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8A. Magic Eyes -American |
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1.1 Magic Eye/マジックアイ |
1.4 Cathode with Coil/コイル付きカソード |
1.2 Structure/構造 |
1.5 Variation of Magic Eye/色々なマジックアイ |
1.3 Principle/動作原理 |
1.6 End of Life Time/寿命末期 |
2. History of American Magic Eye/米国のマジックアイの歴史 |
Table 1 American Type Magic Eyes/米国型マジックアイ一覧 |
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No photo |
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No photo |
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No photo |
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6G5 |
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6T5 New |
RCA 1629 |
RCA 6AF6G, |
No photoTung-Sol 6AL7-GT |
6977 --->see European DM160/6977
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No photo |
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Japan-Made EZ-6E5, 6E5, |
EZ-6G5 New |
EZ-6U5/6G5, 6U5/6G5 |
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マジックアイを特集しました。
ともあれ,マジックアイは収集だけでなく,歴史的な話をいろいろ知ることができたなら,なお一層楽しいかもしれません。そんな訳で,いままで集めてきた資料やサンプルを総動員してマジックアイのページを作りました。
(1)人気の秘密 -実用品と収集
マジックアイは我が国では1950年代のラジオ少年達の古き良き時代のシンボル,したがって,今日ラジオのレストレーションに励む人たちや真空管集めに興じる御仁もとりわけマジックアイに愛着があり,夜な夜な蛍光をともしては一人微笑んでいるという姿も多いかと思います。
(2)市場
今日,マジックアイはなかなか人気衰えず,しかし,市場には既に無し。普通のオーディオ用の真空管は国内に在庫がなくとも海外,特に米国には豊富に在庫があり,さらに旧東欧諸国や中国,ロシアで未だに製造している品種もあるのですが,ことマジックアイに関しては米国でも欧州でも希少となってまいりました。その訳はマジックアイは一種の装飾品であって,しかも一時に多量に使用するものではないこと,歴史的に見てもその使用はTVやオーディオよりも10年ほど早い1960年代はじめでほぼ終わってしまったこと,加えて,マジックアイは綺麗に輝く寿命が比較的早く,その後もラジオのメンテナンスに在庫を食いつぶしてきたこと,などでしょう。今では米国でも枯渇状態です。我が国では戦後の流行し大いに製造したので最近まで在庫がありましたが,風前の灯火,最近のブームで需要が増大するとともに市場原理によりその価格はすっかり高騰してしまいました。
(3)私の収集
なお,私が真空管ラジオに入門したのは1960年代後半でしたので,自作の手本の回路図には既にマジックアイはありませんでした。自宅にあるラジオにもステレオ・レシーバにもマジックアイが付いていましたが,運悪く大出力放送局のお膝下,マジックアイは常に陰影が閉じっぱなし,ダイヤルを回して同調はとれるものの陰影のぱたぱたの意味はついぞわかりませんでした。そんな状況でしたから,マジックアイに長年特別な感情を持ち続けてきた訳でもなく,マジックアイに興味を持ち出したのも,他の真空管と同様に日本の球の歴史をまとめたいと思ってきたからでした。そのため,普通のコレクターだったら綺麗に輝くオリジナル箱入りの新品を取りそろえて自慢するところでしょうが,私の場合は生きていようが死んでいようがとにかくサンプルがあることが大事,もし少しでも蛍光が出れば幸運,逆に幸運にも販売店に残っているマジックアイがあってもどの店も同じメーカーの同じ時期の保守品となると買いあさっても意味がありません。珍しい品種になると人気のマジックアイはコレクターはしまい込んで入手困難,いまさらのように
(4)感謝
サンプルが入手できずに困っていましたが,ホームページを通じて沢山の方からご協力をいただき,なんとかこのページを書くことができました。ここに改めて感謝したいと思います。
「マジックアイ」(魔法の目)は,ラジオ受信機の同調指示用に作られたTuning Indicator(同調指示管)という真空管の一種で,猫の目のように瞳(ひとみ)が開いたり閉じたりするので,その名があります。TVに使われているブラウン管と同じ,一種の電子線管で,電圧の変化をターゲットと呼ばれる電極上の蛍光膜の光る範囲を変化させることにより可視化するアナログ方式の表示器です。1935年に米国RCAによって初めて誕生しました。同調するのに便利ではありますが,なくても良いのでどちらかというと「装飾品」に近い代物です。精密さを要求される測定器や高級ラジオ受信機は通常の電圧計を使えば良いのですが,微少電圧を表示するには高感度のメーターやさらに増幅器を付けたメーターが必要で実に高価だったので,簡易かつ廉価な方法として登場したのです。緑色に光り瞬きする仕掛けはさらに一般人を引きつける魅力もありました。
米国では戦前に流行しましたが,我が国では戦後スーパーヘテロダイン式のラジオがようやくお茶の間に登場し,その普及とともに1950年頃から爆発的に流行し当時のラジオ少年達の憧れの的になりました。1950年代半ばにはマジックアイは高級ラジオのシンボルとなり,1950年代末になるとマジックアイは市販品種の半数ほどまでに普及,付いていて当たり前の時代になるのですが,1960年代始めにトランジスタとの交代劇で真空管ラジオそのものが姿を消してしまいました。さらに,1950年代末からHi-Fiオーディオ・ブームが訪れ,初めはAMラジオ・チューナー付きのモノラル・アンプのセットが,そして1960年代にはステレオ・アンプのセットが普及し,そこにマジックアイが搭載されました。FM放送の実験放送も始まり,ステレオ放送の同調用やステレオのオーディオ・レベル計にも使われました。同じ頃,テープレコーダのブームも訪れ,簡易型のセットにはマジックアイがレベル計代わりに使われました。このようにマジックアイはラジオの同調指示以上に生きながらえ,1960年代末まで製造されました。しかし,1960年代はじめに廉価なメーター,ラジケータが開発されると時代に交代していく運命にあり,トランジスタ・ラジオやテープ・レコーダ,Hi-Fiアンプの全てに渡り完全に移り変わりました。
