ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

Radio Tubes After WWII/戦後のラジオ球

 Military, Comunications and Industrial Tubes/軍用・通信・産業用真空管

Special Tubes -Reliable and Industorial/高信頼管,並びに産業用の特殊管

Reliable1 History & Table
Reliable2 Samples
Communication & Industry
Tele-Comunications

Page telAW. Tele-Communication Tubes after WWII/戦後の電信電話用真空管

2nd Edition (2006.11.18)-(2011.9.23)-(2011.11.23)

HomePageVT/Radio_tube_TelAW.html

Note; File name "Radio_tube_Com" was changed to "Radio_tube_TelAW" at (2011.9.23).


Tele-communications
Others

19M-R9

19M-R10

19R-P11

Not yet photo

19R-LL1

Wide Amp

Not yet photo

6R-R8

Not yet photo

6R-R8C

6R-P10

Super Wide Amp

6R-R21

Not yet photo

6B-R22

Not yet photo

6B-R23

6R-H2

Not yet photo

6B-P16


6R-H2(ECL-1175)

広帯域格子接地型電圧増幅3極管(高信頼管)。NEC(日電)。1957年。WE417A, 5842類似。RF GG

フレーム・グリッド管

(原型・構造・特性)

6.3V,0.35A,mt21,150V,-,28mA,-,27.5mA/V,μ40

原型は米国のRF-GG増幅管WE417A。フレーム・グリッドを採用し高GM化,さらにグリッド導入線インダクタンスを小さくするための特別の考慮を払っている。電気的特性はWE417Aに類似し,置き換えが可能。

[ZjN]

NEC 6R-H2(1962-6, 1964-2)

天井にゲッタ遮蔽マイカあり。角ゲッタ。

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19R-LL1(ECL-1134)

高周波増幅用中増幅率双3極管。NEC(日電)。通信用。開発はNTTの電気通信研究所。

(原型・構造・特性)

19.0V,0.15A,mt21,120V,Rk180,8.5mA,5.5k,5.5mA/V,μ30

NEC;12AT7や2C51に比べて低温に設計,熱容量を大きくし,長寿命化。グリッド逆電流にも考慮。無人中継装置,端局変復調器,リレー回路など,信頼性と長寿命の要求される場合に好適。

(その後)他に,TEN〜60も作った。

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6R-P10

広帯域(ビデオ)電力増幅用5極管。ECL,NTT,NEC(日電)。1955年頃。通信用管。

JIS名5極出力管で初のMT管で,登録業務用管の第1号でもある。電信電話公社(現NTT)の電気通信研究所(ECL)で開発され,開発初期の名称はECL-1071,製造・開発はNEC(日電)が担当した。NECのマニュアルによると,電極容量が少なく,低陽極電力で高gmと低歪,長寿命の特徴を持つ通信管,ビデオ増幅器あるいは広帯域中間周波増幅器の電力増幅段に好適とある。

[Ya4]

6R-P10s, Toshiba and NEC, for Communications/左は東芝 6R-P10(通測用,Hi-S, 8A02, 1960年代初頭),右は日電NEC(通信用MN101, 1959年7月)。

(特性)

6.3V,0.5A,mT21-3,Cin=10.5,Cout=2.7,Cgp=0.05

150V,150V,Rk60,36mA,8mA,13.5mA/V,RL1.8k,1.0W,(絶対最大)200V/6.5W,170V/1.7W

(設計最大推定)180V/6W,150V/1.5W,Ik50mA

(推定T) 150V,-2V,44mA,μ20,17mA/V,1.18k

(原型)

6R-P10の原型は,どうも12BY7(CBS-Hytron,1952年頃,6.3V,0.6A)と推定される。

12BY7Aと比較して,ヒータ電力が17%小さいが,IKを38%増加させ,gmが22%大きい。3接時の増幅率μ20で同程度,rpは1.2K程度である。その代り,最大定格は設計最大換算(推定)で180V/6W,150V/1.5W,Ik50mAとなり,やや小型管に属する。

また電力管というよりは電圧増幅に重点を置いており,増幅率μ(g1-g2間)は約20と比較的大きい(民生管では12BY7Aクラス)。3極管接続時の仕様は,推定で上記のようになる。

Comparison Table/比較表

Eh,Ih

Eb

V

Esg

V

Eg

V(Ω)

Ib

mA

Isg

mA

gm

mA/V

rp

Cin

pF

Cout

pF

Cgp

pF

fm*

6AH6

6.3V,0.45A

300

150

-2

(160)

