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2A. Radio Tubes for Early Time Three and Four Tube Sets/初期の並三・並四ラジオ用の球 | ||||||||
227/UY-227 - IDH Low mu Triode/傍熱型低ミュー3極管 | ||||||||
American Samples |
Japanese Sample | |||||||
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米国では電池時代の1925年にUX-112を,1927年にUY-227, UX-112Aが開発されたので,我が国では1928年UX-112Aを国産化しました。その後,交流時代の先駆けとして1928年先に紹介したUX-226を国産化し,そして交流式ラジオの検波管UY-227も同年国産化され,1929年には専用の整流管KX-112Aを作って,交流電源式四球ラジオ時代が到来しました。1931年KX-112Bも出ました。1933年までにはエレバムがKX-112C (5V, 1.05A, 250V, 50mA)を販売しました。
227は米国Westinghouseの開発,RCAの販売で,1927年5月に発表された初の傍熱型3極管で,交流ラジオの検波用に用いられました。ヒータ電圧2.5Vを採用し以後開発される交流点火真空管の標準電圧となりました。227の特徴はなんと言っても交流点火のためにエミッションの確保と絶縁対策に力を注いだようです。特にカソードとヒータの絶縁対策にはセラミック筒をニッケルスリーブに挿入するなどの技術開発がなされ,おかげでウォームアップが遅くなりました。そればかりか,ヒータ電力は2.5V/1.75A=4.375Wで,従来のトリエーテッドタングステンを用いた蓄電池用3極管UX-201AやUX-112Aに比べると4倍も大きな電力です。初期の製品は,プレート材料に金属板を丸めた筒を用いていましたが,大きなヒータ電力のため酸化物陰極が蒸発しグリッドに蒸着し,グリッドエミッション(グリッド電流)の原因となることがわかりました。そこで,直ぐにプレート材料をニッケルワイヤーの金網に変更しました(Tyne)。また後に,ウォームアップを速めるため,ヒータをヘリカルコイル巻きにして絶縁材アランダムを塗布し,これをニッケルスリーブに直接挿入するクイックヒータ(即熱型)に改善されました(梅田)。東京電気ではこのUY-227からケメットゲッタを輸入して使用するようになった(梅田)とのことです。
国内ではエレバムが1928年にUY-227を国産化し,続いて東京電気(TEC-サイモトロン)が翌年の1929年10月(昭和4年)にUY-227を発表しました(池谷,他)。ドン真空管は1932年にUY-227Aという型番を販売していますが(これが即熱型を意味するものかどうか)詳細は不明です。販売価格ですが,エレバムの発売当時の価格は不明,東京電気の定価は発売当時不明,1931年4月に東京電気3.00円,10月に2.50円となりました。1932年3月卸,RCAラジオトロン3.00円,サイモトロン2.00円,エレバム1.45円,ネオ真空管1.40円,ポープ1.40円,ドン真空管(UY-227A)1.35円,ベスト1.30円,キングトロン1.40円,KOトロン1.20円,イーストロン1.10円。1932年9月卸,エレバム1.42円,マツダ1.93円,K.O.トロン1.15円,ドン真空管1.05円,キングトロンとNVV1.15円,ベスト0.95円,という具合にどんどん値下がりしました。
その後,1934年頃にST化され,UY-27,UY-27Aへと引き継がれました。
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Base |
Outline |
Eh V |
Ih A |
Eb V |
Eg V |
Ib mA |
mu |
rp kohm |
gm mA/V |
UY-227* |
- |
- |
2.5 |
1.75 |
180 135 90 |
-13.5 -9 -4.5 |
6.0 5.0 3.0 |
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UY-227 DON |
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2.5 |
1.75 |
45-180 |
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9 |
9.000 |
1000 |
27 RCA RC-16 1950, RC-17 1954 |