RCAが1935年に発表した元祖6E5をはじめとするマジックアイの多くは表示部だけでなく,小電圧信号を増幅するための直流増幅器用に普通の3極管を同封しています。構造を説明する図はRCAのマニュアルに掲載されており,Webページでもそれを引用したものがあるので,ここではRCAの初期のサンプルの写真で説明しよう。電子線指示器の構造は一種の3極管であって,(i)通常のカソード(Cathode),(ii)蛍光物質を塗ったターゲット(Target, 記号はTA)と呼ばれるお皿,これが通常のプレートに相当する電極,そして(iii)両電極の間に位置する小さな板切れ,これが通常のグリッドに相当する電子線制御電極(Ray Control Electrode, 記号はRC)である。
ターゲットには電子線が当たると発光する蛍光物質が塗ってある。制御電極がターゲット電極と同電位の時は,カソードを出た電子線は何にも邪魔されることなくターゲットの円盤の縁まで到達し衝突するので,電子線は360度全面に広がりターゲット全体が光る。ターゲット電極は通常の受信管のプレート電圧と同じ125〜250V程度の電圧を印可した時に動作し(6E5の例),それより低い電圧では発光しなくなる。さて,制御電極がターゲット電極よりも低い電圧になると,制御電極付近だけは相対的に低い電界になり電子線軌道は制御電極を避けるように曲げられ,結果的に制御電極付近に到達できる電子の数が減少し発光が弱くなる(陰影ができる)。円盤状のターゲットの蛍光膜にできる陰影は扇形となり,陰影の角度は制御電極の電位が低くなる程大きくなる。
一方,制御電圧を作る3極管部は普通の3極管である。最もポピュラーな6E5はシャープカットオフの3極管(mu25)が封入されており,そのプレートが電子線制御電極に内部接続されている。したがって,3極部プレートに高抵抗を通じて+Bを供給し,またターゲット電極に+Bを,さらに受信機のAVC電圧を3極部のグリッドに印加すると,AVC電圧の大きさ(0Vから-8V)によって,陰影が(90度から0度)と変化するのである。受信信号が強くなる程緑の部分が減少し,扇形の陰影は閉じていく。
次に,マジックアイが光っている様子をお見せしよう。蛍の光を写真を撮るのはなかなか難しのと同様に,マジックアイも光らせると案外弱い光なのでピンぼけであるが,ご容赦願いたい。
マジックアイが登場した頃の表示部の構造は,ターゲットの中心にあるカソードは丸裸であったが,米国でいつの頃かその周囲にグリッド(コイル)が巻かれるようになった。上のサンプルは米国Sylvaniaの1951年製であるがコイルがある。我が国で戦後作られたのも皆この形式である。このコイルの正体は一体何だろう?コイルは下部でカソード・スリーブに溶接されており,カソード等電位である。一般の真空管と違い表示部にはカソードを囲う制御用グリッドが無いため,一度カソードを出た電子がターゲット電圧で加速されターゲットに吸収されるが,衝突時の散乱で再びカソード方向に飛び出した電子は阻止するものが何もないので,陰極物質に衝突し結果的にカソードを痛めてしまうという事態も起こる。ところが,カソード等電位面のコイルを付けるとコイル外周から内部に入ろうとする散乱電子を阻止できるので,カソードを痛める心配がない。また,蛍光パターンの均一化にも寄与しているのかもしれない。そんな配慮がなされているのではないかと思われる。
マジックアイが使用されはじめるとその入力感度(ダイナミック・レンジ)が不満になってきた。スーパーヘテロダイン式のラジオ受信機では,2極管検波後に得られる直流分(中間周波信号の振幅に比例した電圧)を利用して中間周波数増幅器に負のフィードバックをかけその増幅度を自動調整する,AVC(自動音量制御)付きの増幅器が使用されている。このAVC電圧を同調指示に利用すると,ラジオ受信機の信号入力に対して対数圧縮的に働くので好都合であるが,しかし,中間周波増幅管6D6などバリミュー管の場合にはカットオフ電圧が深いのでAVC電圧は0から-20V程度まで変化するのに対して,初期に開発されたマジックアイ6E5は0から-8V程度のレンジで陰影が全開全閉してしまうので,強力なローカル局以外では陰影が動かないという事態が生じる。マジックアイ開発初期はきっとAVC回路はあまり利用されていなかったのだろう。しかし,AVCが一般的になると,6E5では不満が大きくなった。そこで6E5のデビューの翌年にさっそくマジックアイの3極部も緩やかな遮断特性(リモートカットオフ)を持たせて,-22Vまで使えるようにしたものが作られた。それが6G5/6U5である。米国ではこちらが標準になり,我が国でも戦前はこちらが主に国産化されている。しかし,日本ではスーパーヘテロダイン受信機が本格的に国民に普及したのは戦後のことになった。
戦後,我が国ではスーパーヘテロダインが普及する段になって,再び6G5/6U5と6E5の両マジックアイが作られ,価格も同じだったが,売れたのは何と6E5であった。受信すべき放送局の数が限られてたこと,中波放送しかなかったこと,したがって受信機の感度も選択度も5球スーパーで十分であり,遠距離の放送局を無理して聞く必要もなく,また遠距離の放送にマジックアイが振れないと嘆く必要もなかった,逆に近距離であれば,開閉の歯切れのよさは6E5の方が勝っていたのであろう。そこで6E5がダントツにもてはやされることになったのだと想像する。
一体,寿命はどれ程だったろうか?寿命は,1つはカソードのエミッションで決まる。一般の受信管の話だが,戦後のカソードの作りが悪い時期には整流管などでは1000時間も立たぬうちに寿命が来たそうであるが,1950年代後期からは寿命は数1000時間以上に延びた。厳格な性能を追求しない民生用のラジオ球ならば,聞こえなくなるまで使えるのでかなり寿命は長いのだが,マジックアイはもう1つの寿命があった。蛍光膜の寿命である。誰が見ても分かる「明るい,暗い!」という性能である。製造後,蛍光膜安定のために40-100時間のエージングを要するが,戦後日本の初期の頃には市場にはこれを怠った製品がでまわったという(内田氏の記述)。需要が多く間に合わなかったに違いない。NECのマニュアルには6E5の輝度の時間に対する曲線が紹介されている。エージングを行うと,初期の輝度はこの100時間程度で50%以上落ちるが,パターンは安定する。100時間以後,徐々に落ちていくが800時間でもあまり変化はないように描かれている。しかし,それ以後の曲線は無い!数1000時間以上使う民生用ラジオ球にとっては,やはりマジックアイは真っ先に寿命にきて機能を果たさなくなる球であった。見えない!が寿命なのだが,果たして最後にはどうなるのだろう?
