ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

Special tubes -Japan before WWII/戦前の特殊管

IX. Japanese Transmitting Tubes/日本の送信管

2/C3w_TX. Japanese Millitary Transmitting Tube/日本の軍用送信管

TX_BW. American Transmitting Tubes/米国の送信管


Page 2_Transm; Japanese Millitary Transmitting Tubes/日本の軍用送信管

2nd Edition (2006.11.18)-(2011.8.6)-(2011.11.23)-(2013.6.9)-(2013.7.14)

HomePageVT/Radio_tube_2_Transm.html


5. Japanese Small Transmitting Tube/日本の小型送信管

Table 1 Japanese Transmitting Tubes -Triode (< Pb 100W) /Pb100W以下の日本の送信管 -3極管

Table 2 Japanese Transmitting Tubes -Tetrode (< Pb 100W) /Pb100W以下の日本の送信管 -4極管

Table 3 Japanese Transmitting Tubes -Pentode (< Pb 100W) /Pb100W以下の日本の送信管 -5極管

Table 4 Japanese Transmitting Tubes -Beam (< Pb 100W) /Pb100W以下の日本の送信管 -ビーム管

Table 6 Transmitting Tube 47 Family from 1934 to 1937/ (1934から)1937年に開発した47族

DH Triode
DH Twin Triode
IH Triode

UX-202A, C202A*1,*1

(American UX-210)*1

UV211A/TB508C*1,*1

UZ-12C

UZ-10H*1
DH Pentode
IH Pentode

UX-47C*1

P-503A,*1

UZ-510/E-510

UT-802

Beam Tetrode
IH Triode

UY-807*2

UY-807A*1

UZ-807B/ UZ-807SA (FZ-064A)

T-307*1


5. Japanese Small Transmitting Tube/日本の小型送信管

国産送信管は受信管の製造とほぼ時を同じくして始まった。受信管に対して戦前の送信管は全て業務用といって過言ではなく,製造の記録もしっかりとある,と思っていると,案外無い。寂しい限りである。私が集める送信管は受信管に毛が生える程度のものだから,作れて当たり前となっては技術的な記録を詳細に残したとしても今日では日の目を見ることはほとんど無いのではないか。

戦前の送信管はまず中波放送用と無線送信用,それも電信の3極管に始まり,次に大出力へと向かった。5極管が現れた1930年代には小型送信管が現れ,そしてビーム管が現れた。電子管の歴史に登場する送信管は放送用の大型送信管ばかりであって,真空管コレクターやオーディオマニアが興味を示す小型管の記述は実に少ない。

小型送信管は火花式送信機がkW級の時代,すなわち1920年代に数100Wから始まり,次いで移動無線用として登場する。またV-UHF帯は小型送信管から始まっている。

調べてみるとなじみが無いせいもあって,難しい。送信管は我が国では戦前に5社が製造していた。古くは日本無線(JRC),東京電気(マツダ,そして東芝通信,東芝),日本電気(住友通信工業,NEC),川西機械(神戸工業,富士通),日立である。

1. 小型送信管の歴史

米国では第1次世界大戦後の1921年頃からGE/RCAがUV-202, UV-203, UV-204を発表しました。UV-202は1924年に後継のUV-210, 1925年にUX-210へと発展。さらに(UX-)10, (UX-)801Aへと発展しました。UV-203は1923年UV-203Aへと発展。

国産の小型3極送信管は,東京電気では,1930年にUX-202Aが整流管KX-202Aとともに開発されたのが始まり。3極出力管は小型のものではUX-12Aを2組入れたUZ-12Cも作られた。

5極送信管は1932年頃に5極管UY-247が登場し,1936年頃に送信機の抑制格子変調用として電力増幅用5極管を使用したものが高能率であることが分かり,UY-247族の送信管の開発が始まり,特に移動用に採用された。1937年には米国で傍熱型の5極送信管802が生まれ,我が国でUT-802が国産された。その後東京電気は500シリーズを作った。1934年頃にUY-237でグラファイトアノードの実験を行い,成功を納めて,後にUZ-510, UZ-520, UZ-530, UZ-540, UZ-555に採用されたとある。

