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Power Beam Japanese (B Series) |
Toshiba 6G-B8 |
NEC 6R-B10 |
Toshiba and NEC 6R-B11 |
Unknown 6G-B13/50G-B13 |
Matsushita 6H-B26/ 50H-B26 |
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オーディオ出力管。東芝。1958年。大ホールや営業用のオーディオ装置向けに東芝が開発した大出力ビーム管で,大出力,高感度,低歪,ペア管を謡文句に,専用整流管5G-K22と組合せて発表された。6G-B8は米国系カラーTV水平偏向出力管6CB5Aを原型に,特性を米国TungSolの6550や英国GEC(MOV)のKT88などと類似に仕上げたもの。最大プレート損失35W(設計中心),最大出力はAB1ppで150Wと肩を並べる性能を持っており,さらに感度が約2倍に改善され使い易い半面,オーディオ管としての歪特性が悪化しているのが欠点でる。詳しくは,日本の真空管の開発の歴史:B seriesの6G-B8の項参照。
(原型・構造・特性)
6.3V,1.5A,GT35-2,7S(-,H,P,G2,G1,-,-,H,K-G3),
250V,250V,-8V(57Ω),140-151mA,12-28mA,15k,20mA/V,RL1.6k,15W,9.5%,μ15
(T69)800V/35W,440V/10W,(T62)500V/35W,400V/10W
Matsuda 6G-B8 in 1958, Paper photo and Real Sample
Toshiba 6G-B8 in 1958/東芝マツダの6G-B8の写真。1958年,東芝のTechnical Data on Matsuda Electron Tubes (42)より。サンプルの写真は京都府、辻野泰忠さん提供。
発表当時のもの。天井マイカがある。また電極の位置がやや高い。
Box of Toshiba-Matsuda 6G-B8
Toshiba Hi-S 6G-B8 in 1962, for Communications (from left, 2K02, 6D03 and 7E01)/東芝 Hi-S 6G-B8通信用(左より2K02,6D03,7E01)。いずれもHi-S(通信・工業用)の時代で,1962年頃と思われる。中古。 この時代,ゲッタはドーナッツ・リング型2個。gm=70,52,48。参考までに,通信用は各メーカ共通のCESの規格で,Hi-Sはそれを満足する東芝独自の規格。通測用は通信用より後の時期に現れたCESの規格で,さらに詳細になっている。
この通信用ではカソードスリーブの上端は振動を抑えるために潰してある。プレートと他の電極間の絶縁のためマイカに切り込みがある。しかし,スクリーンには無い。これがEL34/6CA7との大きな違いを作った。
隙間が少ないので内部が良く見えないが,ヒータはダブル・スパイラル・ヒータが2系統。
ベースの厚みが薄くなる。21.5mmから16.5mm程度に。ともに中古。gm=41,55.5。
Top Mica of 6G-B8s in middle 1960s/Hi-Fi(ロット無印)とHI-S通信用(ロット不明)。上部マイカ付近
Getter Ring of 6G-B8s in middle 1960s/Hi-Fi(ロット無印)と通信用(ロット不明)。ゲッタの様子。 同時期の製造だが,左の民生用はゲッタ1個,右の業務用は2個。
Bottom View of 6G-B8s in middle 1960s/Hi-Fi(ロット無印)と通信用(ロット不明)。ベース付近。
ベース・シェルが薄くなったお陰で,電極下部が見えるようになった。左のHi-Fi用はガラス管壁にHi-Fi文字がスタンプしてあり,ベースには何も書いてない。その後,右のHi-S管と同様にベースに印字した(ハズである)。
New Ages of Hi-Fi 6G-B8s in End of 1960s, for Autio/6G-B8の新しいHi-Fi用(ともにロット無印)。ともに1960年代後半。
ガラス管がT35からT38に変わる。管名枠は8角枠から長方8角形に。ベースはジャンボ・シェルから中型シェルに。ガラス管は下部で絞り込み。下部マイカ板は円形から長方形に。カソード・スリーブ下端は潰してあるが,上端はやってない。ゲッタは3つに。トップ2つの他,プレート側面にも1つ。
