954年頃に開発したTV用の片波整流管で,2本ペアで全波整流に使用する。300mA系のPY82は米国EIAに登録して19Y3という名称をもらった。耐圧が高く設計されており我が国の商用電源AC100Vでは2本用いて倍電圧整流に使用できる設計だが,国内では松下電器のみが製造したこと,300mA系トランスレス管であったのに対して他社は米国の600mA系を用いたこと,シリコンダイオードが普及したことにより,松下電器が一時(1950年代前半に)使用した位でほとんど普及されなかった。PhilipsはさらにEY84も作っている。
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