蛍光膜の劣化の原因は,蛍光物質が電子衝突によりガス化して移動してしまうのかと私は信じていたが,通説はカソードの陰極物質中のバリウムなどの蒸発物質が蛍光面を汚染するのだという。実際,ターゲットが黒いものはほとんど光らない。黒くなる理由はそれである。しかし,蛍光物質がまだ黒い中に存在するならば,復活の方法があるかもしれない。再び光らせる方法の1つはターゲット電圧を引き上げる方法,もう1つはこの蒸発物を取り除くという方法であることが,下記に紹介するWebページに記載されていた。確かに外部からエネルギーを与えてバリウムを再び蒸発させることができれば良い訳である。しかし,ガラス管内のターゲットの塗装面だけにエネルギーを与えるには,通常の火炙りでは役に立たぬ,その方法はレーザーだという。これでは素人には手に負えぬ。試しに数100Wの撮影用の照明を浴びせて虫眼鏡で焦点を定め温度を上昇させようとしたが,ダメであった。冬の太陽光も試みたが役に立たなかった。夏ならどうかな?最近は電子レンジで真空管を焼く話も良く聞く。しかし,金属全体を焼いてしまうと昔の(1950年代の)球では作りが悪いので,いままでせっかくガス吸蔵していた部分まで解き放してしまう恐れがあり,ガス放出後の吸収手段がない以上,結果的に真空管をダメにしてしまうだろう。だから,安価で強力な高周波による方法はとれない。やはり,専用の局所的な高周波加熱源がないと無理なのだろう。
おしまいに,ヒントを。もし,表示部は生きているが,3極部がダメなマジックアイがあれば,ターゲット部だけ使用するのは可能。また,光らないマジックアイでも3極部がエミ減になっていない場合,(カソードが生きている場合),6E5は6Z-DH3Aの代わりに使える。ピン接続は同じ。(増幅率は70と25の違いがあるが)。感度は悪い。
米国のマジックアイの歴史は,既に優れたWeb Pageがある。
http://home.pacbell.net/philbert/tuning_eye/eyeintro.htm
これによると,初期に何と恐ろしいことにこれだけの名前が出てくる。
6E5(RCA Jun in 1935),
6G5(RCA Feb in 1936), 6U5/6G5(Apl in 1936),
6H5(Raytheon Oct in 1936), 6H5/6G5,
6N5(RCA in Apl 1936), 6AB5/6N5,
6T5(Arcurus-Raytheon-Sylvania in Apl 1937),
1629(RCA Jan in 1941)
しかし,米国では同調指示管の開発は1935年から1938年の間に集中し,それ以後,新品種の開発に全く興味を失ってしまったという,面白い現象が見られる。
Name |
Developed Year |
Base |
Out-line |
Function |
Eh Ih |
Eb V, Ib mA |
RL ohm |
Eg V |
Eta V Ita mA |
Angle |
6E5 2E5 |
1935 - |
6R |
ST12, 9-26 |
Tuning Ind + SCO Triode *from charact. graps |
6.3V/0.3A |
250 0.24* 250 0.06* 100 0.19* 100 0.045* |
1M
0.5M
|
0 -7.5 0 -3.5 |
250 4.5* 250 4.7* 100 4.5* 100 4.7* |
90 0 90 0 |
6E5 (Sylvania 1946) |
|
|
T9 4- 3/16 |
(Eb 250V max) (Eta 100V min to 250V max) *approxi- mate |
|
250 0.24 250 - 200 0.19 200 - 100 0.19 100 - |
1M
1M
0.5M
|
0 -8 0 -6.5 0 -3.3 |
250 4.0* 250 - 200 3.0* 200 - 100 1.0* 100 - |
90 0 90 0 90 0 |
6E5 (RC-16) 1951 |
|
|
|
(Eb 250V max) (Eta 125V min to 250V max) *subject to wide variation |
|
250 0.24 250 - 200 0.19 200 - |
1M
1M
|
0 -8 0 -6.5 |
250 4* 250 - 200 3* 200 - |
90 0 90 0 |
6G5 2G5 6H5 6H5/6G5 6U5 6U5/6G5 |
1936 - 1936 - - 1937 |
- - - - 6R - |
ST12 - - - 9-26 T9 |
Tuning Ind + RCO Triode |
- - - - 6.3V/0.3A - |
- - - - max 285 - |
|
|
-22/ 250 6U5; Eta-min- max (125-285) 6U5/6G5; Eta min- max (100- 250) |
|
6U5/6G5 (Sylvania 1946) |
|
|
T9 4- 3/16 |
(Eb 250V max) (Eta 100V min to 250V max) *approxi- mate |
|
250 0.24 250 - 200 0.19 200 - 100 0.19 100 - |
1M
1M
0.5M
|
0 -22 0 -18.5 0 -8.0 |
250 4.0* 250 - 200 3.0* 200 - 100 1.0* 100 - |
90 0 90 0 90 0 |
6T5 |
1937 |
6R |
9-26 |
Tuning Ind (Annual)+ RCO Triode |
6.3V/0.3A |
|
|
|
-22 |
|
6N5 6AB5/6N5 |
1936 - |
- 6R |
- 9-26 |
Tuning Ind + SCO Triode |
6.3V/0.15A |
max 180 |
|
|
-10/ 135 Ta-mix- max(125- 180) |
|
6AB5/6N5 (Sylvania 1946) |
|
|
T9 4- 3/16 |
(Eb 180V max) (Eta 100V min to 180V max) |
6.3V/0.15A |
135 0.5 135 - |
0.25 M |
0 -10.0 |
135 2.0 135 - |
90 0 |
6AD6-G (Sylvania 1946) |
1938 |
7AG (oct) |
9-3 |
Twin Tuning Ind. (Eb 150V max) (Eta 100V min to 150V max) |
6.3V/0.15A |
*6J5GT for low and *6K7GT(t) for High control Voltage |
|
75 8 -50 45 0 -23 |
150 - 150 (3.0) 150 - 100 - 100 1.5 100 - |
135 90 0 135 90 0 |
6AE6-G |
1938 |
7AH |
12-7 |
