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(1)Pentode Amp/5極管チューナ |
(2)Cascode Amp/カスコード管 |
(3)Nutrode Amp/ニュートロード管 |
(4)GG Amp & UHF/GGアンプとUHF管 |
(5)VHF Converter/VHFコンバータ管 |
I. History of Pentode Tuner/ペントード・チューナーの歴史 | |||||
II. RF Amp Pentode Tubes/高周波増幅5極管 | |||||
1. Early Time RF Pentodes/初期の高周波5極管 |
2. RF Pentodes for TV/TV専用の高周波5極管 | ||||
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2. RF Pentodes or TV/TV専用の高周波5極管 |
3. Tetorode and Shadow grid pentode/4極管とシャドウ・グリッド5極管 | ||||
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(1) Begining of Japanese TV Broadcast/ 我国のTV放送の開始
我が国のTV放送は,昭和28年(1953年)に本放送が始まりました。TV放送の1チャンネル当たりの占有周波数幅は各国の採用した方式により異なり,また周波数割り当ては,北米,欧州,アジアなど地域によって異なりますが,我が国の場合は,TV放送方式は米国のNTSC方式を採用したことにより占有帯域幅は6MHz,また周波数割り当ては,VHF帯では徐々に拡張が為され,最終的には,低周波帯(ローバンド)90-108MHzに3チャンネル,高周波側(ハイバンド)に170MHz-222MHzに9チャンネルの合計12チャンネルとなりました。1955年にはTVセットの受信可能範囲は6チャンネル(ハイバンド170MHz-188MHz)でしたが,民放の開局に合わせて1956年には12チャンネル・チューナー/6チャンネル実装,1957年には12チャンネル・チューナー/11チャンネル実装,1958年には12チャンネル実装という風に変わりました。
(2) Pentode Amp and TV Tuner/5極管アンプとTVチューナ
ラジオ放送用の受信機では高周波増幅管といえば5極管アンプが常識,中和回路が不要でゲインも高いのですから当然の帰結だったのですが,VHF帯ともなりますと外来雑音が減り,相対的に真空管の内部で発生する雑音が無視できなくなってきます。このため,真空管黄金時代のTV受像機では雑音レベルの低い3極管アンプが好んで使われました。Part-2やPart-3で述べるカスコード・アンプやニュートロード・アンプが有名で,専用の真空管も数多く開発されました。
5極管など出る幕が無かったように思われますが,1950年代初頭の放送初期の頃には何と5極管アンプが用いられました。ましてや,TV放送がまだ研究段階にあった戦前にあっては,5極管アンプが最先端だったのです。TV放送は占有周波数帯域を大きく取る必要があるため研究当初からVHF帯の利用が想定されていましたが,VHF用の真空管はほとんど存在せず,初めはVHFの中でもごく低い周波数を使っていた実験を行いました。
(3) TV Tuner before WWII/戦前のTVチューナ
我が国では1940年の幻の東京オリンピックの開催に向けて1939年にはTV実験局が誕生し,またメーカによるTV受像機の発表会も行われました。東京電気(現東芝),日本ビクター蓄音器(日本ビクター),日本蓄音器商会(日本コロムビア)などが出典し,また,日本電気やNHKも受像機を試作しました。そして,1941年5月に定期的な実験放送も開始したのですが,6月には中止,そのまま太平洋戦争に突入しました。
