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| ||||
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Vertical Def. Amp Tubes(1)triode |
Vertical Def. Amp Tubes (2)Beam |
Video Amp Tubes (1) Single |
Video Amp Tubes (2) Combination |
Sound Amp Tubes |
1. Video Amp Tubes/映像増幅管 | |||||
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12BY7A Family 11LY6, 8LS6 |
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11HM7, 9KX6, 6KY6/ 7KY6,7KZ6, 9LA6 |
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最近のオーデイオ・ブームではほとんど顧みられないTVの映像増幅管について取り上げました。
TVの映像増幅管(ビデオ増幅管)は,高周波用の真空管であれば何でも良いはずなのですが,実はほぼDCから5MHzまでを平坦に増幅する広帯域アンプというものには,ゲインの高い特に高gmの5極管であって,しかも電極間容量の小さな球が要求されます。さらに直線性が良いこと(歪みが少ないこと)も要求事項の1つでしょう。
TVの開発初期の頃には,映像増幅の専用管というよりは広帯域増幅管としての高周波増幅管の開発競争がありました。戦前には米国RCA 6AC7,英国Mullard/オランダPhilips EF50, 日本のマツダUZ-6302等はこれです。この系譜は,戦時中に米国で開発されたRCAの6AG5,Bell-Lab System/Western Electricの6AK5等,高周波へ向かう一方で,1946年に米国Raytheonが6AC7のMT版6AH6を発表。1950年代に突入すると,オランダPhilipsは新たなMT管 EF80/6BX6(1951)を開発し,米国RCAは 6AG5の系譜は6BC5へと若干gmを改善した版を開発する一方で,ビデオ管としても使えるIF管として6CB6(1952)を開発し,凌ぎを削りました。
一方,同じ映像信号であっても電力を要する用途に映像出力管が登場しました。米国では6AG7,欧州ではEE50やKTZ41等,日本ではUZ-6304といったところです。戦争で中断の後,欧州ではPhilipsがPL83/15A6(1951)を開発し,米国ではCBS/HYTRONが12BY7(1952),RCAが6CL6(1952)で対抗しました。日本は敗戦による荒廃のためTV放送は約10年の遅れを取り,真空管も米国や欧州からの技術導入で間に合わせようとしました。当時の日本では小型TVの製造が主でしたので,映像出力管は猫に小判,Philipsと提携した松下でさえPL83は使わずにEF80/6BX6で済ましました。他のメーカは米国RCA等と技術提携し,続々と米国型の球を製造しましたが,映像増幅管は,旧来の6AC7-GTか新鋭の電圧増幅管6CB6が主流で,業務用にのみ新鋭の6AH6を使用したようです。しかし,TVの製造が軌道に乗り始めた頃に,ようやく映像出力管の需要ができ,小型TVでは専用の複合管6AW8が1955年に,6AW8Aが1956年に国産化され,また1956年に12BY7Aが国産化されると,映像出力管はこれ一辺倒になり,黄金時代を迎えました。また,それは開発競争の事実上の終焉であったのです。以後めぼしい球は開発されませんでした。
1950年代半ばから1960年代半ばまでの白黒TV時代には,映像増幅回路は1段増幅で済んでおり,その王者は何と言ってもCBS/Hytronの12BY7Aが圧倒的なシェアを誇っていました。そして,1960年代後半にはカラーTV時代が訪れました。しかし,結論から言えば,映像出力管事情は少しも変わることなく,12BY7Aの地位は不動でした。変わったことと言えば,球よりも回路にあったでしょう。カラーTVは映像信号にYellow, Brue, Redの3つの色信号が重畳し,これを分離しそれぞれを独立にブラウン管グリッドに加える回路が新たに加わりました。グリッドをドライブするのに取り立てて大出力の増幅管は要求されませんでした。回路を見ますと,映像増幅回路は3段増幅が常識となり,さらにその後段にはカラー専用の回路が続きます。中でもバースト増幅回路は白黒時代の映像増幅管1本を要求しておりました。したがって,映像増幅3段分とバースト増幅用に映像増幅管が必要でした。以下に国産カラーTV最終年(1972年)の各社のビデオ回路とバースと回路の球を示します。
National(19") 15DQ8/PCL84(P)-12BY7A//15DQ8/PCL84(P)
Victor(19") 6LF8(P)-6LF8(T)-12BY7A // Burst6EJ7
Victor(19") 12BY7A-2SC984-12BY7A// Burst15DQ8/PCL84(P)
Sharp(19") 8JV8(P)-2SC734-12BY7A//Burst 8JV8(P)
General(19") 12BY7A-2SC499-12BY7A//Burst 5GH8(P)
Toshiba(19") 2SC372-o/y-2SC383-12BY7A//Burst 2SC499-R,Y-4EW6
