ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

Radio Tubes After WWII/戦後のラジオ球

TV Tubes/テレビ球

Sweep Tubes/水平偏向出力管

Beginning Time

Japanese

American

European

Root of Sweep Tubes


Page-Hor2jp. Beam Deflection Power Tubes for TV Horizontal Amplifier/TV用水平偏向出力管

2 Part 2 Japan Oriented Sweep Tubes/2. 日本独自の球 (日本のJIS名/CES規格のビーム出力管)

2nd Edition (2006.11.23)-(2010.10.2)-(2011.9.24)

HomePageVT/TV_Hor2JP.html

Note: File name "Hor2JP" was changed to "TV_Hor2JP" at (2011.9.24).


12G-B3

6G-B3A, 17G-B3

12G-B3B

Toshiba

NEC

Mitsubishi, Matsushita

TEN, Hitachi

Box1, Box2

Toshiba, NEC, Hitachi, Box

Not Yet

6G-B6, 25G-B6

6G-B7/ 12G-B7

6B-B14/12B-B14 /17B-B14

16G-B16

17C-B24

12H-B25

16C-B28

Toshiba, NEC

Toshiba, NEC, Hitachi, TEN, Mitsubishi

Toshiba, Matsushita, Futaba

Hitachi

Mitshubishi

Toshiba

Toshiba


12G-B3 family

12G-B3

白黒TV水平偏向出力管。開発者東芝1956年。トランスレス600mAシリーズ,14インチ90度偏向用。欧州系25E5(PL36)系第1弾。

History and Characteristics/原型・構造・特性

12.6V,0.6A,,GT29-12A,6AM()

100V,100V,-7.7V,100mA,7mA,5.3k,14mA/V,μ6,

550V*/10W,200V/5W,Ik150mA,Pb+Psg=13W,Ehk200Vac,100Vdc

原型は欧州系のPL36/25E5(1951〜1954年頃,Mullard/Philips社)で,国内トランスレスTV用に600mA系としたもの。原型はパービアンスが高く低い電源電圧でも十分な偏向出力が得られる球であるが,当初600mA系は作られていなかった。このため,ヒータを米国系の12BQ6GTBと同じものに取り替えた品種を新たに作り,JIS/CES登録したもの。したがって,類似管というよりは同等管である。原型の系列には6.3V(1.25A)管のEL36/6CM5(国内では始め松下,後に日立も生産)があったため,「6G-B3」は作られなかった。450mA管にも該当する球はなく,国内で450mAが普及しだした1960年代始めに17G-B3(16.8V)がやや遅れて発表された。なお,原型の系列でも12G-B3の発表よりだいぶ後に600mA管(12.8V)としてXL36/13CM5が発表されているが,国内では使用されなかった。

 12G-B3の電極構造は原型と全く同じに見える。開発元の東芝は1960年代になって,300mA系に対応する品種として25E5(PL36)も生産したが,両者の作りは全く同じである。PL36/25E5は同時代の米国球6BQ6-GTと比べパービアンスが遥かに高いが,その秘密は何だったろうか?。後年のNEC(新日電)の記事によると,12G-B3のプレート内面にはサブ・プレート(・フィン)がプレート枠材にサンドウィッチされ,カソードに向かって突き出た構造になっているそうである。このサブ・プレートは2次電子のスクリーンへの逆流防止に効果があり,よけいにプレート電流を稼げる仕組である。ただし,パービアンスが高い分だけ肩異常も起きやすい。しかし,初期の時代のセットはUHFコンバータが無かったためスニベッツ対策は余り問題にならなかったのである。

 12G-B3の最大定格であるが,東芝(マツダ)は当初原型と全く同じに発表した(設計中心Eb550V10W, Esg250V5W, Pb+Psg=13W)。ところが,開発直後に参入したNEC(新日電)は最大スクリーン電圧だけ50V少ない200Vと発表し,また後に東芝は最大定格をEb600V,Esg200Vに訂正している。また,悪いことにPL36/25E5の最大プレート電圧は松下や欧州系メーカでは250Vと発表しておりこれが正式の規格である。これら混乱は最大定格の定義に関する米国流と欧州流の違いに起因しており,12G-B3とPL36/25E5の違いを意味するものではない。

Model/モデル

 12G-B3のサンプルには各社により幾つかのモデルがある。まず,特筆すべきは,私が所有するサンプルではNEC(時代の異なる3本)だけが他社とかけはなれて20〜30%程パービアンスが高いことだ。この傾向は同族の12G-B7にも言えることで,NECは規格外のチョンボしているとしか思えない。球の作りに関しては次の通り。開発元の東芝(マツダ)は開発の翌年(1957年)の写真は既にステム構造にはボタン・ステムを用いており,全メーカともピンチ・ステムの例はない。電極とベース・ピンを接続するリード線の引回しは,放熱を助けるためのNCピンやICピンの利用方法を巡り各社に差異が見られる。また,ベース・ピンの本数にも違いが見られ,東芝は一貫してNCピンを欠いたベースを用いているのに対して,NECは初期の頃全ピン付いたベースを採用していた。NECによれば,全ピン・ベースのモデルでは,NCピンも放熱用に配線しているため一見繋がっているように見えるが,実はベース内のガラスの根元でリード線を切り,ベース・ピンとは電気的に絶縁し,規格を保っているという話。ガラス表面や電極支持マイカ板上で起る放電現象に関しては,シールド・リングが有効と分り,後期の製品には酸化クロムの帯がGTベース内面やガラス表面に塗付されたものが各社とも作られた。

Background/背景

TV(白黒)用水平偏向出力管として,国内では初め米国系のUY-807や専用管6BG6-Gが使われたが,ブラウン管の偏向角が70度から薄い90度に発展するとともに,それらの後継である米国6BQ6GT系(6G-B6の項参照)や欧州で発展したPL36/25E5系が国産化され,普及しはじめた。さらにトランス・レス時代を迎えたが,商用電源電圧(100V)が米国(117V)あるいは欧州各国(220V)に比べて低く,倍電圧整流でも220V程度の+B電圧しか得られないため,米国系12BQ6GTの場合十分な偏向出力が得られず苦肉の策として+Bだけにトランスを使用したセミ・トランスレスTVなどが出現した。これに対して,欧州PL36/25E5系は高感度,高パービアンスなので低い+B電圧でも十分な出力を得ることができたが,ヒータが300mA系(PL36/25E5),やや遅れて6.3V系(EL36/6CM5)が発表されただけで,600mA系は,当時,欧州では需要が無いため発表されていなかった。参考までに述べると,600mA系は後にXL36/13CM5として,また150mA系もHL36/50E5として発表され,1960年代後半には,スニベッツ対策としてG3を分離した50JY5も発表された。そこで,国内では完全トランスレス化のために,PL36/25E5を600mA化した日本独自の12G-B3が開発されたのである。また,その少し後には専用のダンパー管12G-K17も日本独自に開発された。