1:h, 2:p, 3:g, 4:k, 5:h |
ST-12 D=1-9/16, L=4-3/16 or T-9 D=1-3/16, L=4-3/16 (1950-) |
2.5 |
1.75 |
250 180 135 90 |
-21 -13.5 -9 -6 |
5.2 5.0 4.5 2.7 |
9.0 |
9.25 9 9 11 |
0.975 1.000 1.000 0.820 |
27 Sylvania Technical manual 1946 |
5A-0-0 1:h, 2:p, 3:g, 4:k, 5:h |
ST-12 L=4-3/16 |
2.5 |
1.75 |
250 180 135 90 |
-21 -13.5 -9 -6 |
5.2 5.0 4.7 3 |
9.0 |
9.25 9 9 10 |
0.975 1.000 1.000 0.900 |
UY-27A Matsuda RG-10017 in 1935.4.30 |
1:g, 2:p, 3:h, 4:h, 4:k (*1) |
ST-38, D=38 mm, L=105 mm |
2.5 |
1.5 |
250 135 |
-21 -9 |
5.0 4.7 |
9 |
9.0 9.25 |
1.0 0.975 |
UY-27A (Matsuda'37.3) |
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2.5 |
1.5 |
250 |
-21 |
5.2 |
9.0 |
9.0 |
1.0 |
UY-27A (Matsuda'51) |
JES-5B 1:h, 2:p, 3:g, 4:k, 5:h (*2) |
ST-38/ D=38+/-1 mm, L=105+/-5 mm |
2.5 |
1.5 |
250 |
-21 |
5 |
9 |
- |
1.0 |
UY-227B RG-10088 in 1935.12.10(Matsuda'37.3) |
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|
2.5 |
1.5 |
180 |
-4.5 |
3.0 |
30 |
20 |
1.5 |
UY-27B (MJ43.1/ Matsuda'37.3) 1941.7 |
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2.5 |
1.0 |
180 |
-3 |
5.3 |
27 |
15 |
1.8 |
UY-27B (Matsuda'51) |
JES-5B 1:h, 2:p, 3:g, 4:k, 5:h (*2) |
ST-38/ D=38+/-1 mm, L=105+/-5 mm |
2.5 |
1.0 |
180 |
-3 |
5.3 |
27 |
15 |
1.8 |
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Class |
Eb V |
Eg V |
Ib mA |
UY-227 DON |
Plate
Grid |
45 90 45 90 |
-4.5V -9V 2-9 Mohm 0.25-1 Mohm |
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UY-27A (Matsuda RG- 10017) |
Plate Det Grid Det |
250 45 |
-30 250pF 1-5 Mohm |
- - |
UY-227B (Matsuda RG- 10088) |
Grid Det |
90 45 |
- - |
5.0 2.5 |
(*0)UYソケットが出る以前の真空管ソケットは4ピン(UX)しかなかったし,3極管しかなかったので,ベース底のピンには電極を表すP,G,+F,-Fが表示された。
(*01) UYソケットが出現し,傍熱型3極管が出ると,ベース底のピンには電極を表すP,G,C,F,Fが表示された。(ELX C.G)
(*1)1932-1938年頃,東京電気他の国内会社は,ベース底にピン番号を表示した。これは反時計回りだった。真空管ピン番号は,真空管の底を見て2本のフィラメント/ヒータピンを下側に置いた時,UXとUZの場合は最も上側の2本のピンのうち右側のピンを1ピンとして,UYの場合は最も上側のピンを1ピンとして,反時計回りに1から順に数えた。
(*2)1938,9年頃から以後,1ピンの位置が米国流に変わった。真空管の底を見て2本のフィラメントヒータピンを下側に置いた時,その2本のうちの右側を1ピンとするように改められた。またベース底のピン番号表示は廃止され,代わりに2本のフィラメント/ヒータピンの間に矢印が付けられた。