Toshiba(16") 8KR8(P)-2SC383-12BY7A//Burst 2SC499-R,Y-4EW6
Sanyo(19") 10KR8(P)-2SC875-10GK6//Burst 4EJ7
Columbia(19") 10KR8(P)-2SC372(Y)-10JY8(P)//Burst 8JV8(P)
NEC(19") 6LF8(P)-2SC838-12GN7A//6GH8A(P)
ご覧のように映像増幅最終段は白黒時代と全く同じ12BY7Aが圧倒的なシェア(2/3)を占めているのに驚かされます。カラーだからといって水平偏向出力管のように特別に大型の球を必要としている訳ではないようです。また,目新しい点では最近オーデイオでも使われている高gmで有名な12GN7Aはこうしたところに使われていたのが分かりますし,また,かつてアマチュア無線のVHFアンプで有名だった10GK6,オーデイオ管EL84/6BQ5を焼きなおしたものですが,この活躍していたことが分かります。また初段アンプには広帯域の小振りの出力管が要求され,15DQ8/PCL84や12BY7Aなどの昔の球を利用するケースもありましたが,多くは白黒時代に名をはせた6AW8Aの改良球8JV8,8KR8,6LF8などを新たに開発して使用したようです。また,この時代の特徴として,ハイブリッド化が進み中段アンプはほとんど半導体化されてしまいました。もっとも翌1973年になると国内では真空管TVそのものが市場から全く姿を消してしまいました。
|
Eh V |
Ih A |
Cin |
Co |
Cpg |
Eb max (V) |
Esg max (V) |
Pb Max (W) |
Psg Max (W) |
Eb (V) |
Esg (V) (Rg2) |
Eg -V (Rk) |
Ib mA |
Isg mA |
rp kΩ |
gm mA/V |
6AC7 |
6.3 |
0.45 |
11 |
5 |
0.015 |
300 |
300 |
3.0 |
0.38 |
300 |
150 |
(160) |
10 |
2.5 |
1M |
9.0 |
6AH6 |
6.3 |
0.45 |
|
|
|
300 |
300 |
3.2 |
0.4 |
300 |
150 |
(150) |
10 |
2.5 |
500 |
9.0 |
6AG7 |
6.3 |
0.65 |
13 |
7.5 |
0.06 |
300 |
300 |
9.0 |
1.5 |
300 |
150 |
3.0 |
30 |
7.0 |
130 |
11 |
6CL6 |
6.3 |
0.65 |
11.0 |
5.5 |
0.12 |
300 |
150 |
7.5 |
1.7 |
250 |
150 |
3.0 |
30 |
7.0 |
150 |
11 |
6197 |
6.3 |
0.65 |
|
|
|
300 |
250 |
7.5 |
2.5 |
250 |
150 |
3.0 |
30 |
7.0 |
90 |
11 |
UZ6302 |
6.3 |
0.6 |
|
|
|
|
|
|
|
250 |
150 |
(140) |
12 |
2.5 |
- |
10 |
UZ6304 |
6.3 |
0.7 |
|
|
|
|
|
|
|
250 |
150 |
(80) |
32 |
6.0 |
- |
13 |
KTZ41 |
4.0 |
1.5 |
14 |
10.5 |
0.008 |
|
|
|
|
250 |
250 |
-2.5 (250) |
8 |
- |
1M |
7.5 |
EF50 |
6.3 |
0.3 |
|
|
|
|
|
|
|
250 |
250 |
(155) |
10 |
3 |
1M |
6.5 |
EE50 |
6.3 |
0.3 |
|
|
|
|
|
|
|
250 |
250 |
- (-3V) |
10 |
0.6 |
250 |
14 |
EF93/ 6AM6, 8D3 |
6.3 |
0.3 |
7.5 |
3.2 |
0.01 |
|
|
|
|
250 |
250 |
-2 (160) |
10 |
2.25 |
1M |
7.65 |
EL821/ 6CH6, 7D10 |
6.3 |
0.75 |
|
|
|
|
|
|
|
250 |
200 |
-2.5 |
40 |
6.5 |
60 |
13.0 |
PL83/ 15A6 |
15.0 |
0.3 |
|
|
|
|
|
|
|
170 |
170 |
-2.3 |
36 |
5.0 |
100 |
10 |
12BY7A |
12.6 |
0.3 |
10.2 |
3.5 |
0.063 |
330 |
190 |
6.5 |
1.2 |
250 |
180 |
(100) |
26 |
5.75 |
93 |
11 |
11LY6 |
11 |
0.3 |
9.5 |
3.8 |
0.07 |
330 |
190 |
6.5 |
1.2 |
250 |
180 |
(100) |
26 |
5.75 |
89 |
11 |
6GK6 |
6.3 |
0.76 |
|
|
|
330 |
330 |
13.2 |
2.0 |
250 |
250 |
-7.3 (135) |
48 |
5.5 |
38 |
11.3 |
12GN7 12GN7A |
6.3 12.6 |
0.6 0.3 |
17.5 |
4.0 |
0.12 |
400 |
330 |
7.5 11.5 |
1.5 |
250 |
150 |
(56) |
28 |
6.5 |
50 |
36 |
12HG7 |
6.3 12.6 |
0.52 0.26 |
14.0 |
4.4 |
0.18 |
400 |
330 |
10 |
1.0 |
300 |
135 |
