|
|
|
|
| |||
| |||
|
|
|
|
1B. Radio Tubes for AC Reflex Set/交流レフレックス・ラジオ用の球 | |||||||||||
UX-226 -RF Voltage Amplifier -medium mu triode/高周波電圧増幅 中ミュー3極管 | |||||||||||
Note of TV7/U Test on UX-226/TV7/UによるUX-226のテストについて | |||||||||||
|
| ||||||||||
|
|
|
|
226は交流専用真空管の先駆けとして従来の201Aを1.5Vにしてハムを減らした球で,米国で1927年に誕生し,国内では東京電気(TEC-サイモトロン)が,1928年10月(昭和3年)にUX-226として国産化し販売しました。我が国でも鉱石検波とUX-226を併用した交流電源による受信機が作られました。
整流にはUX-201Aの2極管接続を用いたり,日本真空管製作所からUX-201Aのグリッドを取り除いたNVV UX-216Aという真空管も販売されました。また出力管UX-112Aの2極管接続もありました。しかし,やがて東京電気(TEC-サイモトロン)が,KX-112Aを販売しました。
226は米国Westinghouseの開発,RCAから1927年9月に発表された,初の交流ラジオ用直熱3極管。交流点火時のハムはフィラメント両端の電位差に起因するハムとフィラメント電流による磁界に起因するハムから成り,フィラメント電圧/電流比を適当な値に選ぶことでハムを最小にできる。UX-226は,この原理を応用して従来の蓄電池3極管UX-201Aを改良したものである。増幅率はUX-201Aと同じであるが,フィラメント(カソード)はUX-201-Aのトリウムタングステンワイヤー(5Vx0.25A=1.25W)からUX-112Aと同じバリウム酸化物被覆リボンに変更し,さらにフィラメント電力はUX-201Aよりもやや大きく設定(1.5Vx1.05A=1.575W)してエミッション稼ぎ,プレート電圧135Vの同一動作条件ではプレート電流が2倍得られる他,gmは25%増加し,また最大プレート電圧も135Vから180Vまで引き上げた(Tyne, 1977)。このような改良により,従来のUX-201Aにとって代わる交流点火可能なラジオ球ができあがった。なお,酸化物陰極を使用しているため,ゲッターにはUX-112Aと同様にプレート側面に張り付けたマグネシウム金属板が採用され,排気時に加熱してフラッシュしてからチップオフする(ガラスのへそを切る)方式であった(梅田1976)。RCAはこのUX-226を交流受信機Radiola17の高周波増幅と低周波増幅に使用したが,検波段は傍熱型が使われた(Tyne)。
我が国では東京電気(TEC-サイモトロン)が,1928年8月(昭和3年)に国産化し,発売は同年12月1日でした。(東京電気の広告,岡本,木賀,日本アマチュア無線外史, p.38,1992)。(梅田徳太郎の受信管製造の記録では,受信管製造年次表に1929年UX-120, UX-112A, UX-226としているが,本文中別稿には1929年初期頃よりバリウム酸化物カソードの研究を開始,その成果として1928年9月にUX-112Aを完成し,続いてUX-226を1928年12月に完成とあり,年代が錯綜している,1928年が正しいと思われる)。1928年に東京電気(サイモトロン)が発売すると,エレバムを始め各社が発売しました。UX-226の販売価格ですが,東京電気の定価は1928年8月3円でしたが,1929年に2円,1931年に1.60円,1933年に1円となりました。UX-201Aに比べて70%程高かった。1932年3月の各社の卸価格比較,サイモトロン1.00円,エレバム0.73円,ネオ真空管0.60円,ポープ0.70円,ドン真空管0.70円,ベスト0.65円,キングトロン0.70円,KOトロン0.68円,イーストロン0.60円。その後1932年頃に米国でST管があらわれると,国内でもST管のUX-226やUX-26,そして1934年にST管化した改良型のUX-26Bが誕生し,価格もさらに廉価になりました。この続きは別稿のUX-26Bへ。
