ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

Radio Tubes After WWII/戦後のラジオ球

Audio Tubes/オーディオ球

Power Pentodes -Japanese (P Series)

Power Pentodes -American

Power Pentodes -European(1)GT

Power Pentodes -European(2)MT

Power Pentodes -European(3)MTtp


Page-A_EU_P: European Power Pentode in Japan/日本の中の欧州系5極出力管

Mullard/Philips Family - PART 1 Glass Tubes/GT管

2nd Edition (2006.11.23)-(2010.7.30)-(2010.10.2)-(2013.5.3)-(2013.6.30)-(2013.7.7)

HomePageVT/Audio_EU_Pentode.html


EL34/6CA7

EL37

Matsushita- National /松下

Kobe-Kogyo/ TEN

NEC

Hitachi

American GE(Mullard)

Mullard

Non Mullard/Philips

-

KT66

Osram


EL34/6CA7

EL34/6CA7 may be developed in 1949 by Duch Philips.

EL34/6CA7ほど今日でも有名な球はないでしょう。EL34のモデルは森川忠勇氏がMJ誌82年7月号で解説しておられますが,ここでは私が偶然に入手した球を並べて,松下製の少し詳しいモデルの解説をしましょう。

EL34/6CA7はオランダPhilipsが1949年*に開発した5極出力管です。EL34は,当初ロックイン管(米国のロクタル管,PhilipsのKey-Valve)として開発され,EL60としてデビューした出力管のオクタルベース(GT)版です。Philipsは販売の世界戦略のためかKey-valveベースをより一般的な米国オクタル管(GT)に焼き直し,EL34を誕生させました。Philipsは戦前1941年にもP型ベースのST管EL50を開発していますが,製造は戦争で中断し,真空管マニュアルも改めて1949年に出版しています。そして戦後,ガラスボタンステムのミニアチュア管を含むKey-valveを開発し,オーディオ用大形管としてEL60を開発していたところでした。ですから,EL34デビューの頃のデータシートの特性グラフにはEL60とEL34の名称が混在しています。何しろ,電気的特性は電極間静電容量を除いて等価でしたから。

米国系の在来の5極管と比較してgmが高く感度が良いのは欧州の伝統です。従来の球と異なる点は

といった事が挙げられましょう。

1960年頃の互換資料(**)によると,当時EL34はイギリス,ドイツ,オランダで作られ,また米国EIA名6CA7の球は非米国企業によって登録され,ドイツ,オランダで作られたとあります(この資料では当時日本では作られていないが実際は作っていたので,単なる情報漏れと考えられる)。イギリスはMullard,ドイツはTelefunken,Simens,オランダはPhilipsを指すものと思われます。

*初稿(1998年)では1953年頃と推定しましたが,Philipsのデータシートを見ることができ,修正しました(2010.7.30)。データシートでEL34は(3-11-'49)1949年11月3日まで遡ることができ,さらに,EL34のデータとして容器違い(Key-valve(Lock-in))のEL60のデータシートが含まれており,これは(2-2-'49)1949年2月2日です。FrankのWebサイトによる)。

**C.P.Marden, et al."Electron tube interchangeability chart", C54, Electronic industries, June 1962.

[Yd7][Yd7]

Early Time 6CA7-GT(EL34) introduced in Matsushita Electric "National Color Breten" No.11 in September1954/

ナショナル・カラーブレテンNo.11(1955年9月)で紹介された最初期の6CA7-GT(EL34)。左は写真で,右は挿し絵。注目すべきは,名称にわざわざGTを付けていることだ。本文中にもそう紹介している。

写真でははっきりしないが,プレート,カソード,マイカ,g1フィンの形状,プレートの固定法などは後のモデルと同じようだ。ベースは金属シェルを使っており「ルース・ベース不良は全くない」と紹介している。また,ボタン・ステムを使い「各電極リード間の距離が大きく,ステム・ガラスの電解は全く起こらない」としている。

1958年4月のカラー・ブレテンNo.45でも小さく写真が掲載されているが,同じ形をしている。1958年1月1日発行の松下真空管ハンドブックに掲載されている6CA7の形状はやはり金属シェル,ガラス径は33maxであった。

[Yd7][Yd7]

From Left, Advatise of American Amperex (IRE, August 1959), and Advatise of Mullard (Electronics, January 1961).

左は米国Amperex社の1959年8月のIRE誌の広告。右は英国Mullard社の1961年1月のElectronics誌の広告。ともにPhilips系の会社。ポンチ絵しかないが貴重な情報源。金属シェルは少なくとも1959年までは使われていたことになる。プレートにはリブもない。それが,1960年のMullard製では普通のベークライト製ベースに変わった。プレートの継ぎ目にはカシメ部分に小窓がない。またゲッタは角型2段ではあるまいか?