(47) |
31 |
4.8 |
60 |
32 |
11HM7 |
11 |
0.3 |
14 |
5.0 |
0.15 |
330 |
330 |
7.0 |
1.0 |
200 |
135 |
(47) |
30 |
5.2 |
40 |
30 |
9KX6 |
8.7 |
0.45 |
17.5 |
4.0 |
0.12 |
400 |
330 |
11.5 |
1.5 |
250 |
150 |
(56) |
28 |
6.5 |
50 |
36 |
6KY6 |
6.3 |
0.52 |
14 |
6.0 |
0.16 |
330 |
330 |
9.0 |
1.0 |
200 |
135 |
(47) |
30 |
2.2 |
40 |
30 |
7KZ6 |
7.3 |
0.45 |
13 |
6.0 |
0.16 |
330 |
330 |
9.0 |
1.0 |
250 |
115 |
(75) |
25 |
3.6 |
45 |
24 |
9LA6 |
8.7 |
0.45 |
15.0 |
6.0 |
0.15 |
400 |
330 |
10 |
1.0 |
250 |
150 |
(122) |
25 |
6.0 |
55 |
21 |
戦前のTV時代は映像増幅管の開発競争がありました。米国では1938年に6AC7の原型1852が開発され,やがて6AC7/1852が誕生しました。
6AC7 8N 6.3V, 0.45A, 300V, 150V, 10mA, 2.5mA, Rk160, 9mA/V, 1M, , cgp=0.015pF, cin=11pF, cout=5pF
6AC7の構造については,当websiteの「戦時中の特殊管」の中に米国6AC7Wの解体図を掲載しています。これによると3つのグリッド巻き線を2つの板状プレートで挟んだ完全な5極管で,また電極上部と下部のマイカ板にはシールド板を張り付けてあります。
[YhH] Inside View of 6AC7/6CA7の内部電極) [YhH]
6AC7と同じ1938年頃,映像出力管として開発されたのが6AG7です。
6AG7 8Y 8-6 6.3V, 0.65A, 300V, 150V, -3V, 30mA, 7mA, 11mA/V, 130k, RL=10k, Po=3.0W, cgp=0.06pF, cin=13pF, cout=7.5pF, Pbmax300V/9W, Psgmax300V/1.5W
6AG7の構造は,解体していないので詳しくは分かりませんが,やはり同じ時代の産物ですから完全な5極構造であろうと想像できます。
6AC7と6AG7は両者とも,戦時中に米国で開発された直接コントロール型の誘導ミサイルのテレビ装置に用いられました。23.5MHzの中間周波増幅1段から5段が6AC7,最終段に6AG7,検波に6H6といった塩梅です。戦後,多くのメタル管や初期のMT管に高信頼管が作られましたが,6AC7の系統には6AC7W,6AC7Y, 6AC7WA,6134があります。6AG7は高信頼管はほとんど見あたらず6AG7Yがあるだけです。これらの球は,戦後はもっぱら業務用に使われ,特に6AC7は6SJ7とともにオペアンプとしての性能が買われ,1960年代までアナログ計算機にも使用されました。一方の6AG7は1950年代にはアマチュア無線機のドライブ管,逓倍管としても活躍しました。
以下に6AG7のサンプルをお目にかけましょう。
Front and Back of 6AG7s. From left, RCA JAN CRC-6AG7/VT-247(51 K6E) in 1946?, and RCA 6AG7(Y5 56-43) in 1956.) [ZgT]
6AG7の表と裏。Left, RCA JAN CRC-6AG7/VT-247(51 K6E),1946年製?軍用。gm=46。 中古。Right, RCA 6AG7(Y5 56-43),1956年製。gm=56。中古。
国内では,TV放送の実験放送が再開されたのは1952年,正式放送は1953年であり,その頃になってようやく6AC7-GTと6AG7-GTがビデオ増幅管として国産化されました。ただし,国内の小型TVには電力増幅管は必要なく電圧増幅管でも間に合ったのに加えて,1953年には中間周波増幅管としてRCAの最新鋭管6CB6が国産化されたこともあって,1954年頃のTVセットのビデオ出力管には旧式の6AC7-GTを使うものと新鋭6CB6を使うものとに2分され,6AG7-GTは業務用機器にのみ使われたようです。
マツダ6AG7GT[通信用]。外側に見える細い穴開き円筒はシールド缶。内部にプレートがあるはずだが見えない。天井にはゲッタ遮蔽用マイカがあり,その上に角型ゲッタ2個寝ている。 上部マイカ板の側面にサポート用マイカが垂直に立ててある。ステムはピンチ(つまみ)型ステムであるが,その片側にシールド板を配置している。中古,gm=60。
TEN 6AG7GT[E 通信用WC-12 OL27]。シールド筒はメッシュ。後期の作品らしく電極上部のゲッタ遮蔽マイカは特に無く角ゲッタ1個がそのまま配置されている。ピンチステムでコの字型断面をもったシールド板によりステムをすっぽり囲う構造である。中古,gm=52。
戦前の欧州ではTV先進国のイギリスで,MarconiがTV用の広帯域増幅用の球として4極管のKTZ41を作りました。年代は1938年頃のようです。4極といってもビーム翼を持っていたと思われます。
KTZ41 4.0V, 1.5A 250V,250V, -2.5V(250ohm), 8mA, -mA, 1M, 7.5mA/V, Cgp=0.008pF, Cin=14.0pF, Cout=10.5pF (British 7pin, 120x42mm)
