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2_Jmetal.Japanese Metal |
2_Hsola. N-series, H-series and Sola |
2_Rader. Receiving Tube for Rader |
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4.2 German Type VHF Tubes/ドイツ型VHF管 |
4.3 Lock-in Tube/ロックイン管 | ||||
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RD-5/ UL6306 |
UN-954はUHF用の検波増幅5極管。エーコン(Acorn)管。米国RCAが1934年開発。300MHz以上のUHF用真空管では電極間の電子の移動時間が問題となるため,電極間距離を1mm以下とし,極細のグリッド巻き線を使用し,電極引出し線は放射状に真空管側面に取出し,また上下のガラス球をサンドウィッチして真中で融着している構造である。真空管の形状はドングリに似ている。
我が国では東京電気マツダが米国954を1938年に国産化した(梅田徳太郎)。(1936年に試作(UN-554, 5.5V/0.3A),1939年に販売開始)。早くからレーダー用の受信管として注目され,陸軍海軍ともにその確保に奔走した。住友通信工業(日本電気)もME-622Aの名称で1939-40年頃製造開始し,1941年頃には軍の要請で生産拡大した。戦時中,我が国ではV, UHFに使える真空管は他に無かったので,電波兵器としてのレーダーの受信部,航空機の電波高度計,射撃用電波探信機,電波探知機,VHF測風ゾンデなど幅広く需要があり,供給が追い付かなかった。軍の要請で川西機械製作所(後の神戸工業)が1943年*,理研真空(1943年9月から日立)が1942年*に,東北電気無線(後のロダン)が1944年*なども作った(*小泉直彦氏による)。
エーコン管は作り難い(量産し難い),機械強度が弱い,寿命が短いなどの弱点に加えて,我が国では100MHz以上で満足な性能が得られないトラブルが続出し大問題となった。終戦間際にゲッタフラッシュ方向の管理が再認識されたが,改良は間に合わなかったようである。ちなみに米国ではUN-954のミニアチュア版として9001が1943年頃開発され,国内では戦後の1951年頃東芝により国産化されている。
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Base |
Eh |
Ih |
Eb V |
Esg V |
Eg V |
Ib mA |
Isg mA |
rp M ohm |
gm mA/V |
Cgp pF |
Ci pF |
Co pF |
954 GE ETRM-15P 1973 |
5BB |
6.3 |
0.15 |
250 90 |
100 90 |
-3.0 -3.0 |
2.0 1.2 |
0.7 0.5 |
1.000 1.000 |
1.4 1.1 |
0.007 |
3.4 |
3.0 |
UN-554 |
|
5.5 |
0.3 |
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UN-954 Tos51 ME-662A (Acorn) |
|
6.3 |
0.15 |
250 90 |
100 90 |
-3 -3 |
2.0 1.2 |
0.7 0.5 |
1.5 1 |
1.4 1.1 |
0.007 |
2 |
3 |
Det |
Ebb V |
Esg V |
Eg V |
Ib0 mA |
RP kohm |
Rk kohm |
UN-954 Tos51 |
250 |
100 |
-6 |
0.1 |
250 |
20-50 |
Amp |
Ebb V |
Rsg Mohm |
Ek V |
Ib mA |
RL kohm |
Vout Vrms |
mu |
UN-954 Tos51 |
250 |
1 |
2.1 |
0.5 |
250 |
40-50 |
100 |
Sumitomo Shinkuukan (NEC) UN-954/住友真空管 (愛知県 西田弘氏寄贈)。ガラス管内面にはカーボンスートが施されている。この球の下部には赤のペイントで「不良」と記されている。