Today/その後

12G-B3は国内白黒トランスレスTV(14インチ,90度偏向)の標準管として一世を風靡し,東芝,NEC(新日電),日立,松下,TEN,三菱,双葉など各社より生産された。またOEMではシャープ(日立)などがあった。TV用として普及したため,その保守には1本づつの購入が原則であり,今日国内に大量のストックを探すのは難しい。

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12G-B3 Toshiba/東芝

[Yb2]

Toshiba 12G-B3s, Part 1, from left, June 1961, August 1961 and August 1963. 東芝製12G-B3 その1。左から順に,モデル1(1F,1961年6月製),モデル2(1H,1961年8月),モデル3(3C,1963年3月)。マツダ時代の最初期(1956年製)のモデルは1957年の文献に写真が掲載されているが残念なことに手持ちは無い。

モデル1(1F,1961年6月製)は1D,1Eとも同じ造りで,最初期のモデルに非常に近い。

モデル2(1H,1961年8月),シェル内の熱遮蔽用マイカ板がなくなった。ステムとガラス管は円周状に配置したバーナーにより一気に接合する技術が採用され,必要なくなったため。ガラス管壁にあったToshibaのロゴとロットはベース印字に変わった。このあたりから,ロットの前に(F)という意味不明の印が付き,例えば,(F) 1Hという具合に表示されるようになった。gm=66。

モデル3(3C,1963年3月),ガラス管頭はやや平坦になった。G1フィンが灰色,コの字型のやや小さいもの(4mm)に変更され,G1支柱も銅色になった。マイカ板は絶縁対策のためマグネシアを塗布した白色のものになった。ボタン・ステムのヒータ・ピンのリード線の根本にも白色のマグネシアが塗布された。gm=64

[Yb2]

Toshiba 12G-B3s, Part2, from left, 1960s, 1960s and Jan 1969. 東芝製12G-B3 その2。モデルは(1つ星その1),(1つ星その2),(9A,1969年1月)。

モデル4(1つ星その1,製造時期不明):ガラス管頭が扁平になった。電極はモデル3Cと変わらない。ゲッタ・リングの支持金具がL字型になった。gm=62。球のロット表示はセット・メーカに出荷した分だけのようだ。東芝が直接販売店に売り出した球にはロットが表示されていない。始めは無印だったが,後に星1つが表示されるようになった。新品の場合は箱にロットに相当する記号がある。

モデル5(1つ星その2,製造時期不明),コスト削減のため,G1フィンがなくなる。G1,G2支柱が銀色になる。マイカ板は上下2枚とも周囲の爪が左右2個ずつなくなる。ガラス管壁の管名表示用の8角形枠が横長になる。gm=55。このサンプルはガラス管が傾いたままベース・シェルに取り付けられている。自動半田付けの成果?

モデル6(9A,1969年1月)。上のモデルと同じだが,ロットが表示されている。gm=59。

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12G-B3 Nippon Electric Corporation

 [Yb3]

NEC 12G-B3s, Part 1, from left, June 1960 and two January 1961 (L00 and K09). NEC(新日電)製12G-B3 その1。モデル1(D00 06, 1960年6月),モデル2(L00 11, 1961年1月),モデル3(K09 11, 1961年1月)

モデル1(D00 06, 1960年6月)ガラス管頭は丸い。プレート側面に穴なし,G1にU字型黒化フィン。G2に黒化板状フィン。G1,G2支柱は銅,マイカ板は白色(マグネシア処理),マイカ板上のプレート支柱と他の電極支柱間の切り込みは直線。ゲッタは角型ゲッタ2個。天井にゲッタ遮蔽用透明マイカ板,足は8ピンあり,ステム内では全て電極に接続されているが,うち3本はピン内で切断されており非導通(規格を満足するため)。ベースには大きな白文字でNEC,また菱形にNECロゴもある。gm=57

モデル2(L00 11, 1961年1月)プレート側面に3つの穴,穴から見えるビーム・プレートは金属色。マイカ板は透明のものに逆もどり,プレートと他の電極間の切り込みは円弧に改良。gm=63

モデル3(K09 11, 1961年1月)ゲッタはドーナツ型に変更,天井マイカが不要に(フラッシュの指向性向上)。その代わりに金属シールド板を付ける(プレートと同電位,PL36/25E5の仕様)

[Yb3]

NEC 12G-B3s, Part 2, January 1961 and December 1969. NEC(新日電)製12G-B3 その2。モデル4(K19 21,1961年1月),モデル5(028 9Z,1969年12月)。

モデル4(K19 21,1961年1月)。天井マイカに戻る。ビーム・プレートはプレート材料と同じ灰色になる。マイカ板はマグネシア処理。gm=60

モデル5(028 9Z,1969年12月)。これはだいぶ後の球だがほとんど変わっていない。箱入り新品(1200円)。G2フィンは省略。G2支柱は銀色に。ビーム・プレートはプレート材料と同じ灰色。プレート穴から見えるビーム・プレートは中央の穴だけが内部が見える。ベースにあった菱形のNECロゴはなくなる。gm=82。gmが高いのは,この頃はわざと高めに作り出荷していたため。

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12G-B3 TEN and Hitachi

[Yb3]

Kobe Industry TEN 12G-B3(1961), Hitachi-Sharp 12G-B3(1961) and Hitachi 12G-B3(-). TEN製と日立製12G-B3 。左より,神戸工業TEN(1LV, YI-6 1961年),シャープ(日立製 ベース底1-11,1961年11月),日立(無印,後期)。

神戸工業TEN(1LV, YI-6 1961年):プレートは横にリブ3つ付き。プレート側面には横長の穴2つ。角ゲッタ2個に天井マイカ。g1フィンは大型灰色U字型。ヒータは古いヘアピン(他社はレス用はコイル型を採用)。gm=71