森川忠勇氏(MJ82.7)は,金属シェルを用いた松下の初期モデルはPhilips製を輸入販売,またベークライト・ベース・モデルはMullard製を輸入したと推定している。しかし,1960年まで輸入していたとは,ちょっと考えられない。もっと早く,1950年代の後半には国産化していたと考えられる。(と、書いていたら、辻野さんからサンプルの写真を寄贈いただいた。1963年頃、輸入していたようだ。下でその写真をご覧にいれます、2013年追記)

Back to TOP

Matsushita-National 6CA7/松下の6CA7

[AfTr][7a7r]

Matsushita National 6CA7s(EL34s) Part-1 (OD), in April 1957, and Telefunken EL34/
松下ナショナルの6CA7(EL34),1957年4月製(OD)と同じくメタル・シェルのテレフンケンEL34(製造時期不明)),

(松下のサンプル、及びテレフンケンの画像、京都府、辻野泰忠氏寄贈)

[AfT] [7a7r]

Top View of Matsushita and Telefunken

[AfTr] [7a7r]

Bottom View of Matsushita and Telefunken

[AfT] [7a7r]

Buton Stem of Matsushita and Telefunken


[AfTr]

Matsushita 6CA7(EL34) (Part-2) in 1959(MF) and 1958(NG)/他の松下6CA7(EL34)のサンプル、1959と1958

松下6CA7(EL34)のサンプル(その2)。1959(MF), 1958(NG), ともに空気漏れ。(京都府、辻野泰忠さん寄贈)。右1958年のサンプルは天井部にゲッターフラッシュの遮蔽板が付いていたが、1959年の右サンプルになると、角形ゲッターのフラッシュ方向がコントロールできるようになり、それが無くなった。

[AfTr]

Glass Matsushita 6CA7(EL34) in 1958(NG)/松下6CA7(EL34)、1958のガラス割れ

ガラスの割れ。松下製は良く割れたそうで。これより後の時代には改善されたようだ。


G_P4P_EU/6CA7-mat0K1C_Yd6.jpg[Yd6]

Matsushita National 6CA7s(EL34s) Part-3, Left in November 1960, Right in March 1961.

松下ナショナルの6CA7(EL34),左は1960年11月製(H 0K,(E)),中古,gm=48。右は1961年3月製(I 1C,(E)),中古,gm=44。0Kのモデルは1950年代末からのもの。この写真の範囲では造りはともに全く同じ。6CA7(EL34)の外観上の共通の特徴は,平頭ガラス,リブなしプレート。G1に平板をV字型に折り曲げた放熱フィン,2本のG3支柱先端にそれぞれゲッタ。しかし,両モデルに違いも見られる。まずベース印字の印刷面が異なる。また後述するようにゲッタの形状とベース・ピンの加工が異なる。

Mullard社製と異なるのはプレートのつなぎ目にカシメ小窓があること,ベース・キーの先端に穴が無いこと,である。すなわち,これらのモデルは全くの国産であろう。

[Yd6]

View of Upper Mica/上部マイカ板の様子。

写真左は手前がg3支柱,次に黒く短いg2支柱,奥にg1フィンが開いており,その右側に金属片を溶接してマイカに固定したプレート支柱がある。g2支柱が黒いのは巻き線や支柱を着炭させた結果,すなわちg2はカーボン・コーテイングしてあることを意味しており,g2の最大損失向上に寄与している。またプレート・他電極間に直線状の切り込みがあり,耐圧を確保しているのが分かる。写真右は左右のg1支柱に挟まれて,扁平なカソード・スリーブの頭が見える。そして,g1とg2の間にも直線状の切り込みがあり,g2の耐圧を確保している様子がわかる。

[Yd6]

Square Getters in Nov 1960 and Daughnut Getter in March 1961/角型ゲッタとドーナツゲッタ

ゲッタは左の1960年11月製(H 0K,(E))が角形2つ。ただし,1つの枠に2本のゲッタ棒が付いているから合計4つである。右の1961年3月製(I 1C,(E))はドーナツ型2つ。

[Yd6]

Base pins/ベースピン

この時代のベース・ピンはともに6PINが無い。ベース・ピンの先端には違いが見られる。左の1960年11月製(H 0K,(E))ではやや尖ったテーパーが掛けている。右1961年3月製(I 1C,(E))は丸みを帯びている。


[7a7r] [7a7r]

Imported Version of Matsushita 6CA7(EL34) (Part-4) in 1963/松下の輸入版6CA7(EL34)のサンプル

[7a7r] [7a7r]