UN-955はAcorn管でUHF用の検波増幅3極管。東京電気マツダが米国955(RCAが1934年開発)を1938年に国産化したもの(1936年に試作(UN-555, 5.5V/0.3A),1939年に販売開始)。その後の製造メーカ,製造状況,用途はUN-954に同じ。米国ではミニアチュア版としては9002が1943年頃開発され,国内では戦後の1951年頃東芝により国産化されている。
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Base |
Eh |
Ih |
Eb V |
Eg V |
Ib mA |
mu |
rp k ohm |
gm mA/V |
RL kohm |
Po W |
Cgp pF |
Ci pF |
Co pF |
955 GE ETRM-15P 1973 |
5BC |
6.3 |
0.15 |
250 180 90 |
-7.0 -5.0 -2.5 |
6.3 4.5 2.5 |
25 |
11.4 12.5 14.7 |
2.2 2.0 1.7 |
- 20 - |
- 0.135 - |
1.3 |
1.0 |
0.4 |
UN-555 |
|
5.5 |
0.3 |
135 |
-4 |
5 |
15 |
1.5 |
0.75 |
|
|
|
|
|
UN-955 Tos51 TE-661A (Acorn) |
5BC |
6.3 |
0.15 |
180 |
-5 |
4.4 |
25 |
12.5 |
2.0 |
|
|
2 |
1 |
0.7 |
C-class Amp |
Ebb V |
Eg V |
Ib mA |
Po W |
955 GE ETRM-15P 1973 |
180 |
-35 |
7.0 |
0.5 |
Grid Det |
Ebb V |
Rg Mohm |
Cg pF |
Plate Det |
Ebb V |
Rg V |
Ib mA |
UN-955 Tos51 |
45 |
1.0-5.0 |
250 |
UN-955 Tos51 |
180 |
-7 |
0.2以下 |
[Updated in 1998.8.16]
規格にないUN-955A。戦時中,UN-954が100MHz以上で満足に増幅しないことが問題となり,電気試験所の清宮博氏らがエーコン管の改良研究を行い,実際は東芝電子工業で昭和20年1月に改良を行ったという記録がある。これはUN-954のゲッタ膜に関するもので,上部にフラッシュさせる際に,(1)リード線をガラス管で巻く,(2)熟練工がリード線の左右に指向性を付けてフラッシュする,(3)リード線にマイカ板で遮蔽する,の3通りを試み,(3)でようやく性能が確保できた,という研究である。ここに示すUN-955Aは,カタログにない規格の球であるが,ゲッタ・フラッシュと関係している。
UN-955Aの表と裏。カメラの焦点距離を無視して撮影したので,これ以上は良く見えない。表は管名がうっすらと見える。裏は戦時中末期のマツダのロゴ(丸で囲った2枚羽のプロペラ・マーク)が見える。他に,良く分からないマークが1つある。
UN-955Aの特徴は電極上部にプレートと繋がる箱とコイルがあり,コイルはトップ端子に繋がっている。何だかわからない。ゲッタ加熱用のコイルなのだろうか?詳しく言うと,電極上部にプレートと同電位のシールド箱(上面と横の1面だけ解放)があり,この中に直径1mm程度,6回巻き位のコイルが横に寝ている。コイルの端はシールド箱に,もう1方はトップ端子に繋がっている。プレートは電極下部にも引き出されている。したがって,下部のプレート端子とトップ端子に高周波を通電するとコイルが加熱して,ゲッタが上面にフラッシュするというような感じである。シールド箱はゲッターフラッシュの範囲を決めるのだろう。
このサンプルはヒータが切れており実は死んでいる球。今,改めて調べてみると,下部のグリッド引き出し線(ジュメット線)部分のガラス接合部分が一部剥離しており,少し真空漏れもあるかもしれない。ガラス面のゲッタはほとんど残っておらず,うっすらと見えるだけ。
「がーさん」から試作品という指摘を受けました。確かにトップ電極は,いかにも不器用だ。上部はかなり細い銅線がひょろりと引き出されているように見え,私が金属板を不器用にハサミで切って巻き付けましたという出来ばえである。