シャープ(日立製 ベース底1-11,1961年11月):プレート側面に穴4つ。g1フィンは黒色コの字型。g1,g2支柱は銅。ドーナツ・ゲッタ,ヒータはコイル。gm=61

日立(無印,後期):g1,g2支柱は銀色,ガラス管下部の表面に(ベース・シェル付近)に放電防止用の酸化クロム・リングあり(水ふきで取れてしまった)。gm=55

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12G-B3 Mitsubishi and Matsushita

[Yb3]

Mitsubishi 12G-B3s(1964? and ?) and Matsushita 12G-B3(1968?). 三菱製と松下製12G-B3 。左より,三菱(4T T)赤箱,三菱(AP,年代不明)青箱,松下(BN P,1960年代末)

三菱(4T T)赤箱,東芝の1961年頃のモデルと同じ。東芝製かもしれない?(しかし三菱はその頃専用の工場を完成させていた)。g1,g2支柱は銅。gm=64。

三菱(AP,年代不明)青箱。g1,g2支柱は銅に銀色被覆。gm=67。

松下(BN P,1960年代末),同社のPL36/25E5と同じモデル。コイル・ヒータ。gm=63

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12G-B3 Toshiba Box1/箱1

[Yb3]

Toshiba Boxs and 12G-B3 in Last 1960s/東芝製12G-B3の箱と中身(1960年代末)。左より,開封前,開封後と中の紙製サポート

左の写真。東芝製12G-B3の未開封の箱が2つありました。箱の上にはともに12G-B3,定価1,200円とゴム印が押してあります。箱の底の記号には左の箱は(4CF11P3 つ11),右は(4CF11P3 め11)で,ぐにゃりと曲がっています。この時代の箱はセロファンがかけられていましたが,30年もたつとセロファンは縮んでしまい,このようになりました。

中央の写真は曲がった箱を開封した様子。右の写真は裏返してみた様子。中身は(1つ星時代その1)と同時期で,おそらく1960年代末の箱。球を挟んでいる薄いボール紙は,M型に折り途中に切り込みを入れたもので,球の頭と足だけをこのように挟んでいます。このタイプは機械的な変形に弱く,もう1つの箱の球は未開封なのに中でコロコロと動きまわっています。1960年代初頭の黄金時代までは,もう少しましな方法,底の部分にはベースの形に丸く切り抜いた,また上の部分にはトップ・キャップの形に丸く切り抜いた四角いボール紙がはめ込まれていました。それがこの時代は簡素化され,梱包が悪くなりました。

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12G-B3 Box2/箱2

[Yb3]

Boxs of 12G-B3s, From left, Matsushita-National, NEC, Mitsubishi old and new. 各社の12G-B3の箱。左から松下(1969年頃),NEC(新日電,1969年から),三菱(新),三菱(旧,上蓋は壊れている)。松下は発泡スチロール製の中箱に球がぴったりと入っています。その他はMT管のマウントに見られるのと同じ方法,細長いボール紙を折り曲げて,それぞれの中央に切り込みを入れたものでマウントしています。

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6G-B3A

白黒TV水平偏向出力管。12G-B3の改良版。トランス付き用。東芝1957年。

History and Characteristics/原型・構造・特性

6.3V,1.2A,,GT29-12A,6AM,100V,100V,-7.7V,100mA,7mA,5.3k,14mA/V,μ6,550V*/13W,200V/5W,Ik150mA,Pb+Psg=?,Ehk200Vac,100Vdc

 6G-B3Aは12G-B3の改良型で,ガラス容器と電極構造をそのままに最大定格のうちプレート損失だけを(10Wから13Wへ)引き上げたもの。改良に当るためCES命名法に従ってAが付けられた。プレート損失の引き上げは,プレート材料の変更による放熱の改善が図られていると思われるが,これを証明する資料はない。プレートはアルミ・クラッド鉄。

原型の12G-B3はフィリップス系EL36/6CM5,PL36/25E5の600mA管として誕生したため,6.3V管「6G-B3」の存在理由は無く作られなかったが,この「6G-B3A」は最大定格を引き上げたため,ようやく別名で販売できた。この他,開発元の東芝(マツダ)は,6G-B3Aでは,同時期に開発した6G-B6と共に,長期的な寿命に効果のあるボタン・ステム化を図ったと説明している。しかし,原型の12G-B3でも行われいるように思える。後続のNEC(新日電)は1958年に発表し,オーディオ用にペア・チューブも市販,トランス付きpp動作例を発表した。

「12G-B3A」はNECのマニュアルの他,東芝の資料に見られるが市販されていない。6G-B3Aの開発後,東芝はAのサフィックスの無い450mAシリーズの17G-B3を発表しているが,12G-B3Aや17G-B3Aを公式に発表してない。NECのデータ・ブックにはしばしば,6(12)G-B3(A)なる表現があり,まぎらわしいが,12G-B3と6G-B3A以外は販売されていない。データ・ブックの見出しには,12G-B3Aという項目も見られるが結局販売されていない。東芝系も実情は同じで,しばしばこの名前が登場する。

 手元にある6G-B3Aと従来の12G-B3,17G-B3のサンプルを比較する限り,外観上は全く同一に見え,最大定格に差があるような気配は見えない。12G-B3/17G-B3は6G-B3Aの開発後も長期に渡り生産され続けたことを考慮すると,6G-B3Aだけに電極材料に特別なものを使用したり特別な製造工程を経ているとは考えにくい。したがって,6G-B3Aの開発とともに12G-B3/17G-B3系の最大定格もうやむやのうちに引き上げられたと見るべきである。

Today/その後

東芝,NEC,日立,TENなどで生産された。トランス・レスTV用の12G-B3に人気が集中したこと,プレート損失の僅かな増加はたいしてメリットにならず,また大型化したブラウン管用には後に同特性で最大定格の大きい6/12G-B7が開発されたこと,さらには6.3V管には米国系の球が豊富にあったこともあり,さほど普及しなかった。NECはグリーン・シリーズと称してHi-Fi用のペア球を販売し,自らこれを用いたアンプを販売したが,さほど普及しなかった。今日でも,まとまったストックが見つかることがある。