SCO and RCO Triodes |
6.3V/ 0.14A |
250 |
|
|
6AF6-G |
|
6AF6-G (Sylvania 1946) (Toshiba 1953) |
1938 |
7AG (oct) |
GE 9-1 9-36 Syl T9 2-5/16 |
Twin Tuning Ind (Eta 90V min to 250V max) |
6.3V/0.15A |
6AE6-G |
|
0 155 0 81 0 60 |
250 3.75 250 2.2 135 1.5 135 - 100 0.9 100 - |
100 0 100 0 100 0 |
1629/ VT-139 |
1941 |
7AL (oct) |
TX (T9) |
Tuning Ind + SCO Triode |
12.6V/0.15A |
250 0.24 250 - |
1M |
0 -8 |
250 4 250 - |
90 0 |
6AL7-GT |
1950 |
8CH |
9-7 9-39 |
FM Tuning Ind (Eta 220V min to 365V max) |
6.3V/ 0.15A |
Edf1=0V, Edf2=0V, Edf3=0V, |
Rk 3.3k |
0 -6 |
315 |
1 mm /V |
米国の6E5を紹介。6E5は米国RCAが開発し,1935年7月に発表したもの。当時のサンプルと新しいサンプルを紹介しよう。
ベースにRCAのロゴとCunningham made in USA Radiotron,そしてLicensed as Stated on Carton, K3と刻印されている。製造時期は初期の1935-37年頃(昭和10年代初め)であろう。また,ガラス管には6E5の管名がプリントされているのに,その裏側にはわざわざ「6E5 同調指示管」と書いた日本語のラベルが貼ってあり,同調指示管がよほど珍しかった時代にどこかで展示するために貼り付けたものと考えれば,この球は戦前に日本に輸入されたものと思われる。
初期の6E5の構造的な特徴は,ガラス管がST管であること,内部の電極は帽子を被ったUY-76というイメージか。ターゲットの電極構造はこのページの最初の写真に示した通りである。カソード遮光板はカーボン・スートして黒いのも初期の特徴らしい。我が国でも1953年頃までは黒くしたものが製造されたがその後なくなった。電極を支持する上部マイカ板は外周爪付き円盤。この円盤の下には金属板があり,2本の支柱でしっかり支えてお皿の位置決めをしている。3極管部はUY76と同じような格好である。ゲッタはプレート側面に突き出た四角い板で,死角となって見えないが,おそらく金網が張ってある形式のものだろう。
[3d3] Fluorescent Display pattern 蛍光面は生きていた。Yahooオークションで入手したが,写真では蛍光面が白く見えたので購入してみたら大当たりだった。通電直後は一瞬発光がまだらになり不安定であるが空間電荷が蓄積されるとぱっと安定する。下記の測定を行ってみるとターゲット電流は一瞬2倍近い値の電流が流れ,数秒で安定することが分かる。この辺がカソードにコイルを巻いていない初期のマジックアイの特徴なのかもしれない。
Sample |
State |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Triode part gm+ |
Judgment |
RCA Cunningham |
(used) |
4 |
peak 105 then decrease to 47 |
29.5 >22 |
good |
Test |
Status |
Heater |
Select |
Bias |
Shunt |
Range |
Push |
gm |
Fluorescent Screen |
Eye open |
6.3V |
GR5-4030 |
0 |
100 |
A |
3 |
|
Eye close |
6.3V |
GR5-4230 |
0 |
100 |
A |
3 |
| |
*emission |
Fluorescent Screen |
6.3V |
GR0-4050 |
0 |
0 |
A |
4 |
|
+gm |
Triode |
6.3V |
GR3-2050 |
17 |
0 |
B |
3 |
>22 |
私は真空管試験器TV7/Uを用いて,ターゲット電流とgmを測定している。(*と+)このテスト条件は本来のマニュアル,データ・セットには無いもので私が作ったものである。「ガス1」を使用したターゲット部のテスト(Eye close= Angle 0 degree)では,ターゲットにAC170V(238Vdc相当)が印加され,メータはターゲット電流が表示される。読みは係数0.1をかけるとmA表示になる(x10-1 mA)ことが経験的に分かった。上記のTarget part Diode em=47(Eg=0V)という値は,まさにオリジナルの6E5のグラフから求めたターゲット電流値4.5mA(Eg=0V), 4.7mA(Eg=-7.5V)に全く一致していることが分かる。すると,空間電荷が安定するまでの過渡期に,ターゲット電流は10mA以上流れることが分かる。このような過渡応答を示したのはこの初期のサンプルのみであって,他のサンプルは全てカソードに空間電荷抑制用のグリッドが巻かれてた新型なので,普通は計測したくてもできません。また,新型の6E5はターゲット電流がさらに低く抑えられています。1940年代末から1950年代のマニュアルには250Vで4mAと書かれており,後の1950年代後半の日本のマニュアルには2mAと書かれています。
gmの測定は,正常な球が手元に無いのですが,えいやっと標準gm=33と定め,棄却値を22に設定しておきました。Bレンジの測定では, gm=(meter)/40=0.025 x(meter) mA/Vとなります。標準gm=33は約0.8mA/Vに相当します。棄却値22はこれでダメ球は分かります。
蛍光膜の品位を5段階に定めました。色々測定してみてターゲット電流と輝度は無相関であることが分かりました。古い使い古した球でエミ減の場合はターゲット電流が減るので,その指標として用いることができます。ただ,活きの良い球でカソード皮膜が30%程度はげ落ちている場合は,エミ減には繋がりませんでした。よっぽど空間電荷抑制用のグリッドが効いているのでしょう。内部は電子が過剰(飽和)状態にあるので30%程度のエミ減では輝度の変化にむすびつかない訳です。輝度はむしろ,蛍光膜の絶縁不良(横リーク)が悪くするので,これを数値としたいのですが,ターゲット上の表面の絶縁抵抗の劣化はターゲット電流の測定ではわかりません。表面の汚染の度合いを見た方が早いでしょう。1つの手は点灯して照度計で測る手ですが,あまり暗くなるとヒーター光(赤い光り)が漏れだしてきて,測定を邪魔します。カメラの自動照度調整機構は良いのですが,余り暗いと対応できなくなります。数値にすることができないため,そこで,人力でクラスを勝手に作ったのです。
