|
|
|
|
|
| ||||
| ||||
8E. Magic Eyes -European |
|
2. History of Philips Magic Eye/フィリップスのマジックアイ | |
2.2 European Type and Japan-made/欧州型と国産のマジックアイ |
Table 3B Japan-made European Type Tubes/日本製欧州型の一覧 |
|
|
|
|
|
Modern Ages | ||||
|
|
|
|
|
|
|
|
AM1 |
|
|
UM11, |
|
|
| |
|
| ||||||
|
(AM2) |
(EM4) |
(EM34) |
(UM11) |
(EFM11) |
|
(DM160) |
|
| ||||||
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
6BR8/EM80/6E1P |
|
EM87/6HU8? |
EAM86/6GX6 |
|
| ||||||
|
(1H3) |
(EM80) |
|
(EM81) |
|
|
戦後,米国に代わってマジックアイを開発し続けたのは欧州メーカでした。特に中心的な役割を担い,日本のメーカにも大きな影響を与えたのはオランダPhilipsです。このページではPhilipsのマジックアイを中心に,我が国で国産化された品種も交えてお話しましょう。
Philipsのマジックアイは,ニュージーランドのJ. W. Stokes氏の著書「70 years of Radio Tubes and Valves(1982)」や我が国の大塚久氏の著書「クラシック・ヴァルヴ(1994)」に紹介され,まずは私もこれで勉強いたしました。Philipsは,米国RCAがはじめてマジックアイ6E5を作った翌年の1936年にさっそくAM1, EM1(P型ベース)を発表しました。増幅部の3極管は6E5と同じシャープカットオフ特性で-5Vレンジでした。ちょっと変わった特徴として表示部に同じ電圧の電子線制御電極を4枚配置したので,蛍光面が4カ所同時に変化します。PhilipsはElectronic Valves I(1949)でその形状を「Clover Leaves」と 説明しています。J. W. Stokesが70 years of ...で「同調十字(Tuning Cross)とか魔法の星(Magic Star)」とか呼ばれたことを紹介していますが,これはユーザー側の通称だったかもしれません。大塚久氏はクラシック・ヴァルヴ(1994)で「四葉のクローヴァーに見え,ロマンティックな気分にさせてくれます」と書いていますが,Philipsももともとそのように見立てていたようです。このEM1はその後,2枚に改められてしまいました(大塚)。
さらに1937-8年頃には,PhilipsはEM4(P型ベース)を発表。その頃,米国では広範囲のAVC電圧で蛍光パターンが開閉できるリモートカットオフ特性(-22V対応)の6G5が既に発表されていましたが,Philipsは増幅率の異なる3極管を2つ封入し表示部も2分割することにより,6E5と6G5を1本にまとめた球を作った訳です。近接した放送局にも遠方の放送局にも容易に同調できるという,放送局が林立した欧州ならではの開発だったのでしょう。EM1もEM4も開発当初から直管型だったかどうかは定かではありませんが,文献の写真に紹介されているものはPhilipsのRed-Eシリーズと呼ばれる赤いメタル・スプレー管でした。
もう1つ新しい試みとして,Philipsは低周波用5極管を封入したマジックアイEFM1を開発しました。Philipsはラジオ受信機の自動音量調整回路として,高周波増幅と同時に低周波増幅回路も開発していたようで,2極検波後の低周波増幅回路のAVC用にEFM1がありました。大塚久氏は「大入力のときカットオフに近い動作点になり好ましくないと推定」していますが,むしろカットオフにならぬようマジックアイでレベル調整をしておくものだったようです。
さらに1939年から1940年にかけてPhilipsは従来のSTラジオ球をトランスレス化したUシリーズ(欧州100mA系UCH4など)を開発しました。このとき,トランスレス用のマジックアイとしてEM4を原型としたUM4(何故かオクタル・ベース, 1940年)を開発しています。さらに,一連のkey-Valve(ロクタル管)を開発,トランス用のEシリーズ(6.3V管,ECH21, UCH21など)とトランスレス用のUシリーズ(100mA管)がありましたが,マジックアイについてはEM4またはUM4を使用するようにと書かれていました。それ程,EM4とUM4の完成度が高かったともいえましょう。
一方,ラジオに欠かせない存在としてポータブル用の電池管があります。Philipsはオクタル・ベースのD(1.4V)シリーズを1939-1940年に発表しましたが,何と,ここにEM1を省電力化したマジックアイDM21が含まれていました。フィラメント電圧1.5から1.1Vの間で働き,フィラメント電流はわずか25mA,+Bは90Vから120Vで動きます。EM1の新型と同様に同じ電圧の制御電極2個を両側に配置したマジックアイで,シャープ・カットオフ,0Vから-3または-4Vの入力に対し5度-60度の範囲で開閉するものでした。こうしてPhilipsの戦前のマジックアイはこの3つで完成の域に達したようです。その後は,戦争に入りそれ以上の新しいマジックアイの開発はありませんでした。
戦後Philipsは,新しいラジオ球やTV球を矢継ぎ早に開発し,世界に影響を与えました。ひとつは欧州型のミニアチュア管(リムロック管)によるラジオ管で,もう1つは米国型の7ピンミニアチュア管によるポータブル電池管,そして9ピンミニアチュア管(Noval)によるFMラジオ管でした。
しかし,リムロック管を開発した1947年頃にはまだマジックアイの新しい開発の動きはありませんでした。リムロック管ラジオにはP型ベースのEM4を組み合わせた受信機が製作例としてPhilipsのマニュアルに掲載しています。1940年代末(Babani)になってはじめて,まずEM4をオクタル・ベース化したEM34を登場させました。世界戦略の手始めだったのでしょう。このEM34は後に米国のEIAに登録し6CD7という名称を持ちました(1954,5年頃, 有名な出力管EL34/6CA7と同時期)。国内では1954年12月にはじめて松下のカラーブレテンNo.2でEM34が紹介され,国産に入っています。また,Philipsはトランスレス版UM34(欧州100mA系/12.6V)も作りました。しかし,戦前のUM4とはピン違いの内容に過ぎません。同じ頃,Philips系列の英国MullardはシャープカットオフのEM1とリモートカットオフのEM3もそれぞれオクタル・ベース化してEM31, EM35としています。ここまでは戦前の遺産で喰い繋いできた観がありました。