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17G-B3

6G-B3Aは12G-B3の6.3V管,17G-B3は450mA管です。公式には6G-B3Aだけは最大定格が高めに発表されており,その600mA対応版はウオームアップ・タイムを規定した12G-B3Bです。しかし,実際には12G-B3/17G-B3もうやむやのうちに定格が引き上げられ,中身は同じだったと思われます。表から見える電極材料は同じようです。もし,明確な違いがあるとすれば,6G-B3Aにはスクリーン・グリッドにカーボン被覆がしてある位でしょう。

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6G-B3A Toshiba and NEC

[Yb4]

Toshiba 6G-B3A(1962-1963) and NEC 6G-B3As(1963 and 1968),東芝とNEC(新日電)2種。

東芝(球は無印,1962,3年頃) 箱入り新品(4CF1P2 ね10),同社の12G-B3(3C,1963年3月)に似ている。ただし,マイカ板やボタン・ステムのヒータ・ピンにはマグネシアが塗布されていない。ヒータはストレート(ヘアピン)。gm=66

NEC(470 81,1968年1月)箱入り新品(261 ND),同社の12G-B3箱入り新品(028 9Z,1969年12月)と似ているが,G2支柱はまだ銅。ベースのNECロゴは黄色。菱形マークはない。ヒータはストレート(ヘアピン)。gm=88。

NEC(750 16, 1971年6月)中古,ベースのNECロゴは白。gm=84

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6G-B3A and 17G-B3 Hitachi

[Yb4]

Hitach 6G-B3As(1960 and 1965) and Sharp-Hitachi(1968). 日立製6G-B3A2種と,シャープ/日立製17G-B3

日立(ベースに010,上部マイカにGニ6,1960年10月),中古,旧形式で角型ゲッタ2個,天井マイカがある。g1,g2支柱は銅。ヒータはヘアピン型。gm=54

日立(51,1965年1月),新品箱入り。ドーナツ・ゲッタ。g1,g2支柱は銀色。ガラス管下部表面に銀のリングあり(放電防止),gm=61

シャープ17G-B3(日立)(810,1968年10月?),中古,ガラス管下部表面に銀のリングあったが磨いたら落ちてしまった。ヒータはコイル型。g1,g2支柱は銀色。gm=51,g1,g2間の絶縁劣化。

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6G-B3A Boxs

[Yb4]

Boxs of 6G-B3As, from left, Toshiba, Hitachi, NEC and Futaba. 箱。いずれも定価1200円。左より,東芝,日立,NEC(新日電),双葉。

東芝は(4CF1P2 ね10,球は無印),箱内部は四角の紙枠にベース・シェルとトップ金具をはめ込む穴が空いており上下で挟み込む形式。1963年頃はこの形式だった。先に紹介した1つ星の箱よりも少し大きい。

NECは1950年代末から1969年まで使用した箱。

双葉電子工業の箱。保守用に販売されていたもの。中身は入ってなかった。

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12G-B3B

 

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6G-B6

白黒TV水平偏向出力管。東芝1957年。NEC(新日電)1958年(1)。米国6BQ6系第1弾。まず6.3V管が作られ,後にレス用の600mA,300mAが作られた。

History and Characteristics/原型・構造・特性

6.3V,1.2A,GT29-12A,6AM,250V,150V,-22.5V,65mA,2.4mA,6mA/V,600V/11W,200V/2.5W

 米国6BQ6-GTB系の完全コンパチ球として開発。ステム構造と外形だけが異なる。NEC(新日電)の説明では,従来のピンチ(つまみ)・ステムをボタン・ステムに改良し高熱によるガラス浸食を防ぐとともに,トップ・プレート・キャップの温度を下げるためガラス管長を長くしたとある。しかし,本当の狙いは,同時に生産していた12G-B3/6G-B3A系の球と外囲器やベースを共通化して,生産の効率を上げるためだったのではないか?と思われる。もっとも,その後米国系6BQ6系は名称を変えずに全てボタン・ステム化してしまった。その後の球の発展の歴史では,米国,日本を問わずこの程度の改良では名称変更は見られない。例えば東芝の6V6-GTは旧東芝マツダ時代のピンチ・ステムをボタン・ステムに改良し,ガラス管の形状を若干変更しても同一名称を通している。

 6BQ6GTB/6CU6系の特性に関してであるが,国産球(東芝)は米国球に比べてパービアンスが高いなど微妙な違いが知られている。これは,おそらく1959年頃と思われる。東芝6G-B6は,1958年のマツダ・ブランド時に,プレートの厚みは7mmだったが,1959年以降の東芝ブランドでは,何とプレート厚みを9mmにし内部にサブ・プレート・フィンを付けたモデルに切り換えている。また6BQ6GTB/6CU6のモデルも同様に実施している。このプレート材料はまさに6G-B3A/12G-B3などと同じものだったのである。

Today/その後

東芝,NEC,日立などで生産された。国内各メーカは国内向けに6G-B6という品種を作ったにも関わらず輸出向けに6BQ6/6CU6系も生産するという非効率的なことを続けた。国内では6G-B6系は一時期一世を風靡しかけたが,12G-B3系の台頭,それに続く14インチ白黒TVの衰退とともに,国内需要が無くなり比較的早く生産が打ち切られた。東芝はまずトランス・レスの12/25G-B6系を1962年頃までに廃止,さらに6G-B6も1963年には廃止している。1960年代後半には輸出向けの6BQ6/6CU6系も需要が無く投げ売り状態になった。6BQ6GTB系は世界的に使用されたため今日でも海外製品が豊富に入手できるが,6G-B6も米国に輸出されたため,逆輸入の6G-B6もたまに姿を表す。

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6G-B6 Toshiba

[YaO]

Toshiba-Matsuda 6G-B6s(1957? and 1959), 東芝マツダの6G-B6その1。左よりモデル1(最初期,無印),モデル3(9C)

モデル1(最初期のモデル,無印 gm=94,1957年頃?)は,マツダ印。丸ガラス,天井マイカ付き,透明マイカ板,角ゲッタ2個,薄いプレート(サイド7mm,中央9mm),8ピン・ベース,U字型G1黒化フィン,G1,G2支柱間接続用黒化金具,ストレート・ヒータ,ボタンステム,ベースピン8本。

モデル2は下の写真を参照。

モデル3(9C 008 gm=102,1959年),内容は下記のモデル2と同じだが,ベースピン5本に変わる。

[YaO]