さて,その頃の我が国のTV受像機はどんなものだったかというと,資料が無いのですが,日本のTVの指導的役割を果たした浜松高専(後にNHK,Victor)の高柳氏の著書(1941年)によると,この頃の真空管はST管が主流で,TV受像機には高周波増幅が無く,いきなりの周波数変換,変換管には最新鋭のバリミュー高gm管UZ-6303(gm=6mA/V)が,発振管にはUY-76が使用されていたようです。
(4) RF Pentode for TV Tuner in USA after WWII/ 戦後米国のTV用RF増幅管
米国でも第2次大戦中にはTV放送が中断され,民生用機器の製造も中止されていましたが,戦争の見通しが付いた1944年に早くもTV放送が再開されました。戦後しばらくは戦時中に開発した通信管や業務管の遺産に頼ってTVが開発されたようです。6AG5,等。例えばTVに利用された通信用管に有名な6AK5があります。その後,1940年代の終わりになってTV専用のチューナー管の開発が始まり,その第1号として1950年頃6CB6が開発され,次いで6BC5が誕生しました。
(5) RF Amp Tubes for TV in Europe after WWII/戦後欧州のTV用RF増幅管
一方,欧州でも事情は似通っていました。世界のTV先進国だったイギリスは再開に手間取り,米国に遅れをとりました。ドイツは日本と同じく敗戦のために球の開発はやはり大きく遅れをとったようです。その中でオランダPhilipsはぬきんでていました。欧州戦勝国の中では一番自由な立場にあったようです。すなわち,戦前よりイギリス,フランス,ドイツなど各国に事業を展開してきた無国籍?企業であり,独自のベースピン規格を頑固に主張するメーカが林立する欧州にあって,優れた球を開発するだけでなく輸出向けに相手国に受け入られるベースピン規格の変更をやってのけていた会社で,米国や欧州という需要地をかかえ,しかも戦後開発の余力を残した企業であったといえます。Philipsは戦後独自のミニアチュア管(8本足のリムロック管)を開発するとともに,中身の優れた球の足を米国の9ピンミニアチュア管に直すことはお家芸であったともいえましょう。それが一連のワールドシリーズだった訳で,その第1陣にRF増幅用の5極管EF80/6BX6が含まれていました。米国RCAの6CB6とほぼ同時期の1950年頃で米国EIA名の登録はこちらの方が少し早かったようです。
(6) Pentode Tuner Tubes in Japan/我が国のペントードチューナー管
我が国では戦後の1949年頃にようやく米国のmT管を製造し始めましたが,その時通信用に真っ先に国産化した球の1つが6AK5です。満足な高周波球に乏しい時代,これがVHFチューナーの高周波増幅にも用いられました。また6J6も1950年頃には国産化され,混合発振に用いられました。例えば,1954年の富士製作所のTVキットのチューナは6AK5-6J6でした。しかし,通信用真空管の欠点は高価であること,やがて民生用の専用管にバトンタッチし消えて無くなりました。
我が国で本格的なTV放送を開始したのは1953年でしたが,その頃には真空管にも米国から技術導入が図られ,VHFチューナー用の高周波増幅管には,1951年頃国産化された6CB6が用いられました。1954年の資料によると,VHFチューナーの構成が記されている例,東芝,ナナオラ,シャープ,ゼネラル,はことごとく6CB6-6J6のコンビを用いています。また,松下電器産業は1953年頃にPhilipsと提携し欧州系の球によるTVを世に出して米国系の球と国内シェア2分しましたが,その松下電器でさえも初めは米国系の球で出発しました。1954年のナショナル17インチ(17T-539)は米国系の6CB6-6J6だったのです。もっとも,松下電器は翌年の1954年中には欧州系の球を用いたチューナーに切り替え,14T-549(1954)でEF80/6BX6-ECC81/12AT7を発表しています。
(7) End of Pentode Tuner/ペントードチューナーの終焉