戦後新しい動きを見せたとすればドイツのメーカだったかもしれません。ドイツでは戦前からロクタル管のラジオが1つの主流をなしていましたが,1950年代になってLorentz?がロクタル管のマジックアイEM71を開発し,一時期は欧州標準品の1つになりました。オランダPhilipsはむしろミニアチュア化に勢力を注いでいました。
さて,戦後Philipsはポータブル受信機用の真空管Dシリーズを開発していましたが,1952年から1953年にかけてポータブル・ラジオ用の新しいマジックアイを開発しました。サブミニアチュア管のDM70(リード線型)/DM71(ソケット型)です。これは構造も原理も従来の米国型6E5の延長線から大きく異なるものでした。フィラメント定格1.4V/25mA, (AC時は1.3V), 制御電圧0-7Vのとき, ターゲット電圧は何と45-150Vという低電圧で働きます。長いフィラメントの下に「!」マークに切り抜いた制御電極があり,その下に蛍光膜を塗ったターゲットがあります。フィラメントは前面に出ていますが低温放射体を使っているので光はほとんど目に付かないとのこと。だからフィラメントの遮光板はありません。また,電池式ポータブル・ラジオではパイロット・ランプとしても使えると説明しています。また従来のマジックアイは制御電圧が無い場合には陰影が最大で,大きな(負の)の制御電圧が入った場合に全体が光り明るくなるのですが,このマジックアイは逆の動作であり,制御電圧が0Vのときは全体が光り,AVC電圧が大きくなると暗くなります。しかし,カットオフ点で上下両端だけが光るように工夫されており,普通のAVC電圧では両端が消えることはないから,パイロット・ランプとして使えるのだそうです。両端が光る仕掛けは?両端の開口面積を大きくしているのがミソ。さらに電池式ではフィラメントにバイアス電圧による偏りがあり,どちらか一方が早く消えて仕舞いそうですが,電極構造をフィラメントに対して制御電極とターゲットは上に行くほど距離を離すように配置されており,フィラメント電圧の偏りを補償している訳です。さらに,ガラス管内壁には迷電子をあつめて外部の電界を遮蔽するコーティングが施され,フィラメントに接続されているのも新しい技術でした。我が国でも,松下と神戸工業TENが1956年に国産化しています。DM71/1N3はカラーブレテンNo.26 1956.12に掲載。3Y4/DL96と同時。DM70/1M3とDM90/1H3は1956年6月に発売。!のマークは光芒(こうぼう,光のほさき,すじという意味だそうで)というらしい。我が国では松下がさらに7pinミニアチュア管になおした1H3/DM90を作りました。1958年から59年にかけて,Philipsはさらに小さいDM160を作っています。これらの技術は,その後,国産品1D-E14に継承されたようです。
話は1950年頃のドイツ。テーブル・トップ型の高級ラジオは,E11シリーズのドイツ・オクタル,E41シリーズのリムロックが混成で採用される時代となりましたが,マジックアイはあいかわらずドイツ・オクタルのEM11, UM11, PhilipsのP型のEM4が使われていました。1951年になるとLorenzのKey Valve(ロクタル)のEM71が登場。ラジオ球もPhilipsのNoval管のE80シリーズの検波管EBF80, ECH81, EABC80などが加わって,ドイツ・オクタルは使われなくなり,マジックアイはEM11, UM11がともに引退。そして,1953年から1954年にかけてP型のEM4も引退。EM11の代わりに登場したのはベースを米国オクタル版にしたEM35, また1954から1955年にかけてはEM4の代わりに米国オクタル版のEM34が登場しています。
ところで,1953年から1954年にかけてもう1つ,Lorenz(と思われる)から全く新しい9ピン・ミニアチュアEM85が登場してきました。この球は米国EIAに1955年頃に登録され6DU6(Vade-Mecumに掲載の名称, GEの対照表では6DG7)という名称を与えられています。さらに1954年から1955年にかけてPhilips(と思われる)からEM80が登場,その後の欧州ラジオはほとんどEM80の独壇場になりました。同じく1955年頃米国名6BR5となっています。(本当の開発者ならびにどちらか先に開発されたかはいまいち分かりません。)
マジックアイのミニアチュア化(Noval)は,テーブル型ラジオ用に小さな真空管で如何に大きくうまく表示させるかという問題です。その解は6E5以来継承してきた頭に表示部を置くことをやめて表面積を大きく取れるガラス管側面に表示部を移すということでした。円盤状ターゲットでは陰影ができるのは制御電極以遠のごく狭い面積の部分です。この面積を大きくとるためには,GEが1948年に開発したFM検波管6BN6のようにカソードを一番端に置き,他の電極を片側に配置することで実現できます。最も飛距離が稼げるのは垂直方向。そこでガラス管の底にカソードを寝かせ,ガラス管頭に向かって電子線を飛ばし,制御電極を出口に2つ配置,ガラス管いっぱいに蛍光膜を塗ったターゲットを配置すればできあがりです。電子線は2本の制御電極の間をすり抜けたものだけがターゲットに到達できるので,無信号時には蛍光は細く,信号最大で蛍光は広がります。これが新しい仕掛けでした。
PhilipsのEM80は1953-54年頃に開発を終え,1955年頃登場しました。-1から-16Vで65度変化させるリモートカットオフ型でした。欧州ではラジオといえばもっぱらマルチバンド型受信機で,これが標準球として良くつかわれました。何故かEM85はEM80の出現で直ぐに消えて無くなりました。その後すぐに(1954-55年頃),シャープカットオフ型のEM81/6DA5が作られました。6DA5は1957年頃EIAに登録。-1から-5.5V/65度でした。今度は制御電極は出口に1つ。無信号時には影が細く閉じおりほとんどは光っていますが,信号最大時には影は広がります。この動きは従来のマジックアイとは逆です。我が国ではシャープカットオフの6DA5のみ松下,東洋により1958年頃国産化され,1960年代初頭にかけて使用しました。
もう1つ新しいマジックアイが誕生しています。それがEM84/6FG6(開発は1956-57年頃, EIA登録は1958年はじめ)とEM87/6HU6(開発は1950年代末, EIA登録は1962年頃)です。開発者不明ですがどちらもEM85と同じピン配置なのが気になるところです。LorenzかPhilipsが開発したものと思われますが確証がありません。文献もサンプルもないので,解説はここまで。我が国ではNHK技研の内田秀夫氏がEM84を国産すべく研究開発したそうで,JIS名に登録されたものが6R-E13,トーヨーが有名です。松下もPhilips製品をそのまま製造することなく,この国産品種を製造しました。しかし,後に東洋はEM84を作りました。ドイツではEM84Aという品種も後に誕生しています。