Toshiba-Matsuda 6G-B6s(1957?, 1958? and 1959). 東芝マツダの6G-B6その1ダッシュ。左よりモデル1,モデル2,モデル3。(モデル2以外は前の写真と重複している)

モデル2(無印2 gm=112,1958年頃?)は,G1フィンがU字型からコの字型に変わる。このサンプルはベースのキーが破損している。

[YaO]

Toshiba 6G-B6(1960, 1962, 1963 and Last 1960s). 東芝の6G-B6その2。モデル4,5,6,7

モデル4(F0L gm=118,1960年12月);管壁にToshibaのロゴ,サブ・プレート・フィン付き9mm角プレート(内部にフィンをサンドウィッチ)。天井マイカ廃止,ドーナツゲッタ1個,上部マイカG1,G2支柱接続金具が黒,ヒータはヘアピン,

モデル5( (F)2B,1962年2月),マグネシア塗布マイカ,スパイラル・ヒータ,東芝ロゴはベース・プリント,銀文字,

モデル6(1963年頃,無印),平ガラス,ベース文字金,ヒータコイル巻き,G1フィン灰色,上部マイカG1,G2支柱接続金具が金属色,マイカはマグネシア塗布白い,

モデル7(1960年代末?,無印)ベース文字アルミ銀色,G1フィン省略。


6G-B6 NEC

 [YaO]

NEC 6G-B6s(1960 and 1965). NECの6G-B6。

モデル1(13 L00,製造1960年12月-出荷1961年3月),プレートはサイド7mm,中央9mm,U型黒化大型g1フィン,g1g2支柱は銅,天井マイカ,角ゲッタ2個,

モデル2(管名消え,53 -,1965年3月)天井マイカ付き,ドーナツゲッタ。マグネシア塗布。

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25G-B6

25G-B6 Toshiba

[Yb4]

[Photo2-5]東芝マツダの25G-B6。サンプルは(94, 1959年4月),元箱(SB-301 2DC 10ま)。モデルは先に紹介した6G-B6のモデル1と同じ。手元にはさらに2本の箱入り新品があるが,ともにロット表示のない無印球。そのうちの1本の箱は番号が異なり(SB-301 2DC 10い)。

1959年といえばマツダから東芝に切り替わる最後の年。この年から翌年にかけて東芝はロット(製造年月)を2桁の英数字(94,..,9X,9Y,9Z,01,...)で表しガラス管壁に押印した。それ以降はセットメーカー出荷分は(1D,1F,..など)を使用したが,保守用球の箱入りは無印になったようだ。それ以前は,管名を囲む8角形の枠の一部に切り込みを入れて,その位置で製造年月を表してしたらしい。またマツダの丸ロゴの周囲に配置した点の位置を用いていたらしいが残念ながら解読できない。3本のサンプルでは,右上,右下,それに下の右と皆ばらばらであった。

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6G-B7/12G-B7

白黒TV水平偏向出力管。東芝1960年(1958年)。12G-B3系の改良型で欧州25E5系の第2弾。まずレス用600mA管12G-B7が開発され,次いで6.3V管,1963年には300mA管(25V)が作られた。

原型・構造・特性

6.3V,1.2A,GT38-04,6AM,100V,100V,-7.7V,100mA,7mA,5.3k,14mA/V,μ6,700V*/15W,250V/5W,Ik150mA,Pb+Psg=?,Ehk200Vac,100Vdc

原型は12G-B3。17インチのブラウン管用にプレート,スクリーンの最大定格を(Eb700V15W,Esg250V5W)に引き上げたもの。改造は米国における6BQ6GTBから6DQ6への大型化に習って,12G-B3の内部構造は維持しながらプレート横方向だけを大型化し,ガラス管径を太く(T29からT38)して放熱を改善したものである。したがって,静特性は12G-B3と同じであるが,最大損失が大きくなり外観も立派になった。12G-B7の代表特性曲線は東芝が1960年に発表し,各社ともこれを掲載したが,肩特性に関して誤りあるいは測定法の違いがあり後に修正が施された。また,各社とも12G-B7は1960年に発表されたが,JIS/CES登録番号では次の6G-B8が1958年に開発されていることから,開発年代は発表より2年早い1958年だったと考えられる。実際,1958年には東芝は6/12DQ6Aの国産化と6G-B9の開発に取り組んでおり,同じプレート材料,ガラス管,ベースを使用すれば12G-B3/6G-B3Aのパワー・アップが可能だった訳である。しかし,1960年に発表しながらも,その生産は,ブラウン管サイズで決まるTVの物品税が改正され大型化時代が始る1962年まで待たねばならなかった。なお,同時期に専用ダンパー管として従来の12G-K17の性能を上回るMT管の12R-K19が発表された。

その後

東芝,NEC(61年9),日立(60年),TEN,双葉,三菱などで生産された。松下は参加していない。OEMではシャープ(東芝),サンヨー(NEC)などがあった。白黒ブラウン管の大型化と広角化により各TV製造メーカが採用した。その後,1960年代半ばには小型カラーTV用にも使われたらしい。TVでは「国際性が無い」ことを理由に使用は下火になったが,真空管式カラーTVの新製品が作られていた1970年頃にも国内では現役で使われた実績がある。当時のゼネラル(TEN)のTVでは,一般的な高圧レギュレータ3極管の6BK4系(高価だった)に代えて12G-B7を高圧パルス調整管として用いていたのである。米国ではこの種の仕事に専用管が作られたが,レギュレーションが多少悪くなるのをがまんすれば,通常の水平出力管で十分代用できるそうである。この面白い応用は,同社では大量のストックを抱えていたか,あるいは破格な値段で仕入れることができたためと思われる。これは市場原理に基づく例外的な使用法で,他にもビクターではカラー用水平偏向管30KD6などの代りに価格の安い25E5を2パラで用いた例がある。さらに,アマチュア無線では,12G-B3は価格が安く出力も取れヒータがバッテリー点火できることなどから,1960年代後半にY無線から短波帯モービル用SSBトランシーバ(パラ出力50W機)の終段にも用いられた。したがって,12G-B7は1970年代始めまで現役で普及していた球である。しかし,1972年頃には国内TVは全てトランジスタ化されてしまい,輸出向け以外のTV用真空管の製造は終了してしまった。今日では入手は容易ではないが,米国に一部ストックがある。

