ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

1) SANSUI HF-V60
2) SANSUI SM-12A
3) Original 6Z-P1 Three-Pallarel Single
4) Original 6Z-P1 Single

分解したオーディオ管


1. Restration of SANSUI HF-V60 -Williamson Type 6V6-GTpp Power Amplifier/ウイリアムソン型6V6GTpp 山水 HF-V60のオーバーホール(1983年)

(1998.3.5)+(1998.4.13)+(1998.8.23), (2002.11.23)

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[Photo 1-1] My 2nd HF-V60/山水HF-V60の2台目

正面にあるアルミ板はもともと金属製の山水のロゴがネジ留めされていた部分に貼り付けたもので,今から考えると大変趣味が悪い。

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What Amplifier is this?/どういうアンプか?

このアンプは1950年代末に売り出されたもの。私は1980年に1台目,1983年に2台目を発見し手元にやってきた。1台目は外観は原型のまま保存されていたが,内部は改造の手が入り3接に改造してあった。球は生きていた。2台目はギターアンプに使用され故障により引退していたもので,シャーシ側面に穴が開けられ入力ジャックが取り付けられていたし,正面の山水のロゴが紛失していた。内部はオリジナルに近くフィルタ用抵抗の断線があった。球は整流管がエミ減,出力管は1本がマツダ,1本がNECというちぐはぐなもので,マツダはエミ減に近かった。2台そろってから,ステレオ用に修復し,現役復帰させた。

当時の私は真空管アンプがどういうものかは知っていたし,また回路図があればアンプを作ることぐらいはできました。半田付けもできたし,回路図も読めたのです。歪み計こそありませんでしたが,テスタやオシロスコープはありましたし,仕事がらその気になればスペクトル・アナライザも使用できました。また真空管は好きだったのでマニュアルも昔から読んでいました。根からのオーデイオ・マニアという訳でもなかったのですが,暇なので,もう少し良い音のステレオを真空管で安く作れれば良い位に考え,数年前から浅野勇氏の本や武末数馬氏の本を買い込んで勉強し始めていました。それでも,球アンプの設計というのは,真空管メーカが発表している動作例を組み合わせて作るだけのこと位にしか理解していませんでした。

だから,この山水のアンプがどんな物なのかを調べてみると,1950年代に流行したウイリアムソン・アンプの日本版であることはたやすく分かりましたが,ウイリアムソンのKT66の3接にしても,またRCAのオルソンの6F6の3接2パラにしても,管球メーカの動作例にないものを如何にして設計できるのか不思議でなりませんでした。浅野勇氏の本は読み物として大変面白かったけれども,動作例から逸脱し見事な結果を得た場合にはさりげなく説明しているだけだし,武末数馬氏の本は,易しい事を難しく書くのが得意な割にやっと設計が終わったと思ったら月並みな動作例に終わっているという馬鹿げた案配で,私のように全て説明してもらわないと訳が分からない他力本願的な人間には,どちらも帯に短したすきに長し,でした。

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Restoration Plan/修復の方針

さて,修復の方針はオリジナル復元でした。それまでの経験から,シャーシとボンネット,2つのトランス以外の部品は全て交換しました。

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Provide Parts/部品の調達

回路は原則として原型通りですが,電源部だけは改造を余儀なくされました。秋葉原を回って部品を調達しましたが,見る物全て新しく楽しかったことを記憶しています。

[Photo 1-2] Inside View of HF-V60/HF-V60の内部

内部は全て作り直してある。解体前に絵を書いてオリジナルの様子を保存,ほぼその通りに復元しました。ただし,この写真は一部改造後のものです。配線の色分けは6色です。AC100Vは白,ヒータも白,グリッドは緑,プレートは黄色,カソードは青,アースは黒,+Bは赤となっています。抵抗やコンデンサのエンパイヤ・チューブの代わりに配線材の皮を用いて色分けしています。

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Measurement/測定

このアンプは出力の直線性や周波数応答の測定はやりました。歪みの測定はしていません。このアンプは,原型通りに作りましたが,スペクトル・アナライザで周波数応答を測定してみると4Hz位のところに+4dBのピークがありました。(これは白色雑音入力時のスペクトル解析)。ウイリアムソン型は低域時定数が間違っていると各文献で指摘されていますが,山水のアンプは原型に忠実に作っていますから当然の結果かも知れません。

高域は早くから減衰します。ドライブ段の周波数特性は100kHz以上まで延びているのですが,出力段は10kHzより前から減衰を始めます。トランスが古いせいでしょうか?

また,位相反転管のプレート回路のデカップリング・コンデンサのところではパルス状のスパイク雑音(+/-5mV程度の)が観測されました。何が原因かは不明です。

ここで,測定データをお目にかけたいところですが,準備の都合上,いましばらく時間がかかります。悪しからず。(この辺の記述は後に前面改訂しましょう。)

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Listen/聞く

当初,スピーカはコーラルの1970年代初頭のメカニカル・フルレンジFLAT-8で,指定寸法の小型バスレフ箱で聞いていました。この小箱は自作ですが,板を切るのにどんどん曲がっていき,作るのには苦労しました。頑丈ですので一応箱鳴りはしません。フルレンジと言いながら,実は日曜大工センターで買ってきたツイータも付いおり,スイッチで切り替えると2wayにもなります。5kHz以上を受け持ちます。ネットワークは当初ケミコンとコア入りトランスの日曜大工センターの安物でしたが,秋葉原の三栄電気でフィルムコンと空芯線を購入しこれに換えたら俄然音が良くなりました。

ちなみに,プリアンプはLuxkitのA502です。このプリアンプはS/Nが優れていますが,さすがNFBの良く利いたアンプですから,レコードを聞くとパルス音がうまく再生できないと見え,生々しさが失われてしまっているように感じます。S/Nと引き替えに魂を悪魔に売り渡したようなアンプです。以前に使用していたアンプはLuxmanの707というトランジスタの安物プリメインで,イコライザ回路はトランジスタ1石の簡易型でシーシーと雑音を出す代わりに,もっと生々しい音でした。

さて,今回のアンプの印象ですが,前述のスピーカと組み合わせでは,ハム音はほとんどなく,その意味では良くできました。しかし,低域は50Hzを再生できないのは勿論,高域では10数kHz以上は再生できません。友人と一緒に聞いたところ,私の耳は12k付近から急に聞こえなくなることも分かりました。さて,アンプの評価を下すとすれば,やはり低音不足で不満。かと言って中高音域が優れているとも言えません。

さらに,パルス音が入ると背景がガサッとするように感じます。超高域の間欠的な発振?山水のこのアンプはNFBループ2カ所に高域の補償用コンデンサが入っていますが,定数は原型通りとし,私は結果を見ながら調整することはしていません。その影響もあるのでしょうか?アナライザで測定できないこともあり,25kHz以上の周波数特性はチェックしていません。

一度はフルレンジでないものを聞いてみたかったので,1987年に念願のマルチウエイ型のスピーカを購入,コーラルのDX-SEVEN-IIという3wayでしたが,換えたとたんに音が情けないものに変身,今日までそのままの状態が続いています。無理なことをやっているのは承知。

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