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Communication & Industry |
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III. Reliable Tube Samples/高信頼管のサンプル | |
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5654/6AK5W |
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6485-6AH6 |
6688 6RR8 |
7732 6CB6 |
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1948年にRCAが発表した「スペシャル・レッド・チューブ」は高信頼管の第1号で,6SL7-GT, 6SN7-GTそれに6SJ7の3品種の対応版が,それぞれEIAの数字名称に登録され,5691, 5692, 5693として同時にデビューしました。なお,5Y3-GT相当の整流管5690はやや遅れて1950年にデビューしています。驚くことに我が国でも5691と5692は神戸工業TENが1950年代末から1960年代始め頃に国産化し製造していたようです。
設計の主眼は産業用に要求される長寿命(10,000時間),堅牢,均一性,そして安定性を満足することにあり,従来のラジオセットなどの民生用や堅牢を重視した軍用とは異なる要求でした。この要求をひとくちに「信頼性」とまとめ,高信頼管が誕生した訳です。レッド・チューブの性能評価に関する論文はH.J. PragerがRCA Rewiew 1953.9にまとめています。
サンプルの紹介。私は5691しか持っていません。今日いずれの品種も流通しており入手できますが,もともと高価だったのに加えて,ミニアチュア型高信頼管にその地位を奪われその後余り普及しなかったこと,今日,オーディオ・マニアが集めていることなどの理由で,比較的高価です。
1950年代から1960年代にかけて産業用機器に使われました。私のサンプルはアナログ計算機の電源ユニットのレギュレータ用アンプに使われていたものです。RCA製は1960年代前半まではプレートは着炭した黒化プレートでしたが,その後アルミ被覆鉄になったようです。6SL7GTに比較した構造的な特徴は見ての通り。RCAは15の特徴を挙げています。
(1)低リークのボタン・ステム,(2)防湿ベース(赤いベース),(3)機械的強度の純タングステン・ヒータ,(4)ヒータの足の電気的・機械的接合の改善,(5)カソード・スリーブをマイカ板にロック,(6)グリッドの(金)メッキ,(7)グリッド支柱の垂直移動止め,(8)グリッド支柱をマイカに固く挿す,(9)ゲッターシールド用2重マイカ,(10)長寿命用2個のゲッタ,(11)プレートの耳をマイカ上で折り曲げて堅牢な支持,(12)2ユニット間結合を最小にするプレートの設計,(13)5本の支柱でマウント,(14)マイカ板と5本の支柱の接合を12個の鳩目で補強。(15)メタル管6SJ7(5693)についてはアルファベットの「A」型にしたフレームを採用し電極全体の強度をましている。
しかし,天井の2重マイカも,2つのゲッタも,ボタン・ステムも,またさまざまな支持構造も今は昔。皆後の真空管に採用されました。後に作られた民生用のGT管でマネができなかったものは,案外,特別な手間がかかる5本の支柱や12個の鳩目等の構造上の特徴だけだったかもしれません。これらは電極が小さいミニアチュア管やサブミニアチュア管には不要でしたから,小形の高信頼管はより廉価になりました。
80/5Y3-GTの高信頼管はいろんな会社が独立に開発し,製造したようです。5690(RCA 1950), 5Y3WGT (CBS- Hytron 52.7), 6106(Bendix 53.4), 6853(Bendix 57.1), 5Y3WGTA (Sylvania 59.9), 5Y3WGTB, 6087/5Y3WGTB(GE)があります。
ここで紹介するのは初期の設計のBendix製6106です。6106は5Y3-GT相当の高信頼管で,構造は傍熱型の両波整流管です。ベンディックスは米国のニュージャージにあったBendix Red Bank社 (Division of Bendix Aviation Corporation)で,真空管は航空機用の高信頼管を開発,製造していました。6106は社内名TE-22のEIA登録版です。航空機の制御機器などに使用するには,高高度,連続振動,電圧変動,頻繁な衝撃に耐えねばなりません。そんな目的で開発されました。
仕様は当時の広告によるとEh 5V, Ebmax 350V, Ibmax 100mAなので5Y3-GTと比べるとやや小振りの定格です。しかし,後のGEのマニュアルによればIbmaxは125mAとあります。下の表で原型の5Y3GTとパラメータを比較すると電圧降下特性が同じ(パービアンスが同じ)に設計されていることがわかります。これが,5Z4GTとはいわずに5Y3といっている由縁と考えられます。
*HY-G-300 Series
EIA Name
Bendix Name
Ef V
If A
Base
Out-line
Eb max V
Ib max mA
Inv Peak Eb max V
Peak Ibmax mA
Voltage Drop V/mA
5Y3G
5.0
2.0
5T
14-3
350
125
1400
375
60 at 125
5Y3GA
sa
sa
sa
12-16, 9-13
sa
sa
sa
440
sa
5Y3GT
sa
sa
sa
9-13, 9-42
sa
sa
sa
sa
50 at 125
6106
TE-22
5.0
1.7
5L
T9 Octal
350
125
1550
415
60 at 125
6853*
TE-45
5.0
1.7
5L
T9 Octal
sa
sa
sa
sa
sa
5Z4 GT
5.0
2.0
5L
T9-11
350
125
1400
375
20 at 125