左のサンプルは右よりやや早い時期で,ガラス管がやや長く,管名印字位置がやや高い。gm=55.5,45。
この球以降1960年代末までには,ガラス管頭は扁平になり,ベースの印字は全てガラス管壁に移る。
Boxs of 6G-B8s, Hi-S (T35 ages) and Hi-Fi (T38 ages)/6G-B8の箱。
通信用(7E01)とT38を用いた新しいHi-Fi用。通信用は7E01で箱には(4CF2T1 シ10)。これが10箱入ったカートンには(4LB 1C1)とあった。新しいHi-Fi用は(4CF10R2 そ11)。(4CF10R2 か11)もある。定価1,500円。
次に,6G-B8(7E01相当)の解体図をご覧にいれましょう。
[Photo 1-1a] Inside View of 6G-B8/まだ生きている6G-B8を解剖した。プレートを開いた図。 プレートはカーボン・スート(炭粉を塗布,指で擦ると取れる),その内側にビーム・プレート(ビーム形成翼ともいう)。本当は金属色なのですが,写真には茶色に写りました。その中にはグリッド巻き線(g1,g2)が金色に輝いているはずなのだが,写真の分解能が悪く見えない。写真で見える白っぽい部分は,酸化物皮膜のカソードで,幅広いことは分かる。上部マイカ板は相当削ってしまったが,まだ一部残っている。その上にg1とg2の放熱フィンがある。ゲッタはドーナツ型2個である。
g1とg2のフィンの関係が見えるでしょうか。g1は板,g2は折り曲げた鳥の翼といった感じ。ビーム・プレートの内側の黄色い部分がグリッド巻き線です(写真ではg1とg2の見分けはつきません)。
グリッド巻き線が黄色っぽく見えます。ドーナツ型のゲッタは上面に溝が彫ってあり,この中にゲッタ材料が入れられ,高周波加熱でフラッシュされます。
下部マイカ板の下に光る金属板が2枚左右に見えます。左側はg1の,また右側はg2のリード線兼放熱フィンです。左側にはもう1つg2用の金属板が隠れています。左右の金属板の間の白いものがヒータで,コイル型のものが2系統並列に上に立ち上って行きます。
プッシュプル・アンプで20Wを越える出力管(6BQ5と6L6の中間の出力)があったらな,という希望をかなえるためにNECが1959年に開発したビーム出力管。しかし,失敗作と思われる。20Wの夢は6BQ5の系譜7189が主流となり,終わりました。NECは3接の性能に着目し,まもなく6R-A8を発表,事なきを得たようです。
外観は同社の3極出力管6R-A8にうりふたつ。それもそのはず,原型です。規格の出力が得られないという評判でした。また最大定格が過酷だったため,直ぐに性能が落ちてしまうという欠点があります。活きているサンプルを探すのは難しそうです。Yahooでようやく入手しましたが,このサンプルはエミ減となっています。サンプルは製造コードD30で,他に350(gm=50 and gm=43)もあります。
箱はNEC Pair Tubes Hi-Fi Green Series, New Nippon Electric, (新日本電気) 定価\1650,
トランス付きTVの垂直偏向出力管。東芝。1959年。6.3V管の他に600mAシリーズの8R-B11もある。オーディオ管の動作例も知られている。
6.3V,0.8A
8.5V,0.6A,mt21-4,10-27,
200V,200V,-12.5V,45mA,2.5mA,-,7.5mA/V,RL4k,4.5W
原型は米国8EM5あたりと思われる。TV垂直偏向出力用のビーム管は,初期頃6V6-GTをMT化したMT7pinの6AQ5系が使われたが出力や耐圧が問題になり,パービアンスや耐圧を改良したMT9pinの6CZ5系,さらにヒータを強化しパービアンスや直線性を改善した8EM5が誕生した。日本の6/8R-B11はこの8EM5の類似球で,8EM5に比較するとパービアンスはやや高く,電力感度が50%upしたものである。電極構造は8EM5に似ている。いずれの球も肩特性は古典的な6V6-GTの延長線上にあり,6/8R-B11はその頂点に立つ球である。その後の高パービアンス球とは異なる。
東芝は8EM5の生産より先に本球を生産販売し,数年後に8ME5の生産販売に参入した。他にNEC,TENなどで生産された。600mAの8R-B11は他の球の出現により1963〜1965年頃比較的早く保守品になったが,6.3V系の6R-B11はオーディオ用途にも活用されたため,60年代後半まで生産され比較的最近までストックがあった。