その後,1950年代中頃から米国,そして欧州や日本でも5極管に代わって双3極管によるカスコード・アンプの時代となりました。日本では1954年頃までペントード・チューナが使われましたが,1955年にはほとんど交代してしまいます。日本ではゲインが不足するハイバンドでは高チャンネルでは画像のコントラストの不足を招くため,民放の開局が進むにつれて,ペントード・チューナは一斉に消えて無くなりました。片岡電気(アルプス)のチューナーユニットでは6CB6を使った最後の製品は近距離用でしたが,1958年を最後に無くなりました。ところで,ペントード・チューナは見捨てられたか?というと,米国ではその後も根強く生き残り,幾つかの発展形を残しました。1956年のGE製の600mA系トランスレスTV,14T008では3BC5-5X8のラインでした。スタンダード・コイル社のレインボー・チューナは(1955-56年モデル)は6BQ7A-6BR8でした。
その後の事情は,TV Tunerの続編Part2でお話します。
5-Series Pentode |
Base |
Outline |
gm mA/V |
Cgp pF |
Heater (6.3V) |
|
954 |
5BB |
Acorn |
1.4 |
0.007 |
0.15A |
|
956 |
5BB |
Acorn |
1.8 |
0.009 |
0.15A |
Vari-mu |
9001 |
7BD |
5-1 |
1.4 |
0.01 |
0.15A |
|
9003 |
7BD |
5-1 |
1.8 |
0.01 |
0.15A |
Vari-mu |
6AG5 |
7BD |
5-2 |
5.0 |
0.02* |
0.3A |
|
6AJ5 |
7BD |
5-1 |
2.5 |
0.02 |
0.175A |
Eb=28V |
6AK5 |
7BD |
5-1 |
5.1 |
0.02 |
0.175A |
|
408A |
7BD |
5-1 |
5.0 |
0.01 |
(20V), 0.05A |
|
6AG5は米国RCAが1942年に6C4, 6J6とともに開発した球です。
昭和9年から11年(1934年から1936年)にかけてRCAは歴史上有名なV-UHF用のエーコン管954, 955, 956を開発しました。さらにRCAは1940年1月にミニアチュア管を発表し,翌1941年にエーコン管の廉価量産版としてミニアチュア管にエーコン管と同じ電極を納めた9001, 9002, 9003を開発しました。これは高周波増幅管の容器としてミニアチュア管の造り易さに着目した成果でしたが,翌1942年に今度はミニアチュア管で最大限に性能を発揮できる球として,新たに電極構造やリード線の引き出し方法に工夫を凝らしたものが,この6AG5でした。
6AG5はUHF帯の入り口を越えた400MHzまで動作できる本格的な量産型の高周波増幅用5極管であり,高gmを確保するための構造,低電極間容量とするための小さなプレート,ビーム翼構造の第3グリッド,低リードインダクタンスとするための2本のカソード引き出し線など,斬新な考えを盛り込んだ文字通りの新型管でした。
6.3V, 0.3A, Cgp=0.030pF, Cin=6.5pF, Cout=1.8pF,
(5極)250V, 150V, 180ohm, 6.5mA, 2mA, 0.8M, 5mA/V, Ebmax300V/Pbmax2W, Esgmax300V/Psgmax0.5W
(3接)250V, Rk820ohm, 5.5mA, Rp10k, mu42, 3.8mA/V, Ebmax300V/Pbmax2.5W
この球は,戦時中にWEが開発し後世に有名になった通信用5極管6AK5の原型と言われ,また1950年代初頭に開発されTV時代を謳歌した6CB6の直接のルーツであり外観もそっくりです。6AG5の電気的性能を戦後の万能5極管6AU6と比べると,gmは同程度ですが,Cgpが10倍も大きくその代わりCoutは1/3程度と小さいので,負荷たる同調回路をより高い周波数のものを置くことができるという特徴を持っています。また戦後の後継管6CB6と比べて,gmは15%程度低く,ゼロバイアス電流は30%程度小さい,Cgpは30%程度大きい等,悪いことづくめですが,カソード引き出し線が2本あるためにリード線インダクタンスが小さくでき,400MHzまで使える訳です。
