ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

5. Economics Growing Ages/高度成長時代

Miniature Superhet/ミニアチュア管スーパー

64: Rimlock Five Super
5: MT Standard -Autotrs
51: MT Standard
51A: MT Standard with Eye

Miniature Superhet/ミニアチュア管スーパー

2 Band with Short Wave/短波付き2バンド

53: MT Standard Homemade
51B: MT Standard HiFi
52 Two Band MT Standard
52B Two Band MT Standard HiFi

Page 51. Miniature Five Tube Superhet -Standard type (1954-1957)/MT管標準型5球スーパー

1st ed. (2001.1.4)+(2001.5.6)+(2001.6.15)+(2002.3.6),(2002.10.25)+(2003.2.16)+(2003.10.25)+(2003.12.13), 2nd Ed. (2003.1.16), 3rd ed. (2006.6.30)-(2010.5.3)

HomePageRadio/Radio_P51.html

F(169) Kobe-Kogyo TEN 5M-10 in 1954/神戸工業TEN 5M-10, (02.8.15)

F(174) Toshiba Matsuda Uguisu-A, 5VA-60 in 1955/東芝マツダ うぐいすA, 5VA-60, ('02.9.30)

F(130) Mitaka Aria Superhet in 1955?/ミタカ電機アリア・スーパー, ('00.11.23)


Part 2. Power Transformer Type/トランス付き

(1) BC Band Radio/BC帯専用ラジオ


ヒータ電圧6.3Vのミニアチュア管を用いた標準型5球スーパです。電源トランスを搭載しています。標準型は高級なので1955年頃から全ての機種がマジックアイを搭載するようになりました。キャビネットは木製の大型ラジオが多いので,一見,昔のST管時代の標準型5球スーパから単に真空管を置き換えただけに見えます。しかし,ちゃんとした音響設計を心がけ,Hi-Fiが売り物になっています。かなりな高級機となりました。


F(169) Kobe-Kogyo TEN 5M-10 in 1954/神戸工業TEN 5M-10

 

['02.8.15] このラジオは神戸工業TENの1954年製のミニアチュア管ラジオで,同社のモデルの中でもミニアチュア管型は初期のものと思われます。Yahooオークションで見つけて,錆はあるが当時のTENの真空管が欲しいー,と入手しました。神戸工業TENの真空管製造部門は数ある真空管製造会社の中でもいち早く1950年にはミニアチュア管を製造したのですが,ラジオ組立部門は相変わらずST管を用いていました。そしてようやくミニアチュア管登場となったのが,このラジオだったようです。真空管は整流管に5M-K9を,出力管に6AR5を用いた標準型です。

到着してまず重いというのが第一印象。キャビネットはプラスティック製ですが,スピーカは6半ですので本格的,スピーカのバッフル板兼ダイヤル・バックパネルは木製(合板)です。考えてみれば出力管6AR5はちゃんとご飯を食べさせてやればST管の42並の出力を出しますから,トランス類も大きく重くなります。

裏板はネジ止め2箇所だったようですが,紛失してありません。

アンテナ線はシャーシの小穴から黄色のビニール線が。シャーシ背面の左隅にネジ1個。ここがアース端子(E)と刻印されている。真空管はそれぞれシャーシ上に刻印されている。配置図はない。バリコンの止め金具も鉄製で4カ所防振用のゴム足が横にある。スピーカの磁石のヨークにもシャーシへの止め金具があり,防振用のゴムがあったが,いまや腐食しガタガタになっている。ACビニールコードも硬化が進み根本で割れている。危ない。6AR5と5M-K9は頭にマウント用(脱落防止用)の針金がある。さすが,IFTも比較的小型であり,IFTも20mm角と小型。なのに何故重い?

コイルはANTコイルもOSCコイルもコア入りです。コンデンサや抵抗にはTENのマークが入っています。ChemiconだけはNationalの表示があります。これを見た売り主は「TenRadioと書いてあるが中身はNational製」と書いていました。でも,やはりTEN製ですよね。

アルミ電池内蔵

ラジオから白い粉が落ちてきました。なんでしょう?

始めは家を解体した時にホコリや土壁の粉が入っていたものと思いました。ところがっどっこい。シャーシをはずして中を見てびっくり。ダイヤルのアルミ板が電食で粉になっていたのです。電食?ダイヤルのバックパネルは比較的厚い合板製で,スピーカのサラン代わりに布が貼ってあり,ダイヤルの背景部分も布となります。ここに真鍮釘で薄い0.5mm程度のクリーム色に塗られたアルミ板が止められています。ラジオは鉄部が赤錆,銅や真鍮部が緑錆となっています。当然アルミ部も腐食しIFTのケースはでこぼこです。さて,このバックパネル,湿度が高いときにアルミと真鍮釘と布と木材で電池になったようです。できた酸化アルミは0.5mmの元の材質に対して厚さ5mm程度に成長してボロボロになりました。

発見時,真空管はオリジナルは6AR55M-K9の2本が残っていました。6BD6の代わりに6BA6(マツダ1956年製,故障時に交換されたもの), 6AV6(松下の1956年製)が入っており,1956年以降修理のため交換されたものと思われます。傑作なのは6BE6の代わりに4GM6が刺さっていたことで,多分今日になってラジオを売り物にしようとした人間が手元にあったTV管を挿しておいたものでしょう。

Ser. 21704

Tube;

