ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

Special tubes -Japan before WWII/戦前の特殊管

IX. Japanese Transmitting Tubes/日本の送信管

2/C3w_TX. Japanese Millitary Transmitting Tube/日本の軍用送信管

TX_BW. American Transmitting Tubes/米国の送信管


Page TXbw. American Transmitting Tubes before and during WWII/米国の戦前戦中の送信管

1st Edition (2011.9.19)-(2011.11.23)-(2013.6.9)

HomePageVT/TX_Tube_BW.html


DH Triode
DH Twin

(American UX-210)*1

801/801A

3A5

see Japanese 3A5 after WWII

DH Pentode
DH Pentode

Ken Rad 307A

3A4

see Japanese 3A4 after WWII

Beam Tetrode
DH Beam

807

see Japanese UY807 before WWII

and Japanese UY807 after WWII

837

1625/VT136

HY-65

1619

3B4

see 3B4 after WWII

Twin Beam

829B

see Japanese 829B after WWII

832A

see Japanese 832A after WWII


Naming System of Transmitting Tubes/送信管の名称制度

1. American 800s/アメリカの800番台

真空管の歴史が始まるとすぐに無線通信や放送のために特に大型の高周波出力管が作られ,これを送信管と呼んだ。例えば,米国RCA系ではラジオ球としてUV-200,UV-201Aなどが有名であるが,同じ頃UV-202という大型のものが作られた。以来,メーカー毎に勝手な名称を付けていたが,1930年代になるとRCAは小型の送信管に800番台の数字名を付けるようになった。特に今日でもアマチュアの間で有名な球はこの頃作られたのである。Table 3 参照。

このWeb-pageにも紹介している5極管UT-802は戦前にはTVの水平偏向出力管に使われたし,また,戦後誰もが一度は使ったことのあるビーム管UY-807はJapanese 10Wの立役者であった。さらに戦後解禁されたVHF帯の送信管には,VHFツイン・ビーム管の832A, 829Bがあり,当時は米軍ジャンクから始まった。

だが,800番台ではその数わずか100品種で種切れになる。他に200番台から900番台まで使われ,また1600番台も使われたし,8000番台も使われた。

Table 1 Numeric 800s Transmitting Tubes by RCA and so on before WWII in USA/RCA 他の800番台の送信管 

Name

Maker

Class

Base

Out line

Eh

Ih

Pb max W

2:Diode

816

-rca

Coated Fil. Marcury Vapor Half wave Rec

4p

(27)ST12 top

2.5

2.0

3:Triode

800

-rca

Th-Tung fil. 60MHz

4p

L=6-3/8, D=2-11/16 inch

7.5

3.1

801A

-rca

Th-Tung fil. 60MHz

4p

(32)ST16

7.5

1.25

805

-rca

Th-Tung fil. 30MHz

4p

(53)T18

10

3.25

806

-rca

Th-Tung fil. 30-100MHz

4p

L=10, D=3-13/16 inch

5

9.5

808

-rca

Th-Tung fil. 30-130MHz

4p

L6-1/16 D2-3/16 inch

7.5

4

809

-rca

Th-Tung fil. 60-120MHz

4p

(44)ST19 top

6.3

2.5

810

-rca

Th-Tung fil. 30-100MHz

4p

(55)T20 top +side

10

4.5

811A

-rca

Th-Tung fil. 30-100MHz

4p

(-)

6.3

4

812A

RCA 1949

Th-Tung fil. 30-100MHz Zirconium coated plate

4p

(-)

6.3

4

826

-rca

Th-Tung fil. 250-300MHz

7p

(16)T16

7.5

4

830B

-rca

Th-Tung fil. 15-60MHz

4p

(46)

10

2

150

833A

-rca

Th-Tung fil. 30-75MHz

2p

(-)

10

10

300- 350, 400- 450

4:Tetrode

827R

-rca

Forced-air ,Th-Tung fil. 110MHz

6P

(93)

7.5

20

5:Pentode

802

RCA 1936

IH 30MHz

7p

(34)ST16 top

6.3

0.9

803

-rca

Th-Tung fil. 20MHz

5p

(59)T20 top

10

5

804

-rca

Th-Tung fil. 15-80MHz

5p

(51)T16 top

7.5

3.0

807

-rca

IH 60-125MHz

5p

(34)ST16 top

6.3

0.9

813

-rca

Th-Tung fil. 30-120MHz

7p

(-)