次は1951年に製造されたSylvaniaの軍用の6E5である。ガラス管は既に直管型となっている馴染みの深い姿。米国のものも国産のものも何等変わったところはない。
Box, One Electric Tube, S.C.Order No. 18287-Phila-51-13A, Sylvania Electric Products Inc., Acceptance Date 11-51./
構造的な特徴はガラス管がストレートになっていること,ターゲット中心部のカソード遮光板が黒化されている点(炭化ニッケル)も伝統的な手法かも。ターゲットのお皿は金属フレームに乗り,そのフレームが2本の支柱が貫通したマイカ板に乗り,お皿の位置決めをしている。上部マイカ板は爪付きの長方形で,サイド・マイカはない。ゲッタはペレット型。この球,変わっている点は,ピンチ・ステムから出たカソードとグリッドの引出線に絶縁チューブ(黄色)が被せてあることだろうか。この球はゴミ箱から拾った軍箱入りのものである。
Sample |
State |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Triode part gm+ |
Judgment |
Sylvania JAN CHS 6E5 |
(New) |
4; not so bright |
6 |
37 >22 |
Standard Tube |
6U5/6G5はDCアンプの3極部の特性がバリミュー型のダイナミック・レンジが広いマジックアイである。RCAが1936年1月に登録したST型の6G5に対して,さっそくRaytheonはさっそく1936年10月に類似の6H5を発表,すぐに6H5/6G5という製品が出た。またPhilcoはストレート(T型)の6U5を発表,その後1937年4月にRCAは両者を兼ねた6U5/6G5という型番のものを製造した。米国では多用されたようであるが,その流行は戦前だったように思う。
サンプルは戦後の1948年(8-48)に作られたものだが,沢山あるKen-Rad製(188-5)ではなく別の工場(188-4)である。Yahooオークションで中古を入手したが,寿命末期のものであった。
ターゲット蛍光面は焼けて黒澄んでおり,遮光板の支柱の影だけが白く残っている。かなり長い時間使用したことが分かる。部屋が明るい状態で点灯すると,緑色がかすかに残っているのが分かる。
Sample |
State |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Triode part gm+ |
Judgment |
GE 6U5/6G5 (8-48) |
(used) |
3; Weak |
12 |
31 >22 |
good |
Test |
Status |
Heater |
Select |
Bias |
Shunt |
Range |
Push |
gm |
Fluorescent Screen |
Eye open |
6.3V |
GR5-4030 |
0 |
100 |
A |
3 |
|
Eye close |
6.3V |
GR5-4230 |
0 |
100 |
A |
3 |
| |
*emission |
Fluorescent Screen |
6.3V |
GR0-4050 |
0 |
0 |
A |
4 |
|
+gm |
Triode |
6.3V |
GR3-2050 |
17 |
0 |
B |
3 |
>22 |
この球は直流アンプを内蔵せずに表示部だけからなる2チャンネル用のマジックアイで,米国で1938年頃に開発されました。同じ頃,欧州でも2チャンネル用のマジックアイが開発されていますが,増幅率の異なる2つの3極管を内蔵し表示部の陰影を2つの領域に分割したもので,戦後も使われています。米国の初代表示管6AD6-Gは,ドライバー管として低増幅率の場合6J5-Gを,高増幅率の場合6K7-Gを使うよう指示されていますが,6AF6-Gは高増幅率と低増幅率の2つの3極管を封入した専用管6AE6-Gが作られ組み合わせて使用する。
表示器が2個いっしょになっていますが,逆に3極管が別置き型です。1938年に登場。それまでのアイはST管でした。最初のオクタル・ベース管だそうです。確かにG管。以後,全てオクタルです。1941年の1629/ VT-139や戦後の6AL7-GTを残すのみ。我が国では東芝が1953年頃から1955年頃まで製造していました。
サンプルは戦時中のもので,中古。Yahooオークションで入手した。
Sample |
State |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Triode part gm+ |
Judgment |
RCA 6AF6-G, (S4) |
(used) |
4; not so bright |
30.5 (28.5) |
- |
good |
Test |
Status Unit1 |
Status Unit2 |
Heater |
Select |
Bias |
Shunt |
Range |
Push |
em |
Fluorescent Screen |
Eye open |
Eye close |
6.3V |
HS4-3580 |
0 |
100 |
A |
3 |
|
Eye close |
Eye open |
6.3V |
HS3-4580 |
0 |
100 |
A |
3 |
| |
*emission |
Fluorescent Screen |
- |
6.3V |
HS4-5080 |
0 |
0 |
A |
4 |
*note |
- |
Fluorescent Screen |
6.3V |
HS3-5080 |
0 |
0 |
A |
4 |
*note | |
Fluorescent Screen |
6.3V |
HS0-5080 |
0 |
0 |
A |
4 |
*note |
蛍光面は少し黒化し,退化している。蛍光面に焼けは無いが上側にビームが強く出ていて,OPENのパターンでも中央部に緑があり,またCLOSEでは強く光る。カソードが偏芯しているようで,カソードの空間電荷グリッドがターゲットに近いのが原因かもしれない。
この球は国内でも1950年代の中頃に製造され,東芝(1953),松下(1955),NECなどが知られています。一般のラジオ放送受信機ではなくむしろ業務用に使われたようです。最初のオクタル・ベース管だそうです。確かにG管。
1629は6E5の12.6V版であるが,ベースは6pinSTではなくオクタル(8-pin)。1941年1月にRCAによって生み出され,業務用として当時の1600台の数字管に登録された。数字とアルファベットのRMA名(EIA名)は無い。戦時中は陸軍や海軍の航空機の通信機向けに多量生産された。戦後は米国では余剰製品が民生用の計測器などにも使用された。我が国では製造されなかった?米国では6E5よりも在庫が豊富という情報で,入手は難しく無いというが,それでも高価。最近,ラジオ用にはオクタルの6.3V管(ロシア製)が流行っているが,1629を6.3Vにしたものと見て良いだろう。
