ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

Tube Radios Before WWII/戦前の真空管ラジオ

1 Early Globe tube Ages/初期のナス管時代

Battery set and Eliminator Radios/電池セットと交流ラジオ

01: Early Battery Tube Radio
1: Early AC Radio
12: Early Normal Four tube Radio
13: Early Pentode TRF
14: Early Midget
15: Early Deluxe TRF


Page01. Early Battery Tube Radio During (1925-1935)/初期の電池管ラジオ

1st ed. (2001.1.4), (2001.7.28), (2002.4.3), 2nd ed. (2006.6.25), (2010.5.3)

HomePageRadio/Radio_P01.html

A(132) Homemade Single Tube Radio in 1920s/自作1球電池ラジオ, ('00.11.27)

Appendix. Head Phone

ACME TRIMM INC


Early Battery Tube Radio/初期の電池管ラジオ

日本のラジオ放送は1925年(大正14年)3月に始まりました。その頃のラジオ受信機は電波を受けて検波をするだけの鉱石式と,検波増幅を行う真空管式があり,真空管式の電源には電池が使われました。電池も使い捨てのものと充電式のものがありました。そのころには明かり用に電灯線が普及していたので充電式のものは商用電源を整流して電池に充電していました。充電は道具と技術を要するのでラジオ屋さんが行っていました。それらのシステムはラジオ先進国である米国や欧州からそっくりそのまま輸入されたものでした。

Circuit of Radio Receiver is../ラジオ受信機の回路は

ウルトラオーディオン(初期の再生検波ラジオ);再生検波-コイルは1つ,アンテナ回路が直列共振で再生回路は並列共振,アンテナマッチングとフィードバック強度はC分割で2つのVCの調整で決まる。互いに影響しあう。高周波増幅付きは,アンテナ側は2つのコイルからなり,アンテナマッチングは固定,同調回路はVCで行う。検波段は3つのコイルを持ち,高周波増幅用負荷コイルは固定,同調はVC調整,再生はコイルの距離を動かしてフィードバック量を調整。3極管アンプでありCgpのフィードバックは放置してある。最適点を探るには真空管のフィラメント電圧もパラメータとなっており,2個のレオスタッド(VR)がある。

レイナッツ;再生検波-コイルが3つ,アンテナのマッチングコイルがある。同調回路が並列共振,再生回路は直列共振回路で,アンテナマッチングはタップ切替,同調もタップとVC調整,フィードバック量はタップとVC調整でできる。全て独立している。最適点を探るには真空管のフィラメント電圧もパラメータとなっており,2個のレオスタッド(VR)がある。

ブローニングドレーキー;高周波増幅回路のCgpを打ち消す中和回路を装備。検波段のコイルに中和用(位相反転用)コイルでフィードバックし,中和コンデンサ(ニュートロドン)とで直列共振回路を構成,Cgpを打ち消す。他のコイルも電磁結合を避けて離す技術を確立。Cgpの打ち消しにはなお,最適点を探るには真空管のフィラメント電圧もパラメータとなっており,2個のレオスタッド(VR)がある。

リフレックスとトリルダイン;真空管節約のための回路で,高周波と低周波を同時に増幅。

Battery/電池

ラジオ用電池には用途によりA,B,Cと揃える必要があります。Aはフィラメント用,Bはプレート等の高圧用,Cはグリッドなどのバイアス用電源です。ラジオ用電池はその消費電力により充電式の蓄電池と使い捨ての乾電池がありました。充電式は高価でしたので,消費電力が大きいA電源には充電式が,消費電力が小さいBやC電源には乾電池が使われました。

昭和7年(1932年)発行のラジオ教科書によると15Ahや30Ahなどが市販されていました。今日でもこのような大型のものには自動車などで使われており,種類は鉛蓄電池などが存続しています。ラジオ放送が始まった当時も国産化され,製造していたようです。


A(132) Single Tube Radio/1球電池ラジオ in 1920s ('00.11.27)

Early time single battery tube radio manifactured in latter 1920s. Although the name plate indicates M.K.SET KIKUYAMA & CO., it may be homemade using kit. NVV-6A, very rare battery tube, had been used in it.