初の交流用真空管でしたが,フィラメント点火電圧をUX-201Aの1/5に減らしただけですのでハムを根絶することはできず,信号レベルの低い検波段では実用にならなかったといいます。RCAの例からも分かるように,UX-226は高周波増幅と低周波増幅に使用し,廉価なラジオでは,検波にはハムの問題が無い鉱石検波を用いた交流電源のラジオ受信機が作られました。鉱石検波器は増幅作用がありませんので,再生回路が使えず,少ない球数で感度の良いラジオ受信機を作るのには向きません。我が国では整流管KX-112Aの登場とともに鉱石とUX-226を2本用いたレフレックス3球エリミネータが1929年頃から流行し,なかには,鉱石検波ながら高周波段に再生をかけるものまでありました。一方,我が国では傍熱型のUY-227をエレバムがUX-226と同じ1928年に国産化し,また東京電気も翌年遅れて販売したので,UY-227の登場と出力管UX-112Aの普及以後は,UX-226はハムの少ない増幅を活かして(いわゆる低雑音増幅管として)検波段直後の低周波増幅に使われることが多くなりました。また,低増幅率でしたのでトランス結合で使用されました。また,UX-201AやUX-112Aと混用した受信機では真空管を挿し違えるとフィラメントを切ってしまう事故が起きることになりました。
|
Base |
Outline |
Ef V |
If A |
Eb V |
Eg V |
Ib mA |
mu |
rp kohm |
gm mA/V |
|
UX-226* |
- |
- |
1.5 |
1.05 |
135 90 |
-9.0 -6.0 |
6.0 3.5 |
- |
- |
- |
|
26 RCA RC-16 1950 |
1f, 2p, 3g, 4f |
ST-14, D=1-13/16", L=4-11/16" |
1.5 |
1.05 |
180 max 135 90 |
-14.5 -10 -7 |
6.2 5.5 2.9 |
8.3 |
7.3 7.6 8.9 |
1.15 1.1 0.935 |
|
26 GE ETRM-15P 1973 |
4D |
14-1 |
1.5 |
1.05 |
180 max |
-14.5 |
6.2 |
8.3 |
7.3 |
1.15 |
cin 2.8pF Cout 2.5pF Cgp 8.1pF |
ref GE 56 |
5A |
12-5 |
2.5 |
1.0 |
250 |
-13.5 |
5 |
13.8 |
9.5 |
1.45 |
|
ref GE 76 |
5A |
12-5 |
6.3 |
0.3 |
sa |
sa |
sa |
sa |
sa |
sa |
|
UX-26B (Matsuda '37.3) |
|
ST-38/ D=38 mm, L=105 mm |
1.5 |
1.05 |
180 135 |
-10 -7 |
4.2 3.5 |
12.5 |
11 11.3 |
1.15 1.1 |
|
UX-26B (Matsuda '51) |
JES-4B |
Fig.35, same as UX-12A |
1.5 |
1.05 |
180 135 |
-10 -7 |
4.2 3.8 |
12.8 |
(10.3) (10.6) |
1.24 1.2 |
|
以下の米国226は,ラジオの修理用に求めた中古球です。226は検波増幅管用です。国産球が枯渇して久しく,たまに現れるものは骨董価値扱いされ驚くほど高額ですので,入手はまず不可能と考え,米国から1997年に通販で輸入したものです。中古球にねらいをつけ,新品球を在庫していればそれも入手するつもりでいましたが,226は不満足な結果に終わりました。(しかし,その後の再測定では合格していることが分かりました。)
Cunningham CX326は,1929年以後の製造と推定される。RCA傘下の時代。ガラス面の約2/3が銀色のゲッタに覆われ内部が見にくい。プレートは初期のRCA112Aなどと同じく平型で2重円周のリブがあるもの。電極支持にマイカスペーサが使われている。マイカはV型,フィラメントは逆V型。ゲッタはプレートの下端に数ミリの編み目が取り付けてある。ベースはバヨネット・ピン付きのベークライト製で,Cunninghamのロゴ,Cunninghamの文字とアンダーライン,管名CX-326が刻印されている。ベース底にはLicensed only to extent indicated on cartonの文字が浮き彫りされている。gm=26<29。棄却値を約10%下回っているエミ減球と思われたが,下記の再測定を試みた結果合格品と分かった。($8.95)
Sylvania SX226は1931-32年頃の製造と推定される。ガラス全体はクリアー。ガラス管頂部には葉っぱとSの字のシールが張り付けられている。プレートは平型で水平に1本のリブ。電極支持にマイカスペーサが使われている。マイカはほぼV型。バヨネットピンなしゲッタは桶型でステム下部の付近に下向きにがあり,ベースにはSYLVANIA,SX-226と縦に1と2の文字が刻印,。ベース裏にはLicensed only to extent indicated on carton。この球は3本の中で一番新しい造り。gm=27.5<29。棄却値を約5%下回っているエミ減球と思われたが,下記の再測定を試みた結果合格品と分かった。($9.95)
