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Short Wave Super/短波付スーパー | ||
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E(23). YAOU RADIO(YRC/General) 5NS-1 in 1948/八欧無線 5NS-1, ('96.11.3) [Up 98.8.3] |
1947年(昭和22年),政府はGHQの勧告を受けて再生検波ラジオの製造を事実上禁止したため,国内ラジオ・メーカはラジオの形式をスーパヘテロダイン型一本槍に変更しなければならなかった。しかし,部品が直ぐに揃う訳ではない。スーパー用のラジオに特に必要な真空管としては,戦前には周波数変換管のUt-2A7,検波増幅管のUZ-2A6が少量ではあるが作られており,戦後は6.3V化が一挙に進んだため,Ut-6A7,UZ-75も作られていた。しかし,大量生産するとなれば,より安定な周波数変換が期待できる6SA7や高増幅率の6SQ7を国産化する必要があった。これらの球を国産化するに当たり我が国の生産設備で作れ廉価なST管に改造,まず6Z-DH3が作られ,次に1947年末に6W-C5が作られた。さらに同じ年に6Z-DH3はトップグリッドも止めた6Z-DH3Aに変更,日本独特の5球スーパの球が全て出そろった。中間周波数は当初戦前の規格の463kcが使われたが,1950年にはJISで455kHzに規格化された。
このラジオは八欧無線(後に八欧電機,現富士通ゼネラル)製の戦後スーパーの初期のもの。八欧無線は,1936年1月15に(株)八欧商店設立,精華,戦後は八欧無線,商標はゼネラル,1955年に八欧電機(株)と改称。川崎工場建設,本社移転。1975年に富士通と資本提携,1985年に商標と社名を富士通ゼネラルに。
キャビネットのデザインが戦後の5球スーパの中では古さを物語る。横行ダイヤルは戦後の流行だが,キャビネットのサイズは縦横が並4高1時代と同じで高さだけがやや高い。また正面パネルは濃茶に明るい茶のストライプが横に走るデザインで,戦前の木製キャビの黄金期の名残りである。
[Updated] 中身は普及型の5球スーパで,残されていた真空管も6W-C5,UZ-6D6,6Z-DH3A,6Z-P1,KX-12Fと,ごく普通のラジオに思えた。しかし,受信周波数は550-1500kc,中間周波数は 463kcで,いずれも日本標準ができる前のもの。周波数変換回路もカソードタップでなく別巻線を用いたUt-6A7と同じものを使用。部品は古さを物語る。AF段間結合コンデンサは大型の4端子マイカ(0.01μF)。出力は6Z-P1の割に大きく1.2Wで,消費電力は後の標準型(UZ-42,KX-80)並に大きい。スピーカも古式にのっとりシャーシに取り付ける形式を採用。ただし紛失しているので,フィールド型だったかダイナミック型だったか,いまいち,分からない。製造年代は,6W-C5が使用してあるにもかかわらず他の部品や構成がきわめて古そうなので,6WC5開発最初期の1948年頃と推定していた。謎だらけのラジオだった。その後,1998年7月になって,製造当時のREA(ラジオ技術委員会)の資料,回路図とメインテナンス情報を入手。実は,オリジナルの真空管はUt-6A7, UZ-6D6, 6Z-DH3, 6Z-P1, KX-12Fであること,スピーカはパーマネント型の5インチ(12.5cm)であることが判明した。やはり残されていたコンバータの回路はやはりUt-6A7の使用を示していたのである。製造年も正しかった。やはり製造時時の資料は絶大!
General 5NS-1の正面。ツマミは左から電源スイッチ,ボリューム,同調。中央のツマミは紛失しておりオリジナルでない。
General 5NS-1の裏面。アルミ製の銘板がシャーシ中央に見える。Type Test No.7-3623。シャーシ上には左から丸型IFT-1,シールドケースのUZ-6D6,IFT-2,6Z-P1,KX-12F,パワートランス。周波数変換管(6W-C5)は見えないがIFT-1の奥に,また6Z-DH3Aはシールドケースに入り6Z-P1の後ろに見える。
電源トランスは分厚い鉄芯製で巻き線保護紙に1948年9月30日の印字があり,このモデルが1948年頃に作られたと分かる。確かに円筒型IFTの消えかかったゴム印の周波数表示に戦前規格の463kcとある。6W-C5/6SA7/6BE6の発振コイルの定番はカソード・タップ型だが,このモデルではUt-6A7の回路形式を踏襲したカソード・コイル別巻き型を採用しており古さを物語る。またケミコンも戦前から見られた箱形のブリキ缶入りである。VCも無骨な大型でYSの刻印があり自社製と思われる。スピーカは紛失しているが,シャーシの切り込みからみてシャーシマウント型で,サイズからみて10cmのフィールド型ダイナミックと思われる。球のシールドケースは鉄製。
本機は1948年製であり,真空管のオリジナルは1級製品(40年代)のはずだが,残っている球はメーカがバラバラでしかもいずれも50年代初頭のものである。6W-C5(Futaba), UZ-6D6(NEC red), 6Z-DH3A(HIC), 6Z-P1(National VX/IL=1950), KX-12F(Hitachi 5D77)。このうち,最も古いものが松下National製の6Z-P1で,トランスの年代より新しいVK(=1950年11月)の表示があり,他の球はもっと新しいから,すべて交換されていることになる。実際,周波数変換管はUt-6A7から6W-C5に,検波増幅管は6Z-DH3から6Z-DH3Aに交換され,改造されていることが分かっている。スピーカは残っているシャーシの切り込み穴から10cmFCと推定したが,資料で見ると12.5cmダイナミックであった。全ての回路定数が判明したので,いずれオリジナルに修復しようと思っています。
E1=96.A.27 1k ------------------------------------------------------------- General YRC Radio, 5NS-1 Populra Super Radio 銘板:Type Test No.7 3623, 100Vac,50-60c/s,35VA,Po1.2W, 回路図なし キャビネット:木製箱型 サイズ:370w,187d,247h 周波数:550-1500kc ダイヤル:上部横スライド型 ツマミ:一列均等(左1)PoSW,(中2)VR,(右3)Tune 端子:ANTは線のみ。PU端子なし。 真空管:
(部品) シャーシ:亜鉛メッキ鉄製(SP切込みあり),ネジは不揃い。リベットは鉄製。 VC:大型,YCマーク, プーリーはダイキャスト(110φ),滑車は真鍮 IFT:丸型40φ,463K,IF球シールドは鉄製?ステンレス? CHEM:自社製?箱型 PT:(23.9.30) ACプラグ:丸型〒 7-0386,125Vマツダ10A (状態)キャビネットは外傷はないが,塗装面は艶がなくザラザラに傷んでいる。グリル・クロス(サラン・ネット)は樹脂製の虫取り網のようで傷み。 真空管は,6Z-P1はエミ減の傾向はあるがいずれもまだ生きている。6W-C5だけはkhショートを示したがこれはハム増加を意味するだけで動作可能。本機はSPが紛失している。本機が故障放置されたとしたら,その理由はSPにあるのではないか?代りが見つからなかった?。 (欠品)SP紛失。裏板なし。 |