VHF用の5極管。住友真空管(戦時中の日本電気(NEC))が陸軍の要請により?1941-42年頃開発*。品川電機も作った。ME-664Aの名称は日本電気の銘々制度による。エーコン管の製造上の問題,歩留まりの悪さ,を解決するために構造に手を加えた球と位置付けられる。エーコン管はリード線のガラス封止など製造が難しい。既に技術的に確立していたボタンステムを利用して引き出し線を一旦ボタンステムから取り出し横に引き出すことで歩留まりを改善しようとした球。エーコン管は脱着の際にガラスにひびが入りダメになることが多いが,ベース付きなら強度的にも救われる。ME-664Aは周波数特性を多少犠牲にして大きいガラス球にドイツ風の袴をつけてエーコン管と同じ向きに引き出し線をつけた。*開発時期はNECがエーコン管量産開始(1941年)後,歩留まりの問題を生じた後とすれば1942年頃なのではないかと考えられる。
中身の電極はエーコン管とほぼ同じで,大塚久氏によると,UN-954と類似しているがカットオフバイアスが-60V(実測値)と深いバリアブル・ミュー(可変増幅率5極管)とのこと。米国のバリアブル・ミュー管956の国産版かもしれない。しかし,高周波特性はやや劣る。米国でも戦時中にはエーコン管からドアノブ管に,そして作りやすいオクタル・ベース付きのWE-717A/VT269などを経て,最後にミニアチュア管6AK5などに移行している事実が示すように,ME-664Aの形態が日本の技術力の無さを示すというよりは,エーコン管やドアノブ管のような形態自身に無理があったといえる。
このME-664Aは陸軍のレーダー,65-83MHzの「超短波警戒機」に使用された。ここでは,住友通信工業の球が使われ,レーダーの受信部の高周波部にはME-664AJが4本使われ,中間周波数にはMC-658A(NTT名ではCZ-511)が6本,整流管KX-5Z3,同期受信機も同じ構成,観測機はMC-658Aが4本,ブラウン管SSE-120G。DC-762A(KX-142), UZ-79, UY-76, UZ-6C6, UZ-42だった。
|
Purpose |
Base |
Eh |
Ih |
Eb V |
Esg V |
Eg V |
Ib mA |
Isg mA |
mu |
rp Mohm |
gm mA/V |
ME-664A (Spec Acorn) |
VHF Det, Amp & Osc |
Fig 50 |
6.3 |
0.15 |
250 |
100 |
-3 |
2.7 |
- |
1200 |
0.8 |
1.5 |
UN-954 |
RF Amp & Det |
1;h, 2;g2, 3;g3, 4;h, 5;k top=p, bot=g |
6.3 |
0.15 |
250 90 |
100 90 |
-3 |
2.0 1.2 |
0.7 0.5 |
|
1.5 1.0 |
1.4 1.1 |
956 |
RCO RF Pentode |
|
6.3 |
0.15 |
250 |
100 |
-3 |
6.7 |
2.7 |
|
0.7 |
1.8 |
Sumitomo (NEC)
Shinagawa
RE-3はHFからVHF用の5極管。日本無線JRCが海軍の要請により1940年3月に開発。レーダーの中間周波数増幅等に使われた。「小型管にして航空無線機に使用す。(田尾司六,解説真空管)。」ドイツTelefunkenの軍用の特殊な球を原形に,これを国産化改良したもの。文献にはSF 1A(電池管)の改良形とあり,またRV12P2000ともいわれるが,どちらも同じベースで,特性は似ている。欧州ドイツのUボートに搭載された無線機器には1台当たりRV12P2000が12本使用されていた*。
中身は単なる5極管で米国6SJ7クラスの球に過ぎないが,ボタンステムを使用し,さらに電極引出しをエーコン管の様に側面から行う特殊なソケットを用いることにより,電極間容量を減らす構造としてVHFまで使用できる真空管だった。しかし,特殊な構造が災いして専用の製造設備が無いと作れない,また大量生産はできない。海軍は真空管最大手の東京電気(東芝)にも製造を依頼し,次に紹介するRE-3類似のRC-4が誕生。しかし製造量は多くならなかった。海軍は願いがかなわず,方向転換?レーダーの高周波段には使えないが,少なくとも中間周波数以下の増幅に使えるもっと大型の構造を持つ万能管へと進んだ。日本無線はRV12P2000のgmを倍にしたドイツTelefunkenの万能目的のST管NF-2を欧州ベースのまま国産化(FL2A-05A),さらに国内標準のオクタルベースに直したNF-6を作り,次にT管ガラスにアルミシールドを付けてオクタルベースとしたスマートなFM2A05Aを開発。
レーダー徒然草に「受信管 RE-3 は、12号・11号・21号で受信機の第1・第2中間周波増幅、検波、低周波など 1機に9本使われていた」と紹介されている。
|
Purpose |
