ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

Tube Radios Before WWII/戦前の真空管ラジオ

1 Early Globe tube Ages/初期のナス管時代

Battery set and Eliminator Radios/電池セットと交流ラジオ

01: Early Battery Tube Radio
1: Early AC Radio
12: Early Normal Four tube Radio
13: Early Pentode TRF
14: Early Midget
15: Early Deluxe TRF


Page 15. Early Deluxe TRF (1932-1936)/初期のデラックス-ストレートラジオ

1st ed. (2004.12.24)-(2005.1.22), (2006.6.26),-(2009.8.2), 2nd ed.(2010.5.3)//(2010.6.27)

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C(200) Nanaola type 96/796 RF 3 stages 6 tube radio receiver chassis in 1933-1935 /七欧無線電気商会ナナオラ96型/796型高周波3段6球受信機シャーシ ('04.11.29)


C(200) Nanaola type 96/796 RF 3 stages 6 tube radio receiver chassis in 1933-1935 /七欧無線電気商会ナナオラ96型/796型高周波3段6球受信機シャーシ ('04.11.29)

ナナオラ96型は1932年(昭和7年)に発売された高周波3段のペントード6球の超遠距離用高級セットで,1933年(昭和8年)7月のカタログによれば,北米ウオールナットベニア使用近代型ミゼットキャビネットにダイナミック組み込み。SG球高周波3段ワンコントロール,6球式、235-235-224-224-247-280、ダイナミック組み込み、卸し98円。高さ50cmのカセドラル型キャビネットで,シャーシは796型といいます。卸し49.80円。スピーカは482P型(ペントード用)ダイナミックコーン(卸し10.50円)。1935年7月には,シャーシのみの写真がカタログに掲載されていましたが,販売用の内容や価格はありません。95型795型は高周波2段でこれは1939年まで掲載されていたのに対し,高周波3段は1935年頃で消えたようです。

ナナオラ96型(1933年)

ナナオラ796型シャーシ(1933 年)

フラワーボックス482P型(1933 年)

ナナオラ796型シャーシ(1935 年)

ナナオラブレテン1932年掲載の高周 波3段受信機(796型の原型)

田口達也氏のヴィンテージラヂオ物語り(誠文堂新光社刊,1993年)にナナオラ96型と同じ高周波3段6球のナナオラ94型受信 機が掲載されています。キャビネットデザインは瓜二つ、本796 型シャーシの外観もツマミを除き94型のシャーシと良く似ています。ただ し、部品配置が若干異なります。94型は手持ちのカタログにはありませんが、田口氏の記事中の94型の聴取無線電話私設許可書が昭和11年5月であること から、1935から36年頃の一時期だけに販売されたものかもしれません。不思議なことに田口氏の94型の回路図は96型のものが流用されているよ うで,真空管は235,ハ224, 247, 280と紹介されているものの,写真に見える球はUZ-2A5, KX-80に置き換えられているし,高周波球は見えませんが,シールドケースの形状からするとUY-35B, UY-24BもしくはUZ-58, UZ-57だったかもしれません。

高周波3段6球受信機のナナオラ96型は、当時の地方に住む人々の脳裏に遠距離用受信機の代表として焼き付いたようです。伊藤商会 のカタログには、相当品のゴンドラ96型が生き残り、1939年のカタログにも掲載されています。真空管は、UZ-58-UZ-58-UZ-57-UZ- 57-UZ-2A5-KX-80と代わっていましたが、高周波3段の構成は変わりません。

ゴンドラ96型(1939年)

ゴンドラ96型のシャーシ(1935 年)

ナナオラ96型と94型の回路図の共通点は高周波コイルでしょう。自動ゲイン調整(AGC回路)なしにどうやって、高利得の高周波 増幅回路をまともに動かすことができたのでしょうか。高周波増幅球の負荷はグリッド同調用ソレノイドコイルよりも径の小さなハニカム巻きチョークコイルと してボビンの中に置いて結合を弱めたこと、設計当時の高周波増幅球は、後のST管57, 58よりも低gmの235, 224だったこと、さらに、235, 224はプレートを遮蔽グリッド筒が取り囲んでいるシールド良好な構造だったこと、など、ゲインよりも安定性重視の設計だったはずです。新型のUZ- 57, UZ-58を採用した後継機種のナナオラ95型は高周波2段としていることからも、高周波3段受信機は、235, 224専用だったことが伺えます。ナナオラ96型を入手して、戦後の部品で修復しようとすると、高ゲインでしかもシールドの不完全な57,58での置き換 えたり、コイルを戦後のトリオやスター製に置き換えては、発振に苦しむことになりましょう。

私はYahooオークションでシャーシ796型だけ入手しま した。遠距離用高級受信機だけあって、内容はダイナミック用大形電源トランスとSG球高周波3段用の4連バリコンが残っていますが,トリオらしきスーパー コイルと小型角型IFT2個が導入され、58-56-58-57-2A5-80の6球スーパーになっていました。真空管シールドケースも何故か鉄製ビク ターに良く使われたものに変わっていました。あれって,UZ-58などの上部のシールドに良いように狭めてあるのかもしれませんが。

front view of Nanaola 96/796 chassis

Top view of Nanaola 96/796 chassis

1本だけオリジナルの真空管シールド筒が残っています。

Back view

Dial

 

Inside view of chassis

一番変わったのはこのシャーシ裏の配線状況でしょう。部品集合用ベークライト製端子板が消え失せて,ナナオラの面影を留めていません。

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