10

2.5

9.0

500

10.0

3.6

.02

105.4

6AU6

6.3V,0.3A

200

150

-1

(68)

10.6

4.3

5.2

1M

5.5

5.0

.0035

78.9

6CB6

6.3V,0.3A

200

150

(180)

9.5

2.8

6.2

600

6.5

2.0

.025

113.5

6CL6

6.3V,0.65A

250

150

-3

30

7

11.0

150

11.0

5.5

.12

106.2

12BY7A

6.3V,0.6A

250

180

-3.1

(100)

26

5.75

11.0

93

10.2

3.5

.063

127.9

6R-P10

6.3V,0.5A

150

150

-2.64

(60)

36

8

13.5

-

10.5

2.7

.05

162.9

*fm=gm/(2π(Cin+Cout))

(構造)

電極外観は,米国6AH6を縦に延ばした形をしており,シールド用箱型フレームの中に,カソードに対面する2枚の板状プレートがあり,その間に各グリッドがある。本球の構造的特徴は,g1に国産出力管として初めてフレーム・グリッドを採用した点,ならびにg3に4本の支柱で代用させた点である。

高gm化にはカソード・エミッションの強化とg1-k間距離の短縮の2つの方法があるが,前者はヒータ電力の増加をもたらし,後者は島効果による歪率の悪化をもたらす。6R-P10は高ゲインの小型管を狙っておりヒータ電力は余り大きくできないので,歪率悪化を犠牲にして,フレーム・グリッドにより巻線の細径化と密巻化を図り,高gm化したものである。このため,特にスクリーン電圧の最大定格が低い。また,電極間容量を小さくする要求から,プレートの形状は小さい。ヒータ電力が比較的小さいことから,プレート・サイズも最小限になっている。

歪を抑えるために,Eg<0Vが必要である。Eb-Ib特性図には,ゼロバイアス電流は記載されておらず,Eg=-1V以下が表示されている。プレート損失も関係しよう。

(その後)

NECの他,通信御三家(NEC,TEN,日立)の各社,東芝も製造した。東芝と日立は1962年頃参入。

(背景)

NTT通研は,戦後の国内通信網の整備計画の一貫として,1953年から広帯域増幅用の通信用MT管の開発を進め,6M-H1,6R-R8とともに6R-P10が誕生した。特に,6R-P10は超多重電話ならびにテレビ中継器に用いる周波数70MHzの中間周波増幅器に用いる増幅管として開発したもので,帯域幅が10MHzと広いため,特別に大きなFm(figure of merit,fm=gm/(2π(Cin+Cout))を持つように,高gm化と低容量化をはかった。この結果,このクラスの出力管ではトップのFm=162を達成した。

我が国の通信用真空管の技術は,戦前戦後ともに米国WEに大きく依存している。戦前は,WEと技術提携関係にあったNEC(日電)が公衆回線用の通信事業を独占し,WEの通信用管の国産版をもっぱら製造していた。しかし,戦争により日米関係が悪化した時期には,通信管開発は日本独自に進めざるをえなくなり,結果的に日本固有のST管,CZシリーズが誕生した。しかし,戦時中,米国ではレーダ等の電波兵器の開発と多量生産が進み,結果的にVHFやUHFに必要な送受信管の技術開発や製造技術の確立が行われた。日本は通信管の分野でも大きな立ち後れ状態に陥り,新型管の開発の主流は再びWE管の後追い,国産化に終始せざるを得なかったわけである。

米国WEは,戦時中に高周波増幅用の5極MT管6AK5,グリッド接地型3極MT管6J4,送信管に登録した小型双3極MT管2C51などを開発したが,戦争遂行のために技術公開し米国各社が同じものを多量に生産している。例えば,TungSolは6AK5を月産100万本作っている。このため,これらの球はWE名でなくRETM(RETMA,EIA)の受信管や送信管の名称を持っている。さらに,戦時体制が解除された1945年以降,開発した通信管には再びWEの名称(400番代)が付けられ,WE-404A,WE-407Aなどが登場した。

一方,国内ではこの頃MT管の国産化を始めたばかりで,通信用管と言えば旧態然とした戦前に開発したST管のCZシリーズしか無かった。NTT通研による通信管の開発は2つの方向に進み,1つはCZシリーズのMT管化,他方は通信のマイクロ波技術に必要な球の開発にあった。いずれも,国内の製造設備で製造できる実用管に向けられ,WEの適当なMT管を改良する形で進められた。後者の目的で開発されたもののうち,6M-H1は6J4,6R-R8はWE-404A,19R-LL1は2C51(WE-407A)に範を取ったものであった。