ビーム送信管は,米国で1936年に開発されたビーム管6L6から送信管807が1937年頃に作られ,我が国でもUY-807が国産化された。また,戦時中には,UY-807からUY-807A, トッププレートを廃止したFZ-064A, 3極管のT-307が作られた。

(未完) 

Table 1 Japanese Transmitting Tubes -Triode (< Pb 100W) /Pb100W以下の日本の送信管 -3極管

Origin

outline

Eh

Ih

Pb

Fmax

UX-202A

=UV-202A =UX210 1922

134-55

7.5

1.25

12

10

UF-202B*

173-53

7.5

1.25

15

10

UV-203*

UV-203 1920

187-52

10.0

6.5

75

10

UF-203C*

213-52

10.0

3.25

75

15

UV-203A+

UV-203A 1923

187-52

10.0

3.25

75

10

UF-210B*

173-53

6.0

0.5

20

10

UV-211A

UV-211A 1921

187-52

10.0

3.75

75

10

UV-211D*

UV-211D 1924

187-52

10.0

3.25

75

15

UX-800

RCA-800 1933

156-67

7.5

3.25

35

60

UX-801

132-50

7.5

3.25

20

60

SX-834* TC-552A

RCA-834

170-66

7.5

3.25

50

250 (100)

UV-838*

187-55

10.0

3.25

75

15

UV-838B

200-55

10.0

3.25

100

20

SX-852*

UX-852 1927

210-95

10.0

3.25

100

30

UV-845

845

187-52

10.0

3.25

75

3

UZ-10H*

122-50

6.3/12.6

0.8/0.4

12

15

UN-151B*

210-65

8.0

3.5

35

3

UN-651

UV-651*

160-50

7.5

3.25

30

3

SX-1 1941

WE-316A 1936

132-45

2.0

4.25

20

300

SX-1A+ 1941-43

703A 1942

JAN 388A 1944

115-45

2.0

4.5

25

400

SX-2

168-62

7.5

3.25

60

150

SN-7++

RCA-8012/8025

7.5

3.5

400-500

SN-7A++

10.0

9.0

T304

12

0.28

10

200

T305

3.5

3.25

25

400

T307++

12.0

0.4-0.5

25

100 (25)

