ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

42. Golden Ages after WWII/戦後の黄金期

Superhet Ages/スーパー時代
41: : ST Five Super(1)Popular
42A:: ST Five Super(2)Standard A
42B:: ST Five Super(2)Standard B
43:: ST Five Super(3)Homemade

2 Band super with Short Wave/短波付き2バンド

44GT-3: GT Five Super(4)Transformer-less
42ASW: ST: ST 2 Band Five Super
43SW:: ST 2 Band Five Super Homemade
44GT-4: Transformer-less 2 Band Five Super

Page 43. ST Five Tube Super Radios (III)Homemade (1950-1955) /ST管5球スーパラジオ(III)自作機

1st ed. (1998.3.20)+(1998.5.4)+(1998.12.5)+(1999.7.19)+(2000.6.3), 2nd Ed.(2002.8.24), 3rd ed. (2006.7.14)-(2010.5.3)

HomePageRadio/Radio_P43.html

(a) Standard Type/標準型(UZ42)

E(55). Unknown Box 5S-FCDS in 1950?, ('98.2.22)

EF(92) Unknown Box ST/MT Hybrid-5S (6AR5) in 1955, ('99.9.x) ['00.6.4]

E(19). Radio-Vendix 5S-FCDS in 1951?, ('96.11.3)

(b) Standard Type with Eye/アイ付き標準型(UZ42)

(c) Deluxe Type with RF Amp/高周波1段付き高級型(UZ42)

E(50) SIGNAL 5SE-FCDS Magic Super in 1953, ('98.1.3)

E(13). Unknown Box 6S-RF1-FCDS Six Tube Super with RF-Amp in 1955?, ('96.5.20)

(d) Popular Type/普及型(6Z-P1)

E(83) Cherry 4S-FCDS ST/GT Hybrid Four Tube Super in 1952, ('99.6.27) [99.7.19]


(III-A)Homemade -BC Band Only/自作機 -放送帯専用


このページでは,ST管スーパー時代の自作機をまとめて紹介しよう。戦後のラジオ復興ははアマチュアの手によって為されたといっても過言ではない。終戦から数年はラジオ製造メーカが十分機能していなかったから,市場の80%はアマチュアが製造したらしい。この勢いは1948年以降のスーパー時代も持続した。戦後は無線雑誌の教育や,短波受信解放も手伝い,さらに1950年代には部品メーカが資料を整え配布したこともあり,自作ブームがやってきた。組立済みのラジオは物品税がかかったから,半額以下で済むアマチュアの自作機は洋服などと同じ感覚で注文依頼が殺到したのである。やがて1950年代後半になると,市場の安売り競争が激化しラジオ製造会社の大手が倒産や休業に追い込まれ,ラジオ過多時代になった。作るより安くて良いものが出回り始め,自作熱は1960年頃には下火になった。

この時代の自作は,メーカ製に無いオリジナリテイや独創性を出そうとするのは2の次で,むしろ画一化に進んだのが特徴である。1950年頃にはダイヤル,バリコン,IFTのJIS規格化が進み,コイル・メーカが標準回路を配布したこと,それに合わせてキャビネット・シャーシ会社も標準品を出荷し続けた。だから,自作機はひとめで分かる。自作機の欠点はダイヤル機構に縛られて自由なデザインができないことであろう。自作機は骨董市に出てくることが多い。今日,苦労して部品集めをする位ならば,こういたラジオを入手した方が簡単だろう。改造も思い切ってできるし,キャビネットを新しくすることもできる。

私が集めた10台の自作機の傾向を見ると,箱屋のキャビネットを皆利用しており,回路形式は標準型が圧倒的に多く,スピーカーはフィールドチョーク型のダイナミック・スピーカがほとんどである。この時代,メーカー製の標準型が買えなかったから,普及型が買えるお金で標準型のキットを作ったのであろう。逆に普及型を作る人は少なかったとも言える。あれほどまでに普及したマジックアイを付けている自作機が意外と少ないのはマジックアイの流行が1953年頃から始まるからと思われる。自作のピークは1952年頃までだったといえよう。1952年頃までは自作機といえども家庭用の実用機を意味し,それ以降は学生の手習いに過ぎなかったのではあるまいか?