ところが,6R-P10だけはWEに原型が見当たらない。このクラスのMT出力管は,WEが相当管を開発していたかどうか判らないが,実は民生管の分野ではTV用のビデオ管として各社が開発に凌ぎを削っていたのである。当時,米国では,広帯域増幅に使用できる民生用管としては,戦前にRCAが開発した6AG7,戦後はRaytheonの6AH6(1949?),RCA?の6AU6(1949?)が知られており,TV受像機の開発競争が始ると,さらに新しい球としてビーム構造を取入れたRCAの6CB6(1952?),6AG7をMT管に置き換えたRCAの6CL6(1952年),さらに戦後のビデオ管を決定付けたCBS-Hytronの12BY7(1952?)が出現した。ところが,日本では,戦前に開発された東京電気(東芝)のUZ-6302,6304(1939)やNECの()などがあるだけ,戦争により中断後はTV放送計画が復活するこの時期まで日の目を見なかったのである。

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19R-P11

搬送波電力増幅用5極管。ECL,NTT,NEC(日電)。1952(試作)〜1955年。通信用管。

[Ya4]

19R-P11, NEC and TEN, for Communications/

左は日電NEC(1960年代),右は神戸工業TEN(IL, 5K, 1959年12月)。

(原型・構造・特性)

19.0V,0.2A(3.8W=6.3V/0.6A),mT21-3,Cin=9.5,Cout=5.5,Cgp=0.15

120V,120V,-7V,35mA,7.5mA,25k,5.5mA/V,RL4k,25dB(約3W?),275V/8.2W,165V/1.9W

(推定)120V,-7V,42.5mA,μ7.5,6.7mA/V,1.1k

業務用第2号である。原型は12BY7Aあたり(6.3V0.6A)?。ECL-1070。NTT通研の電話用搬送装置小型化のために計画された戦前のCZ管などST型通信管のミニュアチュア管化の実用化研究により誕生。この球は戦前に開発され現用のCZ-504D(UZ-42相当の通信管)の後継管として開発された。短距離搬送装置,多重マイクロ波通信回線端局装置,電力線搬送装置などに利用された。

(同時に)他に,CZ-501-D相当の電圧増幅用5極管19M-R9(ECL-1069),米民生管6CB6相当の通信用電圧増幅用5極管19M-R10(ECL-1135),米WE407A/2C51相当の電圧増幅用双3極管19R-LL1が同時に開発された。この新しいシリーズはヒータ電圧を戦後最も普及した6.3Vではなく19Vを採用している点が珍しい。19V採用の理由は多量に用いる通信管のヒータ用トランスの効率化にあると思われる。ちなみに,戦前の逓信省の依頼でNECが1939年頃に開発したCZシリーズの主な電話用業務管にはヒータ電流が1Aに統一され,ヒータ電圧は3.5V(CZ-501D,502D)と5V(CZ-503D,504D)が使われていた。それより後の1940年頃に開発された同軸ケーブル用5極管CZ-511,CZ-514はヒータ電圧が後に標準となる6.3Vを採用し,ヒータ電流を0.6A,0.7Aと違えていた。

(その後)通信御三家(NEC,TEN,日立)が製造。

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6B-P16

超広帯域電力増幅用4極管。ECL,NTT,NEC(日電)。1957年(試作)〜1960年。通信用管。

(原型・構造・特性)

6.3V,0.6A,T29?-,150V,150V,Rk27,50mA,20mA,18k,26.5mA/V

業務用第3号である。マグノーバル管。NEC;6GHzのマイクロ波中継装置の中間周波電力増幅用に開発。FM206MHz。電気的特性はWE418Aに相当。ベース接続も同じ。冷却に十分注意。ECL-1179の開発名を持つ。原型は米国WE418Aで,電気的特性,ベース・ピン接続が同じ互換球。ベースは今日のマグノーバル。6GHzのマイクロ波中継装置の中間周波増幅。フィギア・オブ・メリットは206MHz。通信用管の互換球は米Bell研究所で開発されたWEシリーズを原型に,単なるコピーではなく各国で独自に開発が進められており,電気的特性が同じでも詳細が異なることから,それぞれ独自の名前を名乗るのが流儀となっていたらしい。民生用管の場合は,世界の主要メーカが米国球を中心に互換球を生産したことから米RETMA(EIA)名が世界標準となり互換球も同名を名乗ったのとは対象的である。同時期に,電圧増幅用5極管6R-R21(ECL-1084,WE435A(1951)類似),6B-R22(ECL-1144EWE448A同特性),グリッド接地型電圧増幅用3極管6R-H2(ECL-1175WE417A同特性)があり,やや遅れて6B-R23がある。マグノーバルの規格はオランダ・フィリップスが1961年に作った(NECの資料)とされるが,これらのシリーズ管には既に使用されている。6B-P16は開発の最終段階で,米国RETMA(現EIA)に登録されたばかりのこの最新のベースに設計変更したとされている。したがって,マグノーバルの発表は1950年代の終わりでなければならない。

