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7A. American Miniature 1.5V Battery Tubes/米国のミニアチュア型1.5V電池管米国のミニアチュア電池管 |
7J. Japanese American-Compatible Miniature 1.5V Battery Tubes/日本の米国互換ミニアチュア1.5V電池管 |
7E. European Rimlock and Miniature 1.5V Battery Tubes/欧州のリムロックとミニアチュア1.5V電池管; |
7Auto. American Miniature 26V and 12V Battery Tubes/米国のミニアチュア型26Vと12V電池管 |
7S. Subminiature 1.5V Battery Tubes/サブミニアチュア1.5V電池管 |
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ミニアチュア管は,米国のRCAが戦前の1939年に携帯用ラジオ用の直熱管1R5, 1T4, 1S5, 1S4の4種を開発したのが始まりです。
欧州オランダPhilipsは,戦前から省電力版(SF型)の真空管を作ってきましたが,形状は後のGT管と同程度の大きさを持つ十分小形のST管でした。しかし、戦時中に米国軍がミニアチュア管を用いたトランシーバや携帯ラジオを持ち込み、戦後は欧州で米国文化が支配的になると,進駐軍が持ってきたミニアチュア管が欧州をも制覇したためか,オランダPhilipsは1948年から1949年に米国ミニアチュア管の互換用を作りました。それが周波数変換用DK91 (1R5), 高周波増幅5極管DF91 (1T4) ,2極・低周波増幅5極管DAF91 (1S5), それに出力用5極管DL92 (3S4)です。
オランダPhilipsは,ミニアチュア管の開発と同時期(1948年-1949年)に,乾電池を用いたポータブル・ラジオ用に開発したばかりの欧州mT管(リムロック管)を用いて,4本のオリジナルの電池管(Dシリーズ)を作った。それが周波数変換用6極管DK40, 2極・高周波増幅5極管DAF40, 2極・低周波増幅5極管DAF41, それに出力用5極管DL41です。
米国の電池管は伝統的に7ピン・ミニアチュア管のみであるが,リムロック管は8ピンであるため,欧州伝統の周波数変換用8極管,双2極・5極複合管が作れた。2つの検波用2極管は1つは検波用に,他方はD-AGC(遅延自動ゲイン制御)用に使えるのである。日本のラジオでは問題にされなかった(むしろ,2つの検波管は邪魔者扱いされて1個に減らした6Z-DH3Aが誕生し主流となったいきさつがある)が,米国や欧州ではD-AGCが必要だったらしい。これらのシリーズのうち,DK40は1.4V/50mA管であり, DL41は1.4V/100mA管であるが,DAF40, DAF41は省電力の1.4V/25mA管である。日本国内で25mA系列のSF管(省電力管)が登場したのも、元を正せば、Philipsは戦前にもST管に25mAのフィラメントを用いていたが、まずリムロック管に使った25mAのフィラメントをアメリカ型のミニアチュア管に搭載してDシリーズとして販売し、国内ではPhilipsと技術提携した松下がDシリーズを発表、驚いた国内各社が米国のミニアチュア管のフィラメントを25mAに載せ変えて、急ごしらえで規格を発表したということになります。Philipsおそるべし。なお,リムロック管の電池管については,真空管のサンプル紹介は末尾にありますが,リムロック管そのものについては,戦後の欧州ラジオ管(2)リムロック管(Radio_Tube_6ER.html)を参照ください。
Mullard/ Philips Telef |
Date Purpose |
Date |
British Mazda/ Edswan |
Marconi Emitron Osram |
Cossor |
Brimar / USA (EIA) |
British CV number |
USA |
DK40 |
Octode |
1948 |
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DAF41 |
Diode RF Pentode |
1948 |
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DAF42 |
Diode AF Pentode |
1949 |
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DL41 |
Output Pentode |
1948 |
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高圧90-150Vで働く出力管。省電力(低電圧)の用途にはDL92(3S4)を使えとある。つまり,住み分けを考慮して設計された球である。シングルで90Vで出力0.36W, 120Vで0.55W得られるが,150V, B級プッシュプルでは2W得られるとある。
1.4V, 100mA (2.8V, 50mA)
(One Heater Operation/ヒータ1本動作)
120V, 120V, -5.8V(3.5Vrms), 5mA, 0.82mA, 1.35mA/V, mu10, 165k, RL24k, Po0.27W, 10%, (1.3Vrms at 50mW)
90V, 90V, -3.6V(3Vrms), 4mA, 0.65mA, 1.25mA/V, mu10, 175k, RL22.5k, Po0.16W, 10%, (1.4Vrms at 50mW)