6AG5は米国で戦時中にどのように使用されたかは定かでありませんが,戦後はUHF帯のFM受信機などに使用されたようです。我が国ではTV放送が開始された頃には,既に後継の6CB6が国産化されたこともあって出る幕は無く,6AG5が登場したのは何と1960年代に入ってからでした。東芝などにより国産化され,UHF帯の無線機に使われました。
有名な6CB6と外見上はほぼ同じ造り。平型カソード,g1,g2も平型,g3が金属枠,プレートは板2枚を立て,金属ベルトで結んだもの。電極上部と下部のマイカ板上には,g3枠と同電位の長細い皿状のシールド環がある。プレートは裸だから何らかの外部シールドを要す。
6AG5, From Left, RCA Victor (1949),(9-48, 1949), RCA(326, 1953)(513, 1955)(KC, 1960s) [ZkA]
6AK5はUHFまで使える5極電圧増幅管であり,6AG5の改良版。第2次大戦中の1942年に米国WEがRCAの6AG5を手本にして開発したとされています。
6.3V, 0.175A, 5-1, 7BD, Cgp=0.020pF, Cin=4.0pF, Cout=2.8pF,
(5極)180V, 120V, 180ohm, 7.7mA, 2.4mA, 0.5M, 5.1mA/V, Ebmax180V/Pbmax1.7W, Esgmax180V/Psgmax0.5W
6AK5は6AG5に比較して,外形は小型,電気的特性は省電力版,同じgmを持ちながらヒータ電力が小さい,必要とする+B電圧も低いため,重宝でした。ただし,小型化と引き替えに最大定格(プレート/スクリーン電圧)が300Vから180Vに引き下げられました。同時期に第3グリッドを密に巻いて制御特性を持たせた6AS6も誕生しています。1942年には戦争遂行のため技術公開され,米国の他の管球製造メーカも参入,大戦終了時にTung-Solは月産100万本製造したとされます。
国内では戦後の1949年に川西機械(後の神戸工業TEN/富士通)が国産化を果たし,以降,東芝やNECが製造しました。1950年代初めの初期のTVセットではTVのフロントエンドにも使われました。しかし,やがて1950年代中頃にRCA系のTV専用管が開発されるとTVでの使用は終わり,以後はもっぱら通信用や業務用管として使用されました。主に通信関係の球会社が製造し続け,製造量は比較的多かったのですが,通信用だけあって高価でした。1960年代中頃で5,000円ほどしたようです。業務用の中古品が出回ったので早くからアマチュア無線にも使用され,ジャンク価格は100円程度でした。
Left two, Toshiba (1960) side and front, Middle Two, Toshiba(1964) side and front, for Communications/ 通信用(7J12), (1K85), Right one, NEC(1960s) for Communications/ 通信用(MN)。[ZkC]
東芝の6AK5,1960年モデルは灰色(酸化アルミ被覆鉄)プレート,角型ゲッタ。1964年モデルは黒化プレート,丸型(ドーナツ型)ゲッタ。NEC1964年はニッケルプレート,角型ゲッタ。いずれも国産管の黄金期の通信用管である。
1950年代初頭,TV放送初期に使われた6AK5が見たいものである。実は持っていました!
6AJ5は移動無線用に作られた高周波増幅用5極管で,ヒータ電圧は普通の6.3V管ですが,必要とする+Bが電池並の28Vという変わり種です。この球は米国WEが戦時中の1942年頃に6AK5と同時に開発したそうです。6AJ5はTVのチューナー管という訳ではありませんが,前項で紹介した6AK5との関連でここに紹介しておきます。6AJ5は最大定格が6AK5と同じであり,特性も類似しています。6AJ5は電池管として特別に開発した球かというとそうではなく,もともと高電圧用に開発した6AK5の低電圧領域での電気的特性を管理し,低+B供給電圧に対応できるようにしたもので,6AJ5は6AK5の一族と見なすことができます。
国内では日立が1958年頃になってようやく国産化しています。米国向けの保守用球,あるいは駐留米軍や米国製の装備を使用していた自衛隊の補給用として製造されたものと思われます。