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Toshiba 6G-B7 and 12G-B7

[Yb5]

Earlier Toshiba-Sharp 12G-B7 and Toshiba 6G-B7, and Later Toshiba 12G-B7 and Sharp^Toshiba 12G-B7

シャープ(東芝)の12G-B7(中古),東芝の6G-B7,12G-B7,シャープ(東芝)の12G-B7。

[Yb5]

[Photo 3-3]右3本の箱,いずれも定価1300円。

シャープ・ブランド12G-B7(3-7,1963年7月)。中古。ベースは金文字,ガラス面には管名が8角枠に印字。中身は次の東芝製とほぼ同じ。gm=70

東芝6G-B7(無印,4CF20P1,1962-3年頃),初期のモデル。箱入り新品。同社の1960年代前半の6DQ6Bに作りは似ている。ただし,プレートは横に4リブ/3つ穴のある形で,しかも放熱フィンの両側に内側に縦方向にリブを付けた凹み型を採用している(日立製12DQ6Aや6JS6A参照)。g1,g2支柱は銅,g1フィンは灰色コの字型。ゲッタはガラス管頂部にドーナツ型,ヒータはレスでないのにコイル型。上部マイカの周は爪あり,下部マイカは爪なし円盤,管名は8角枠にガラス印字,ベースにToshibaのロゴ他銀色で印字。箱はとにかくでかい。真空管の字も旧字体。gm=??

東芝12G-B7(1つ星,4CF11P3 ま11,1960年代後半),箱があるが中古。後期モデル。初期に比べるとガラス管がやや短い。プレートは平角,横に四角の窓1つ。上部マイカは全周爪,下部マイカは爪付き長方形に。ゲッタはプレート横に2つ。g1,g2支柱は銀色に。ヒータはストレートに見えるコイル型。ガラス印字の管名の8角枠は横長に。ベースにToshibaのロゴ他金色で印字。同社の1960年代後半の6DQ6Bと同じような作りだが少し違う。違う点は,G1には菱形(箱型)フィンが付いている,ガラス管頭がやや尖っていること。gm=60

東芝12G-B7(シャープ・ブランド,4CF233P1 と09),箱入り新品。最終モデル。同社の1960年代末から1970年代の6DQ6Bと全く同じ作り。箱も東芝が作った。gm=60


Hitachi 12G-B7

 [Yb5]

Hitachi 12G-B7s, 1965, 1966 and 1969.

[Photo 3-4]日立の12G-B7。左より((55), 1965年5月)((6-8),1966年8月)([95],1969年5月)

(55, 1965年5月),プレートは平角型,側面に四角穴3つ,内部のビーム・プレート側面には丸穴4つ。g1フィンはコの字型黒化型。g1,g2支柱は銅に銀色メッキ,ドーナツ・ゲッタ。ベース印刷。gm=54-44。ゲッタ面はやや退化。エミ減。gm=

(6-8,1966年8月)全てほぼ同じ作り。gm=-42。ゲッタ面はやや退化。エミ減。

(95,1969年5月)箱入り新品。ベースにはHitachiのロゴとロット,管名はガラス管壁に長四角で囲み。JAPANの文字のあとにB2の文字,アンダーラインはバーコードになっている。gm=62。


TEN 12GB7

[Yb5]

Kobe-kogyo TEN 12G-B7s

[Photo 3-4]ゼネラル(TEN)と神戸工業TENの12G-B7

ゼネラル・ブランドのTEN 12G-B7(QV 25-T,1962年5月?),ロゴと管名,ロットはガラス管に銀色で印字。プレートは横にリブ3本,側面に角穴2つ,放熱フィンの両側に内側に縦方向にリブを付けた凹み型を採用。ビーム・プレートも灰色,g1,g2支柱は銅,g1フィンは大型U字黒化型,ドーナツ・ゲッタ2個,何と言っても天井マイカ付きが古い,ヒータはヘアピン。gm=71

TENの12G-B7(V ),ロゴと管名はガラス管にオレンジ色で印字。上とほぼ同じ作りだがやや新しい。天井マイカが無くなった,ヒータはコイル型になった。gm=74。


Mitsubishi 12GB7

 [Yb5]

Mitsubishi 12GB7s, 1963, and two 1964s

[Photo 3-5]三菱の12G-B7

三菱(3?1 C,1963年1月?)ガラス管には8角枠で囲まれた管名とややはなれてCの文字。ベースには黄色の文字で,ロゴとMitsubishi Electric Corp., Japanとある。管名はベース文字の裏側になる。プレートは東芝と同じ4リブだが,側面の3つ穴は大きい,また普通の平角型で凹み型ではない。g1フィンは光沢ある黒,g1支柱は銅,g2支柱は銀色,ヒータはコイル型。中古らしい。gm=63。

三菱(46 4U,1964年6月)管名はベースロゴの裏側。ベース文字は白。ロゴとロット,Mitsubishiとだけ書かれている。ガラス管とベース文字の方向がちがう。g2支柱は銅になる。TVからはずした中古。ゲッタ膜はやや小さいがエミッションは十分。gm=60

三菱(4X 4B N,1964年10月),電極の造りは上と同じだが,管名とベースロゴは90度位ずれている。この頃から,ころがして印刷するようになった?箱なしだが新品らしい。gm=60。


NEC 12GB7

[Yb6]

NEC 12G-B7s in 1973.

[Photo 3-6]NEC(新日電)製12G-B7。残念ながら初期の球はなくいずれも後期の球。

NEC(31 288,1973年1月),プレートは東芝や三菱に似ている。g1フィンは黒化U字型,g1支柱は銅,g2支柱は銀,ヒータはコイル型,ゲッタはドーナツ型2個がプレート側面に。ベースには白字で NECのロゴと数字31,ガラス管壁の管名下のロットは288。この球は50本入りの同一ロットから4本を,最近(1998年1月)に秋葉原で@800円で入手。箱無し新品。gm=未測定

NEC(32 288,1973年2月),以前に入手した中古球だが,偶然にも上の球とほぼ同時期の球で造りは同じ。ガラス管のロット表示は同じだが,出荷が1か月遅かった。gm=74。