おしまいにDM160/6799について触れておきましょう。DM160はPhilipsが1958年頃に開発した模様で,米国ではTung-Solが1961年にほとんど類似の6799を発表しています。(EIA名6977の登録は米国企業による)。我が国ではNECが業務用に1962年頃同様に6799を製造しました。1D-E14と同族で,またマジックスクリーンMS-1とも同じ原理です。大塚久さんは著書で「電池式受信機用と思われるが,入力電圧が加えられると光る部分の幅が減るだけなので飾りに近いもの」と思われる旨述べておられますが,実はPhilipsはトランジスタ回路のロジックのOn/Off表示用に開発したもので,真空管回路では高電圧を要するネオンランプが使われてしたもののトランジスタ版として開発されたものでした。
Name |
2 Developed Year Japanese Product |
3 Base |
4 Out-line |
5 Function |
Ef/If |
Eb V Ib mA |
Rp ohm |
Eg V |
Eta V Ita mA |
Angle |
AM1 4678 EM1
EM31 |
Philips 1936 (non Japanese product) |
P (g, -, k, h, h, -, ta, t) GT (k, h, -, g, ta, a, h, -) |
? |
Magic Eye with Triode |
4/0.3 6.3/ 0.2 |
250 0.095 250 0.021 200 0.075 200 0.020 |
2M |
0 -5 |
0.13 0.14 |
(16) (90) (20) (90) |
AM2 4677, 4679
C/EM2 |
Philips 1937? (non Japanese product) |
P (ga, gta, k, h, h, -, a, t) |
T29, L72 |
Magic Eye with Triode |
4/0.3 6.3/ 0.2 |
250 - 250 - 250 3.0 250 250 1.0 250 |
- - - - 0.22 M, Rk= 1.5k - |
Egta=0 Egta=-6 Eg=-3.5 Egta=+3 Egta=0 Egta=-6 |
250 - 250 - (2mA/V, mu50) 250 - 250 0.3 250 - |
30 180 - 5 150 160 |
EM4 |
Philips 1938? (non Japanese product) |
(H, NC, 2p, Ta, G, 1p, K, H) |
T29, L78 |
Dissimilar Double Eye |
6.3/ 0.2 |
250 -
200 -
100 -
|
1M, 1M |
0 -5, -16 0 -4.2, -12.5 0 -2.5, -8 |
250 0.75
200 0.55
100 0.2
|
90 5 90 5 90 0 |
EM34/6CD7 |
Matsushita 1955 |
(NC, H, 2P, G, Ta, 1P, H, K) |
T29 |
Dissimilar Double Eye |
6.3/ 0.2 |
250 - |
1M |
(i) 0 -5 (ii) 0 -16 |
250 2 |
90 5 90 5 |
DM70/1M3 |
Matsushita 1956-6 |
sb |
T8 |
AC, DC sub-miniature |
sb |
sb |
sb |
sb |
sb |
sb |
DM71/1N3 |
Matsushita 1955/ 1956-6 |
(G, IC, NC, F, F, NC, NC, P) |
T8 |
AC, DC sub- miniature |
1.4/ 0.025 |
250 0.105 60 0.105 |
10M Rp=1.8M 10M - |
0 -34 0 -7 |
- |
10 mm 0 |
DM90/1H3 (Japanese) |
Matsushita 1956-6, -1958 |
(G, NC, F, F, NC, P, IC) |
T18 |
Miniature of DM71/ 1N3 |
1.4/ 0.025 |
sa |
sa |
sa |
sa |
sa |
EM80/6BR5 |
Eur 1950s (non Japanese product) |
(G, K, -, H, H, IC, P, -, Ta) |
T21 |
Noval Eta min- max 170V to 300V |
6.3/ 0.3 6.3/ 0.27 |
250 0.37 250 0.01 250 0.48 250 0.05 200 0.38 200 0.04 |
0.5M Rg=3 M |
-1 -14 0 -20 0 -16 |
250 2.3 250 2 250 2 250 3.6 200 1.5 200 2.7 |
50 5 0 mm 26 mm 0 26 mm |
EM81/6DA5 |
(Philips 1956) Matsushita -1958 |
(g, k+gta, IC, f, f, IC, p+rc, IC, Ta) (G, K, Ta, H, H, IC, P, Ta, Ta) ..Matsushi -ta 58 GE 9DB (G, K, IC, H, H, IC, P, IC, Ta) |
T21 |
Noval Eta min- max 165V to 300V |
6.3/ 0.3 |
250 0.37 250 0.02 |
0.5M Rg=3 M |
-1 -10.5 |
250 2.3 250 2.0 |
65 5 |
EM84/6FG6 |
Toyo |
9GA (G, IC, K, H, H, Ta, RCj, IC, P) |
6f |
Noval |
6.3/ 0.27 |
250 0.45 to 0.06 mA |
0.47M Rg=3 M |
0 -22 |
250 1 to 1.8 mA |
21 mm 1.14 inch 0 |
EM87/6HU6 |
- |
9GA |
6n |
Noval |
6.3/ 0.3 |
250 2.0 to 0.5 mA |
0.1M Rg=3 M |
0 -10 |
250 1 to 1.8 mA |
21 mm 0 0.83 inch |
DM160/ 6977 |
Philips, Mullard Tung-Sol NEC |
(+f, g, -f, a) |
D=5.5 mm, L=28 mm D=5.6 mm, L=28 mm |
Direct Heated Indicator Submin. |
ac or dc 1.0*/ 0.03 * +/-5% |
Ebmax 65 Eb0max 100 50 0.585 50 <0.005 |
0.1 M |