6AJ5と同じようにできた変種として下表のようなGT管やMT管が知られています。また,最近(1990年代)のラジオの自作では,色々な方が通常のラジオ球6BE6や6BA6の低+B電圧動作を試し,6Vや12Vでも使用できることが報告されています。
Purpose/用途
Tube/品名
Original/ 原型(後継)
Eb/ 供給+B
RF Amp/ 高周波増幅
6AJ5
6AK5
28V
Converter/ 周波数変換
12SY7GT
12SA7GT
26.5V
Dual Diode Triode/ 検波増幅双2極3極管
12SW7GT
12SR7GT
26.5V
Twin Triode/ 双3極管
12SX7GT
12SN7GT
26.5V
RF Amp/ 高周波増幅
26A6
(6BA6)
26.5V
Dual Diode Triode/ 双2極3極管
26C6
6R7/6SR7 (6AV6)
26.5V
Converter/ 周波数変換
26D6
(6BE6)
26.5V
Twin Po Amp/ 電力増幅pp
26A7GT
-
26.5V
Base/Outline |
Base |
Out- line |
gm mA/V |
Cgp pF |
6.3V (A) |
600mA (V) |
450mA (V) |
300mA (V) |
6-Series Pentode |
|
|
|
|
|
|
|
|
EF80/ 6BX6 |
9AQ |
6- |
7.4 |
0.012 |
0.3 |
|
|
same as 6.3V |
6BZ6 (Vari mu) |
7CM |
5-2 |
8.0 |
0.015 |
0.3 |
3BZ6 |
4BZ6 |
6BZ6A |
6CB6 |
7CM |
5-2 |
8.0 |
0.015 |
0.3 |
3CB6 |
4CB6 |
6CB6A |
6CF6 |
7CM |
5-2 |
7.8 |
0.015 |
0.3 |
3CF6 |
|
|
5-Series Pentode |
|
|
|
|
|
|
|
|
6BC5 |
7BD |
5-2 |
6.1 |
0.02* |
0.3 |
3BC5 3.15V |
4BC5 |
- |
6CE5 |
7BD |
5-2 |
7.6 |
0.03 |
0.3 |
3CE5 3.15V |
4CE5 |
same as 6.3V |
欧州オランダPhilipsが1950年頃に開発したTV用の5極管。広帯域の高周波ならびに中間周波増幅用,映像増幅,周波数変換,同期パルス分離回路に用いることもできる。TV初期の万能管として用いられた。同時期に開発された米国球6CB6等との大きな違いは,第3グリッド巻き線を有する5極管であること,電極シールドを内蔵しており外部シールドが不要なこと,であろう。
Philipsの1955年の真空管マニュアルに紹介されているTV用チューナAT7501では高周波増幅がEF80(6BX6),コンバータに米国生まれのECC81/12AT7が用いられている。欧州のVHF帯のTVチャンネルは,低周波チャンネルがch1からch4,40-68MHz,高周波チャンネルがch5からch10,174-216MHzであった。ちなみに紹介されているTVの例ではEF80はチューナの他,IF増幅に4本,映像増幅に1本,音声チャンネルのインターキャリアー増幅に1本の計7本が用いられるという万能ぶりであった。同期パルス分離はFM検波と同様に専用管EQ80が用いられ,EF80の出る幕は無かった。
我が国ではPhilipsと1952年に提携した松下が,1954年頃にEF80を国産化し,Philipsに習ってTVセットに大量に用いた。1970年代まで活躍した息の長い球であった。
左は馬蹄型,右はドーナツゲッタ。手元にTV球の墓場があり,何故かゲッタの退化したものが沢山ある。ステム部のひび割れのようだ。ゲッタ膜が無いので内部観察や写真を撮るのに好都合。6BX6はガラス管が長いのが特徴。
1961年以降のモデル。シールドの網はアルミのようだ。シールドを取ると中は6CB6と同じ様な板状プレートの5極管。g3巻き線のあるところが違う。平型カソード,上部は白色のマグネシア塗布マイカの上に透明なマイカを重ねた2重マイカ構造。