250V, 250V, -1.5V(65ohm), 18mA, 5.25mA, 12mA/V
Mullard/Philipsが1939年に映像増幅管EF50,EE50を開発したと伝えられています。(J. Stokesの70Years of radio tubes and valuves, 大塚久「クラシック・ヴァルブ」)
EF50 6.3V,0.3A 250V, 250V, Rk155ohm(-2V), 10mA, 3mA, 1M, 6.5mA/V
EE50 6.3V,0.3A 250V, 250V, Rk-(-3V), 10mA, 0.6mA, 250k, 14mA/V
一方,戦前の日本では,6AC7や6AG7が開発されたのとほぼ同じ頃の1939年,東京電気(後の東芝)により映像増幅管としてUZ-6302,映像出力管としてUZ-6304が開発されています。これらは形状こそST管でしたが似たような性能を持っていました。
UZ-6302 6.3V, 0.6A 250V, 150V, Rk140, 12mA, 2mA, 10mA/V, cgp=0.01pF, cin=12.5pF, cout=8pF ST38-123
UZ-6304 6.3V, 0.7A 250V, 150V, -3V, 32mA, 6mA, 13mA/V, 180k ST45-112
しかし,TVの実験放送は開戦前に中止されたため,これらの球は本来の活躍の場が与えられず,もっぱら通信機の分野で生きながらえました。戦後しばらくは軍の放出品もあり,通信等の業務用機器にもっぱら使用されたのですが,1949年頃から国内でも米国と互換性のあるGT管の生産を開始したため,瞬く間に姿を消しました。
また,日本電気NECもUZ6302やUZ6304に相当する球MC-658A(後のCZ-511),MC-660A(後にCZ-514)を開発していました。ただし,TVの映像増幅というよりは,有線通信の同軸ケーブル中継器用の広帯域増幅管でした。MC-658AはRCAの6AC7に似た仕様ですが,原型はそれなのか,それともWEの通信管なのかは分かりません。
MC-658-A 6.3V, 0.6A 250V, 160V, -2V, 11mA, -mA, 6mA/V,
MC-660-A 6.3V, 0.7A 250V, 180V, -6V, 45mA, -mA, 6.5mA/V
戦後直ぐの1946年,6AC7の9pinMT版6AH6がRaytheonにより開発されました。
6AH6 6.3V, 0.45A 300V,150V, (160ohm), 10mA, 2.5mA, 0.5M, 9mA/V, mu40
(Without Shield) Cgp=0.030pFmax, Cin=10.3pF, Cout=2.0pF
(Shielded) Cgp=0.020pFmax, Cin=10.5pF, Cout=4.0pF
Raytheonは,gmの等しい類似球より低プレート電圧での肩特性が良く,出力や歪みが優れている,入出力容量が小さいので同ゲインで広帯域となると言っています。6AH6の代表特性は内部抵抗が半分であることを除けば他は6AC7と同じで,また,電極間容量については,シールド付きを比較してみるとCgpはやや大きく,入出力容量はやや小さめですが,ほぼ同じと見ることができます。
6AH6。左から東芝マツダ(1950年代,角ゲッタ),東芝(1960年代,ドーナツゲッタ),NEC(N2 1960年代,ドーナツゲッタ)。どれも同じ構造。
構造上の特徴として,6AC7に採用されている電極間容量の小さい細長い板状プレートを踏襲していますが,さらに6AH6はg3巻き線の代わりにビーム形成翼のようなコの字型金属フレームを採用している点が変わっています。ビーム管の条件であるg1-g2の目合わせこそありませんが,結果的にプレート電圧電流曲線の低電圧時の肩特性は良くなっているようです。シールド構造については電極上部と下部のマイカ板に長方楕円型のお皿型シールド板を配置し,ベースピン中央にもg3に接続したシールド板を配置しています。したがって,プレート以外の電極はシールドされる形になっています。一方,狭い7ピンMT管内でガラス管ぎりぎりに2枚のプレート板を配置し,カソード・プレート間距離を確保する構造を取っているので,外部シールドケースは必須です。
g3のコの字型金属フレーム構造は,戦時中にRCAが開発したUHF用MT管6AG5に源流があるようで,そこでは簡単な板状フレームが使われました。戦後RCAは6BC5,6CB6にこの構造を継承しています。Raytehonが使用したコの字型金属フレームは機械的に堅固である他,迷電子がガラス管に衝突し雑音を発するのも防止できるのではないかと思われます。この構造はコスト的にはやや不利ですが,後にTVで爆発的な人気を得たCBS/Hytronの12BY7Aや国産ビデオ管6R-P10や19R-P11にも採用されています。
さて,6AH6のその後ですが,1954年から1956年頃に工業用の6485が作られました。また,高信頼管としては1957年頃にRaytheonによって6AH6WAが作られただけで,あまり発展しませんでした。その理由は,映像増幅管には高信頼管の需要が無かったこと,6AH6は元々堅固な構造を持っていたこと,6AH6は主として業務用に製造されたこと,6AH6がRCA系で無かったこと,などにあるのでしょうか。
国内では東芝マツダはTV用の映像増幅管として1955年に6AH6を国産化しています。6AH6は我が国でも,民生用のTVにはRCA型の6CB6が国産化されていたので出る幕が無く,もっぱらオシロスコープ等の測定器や放送局の業務機器や通信機器にのみ生き残りました。特に放送器では,初段には6AH6を,後段には19R-P11等の映像用出力管を配置するという使い方をしたようです。