(その後)NEC,日立などで生産された。また,6B-R23の開発時に,電極から出た電子が外囲器のガラスに衝突する際に放出するガスを防止することで長寿命管の寿命を改善できることが分り,衝突電子を吸収する緑色の塗料を外囲器内面に塗装する技術が開発され,以後6B-P16にもこれが採用された。したがって,開発初期モデルはクリア・ガラスであるが,6B-R23の開発された1960年頃から緑帯で内部が見えなくなった(はず)。

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6R-R8

(ECL-1083)

広帯域電圧増幅用5極管。NEC(日電)1951-54年,WE404A相当

(原型・構造・特性)

6.3V,0.3A,mT21-1(45mm),(G1,NC,H,K-G3-IS,NC,P,NC,G2,H)

(T54)150V,150V,(110Ω),13mA,4.5mA,12.5mA/V,180V/3W,180V/0.75W,Ik35mA,Ehk50V,(外部シールド付き)Cin7.8pF,Cout3.2pF,Cgp0.04pF

広帯域電圧増幅用5極管で,特性はWE404Aと同等で差し替え可能。国内初めてのフレーム・グリッド管。ビデオ増幅器,広帯域中間周波増幅器の電圧増幅に好適。

(その後)発表後すぐに(1954年)東芝が生産。TENも生産。

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6R-R8A

1958東芝

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6R-R8C

(ECL)NEC,TEN,日立,

広帯域電圧増幅用5極管。NEC(日電)

同軸中継方式の増幅用5極管。ベース接続,外形寸法,ヒータ特性は6R-R8と同じで,電気的特性も略同じ。歪低減と電子走行角を少なくするよう設計。初段用として等価雑音抵抗も規定した。

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19M-R9

(ECL-1069)

電圧増幅用5極管。NEC1952-55,TEN,日立(CZ-501D)

NEC;高周波増幅用傍熱型5極管。特性は一般の6AU6に相当。搬送用通信管として,陰極温度を低下し長寿命化,低陽極電圧で高調波歪が少なくなるよう設計。CZ-501Dに代り,小型化搬送装置の電圧増幅に好適。

[AfJr]

[AfJr]

 

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19M-R10

(ECL-1135)NEC1952-55,TEN,日立(6CB6)

NEC;高周波増幅用傍熱型5極管。特性はgmを19M-R9より高く設定,長寿命化。搬送用通信管として,より高い利得と長寿命化,低陽極電圧で高調波歪が少なくなるよう設計。CZ-501Dに代り,小型化搬送装置の電圧増幅に好適。

[AhTr][AhTr][AhTr]

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6R-R21

(ECL-1084)

超広帯域電圧増幅用4極管。NEC1959,WE435A相当

6GHzマイクロ波中継用ビデオ増幅用として開発した広帯域電圧増幅用4極管。FMは202MHz。電気的特性はWE435Aに相当し,ベース接続も同一。6R-R8に比べて更に陰極温度を低く設計したので,更に安定な長時間動作が期待できる。

[AfJr][AfJr]

[AfJr]

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6B-R22

(ECL-1144E)NEC1959

超広帯域電圧増幅用4極管。NEC1959,WE448A相当

6GHzマイクロ波中継装置中間周波増幅用,復調機用の広帯域電圧増幅用4極管。FMは275MHz。

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6B-R23

NEC1960?

超広帯域電圧増幅用4極管。NEC1959

12GHz同軸中継方式用の広帯域電圧増幅用5極管。FMは約270MHz。陰極温度を低くし,各電極材料と処理を考慮,超寿命化。同軸中継方式専用管として,絶縁低下,ガラス壁2次電子放射等の現象に対策してあり,最高レベルの低雑音,広帯域増幅管。

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(c)2002, 2006, 2011 Koji HAYASHI All rights are reserved.
1st edition (1998.6.18)+(1998.11.17)+(2000.9.10)+(2000.9.30)+(2000.10.7)+.(2001.7.27)