Egmax -50V 0 -3 |
- - |
Light out B= max B=0 |
Philipsの初期のマジックアイの1つAM2を御紹介しましょう。Philipsは米国に現れたマジックアイ6E5を自分の技術で練り上げて翌1936年に十字型蛍光パターンのAM1/EM1を発表しましたが,2年後の1938年には同じく米国に現れたバリミュー型の遠距離放送局用のマジックアイ6G5をさらに改良して,欧州で最も必要とされていた遠近両用の実用的なマジックアイEM4を完成させています。
ところで,後のマジックアイに大きな影響を与えた技術,蛍光表示部のカソードに巻かれた空間電荷グリッドも初期のAM1に登場した技術と思われます。米国でもすぐに応用され全てのマジックアイに採用されています。AM1/EM1で登場したこのグリッドは欧州の真空管の電極接続図にはちゃんと記述されていますが,米国ではこのグリッドを採用しているにもかかわらずこれを無視した図が伝統的に使われています。真空管の歴史では,Stokes氏がEM1やEM4のみを語り,また大塚氏がAM2をEM1と同列に語っていますが,空間電荷グリッドについては触れていません。もともとは,6E5の丸裸のカソードによるターゲット電流を即座に安定化させるためのものだったと思われますが,AM2, C/EM2では,面白いことに空間電荷グリッドがカソード等電位ではなく,任意数Vの負から正の電圧を加えることのできる電極として,リード線が管外に引き出されており,結果的に6E5やAM1/EM1では90度までしか制御できなかった電子線の角度を160度まで広げるのに成功しています。
その後PhilipsはEM4へと移行し,この球の直継は戦後ドイツのLorentzが作ったロクタル管EM71のみに留まりました。しかし,空間電荷グリッドはその後も形を変えながらEM80, EM81, EM84と受け継がれ,我が国でもマジックフィンガー6M-E4へと繋がりました。
サンプルはPhilips系列会社のドイツValvo社のサンプルです。
蛍光表示部の驚くべき構造として,空間電荷グリッドが実に巨大です。
Sample |
State |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Triode part gm+ |
Judgement |
Valvo AM2 (23) |
(used) |
2 |
2 |
57 > |
Very very weak |
Valvo AM2 (016) |
(used) |
2 |
2 |
46 > |
Very very weak |
Valvo AM2 (056) |
(used) |
0 |
- |
- |
Dead |
ターゲット電流は0.2mAと非常に少ないです。規格では250Vで0.3mAですから妥当な測定値と思います。3極部はgmが6AT6か12AX7なみに高いです。
Test |
Status |
Heater |
Select |
Bias |
Shunt |
Range |
Push |
gm |
Jumper |
note |
Fluorescent Screen |
Eye Close to OPEN |
4.3V |
CT7-5610 |
100 to 0 |
100 |
B |
3 |
- |
pin1-8# |
##1 |
Eye CLOSE (30' to 20') |
4.3V |
CT7-6510 |
100 to 0 |
0 |
A |
3 |
- |
pin1-8# |
##2 | |
Eye-OPEN (90') |
4.3V |
CT8-6510 |
0 |
0 |
A |
3 |
- |
without |
##3 | |
(Eye open ) Target Diode measurement |
4.3V |
CT0-6010 |
0 |
0 |
A |
4 |
*note |
pin1-8# |
| |
*emission |
| |||||||||
+gm |
Triode measurement |
4.3V |
CT7-5610 |
17 |
0 |
B |
3 |
>?? |
pin1-8# |
|
note ##1 |
ターゲット電圧Eta=130V,プレート電圧Eb=150V(ターゲットの電子線制御電極は電圧差+20V),空間電荷制御用グリッドEgta=0V(カソードに接地)にしてあります。3極部グリッドのバイアス電圧を変える(Eg=-40Vから0V)と,空間電荷制御用グリッド巻き線内部に3極部グリッド支柱が突き出ているので,Eg=-40V付近ではターゲット陰影はOPEN(数mm幅の良く光る)状態となり,徐々に0Vにむかって変化させると輝度だけが変化してCLOSE(全面が光る)状態に移行します。 |
note ##2 |
ターゲット電圧Eta=150V,プレート電圧Eb=130V(ターゲットの電子線制御電極は電圧差-20V),空間電荷制御用グリッドEgta=0V(カソードに接地)にしてあります。3極部グリッドのバイアス電圧を変える(Eg=-40Vから0V)と,陰影は30度だけ開いた状態から20度へと閉じます。 |
note ##3 |
ターゲット電圧Eta150V,プレート電圧Eb=130V(ターゲットの電子線制御電極は電圧差-20V),ターゲットの空間電荷制御用グリッドEgtaはバイアス0Vにした信号源(AC5V)に接続し正電位にしてやると,輝度は最も高く,陰影が90度となります。 |
US Octal pins |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
P-Valve pins |
4 |
3 |
2 |
1 |
8 |
7 |
6 |
5 |
AM2 |
k |
h |
h |
- |
p |
Ta |
g |
gta |
TV7/Uを用いて中古のサンプルを(note ##1)の条件で光らせてみたものの,輝度が低く,写真撮影は困難を極めました。蛍光面が痛んでおり,輝度が高い部分は焼け残ったところです。ですからOPENのパターンでも変な形をしています。TV7/Uで古典管を光らせるにはちょっと電圧不足です。TV7/Uの内蔵電源はプレートAC150V, スクリーンAC130V, グリッドバイアスAC0から-40V, 信号源がAC5Vか1Vです。そこで,若干ターゲット電圧を上げた(note ##2),(note ##3)の条件で光らせ,辛うじて撮影することができました。
有名なPhilipsのEM4。シャープ・カットオフとリモート・カットオフ(バリミュー)の2つの3極管を封入し,表示部をそれぞれ半分に分けて表示するというもので,受信機にとっては理想的なマジックアイだった。このため,戦前から戦後まで多用され,ソケットをP型,オクタル型,ドイツ型と変えながら最後まで使用された。サンプルは後年の製造である。
この球は1985年にオランダで入手したもの。Miniwattシリーズの名前が無い。戦後の工業用か?