Philco 26は1932年以後の製造と推定される。ガラス全体はクリアー。管壁に黄色に紺文字でPHILCOのシール。プレートは水平方向に2つのリブ。電極支持にマイカスペーサが使われている。マイカはV型。ゲッタはプレートの上端に数ミリの編み目が取り付けてある。ステムには黒で9073の文字。ベースには菱形ロゴにTYPE 26とある。ベース裏にはLicense..の文字ないが,ガラス管シールにREG. U.S. PAT. OFF.とある。gm=33.5。まあまあの特性($8.95)
Note of TV7/U Test on UX-226/TV7/UによるUX-226のテストについて真空管試験機TV7/Uは私が真空管をテストするのに愛用している機械ですが,こと26, 226系だけは測定結果に疑問が残りました。最近,26系の球を測定している最中にフィラメントが点灯していないことに気付きました。以前の測定では部屋を暗くすると見えたものですが,今回は光っていません。原因を調べてみると,TV7/Uの測定条件に問題のあることが分かりました。
まず,TV7/Uでは26系の設定条件はフィラメント電圧を1.5Vに設定し,点灯状態で商用電源ラインの電圧をLINE=60(メータが中央にくるよう)に調整することになっています。その後測定します。しかし,この状態でフィラメント電圧を測定してみると1.03Vしかありません。実はTV7/Uの1.5V巻き線は他のレンジと異なりその中心電圧は低く設定されていて1.3Vしかありません。これに負荷がかかると電圧降下によりよけい下がります。球によっては1Vとなり点灯しない状況もうまれる訳です。そこで,フィラメント電圧を規定値にまで引き上げて,再測定してみました。結果から見れば,良品の判定はもとの条件でもできますが,エミッションが悪くなった中古球はまだ使えるにもかかわらず棄却されてしまうことが分かりました。これは,フィラメント電圧が規定よりはるかに低く設定されているからで,例えば,UX-112Aの場合は実は規定値5Vに対して10%増しの5.5Vをかけた状態で判定していることから見ても,公平とはいえない(棄却率に大きな差が生じる)状態だったのです。
|
Test data (1) 26 (Part-1) |
gm =meter/40 (mA/V) |
Test data (2) 26 (Part-2) |
gm =meter/40 (mA/V) |
Test data (2) Based on American 26 (Part-2) |
gm =meter/40 (mA/V) |
|
Eh=1.5V, Line=60, Pin=ER3-2000, Bias=43, Range=B, Shunt=0, Meter>29 |
|
Eh=1.5V, Line=max Pin=ER3-2000, Bias=43, Range=B, Shunt=0, Meter>29 |
|
Eh=2.0V (Adjust Line as Eh=1.5V using Voltage meter), Pin=ER3-2000, Bias=43, Range=B, Shunt=0, Meter>29 |
gm'=gm x (Line60/Line3)^2 |
CX-326 Cunningham |
1) 26 <29 2) 26 (Ef1.13V) |
0.600 |
- 38 (Line=67 Ef=1.27V) |
0.95 |
31 (Ef1.5V, Line=50, +B and -C/-17%) |
0.775 (換算1.116) |
SX-226 Sylvania |
1) 27.5 <29 2) 32 (Ef1.16V) |
0.686 |
- 41 (Line=66 Ef=1.29V) |
1.025 |
31 (Ef1.5V, Line=51, +B and -C/-17%) |
0.775 (換算1.073) |
Philco type26 |
1) 33.5 >29 2) 37 (Ef1.18V) |
0.836 |
- 47.5 (Line=66 Ef=1.30V) |
1.1875 |
35 (Ef1.5V, Line=50, +B and -C/-17%) |
0.875 (換算1.26) |
Elevam UX-226 |
2) 4-6 (Ef=1.13V, Line60) |
0.150 |
22 (Line=67, Ef=1.24V) |
0.55 |