RCAが1950年頃に開発したTV用の5極管。45MHzまでの中間周波増幅ならびにVHF帯のTVチューナーの高周波増幅用。初期のTVでは映像出力にも用いられた。1954年にRCAから600mA管3CB6が,1957年に450mA管4CB6が発表された。ヒータウオームアップ時間を規定した300mA管6CB6Aも同じ頃発表されている。TVに限らず,無線通信の分野でも一世を風靡した球であり,高gmがかわれて周波数変換などにも用いられた。TVでは米国系で多く用いられた。欧州ではEF80が用いられたためか6CB6の欧州名は無い。
国内では東芝マツダが1951年頃国産化,その後各メーカが製造した。当時のTVチューナでは6CB6が高周波増幅に,また6J6が混合発振に用いられた。1954年初めの資料によると,VHFチューナーの構成が記されているものはことごとく6CB6-6J6のコンビを用いている。東芝,ナナオラ,シャープ,ゼネラルの例がある。1950年代中頃にはチューナー管としての役割を終え,その後はバリミューの6BZ6とともにTVの中間周波数増幅管として,また各種無線機に活躍した。
左からマツダ1950年代末(ツ),1959年1月,1960年7月,1970年1月,1970年代のHi-S通測用。どのモデルもg3金属枠が特徴。1950年代末頃まではプレートは板状で2枚を結ぶ線はプレート結合ベルトは円弧を描いている。電極上部下部のマイカ板上にはシールド板があった。g1,g2支柱ともに銅棒だったが,1959年になるとスクリーン支柱だけは銀色(ニッケルメッキ鉄棒?)になる。1959年4月頃からはロゴがToshibaに。1970年代は機械構造の見直しにより,マイカ板上のシールド板はg3金属枠と溶接され機械的に丈夫な構造になり電極の曲がりはなくなった。マイカ板自身も形状が長方形になり,ガラス管との接触部は円周のほぼ半分になった。2枚のプレート結合ベルトは8角柱を描く形状になった。全て中古,gmは左より28, 32, 36, 38, 38。
6CB6, 6.3V,0.3A, 7CM
(RC17)200V,150V,180ohm, 9.5mA, 2.8mA, 0.6M, 6.2mA/V,
(RC17)200V,150V,-8V, Ib=10uA,-
(RC30)125V,125V,56ohm,13mA,3.7mA,280k,8mA/V
(RC19)125V,125V,-6.5V,Ib=20uA,
6CF6は6CB6の製造初期の頃(1950年頃)に現れた球であり,特性はグリッド・バイアスを除いて6CB6に同じである。6CB6の選別品(規格外ランク別品)かもしれない。RCAのマニュアル(RC17)によれば,シャープ・カットオフであるが,プレート電流遮断特性を活かして映像中間周波数増幅の利得制御段に用いるとある。1954年頃に600mA管3CF6も作られたが,その後6CB6系に合流し廃止になった。後に保守用に6CB6A/6CF6名称の球が作られた。
6CF6, 6.3V,0.3A, 7CM
(RC17)200V,150V,-6V, Ib=35uA,-
(RC30)125V,125V,56ohm,12.5mA,3.7mA,300k,7.8mA/V
(RC19)125V,125V,-6.5V,Ib=35uA,
400MHzまでの小型無線機の高周波増幅,中間周波増幅に用いる球。1955年頃開発された。6AG5の後継球でgmを約10%UPしたもの。米国ではTV用にトランスレス・シリーズ用ヒータ管3BC5, 4BC5が作られ,TVチューナーに用いられた。国内では東芝が1956年に国産化し,3BC5も作ったが,国内TVには利用されず,輸出された模様。後に保守用に6CE5/6BC5等の名称の球が作られた。
6.3V, 0.3A, (7BD), Cgp=0.030pF, Cin=6.5pF, Cout=1.8pF,
(5極)250V, 150V, 180ohm, 7.5mA, 2.1mA, 0.8M, 5.7mA/V, Ebmax300V/Pbmax2W, Esgmax300V/Psgmax0.5W