本サンプルはYahooで入手した。戦前に作られ,戦後日本に渡ったと推定される。ベースにRCAの大きな丸型旧ロゴがあるが,戦時中から戦後製品に見られるような製造のロット番号はどこにもプリントされていない。電極は黒化ニッケルで昔のRCA6E5と同じである。
一緒にあった箱はふたの部分が壊れ,オリジナルかどうか分からないが,少なくとも大きな丸型旧ロゴである。当時の米国からの品?箱はRadiotron/Cunninghamで,RCAの旧ロゴであり軍箱ではない。真空管を包む紙は戦後1952年頃?の日本の新聞紙(講和条約草案はあくまでも四大国で)であった。
手書きの1629のスペックがある。やはり戦前(1941年頃)の品ではなかろうか。
ターゲット蛍光面は綺麗で,計測の結果,テスト程度しか使用されていないようだ。綺麗に光る。ターゲット電流はやや多めの2.5mAであった。
Sample |
State |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Triode part gm+ |
Judgment |
RCA 1629 |
(new) |
5; Good |
25 |
28 >22 |
good |
Test |
Status |
Heater |
Select |
Bias |
Shunt |
Range |
Push |
gm |
Fluorescent Screen |
Eye open |
12.6V |
HS5-4080 |
0 |
100 |
A |
3 |
|
Eye close |
12.6V |
HS5-4380 |
0 |
100 |
A |
3 |
| |
*emission |
Fluorescent Screen |
12.6V |
HS0-4080 |
0 |
0 |
A |
4 |
|
+gm |
Triode |
12.6V |
HS5-3080 |
17 |
0 |
B |
3 |
>22 |
この球はFM受信機の同調指示用に作られたマジックアイで,米国で戦後の1946年頃に開発されました。表示部が2つあり,それぞれの表示部を制御する電極と両表示窓のオフセットを調整する電極1つの計3つの制御電極があります。表示部はガラス内面に塗った蛍光膜の裏側から電子を当てて,その反対側から蛍光を見る方式で,発光の形式はオシロスコープなどの観測用ブラウン管と同じです。発光が弱いためターゲット電圧が220Vから365Vと高圧を要するのが欠点です。
サンプルは通販店から新品で入手した。
Test Result of 6AL7-GT
Sample |
State |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Triode part gm+ |
Judgment |
6AL7-GT |
New |
not yet |
not yet |
- |
not yet |
Test |
Status Unit1 (L) |
Status Unit2 (R) |
Heater |
Select |
Bias |
Shunt |
Range |
Push |
em |
Fluorescent Screen |
Eye open |
Eye close |
6.3V |
HS6-3580 |
bias Vary |
100 |
A |
3 |
|
Eye close |
Eye open |
6.3V |
HS4-3580 |
bias Vary |
100 |
A |
3 |
| |
Both Eye Open |
6.3V |
HS5-3480 |
bias Vary |
100 |
A |
3 |
| ||
*emission |
Fluorescent Screen (Eye open ) |
- |
6.3V |
HS6-5080 |
0 |
0 |
A |
4 |
*note |
- |
Fluorescent Screen (Eye open ) |
6.3V |
HS4-5080 |
0 |
0 |
A |
4 |
*note | |
Fluorescent Screen (Both Eye open ) |
6.3V |
HS0-5080 |
0 |
0 |
A |
4 |
*note |
1951年当時はEZ-6E5と称したが1952-53年ころに日本電子機会工業会CESが前置記号を廃止し6E5とした。ここに紹介するサンプルは,蛍光面が退光したほとんどゴミ同然のものです。
初めの5本のサンプルは,左よりサン,パーム,ホリゾン,プリンス,そして不明(HWかも)です。特に左3本はゲッタが皿型で古さを物語っています。また次の2本はゲッタは新しい角型ですが管名にEZとUZという前置記号があるのでやはり古く,ともに1953-55年頃に製造されたものと推定できます。
SUN サン真空管6E5,1952年7月電波科学の広告,この当時のキャッチフレーズ,「常に最高の品質を保持するマヂックアイ」「生産品種60余種」「サン真空管は,大正13年から作られています,常に最高の品質を持っています,いつも60余種を製造しています,必ず需要者の期待を満たします」。製造元,サン真空管製造株式会社。丸にサンのロゴとドーム型の枠にSUNのロゴがあったが,サンプルはやや後の製造で,SUNのロゴのみであった。1953年6月電波科学,「好評!!サン真空管のマジックアイ」。1955年1月にも全く同じ広告だった。
Palmは特殊な真空管を作った会社ですが,昔はラジオ球を作っていてマジックアイも作りました。
Horizon ホリゾンはラジオ球メーカで1950年代後期頃まで名前がありました。
Princeはラジオ球を作っていた会社です。EZ-6E5と記しているのは戦前からの前置記号。1953-55年頃には無くなりました。
最後の球は製造会社不明。管名に特徴があり,変わったことには前置記号EZではなく,UZ-6E5と表示しています。UZは戦後HW真空管が用いたことがあります。サンプルは残念ながら真空漏れしている。
|
Sample |
Outline |
Print & Code |
Electrode |
Others |
1 |
SUN 6E5 |
L=83.3mm, D=28.4mm |
赤ロゴ, (ク-ち)(青P) |
遮光板黒色,皿ゲッタ |
(酒井氏寄贈) |
2 |
Palm 6E5 |
L=79.9mm, D=27.9mm |
(MADE IN JAPAN) (青1014) |
遮光板黒色,小形皿ゲッタ,サイドマイカ1段, 下のマイカは極めて小さい長方形, |
(酒井氏寄贈) |
3 |
Horizon 6E5 |
L=81.6mm, D=28.1mm |
- (2...3) |
皿ゲッタ,1段サイドマイカ |
(酒井氏寄贈) |
4 |
Prince EZ-6E5 |
L=82.4mm, D=29.3mm |
Prince Radio Tube, Tokyo Japan (-D),(青4-7) |
プレートは2段リブ, 爪付き円盤マイカ。長方角ゲッタ |
|
5 |
Unknown UZ-6E5* |
L=86.4mm, D=28.4mm |
- (緑98c) |
長方角ゲッタ |
(酒井氏寄贈) |