NEC(3Z 738, 1973年12月),これはサンヨーのサービス用の箱に入っていた新品球。定価は1700円であった。gm=80

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6B-B14/12B-B14/17B-B14

白黒TV水平偏向出力管。東芝1961年。6.3V管の他,トランスレス用の600mA,450mA,300mAが作られた。欧州25E5系の第4弾。

原型・構造・特性

6.3V,1.2A/12.6V,0.6A/16.8V,0.45A/25.0V,0.3A,MN29-?,10-51

100V,100V,-7.7V,100mA,7mA,5.3k,14mA/V,μ6,700V*/13W,250V/5W

6G-B3Aをマグノーバル化したもの。電極構造は6G-B3Aと全く同じで,プレートとスクリーンの最大電圧は12G-B7と同様に700Vと250Vに上げられたが,プレート損失だけが15Wに及ばず13Wに留った。JIS名の当時の口金の分類では,マグノーバルが無く「その他」の記号Bに分類された。その後,マグノーバルには記号Hが与えられたため,JIS名管には旧製品のBと新製品のHが混在することになった。ベース・ピン配置は欧州系マグノーバル管6GB5/EL500系と同じで,1から順に,G1,G1,K-G3,H,H,P,G2,G2,K-G3,ICである。

[AeF]

その後

東芝の他,12B-B14についてはNEC(新日電),松下,双葉(販売だけ?)が生産した。時代的にはブラウン管が大型化した後に開発されたため,ほどほどに普及した。したがって今日比較的入手が容易である。

Toshiba 6B-B14 Family

[Yb7]

Toshiba 6B-B14 in 1967 and 12B-B14, Top view

[Photo 4-1]東芝の初期の6B-B14と12B-B14。左は(7G,1967年7月)箱無し新品,右は(無印)中古。[Photo 4-2]Top

6B-B14モデル(7G,1967年7月)は,ガラス管のToshibaのロゴと文字は赤,管名は銀。造りは基本的には同社の12G-B3系と同じ。ガラス管の頭が丸いのは1961,2年頃までの特徴だが,電極はグリッドg1フィンが灰色コの字型は1963年頃のもの。初期の6B-B14には天井にゲッタ遮蔽用のマイカがある。マイカ用の支柱は左右2本あり,頂部で長方形の金具で結ばれている。その中央からトップ・プレートのリード線が出ている。g1,g2支柱は銅で,ともに板状のリード線で左右の支柱が別々に2つのステムのピンに接続され,リード・インダクタンス低減,兼放熱促進に寄与している。g3は細い丸線だが同じように2本接続され,そのうちの1本にカソードが接続されている。この球は秋葉原で50本入りの大箱から購入したもの。gm=未測定。

12B-B14モデル(無印)は中古のため,水拭きによりガラス管上の印字は全て消え,銀の管名だけは薄く残っている。ゲッタはやや茶色がかり,ステム部は黒化している。まだしっかりしたエミッションが残っている。gm=72。

[Yb7]

Toshiiba 17B-B14s

[Photo 4-3]東芝の中期の17B-B14。左は旧箱入り((4CF1P2 へ10)[Photo 4-5]の左参照)の新品。また,右は同時代の中古。

初期モデルに比べて,天井マイカ,トップ・ピンに至るプレート支柱間の長方形の金具が省略されている。このモデルはロットを示す記号はどこにも無い(無印)ので,年代が正確には特定できないでいる。ガラス管壁に印刷されている管名は通常の銀だが,唯一,Toshibaのロゴと文字は赤色なのが特徴(私は赤の時代と呼んでいる)。

[Yb7]

Toshiba 12B-B14s, Later

[Photo 4-4]東芝の後期の12B-B14(1つ星)。箱入り新品。この時代の特徴はガラス管の印刷の色とベース・ピンへのリード線の引き回し。管名は同じ銀だが,Toshibaのロゴと文字は白である(私は白の1つ星時代と呼んでいる)。スクリーン・グリッドg2のベース・ピンへの引き出しは,赤の時代には2本のg2支柱別々に行っていたが,この時代には簡略化され,1つの支柱のリード線が2本のピン上でジャンパーしてある。高周波的(交流)インピーダンスの点では悪くなった。

上の3本は電極構造が全く同じで,違いはガラス管の長さ位。しかし,箱は下の写真の右3つで,それぞれ製造時期が異なることが分かる。

[Yb7]

[Photo 4-5]東芝の箱,左より17B-B14の箱(4CF1P2 へ10),残り3つは12B-B14の箱(4CF11P3 す09),(4CF11P3 わ11),(4CF11P5 ん09)

(4CF1P2 へ10)マツダが東芝に変わった時の箱。上蓋の管名印刷は白貫き。箱の蓋を開けると裏側には,東芝クーポン券(5点券/東芝商事)が貼り付けてある。当時の販売店(小売り店)はこれを集めると還付金が貰えたのである。

(4CF11P3 す09)1つ星,上蓋の管名印刷は下1/3が白貫き,管名の下に303-72000の記号

(4CF11P3 わ11)1つ星,上の箱とはゴム印の文字の大きさが異なります。

(4CF11P5 ん09)1つ星,上蓋の管名印刷は下1/3が白貫き,管名の下に303-72000の記号

Matsushita and Futaba 12B-B14

[Yb7]

12B-B14s, Matsushita and Futaba

[Photo 4-6]松下と双葉の12B-B14。[Photo 4-7]双葉の裏。

松下12B-B14(ZN P)は1965年頃には造っていたが,この球は600mAシリーズと銘打って1969年頃に他社の保守球市場に食い込もうとした時代のものである。電極構造は同社のPL36/25E5と同じ。松下はマグノーバル管は得意だったはず。g1,g2は銅。g1の2本あるベース・ピン接続は2本直列であり,冷却効果は期待できない。

双葉(8K,1968年11月)。右の写真で見えるかどうか分からないが,管名表示枠とそのロット(529)の形式からNEC(新日電)製と思われる。大メーカならともかく小メーカの球屋が他社から球を買って販売していては商売が成り立たない。おそらく,この球はバーター製品(双葉が製造した他の球と交換した球)。ガラス管下部に緑帯が見える。全てのピン接続は独立。

[Yb7]

[Photo 4-8]松下と双葉の箱。松下は600mAシリーズのマークが見える。

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16G-B16

カラーTV用水平偏向出力管。日立1962年。米国6/25DQ5系の省ヒータ電力管。16V管は600mA用であるが,12.6V管はトランスレス用ではない。

原型・構造・特性

16.0V,0.6A,GT38-02,175V,125V,-14V,110mA,5.0mA,15mA/V,9k,900V/24W,175V/5W

(25DQ5)