Sample |
State |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Triode part gm+ |
Judgement |
Philips EM4 (Kh5 A3J) |
(new) |
5 |
11 (20) |
33 > 24.5 > |
new |
Test |
|
|
Heater |
Select |
Bias |
Shunt |
Range |
Push |
gm |
Supply |
Fluorescent Screen |
Eye open to close |
|
6.3V |
CT0-6010 |
0 to 30 |
100 |
E |
4 |
- |
+B with 500kohm #) |
|
Eye open to close |
0 to 55 | ||||||||
(Both Eye open ) Target Diode measurement |
6.3V |
CT0-6010 |
0 |
0 |
A |
4 |
*note | |||
*emission | ||||||||||
+gm |
Eye open ) Triode measurement |
- |
6.3V |
CT7-8610 |
17 |
0 |
B |
3 |
>?? | |
- |
Eye open ) Triode measurement |
6.3V |
CT7-5610 |
17 |
0 |
B |
3 |
>?? |
US Octal pins |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
P-Valve pins |
4 |
3 |
2 |
1 |
8 |
7 |
6 |
5 |
EM4 |
k |
h |
h |
- |
p2+rc2 # |
Ta |
g |
p1+rc1 # |
EM34はEM4(P型ベース)のオクタル版。オランダPhilipsが1940年代末頃に焼きなおしたもの。1954年頃米国のEIAに登録して6CD7という名称をもらいました。トランスレス版UM34もあります。EM4は,増幅率の異なる2組のマジックアイを封入したもので,戦前にもオクタル型のトランスレスUM4が開発されていますが,EM34/UM34とはピン接続が異なるようです。我が国では松下が1954年に6CD7/EM34だけを国産化しています。
サンプルは松下 (PB) 1956年2月です。
Sample |
State |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Triode part gm+ |
Judgement |
Matsushita-National 6CD7/EM34 (PB) |
(new) |
5 |
6.5 (20) |
19 > 29 > |
new |
Test |
|
|
Heater |
Select |
Bias |
Shunt |
Range |
Push |
gm |
Supply |
Fluorescent Screen |
Eye open to close |
|
6.3V |
HS4-5080 |
0 to 30 |
100 |
E |
4 |
- |
+B with 500kohm #) |
|
Eye open to close |
0 to 55 | ||||||||
(Both Eye open ) Target Diode measurement |
6.3V |
HS0-5080 |
0 |
0 |
A |
4 |
*note | |||
*emission | ||||||||||
+gm |
Eye open ) Triode measurement |
- |
6.3V |
HS4-6580 |
17 |
0 |
B |
3 |
>?? | |
- |
Eye open ) Triode measurement |
6.3V |
HS4-3580 |
17 |
0 |
B |
3 |
>?? |
US Octal pins |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
6CD7/EM34 |
- |
h |
p2+rc2 |
g |
Ta |
p1+rc1 |
h |
k |
TV7/Uでテストした。外部抵抗2個必要。さらに接続のためにST管7ピンソケットの3番,6番ピンに繋げとあったが,ピンが太く抵抗が接触できない。そこで,オクタルのアダプタを使って,その端子にからめてプレート電圧を空中配線。涙ぐましい苦労があってはじめて点灯した。
3極管を低増幅率と高増幅率のものを内蔵したマジックアイで,表示部の電子線制御電極をさらに2倍に増やして旧EM1の十字型と同様にしたものが,このEM5の系統のマジックアイです。P型がEM5, ドイツ・オクタルがEM11,そしてオクタルがEM35です。そのトランスレス版がUM11, UM35となります。ともにドイツTelefunkenが作ったようです。
Sample |
State |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Triode part gm+ |
Judgement |
Telefunken UM11 (U.zw.00, 127) |
(used) |
- |
- |
- |
Heater Dead |
Test |
|
|
Heater |
Select |
Bias |
Shunt |
Range |
Push |
gm |
Supply |
Fluorescent Screen |
Eye open to close |
|
12.6V |
BY0-7060 |
0 to 30 |
100 |
E |
4 |
- |
+B with 2200kohm #) |
|
Eye open to close |
0 to 55 | ||||||||
(Both Eye open ) Target Diode measurement |
12.6V |
BY0-7060 |
0 |
0 |
A |
4 |
*note | |||
*emission | ||||||||||
+gm |
Eye open ) Triode measurement |
- |
12.6V |
BY5-3760 |
17 |
0 |
B |
3 |
>?? | |
- |
Eye open ) Triode measurement |
12.6V |
BY5-4760 |
17 |
0 |
B |
3 |
>?? |
US Octal pins |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
German Octal pins |
6 |
7 |
8 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
UM11 |
h |
- |
p1+rc1 |
p2+rc2 |
g |
k |
Ta |
h |
戦前欧州の5極管のマジックアイで,1937-1939年頃現れたもの。この種のマジックアイはPhilipsのP型ソケットを用いたEFM1とドイツオクタルでその改良型のEFM11が知られています。ともにPhilips系の会社とTelefunkenが作っています。その後は廃れたようです。
蛍光表示部のパターンは両開き型で,電子線制御電極が2つありますが,5極部の第2グリッド(スクリーングリッド)支柱が使われています。低周波増幅器の信号レベルを表示するために作られたものですが,ゲイン自動制御回路用で,ゲインは10数倍から100倍程度でダイナミック・レンジは20dB程度,歪みは数%です。変調器とか録音器とかに使うのでしょうか?