(3接)250V, Rk820ohm, 6mA, Rp9k, mu40, 4.4mA/V, Ebmax300V/Pbmax2.5W
6BC5の後継球でgmを約30%UPしたもの。400MHzまでの小型無線機の高周波増幅,中間周波増幅に用いる球。1956年頃?開発された。スクリーン耐圧を犠牲にして,gmを6CB6並に増加したもの。+B供給電圧を引き下げた動作例がでている。6CE5は300mA系のトランスレスに使用できるようウオームアップ時間が規定されている。日本国内では使われなかった。
6.3V, 0.3A, (7BD), Cgp=0.03pF, Cin=6.5pF, Cout=1.9pF,
(5極)125V, 125V, -1.0V, 11mA, 2.8mA, 0.3M, 7.6mA/V, Ebmax300V/Pbmax2W, Esgmax150V/Psgmax0.5W
Base/Outline |
Base |
Out- line |
gm mA/V |
Cgp pF |
6.3V (A) |
600mA (V) |
450mA (V) |
5-Series Tetorode |
|
|
|
|
|
|
|
6CY5 |
7EW |
5-2 |
8.0 |
0.03 |
0.2 |
2CY5 2.4 |
3CY5 2.9 |
6EA5 |
7EW |
5-2 |
8.0 |
0.05 |
0.2 |
2EA5 2.4 |
3EA5 2.9 |
6EV5 |
7EW |
5-2 |
8.8 |
0.035 |
0.2 |
2EV5 2.4 |
3EV5 2.9 |
5-Series Shadow grid Beam pentode |
|
|
|
|
|
|
|
6FG5 |
7GA |
5-2 |
9.5 |
0.02 |
0.2 |
|
|
6FS5 |
7GA |
5-2 |
10 |
0.016 |
0.2 |
2FS5 2.4 |
3FS5 2.9 |
6GU5 |
7GA |
5-2 |
15.5 |
0.018 |
0.22 |
2GU5 2.4 |
3GU5 3.1 |
米国Sylvaniaが開発した高周波増幅用4極管。4極管はその昔のスクリーングリッド管224などに例が見られるが,その後第3グリッドを持つ5極管が出現すると顧みられなくなった。ところが,1950年代の後半に突如復活を遂げたのがこの球である。TVやFMチューナーでは5極管はノイズのために高い周波数までは使えないという事情があり,3極管アンプが主流だったのだが,3極管アンプに比べてCgpが小さく中和不要,ゲインも大きい,5極管よりもCout電極間容量を小さくできるという点がミソである。
米国Sylvaniaが開発した高周波増幅用4極管。
米国GEが開発した高周波増幅用シャドーグリッド5極管。
スクリーングリッドは本来プレート(陽極)に対する「遮蔽」グリッドなのだが、カソードからくる電子流がスクリーングリッドに直接飛び込まないように、スクリーングリッド巻線の平面に目あわせしたカソード等電位の「遮蔽」グリッドを配置している。VHF帯のアンプでは、ゲインを稼ぐことと、S/N比向上が望まれる。High-gm管とするには、グリッドのピッチを狭く、またカソードに近接させねばならない。こんな状況で、S/N比向上させるためにスクリーン電流を減少させるには、6AQ5などのビーム管と同じように、目あわせすることは難しい。そこで、スクリーングリッドは従来のラフな太い巻線を置き、その前にカソード等電位の影をつくるグリッドを配置した。これがシャドウグリッドである。なお、プレートの手前には電子流をプレートにガイドするためのビームプレート(ビーム形成翼)も配置した。だから、真空管のピン配置図では6極管に描かれている。このシャドウグリッドにより、VHF帯のアンプではAGCをかけるためのバリミュー管(第1グリッドのピッチを可変とした巻き方)もスクリーンの目あわせ無しで実現できる。このような、シャドウグリッド管は6FG5、6FS5、6GU5等がつくられた。*
*R.F.Shea (Ed.), Amplifier Handbook, MacGraw-Hill, 1966.
米国GEが開発した高周波増幅用シャドーグリッド5極管。