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J(121) Matsushita National Plustic Super PS-54 in 1953/松下ナショナルプラスティックスーパーPS-54 ('99.12.11) |
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J(144) Japan Victor Portable Radio Electrola PRE-1 in 1952?/日本ビクター PRE-1, ('01.4.2?) |
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J(164, =121) Matsushita National Plustic Super PS-54 in 1953 (2nd Sample)/松下ナショナルプラスティックスーパーPS54(2台目), ('02.5.26.), ['02.8.4] |
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松下電器産業のGT管を用いたトランスレス5球スーパー。日本ではGT管のトランスレスラジオはこれまた珍しく,希少品です。GT管ラジオは本家米国では1940年頃から1947年頃までがその全盛期で,それ以後mT管ラジオへと移行しました。日本では戦前はST管全盛,戦後になって日本独自のGT管が出現しそれを用いたラジオが少し出回りましたが,ST管ラジオは衰えを見せず,その後はmT管に移行してしまいました。1950年代にHi-Fi時代が訪れ,オーデイオ部にGT管を使ったラジオも現れ,また高周波性能が良いので通信機ではGT管も使われましたが,普通のラジオには余り使われませんでした。私のコレクションではST管とGT管の混成ラジオもありますが,米国流のGT管トランスレスラジオだけはほとんど作られませんでした。
さて,このラジオ,キャビネット貼り付けの紙類が残っておらず型番が不明。他の資料からおそらくPS-54と思われる。プラステイック・ラジオと称し,キャビネットは焦げ茶色のベークライトのような材質でできている。1952年頃に出たと思われる旧モデルPS-53もほぼ似たような回路図,シャーシデザインで,キャビネットの顔が少し異なるだけに思える。同様の作りにもかかわらず,旧モデル定価\9,950であるのに対して,53年型の新モデルPS-54は\11,950となっている。インフレのせいであろうか?(値段の違いはどうやらバーアンテナの導入によるものらしい,2002.3.21記)。99.12/22(水)に入手。
このラジオの特徴は米国型トランスレスGT管を用いたトランスレスラジオには違いないが,正確に言うと,トランスレスなのはヒーター点火だけであって,+B電源は日本の電源事情,すなわち,米国ではAC117Vであるのに対して日本は100Vと20%程度低いために十分働かない,そこで,+B電源のみオートトランスを用いて昇圧しているのである。また,米国型のトランスレス管と言ったが実は米国製と若干異なる松下独自の特殊管を用いている。PS-53の初期には12SA7GT/M,12SK7GT/M, 12SQ7GT/M, 35L5GT/M, 35Z5GT/Mと全てMが付いた球を用いた。12SK7GT/Mはメタル・スプレー管である(メタル・スプレーの無い12SK7-GT/Mもあることが分かった,2002.3.17記)。また,12SQ7GT/Mは2極部が1ユニットしか無い。35Z5GT/Mはパイロット・ランプ点火ヒータ端子が無い。パイロット・ランプはオートトランスの別巻き線で行うのである。PS-54の場合は,12SA7-GT/Mと12SQ7GT/Mだけが残っていた。
GT管ラジオはACプラグの中でビニール被覆が切れ掛かって恐いので手直しをした後,電源をさして聞いてみました。どこかの接触不良はあるものの,ちゃんと鳴りました。製造年月は1953年頃(10月頃)のようで,やはり雑誌の記事より少し後のモデルのようです。
セミトランスレス5球スーパ (Ser.028783)
バーアンテナ付き
IFT 08532 (1953.8)
12SA7-GT/M (SH) (1953.8)
12SK7-GT (-J) (メタルシェル,ガラスプリント) (1953?.10)
12SQ7-GT/M (SH) (1953.8)
35L6-GT (SH) (1953.8)
35Z5-GT (SI) (1953.9)
SP 5P-51RC Voice 3.0ohm
12SQ7GTは2極部が1個しかない松下独自の球(/M)でした。12SA7GTも独自の名前が付いていましたが何が違うかは不明。他の球はごく普通の米国互換管となっていました。12SK7-GTには球に銀色のスートはありませんでした。
[追記2002.3.21]
本文掲載後,今となってはもう1年前の話しになりますが,2001年2月に北海道苫小牧市の吉川幸伸さんからメールを頂きました。同じモデルのラジオを入手されたとのこと,キャビネット内に残されていた回路図などから,モデル番号PS-54を確認していただきました。写真をお送りくださり,掲載の許可をいただいて,ここに紹介いたします。
吉川さんのモデルは,製造コードSer.が(017336)で私のものよりやや古い。スピーカは5P-51Rである。私のは5P-51RC。真空管はオリジナルが刺さっていたが,エミ減なので米国製に置き換えられたとのこと。紙類が保存されている。
Matsushita National 12SA7-GT/M?, 12SQ7-GT/M, 12SK7-GT/?, 35L6-GT and 35Z5-GT, [写真撮影,吉川幸伸さん。Photograph supplied by Mr.Y. Yoshikawa.]