以下の米国製227は,ラジオの修理用に求めた中古球です。227はカセドラル・ラジオ(日本ではミゼット型,特に頭が丸いダルマ型ラジオ)用です。国産球が枯渇して久しく,たまに現れるものは骨董価値扱いされ驚くほど高額ですので,入手はまず不可能と考え,米国から1997年に通販で輸入したものです。米国では球の物価はオーデイオ管を除けばいまだ安価に流通しています。しかし,227は国産でも簡単に入手できる球の1つです。
ともにRCAのRadiotron UY-227。ベースにはRCAのロゴと,RADIOTRON,アンダーライン,UY-227の刻印。ともにバヨネット・ピンはない。1929年から1932年の間。
(刻,(RCA)Radiotron/UY227, Base番号なし, Licensed only to extent, indicated on carton, 天(RCA), セラミック2穴, 上部三角マイカ, ステム21, 網P, 管内やや黒化, 桶ゲッタ) 36>25 (970808)
UY-227 RCA Radiotron (同じ構造,カソードスリーブ短い,管内クリア,桶ゲッタ) 10-34-35>25 (970808)
両者造りは同じに見えるが,ベース刻印の位置が90度異なる。ともにワイヤーメッシュ・プレート。この頃のヒータはセラミック製のさやに納められ,これが陰極物質を被覆したニッケル製のカソード・スリーブに納められていた。セラミック製のさやは2穴型である。また,上部マイカに刺さるプレートやグリッド支柱は1本しかないから片支持である。
左のサンプルでは,プレート長19mmに対し,カソード・スリーブは24mm,余剰分は上下に突き出ている。陰極物質の被覆部分はプレートより短く14-15mmほどである。上部マイカ板の貫通部はカソード・スリーブが接触しているが,隣のグリッドとの間隔は1.5mmも取れていないので,管内の汚れでは漏洩電流が問題になる。このサンプルは大分時間を経過した中古と思われ,ガラス管壁や電極,金網は黒化している。(gm=36>25)/TV7/U ($8.95)
右のサンプルはそれが改善され,カソード・スリーブの長さを短くし,上部マイカに接触する部分には内管のセラミックス筒だけで支持するようにしてある。カソードへの配線は上部からだが,グリッドとは反対方向から配線しているので,間隔は3mm程度取れている。(gm=10-35>25)/TV7/U ($8.95)。gmは始め低かったが加熱とともに上昇し,規格をクリヤーできた。新品かもしれない。
ゲッタは柄杓(ひしゃく)型で,私は桶ゲッタと呼んでいる。写真では一番下(ステムの手前)でちょっと光っているものがそれで,下向きに取り付けられている。
日本製のサンプル'Elevam'と'Cymotron'が入手できましたので紹介いたします。
(1) Elevam UY-227 (Early-time sample)
ベースの刻印はElevam/UY-227。初期の電極支持は自立型で三角マイカを使用していない(-1929)。プレートはワイヤーを編んだ金網の円筒型で支柱1本で支持。カソードは上部からぶら下げて,グリッドは下部から支柱1本で支持。特に注目すべきはヒータで,ヘアピンヒータを絶縁物としての2つ穴セラミックスリーブに通したものをカソードスリーブに挿入しているスロースタート型で(ウォームアップ時間25sec)という最初期のもの(東京電気は-1930中期まで)。カソードはシームレス(継ぎ目無し)のように見えるが。ゲッタは桶型よりも古いUFO型のケメットゲッタを使用。ベース底にはBase番号GPFFC, ガラス頭にはエレバムMSEのロゴとロットB,D(1932年4月?)。エレバムは製造年代の手がかりに乏しいが,東京電気なら1930年頃までの製造に相当するから,製造開始の1928年から1930年までとしておく。このサンプルは生きている(gm=59>25)/TV7/U。全く同じロットの別サンプルもあり,(gm=60>25)/TV7/U。
(2) ELX UY-227
ELXはエレバムの廉価版(2級品)のブランド名です。
ベース刻印はELX/UY-227,電極構造は,カソード上部支持,グリッド支柱1本,ワイヤー円筒プレート片側支持は初期モデルと変わらないが,電極支持にガラスタイビーズ(写真の裏側)を使用して改善を図っている。ヒータは絶縁物としてアランダムを塗布したヘリカルコイルヒータ(クイックヒータ)を使用(1930中期-)。カソードはシームレス(継ぎ目無し)。ゲッタはST管時代に良く見られた桶型のケメットゲッタ使用(1932年頃からか?)。ベース底にはGPFFCを表示。ガラス頭にELX-C,J MSEを表示(1933年10月?)。このサンプルはヒータは生きているが,カソードの半面のバリウム酸化物が剥離し,管内に散乱,(gm=21<25)/TV7/Uとエミ減となった事故球である。