(a) Standard Type/標準型(UZ42)


E(55). Homemade Unknown 5S-FCDS in 1950?, ('98.2.22)

1950年頃に作られた5球スーパーの自作機。フィールド型のスピーカーを使用した日本標準型。ただし,ツマミは自作機標準が3つであるのに対して2つしかないシンプル設計(おそらく同調つまみと電源スイッチ付き音量ボリューム)。レコード端子もあるが背面で接続を切り替えるのであろう。保存状態が悪いので外見も欠けがあり汚れているし中身も汚れている,スピーカも無いジャンクである。

キャビネットは自作スーパー用では最も古いデザイン(1950年頃)。スピーカ・グリルだけは何とも古い。ツマミはヤオウ(1947)のものと同じデザインで戦後直ぐに流行ったもの。しかし,ダイヤルは標準放送帯対応(1950年以降)で,ダイヤル枠のデザインも1950年代前半と比較的新しい。回路形式は42-80を使った日本標準形式。ただし,整流管は傍熱型のKX-80K。残っていた球は全て松下製であるが,製造年はバラバラで,6W-C5(1954.7),UZ-6D6(1953.9),6Z-DH3A(1953.10),42(1957.10),KX-80K(1955.2)といった塩梅。1957年の設計では余りにも古めかしいし,1954年頃に松下の球を用いてこのラジオを作り,後に42とKX-80Kだけを後から交換したのでは僅か数年しか立っていない訳だから不自然だ。したがって,残された球の全ては1957-1958年頃に交換されたものであってオリジナルはもっと前,1950年頃のはず。IFTは大型丸型で松下電器-中間周波トランスという張り紙が巻いてある。スピーカは紛失しているがフィールド型対応。+B平滑用のコンデンサもケミコンではなくオイル・コンが使われているところを見ると,やはり古い。だから,このラジオは1950年頃に作られたと推定できる。

スピーカは紛失しているが,このラジオと一緒に外づけのスピーカ箱とフィールド型スピーカが見つかっている。そのデザインも古かった。

 真空管は抜いてあります。

E 55 98.2.22 2.5k Homemade +SPB 50s WB ST-5S FCsp ☆□■□▲○

真空管:

6W-C5 松下<RG,>角ゲッタ,(1954.7),

UZ-6D6 松下<SI,>角ゲッタ, (1953.9),

6Z-DH3A 松下<SJ,>角ゲッタ, (1953.10),

42 松下<XoJ>黒スートP,角ゲッタ, (1957.10),

KX-80K 松下<QB,>角ゲッタ, (1955.2)

部品:

IFT;「中間周波トランス」と張り紙,

真空管シールド:マツダイ製。

Back to TOP


E(19). Radio Vendix 5S-FCDS in 1951?, ('96.11.3)

キャビネットにVendix Radio(D10)とあるが,米国の同名会社とは無関係?キャビネット/ダイヤル/シャーシ・キット(メーカ不明)を用いた自作。キャビネット・デザインは比較的綺麗で高級感がある。シャーシとVCは青色塗装してある。造りが良く高級品であるが,マジックアイのないモデルだから,マジックアイの流行する1952年より前の1950年代初頭と思われる。残存する球は製造年代が全てばらばら(1953-1955年)で年代推定の決め手にならない。スピーカは6.5インチのフィールド型ダイナミックだが銘板は紛失している。

回路は50年代前半の標準型(デラックス型)。出力管は42,スピーカは16cm程度なのにFC付きダイナミックだ。ダイヤルは525-1650まで対応しており,上に大きい。IFTは455kc?だがC同調で古い。ケミコンは容量が8-8と小さく戦前の規格を踏襲。52年なら製造年が入ってもおかしくない。キャビネットはデラックス用だから1952年以降であればマジック・アイがあってもおかしくないがアイ用の穴はない。シャーシがキャビ床面フルサイズなのも古い。だから50-51年の可能性が大きい。発振コイルでかい。3端子だが分割巻。AFのコンデンサにMD-B(0.01)"20-1"というのがある(昭和20.1製か?)。42のカソード・ケミコンは5T10。

E2 19 96.A.27 4k Homemade VENDIX RADIO 51- WB ST-5S FCsp □△○□▲○

-------------------------------------------------------------

キャビネット:木製箱型,R付き

サイズ:415w,200d,240h

周波数:Standard 525-1650kc

ダイヤル:縦スライド型,(D.10 model2515)

真空管:

6W-C5,マツダ<9>(typeII)<23/28?>.......83 >50

UZ-6D6,松下<QC>(topルース)............62 >40 (1955年3月製)

6Z-DH3A,マツダTypeI<青31 ケ3>皿.......[28,46.5]>[19,20]