この球はヒータ電流がやや省電力となっており,しかも傍熱型ですからスタートアップが遅いので機器の保護に役立ちます。電気的特性も,またベース接続も,我が国で開発した5CG4(5G-K4)と同じですから,トリオの受信機9R-59に使用され,枯渇した5CG4の代替球にもってこいです。
サンプルは2002年の秋に秋葉原で購入した中古球。支柱の多さが堅牢管を物語っています。硬質ガラス採用のため重さもあり,さすがです。中古球のため,ベースのプリントは禿げています。
次に紹介する6853は6106の改良球で,電気的仕様は全く同じで,機械的仕様がさらに厳格に規定された球です。1957年1月の広告によれば,HY-G-300シリーズの規格で,極度の衝撃20msec間の200G,極度の振動5-2000Hzの範囲で20G,そして極度の温度,バルブ温度300'Cに耐えることになっています。Bendixが設計した球は,EIA登録されたので同じ型番の球を他社も作ったようで,GEのマニュアルにも見ることができます。果たして,セカンド・ソースの他社がBendixの高信頼管をどのように作ったのかは定かでありませんが,セカンド・ソースであっても,少なくとも高信頼管の規格性能を発揮できるよう忠実に設計しているのが普通です。
サンプルは最近流通している偽物。サンプルは岡田章さんからいただきました。Bendixがオーディオでも注目されるとその人気と価格に魅せられ,偽物を作る人間がいます。岡田さんによれば,ソ連製(ロシア製?)の5Z4GTをマイカノール・ベース化したものに,GEのプリントを施したものとのこと。GE製にしては製造コードもないし,砂印字もありません。内部構造はロシアの皿ペレットゲッタが見えます。しかし,航空機用でないことは確かです。地上の機器の代替用には良くできた球なので,この偽物球でも国産5CG4の代替管として使えます。
灰プレート, 遮蔽マイカなし,電極間に支柱2本,ゲッタはドーナツ円盤で遮蔽。その昔,1978年頃に秋葉原で白箱で購入した唯一の高信頼管。当時は12AT7WBを購入したつもりだった。Wが付くと良い物と思っていた。今回箱を開けてみて中身はJAN 12AT7WBは緑のインクで6201が砂文字で記されていることに改めて気づいた。これも謎の一つだが,12AT7-WBの規格はGEは6189-12AU7WAの例では両方を砂文字で標記しており,この球は6201製造後に何かの理由で印字を12AT7-WBにしたのだと分かる。その頃,米国で12AT7-WBの規格が誕生し検査項目を追加した(1970年頃は我が国では12AT7-WAしか作っていなかった)か,あるいは偽物とも考えられる。
米国6688は、9ピンミニチュア型の超寿命、堅牢型の広帯域増幅用5極管。 フレームグリッドを採用し、gmが高く(16.5mA/V)、低雑音。日本では、6R-R8として国産化され、また欧州では、E180Fと呼ばれます。
5651はミニアチュアの標準電圧管。東芝マツダは5651を1954年頃国産化している。高信頼管ではないが標準電圧管という名称が物語るように,もっぱら工業用,業務用に製造されたの品種である。1957年にPhilips 85A2が国産化されると,5651はその使命を終え世代交代したようである。東芝は放電管を工業用に製造したものの1956年頃には一般の民生用受信管と同じ化粧箱で出荷していた。それが後になって業務用の別の箱になった。
手元に残る1956年製の5651の箱底には「SB-326 DB 15 リ」とか「SB-326 DB 15 ツ」という製造番号が付されている。後の業務用管は業務用箱に納められ,製造番号「1LA21K1 ロ11」
高信頼管5727はクセノンガス入り熱陰極グリッド制御放電管(4極グリッドサイラトロン)で,航空機用高信頼管ARNIC管の1つ。原型は2D21である。東芝マツダは2D21を1954年頃に国産化し,その高信頼管5725は1959年に国産化した。
東芝は初期から1960年中頃まではプレートは白銀に輝く長方形断面であるが,高信頼管ができた1960年初頭からは長方形断面の長辺側にフィンをつけて堅牢型にしているのも大きな特徴かと思われる。1960年代中頃の一般用2D21も同じく改良されている。左のToshiba5727は業務用箱に納められた1967年製で,箱の製造番号「1LA21E1 あ11」。外見上の違いは5727が足にあり金メッキされている。2D21は業務用箱に納められた1967年製で,製造番号「1LA21K1 こ11」。
NEC5727は箱には5727と表示しているが中身は2D21そのもので,製造後に白ペイントで5727と並記した選別品のように見える。年代標記が無いが,1950年代後半。
米国Amperex AX-5727(dT2/C7G)はオランダ製でPhilips製造のものか。電極構造はマツダの旧型に似ている。Tung-Sol/Chathamの5727/2D21Wの箱に入っていたもので,機器保守後の抜き出し球である。足がぐにゃりと曲がっていたので矯正した。
計算機用真空管は一般管と比べて故障率を下げること,スイッチング・スピードを上げることの必要があります。故障はOn/Offを繰り返す動作状態ではカソードの劣化と,off時のカットオフ特性の悪化が問題で,カソードを特別な設計を施しました。さらにスピードアップには内部抵抗の引き下げが重要でした。逆にon/off動作は閾値が高いのでハムや雑音特性は犠牲になっています。
5965は計算機用双3極管。GEが1954年7月にGL-6463の広告とともにその名(GL-5965)を載せている。RCAは翌1955年発表している。全管損失1W用はGL-5844(1951年4月), 4W用はGL-5965を,そして7.5W用をGL-6463としている。6463は計算機の速度を上げるためにパービアンスを高く,内部抵抗を低くする対策をとったものである。5965は片ユニット2.2W, 合計4Wとしている。
EIA Name
Ef V
If A
Base
Out-line
Pb max W
(abs)
Eb max V
Eb V
Eg V Rk ohm
Ib max mA
Rp
gm mA/V
mu
RL ohm
5965
6.3
12.6
0.45
0.225
9A
6-2
2.4 each
4.4
300
150
Rk 220
-
-5.5
8.5
10.5
0.15
7k
-
-
6.7
Ic=140uA
-
47
-
-
-
7.2k
7.2k