Toshiba 6R-B11/東芝
東芝の真空管はテレビなどのセットに組み込まれて出荷された球は,年代を示す記号が付いているが,保守用や一般販売用に出荷された球は手がかりが乏しい。私の6R-B11のコレクションでは,製造記号が表示してある球はセットから抜き出したジャンク球1本限りで,他は全て記号無しの箱入り球である。
そこで,まず東芝6R-B11の箱の紹介から始める。箱には箱の記号が付いているのだ。写真左より無印大箱(4CF60P1ナ10,球は黒化プレート,赤文字),無印小箱(4CF200P1ハ10,球は黒化プレート,白文字),1つ星付き大箱(4CF61P1マ10,球は黒化プレート,赤文字),1つ星付き小箱(4CF201P5の09,球は灰プレート,白文字)。
左から1,3,2,4の順に古い,つまり無印大箱,1つ星付き大箱星,無印小箱,1つ星付き小箱の順のようである。1960年代始めから1970年頃まで私の手元にはこの他,無印大箱には4CF60P1よ10,無印小箱には4CF200P1ほ26,という記号のものもあった。現在のところ,箱の記号から詳しい製造年代を特定することはできないが,いつか役に立つかもしれない。
左のサンプルは無印大箱のもので,コレクション中最も古いモデル,右は次に古い無印小箱のもの。ガラス管壁の印字は赤茶色。プレート断面の形状は,カソード対抗面が平型,側面が楕円型の長方楕円。サイズはガラス管内ぎりぎりで,東芝6BQ5/6R-P15よりも太い。これら初期のモデルではプレートの材質が黒化ニッケル板?で,2枚の板をフィン部でスポット溶接しているのが特徴。リブは3本。側面には平角型のガス抜き孔が4つ並んでいる。上部マイカ板に突き出ているg1,g2支柱は銅色で,支柱自身にグリッド巻き線用の溝が彫ってある。カソードは幅広い平型。ヒータはコイル型。下部マイカ板は上部マイカ板に比べて厚い。電極上部のゲッタは径の大きいドーナツ型で,その取り付け位置は,初期の頃に比べて右のモデル以降やや下方に修正されている。
Toshiba 6R-B11s (2) Middle Ages/東芝6R-B11その2。ともに正面の図。左のサンプルは1つ星付き大箱の球。前の2本と全く同じ構造で,管壁に星が表示されている点だけが異なる。一方,右のサンプルは,1つ星付き小箱の球。プレート材質が灰色のアルミ被覆鉄に変り,2枚の板の接合はスポット溶接からカシメに変わった。球の管壁の印字は赤茶色で変わりがないが,1つ星の箱入りなのに球には星が無い。
Toshiba 6R-B11s (2) New Ages, 1964/東芝6R-B11その3。ともに側面の図。左のサンプルはジャンクで唯一製造記号がある球,4D(1964年4月)。右は1つ星付き小箱のもの。ともにプレート材質は灰色のアルミ被覆鉄。サンプル(その2)と比べて下部マイカ板は薄くなり,管壁の印字は白になっている。また右のサンプルになると,上部マイカ板に突き出ているグリッド支柱の巻き線用溝が無くなった。
NEC 6R-B11/NEC(新日電)の6R-B11
NEC 6R-B11s from 1966 to 1967/NEC(新日電)の6R-B11。左は61/070(1966年1月製)の側面,中央は74/070(1967年4月)の正面,右は79/950(1967年9月)の側面。この他に75/070(1967年5月)もある。
NECロゴは白。また管名の印字は1967年5月までは上部に銀色で示されていたが,1967年9月には上部に白,また下部に銀色で小さく表示されるようになった。
NEC製は東芝と比べて,プレートのサイズやリブの数は同じ,側面のガス抜き孔の数が異なり,上下2カ所となる。g1支柱は銅,g2は銀色で径が小さい。カソードは幅が2/3位に狭い。ヒータはヘアピン。ゲッタ・リングの径も小さい。ビーム・プレートのサイズは同じで,材質は1967年5月までは無垢のニッケル,1967年9月以降はアルミ被覆鉄に変わっている。というような特徴がある。特にカソード面積が狭いというのはどういうことだろうか。
[YeD] Box of NEC 6R-B11/NEC(新日電)の6R-B11の箱。左は61/070(1966年1月製),右2つは1967年4月から9月までのサンプルの箱。右の箱は1960年代初期から1968年頃まで使われたTVなどの一般民生用だが,左は見たことのない箱である。NEC(日電)の業務用管の箱とも異なる。どなたか,ご存じでしょうか?