Base of Imported Version of Matsushita 6CA7(EL34) in 1963/松下の輸入版6CA7(EL34)のベース

松下6CA7(EL34)のサンプル(その4)。輸入品。マイカノール。1963(写真提供、京都府、辻野泰忠さん)

辻野さんのコメント;茶ベース、松下のスタンプ p 3A 3A (E)

同時期の製品との違い; 1)D型ゲッター2個でも丸みがある。2)ガラスがやや樽型。3)プレート板にリブがない。4)プレートにかしめ穴がなく溶接のみ。5)ベースキー部分に子穴あり。ベースの形状も異なる。6)ガラスにフィリップス系製造コードが印字されている。Xf●/L2I3


  [Yd6]

Matsushita National 6CA7s(EL34s) Part-5, Left in November 1963, Right in December 1965.

松下ナショナルの6CA7(EL34),左は1963年11月製(O 3K,(N)),新品,gm=50。右は1965年12月製(E? 5L,(S),工業用),中古,gm=52。1961年から2年の間に,まずベース印刷からガラス管壁の印刷に変わった。プレートは2本のリブ付きになった。ガラス管壁の印刷は1963年からの2年間のうちにさらに位置が中央から上部へと変わったのが分かる。

[Yd6]

Glass Heads/ガラス管頭

さらに63年からの2年間で平頭ガラスが丸型で十字の筋付きに変わっている。ガラス加工が自動化に向いたものとなったのだろう。

[Yd6]

Daughnut Getter/ドーナツゲッタ

ゲッタは1961年から2年の間にドーナツ型1個の簡易型になった。g3の長い支柱の先端に取り付けてあるのは変わりがない。ゲッタの付いてない方も長い。1963年から65年の間で異なる点は,g1支柱の先端の色である。g1支柱はもともと銅色であるが,先端部は銀色をしていた。それが,この時期に先端部まで銅色に変わった。


[Yd6]

Matsushita National 6CA7s(EL34s) Part-6, Left in September 1969, Right in 1970s.

松下ナショナルの6CA7/EL34(左)は1969年9月製(X 9I,(W)),中古,gm=52。右は6CA7,1970年代製(U VI,(E)),中古,gm=53,(hkショート事故球)。1965年から4年の間に,まずガラス管壁の印刷がナショナル・ブランドから三松葉ロゴに変り,管名が国際表示/EL34とmade in Japanが加わった。それが1970年代になると再びナショナル・ブランドに戻った。また,1970年代になると,下部マイカ付近のプレートの開口部が上の写真のようにやや大きくなった。プレートのマイカ留めは相変わらず支柱に金属小片の溶接である。森川忠勇氏(MJ82.7)によれば,松下製の最後期の球は折り曲げ式に変わるらしいが,私はサンプルを持っていない。

[Yd6]

Suport rod of Daughnut Getter was moved from g3 to Anode/ドーナツゲッタ支柱はg3からpへ移動

Getter Ring/ゲッタの位置が1969年まではg3であることが分かる。1970年代になるとプレートに移る。

[Yd6]

Heater type; from Hear-pin type to Spiral type/ヒータはヘアピン型からスパイラル型へ

Heater/ヒータは1965年から1969年の間にヘアピン型からスパイラル巻きになる。写真では余り良く分からないだろうが,両者とも太くなっている。

[Yd6]

Boxs- From Left, November 1963, September 1969 and September 1970s.

松下6CA7(EL34)の箱。左から3K(1963年11月),9I(1969年9月),VI(1970年代の9月)。箱の正面と裏面は日本語(ナショナルのロゴと「真空管」,「松下電器産業株式会社」),左右面はその英語版。1963年の英語面はナショナルのロゴも英語版で文字のスタイルは戦前のものだった。それが6年の間のいつしか日本語のロゴに変わった。箱の大きさもやや小さくなった。

[Yd6]

Top view of Boxs/松下6CA7(EL34)の箱の上面。

Top of 3K(1963年11月)では,6CA7/\1,400とある。またナショナルのロゴの右上にIbランクを示す(N)のゴム印が後から押されている。9I(1969年9月)版では,管名とランク(W)のみ表示。VI(1970年代の9月)では再び管名の下に\1,400と表示された。

[Yd6]

Matsushita Pair Tube Box/松下6CA7(EL34)のペアーチューブ箱

松下6CA7(EL34)のペアーチューブ(プッシュ用)と表示された箱。中身は上の9IやVIの箱が入っていた。


[AfTr]

[AfTr]

Matsushita 6CA7(EL34) (Part-7) in 1963(3K) and 1973(YU)/他の松下6CA7(EL34)のサンプル、1963と1973