欧州では1940年代末に英国Brimarが8D3,MullardがEF91を登場させました。これは,米国の6AH6と同様に枠型のg3を採用した球で,米国EIAには6AM6として登録されました。
8D3/EF91 6.3V, 0.3A 250V,250V, -2V(160ohm), 10mA, 2.25mA, 1M, 7.65mA/V, Cgp0.01pF, Cin7.5pF, Cout3.2pF
この球は英国だけでも,Cossor SP6, PM07, Marconi/Osram Z77, Mazda 6F12, Tungsram HP6と7つの顔を持つ球でした。さらに,高信頼管として,Brimarが6064, Mullard M8083, Marconi QZ77, Osram QA2403などがあり,通信畑を歩んだ球でした。
国内では通信管のメーカNECが1955年頃国産化しました。手元のNEC製や英国製のサンプルには,6AH6には見られないガラス管壁のスートがあります。これはガラス内面にカーボン等を塗布し,電子衝突によるノイズ発生を緩和する役目を期待したようです。
英国製は一部のみスート。プレートのように見える電極はg3のシールド枠。
欧州Philipsが1951年にPL83/15A6を開発しました。
15V, 0.3A, 200V, 200V, -3.5V, 36MA, 5MA, RP100K, gm10.5mA/V, Pp9W
米国名6CH6も欧州系のようで,英国Brimarは7D10を1950年代初頭に開発,その米国名がこれではないかと思われます。Philips系は1950年代末にEL821として生産した模様。設計の古い6AG7系に比べて馬力がありますが,電極間容量は大きいようです。
6CH6 6.3V,0.75A 250V, 250V, -4.5V, 40.0mA, 6.0mA, 50k, 11mA/V
国内ではNECが1955年頃国産化しました。家庭のTV用では無く,放送機用に作ったようです。
欧州Philipsに対抗して,米国6CL6は1952年にRCAによって発表されました。映像出力管6AG7の9pinMT版です。スクリーン耐圧損失が小さくなっていますが,特性はほぼ同じです。
6CL6 9BV 6.3V, 0.65A, 250V, 150V, -3V, 30mA, 7mA, 11mA/V, 150k, RL=7.5k, Po=2.8W, cgp=0.12pF, cin=11pF, cout=5.5pF, Pbmax300V/7.5W, Psgmax150V/1.7W
6AC7のMT化は早かったのに,6AG7のMT化が遅れた理由は,米国では出力管のMT管化には根強い抵抗があったからだと思われます。そのためか,欧州Philipsの一連のMT管は世界をリードしていました。その1つがPhilipsが1951年に開発したTV用の新鋭の映像出力管PL83/15A6でした。これに影響を受けて米国メーカが初めて手がけた9pinMT出力管が6CL6だったと思われます。しかし,6CL6は所詮,古い設計,ほぼ同時期に12BY7Aが世に出るとTV市場に出る幕が無くなり,その後は出力の必要なアマチュア無線機のドライブ管,逓倍管として活躍していた6AG7の代替管としてのみ活躍,したがって,1950年代中頃からコリンズの送信機やトランシーバに使われて有名になりました。
国内では6CL6は1953年頃に東芝マツダやNECが国産化しました。初めは国内TVセットの一部にも使われましたが,1956年に12BY7Aが国産化されるとに出る幕は無くなり,もっぱら通信機にのみ活路を見いだしました。国内アマチュア無線のセットでは,6CL6は,出力の必要なC級ドライブ管として一時期は未来を嘱望される地位にあったのですが,1960年代にSSB化の波が訪れると,出力ドライブは不要になり,廉価なTV用の12BY7Aに切り替えられて,消えて無くなりました。
RCA 6CL6(1960s), Toshiba 6CL6(1960) and Toshiba 6CL6(Middle of 1060s)) [Zh4]
RCA製は着炭黒化プレート,平型楕円断面。プレート側面の上下に縦寸2mm程の開口部あり。g1からg3支柱は全て銀色の支柱。電極上部にゲッタ遮蔽用の天井マイカがあり,その上に馬蹄型ゲッタがある。開口部から覗くとg1,g2の密な巻き線と,g3の大きな円周状の螺旋が見える。
東芝製6CL6 真ん中は(1960年,角ゲッタ),右は(1960年代中頃,ドーナツゲッタ),いずれも黒化光沢ニッケルプレート。天井マイカは無い。g1,g2は銅色支柱。g1の引き出し線は板状(ニッケルリボン)で放熱に寄与している。
この球が通常のオーデイオ出力管と異なる特徴は
- g1,g2ともに左右の支柱から独立した2本の引出線でピンに配線し,高周波インピーダンスと放熱を改善していること。
- プレート上部と下部のマイカ板上にはそれぞれg3に接地したシールド板を配置し,空間電荷効果による不安定性を予防していること。
- また,ベースステム中央(ベースピン中央)にもg3に接地した丸いシールド板があり,各電極ピン間の結合を防止していること,
などであろう。高周波電力増幅用としての資質を備えている。
RCAが1955年に6CL6を元にして作った計算機用の逓倍管で工業用または軍用管ですが,高信頼管ではありません。絶対最大定格表示ですが,スクリーン耐圧損失がやや強化されていること,内部抵抗が約半分に小さくなっていることが分かります。また長寿命を謳っています。