29 (Ef1.5V, Line50, +B and -C/-17%) |
0.725 (換算1.05) |
KOTRON UX-226AC |
2) 0 (Ef=1.03V, Line60) |
0.000 |
1 (Line=67, Ef=1.16V) |
0.025 |
15 (Ef1.5V, Line52, +B and -C/-17%) |
0.375 (換算0.500) |
8年前に測定したサンプルを今回も測定してみたところ,SylvaniaとPhilcoは前回の測定値を上回り棄却値以上の数値で合格した。前回Line調整が60ではなかったのではないかと疑われる。しかし,Cunninghamだけは同じ数値で不合格である。TV7/Uの26のオリジナルのテスト条件では,フィラメント電圧レンジは1.5Vに設定するが実際の電圧は1.03V-1.18Vで規定の1.5Vに対して31%-21%低い値だった。
そこでテスト条件2では,商用交流電源電圧をLINEツマミで最大に調整すると約10%増(x66/60-x67/60)となり,フィラメント電圧は約10%上昇し1.16V-1.30Vとなった。+B, -C電圧も同時に10%上昇した。gmは1.28倍(2乗倍)に上昇した。
テスト条件3では,フィラメント電圧レンジを2Vとし商用交流電源電圧をLINEツマミで調整してフィラメント電圧を規定の1.5Vにした。LINEは50-52だったので,+B, -C電圧は同時に17%から13%(x50/60-x52/60)下がった。gmは0.69倍から0.75倍になる。これを正規の+B電圧をかけた場合のgmに換算すると,gmは1.45-1.33倍になる。換算したgmは4本が約1mA/Vで合格,1本は約0.5mA/Vで不合格であった。特に,日本製の2本はフィラメント電圧が低いとgmの計測値が極端に小さくなるのは,1つはフィラメントが規定以上に電流が流れる?のでフィラメントの電圧降下が大きくエミッションを下げてしまう。また,規定の電圧をかけないと使用できない程,陰極物質のエミッションが悪いことを物語っている。
以上から,226系のテストはフィラメント電圧を正規の値にしてgmを測定し,+Bの降下分を補正したgmで棄却判定をするのが良かろうという結論に達しました。なお,国産UX-26Bのテストについては電気的特性の違いを考慮して判定する必要があるので,別項に改めて記載しました。
以下の我が国のUX-226のサンプルは,昭和初期のラジオから取り出した不良球,インターネットを通じて寄贈いただいた飾り球,それに写真の提供をいただいたものです。UX-226は数ある古典ラジオ球の中で最も生存率の低い球だったのではないかと思われます。私自身,ラジオから抜き出したものは不動球ばかりで,唯一盗掘を免れたものは一見不動球に見える足のはずれた球だけでした。
Tokyo Electric Cymotron UX-226/東京電気サイモトロン
ベースは短く,刻印はCYMOTRON/UX-226。底にReleaf=TEC Cymotron patented Tokyo Electric Co.。電極の造りは我が国では初期の標準的なもので,プレートは2重円リブ付き,フィラメントは逆V型で吊り具はステムからの支柱。グリッド支柱を含め,電極支持は自立型でガラスビーズもマイカ板も使用していません。ゲッタはプレート側面に張り付けたマグネシウムリボンをフラッシュさせたもの。ベースピンに番号表示無し。ガラス頭部にガラス頭にマツダランプ工場製品のロゴがある。
CYMOTRONのTECレリーフ(1927-1930)の特徴から1930年頃,すなわちUX-226デビュー直後の製造,と考えられる。なお,同じサイモトロンでも,ピン番号FPGの表示されたマツダランプ工場製品のレリーフのあるベースは1931-32年と推定され,この頃プレートは横1本のリブの入った形式に変更されたことを確認している。
???マイカを使用していない自立型(1927-1929), ケメットゲッタでない(-1930)等
このサンプルは飾り球で,逆V型フィラメントの吊り部から約5mm両側が切れて落ちている。のこったフィラメントはハの字型にばんざい状態で残っている。
梅田徳太郎氏の受信管製造の記録では,1929年UX-226からマイカスペーサーが使用され順次他の球にも使用されたとあるが,UX-226の発売は前年の1928年であり,現物ではマイカスペーサの使用の痕跡も見当たらない。受信管製造の記録は極めて信頼のおける資料で重宝しているが,稀に誤記があり,UX-226製造開始に関する年代とマイカスペーサの使用開始時期も誤記が疑われるところである。ケメットゲッタもUY-227(1930)から使用されはじめたが,UX-226には見られない。