T310++

12.0

4.75-5.35

60

200

T311++

12.0

5.7-6.3

90

200

T318++

12.0

4.0-4.4

60

520

T319++

12.0

4.0-4.4

60

100

T321++

12.0

6.2-6.8

60

500

FZ103A

12.0

4.0-4.4

60

500

Table 2 Japanese Transmitting Tubes -Tetrode (< Pb 100W) /Pb100W以下の日本の送信管 -4極管

outline

Eh

Ih

Pb

Psg

Fmax

UV-813*

200-54

7.5

3.25

40

8

10

UV-814

230-62

10.0

3.25

75

10

20

UV-816D*

125-60

10.0

2.50

60

8

15

UX-865

150-55

7.5

2.00

15

3

15

UN-865R*

150-55

7.5

1.20

15

3

15

UX-865F*

150-55

7.5

2.00

20

4

15

Table 3 Japanese Transmitting Tubes -Pentode (< Pb 100W) /Pb100W以下の日本の送信管 -5極管

outline

Eh

Ih

Pb

Psg

Fmax

UT-802*

142-50

6.3

0.90

10

6

20

UZ-502*

132-50

10.0

1.10

12

3

15

UY-503*

142-50

10.0

1.10

15

3

30

P-503A

115-39

10.0

1.25

20

6

40

UZ-510**

12

1.5

45

UY-510A*

160-53

10.0

1.25

20

6

10

UY-510B*

160-53

6.0

1.05

15

5

10

UY-511B*

215-65

7.5

3.00

40

12

15

UY-530*

160-53

10.0

1.50

35

10

20

P-535+

130-45

10.0

2.00

45

10

50

UZ-540

P-540

130-45

10.0

2.00

45

10

35

P-541+

135-45

10.0

3.25

55

12

30

UY-550*

290-58

7.5

3.00

42

12

20

P-555

160-58

10.0

3.25

75

15

30

UV-1089*

225-50

7.5

3.00

40

12

15

P110 1940

10

-

P112

12.0

0.75

12

-

P130 1940

30

-

P132

12.0

0.85

30

-

P150 1940

50

-

P210 1940

100

-

E1054

10.0

2.5

15

6

E1056

10.0

6.5

50

12

E2053

10.0

1.25

30

8

E2054

10.0

2.5

50

15

Table 4 Japanese Transmitting Tubes -Beam (< Pb 100W) /Pb100W以下の日本の送信管 -ビーム管

outline

Eh

Ih

Pb

Psg

Fmax

UY-807

142-50

6.3

0.9

25

3.5

40

UY-807A

115-39

6.3

0.9

25

3.5

40

UZ-807SA FZ064A

105-39

12.6

0.45

25

3.5

40

Back to TOP


UX-202A, C202A

[7a7r]

TEC Cymotron UX-202A, (写真提供、京都府 辻野泰忠氏)

46[7a7r][7a7r]49

Top View -Electrode and Matsuda Lamp Factory Product

[7a7r]

TEC Cymotron (KANA) UX-202A

[7a7r]

Top View of TEC Cymotron (KANA) UX-202A

Back to TOP

UX-202A-ST

[7a7r]

TEC Matsuda UX-202A, (写真提供、京都府 辻野泰忠氏)

[7a7r][7a7r]

Box of TEC UX202A

Back to TOP

Kawanishi C-202A 第11号発振電球

[7a7r][7a7r]

Kawanishi C-202A in Dec. ,1943, (写真提供、京都府 辻野泰忠氏)

[7a7r][7a7r]

Electrode and Box

Back to TOP


Ameican RCA UX-210

[7a7r][7a7r]

Radiotron UX-210, (写真提供、京都府 辻野泰忠氏)

Back to TOP


UZ-10H

[7cN]

Matsuda UZ-10H, (写真提供、味噌作まさひろ氏)

Top

Electrode

Back to TOP


UV-211A/TB-508-C

UV-211-A Tm (マツダ サイモトロン No.6082, 交換13.6.4, エミ減16.2.25 pm11.12まで使用) 箱入り 070329 長田中島氏寄贈 未掲載(Rt_2_Transm)

TB-508-C 住友 (ム) S10.6?(UY-865Hの)箱入り 070329 長田中島氏寄贈 未掲載(Rt_2_Transm)

Back to TOP


UZ-12C -Twin Power Triode

えー?これが送信管?

東京電気(現東芝)が1934年頃開発した送信用直熱双3極管。軍用無線機の送信管として使用された。UX-12Aの電極を2組入れた業務用管(軍用管)で発振,検波,増幅用とある。陸軍94式(1934年)5号無線機の送信部(UZ-12C1本で構成)に用いられた。ちなみに受信部は電池管UF-134, UF-109A, UZ-133Dの3本という,携帯型のトランシーバであった。当時は我が国でST管が出たばかりであるから,電極は少々古いが外形は最新型であった。しかし,受信管は電池1.5Vで動くのに何故送信管は5Vのフィラメント電圧にしたのだろう?同時期,30の複合管UZ-30C, UZ-30MCも開発されているが,出力の点ではUZ-12Cに軍配があがったというところだろうか。しかし,移動無線機では小型,堅牢を考慮すると絶対にUZ-30MCの方が良かったのに。我が国ではその後携帯型無線機用の真空管の開発を怠ったため,第2次大戦開戦時には大きな技術的な差が付いてしまっていた。米国では戦時中に3A5も作られている。我が国ではUZ-12Cのまま通した。

Specification of UZ-12C, UZ-30C and UZ-30MC

Base

Outline

Ef V

If A

Eb V

Eg V

Ib mA

mu

rp kohm

gm

mA/V

RL kohm

Po W

UZ-12C (Matsuda'51)

JES-6A 1:f, 2:p(2), 3:g(2), 4:g(1), 5;p(1), 6;f

48

ST-45/ D=45+/-1 mm, L=112+/-5 mm

5.0

0.5

180

135

90

-15

-10

-5

8.5

6.5

5.0

7.5

4.15

4.7

5

1.8

1.6

1.5

10

8.5

9

0.27

0.12

0.031

UZ-30C (Matsuda'51)