松下6CA7(EL34)のサンプル(その7)。1963(3K), gm=6〜10<30, 1973(YU), gm=18<30。ともにエミ減。(京都府、辻野泰忠さん寄贈)

Back to TOP

Kobe Kogyo TEN 6CA7

[Yd7]

Kobe Kogyo TEN 6CA7(EL34), Left, August 1968 and Right August 1963?/

神戸工業TENの6CA7(EL34)。左はOT(1963年8月?),右は9HH(通信用1966年5月)。ともに中古で,左gm=47,右gm=49。モデルOTは,丸頭のガラス。4リブ・プレート,プレートの繋ぎ目は支柱を挟み少し隙間がある。それ以外松下製に良く似ている。9HHは平頭ガラス。プレートがリブなし,継ぎ目はぴったりしている。マイカは2重で爪の位置が違う。下部マイカは爪なし。

[Yd7]

Doughnut Getter, 1963?, 1966

Getter 左はg3支柱にドーナツ2個,右はプレートに1個。

[Yd7]

Top View of TEN 6CA7(EL34); Look Cross section of Cathod sleave

Cross section of Cathod sleave/ カソード・スリーブの断面。左は松下と同じ扁平楕円。右は平角型。これに応じてプレート断面の形状も左はやや楕円に近いが,右は平角型に近くなった。プレートのマイカ板への取り付けは,左は支柱に金属片の溶接。右は爪の折り曲げと溶接。

[Yd7]

Top Mica of TEN 6CA7(EL34); Single and Double

Top Mica/上部マイカ。左は1枚で切り込みは細い。右はマグネシア塗布した2枚マイカ,切り込みも遥かに太くなった。

  [Yd7]

Box of TEN 6CA7(EL34) in 1963?

Box/神戸工業TENの6CA7(EL34)のモデルOTの箱。底面にN-3。底面の裏に7-4N。上蓋には「テン真空管は米国アールシーエー社の特許と直接の技術援助のもとに完備せ最新設備により完全な品質管理下にもっぱらその優秀な性能は風に各方面から絶賛を博して居ります」。

Back to TOP

NEC

[1i8]

NEC 6CA7 (34) 1973年.

NEC製は大きな目が特長。g1フィンは平型で小さい。ドーナツ・ゲッタは1個でg3に接続。ガラス頭は松下と同じ十字型の切れ目をもつ。ガラス長が5mm程短い。

Back to TOP

Hitachi

[1i8]

Hitachi 6CA7 (5-3?) 1965年.

日立製は黒化プレートを採用し,リブなしである。g1フィンはへの字型。ドーナツ・ゲッタは2個で頂部はプレートに接続。その他,プレート側部にある。上部2重マイカでg1にスリットあり。

Back to TOP

GE(Mullard) 6CA7/EL34

[Yd7]

American GE Bland-6CA7/EL34/米国GEブランドの6CA7/EL34

写真は2本とも同じロット。GEは自ら生産することなく商社のような商売をしていた頃の球。ガラス管壁は落ちやすい白字でGEのロゴの他RN 186-5,Great Britain(エッチングでXf4 B9A4)。おそらく英国Mullard製。1970年代。中古,左gm=46,右gm=47。プレートはリブなし。ヒータはスパイラル巻き。ガラス径は32ファイ。g1,g2,g3支柱は全て銅色。カソード・スリーブは扁平楕円だが,シームド。防振用にカソード・スリーブの開口部はマイカ上で潰してある。

[Yd7]

Top View of GE 6CA7/EL34

マイカは爪が全周で4箇所しかない。g1フィンの取り付けは左右対称でなく少し角度を付けている。ゲッタはドーナツ型1個。両g3支柱に1個のゲッタ環が溶接され,機械的に丈夫。

[Yd7][Yd7]

Base and Box of GE 6CA7/EL34

欧州製を物語るベース・キー頭の穴(半田時のガス抜き)。箱は月並みな1960年代のGE。しかし,管名表示6CA7/EL34の右側にPhilips系のランク表示"S"が見える。

Back to TOP


EL37

EL37はMullardの開発した5極出力管。

Back to TOP


KT66

KT66は英国Osram/GECが開発したビーム出力管。

[Af5r]

GEC KT66, (ガス汚染し死んでいる球を入手したもの)

[Af5] [Af5r]

Top and Bottom View of GEC KT66

Back to TOP

(c)1998-2001-2002, 2006, 2013 Koji HAYASHI All rights are reserved.
1st edition (1998.4.19)+(1998.4.24)+(/2001.2.28/), 2nd edition (2001.1.4)+(2001.5.6)+(2001.5.17)+(2001.5.23)+(2001.6.16)+(2001.7.7)+(2001.8.12)+(2001.9.10), (2002.11.25)