SUNはターゲット色が黒っぽく,動作状態では緑が薄い,3極部は生きている。2番目のPalmはターゲット色は灰茶色で遮光板支柱の影が明確,動作状態では蛍光は全く出ない,3極部も完全なエミ減。3番目Horizonはターゲット色は灰で遮光板支柱の影が少し見える,動作状態で緑が薄い,3極部は生きている。4番目Princeはターゲット色は灰色で遮光板支柱の影が少し見える,動作状態でやや緑の輝度があるが,まばらな星空のように緑が点々と光る点の集まりで,意外なことに3極部は完全なエミ減。
|
Sample |
State |
Target Color |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Triode part gm+ |
Judgment |
1 |
SUN 6E5 |
(used) |
Dark Gray |
2; Weak |
21.5 |
29 >22 |
End of life time |
2 |
Palm 6E5 |
(used) |
Gray with Brown |
0; Non |
5.0 |
4 < 22 Very Low |
Death |
3 |
Horizon 6E5 |
(used) |
Light Gray |
2; Weak |
10 |
31 > 22 |
End of life time |
4 |
Prince EZ-6E5 |
(used) |
Light Gray |
3; Weak |
9 |
2 < 22 Very Low |
End of life time |
5 |
Unknown 6E5 |
(used) |
Gray |
- |
- |
- (Air Leak) |
Death (Air Leak) |
次の5本。左の1本は製造会社不明で製造コードだけが残っており1952年製とだけ分かります。次の4本は大メーカーの製造です。はじめはNEC。Nippon Electric Companyの菱形ロゴ付きのもので赤いプリントが施してあったものが禿げていますので,1953年頃の製造でしょう。サイドマイカが2段です。次の松下は1955年製。右の2本は東芝マツダ製で,1本目は1953-55年頃の製造で,サイドマイカが2段です。次のものは1950年代中期でサイドマイカが1段。無印でした。ちなみに東芝のマツダラジオは6E5を1951年から1955年まで採用し,以後6Z-E1に変えて1958年まで使用しました。
6E5s, Unknown in 1952, NEC in 1953?, Matsushita-National in 1955, Toshiba-Matsuda in 1954? and middle of 1950s.
|
Sample |
Outline |
Print & Code |
Electrode |
Others |
6 |
Unknown 6E5? |
L=81.9mm, D=28.3mm |
(1952-12),(青2-11) |
サイドマイカ,小形角ゲッタ |
(酒井氏寄贈) |
7 |
NEC 6E5 |
L=86.3mm, D=28.3mm |
赤文字(1953年頃) |
2段リブ付きプレート,角ゲッタ,2段サイドマイカ |
生きている,骨董市2y |
8 |
Matsushita-National 6E5 |
L=86.4mm, D=28.1mm |
QI, (緑ネ1ウ?/ネ16), (1955年9月製) |
2段リブ付きプレート, 角ゲッタ |
光るが蛍光は僅か。骨董市 |
9 |
Toshiba-Matsuda 6E5 |
L=86.0mm, D=28.2mm |
(ステム, ク△), (1954年頃?) |
角ゲッタ,2段サイドマイカ, 頭刻印 |
(酒井氏寄贈) |
10 |
Toshiba-Matsuda 6E5 |
L=83.3mm, D=28.5mm |
無印, (1955年頃) |
1段サイドマイカ, 頭刻印 |
生きている, 金沢 |
11 |
Toshiba-Matsuda 6E5 (No Photo) |
L=87.2mm, D=28.4mm |
ステムはガラス刻印(n),管壁にRツの印 |
ゲッタ皿型,2段サイドマイカ |
東芝マツダラジオ614A(1953年製)に搭載 |
左Unknownはターゲット色は灰に茶が少し見える,動作状態では緑が暗いが輪郭はしっかりしている, 3極部は活きがよい。真ん中のNEC製はターゲット色は明るい灰で,動作状態は蛍光にむらがあるが輝度は良く実用になる, 3極部も生きている。右の松下はターゲット色が褐色で動作状態では蛍光は周辺部のみで全体にヒータ反射光の赤みがありマジックアイとしての役目を果たさない, 3極部は生きている。
Pattern of Toshiba-Matsuda in 1954?, 1950s? and 1953 (from 614A).
左の東芝(2重マイカ)ターゲット色は灰色で,動作状態ではヒータ赤色が混じり緑は薄く輪郭が曖昧, 3極部は生きている。中央の東芝(1枚マイカ)はターゲット色は同様に灰色で,動作状態では蛍光緑はやや明るいほうだが,3極部がエミ減に近い。右の東芝(ラジオ614A内蔵)はターゲットはやや明るい灰色,動作状態では蛍光緑はやや弱いが実用になりそう, 3極部も生きている。
|
Sample |
State |
Screen Color |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Triode part gm+ |
Judgment |
6 |
Unknown in 1952 6E5 |
(used) |
|
3; Red Contam |
20.5 |
43 >22 |
weak |
7 |
NEC 6E5 |
(used) |
|
4; Red Contam |
20 |
35 > 22 |
very good |
8 |
Matsushita-National 6E5 |
(used) |
Brown |
1; Red Contam |
24 |
35 > 22 |
End of life time |
9 |
Toshiba-Matsuda 6E5 (1) |
(used) |
|
1; Very Weak, Red Contam |
15 |
29 > 22 |
End of life time |
10 |
Toshiba-Matsuda 6E5 (2) |
(used) |
|
3; Red Contam |
19.5 |
11 < 22 Low |
weak |
11 |
Toshiba-Matsuda 6E5 (3) |
(used) |
|
4 |
14 |
32 > 22 |
good |
東洋無線の6E5。マジックアイと言えば「トーヨー」。いつからそうなったのでしょう?他のメーカが色々な球を製造し販売しなければならなかったのに比べるとマジックアイしか作らない真空管製造会社など地味ではありますが,東洋無線は一貫して専業メーカとしてマジックアイを供給しました。もっとも,東洋無線は初めはラジオ球も製造したようで,手元にはトーヨーのロゴの付いた変な12Fも残っていますが,同調用のプッシュスイッチやラジケーターなども早くから手がけて,部品メーカーとしての道を歩み,そのお陰で大メーカが君臨する薄利多売の時代にあっても生き残ったようです。