JES-6B 1:f, 2:p(2), 3:g(2), 4:g(1), 5;p(1), 6;f

48

ST-45

2.0

0.12

180

135

90

-13.5

-9

-4.5

3.1

3.0

2.5

9.3

10.3

10.3

11

0.9

0.9

0.85

UZ-30MC (Matsuda'51)

JES-6B 1:f, 2:p(2), 3:g(2), 4:g(1), 5;p(1), 6;f

23

T-29

2.0

0.12

UZ-31MC (Matsuda'51)

23

2.0

0.24

American 3A5

7pin

miniature

2.8

1.4

0.11

0.22

90

-2.5

3.7

15

8.3

1.8

[1fH]

UZ-12C, Unknown Maker/何も書いて無い球

[1fH]

Top of UZ-12C

Back to TOP


47 Family/47族

全て1937年に開発。傍熱型出力管UZ-2A5, UZ-42は1934-35年頃, UZ-89/39は1938年, 1936年にUT-59/51に国産化。送信管や変調にはこれらで十分?ビーム管が出る前の5極管。何故,いまさら,馬鹿でかい47を基に送信管を作ったのか?おそらく,即熱型(クイックスタート)の大電力管が欲しかったのであろう。

受信管のマニュアルに記載され,送信管には分類されていない。軍用の真空管。なお,開発当時,UY-247A(Elevam), UY-247B/UY-47B(マツダ)という型番が存在していたので,名称はUX-47A, 次にUX-47Cへと飛んだのであろう。

 

Table 6 Transmitting Tube 47 Family from 1934 to 1937/ (1934から)1937年に開発した47族

Pb

Eb

Esg

Eg

Ib

Isg

rp

gm

mu

RL

Po

UY-47

A-class Power Pentode

2.5

1.75

8

250

250

-16.5

31

6

60

2.5

-

7

2.7

UX-47A

Osc & Power

2.5

1.75

same

250

250

-15.3

32

50

2.2

110

UX-47C

Osc & Power

Top付き

5.0

0.5

8

250

250

-15.3

32

7

40

2.5

100

UX-47D

Osc & Mod

5.0

0.5

13.8

250

250

-15.3

55

14

23.5

3.4

80

UZ-47G

Osc & Mod

5.0

0.25

135

135

-13.5

27

24.5

1.88

46

UZ-47H

Osc & Mod

5.0

1.05

250

250

-15.3

62

21.7

3.6

78

UZ-47K

Osc & Mod

5.0

0.5

150

150

-12

32

8

25

2.4

60

1936年製の96式飛2号無線機(電話)の送信部(2球)の発振管にUZ-47G,最終段はUY-510B,変調部(2球)は初段UY-76, 変調UY-47Dであった。(津田さん寄贈の回路図より)

この種の球は今日でも未使用の保守品が時々出る。しかし,人気があり,入手できない。写真は大塚久氏のMJ2002.3にUX-47AUX-47Cが掲載されている。「1934年に開発」とある。梅田徳太郎氏の製造の記録には全て1937年開発と読めるが,D, Gは1936年製の送信機に取り入れられている。したがって,開発年代はST管になり2桁表示になった1934年から始まり最後のUZ-47Kの1937年までと考えるのが妥当。

UX-47C 19-4

[AeUr]

Toshiba Matsuda UX-47C, in April 1944

[AeU]

Top View

[AeUr]

Bottom View

 Back to TOP


UT-802 -RF Power Pentode

米国の802の単なる国産版?低周波出力,変調,高周増幅,発振用の傍熱型5極管。私は最近まで807以前に作られた5極送信管の存在を知らなかった。実際に球を手にとってみると電極の造りの良さに感心した。

[2000.1.23追記] RCA800が1933年,RCA807が1937年であり,この802は1934, 5年には開発されていたものと思われる。調べてみると,戦前の我が国のTV受像機ではこの球が水平偏向出力管として使われていたことが分かった。

[YaQ]

Toshiba-Matsuda UT-802/東芝マツダのUT-802

ガラス管壁にマツダと管名表示。このサンプルは,gm=60-53-52>50。時間とともに減少傾向を示し,寿命に近いかも知れない。

その性能仕様はRCAのマニュアル(TT-5)を見ても,受信管でいう代表特性が表示されておらず,どんな球か見当がつかない。まず最大定格は,CCS(連続使用)の場合,A,Cクラスともに下の表の通りで,高圧低電流型の球で,かなりの高内部抵抗,プレート損失は僅か10Wしかないことが分かる。