このサンプルはベースにCYMOTRON/UX-226, ガラス頭にマツダランプ工場製品のロゴがあるので,おそらくベース底にはTECのロゴが浮き彫りとなっているであろう。この特徴から製造は1928-1932年の間となり,まさにUX-226がデビューしてからマツダブランドに変わるまでの間と考えられる。(先のサンプルと同じと判定される)
Tokyo Electric Matsuda UX-226
マツダUX-226の元箱であるが,マツダのブランドは1932年以後,説明書にある日本放送協会の認定マークは1929年以降1934年までのものであるから,1932-1934年頃のものと考えられる。
Elevam UX-226
戦前からの真空管の老舗エレバム(宮田製作所)のUX-226です。電極の造りは我が国では初期の標準的なもので,プレートは2重円リブ付き,電極支持は自立型でガラスビーズもマイカ板も使用していません。ゲッタはプレート側面に張り付けたマグネシウムリボンをフラッシュさせたもの。ベースはバヨネットピン付きで,底には各ピンにP,G,F,Fと電極の意味が表示してある。2重円リブP(1927-), マイカを使用していない自立型(1927-1929), ケメットゲッタでない(-1930)という特徴から1929年頃と推定される。このサンプルは点火できるがgmは低く,4<29 em。多分復活できるだろう。
K.O.Tron UX-226
戦前の真空管の老舗K.O.真空管のUX-226です。電極の造りは我が国では初期の標準的なもので,プレートは2重円リブ付き,電極支持は自立型でガラスビーズもマイカ板も使用していません。ゲッタはプレート側面に張り付けたマグネシウムリボンをフラッシュさせたもの。ベースはバヨネットピン付きで,底には各ピンにP,G,F,Fと電極の意味が表示してある。その他に,頭にはK.Oのロゴの周囲にAC-226-K.O.TRONとあります。また,ベースは茶色のベークライトで,真鍮ピンです。プレートにはまだK.O.のロゴは入っていません。以上の特徴から比較的初期に造られたと見ることができます。1929年頃としておきましょう。なお,K.O.のナス管のガラスの形状はやや上方にひろがっており,欧州管のように見えます。
このサンプルはYahooオークションで数本のラジオ球とともに使えるか否か分からない状態で入手したジャンク球でしたが,測定の結果やはり飾り球と判定されました。フィラメントが点火するだけましです。TV7/Uによるテストではgmゼロ。電極ショートテストではランプが少し光るので生きているはず,と詳細に調べた結果,TV7/Uのフィラメント電圧が1.1Vと低かった。正規の電圧で再測定してみたらgm=14, (0.350mA/V)で,棄却値の半分程度にまでエミッションが落ち込んだエミ減球と分かりました。
Minor brand Chikara UX-226
ベースには弱々しい線でCHIKARA/UX-226と刻印され,ベース底にはピン番号(GPFF)が表示されています。電極の造りは我が国では初期の標準的なもので,プレートは2重円リブ付き,電極支持は自立型でガラスビーズもマイカ板も使用していません。ゲッタはプレート側面に張り付けたマグネシウムリボンをフラッシュさせたもの。ベースはバヨネットピン付きで,底には各ピンにP,G,F,Fと電極の意味が表示してある。サンプルは昭和初期の自作並四ラジオ(A(128) )の中から出てきたものですが,フィラメントの逆V字上部左側8mmが断線した飾り球です。
チカラとは変な名前のブランドですが,よくよく考えてみると,次に紹介するStorong(英語ではStrong)の日本語訳が「力」ではありませんか。同じ会社のようでいて,プレートのリブはStorongが横4本,ChikaraはRCAやマツダと同じ丸いリブです。
|
|
Minor brand Storong UX-226
ベースに刻印は無く,ガラス面にブランド名と管名「Storong UX226」が印字してある(よーく見ると写っています,綴りにOの文字が1つ多い)。ベースはバヨネットピン付きで,底には各ピンにP,G,F,Fと電極の意味が表示してあります。電極の造りは,プレートは中央に横2本,上下に1本の合計4本のリブ付き平型なので我が国では後期のものと考えらます。電極支持は自立型でガラスビーズもマイカ板も使用していません。ゲッタはプレート側面に張り付けたマグネシウムリボンをフラッシュさせたもの。
このサンプルは交流式レフレックス・ラジオ(3球+鉱石)(A(31).)の内部に残されていた球ですが,ベース・シェルのセメントが剥がれルース・ベースとなっており,しかもピンの半田がはずれていたため,盗掘(!)を免れたと思われる。一見死んでいるように見えたが,半田を直しテストしてみると無事点火し,gm=(38>29)/TV7/Uで正常。