6BE6 ...Hitachi 4GM6 ...Dummy

6BD6 ...Toshiba-Matsuda 6BA6 (1956)

6AV6 ...Matsushita-National (PD) (1956.4)

6AR5 ...TEN (DE3) 1954.5

5M-K9 ...TEN(DC?) 1954.3

PL ...6.3V, 0.25Ax2

chem National 5314

IFT-1;11541, IFT-2; 00543 (20mm角)

VR: 29.12

SP; 6.5", PD-651

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F(130) Mitaka Aria Superhet/ミタカ電機アリア・スーパー in 1955?, ('00.11.23)

戦前に「アリア」のブランドで有名だったミタカ電機が作ったmT管式のトランス付き標準5球スーパ。構成は6BE6-6BD6-6AV6-6AR5-5M-K9。ミニアチュア管は当時の流行で6AR5を使用すると出力も大きいが,スピーカを6半で済まし,キャビネットをやや小型にするとこのラジオになる。マジックアイが無いので標準品というところ。

本機は1955年頃と推定され,アリアとしては最後の頃,東芝傘下の時代の製造。1950年代後半には経営に行き詰まり,ラジオ製造分野から消えて無くなった。フリーマーケットで知り合いの骨董屋から購入。

mT管木製ラジオで丸型エアプレーン・ダイヤルとは珍しい。ツマミは左から(1)Tone Sw, (2)Phono-Sw Volume, (3)Tuningである。

周波数帯 535-1700kc, 電源100-85V, 50/60cps, No. 71955, Mitaka Denki Co. LTD.

真空管は全てマツダ製。左より6BE6, 6BD6, IFTの裏に6AV6, そして6AR5, 5M-K9。

スピーカにある赤いラベルはORIOに見えるがariaなのである。シャーシにある銘板は東芝マツダのラジオに良く似ている。この時代,ミタカ電機は東芝傘下の企業になっていたらしい。ところでこのラジオの名前は? 銘板にはもAria Radio スーパーヘテロダインとしか書かれていない。ラジオの型番が無い。ケミコンには51036。どうやら1955年(昭和30年)製らしい。

掃除もした。ダイヤル糸の切れていたのは直した。電源を入れて真空管も光ったが音がでない。うーむ,どこか悪い。

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F(174) Toshiba Matsuda Uguisu-A, 5VA-60 in 1955/東芝マツダ うぐいすA, 5VA-60, ('02.9.30), not yet

初期のミニアチュア管ラジオに狙いを定めて購入したものの1つ。うぐいすAは16cmのスピーカを搭載した従来のST管普及型ラジオをそのままのサイズでミニアチュア化した第一号といえよう。Yahooオークションで入手。鳴らしてみるとボリュームがゼロに絞れないが大きな音で鳴った。

東芝の1955年製。東芝レビュー(Vol.11-4)に「普及型として実用本位の木製キャビネットの5球スーパーで,十分な音量を持ち,デザインは断然優れ,レコードプレーヤと併用することにより電蓄として使用できる。うぐいすAはリモートスイッチの付いた親切設計」と紹介している。ちなみに同年やや後に発売されたうぐいすB(5VC-83)は「負帰還回路を使用し切換により希望の音質が得られ,強力なスピーカとともに明快な音色を楽しむことができる」とある。

当時,東芝はラジオにミニアチュア管を本格的に採用し,名称も従来のモデル名と愛称を並記して販売しはじめた時期にあり,愛称には鳥の名前が付けられた。高級型は7RA-70(めじろA)の1種,標準型はアイ付き6球スーパー6SB-52, 53,66, 6TB-86(かっこうB)の4種,そして普及型うぐいす2種の他,卓上型の元祖カナリヤシリーズ6種が発売されている。

5SV60 > 5VA60 (changed at 2011.10.15)

Toshiba-Matsuda Uguisu-A, Left nob(Not original) ; Function switch, (a)PWR, (b)Tone, Right nob; Coaxial (a)Tune, (b)Volume/うぐいすA, ツマミは右がオリジナルで左は違う。左は電源と音質切換のファンクション・スイッチ。右のツマミは2重式でVolumeと同調。

Back view/裏面。ST管時代のキャビネット造りを踏襲しているので,実にがらんとしている。このサイズはスピーカからくるので,その後もがらんとした印象は続く。後のHi-Fiラジオはもっとひっどかった。

Name Plate/銘板, 周波数535-1650kc, 出力が1.3Wしかないのは歪みを抑えているせいであろう。スピーカと箱のサイズが十分であってうるさい程大きな音量が得られる。

From left, 6BE6(NEC), 6BD6(NEC), 6AV6(Toshiba-Matsuda, Original), 5M-K9(Original) and 6AR5(Original)/真空管は6BE6, 6BD6, 6AV6, 6AR5, 5M-K9という定番である。

シャーシ配置は,何故か整流管が奥に引っ込んでいて,しかもIFTが2本並んで奥にある。5M-K96AR5の頭は平坦で1954-55年頃の特徴を残している。また,IFTが2本並ぶ配置も当時の東芝やテレビアンのモデルに見え,当時の流行であったようにみえる。球の放熱による安定性と保守性を重視し,逆に回路上の安定性はゲインを抑えて危険回避しているといったところか。

Chassis back face, from left, Ant wire, Remote terminal(R, R0) and Pic-up terminal(PU,E)/シャーシ背面の端子類,左よりアンテナ線(黒), リモート端子,ピックアップ端子。

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