Class

Eh

Ih

Ebmax

Esg

Pin

Pbmax

Psgmax

Ibmax

gm mA/V

6.3V

0.9A

2.25*

A

500V

250V

15W

3W

C

500V

250V

25W

10W

6W

60mA

*gm is at Ib=20mA

Cクラスの規格では,さらにIgmax=7.5mA,Pg3max=2W,Eg3max=250Vというように,グリッドが丈夫に出来ていること,サプレッサ・グリッドも何かしら電流を流して使うことを想定していることが分かる。

さらに,良く調べてみると,ポーランドのElectronic Universal Vade-Mecum(1964年版)(Pergamon Press版)に,Eb-Ib特性図とRFアンプ,さらに変調器の例が出ていた。RFアンプは500Vもの高圧をかけても高々10から20W程度の出力しか得られないから,今日となってはビーム管807のありがたさを見せつける結果に終わっているように見える。

しかし,ここで注目すべきはサプレッサ・グリッドの効果である。この球はCクラスの動作では,恐ろしいことに,サプレッサ・グリッドに+40Vをかけると,Eb,Esgを上げてもIsgを50%に半減できるという効果を発揮し,お陰で出力を60%増加でき,しかも所用ドライブ電力を25%以下に削減できるというおまけが付くのである。このサプレッサ・グリッドの効用は,実は近代管と無縁ではない。大型のTVの水平偏向出力管では,スニベッツ現象を抑えるために,サプレッサ・グリッドに相当するビーム・プレート電極をカソードから分離,正のバイアスを加えるという方法を取り出したのが1960年代の始めであった(6JS6Aなどを参照)。これはまさにUT-802の20年ぶりの名誉回復といったところかもしれない。

A1級の低周波増幅の動作例はあまり大したものでなく,後世のEL86/6BQ5などと比べてしまうと隔世の感がある。サプレッサ・グリッドのEg3=40Vの例は,ICASではあるが1例ある。

Eb V

Esg V

Eg3 V

Eg1 V

Ib mA

Isg mA

RL k ohm

Po W

CCS

400

250

0

-18

30

10

10

5.5

CCS

500

175

0

-10

25

6

18

4

CCS

500

225

0

-17

25

7

16

6.5

ICAS

600

250

40

-18

30

8

13.2

7.6

しかし,今日のオーデイオなら,グリッドの丈夫な古典管は,A1級ではなく,トランス結合やカソードフォロワのA2級の使用もできるので,出力は10W位取れるのかもしれない。5極管だからEb-Ib曲線の肩は丸いので,負荷インピーダンスの変化には強いだろう。内部抵抗が高いという欠点は,NFBで補う以外手はないかもしれない。

 Back to TOP


UY-807 -Beam Power Tubes

ビーム4極出力管。807は米国で1937年に登場,原形は初のビーム出力管でメタル管の6L6(1937年)。米国ではガラス管6L6-Gも1938年頃には登場。我が国では1938年に6L6Gを6ピンSTベースに置き換えてUZ-6L6Aとして国産化。送信管としてのUY-807はそれより遅れて1940年に東京電気が国産化。戦後,アマチュア無線に用いられ有名になったが,当時我が国では業務用や軍用に製造された。業務用では主に短波用送信の発振,終段,変調などに用いられた。また,軍用無線機にも用いられたが,しかし,UY-807の姿そのままで使用された例はあまり無く,むしろ戦争が始まると改良型のUY-807Aが多用された。