6197 9BV 6.3V, 0.65A, 250V, 150V, -3V, 30mA, 7mA, 11mA/V, 90k, RL=- Po=-W, cgp=-pF, cin=-pF, cout=-pF, Pbmax300V/7.5W(abs), Psgmax250V/2.5W(abs)
6CL6と比べて違う点は,アルミ被覆鉄の灰色プレート。上部マイカ板のシールド板が廃止され,代わりにg2用の黒化U字型フィンが付いたこと。
12BY7は1952年1月,CBS/Hytronによって開発され,さらに1954年頃にはTVトランスレス用にヒーターウオームアップタイムを管理した12BY7Aが作られました。12BY7の用途として,CBS/HytronはTVの映像中間周波増幅,レーダーのパルス増幅,C級高調波発信器などを挙げています。電気的特性は6AG7/6CL6に類似していますが,構造的は6AH6に似ています。電極間容量が改善されており映像増幅管として適しているだけでなく,ヒータが使い易い設計で,トランス付き6.3Vの他,トランスレス600mA系と300mA系にも対応できるという点も買われて,爆発的に普及しました。
欧州でもこれをEL180という名称で登録され,Philips・松下系のTVにも大いに使用されました。果たして欧州本土で使用されたかどうかは不明ですが,少なくともPhilipsのPL83/15A6では12BY7Aの肩代わりは出来なかったようです。その意味で,この12BY7Aは米国,欧州,アジアを制した国際的にもトップクラスの球だったのです。
12BY7A 12.6V/0.3A-6.3V/0.6A 250V,180V,Rk100,26mA,5.75mA,11mA/V, rp93k, mu28.5, Cgp0.063pF, Cin10.2pF, Cout3.5pF,
(Design Max) Pbmax330V/6.5W, Psgmax190V/1.2W
国内では東芝マツダ,松下が1956年に国産化し,国内各社も同じ頃製造を始めました。
その後,12BY7Aは改造品種が出た模様ですが日本では知られていません。日本では真空管TV最後の1972年まで元祖12BY7Aが使われました。RCAは1974年頃,12BY7A/12BV7/12DQ7という3つの名前の付いた品種を出していました。これらのマイナーチェンジ版は1950年代から1960年代に出た模様で,GEの規格表によれば,12BV7はgmを改造したもの,12DQ7は低電圧時の肩特性を規定しスクリーンを丈夫にしたもののようです。しかし,これらの品種は最後に整理され,結局12BY7Aに統合したようです。
12BV7 9BF12.6V/0.3A-6.3V/0.6A 250V,150V,Rk68,27mA,6.0mA,13mA/V, rp85k, mu-, Cgp0.055pF, Cin11pF, Cout3.0pF,
(Design center) Pbmax330V/6.25W, Psgmax175V/1.0W
12DQ7 9BF12.6V/0.3A-6.3V/0.6A 200V,125V,Rk68,26mA,5.6mA,10.5mA/V, rp53k, mu-, Cgp0.1pF, Cin10.0pF, Cout3.8pF,
40V, 125V, 0V, 45mA, 16mA
(Design max) Pbmax330V/6.5W(abs), Psgmax330V/1.1W(abs)
また,12BY7Aを基にして数々の高性能業務管が作られましたが,ここでは民生用の12BY7Aを直接置き換えできる業務管を紹介しておきます。通測用(Instrument Quality)としてはCBSの 7733(1961年,金メッキピン),その他8448(詳細不明)があります。
左2つは1960年(0A,角ゲッタ,g2支柱は銅色)。右は1960年代(ドーナツゲッタ,g2支柱は銀色)。東芝は一貫してベースピン・センターシールド有り。1960年代はグリッドフィン無し。
12BY7A, Matsushita-National, End of 1950s, 1960, 1961 and 1962) [Zh4]
猫の目のように造りが変わった。左より1950年代末(角ゲッタ=g3同電位,黒プレート),1960年(0B,角ゲッタ,灰プレート),1961年(1C,ドーナツゲッタ=プレート同電位),1962年(2C,ドーナツゲッタ=g3同電位,g3金属フレームの開口部が長方形になる,電極上部の金属皿が長方形に変わる)。左の2つは真空漏れによりゲッタ膜無し。内部良く見える。一貫してg2支柱間フィン有り,ベースピン・センターシールド無し。
1960年代後半にはマイカ板上のシールド板はプレート平行面だけとなる。
12BY7A, Hitachi , Begining of 1960s and Last half of 1960s) [Zh4]
黒プレート。左は1960年代初頭,大型ドーナツゲッタ,g2フィン。ベースピン・センターシールド有り。右は1960年代後半,g1フィン。ベースピン・センターシールド無し。日立は何故か後期においてはg1の放熱を重視した。グリッドフィンはg2とg1とどちらが有効だったのか?日立はTVセットメーカであるシャープにOEM製品を出荷,Sharpブランドの球がある。
NEC 12BY7A (837/16 1971年)とMitsubishi (027 1960年代後半)。
三菱はNECのOEM製品か?g2フィン付き。g2支柱が左は銀色,右は銅色。g3枠もアルミ被覆鉄(灰色)を使用。1971年製はガラスに成形時の2本筋がある。gm=62。三菱は未計測。
12BY7A General/TEN(K 25-T) in 1962, Fujitsu/TEN (IB) in 1969.) [ZhE]) [Zh4]