昭和初期の単球ラジオセット。自作かキットか?ラジオはM.K.SET KIKUYAMA & CO.(麹山商会?)とだけ表示があります。このラジオはYahooオークションで見つけたもので,トップチップらしき真空管が見えたので思わず入札しました。見事!珍しいラジオでした。NVVの球は当時RCAやサイモトロン(東芝)が活躍する時代にあって彗星のように現れて,やがてエリミネータ(交流式ラジオ)の出現期に対応できず消えていった球だったのです。

初期の電池式ラジオ:大正末期から昭和初期にかけて単球ラジオが流行りました。我が国では1925年(大正14年)に東京放送局がラジオの試験放送が始まり,様々なラジオが販売されました。輸入品もあるなか,メーカー製の国産ラジオも出現し,さらに部品(部分品)の販売も開始されたお陰で自作ラジオも流行りました。当時のラジオ技術は既に放送先進国である米国や欧州で確立されていたため,ラジオ受信機の中身はレシーバを耳にあてて聞く鉱石ラジオだけでなく,現代でも主流のスーパーヘテロダイン型ラジオまでありました。でも,世は真空管時代で,また商用の交流電源式はいま一歩待つ必要がありました。そんな時代に普通の家庭がラジオを聴こうと思うと,一番安上がりな方法は鉱石ラジオを購入する,もう少し奮発すると極簡単な1球ラジオでした。ちゃんとしたメーカー製でなくキットの組立品ならもっと安い。町のラジオ屋が組み立てれば安価でしたし,自分で組み立てればなお安い。電池式の時代には普通の真空管RCA UV-201Aなどの他に消費電力の少ない経済的なポータブルラジオ用の真空管RCA UV-199なども販売されました。このUV-199は我が国でもたちまち国産化され,放送開始前には,東京電気(サイモトロン,現東芝)や他のメーカーから種々の互換管が販売されました。1球ラジオといえば,そのような経済管を用いたラジオが後に一般的になりました。

その1つ,日本真空管製造所(NVV)という会社が,昭和2年頃に,日本独自の規格の NVV-6Aを販売していました。その実体は文献で見て想像するより手はありませんでしたが,何と,それを使用したラジオが出てきました。それが,ここに紹介する麹山商会?の1球ラジオです。だからラジオの製造年代はおおよそ1926年から1930年頃だと思われます。なお,NVVの真空管はその後どうなったかというと,我が国では1928年(昭和3年)頃からエリミネータが出現したが,(池谷理,受信管物語,No.10)によれば,1929年(昭和4年)に東京電気が旧電池管の撲滅を図るために従来のUX201Aを値下げ,これによって小メーカだったNVVの平尾社長はネオンサインへと転業,NVV印の真空管は終わりを告げました。真空管工場は工場長だった石井英寿氏が継承して新たに安東製作所と改名してその後も真空管を製造したそうです。

Fig.132(a) Front panel of 1920s single tube radio. 電池管1球ラジオ。左は同調ダイヤル。右の矢印はフィラメント電圧調整用レオスタッド。ツマミだけは紛失している。左の陸軍端子2つはアンテナとアース,右下の端子2つはレシーバ用。

箱の大きさは235x165x150mmで,底板と天板は255x10x160である。木製であり,パネルと同調ダイヤルはエボナイト製のようだ。表面は変色している。キャビネットは木製なのですが,パネルはエボナイト板のようです。つまみは100目盛り刻みの超大型で円盤は10cmありました。

この時代の木製は水拭きでも汚れが取れないのですがなにか良い掃除方法はないでしょうか?シンプル・グリーンで擦っても余り取れません。エボナイト板はツマミを取ったところは黒く,他は灰色のように変色しています。きっと,ぴかーるかなにかで研磨しないとだめでしょうね。

Fig.132(b) Back panel. A and B battery power terminals/電源端子は電池用でA,Bである。電池はAが4.5V, Bが45Vである。

Fig.132(c) Inside view of single tube radio. The tube is NVV type 6A (Japan original DC tube)

左よりUXソケットに入った1球,レオスタッド,グリッド・リークとマイカドン,コイル,バリコンが見える。手前に電源用3端子がある。真空管は電池用のNVV Type 6A。UX-199を大型のガラス容器に入れたような球である。グリッド・リークは2 1/2Megとある。2.5Mohmである。バリコンは容量は分からないが大型でローター8枚,ステータ7枚。コイルはローロス型だが巻き線は同調用の1組しかない。アンテナとアースは直列に同調回路に入る。グリッドへの給電は並列同調回路のようになる。プレートとアンテナが結ばれており,深い再生になっている?これで受信できたのだろうか?電池はAが4.5V, Bが45Vである。