UZ-42,ホリゾン<k z>皿..........98-107> 50......Base<HorizonVacuumTube>

KX-80BK,ホリゾン<k 29-3>皿.....42.5-43>40 .....フラットカソード,P穴 (1954年3月製)

(部品)

シャーシ青塗装。

ant-coil/osc:STAR

VC:Yoshinaga Denki青塗装。

IFT:STAR-A1/B1

IFシールド:(1)マツダイ,(2)不明

SP:FC-SP,

PT:REX-PT,

chem:NipponChem 8+8 500WV

(現状)

キャビ左側面一部剥がれ。裏板一部剥がれ。球の足にはワックスが付着。

整流管のエミ減が目立つ。整流管以外の球はかなり性能を残している。球の時代は,6WC5(49?),UZ6D6(55.3),6ZDH3A(53),UZ-42(k=11?,z=26?=51),KX80BK(54.3)とすれば時代は全てバラバラで年代特定の手がかりにはならない。エミ減になってないから,おそらく1回は交換した模様。

(欠品)底板,ツマミ1個紛失,ツマミ1個欠け,ツマミネジ

Back to TOP


EF(92) Unknown Box ST/MT Hybrid-5S (6AR5) in 1955, ('99.9.x) ['00.6.4]

真空管の構成はmT管とST管の混成で,周波数変換管が6BE6,出力管が6AR5というmT管。果たして初めから混成だったのか,後で改造したのか定かでないが,内容的には出力6AR5, 整流80HKというのは標準型5球スーパーである。スピーカが無いのは故障して外したか,他に流用したかである。骨董屋でまとめて入手したジャンクラジオの一台。

 

キャビネットはSize 450Wx250Hx220D。ツマミは2つである。

6BE6, 6D6(松下), 6Z-DH3A(マツダ), 6AR5(松下), KX-80HK(マツダ), SPなし

IFTはC同調。OPTは比較的大型のOTJ-5(松下製?Input5Wとある), chem 085402

SPが無い。

Back to TOP


(b) Standard Type with Eye/アイ付き標準型(UZ42)


E(50) Magic Super SIGNAL 5SE-FCDS in 1953

1950年代のHomemadeで最も多かったキャビネット・デザイン,アイ付き。雨降りの骨董市。骨董屋さんとのつき合いで購入。2台あった自作機のうち,キャビネットの天井板が割れて,スピーカも脱落し,売れそうにない1台を値切って入手。

回路構成は(出力管42, 整流管80)の標準型5球スーパーで,スピーカは16cmフィールド型ダイナミックスピーカである。バリコンは430pF,コイルは確認していないが,IFTはSTARのA1, B1型,キャビネットはシグナル・ケース製作所(前橋)製の形式2-41,製造日1953年2月とある。真空管はユニオンというキット用セットのブランド名のものが含まれていた。

Homemade ST five tube super with Signal cabinet

Back view of Homemade super/

室内撮影のため照明不足で色が出なかった(現物とは違う)のは御容赦願います。

Exx xx 98.01.03 2k Homemade/SIGNAL 2-41 1953 Wood ST-5SE

-------------------------------------------------------------

キャビネット:シグナル・ケース製作所,前橋,形式2-41,製造日28-2(1953年)

ダイヤル:Peace, 535-1605kc

真空管:

6W-C5 Union

UZ-6D6 Union

6Z-DH3A Union<青R>,ブリキプレート,皿ゲッタ

42 マツダ<エ>,角ゲッタ,黒P,

80マツダ <青モ>,角ゲッタ

6E5 Parm <青1218n>

VC:サンヨーSY-xxx,13-430pF

IFT:STAR A1,B1(トリマ式),

Chem:トーケン

SP:東京目黒,TOSAVOX,1500ohm FC

(現状)キャビネット天板が横割れ。スピーカはバッフル板がなく脱落している。ツマミ1個ない。

Back to TOP


(c) Deluxe Type with RF Amp/高周波1段付き高級型(UZ42)


E(13). RF-Amp Six Tube Super 6S-RF1-FCDS in 1955?