10

5

814

-rca

Th-Tung fil. 50-75MHz

5p

(51)T16 top

10

3.25

815

-rca

IH Twine Beam Power 125-175MHz

Octal

(24)T16 topx2

12.6/ 6.3

0.8/ 1.6

828

-rca

Th-Tung fil. 75MHz

5p

(51)T16 top

10

3.25

70

829B

-rca

IH Twin Beam Power 200- 250MHz

7p

(22)T16 topx2

12.6/ 6.3

1.125/ 2.25

21-40/45

832A

-rca

IH Twin Beam Power 200- 250MHz

7p

(12)T16 topx2

12.6/ 6.3

0.8/ 1.6

10/ 15

2. VT Number and Double Name Tubes/VTナンバー管と2重名

2重名を持つ球も現れた。有名なものはVTナンバーの球であり,米国陸軍が銘々したもの。一般の送信管で軍用に採用された球は,時期によりVTナンバーだけを表示したり,それだけでは中身が分かり難いので真空管会社の名前と軍の名前を並記したりしている。後に陸軍と海軍が共同で使用したものは(JAN+メーカ名コード+一般名称)という標記をしている。

3. New Name of American EIA(Old RMA/RETMA)/米国のラジオ工業会の新しい名前

品種が増えるにつれて,名称から中身を類推することはもはや困難である。そこで,まもなく米国EIA(旧RMA, RETMA)により,1945年頃,受信管と同様に規則を作り,新しい名称制度が発足した。それが,下記の名称制度である。

2C21, 2D21, 3D22, 2E31, 2E26, 3D21, 2G21,...., 9D21

本ページでは主にこの名称の球のリストを掲載している。

(数字1桁)+(アルファベット1文字)+(数字2桁)=(プレート損失)+(足の本数)+(登録番)

Table 2 New Naming System for Transmitting Tubes in USA

1st

(Numeric)

Pbmax or Ikmax

2nd

(Alphabetic)

Base Pins

3rd

(Numeric)

1:

2:

3:

4:

5:

7:

8:

B: Diode

C: Triode

D: Tetrode

E: Pentode

G: Heptode

H: Octode

Resistrated

Number

プレート損失はコードで表し20W以下を2, それ以上足は3本でC, 4本でD, 5本でE, 登録番は21から始まった。

この名称の送信管については資料を見たことがないので,当時の広告や今日あるデータブックから名称を拾い集めて、別ページのTable4(a)-(d)にまとめた。

4. Industrial Number Tubes -5500s/産業用の5500番台とその後

新しい名称制度が発足したにもかかわらず,1949年頃には再び4桁数字管(5500番台から)に混在するようになった。主にEIAの産業用に分類する真空管であって,受信用,送信管,その他が混在する名称制度である。

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Ameican RCA UX-210

[7a7r][7a7r]

RCA UX-210, (写真撮影、京都府 辻野泰忠氏)

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801A

[7a7r][7a7r]

RCA 801A, (写真撮影、京都府 辻野泰忠氏)

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Ken Rad 307A/VT-225

米国307AはWestern Electricが開発した送信管でC級増幅用5極出力管。「開発年代は1937年頃と思われる」と以前書いたが,その後前年の1936年以前と判明した。1936年のWestern Electricのアマチュア無線家向けの広告(QST, Jun 1936)によると,307A- Ideal for suppressor modulated applications- とある。$13.65-。ビーム管6L6が発表された年であって,翌年には送信管で有名な807が誕生している。似たような球である。しかし,807は$3.90-だったのだから如何に307Aが高価だったかが分かろうというもの。どうりで,その後の知名度が低かった訳だ。[追記2000.1.23]。

C-class RF Amp

Ef5.5V, If1.0A, Ebmax500V, Ibmax60mA, Pbmax15W, freq=40MHz,

Eb250V, Ib50mA, mu=120, gm=4mA/V, (rp=30k ohm?), Po=6W

同時期にできたWE306Aは,フィラメント電力は同じで電圧が1/2のヴァージョンで,Ebmax300V,freq50MHzという点が異なるが,外観や電極仕様は良く似ているようである。306Aと307Aは兄弟だが,前者はが50MHz,後者はそれより低い周波数の球といった感じ。

私は,最近までこんな球があることも知らなかったが,1996年11月に藤井秀夫氏がラジオ技術誌で307Appを発表,その時の記事が面白く,印象に残ったのが購入のきっかけ。入手できた球はKenRad製で307A/VT-225。規格からのずれが大きく,秋葉原の店で投げ売り状態だったものを,電極構造の観察のために購入。オーデイオ・アンプを作る訳でもなし,フィラメント点火とgmテストで遊ぶのだから,この手の球が一番嬉しい。

Ken-Rad 307A/VT-225 [YaQ]

Ken Rad製307A/VT-225。完全な5極管で作りは見事。プレートは扁平で左右に丸みが付いたもの。各グリッドも同じ形状。フィラメントはダブルM型。上部マイカでは釣り竿式のバネ4本,下部のマイカは2段式で上側でフィラメントを固定,下側でフィラメント電極を折り返している。ベースは807などと同じUY型。ゲッタは下部に付いている。

サンプル(SC961A)ゲッタは皿型1個,gm=84>64,@1.4k,販売店の測定値:Eb250V,Esg250V,Ec1=-20V,Ib46mA,Isg=5.4mA

サンプル(X2)ゲッタはゲッタ棒2本付いた角型,gm=108>64,@1.4k,販売店の測定値:Eb250V,Esg250V,Ec1=-20V,Ib64mA,Isg=5.3mA