(Two Heater Operation/ヒータ2本動作)
120V, 120V, -5.65V(3.8Vrms), 10mA, 1.65mA, 2.55mA/V, mu10, 80k, RL12k, Po0.55W, 10%, (0.9Vrms at 50mW)
90V, 90V, -3.6V(3.1Vrms), 8mA, 1.3mA, 2.45mA/V, mu10, 90k, RL11.3k, Po0.33W, 10%, (1.05Vrms at 50mW)
フィラメントは逆V字型2本で,電極上部にフィラメント吊り用バネが左右に1本づつあるはすごい仕掛け。
欧州では、1948-1949年頃に米国の初期の4種の互換管を製造しましたが、1950年頃から、米国生まれの各種電池管がそれぞれ、欧州名を与えられ、次々と製造されました。DF92(1L4), DAF92(1U5)。その頃に、周波数コンバータ管DK92/1AC6も登場し欧州で広く製造されましたが、開発者は不明です。米国EIA名があるけれども、米国の真空管マニュアル(RCA, GE)には登場しませんし、Philips系のマニュアルにも登場しません。後にPhilipsが開発したDK96は米国EIA名登録で1AB6とう名称をもらっていますが、1AC6の登録はそれより後ですので、欧州生まれで、英国またはドイツで開発されたものかな?と思われます。
さて、1951年から1954年頃,Philipsは、ST管やリムロック管で既に採用していた省エネ型(25mA管)フィラメントを応用して,第2世代の米国型電池用ミニアチュア管を独自に開発し発表しました。それが後に日本で有名になったDシリーズで,国内では1954年頃に松下がライセンス生産しました。これは我が国にセンセーションを与え、松下以外の国内各社,神戸工業TENや東芝マツダ、はSF管を開発せざるを得なくなりました。
オランダPhilipsDシリーズのDシリーズは,はじめ、周波数変換用1AB6/DK96, 高周波増幅5極管1AJ4/DF96, 2極・低周波増幅5極管1AH5/DAF96, 出力用5極管3C4/DL96が発表され, やや遅れて3Y4/DL97が発表されました。
1AB6/DK96, Frequency Changer
1AJ4/DF96, RF Pentode
1AH5/DAF96, Diode AF Pentode
3C4/DL96, Output Pentode
3Y4/DL97, Output Pentode
米国では,Philipsの影響を強く受けたSylvaniaが,1950年頃,1.4V, 25mAシリーズのミニアチュア管として,周波数変換管1U6, 高周波増幅管1AF4, 検波増幅管1AF5, 出力管3E5を作ったと伝えられています。これが米国における(あるいは、世界における)最初のミニアチュア版のSF管だったかもしれません。しかし,米国ではこのSF管は余り使われなかったようです。
実は,米国では,1949-50年頃には,ミニアチュア管より一回りも小さいサブミニチュア管のラジオ管の開発競争が起きていました。SylvaniaやRCA,GEから一斉に,周波数変換用7極管1C8, 1E8,3極5極管1V6,シャープカットオフ5極管1AD5,検波・増幅1Q6, 1S6, 1T6,出力管1V5, 1AC5などが発表されました。1.25V/40mA, 20mA系はとても省エネでしたが,しかし,民生用ラジオ管は安いこと,実用に耐えること,が重要でした。ですから,安くて感度が良く音の大きいミニアチュア管にかなわず,普及しませんでした。小型の売り物は1950年代半ばからはトランジスタの開発競争へと進んでいきました。
Mullard/ Philips Telef |
Purpose |
Date |
British Mazda/ Edswan |
Marconi Emitron Osram |
Cossor |
Brimar / USA (EIA) |
British CV number |
USA |
DK91 |
FC Heptode |
1948 |
1C1 |
X17 |
1R5 |
1R5 |
CV782 |
1R5 |
DK92* |
FC |
1951 |
1C2 |
X18 |
1AC6 |
1AC6* |
|
1AC6* |
DK96* |
|
1951-1954 |
|
|
|
1AB6* |
|
1AB6* |
|
|
1951-1954 |
|
|
|
|
|
1L6 |
|
|
1951-1954 |
|
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|
|
1U6 |
DF91 |
RF Pentode |
1948 |
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|
|
1T4 |
CV785 |
1T4 |
DF92 |
|
1951-1954 |
1F2 |
|
|
1L4 |
CV1758 |
1L4 |
|
|
1951-1954 |
|
|
|
|
|
1AF4 |
DF96* |
|
1951-1954 |
1F1 |
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|
1AJ4* |
|
1AJ4* |
DF97 |
|
1954-1958 |
|
|
|
1AN5 |
|
1AN5 |
DAF91 |
Diode AF Pentode |
1949 |
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|
|
1S5 |
CV784 |
1S5 |
DAF92 |