26.3V,0.6A,175V,125V,-25V,100mA,5.0mA,10.5mA/V,5.5k,900V/24W,175V/3.2W

(21JS6A)

21V,0.6A,175V,125V,-25V,125mA,4.5mA,11.3mA/V,5.6k,μ3,990V/28W,190V/5.5W

原型は米国25DQ5系と見られる。ヒータ電力は25DQ5が(26.3V,0.6A=12.6W)のところ9.6Wと20%減少している。したがって,16G-B16のカソード面積はやや小さく細いスリーブを用いているが,プレートなどの電極構造は同じである。gmを50%UPし感度改善を図っている。12.6V管の存在を示す資料が見つからないが。

(その後)日立だけが生産したようである。今日でも,まとまって入手できる機会がある。

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Hitachi 16G-B16

[Yb8]

日立製のモデル(D1)と(L2),その他(C4),(K5)があるが(D1)と同じ。造りはマイカ板の形状を除くと同社の6JS6Aと同じ。プレートは強化された5層(アルミ-銅-鉄-銅-アルミ)らしい。断面が銅色の部分がある。16G-B16の開発時期から考えて,おそらく,初期のモデルではプレートは3層で,6JS6A製造後に共通部品だったプレートの材質に変更があったと思われる。g1支柱は銅だがフィンはない。g2に大型V字型フィン。ゲッタはドーナツ型1個のみ。ステムのリード線は全て太い。ベースには日立のロゴとHitachiの文字が白でうすく印刷されている。管名はガラス面にあり,長方形の枠に小さく印字されているのみ。モデル(D1)-(K5)までは銀色で,写真の通りの向きに印字されているが,モデル(L2)は白の印刷。向きも他と90度異なる。

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17C-B24

TV水平偏向出力管。三菱?,日立?。1964-65年。欧州25E5系の第7弾で,17G-B3をコンパクトロン化したものに相当。トランスレス用の450mAだけが作られた。

原型・構造・特性

16.8V,0.45A,C29-93,10-65,100V,100V,-7.7V,120mA,8mA,5.3k,15mA/V,770V/14W,250V/5W

12G-B3系の450mA管17G-B3をコンパクトロン化したものに相当。外囲器は原型と同じT29を採用しており,外観は同じT29のマグノーバル管17B-B14や17H-B21などと似ている。スニベッツ対策については17H-B21と同様にKとG3が分離されており,ベース・ピン配置は12/17C-B23や6JM6Aと同様である。プレート最大定格だけが(700V13W)から(770V14W)へと僅かに大きくなり,また,パービアンスが20%UPしているので,従来の12G-B3系列とやや特性が異なる。

その後

日立も作った。

Mitsubishi 17C-B24

[Yb8]

三菱の17C-B24。管壁には黄色の三菱のロゴ,MITSUBISHI Electric Corp.とある。スクリーンのリード線は1本しかない。g1にコの字型黒化フィン。ガラス管下部に酸化クロム帯がある。

[AeH]

[AeH][AeH]

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12H-B25

The TV Sweep Tube developed by Toshiba, the 8th model based on European PL-36, and brother of 6B-B14, advanced model of 6H-B21.

白黒TV水平偏向出力管。東芝。1965年。欧州25E5系の第8弾で,6B-B14系,6H-B21系の改良型。

原型・構造・特性

6.3V,1.2A/12.6V,0.6A/16.8V,0.45A,MN29-51,

100V,100V,-7.7V,100mA,7mA,5.3k,14mA/V,μ6,700V*/13W,250V/5W

6B-B14のKとG3を6H-B21と同様に分離したもので,6H-B21とはピン接続だけが異なる。具体的には,遊んでいるICpinを利用してG3の高周波インピーダンスを下げたもので,ベース・ピンは1から順に,G1,G1,G3,H,H,P,G2,G2,G3,Kである。すなわち,6H-B21系のpin3のKをpin9へ,余ったpin3にG3を,またpin8のICを止めてG3を接続したものである。6.3V管の他,トランスレス用の600mA,450mAが作られた。

その後

国内では600mAの12H-B25のみが特に普及し,輸出もされた。

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Toshiba 12H-B25

[Yb7]

[Photo 5-1]東芝12H-B25。左は新品(1つ星)。右は中古。ともに同じ構造。後期の12B-B14と同じ造り。[Photo 5-2]箱は(4CF11P3 す09)。

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16C-B28 -600mA Version of 6JZ6 Family

TV水平偏向出力管。東芝1967年。米国6JZ6系の球でEIA登録されていないトランスレス600mA用管を日本で定義したもの。

原型・構造・特性

15.8V,0.6A,C38-79,-,130V,130V,-20V,46mA,1.8mA,9.9k,9mA/V,770V/18W,220V/3.5W

米国6JZ6系同等。米国6JZ6系は6GY5系(6.3V,600mA,450mA,300mA)のスニベッツ対策管(G3-K分離型管)であるが,改良の際に米国内の需要の少ない600mA管は切り捨てられてしまった。これに対して国内では,6GY5系では600mA管16GY5と450mA管21GY5が普及し,その後継管にも需要があった。このため国内では6JZ6系を導入する際に,450mA管の21JZ6を生産すると同時に600mA管を新たに作りJIS/CES登録したものである。16C-B27とは兄弟関係にある。

その後

東芝の他,NECも生産し,600mA系の16GY5のスニベッツ対策管として白黒TV用に用いられた。

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Toshiba 16C-B28

[Yb8]

Toshiba 16C-B28 (Later Period, One Star), Its new box with a box code '4CF11P5'/ 東芝16C-B28(後期1つ星),新品箱入り(4CF11P5のみ)。 従来箱の記号は左記の他に3文字(カナ1文字と数字2文字)のロット番号があったが,それがなくなった。箱の上蓋には部品番号304-86000。

[YaP]

[For Reference]Toshiba 16C-B28 and 21JZ6 Family/[参考]東芝の16C-B28と21JZ6ファミリー。

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(c)1998-2002, 2006, 2011 Koji HAYASHI All rights are reserved.
1st edition (1998.3.13)+(2000.7.10), (2002.11.24), 2nd ed. (2003.1.17)