(3) Cymotron UY-227
Cymotron UY-227 in 1931-32/サイモトロンUY-227 (京都府,辻野泰忠氏寄贈000928) [1fi]
Electode of Cymotron UY-227/サイモトロンUY-227の電極 (京都府,辻野泰忠氏寄贈000928) [5e4]
Base of Cymotron UY-227/サイモトロンUY-227のベース (京都府,辻野泰忠氏寄贈000928) [5e4] サイモトロンは東京電気/現東芝がマツダを名乗る以前のブランド名です。1931-32年頃と思われます。ベース刻印はCYMOTRON/UY-227。電極構造は,カソードが下部支持,グリッド支柱1本,ワイヤー円筒プレート片側支持は初期モデルと変わらないが,電極支持に三角マイカ板を使用(1929-)。ヒータは絶縁物としてアランダムを塗布したヘリカルコイルヒータ(クイックヒータ)を使用(1930中期-)。カソードはシームレス(継ぎ目無し)。当初GE社から輸入。ゲッタはST管時代に良く見られた桶型のケメットゲッタ使用(1932年頃からか?)。ベース底にはGPFFCを表示。また,浮き彫りでCymotron patented Tokyo Electric Co., マツダランプ工場製品/マツダを表示。マツダとあるが,ベース刻印にはサイモトロンを表示しているので,1932年以前の製造となる。このサンプルも生きている,(gm=42>25)/TV7/U。
(4) Matsuda UY-227
(5) DON UY-227
F215 vs UY-227B(超227)
UY-227Bはmu30の傍熱型3極管で,従来のUY-227に変えると高感度になる。K.O.トロンが1931年末頃に作りました(池谷理氏の記述)。1932年8月に東京電気サイモトロンも発表。1932年9月,卸2.16円だった(しかしKOトロンは掲載されていない)。UY-227BはUY-247Bとともに初めてラジオ用の日本独自の球が開発されたといえ歴史的に意義ある球であるという認識が(池谷理氏の受信管物語に書かれている。201Aの時代からNVV-6Aなど日本独自の球はあったのであるが,全国的にポピュラーになった球としては確かに初めての球かもしれない。ただし,UY-227Bは開発後,UY-247Bとは異なり,それ程の活躍を見せずに消えてしまった。高感度ならUY-224で事足りたはずなので,今日では何故開発されたのかが分からぬ球の1つであった。その答えはペントード時代にあった。
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フィリップス日本ラヂオ株式会社はPhilipsのF215(mu15)を1930-31年頃,超UY-227として販売。従来の227はmu9だった。ラジオに使えば感度が上がる!と宣伝した。1932年10月,定価3円。1932年9月,卸2.34円だった。
Philips F215 Photo by Mr. Yoshihiro Tonomura, Tokyo/写真は東京の殿村芳弘氏撮影 |
当時,我が国ではmu30のハイミュー管UX-240が国産化されていましたが,これはUX-201Aの改良球で低能率,直熱型5V管ですからハムや感度の点で検波には使えませんでした。こんな時近代ハイミュー管が現れたので,KO真空管が対抗のため,F215類似の今日,歴史に残るUY-227Bを開発したのでした。UY-227Bはその後,3球ペントードラジオの検波に使われりしましたが,需要はそれ程あったとも思われません。それでも,東京電気はST管も作ったようです。UY-27Bという名称が残っています。これも1941年には廃止されました。
Matsuda UY-227B in 1935?/マツダUY-227B (自蔵) [5e5]
Electode of Matsuda UY-227B in 1935?/マツダUY-227Bの電極 (自蔵) [5e5] 東京電気/現東芝のマツダブランドです。1935年頃と思われます。ベース刻印はマツダ/UY-227-B。電極構造は,カソードが下部支持,グリッド支柱1本,ワイヤー円筒プレート片側支持は初期モデルと変わらないが,電極支持に三角マイカ板を使用(1929-)。ヒータは絶縁物としてアランダムを塗布したヘリカルコイルヒータ(クイックヒータ)を使用(1930中期-)。カソードはシームレス(継ぎ目無し)。ゲッタはST管時代に良く見られた桶型のケメットゲッタ使用(1932年頃からか?)。ベース底にはマツダの浮き彫りで12345を表示。ガラス管壁にマツダランプ工場製品/マツダを表示。このサンプルも生きている,(gm=42>25)/TV7/U。