Base |
Eh |
Ih |
Eb V |
Esg V |
Eg V |
Ib mA |
Isg mA |
mu |
rp |
gm mA/V |
RE-3 (1940) Special** |
VHF (like RV12P2000) Telefunken SF-1A |
1:h, 2;h, 3;p, 4;g2, 5;g3+IS, 6;k, top=g1* |
6.3 |
0.23 |
200 |
100 |
-2 |
4.0 |
1.5 |
2600 |
- |
2.0 |
RV12P2000 |
indirect heated, Pentode, RF Amp |
(G6A) 1:h, 2;g2, 3;p, 4;g2, 5;k, 6;h, top=g1 |
12 |
0.075 |
210 |
75 |
-1 Rk= 900 ohm |
2 |
0.55 |
|
1 Mohm |
1.5 |
SF1/A |
indirect heated, Pentode, RF Amp |
same |
1.9 |
0.5 |
220 |
140 |
-2 Rk= 800 ohm |
2 |
0.5 |
|
1.5 Mohm |
1.5 |
RV12P2000, SF1/AはB.B.Babani, International Radio tube encyclopedia, Bernards Publisheres Ltd. London, 3rd edition Nov. 1958
Valvo RV12P2000 hashimoto 040817
RC-4はVHF用の5極管。東芝が海軍の要請により1941年頃開発。海軍はどうしてもドイツ風の球RE-3の増産が図りたく,類似管で妥協,しかしボタンステムとドイツ風のベースを要求し,東芝はこれまでの製造設備でできるものを作ったと思われる。ヒータ規格他,電気的特性も,外形もやや大きくなるのは,有り合わせの材料と技術を使用したことによる?試作は手仕事だから可能だが,量産するにはドイツ風真空管に特化した製造設備が必要。製造は進まず,ほとんど実用にならなかった?RC-4のその後,どうなったかは資料はない。しかし,今日サンプルもほとんど無く,入手できないことから,戦後大量放出される程生産されることは無く,ほとんど活躍できずに終わったと思われる。
|
Purpose |
Base |
Eh |
Ih |
Eb V |
Esg V |
Eg V |
Ib mA |
Isg mA |
rp |
gm mA/V |
Po W |
RC4 (1941-42) Special |
VHF Pentode =RC4 (like RV12P2000) |
|
6.3 |
0.3 |
250 |
100 |
-2.0 |
5.0 |
1.5 |
|
0.3? (3の誤りか) |
|
VHF用の双5極管(UL-6306)。東芝が海軍の要請により1942年から1943年頃開発した。海軍名はRD-5。この球もエーコン管の不良対策の産物と位置付けられ,高周波段のゲイン不足対策として,ミキサーにゲインを持たせ中間周波数段に引き継がせようとしたと考えられる。中身は東芝のHシリーズ(1941-42年開発)のHigh gm管RH-8を2個封入したもの。同一ガラス容器に電極を2個封入し,VHF帯の増幅・周波数混合に使用する際のリードインダクタンスを極力低減できるようにした球。RH-8自身,Cgpが大きく活躍できなかったが,RD-5/UL-6306は内部で双5極とし,電極管容量が差程問題とならないミキサー用に使用することでHigh gmだけが生かせる。ベース部にはボタンステムを用いており,ベースピン配置はロックイン管(Sylvania-Philcoのロクタル管)であるが,ベース・シェル無しである。足が8本であるため,ユニット1と2のカソードとg3の引き出し線合計4本は共通としベースで1本にまとめられている。グリッドは頭に出してある。ヒータは6.3V用2本を並列または直列とし12.6Vの他6.3Vにも対応している。
(UL6306)
6.3V/1.0A- 12.6V/0.5A
pin=(1:h, 2:2p, 3:2g2, 4:K+g3, 5:hc, 6:1g2, 7:1p, 8:h)
(参考)RH-8
12V, 0.25A, Cgp0.04pF, Cin9pF, Cout6.5pF
250V, 150V, 160ohm, 10mA, 1.6mA, gm8.0mA/V
岡田章さん/mixseeds(がーさん)の「真空管標本箱」
にとても詳しい記事が掲載されています。ぜひご覧下さい。