Specification of UY-807

for CW

Outline

Eh V

Ih A

gm mA/V

Eb V

Esg V

Ib mA

Pin W

Ploss W

Psg loss W

f MHz max rate

UY-807* Matsuda'44

L=145mm, D=50mm max

6.3

0.9

6

600 max

300 max

100 max

60 max

25 max

2.5 max

40

for CW

Eb V

Esg

Eg

Ib mA

Pin W

Po W

UY-807* Matsuda'44

600

250

-50

100

60

35

*1944年ラジオ手帳,東京芝浦電気株式会社通信工業支社

Base

Outline

Eh V

Ih A

Eb V

Esg

Eg

Ib mA

Isg mA

gm mA/V

Po W

f MHz

UY-807 Matsuda'51

JES-5A JES-1A

1;h, 2;g2, 3;g, 4;K+BP, 5;h top=p

53 ST-50

L=142 +/-5, D=50 +/- 1

6.3

0.9

600

250

600

300

250

250

-29

-14.5

Rg1=17k ohm, 80V peak

42

-

-

2.5

-

-

-

6

-

-

-

32.5

-

-

10

僅かに海軍マークのサンプルが残っている。米国で誕生した807のベースはタイト製であり,国産化されたものもタイト製が使われた。


UY-807 Tm(タイトベース, ガラス印字, 8角管名枠, (マツダ), (昭和十七年十一月)写真のみ

[7a7r]

Toshiba Matsuda UY-807 in Nov, 1942./昭和17年11月 (写真提供,京都府辻野泰忠さん)

[7a7][7a7]

Bottom and Top View

Toshiba Matsuda UY-807 in Nov, 1942./昭和17年11月 (写真提供,京都府辻野泰忠さん)

UY-807 Tm(タイトベース, ガラス印字, 8角管名枠, (マツダ), (昭和十八年十一月)011225*

[AhSr][AhSr][AhSr]

Toshiba Matsuda UY-807 in Nov, 1943./昭和18年11月

[AhS]bas

タイデンタイトTite Base

15[AhS]

Top View

bot2[AhSr]

Electrode View -Cathode, 1st Grid wire and rods, 2nd Grid wire and rods, Beam forming electrode, and Plate/

マイカ板より上に第1グリッドと第2グリッドの巻き線が見える。第1グリッドは太い銅色した棒だ。

bmic[AhS]

you can see a ribon wire for heater circuit in a hole on the Bottom Mica

下部マイカ,左右の穴の中にマイカ板にサンドウィッチされたヒータリード線としてのリボン(金属板)が見える。ヒータの配線はベースピンからガラスステム両端の2本に行き,一旦,2重マイカ板の隙間を通って,カソード付近まで行き,その後,下に突き出てから,ヒーターに配線される。

stm[AhS]

Bottom View

電極はステムと直角に配置されている。ガラスピンチステムから(UYだから)5本の支柱。(h, K-g3, g1, g2, h)かな。

bot[AhSr]

Bottom View of Electrode

下部シールドシェルの中に第1グリッド用の銅色した2本の支柱と溶接された板フィンが見える。この写真からもマイカ板に丸穴がありその中にリボンが見える。プレート脇の支柱にヒーター用のリボンが接続されているのが分かる。

 Back to TOP


UY-807A -RF Beam Power Tube

日本独自のビーム4極送信管。東京電気(東芝)が開発。中身はUY-807と同じだが,外形がコンパクトに,そして高周波向きに改良されている。開発時期は資料が無いが1940年-41年頃開発されたものと思われる(原形のUY-807は米国で1937年に登場,我が国では1940年に東京電気が国産化)。特に1942年から1944年にかけて製造された軍用無線機ではUY-807Aが主流を為し,そのため,戦時中には大量に製造された。戦後は軍需品が市場に放出されで,業務用やアマチュア用にも使用された。東芝は保守用に1960年代まで製造した。

UY-807Aはガラス管にT管,UYベース・シェルは中央に穴の開いたタイト板に金属シェルを付けたものを使用。電極の台座であるガラス・ステムは通常のピンチ(つまみ)型であるが,排気管を短くしたバンタム・ステムを使用。排気管の封止部はベース・シェルの中央穴に突き出す格好である。これにより,リード線インダクタンスを低減,高周波特性を改善した。戦後,NECがNTTの注文を受けて通信用に開発した同特性の2B33はボタン・ステムであるが,リード線は長い。

Specification of UY-807A (Electrical characteristics are same as UY-807)

Base

Outline

Outline

UY-807A Matsuda'51

JES-5A JES-1A

1;h, 2;g2, 3;g, 4;K+BP, 5;h top=p

45 T-40

L=115 +/-5, D=39 +/- 1

UY-807A* Matsuda'44

L=115mm, D=39mm max

マツダ 昭和18年7月

[7a7r]top[7a7r]

Tokyo Electric Co.(Toshiba) Matsuda UY-807A (1943.7)