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837- Russian G837

米国オリジナルはビーム管だが,ロシア製は5極管である。

[AhTr][AhTr]

Russian G-837, 1983,8 (寄贈 岡田章さん)

32

34[AhTr]

36[AhT]

Top of G837

33[AhTr]

35[AhTr]

Bottom of G837

37[AhTr]

 

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1619

1619は受信管ではなく送信管に属します。内部構造は6L6-UY807族と同じですが,クイックスタート用にカソードを2.5Vのフィラメントにしたものです。

Unkonwn Maker (RCA?) 1619/無印1619 -DH Beam Power

1943

[1hJ]

Unknown Maker (RCA?) 1619/無印の1619, 活きている方のgm=77>43

1619の入手した2本のサンプルは,管名以外の文字が消えていて,またシェルには刻印も無いので,製造メーカや年代についての手がかりがほとんどありません。僅かに黒のペイントは他の軍用球と同世代であることを物語っていますので戦時中のものと分類しました。管名表示枠は8角形ですので,RCAのように見えます。後に入手した他の1本は管名の数字だけがあり枠はありませんでしたので,こちらは他のメーカかもしれません。

RCA製と思しき2本のうち1本はフィラメントが切れていたため,中身を見るのにちょうど良いと鋸で切ってみました。同じ図は大塚久さんの記事にも見られます。米国の戦時型真空管特集の中で1619の内部写真を掲載しています(MJ93.4)。電極のサポート金具がちょっと違います。ゲッタフラッシュの痕は丸天井部にありました。ですから電極上部にはゲッタ遮蔽用の天井マイカがあります。また,グリッドフィンは電極下部にありました。

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1625/VT136

1625は米国でUY-807の12.6V版で,ベース・ピン配置が異なる。戦時中作られた軍用のVTナンバーにVT136と登録され,UT-1625/VT136と表示されていることもある。1950年代末に東芝が国産化し製造していた。

[0e1]

RCA/WE VT-136/1625 Left, (S5, 1942), Right (S2, 1941)

ともにWE製のRCAブランド。ガラス管壁に1625のマーク,マイカノール・ベースにRCAの旧ロゴとU.S.A. VT-136 S.C.300A。戦後民生用807よりも良くできている。プレートはカーボン・コート,タイトスペーサによりマイカ板から浮かせて取り付けてある。マイカ板はマグネシア塗布。電極は上部マイカを介してガラス管壁に支持されるが,右の1941年モデルは2枚の長方形サイドマイカ板で固定しているのに対し,左の1942年モデルは4本の金属板バネで固定している。ゲッタはともに2本の充填棒を取り付けた角型2個である。ベースにはガイド・ボス(バヨネット・ピン)が出ている。

[0e1]

Upper; U.S. Army Signal Corps Tube VT-136 Order No. 1509-NY-41 Date 11-1-41 Western Electric Company (SC300Aゴム印),

Lower; U.S. Army Signal Corps Tube VT-136 Order No. 293-Phila-42 Western Electric Company (SC300A)

数年前,秋葉原で中古として2本だけ購入。500円。「本当に中古?」と念をおしたが。売れていなかった。数週間後に訪れたときにはもうなかった。

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HY-65

この球はHytron(後にCBSに吸収)が戦時中?(1942-3年頃?)に開発した即時加熱型(直熱)のビーム4極管。高周波増幅,発振,周波数変調,A, AB1, AB2変調など多目的のシールド型4極管。 完全に高周波をシールドしているので60MHzで運用しても中和が不要とある。1945年頃$3.00であった。

6.3V, 0.8A, Ebmax450Vdc, Ibmax63mAdc, Esgmax250Vdc, Egmax6mA, Pbmax10W(CCS), mu75, gm2.6mA/V

Cgp0.12pF, Cin 9.5pF, Cout 7.4pF

球の性格はどうも2E24クラスらしいが,こちらの方がフィラメントが大きく,スクリーンの最大定格も大きい。しかし,電極間容量も大きい。最近米国の戦後一時期出回った球が日本に輸入され,秋葉原に出てきた。

[0e1]

JAN-65 Hytron (HY-65) in 1944

タイト・ベースに錨のマーク。カーボン・コート・プレート。電極はマイカ板に直接乗せられており,マイカ板も無処理であるから,あまり無理な高熱負荷運転はできない。ゲッタは何と桶(柄杓)型。秋葉原で購入。未計測。

[0e1]

U.S. Army U.S.Navy JAN-65, Contracted No. NXSR-33814, Accepted June, 1944, Hytron Corp., Salem, Mass., U.S.A.

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(c)2011, 2013 Koji HAYASHI All rights are reserved.
1st edtion (1998.3.15)+(1998.5.6)+(1998.5.22)+(1998.8.16)+(1998.10.5)+(2000.1.23)+(2000.8.12)+(2001.11.2), (2002.11.24), 2nd edition (2005.9.4)+(2005.9.23)