欧州系の水平偏向出力管PL36/25E5を原型として開発された低電圧大電流型のオーディオ用出力管。松下。1964-65年。6.3Vとレス・オーディオ用の50V管がある。
6.3V,1.25A/50V,0.15A,MN29-44,10-62
130V,130V,-12V(68Ω),123mA,8.5mA,4k,15mA/V, RL0.8k, Po8W, 350V/18W,300V/5W
PL36/25E5の電極ユニットをT9マグノーバル管に入れて,トップ・プレートを廃したもの。したがって,外観上,電極構造等の外観は松下製の後期のPL36/25E5と全く同じで,同一ユニットを使用しているように見える。
ただ仕様はやや異なるように発表されている。最大定格はPL36/25E5(水平偏向動作・設計中心)(Ebb600V11W,Esg250V4W-5W),(B級オーデイオ動作・設計中心)(Eb300V12W,Esg250V4W-5W)に対して,50H-B26(AB級オーデイオ動作・設計最大)(Eb350V18W, Esg300V5W-7W)とかなり大きくなっている。ちなみにPPアンプは, PL36/25E5が44.5W,7.2%,50H-B26が 47W,4.5%と出力はほぼ同じで歪みがやや低減しているのが分かる。
松下は自社のオーディオ・アンプにこれを採用し,片チャンネル10本のOTLアンプと片チャンネル2本使用したトランス付きプッシュ・プル・アンプの2種を発売した。したがって,ある程度流通することになった。また,NECも1966年頃から生産した模様。
1969年4月松下から,TV垂直偏向出力用マグノーバル管25HX5(欧州名不明)が発表された。この球はPL36/25E5のシングル・エンド型マグノーバル版で,まさに50H-B26の25V管のような性格を持っている。最大定格も300V時の音声信号では同じ位になろう。この球は米国にストックがある。
このサンプルはTV球と一緒に1本だけTV屋さんから譲り受けたジャンク球。g1に放熱フィンが付いている。g1,g2支柱は銅,プレートには孔が無い。ゲッタはプレート支柱にドーナツ型1個,マイカ板は,下爪付き1枚で,上は爪なし円形のものと下部にも使用した爪付きのものの2枚を用いている。このサンプルは下部のカソード・リード線の引き回しが悪くスクリーン端子と近接,目視ではギャップは僅か。耐圧に不安がある。
プレートの側面に孔が3つある。この孔から内部を覗くと,ビーム・プレートが見え,そこにも3つの孔があり,その内部に見えるg2支柱は着炭(カーボン・スート)されているのが分かる。この球は50本入りの大箱で出荷された裸球。新品と称する10本を数年前に通販で入手。Eb100V,Esg100VのIbをそろえてもらったが,gmの測定がうまくいかずに困っている。
g1の放熱フィンが省略されている。外側から見えるg1,g2支柱は銅色(少なくともg2の内部支柱は黒化されているが)。上部マイカ板は1枚になり,代わりにプレート支柱に金属板を溶接しガタを抑えている。また,マイカ板のプレート周辺の切り込みのギャップが下部マイカ板よりもやや狭い。カソード・スリーブの上端も外側にやや潰して振動を抑えているように見える。
マイカ板は(FO)と同じ。カソードとスクリーンのリード線の引き回方法が変わり,両電極間のギャップの問題は解決している。またビーム・プレート(g3)は本来箱形の金属枠であり,下部マイカ板に直置きするため,マイカ板が汚れてくるとg2とg3間の漏洩電流も心配である。写真では見えないが,2本のg2支柱は下部マイカ板にそれぞれ1箇所づつ金属ベルトで止まっている。先のモデル(FO)ではこのベルトが引き出される側のビーム・プレートにだけコの字型の切り込みがあった。ところが,このモデル(9H)ではg2付近の両側にコの字型の切り込みが入り,結果的に下部マイカ板上のg2とg3間の絶縁も向上している。