12BY7A General/TEN(K 25-T) 1962年頃。Fujitsu/TEN (IB)1969年。
マイカ板上のシールド板も灰色(アルミ被覆鉄)。ベースピン・センターシールド無し。Generalはgm=58,TVに使われていた中古。FujiはTV抜き球,未計測。
米国で1969-1970年頃開発された模様。開発者不明。12BY7Aのベースピン配置改良球で,6.3V点灯を廃止し300mA系専用として,6GK6/10GK6系と同じ配置にした。ヒータ電力が若干小さくなっているが,電極間容量を除けば特性は12BY7Aと同じ。国内では松下が1970年頃国産化。
11LY6 11.0V/0.3A 9GK 6-3
250V,180V,Rk100,26mA,5.75mA,11mA/V, rp89k, mu-, Cgp0.07pF, Cin9.5pF, Cout3.8pF,
(Design Max) Pbmax330V/6.5W, Psgmax190V/1.2W
8LS6 7.7V/0.45A 9GK 6-3
110V,110V,Rk65,14mA,3.2mA,11mA/V, rp54k, mu-, Cgp0.075pF, Cin7.2pF, Cout4.2pF,
(Design Max) Pbmax180V/5.0W, Psgmax180V/1.2W
同社の後期12BY7Aと同じ外観。違いはヒータ配線とベース接続(6GK6形)のみ。中古,未計測。
[AfKr] [AfKr] Matsushita-National 8LS6(ZN, 1970s)) [AfKr] Box of Matsushita-National 8LS6(ZN, 1970s))
米国Sylvaniaは1961年,映像増幅管として,欧州Philipsのオーデイオ管EL84/6BQ5のG3を分離した6GK6,16GK6を発表しました。オーデイオ管は出力や直線性は優れていますが,電極間容量の大きいのが欠点。この球は高周波用にg3のインピーダンスを下げシールド効果を良くするために引き出し線を2本持っています。ピン接続図にはg3とともにIS(内部シールド)が示されており,初期の頃にはEL84/6BQ5のマイカ板上のシールド環あるいは7189系のg3のシールド巻きが確かにあったと思われますが,後期になると省略され,シールドらしきものは何もありません。
国内では1961年に東芝は輸出用に6GK6, 1960-61年頃に松下は10GK6を国産し,一部のカラーTVに使用されました。しかし,米国で改造が行われたためか,欧州では欧州名は付けられず,全欧州に広まることはなく米国名のまま一部のTVに使われたようです。
この球は,RCA1974年のマニュアルにはオーデイオアンプまたは映像増幅と書かれていますが,高周波への適性のためか,アマチュア無線ではVHF用のSSB送信機のGG(グランデット・グリッド)型10Wリニアーアンプとして活路が見いだされ,自作派に使われました。ただ,国内のTVは10GK6だけが使用され,6GK6は輸出用としてのみ生産,国内には流通しなかったので,変則的なヒータ電圧の10GK6を使用せざるをえませんでした。今日では逆輸入により6GK6も入手でき,オーデイオ用としても使えますが,何故かだれも使おうとしません。
6GK6/10GK6/16GK6/29GK6 6.3V/0.78A -10V/0.45A- 16V/0.3A -29V/0.15A 9GK
250V,250V,Rk135ohm,48mA,5.5mA,36mA/V, rp38k, mu19, Cgp0.14pF, Cin10pF, Cout7pF,
(Design Max) Pbmax330V/13.2W, Psgmax330V/4W
松下系は同社のEL84/6BQ5,東芝系は同社の6BQ5/6R-P15の姿をしている。Motorolaブランド松下製(1966年製,逆輸入版,中古)はマイカ板裏のシールド環があるが左2つの松下製3E(1973年製,逆輸入版,新品)は,省略されている。サンヨーブランド東芝製0K(1970年)もマイカ板裏に密接してg3巻き線を多重に巻き付けたものが省略されている。
1960年代初頭は,業務用の広帯域増幅管には2重フレームグリッドを用いたAmperexの7788,gm=50mA/Vなる恐ろしい球も登場し,期は熟していました。これまで高gm管といえばTVではチューナー管に限られていたのですが,管球メーカーも新製品にいよいよ手詰まりになりついに映像増幅管にも手を出しました。その始まりは6HB6(Raytheon 1961年)ではなかったかと思われます。
12GN7は米国でおそらくSylvaniaによって1963年頃に開発されたカラーTV用の映像増幅管で,gmを12BY7Aの3倍程度に引き上げた民生用としては世界最強の球でした。gmが3倍になると電極容量は2倍程度増加しますが,トータルとしてFigure of meritも増加できます。カラーTVでは映像増幅を2段増幅にでき価格を引き下げる効果が期待されたのですが,あまり普及しませんでした。どうも,オーバースペックだったようです。TVセットメーカは使用の難しさを嫌ったせいかもしれません。
1965年にはRCAが9T9管12HG7を発表,ダークヒータを使って低温度,超寿命を謳っていました。この球はカラーTVの映像増幅が3極管と組み合わせて2段増幅で済むといっていますが,ヒータが変則的な電流値でその後のトランスレス・カラーTVには対応できませんでした。国内では東芝が1965年に国産化しました。1974年のRCAのマニュアルには12HG7/12GN7Aという名称の球が出ていますが,内容は全くの12HG7で,外形9T9,Pb10W,ヒータも変則的のままでした。TV業界/球業界では品種整理のため互換性のある球を包含する名称にしていたのです。