サンプルはValvoです。
Sample |
State |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Pentode gm+ |
Judgement |
|
(used) |
1 |
8 |
SG=1 P=3 Emssion less |
very very Weak |
|
(used) |
2 |
8 |
SG=1 P=46 |
very very Weak |
Test |
|
Heater |
Select |
Bias |
Shunt |
Range |
Push |
gm |
Supply |
Fluorescent Screen |
Eye open to close |
6.3V |
BY0-7060 |
0 to 68 |
100 |
E |
3 |
- |
+B with 2200kohm #) |
Eye open to close |
6.3V |
BY5-7460 |
0 to 65 |
100 |
E |
3 |
- | ||
(Both Eye open ) Target Diode measurement |
6.3V |
BY0-7360 |
0 |
0 |
A |
4 |
- |
| |
*emission | |||||||||
+gm |
Eye open ) Pentode measurement |
6.3V |
BY5-4360 |
17 |
0 |
B |
3 |
>?? |
|
Eye open ) Screen measurement |
6.3V |
BY5-7360 |
17 |
0 |
B |
3 |
>?? |
|
US Octal pins |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
German Octal pins |
6 |
7 |
8 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
EFM11 |
h |
- |
g2+rc |
p |
g |
k+g3 |
Ta |
h |
ソケットの入手も面倒で,ついに自作を決意。構想数日,製作数日。スズメッキ銅線をピンセットの先にぐるぐると8mm程度巻き,引き延ばし,これを8本用意。万能基板に足を合わせて取り付け。裏に米国オクタル・プラグを同じくスズメッキ銅線で取り付け。万能基板は紙エポキシでニッパーによりパキパキと切り取った。真ん中の穴はガイドピンの位置を示す役しかたたない。足はからみあって接触不良は生じない。装着時は隣通しの接触は起こらない。テストだけならこれでも良い。感電注意。
DM71はオランダPhilipsが1952-53年頃開発したサブミニアチュア型のマジックアイ。EIA名1N3は1956年頃の登録。DCアンプと表示器の組み合わせという従来の常識を変えたマジックアイ。3極部のプレートがターゲットになっている。松下は「表示器だけ」しかないマジックアイと説明している。記号は確かに3極管そのものである。直熱型の電池管であるが,Philipsは当初より交流電源での使用も想定した規格を提示している。DM70/1M3はリード線型で欧州では良く使われたが,我が国ではソケット付きがもてはやされた。
サンプルはTEN (GD1N) 1957年4月製。このサンプルは珍しくも神戸工業TENである。当時のTENは一手に我が国のポータブル・ラジオ用の電池管の製造を行っていた。また,通信業務用真空管の製造も行っていたのでサブミニアチュア管製造は得意だったのかもしれない。しかし,業務用のサブミニアチュア管についてはTENのサンプルはほとんど残っていない。
Sample |
State |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Triode part gm+ |
Judgement |
TEN 1N3 (GD1N) April 1957 |
(new) |
5 |
- |
2 at Bias=25 > |
new |
RFT RWN NEUHAUS DM70 <1> (016102/005102) 16 Nov 1957 |
(New) |
5 |
- |
2 at Bias=25 > |
new |
Test |
|
Heater |
Select |
Bias |
Shunt |
Range |
Push |
gm |
note | |
Fluorescent Screen and +gm |
Eye open to close |
- |
1.5V |
EV1-8000 |
100 to 25 |
0 |
D |
4 |
>1? |
# |
All Bar Bright |
25 | |||||||||
Upper and Lower Parts Bright |
60 | |||||||||
Lower Part Bright |
65 |
TV7/Uで点灯した。1M3(DM70)の条件で。これは何も外部に繋げる必要がない。ただし,ミスぷりがあり,バイアス0になっているが,注釈にはバイアスを25以下にしてはならないとある。バイアスを低くしていくと徐々に光りはじめる。(Bias=65 .. 下の点のみ点灯,Bias=60 ..上と下の点のみ点灯,Bias=25 .. 全部点灯)
1H3/DM90, which is a miniature version of Philips DM70/71, may be developed by Matsushita in 1956. DM70/DM71をミニアチュア管にしたもの。欧州名があるが,欧州にも無い球らしい。Philipsは戦前から客先に合わせてベースを取り替えて製造したが,これは入れ物を変えて製造したともいえる真空管である。EIA名登録は1956年頃,松下は1956年6月に1M3/DM70とともに1H3を発売した。当時は松下はPhilips傘下のアジアの拠点工場だったので,松下とPhilipsの共同開発品といえるかもしれない。
サンプルは松下 (K0/MC) 1959年3月。
Sample |
State |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Triode part gm+ |
Judgement |
Matsushita-National 1H3 (K0/MC) sample-1 |
(new) |
5 |
- |
2.5 at Bias=25 > |
new |
sample-2 |
(new) |
5 |
- |
2 at Bias=25 |
new |
Test |
|
Heater |
Select |
Bias |
Shunt |
Range |
Push |
gm |
note | |
Fluorescent Screen and +gm |
Eye open to close |
- |
1.5V |
ET1-6000 |
100 to 25 |
0 |
D |
4 |
>1? |
# |
All Bar Bright |
25 | |||||||||
Upper and Lower Parts Bright |
60 | |||||||||
Lower Part Bright |
65 |
Test |
|
Heater |
Select |
Bias |
Shunt |
Range |
Push |
gm |
note | |
Fluorescent Screen and +gm |
Eye open to close |
Bright |
1.5V |
ET1-0000 |
100 to 0 |
100 |
- |
3 |