Economy UX-226
ベースの刻印はUX-226のみ,ガラス面にRadio tube Economyが印字してある。電極の造りは,プレートは中央に横1本,上下に1本の合計3本のリブ付き平型で,これはUX-201Aのプレートの流用です。電極支持は三角マイカ板を使用しており最も新しい形式です。ゲッタはプレート側面に張り付けたマグネシウムリボンをフラッシュさせたもの。ベースはバヨネットピン付きで,底には各ピンにP,G,F,Fと電極の意味が表示してある。
このサンプルは飾り球で,フィラメントが逆Vの頂点に近い左側が断線し,左右に2mm程ずれています。
NVV UX-226
当時有名だった日本真空管NVVのUX-226です。
Minor brand Kingtron UX-226
同じくマイナーブランド,キング電気製作所「キングトロン」のUX-226と箱です。片やEverlady-Raytheonにあやかったデザインの箱。これはエレバムもこんな感じでした。片方は緑箱,これはドン真空管もこんな感じでした。
左の黄色の箱は,日本放送協会の認定品のマーク入りですので,1928年以降の箱となりましょう。右の箱は登録商標として丸に四角のダイヤみたいなマークを表示しています。
Minor brand Boom UX-226
聞いたことの無いマイナーブランド「ボム」真空管のUX-226と箱です。
Minor brand Rising UX-226
マイナーブランド「ライジング」真空管のUX-226と箱です。
このサンプルは後年の製造。ベースに銀でKEN-RAD made in U.S.A., L3R/M-R(1943年の製造?) と印字され,ガラス管壁に26,ベース底にはLicense only to extent, indicated on carton, と表示され,バヨネットピンなしです。プレートは3リブ付き,マイカは十字型,サンプルにより「5」や「7」と白字で印字があります。ゲッタはマイカ皿型。2本ともgm=(36>29)/TV7/U, 010523
米国で誕生した226は1932年頃に電極の支持法などの改良が為され,外囲器(ガラス管)をST管(ST-14)に変更した26が作られた。米国26はナス型の旧製品と互換性を保つよう電気的特性だけでなくソケットに挿すベース部は同じサイズとし,ベース側面にバヨネット・ピンを付けていた。
一方,国内でも米国同様にナス型のUX-226のST版が1933年頃に作られた。しかし,大メーカの東京電気はこの時,ソケットは同じUX型であるが,外囲器はより安価な小型のST-12に変更し,同時に増幅率muを少し上げて感度を向上した改良版を作った。それが,日本独自のUX-26Bである。バヨネットピンが無い新型を流通させて旧製品の保守に困らないかと言えば,UX型の真空管のバヨネットピンは,もともとUV-201AなどのUVソケットにもUX型真空管が挿せるようにするのが目的であったものの,当時の我が国で使用されていたラジオのUX-226用のソケットはほとんどUX型専用であって,バヨネットピンが無くても困らなかったのであろう。
UX-26Bといえば,外囲器(ガラス管)は開発元の東京電気の規格ではST-12だが,このサンプルは,何と米国26と同じST-14型を用いている。ベースにはUX-26-Bとだけ刻印されている。ベース底には各ピンにP,G,F,Fと電極の意味が表示してある。ベースにはなおバヨネット・ピンが残っており,ST時代になってもなおUVソケットを使用したラジオの保守にも使えるといった珍しい球である。製造はガラス面の十字型の紙シールに「Trade mark News,ニュース真空管」とある。製造年月を示すラベルもあるが,ルース・ベースを補修するために巻かれた黒い布テープの下敷きになり,それを剥がすと文字も失われてしまった。製造時期はUX-26Bの開発時期1933年頃と思われる。また電極内部の様子はガラス正面はゲッタ鏡面に覆われていて見えないが,背面からは見える。プレートはPhilco製と同じく水平に2つのリブが付いた平型。電極支持にマイカ板を使用しておらず古典的先のUX226と同様に自立型である。
このサンプルは,先に紹介したチカラUX-226と同様に交流式レフレックス・ラジオ(3球+鉱石)(A(31))の内部に残されていた球だが,残念なことにフィラメントは断線している。(だからこそラジオと一緒に放置され,私は入手できた!)。この時代は球の挿し違いが多く発生し,外見もうりふたつのUX-226(1.5V)をUX-201A(5V)の位置に挿すと間違いなくピカッと光って断線した。