本機は1950年代中頃の自作品で,出力管UZ42, 整流管KX80の標準型5球スーパーに高周波一段増幅を増設した6球スーパー。バリコンを3連とし,高周波増幅用コイルを一個追加すれば,この形ができる。真空管はNEC製5球スーパーのセットものにマツダを追加している。スピーカーはフィールドチョーク型ダイナミックで,電源トランスも十分な容量である。キャビネットはメーカー製であった。

本機は部品取りに骨董屋さんから入手したもの。雨か火災消火の際の水害により,朽ち果て泥まみれの状態て発見された。キャビネットは泥まみれで,まず水道で水洗いし,サランネットは捨ててしまった。キャビネットは水洗いで変形してしまった。本機は骨董屋で一番始めに入手した記念すべきラジオだが,いまとなっては,一番のジャンクになってしまった高い買い物の1つ。配線は上手だが,素人工作の常としてシャーシはキャビネットにネジ留めされていない。

E11 13 96.5.20 3k Homemade (那珂)スーパ 55- WB ST-6S FCsp ★★★☆▲■

----------------------------------------------------------------

キャビネット:木製箱型。全面布張り。

サイズ:552W,250D,296H

ダイヤル:横スライド,

ツマミ:3点式

端子:(A,E)2p,(PU)2p

真空管:

マツダ UZ-6D6 (シームレス) .. 81 >40 (-1952年)

NEC 6W-C5<438> ........ ★ 106 >50 hks,

NEC 6D6<258> 白NEC..... ◎ 35-60 >40 (エージング要),

NEC 6Z-DH3A<634>....... [28,76] >[19,20],

NEC 42<634> .............. 111 >50,

NEC 80<634> ......... ★ [41,13] <[40,40]

(部品)

シャーシ:アルミ

ダイアル:ゴミ無線製,枠金具,ガラス・スケール

VC:3連

コイル:STAR,ANT/OSC

IFT: STAR-A3/B3,

SP:6.5"フィールド型DS

OPT:REAL,(7K,4Ω)UY付き,

PT:山水S422,

CHEM,

真空管シールド:AL上下分離型2本

(状態)

キャビネットは水害により半壊。パネル化粧板剥がれ,サラン布は泥にまみれて半分剥がれていた。裏側のサンと内面の三角材紛失。裏板は湿度で変形。アルミ・シャーシも錆び,PTの鉄製カバーやVCのトリマ金属部は赤錆。SPにも赤錆が見られ,紙製の銘板も流出。キャビネットは水洗いし,サラン布は廃棄した。

シャーシ内部はそれ以前の鼠害により,一部の紙コンは破損。

球は6D6,42,80が55年4月以降のもの。42などは球の外観は銀化が進んでいる。しかし,全般的にgm/エミッションは良好。マツダのUZ-6D6は新品同様。また6Z-DH3A,42は新品に近い。6W-C5はエミッションは良いがhksが見られる。6D6はエミッションは高いがやや不活性で不安定。80は片側が完全なエミ減で他方もほぼ寿命。結局,整流管の不調で現役隠退したと思われる。gmが高いのに銀化が進んでいる理由はセット内ヒータ電圧がやや高めと思われる。使用時間は意外に短かったかもしれない。

(欠品)SPネット

Back to TOP


(d) Popular Type/普及型(6Z-P1)


E(83) ST/GT Hybrid Four Tube Super Cherry 4S-FCDS in 1952, ('99.6.27) [99.7.19]

[99.7.19]

自作ならではの珍しい4球スーパラジオ。球の構成は6SA7GT-6Z-DH3A-6Z-P1-12F。ゲルマニウムラジオ(実際は2極真空管)に低周波アンプを付けて,ついでに選択度を良くするために7極管コンバータを付けると,このラジオになる。つまり,中間周波増幅が無い。しかも,コンバータはこの時代にしては珍しいGT管である。おそらく戦後の高1型ラジオを改造したスーパーなのであろう。

['06.7.8]1952年7月電波科学誌の代理部広告に4球スーパーキットが掲載されている。「高一セット並の廉価で作れる,商業放送聴取用普及機」スピーカ別¥2,580。キャビネットデザインや真空管は異なるが,同じ構成。

Exx xx 99.076.27 3.5k Homemade/Cherry 1952 Wood ST-4S

-------------------------------------------------------------

キャビネット:Cherry,(1952年?)

ダイヤル:Capital /NANAYO RADIO CO.,LTD, 535-1605kc

真空管:

6SA7GT Nippon Electric Corporation(赤)

6Z-DH3A Nippon Electric Corporation(赤)

6Z-P1 Dyne,角ゲッタ,<H55>

KX-12F マツダ <ヌ>,角ゲッタ

VC:サンヨーSY-xxx,13-430pF

IFT(1個のみ):Delta Type-B

Chem:ナショナル 045210

SP:Jupiter Dynamic Speaker/Special,1500ohm FC

(現状)キャビネット正面のダイヤル窓金属製縁取りは錆。

Back to TOP

(c)1998-2000-2002 Koji HAYASHI All rights are reserved.