- |
*) +B with 2200 kohm |
基本的に1M3(DM70)と同じなのだが,それに気づかず,自分で設定したのが下記の条件。抵抗1本が必要。2.2Mohmを用いた。
TV7/Uで点灯した。画像がぼけているように見えるが,ガラス内面のコーティングのせいだ。あるいはガラス外面の汚れだったか?同調はあまり明確には分からないように思える。
6BR5/EM80 is a European standard magic eye tube. It was appeared in 1953. The US EIA Name 6BR5 may be registrated in 1954. This tube was not produced and used in Japan. 欧州標準のマジックアイ。バリミュー型。欧州で1952-53年頃開発?米国EIAに1954年頃登録。
サンプルは欧州ラジオX(20), 1955年頃?, から取り出したPhilips Miniwatt (Lm r8R)
上の写真に見えるグリッド状のものはカソードの上にある空間電荷抑制用グリッドでカソード等電位。その上に見える2本の棒はパターンを制御する電子線制御電極。
無信号時(深いバイアス時)に開いていて(写真右),信号最大(0V)で完全に閉じる(左)。このサンプルはガラス管内面に沈着が見られ,蛍光面はほとんど弱っていてる。だから電子線が分散するパターンでは光りはほとんど見えなくなる。4番目の状態は一番遠くまで電子線を飛ばすパターンのため蛍光はほとんど見えない。TV7/Uで試験した。
Sample |
State |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Triode part gm+ |
Judgement |
Philips Miniwatt EM80 (Lm r8R) |
(used) |
2 |
15 (20) |
11 > |
very very weak |
Noval 9 pins |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
6BR5/EM80 |
g |
k |
Ta |
h |
h |
IC |
p |
Ta |
Ta |
Test |
|
Heater |
Select |
Bias |
Shunt |
Range |
Push |
gm |
Supply |
Fluorescent Screen |
vary bias to vary beam angle (Eye CLOSE) (Eye OPEN) |
6.3V |
EV1-9020 |
100 to 0 (37) (10) |
100 |
D |
4 |
- |
#) +B with 1M ohm |
(Both Eye open ) Target Diode measurement |
6.3V |
EV1-9020 |
0 |
0 |
A |
4 |
- |
| |
*emission | |||||||||
+gm |
Eye open ) Triode measurement |
6.3V |
EV1-7920 |
10 |
10 |
D |
3 |
>?? |
|
Setup condition |
Test |
|
Heater |
Select |
Bias |
Shunt |
Range |
Push |
gm |
note |
1; Data Book 6BR5(EM80) Wrong |
Fluorescent Screen |
Eye CLOSE |
6.3V |
EV1-9020 |
60 |
0 |
D |
3 |
- |
#1) |
Eye OPEN |
10 | |||||||||
2; Impremented Data Book 6BR5(EM80) |
Eye Little bit OPEN to Eye More-OPEN (about 5 degree to 30 degree) |
6.3V |
EV1-9720 |
100 to 0 |
0 |
D |
3 |
- |
#2) | |
3; Same connection as 6E5 |
Eye almost CLOSE |
6.3V |
EV2-9710 |
0 |
100 |
A |
3 |
- |
#3) | |
Eye OPEN |
EV2-9010 | |||||||||
4: From Data Book 6DA5/EM81 |
vary bias to vary beam angle () |
6.3V |
EV1-9020 |
100 to 0 |
100 |
D |
4 |
- |
#4) +B with 1 Mohm* |
|
Setup condition |
Note |
#1 |
1; Data Book 6BR5(EM80) |
プレート(電子線制御電極)が接続されてない。したがって,陰影はOn, Off動作である。Biasを無理矢理連続的に可変すると20付近でパターンがジャンプする。さてEye CLOSEでは陰影がゼロ,全体が明るくなる。Eye OPENでは陰影最大,暗くなる(全体に陰影ができる)はずであるが,実際には蛍光面が焼けているので,Eye CLOSEでは中央部が暗く両端部の焼けてないところだけが異様に光り,Eye OPENでは行き場を失った電子線が付近の焼けていない部分にあたり良く光るという逆の結果になった。 なお,TV7/Uのテストデータは陰影が無い状態をOPENとしているが,これはやはりCLOSEの間違えだろう。 |
#2 |
2; Impremented Condition of Data Book 6BR5(EM80) |
Data Bookの6BR5(EM80)の条件に変更を加えて,プレート(電子線制御電極)を接続してみた。TV7/Uはターゲット150V, プレート(電子線制御電極)130V,Dレンジの場合グリッド入力信号は1Vrmsで固定である。バイアスだけは0から-40Vまで可変できる。バイアスを0-100まで可変すると陰影パターンをスムーズに可変できるが制御できる陰影角は狭い。Bias=0で陰影は5度くらい開き(Eye Little bit OPEN),Bias=100で陰影は30度くらい開く(Eye More OPEN)。このサンプルは輝度が低下しており,5度は見えるが,30度はほとんど蛍光が見えなくなる。 |
#3 |
3; Same connection as 6E5 |
この条件はTV7/Uの6E5の条件であり,グリッドとカソードを交換したもの。Eye Openの条件では,陰影は完全に開き両端部が光る。Eye almost closeの条件では,陰影5度位開くが,蛍光が退化して中央部はほとんど暗い。 |
#4 |
4; From Data Book 6DA5/EM81 Condition |
抵抗2.2Mohmを結ぶと全領域で開閉できた。6DA5に比べるとバイアス範囲がやや広いことは確認できた。 |
EM80のシャープカットオフ型といわれるが,実際は開閉パターンを改良している。欧州で1954-55年頃開発。やや遅れて1957年頃EIA登録されたと見られる。我が国では1957年中に松下が国産化し,さらに東洋も製造しています。松下は1960, 1962年にも推奨品種に指定しています。構造はEM80/6BR5とほぼ同じだが,制御電極の数が1本しかないので蛍光パターンが異なります。最大信号時に影が開く形である。また感度(パターンを閉じるための所用信号電圧)がEM80/6BR5よりも小さく(-16Vが-5.5V)バイアスが浅い)。日本人が好きなタイプ。とにかくPhilipsはすごい!