同じ1965年,Sylvaniaは12GN7を設計しなおし,最大プレート損失を11.5Wに引き上げた12GN7Aを発表しました。民生用管としては最強の球であったかもしれません。国内ではSylvaniaと提携関係にあったNEC(新日本電気)も1965年頃国産化し,同社のTVに使用しましたが,国内他社は使わなかったようです。また東芝が1965年に国産化しましたが使用した形跡はありません。一方,この高gmの出力管はアマチュア無線界に注目され,SSB送信機のハイレベル・ミキサー管として,1969年頃にはアマチュア無線のトリオがSSBトランシーバTS511に使用しました。しかし,TVセットでは主流とはならずマイナーな球として終わったため,不幸なことにその後入手難となり保守に問題を生じたと思われます。12GN7Aの採用はTS511だけで終わりました。Sylvaniaはその後,12GN7A/12HG7と印刷した球を作りました。内容は全くの12GN7Aです。Sylvaniaは1963年にECG Sylvaniaとなり,その後いつしかSylvaniaの名称も消え失せて,ECG Philipsとなりました。ECG Philipsはこの球を1980年代末まで作ったようです。
12GN7 12.6V/0.3A-6.3V/0.6A 9BF 6-3
250V,150V,Rk56,28mA,6.5mA,36mA/V, rp50k, mu-, Cgp0.12pF, Cin17.5pF, Cout4.0pF,
(Design Max) Pbmax400V/7.5W, Psgmax330V/1.5W
12GN7A
(Design Max) Pbmax400V/11.5W, Psgmax330V/1.5W
12HG7 12.6V/0.26A-6.3V/0.52A 9BF 9-70
300V,135V,Rk47,31mA,4.8mA,32mA/V, rp60k, mu-, Cgp0.18pF, Cin14pF, Cout4.4pF,
(Design Max) Pbmax400V/10W, Psgmax330V/1.0W
スートされているので内部が見づらいが,12BY7Aと同じ構造。g1支柱は銀色で艶消し,太い。g2支柱は銀色光沢,細い。g3は金属枠。プレートは3リブ付き黒色つやなし。開口部は内側に折り曲げてあり,電子ビームがガラス管壁に直接いかない構造(それでもスート付き)。上下マイカ板にはg3枠が突き出ており,その他のシールド板は特になし。恐らく内側でg3枠がシールドの役目をしている。gm=48,56。
NECのマニュアルによるとフレームグリッド構造で弱いから電極間ショートテストでg1には50Vピーク以上の電圧をかけてはいけないとあった。あとの祭り。
構造,外観はマイカ板上のシールド板を除けば12BY7Aそっくり。g2支柱は銅色。中古か?秋葉原で入手したが。未テスト。
米国旅行で購入した中古。g3はシールド枠構造でビーム管の様。プレートは電極間容量を減少させるため中央のみ出っ張り側面は放熱のために幅広い。この構造はチューナー管6HA5と同じスタイル。ちなみにドーナツゲッタが電極上部と5極部側面の2つある。
11HM7は米国で1965年頃開発されたようですが,開発者は不明です。9T9の12HG7をトランスレスmT管に焼きなおした球です。国内では1967年頃にNECが国産化しましたが,国内では使用されなかったようです。
11HM7 11.3V/0.3A-5.5V/0.6A 9BF 6-3
200V,135V,Rk47,30mA,5.2mA, 30mA/V, rp40k, mu-, Cgp0.15pF, Cin14pF, Cout5pF,
(Design Max) Pbmax330V/7W, Psgmax330V/1.0W
9KX6, 6KY6/7KY6,7KZ6は,1966年頃,米国で開発された模様。開発者不明。国内では製造されなかった?
9KX6 8.7V/0.45A 9GK 6-3 ((12GN7Aの450mA版でベースピン配置を6GK6と同じにしたもの))
250V,150V,Rk56,28mA,6.5mA,36mA/V, rp50k, mu-, Cgp0.12pF, Cin17.5pF, Cout4.0pF,
(Design Max) Pbmax400V/11.5W, Psgmax330V/1.5W
6KY6/7KY6 6.3V/0.52A -7.3V/0.45A 9GK 6-3 ((11HM7の6.3V版,450mA版でベースピン配置を6GK6と同じにしたもの))
200V,135V,Rk47ohm,30mA,5.2mA,30mA/V, rp40k, mu-, Cgp0.16pF, Cin14pF, Cout6.0pF,
(Design Max) Pbmax330V/9.0W, Psgmax330V/1.0W
7KZ6 7.3V/0.45A - 9GK 6-3 ((ルーツは不明))
250V,115V,Rk75ohm,25mA,3.6mA,24mA/V, rp45k, mu-, Cgp0.16pF, Cin13pF, Cout6.0pF,
(Design Max) Pbmax330V/9.0W, Psgmax330V/1.0W
9LA6 8.7V/0.45A - 9GK 6-3 ((9KX6のgmがやや低い規格外品を選別して登録?))
250V,150V,Rk122ohm,25mA,6.0mA,21mA/V, rp55k, mu-, Cgp0.15pF, Cin15pF, Cout6.0pF,
(Design Max) Pbmax400V/10.0W, Psgmax330V/1.0W