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|
|
1U5 |
CV3912 |
1U5 |
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|
1951-1954 |
|
|
|
|
|
1AF5 |
DAF96* |
|
1951-1954 |
1FD1 |
|
|
1AH5* |
|
1AH5* |
DL91 |
|
1949-1951 |
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|
1S4 |
1S4 |
CV783 |
1S4 |
DL92 |
Output Pentode |
1948 |
1P10 |
N17 |
3S4 |
3S4 |
CV820 |
3S4 |
DL93 |
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1949-1951 |
|
|
|
3A4 1662 |
CV807 |
3A4 |
DL94 |
|
1951 |
1P11 |
N19 |
3V4 |
3V4 |
CV2983 |
3V4 |
DL95 |
|
1949-1951 |
|
N18 |
|
3Q4 |
CV818 |
3Q4 |
DL96* |
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1951-1954 |
1P1 |
|
|
3C4* |
|
3C4* |
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1951-1954 |
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|
3E5 |
DL97* |
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1956 |
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3Y4* |
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3Y4* |
DL98 |
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1951-1954 |
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3B4 |
CV2240 |
3B4 |
欧州でも、サブミニアチュア管は開発されました。ここでは1950年代なかばにPhilipsから登場した、補聴器用のDL67、DF64を紹介しておくにとどめます。これらは、松下からも販売されたようです。一方、欧州で開発されたミニアチュア電池管としては、携帯ラジオは1950年代で開発は終了してしまいましたが、1960年代は米国Tung-Solに端を発した+B電源まで12V蓄電池で動く自動車用ミニアチュア管が開発され、欧州Philipsは6.3V蓄電池用管を開発しています。詳しいことは、分かりませんが、サンプルとして、1960年代に開発されたECC86/6GM8があります。
ECC86/6GM8
ECC86/6GM8 Philips uda 030108
[AfKr][AfKr][AfKr] Philips ECC86/6GM8, どうやら6DJ8の電池版ですね。 [BhS][AfKr] Top and Bottom view of Philips ECC86/6GM8 *DL67 Philips 補聴器 010105,
*DF64x2 Philips 補聴器 010105
DK92/1AC5 2/0 Telf
DF96 Miniwatt (TE2/D7J) BOX 00??
Philips Miniwatt DF96 (TE2/D7J), ロット番号はオランダのものだが,ガラスの頭の十字絞りの造りが松下の球と同じ。松下はPhilipsと同じ形の製造機械を使用していたのだと分かる。新品未計測。
DL96(3C4)
DL96 Telf box x5 000124
ECC86/6GM8 Philips uda 030108
*DL67 Philips 補聴器 010105,
*DF64x2 Philips 補聴器 010105
1954年,松下電器産業はDシリーズを発表。DK96 (1AB6),DF96 (1AJ4),DAF96 (1AH5),DL96 (3C4)を発売。当時,松下は高槻に巨額の費用を投入してオランダフィリップスと技術提携し,大工場を建設してミニアチュア管の製造に乗り出した。初めの製品はいずれも欧州名DK96,DF96,DAF96 ,DL96 を印字していたが,米国でEIA名の登録がすむと1955年中には米国EIA名を並記したDK96/1AB6という表示に変わった。TV球やオーディオ管は1956年にはEIA名のみの表示になったが,なぜかこのはじめのDシリーズ電池管だけは欧州名並記のまま終わった。1956年,後からできたDL97 (3Y4)は3Y4として発売した。
1AB6 DK96 Mat 021230
1AB6/DK96 Matx2 000827
1AJ4/DF96 Mat 021230, 1AJ4/DF96 Mat 断線 021230
1AJ4/DF96 Matx2 000827
1AH5 Mat 白, 1AH5 Mat (Dシリーズ箱),
1AH5/DAF96 Matx2 000827
3C4/DL96 Mat box 0006xx骨董市
3C4 Mat (Dシリーズ箱)x2 031022
3Y4/DL97 Matx1 000827