NVV type 6A

この球の規格は色々探してみると,池谷理氏の受信管物語(5)(岡田章さんに感謝)に,昭和2年頃の規格として出ていました。

検波,増幅用 Ef 3.5-4V, If 0.2A, Eb 20-90V

山川正光氏の世界の真空管カタログには,

Ef 4.5V, Eb 90V, mu6.6

とありました。規格はほぼRCAのUV-199/UX-199と同じで,違う点はその形状でしょう。他のどれにも似ていません。ガラスは太いのですがナスではなく直管で,頭にチップがついています。ベース直径35mm,ガラス管も35mm。ベースは縦34mm,ベース底からガラス頭(チップを除く)まで90mmという大きさです。足はUXです。内部はほとんど銀色ですが下の方が薄く,内部がわずかに見えます。普通のピンチステムで,電極形状はUX-199のような感じです。私は普通の電池管199すら持っていない変なコレクターです。ここで,疑問が生じました。いつもなら,真空管試験器TV7/Uでテストするのですが,このような古典管をTV7/Uでためして大丈夫なのでしょうか?近代電池管はEbmax90V程度の球でも平気で150V印加してテストするのですが。TV7/Uは150V固定なのです。また,TV7/Uにも99の項はあり,UX-199はテストできるはずなのですが,心配です。どなたかご存じの方,経験者はおられますか?

Fig.132(d) Maker LOGO/MKset, KIKUYAMA & COと読める。

Fig.132(e) Close door view

Fig.132(f) Open door view

Circuit of Single Tube Radio/1球ラジオの回路

1球ラジオの相場は,単なるグリッド検波ラジオに見えます。我が国の初期の頃の単球ラジオは,田口達也さんの「ヴィンテージ・ラジオ物語」に出てくる川喜多研究所B-10型受信機のように,単なるグリッド検波にレシーバ・セットという組み合わせですから,至極当たり前のように思えます。でも何か違います。

B-10型受信機の同調回路は,同調用コイルとバリコン,それにアンテナ・マッチングのためのアンテナ・コイル,さらにマッチング調整用のスイッチと2つ目のバリコンがありました。おまけに初期の頃には放送周波数帯が2つに分かれていたので,周波数帯切替用のスイッチとコンデンサまで付いていました。東京電気のサイモフォーンA-2型は低周波増幅付きの2球式ですが,同調回路は同じです。ちなみに,アンテナは引き込み線を含めて20mから30mを推奨していました。そんな立派なアンテナであっても,感度を上げるために各社ともアンテナ・マッチングを重視したようです。アンテナ・コイルはL(long wire)かS(short wire)の2点タップ式ですが,直列にバリコンを挿入し念入りに微調できました。廉価な鉱石ラジオの場合,バリコン不要なアンテナ・コイル多点タップ式かスイッチ切替式でした。真空管ラジオはその後,再生検波の許可とともに検波回路は再生付きグリッド検波か,超再生検波になって,高価な2つ目のバリコンは再生検波用のバリコンに代わり,マッチング用バリコンは消えて無くなりました。感度が良い分,アンテナ・マッチングは簡略化され,アンテナ端子を2つ用意し,コイルのタップでLかSを選ぶだけとなりました。バリコン1つの鉱石ラジオに真空管アンプを付加したハイブリッド・ラジオもありましたが,バリコンは1つしかなく,アンテナ入力端子にLとSのタップを用意した廉価なものでした。

さて,本ラジオは単なるグリッド検波ラジオですが,アンテナ・コイルもありません。どうやって,アンテナ・マッチングがとれるのでしょう?同調コイルはローロス型の2端子型で,一方はバリコンにつながれ,同時にグリッド・リーク抵抗とグリッド・コンデンサを通じて真空管グリッドに接続されています。もう一方のコイル端子は,アンテナ端子に直接つながれているのですが,そればかりか,何とプレートにつながれています。これは発信器?アンテナを繋ぎ,アースをつなぐと直列共振回路となります。そして,コイルにはプレートから猛烈なフィードバックが。常に発振状態の中,電波が入ると検波されるのでしょうか?実にすごいラジオです?あるいはダイレクト・コンバージョン方式のラジオであったかも。現存の部品と配線ではそう判断せざるを得ません。あるいはもう1つローロス型の同調コイルがあって,失われてしまったのでしょうか?プレートがアンテナにつながれていても感電しないのは,電池式ならではのこと。

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Appendix. Head Phone

TRIMM

Yahooオークションで見つけた米国ACME TRIMM INC製の両耳レシーバです。

ACME TRIMM INC., Libertyville Ill. U.S.A.

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SAWAFUJI MFG. CO. Radio Headphone SF-24

Yahooオークションで見つけた国産サンフジ製作所製の両耳レシーバです。2k ohmとありました。

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