 

stm9[7a7r]bas[7a7r]

bot[7a7r]stm8[7a7r]

東京芝浦電気のサイクルマーク 昭和19年

[AhSr]

Toshiba Matsuda (Cycle-logo) UY-807A (1944)

top[AhS]

bas[AhS]

bot[AhSr]

bot2[AhSr]

Bottom View of Electrode

ヒータ配線が多少雑になり,マイカ穴から直接配線している様子が見える。

stem[AhS]

ガラスステム。(h, g2, g1, k-g3, h)かな。

サイクル 昭和20年2月

[Yb1][Yb1]

Toshiba Matsuda (Cycle-logo) UY-807A (1945.2)

2つのサンプルはともに丸に2枚羽のプロペラのロゴ(サイクルマークという)の東京芝浦電気製で,製造は(昭和20年2月/1945年2月製)。左右の球は同じ月に生産されながら,外形寸法が違う。職人の腕次第?考え方は良かったが,戦時中は材料と熟練工不足でできは悪い。左のサンプルはシェルが黄銅製,ゲッタ鏡面はやや小さく,トップ・キャップやシェルに錆がある。gm=85で,戦後の標準品に比べて10%程度低い。右のサンプルはシェルがアルミ製,ややルース・ベース。gm=79とさらに少し低い。

[Yb1][Yb1]

Left, Logo and Tube Name, and Right, Base Pins

左は807Aの文字が見える。右はUYベース・シェル。底の中央に排気管が見える。底板はステアタイト製でシェルは黄銅製,またはアルミ製。

[Yb1]

Electrode and Getter

プレート左のガラス管との間の金属板はゲッター板で金網が貼ってある。これはプレートの放熱フィンの両側にあるマイカ板押さえ用の支柱に取り付けられており,ビーム・プレート(ビーム翼)と同電位である。この構造だとゲッタの退化でCoutが変わってしまうかもしれない。

[Yb1]

Bantam Stem

バンタム・ステム。下部マイカ板の下に807特有のシールド用のフレーム,その下にピンチ・ステムが見える。

 Back to TOP


FZ-064A (UZ-807SA) -Beam Power Tube

日本独自のビーム4極送信管。東京芝浦電気,UY-807のヒータを12.6Vにし,外形をT管に,トップ金具を足に変更した球で,ベースは6pinのタイデンタイト制である。東芝ではUZ-807SAと呼び,海軍の銘々ではFZ-064Aとなる。周波数逓倍,発振に用いるとある。電気的性能はUY-807, UY-807Aと同じである。なお,ST管UZ-6L6Aとはヒータ規格,外形が異なるがベース接続は同じであり,オーディオ増幅に使用する限り電気的性能も同等である。

Base

Outline

Outline

Eh V

Ih A

UZ-807SA Matsuda'51

JES-6A

1;h, 2;p, 3;g2, 4;g, 5;K+BP, 6;h

44 T-40

L=105 +/-5, D=39 +/- 1

UZ-807SA* Matsuda'44

L=105mm, D=39mm max

12.6

0.45

[1f2]

Tokyo Electric (Toshiba) FZ-064A/東京電気製 (京都府の辻野泰忠さん寄贈)

電極はUY-807と同じだが,トッププレート金具を廃止してプレートを足に出したので5本足から6本足になった。ベース部は,東京電気の不得意とするボタンステムである。ボタンステムは足ピンが円周上に並んでいるので,引出線の引き回しはUY807とは異なる。高温となるプレートは黒化してあり,マイカ板との間にはステアタイト棒が挟んであるのはUY-807シリーズと同じ。ヒータ回路は,電極下部を探してもヒータ・リード線が見つからない。ヒータ相当のベース・ピンは電極支持用の両サイドの支持棒に接続され,それぞれサイド・ゲッタがある。実は電極下部の丸いマイカ板は2重になっており,この中にヒータ・リード線が隠れている。実は,先に紹介したステアタイトのUY-807も,またUY-807Aも皆同じである。ただ,ピンチステムの場合は下部の観察がやり難かったので気付かなかっただけである。この球の送信管らしい点はベースがステアタイトでできている他,ガイド・ボスも付いていることだろうか。ヒータは生きている。(2011.8.6改定)