|
Sample |
Outline |
Print & Code |
Electrode |
Others |
12 |
Toyo EZ-6E5 (28.1) [KE27] 1953 Jan |
L=85.2mm, D=28.0mm |
管名とトーヨーのロゴは違う面にプリントされている。ロゴの下に(28.1), (ステム, 青ケ27) |
長方形角ゲッタ。初期の製造で光遮蔽円盤が黒化。蛍光円盤のくり貫き穴が長方形。遮光板支柱の2本は円盤を貫通。 |
(酒井氏寄贈)(1953年1月製) |
13 |
Toyo 6E5 (28.12) [-6] 1953 Dec |
L=84.9mm, D=28.2mm |
管名とトーヨーのロゴは同じ面に。 (28.12), (ステム, 青-6),ベース黄色12 |
初期の製造で光遮蔽円盤黒化。 |
自蔵,(1953年12月製) |
14 |
Toyo 6E5 - [KU23] 1956 Apr |
L=84.6mm, D=28.4mm |
(-), (緑ク-23) |
1956年製の特徴は4点カシメ穴と4点溶接である。 |
金沢,(1956年4月製),12ZE8と間違われ点火された |
15 |
Toyo 6E5 6J [KO11] 1956 Sep |
L=84.9mm, D=28.2mm |
(6J), (緑コ11) |
ロゴと管名はほとんど消えている。 |
(酒井氏寄贈)(1956年9製) |
左(i)EZ-6E5はターゲット色は褐色で,動作状態では輝度非常に弱いが暗所で明確なパターンが見える, 3極部も完全なエミ減。(ii)2番目1953年製はターゲットは濃い灰色で,動作状態では写真ではうまく撮れない位の輝度だが暗所で明確なパターンが見える, 3極部は生きている。(iii)3番目1958?年製はターゲット色は茶色混じりの灰色で,動作状態は蛍光緑部がまばらで赤いヒータ反射光が勝っている, 3極部もエミ減。(iV)4番目はターゲット色は左と同じ,動作状態ではややうすい緑で,3極部は生きている。
|
Sample |
State |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Triode part gm+ |
Judgment |
12 |
Toyo EZ-6E5 (28.1)[KE27]1953 Jan |
(used) |
1; very very weak |
18 |
5 < 22 |
End of Life Time |
13 |
Toyo 6E5 (28.12) [-6] 1953 Dec |
(used) |
2; very weak |
32 |
27 > 22 |
End of Life Time |
14 |
Toyo 6E5 - [KU23] 1956 Apr |
(used) |
1; Red Contam |
17.5 |
16 > 22 |
End of Life Time |
15 |
Toyo 6E5 6J [KO11] 1956 Sep |
(used) |
3; weak |
16 |
33 > 22 |
weak |
|
Sample |
Outline |
Print & Code |
Electrode |
Others |
16 |
Toyo 1955 Dec (6,19)(U3) |
L=86.4mm, D=28.0mm |
(6 19), (緑ウ-3),,綺麗な色ロゴ |
1955年製の特徴は4点カシメ穴と2点溶接である。 |
(酒井氏寄贈) [1955年9月製] |
17 |
Toyo 1956 Mar (6,4) (WO10) |
L=86.0mm, D=28.4mm |
(6,4), (緑ヲ10), 綺麗な色ロゴ |
1956年製の特徴は4点カシメ穴と4点溶接である。 |
我が家の5球スーパより, [1956年3月製] |
18 |
Toyo 1961 1H(TO6-1) |
L=85.1mm, D=28.5mm |
(1H), (緑ト6) 金ロゴ, 管名枠長方形, |
爪付き円盤マイカ |
ステレオ・レシーバの取り外し品, [s36,1961] |
19 |
Toyo 1961 1H(TO6-2) |
same |
same |
same |
same |
左2つ(i),(ii)はターゲット色は褐色で,動作状態では蛍光緑が余り見えず境界も曖昧, 3極部はエミ減。(iii)ターゲット色はやや明るい灰で動作状態では輝度が落ちているが実用になる,しかし3極部はほぼエミ減。右(iV)はターゲット色が非常に明るい灰色で,動作状態では明るい蛍光で実用になる, 3極部もまだ生きている。
|
Sample |
State |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Triode part gm+ |
Judgment |
16 |
Toyo 1955 Dec (6,19)(U3) |
(used) |
1; Red Contam |
21.5 |
21 < 22 |
End of Life Time |
17 |
Toyo 1956 Mar (6,4) (WO10) |
(used) |
1; Red Contam |
14 |
16 < 22; Low |
End of Life Time |
18 |
Toyo 1961 1H(TO6-1) |
(used) |
4; good |
26.5 |
23> 22 |
good |
19 |
Toyo 1961 1H(TO6-2) |
(used) |
5; very good |
18.5 |
25> 22 |
very good |
東洋6E5の変遷
(1)1953.1,ターゲット部お皿の切り込みは長方形。サイドマイカは既に1段のみ。ゲッタも角型で皿でない。ゲッタはターゲット支柱より。
(1)'1953.7-8頃,ターゲット部お皿の切り込みは四つ角星型。ターゲット部お皿受け金具に爪がつくが,マイカなし。他社が先行した模様。3極部はカシメ2つ。ゲッターは中央支柱より。
(2)1953.12; ターゲット部お皿に円盤マイカ付く。
(3)19553; 3極部はカシメ4つ。2点溶接。
(4)1956;4月からガラス管やや短くなる。9月にターゲット部カソード巻き線の直径とピッチを減らしエミッションを下げる。
(5)1961
東芝マツダは戦前の1938年頃にEZ-6G5(ST型)を国産化したが,戦後は1950年頃に6U5/6G5(ストレート型)の製造を開始した。EZ-6E5は戦後の1952年頃に遅れて製造を開始したが,これが主流になると6U5/6G5は直ぐに保守品に指定され,やがて1950年代中頃には廃止した。
Sample |
State |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Triode part gm+ |
Judgment |
Toshiba-Matsuda |
(new) |
5 |
32 |
30 >22 |
standard tube |