サンプルは松下 H (4C), 1964年3月。HiFiステレオ・レシーバの取り外し品。松下のラジオにも1950年代末に使われた。またFMチューナーなどにも利用された。
Top view of EM81/6DA5 (4C) in 1964. You can look Taget inside!/ターゲット内部が良く見える。EM80, EM81ともにカソードは横置き型で,通常の3極部は底面に配置され,上面は電子放射用に作られている。写真に見えるグリッドは実は空間電荷抑制用でカソードと等電位。グリッドは3角に作られている。上の棒が蛍光パターンを変える電子線制御電極(RC)。なお,写真右下にガラス管に張り付いた黒い陰が見えるが,これは1H3/DM90と同様にガラス管内に導電性皮膜がコーティングしてあり,ターゲットから迷走した電子を集めて接地するための集電極である。
[3cL] Cathode and Space-charge suppressor grid have triangle form/点灯すると赤く見えるのは山なりのカソード
Sample |
State |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Triode part gm+ |
Judgement |
Matsushita-National 6DA5 (H (4C)) |
(used) |
3 |
24 > 20 |
8 > - |
good |
Matsushita-National 6DA5 (H (3G)) |
(used) |
2 |
14 < 20 (17** at bias 100) |
8 > - |
weak |
Matsushita-National 6DA5 (H (1K)) |
(used) |
4 |
24.5 > 20 |
12 > - |
Very Good |
Test |
|
Heater |
Select |
Bias |
Shunt |
Range |
Push |
gm |
Supply |
Fluorescent Screen |
vary bias to vary beam angle (Eye CLOSE) (Eye OPEN) |
6.3V |
EV1-9020 |
100 to 0 (37) (25) |
100 |
A |
4 |
- |
#) +B with 1M ohm |
(Both Eye open ) Target Diode measurement |
6.3V |
EV1-9020 |
0 |
0 |
A |
4 |
- |
| |
*emission | |||||||||
+gm |
Eye open ) Triode measurement |
6.3V |
EV1-7920 |
10 |
10 |
D |
3 |
>8? |
|
Noval 9 pins |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
EM81/6DA5 |
g |
k+gta |
IC |
h |
h |
IC |
p+rc |
IC |
Ta |
EM81/6DA5は電子線制御電極が1本のため,信号入力に対する陰影の開閉動作はEM80/6BR5とは逆となり,無信号時(深いバイアス時)に閉じていて信号最大(0V)で完全に開く。
Setup condition |
Test |
|
Heater |
Select |
Bias |
Shunt |
Range |
Push |
gm |
note |
1; Data Book 6BR5(EM80) |
Fluorescent Screen |
only Eye OPEN |
6.3V |
EV1-9020 |
0 to 100 |
0 |
D |
3 |
- |
#1) |
2; Impremented Data Book 6BR5(EM80) |
Eye Close to Eye OPEN about 10 degrees |
6.3V |
EV1-9720 |
0 to 100 |
0 |
D |
3 |
- |
#2) | |
3: From Data Book 6DA5/EM81 |
vary bias to vary beam angle (Eye OPEN) (Eye CLOSE) |
6.3V |
EV1-9020 |
0 to 100 (25) (37) |
100 |
D |
4 |
- |
#4) +B with 1 Mohm* |
|
Setup condition |
Note |
#1 |
1; Data Book 6BR5(EM80) |
6DA5(EM81)のテスト条件で試したが動かなかった。そこで6BR5(EM80)のテスト条件でテストした。この条件はプレート(電子線制御電極)が接続されてないので,点灯(Eye-OPEN)だけの確認はできるが,他は期待できない。実際,バイアスを変化させてもEye openのみであった。(ただし,ターゲットが黒化しはじめているサンプルではバイアスを変化させると,30以上でEye Closeとなった) |
#2 |
2; Impremented Condition of Data Book 6BR5(EM80) |
Data Bookの6BR5(EM80)の条件に変更を加えて,プレート(電子線制御電極)を接続してみた。その結果,Bias=0でCLOSE, Bias=100で僅かに10度位開いた。TV7/Uではどうあがいても10度以上は開けない。なお,6DA5の開閉動作は6BR5/EM80とは逆のようである。制御電極が2本あるからだろう。 |
#3 |
3; 6DA5 TV7/U Data Book Condition |
再び,6DA5(EM81)のテスト条件で試した。データブックの印刷ミスを発見した。(誤りEV1-5020 ---> 正しいEV1-9020)。正しく設定したら,抵抗2.2Mohmを結ぶと全領域で開閉できた。6DA5に比べるとバイアス範囲がやや広いことは確認できた。 なお,Range CでPress 3でも同様に動くが,像が2重になりうまく動かない。 |
注意 TV7/U Data Bookの6DA5にはミスプリがあります。
There is misprint, EV1-5020 ---> Correct EV1-9020
直熱型サブミニアチュア管。ラジオ用のマジックアイではない。蛍光の点滅でトランジスタ回路の入力信号の有無を検知する表示素子として作られた。高信頼管に数えられる。Philipsが1957年に開発(SQ管)。従来同目的で用いていたネオンランプに比べて,低電圧で動作できる真空管なので,特性の均一化,寿命,品質,消費電力の点で有利。米国ではTung-Solが1961年頃EIA名6977として製造,Sylvaniaにより軍用のJAN 6977も製造された。国内では日電(NEC)が1964年頃6977を国産化。Philipsの技術提携先であった松下電器産業は製造しなかった模様。
DM160はJ,W. Stokes氏が6mm径のマジックアイとして紹介し,大塚久さんは「クラシック・ヴァルブ」でコレクションの中では最小のマジックアイとして紹介しています。ただ,「電池式受信機用と思われますが,入力電圧が加えられると光る部分の幅が狭くなり,同時に光量が減るだけなので飾りに近いものと思われる」と書かれていますが,資料をひもとけばON/OFF表示が目的だったので,半分当たり,半分はずれ,というところでしょうか。
Sample |
State |
Fluorescent Screen Brightness |
Target part Diode em* |
Triode part gm+ |
Judgement |
DM160 |
(new) |
5 |
- |
4 at Bias=25, 2 at Bias=30 0 at Bias=35 |
New |
Test |
|
Heater |
Select |
Bias |
Shunt |
Range |
Push |
gm |
note |
Fluorescent Screen and +gm |
- |
1.1V |
BT2-4000 |
100 to 25 |
0 |
D |
3 + 2-Diode |
>1? |
# ## |
Full Bright |
25 | ||||||||
Half Bright |
30 | ||||||||
A Little Bright |
35 |
バイアスにより光り方が変わる(Bias=35で少し点灯,Bias=30で半分点灯,Bias=25で全部点灯)。この球はOn/Offの表示用なのである。