T-307

日本独自の3極送信管。戦時中,東京芝浦電気が開発。1944年頃に登場。構造はUY-807Aに似ている。むしろ量産されていたUY-807Aのラインを流用して作られたと考えるべき?。特性はUY-807系のmuは7.5であるが,T-307は倍の15になっている。グリッドの巻線を密にして,スクリーングリッドとビームプレート枠を取り去るとできあがる。        

Specification of T-307

for CW

Outline

Eh V

Ih A

gm mA/V

mu

EbV

Ploss W

f MHz max rate

T-307* Matsuda'60

L=145mm, D=50mm max

12

0.45

3.2

15

1500 max

25 max

20

[AhSr][AhSr]

bas[AhS]

mic[AhS]

bot[AhSr]

top[AhS]

 Back to TOP


P-503A

日本独自の5極出力管。陰極は直熱型,トリウムタングステン。東京芝浦電気が開発。10MHz以下の送信管。P-503のヒータ電力を若干大きくしプレート損失をやや大きくしたもの。戦後,60年代の規格表には代替品種として2P22が指定された。マツダ製の中型航空機の短波(5-7MHz)の送信機(1944年)に(P)503x3を使用した例があるので,その改良型P-503Aもそのような用途に使われたと思われる。

Specification of P-503A

for CW

Outline

Eh V

Ih A

Cgp pF

gm mA/V

Eb V

Esg V

Ib mA

Pin W

Ploss W

Psg loss W

f MHz max rate

P-503A* Matsuda'44

L=115mm, D=39mm max

10

1.25

0.05

2.2

750 max

300 max

80 max

60 max

20 max

6 max

10

for CW

Eb V

Esg

Eg3

Eg

Ib mA

Pin W

Po W

P-503A* Matsuda'44

750

300

50

-80

80

60

40

*1944年ラジオ手帳,東京芝浦電気株式会社通信工業支社

for CW

Outline

Eh V

Ih A

gm mA/V

mu (g1-g2)

EbV

Ploss W

f MHz max rate

P-503A* Matsuda'60

L=145mm, D=50mm max

10

1.25

2.2

5

750 max

20 max

25*

[AhSr][AhSr]

[AhSr]

Toshiba Matsuda (Cycle Mark) in 1944-45.

[AhS]top

[AhS]top

Top View

[AhSr]bot

Bottom View

[AhS]stem

Stem

[AhS]bas

Base

 Back to TOP


UZ-510/E-510

UZ-510は20MHz程度の短波発振用5極管で,日本独自の球らしい。フィラメントは12V。旧日本軍の1936年製,96式空2号無線機の送信部に,発振UZ-510,電力増幅UZ-510×2,入力100Wという使用例がある。1936年頃開発されたと見るべきか。同時期,UZ-510Bも開発された。

12V, 1.5A, Ebmax1kV, gm2.mA/V, Pbmax45W

[0g4]

Kawanishi (Kobe-Kogyo) UZ-510 in 1943/(表)川西真空管 E-510 No.2361B, 錨マーク入り,(裏)発振電球 株式会社川西機械製作所 (昭和18年11月), <ステム部にケ15>,

[0g4]

Tokyo Electric (Toshiba-Matsuda) UZ-510, for Navy, No.11734, in Jan 1939/

昭和14年1月。ステム部に青字で<CH7>,

[0g4]

Tokyo Electric (Toshiba-Matsuda) UZ-510, for Navy, No.25000, in Feb 1939/

昭和14年2月。ステム部に青字で<BB7>, 黒鉛プレート, ステアタイト十字スペーサ, 電極上部長方楕円型金属シールド・キャップ・

[0g4]

Top of Kawanishi UZ-510 and Tokyo Electric (Toshiba-Matsuda) UZ-510s/

川西の方は天井のスプリング・コイルが1個脱落している。

Back to TOP

(c)1998-2000-2001-2002, 2006, 2013 Koji HAYASHI All rights are reserved.
1st edtion (1998.3.15)+(1998.5.6)+(1998.5.22)+(1998.8.16)+(1998.10.5)+(2000.1.23)+(2000.8.12)+(2001.11.2), (2002.11.24), 2nd edition (2005.9.4)+(2005.9.23)