いずれも製造は1953年の初めではないかと思われる。35L6-GTにはまだカーボン・スートが無い。
Circuit Diagram of Matsushita-National PS-54/回路図。前モデルPS-53と大きく異なる点はバーアンテナの採用だった。ヒータ配線は12SA7-GTと12SK7-GTの位置が入れ替わった。[写真撮影,吉川幸伸さん。Photograph supplied by Mr.Y. Yoshikawa.]
この時代,松下は特殊なGT管を製造し,-GT/Mと表示していた。回路図には出ていないが,使用した球にはこの種のGT/M管が混在している。パイロットランプはオートトランスを用いた専用巻き線による。整流管35Z5-GTのは本来パイロット・ランプ点灯用にヒータ・ピンを3つ持っている。しかし,松下のPS-53だけでなく本PS-54も相変わらず3-pinと7-pinの間にヒータ電流を印加しており,2-pinは不使用。松下は少し前には,35Z5-GT/Mという特殊な整流管を作っていた。これは2-pinに結線が無い日本独自の球でありヒータ電圧も30V弱であった。その後,PS-54では通常の米国互換管35Z5-GTが採用されたのだが,結線だけは,あいかわらず3-pinと7-pinの間としているのである。回路図には,直列ヒータ回路にその2,3,7が極小さく記されている。
Circuit Diagram on the left side wale, and Instruction of Dial String Mount on the right side wale/回路図は左壁に,ダイヤル糸かけは右側面に。[写真撮影,吉川幸伸さん。Photograph supplied by Mr.Y. Yoshikawa.]
PS-54 受信周波数帯 535-1605 kc 中間周波数 455 kc 使用真空管 12SA7-GT, 12SK7-GT, 12SQ7-GT, 35L6-GT, 35Z5-GT 感度 極微電界級 80uV/50mW 電気的出力 無歪 1.15W, 最大 1.6W 電源 50-60 c/s 使用電力 55VA スピーカー ナショナル 5P-51R型パーマネントダイナミック 松下電器産業 |
さらに,その後,PS-53(PS-54の間違い)の修理記がラジオの大御所,内尾さんのページに掲載されました。
パイロットランプが6.3Vでは暗いのは,PS-54の回路図には特に記載がありませんが,PS53の場合は巻き線が3.5Vと書かれています。PS-54では2.5Vになったのかもしれません。
所有者はかなりやのお宿の佐藤さんです。
とろこで,元祖松下35Z5-GT/Mのベースが赤いのでしょうね?こんなバージョンがあったのでしょうか。
[New '02.8.4]2台目を入手。何かが違う?そう,裏蓋の切り欠きが違います。内部はもっと違っていました。シャーシが違います。コイルが真空管に並んでいます。バーアンテナがありません。こ,これは?そうです。PS-53とまるっきり同じシャーシです。真空管のIF管は茶色のメタル・スプレー管です。これに目が眩み,買ってきました。地元の骨董市。大枚叩きました。ここまで欧州かぶれが進むと病気です?松下ナショナルは,Philipsと提携し直ちにメタル・スプレー管を作ったのでしょうか?
12SA7GT/M Matsushita-National (-1953s)
12SK7GT/M Matsushita-National (TL) ..(1953.12)
12SQ7GT Matsuda (01)..(1960.1)
35L6GT/M Matsushita-National (RA)..(1956.1)
35Z5GT Matsushita-National (A0/NJ)..(1958.10)
これは日本ビクターのPRE-1というラジオ付きのレコード・プレーヤで,ラジオは何とトランスレス4球GT管式です。昭和27年頃(1952年)頃の製造と思われます。レコードはSP版です。
日本ビクターのラジオは戦前は米国RCAの日本版として高級ブランドで売出し,高周波2段増幅ラジオや5球スーパーラジオなどのデラックスなものを製造販売していました。戦時中から戦後1953年頃までは東芝傘下の企業として東芝の真空管を使用した製品を作っていました。しかし,戦後になって各社が一斉に5球スーパーを製造しだすと他社との差別化が次第に苦しくなりました。その時代にあって,日本ビクターは高価なGT管を使用したラジオを製造して何とか高級イメージを保とうとしたようです。本レコード・プレーヤも真空管は東芝製のGT管です。1953年頃から松下電器産業(ナショナル)の財政支援を受けて再スタートを切り,真空管も松下製を使うようになりますので,この製品は1952年頃だと思われます。
Radio section/ラジオ部の拡大。右に選局用ダイヤル,その上の青いツマミはボリューム兼パワースイッチ。ダイヤルはバリコン直結で減速機構はありません。左にスピーカーグリルとサランネット。その上部にある金属製の保護用カバーを取ると真空管の頭が4つ見えます。左より12SA7-GT, 12SK7-GT, 12SQ7-GT, 50L6-GT。整流管はなく,内部にセレン整流素子があります。つまり,ラジオはセレン整流素子を使用した4球スーパーとなります。
12SA7GT, マツダ, ゲッタ皿, 青点, 黒スート
12SK7GT, マツダ, ゲッタ角, シェルは鈍い金属
12SQ7GT, マツダ, ステムに青<3F>, シェルはピカピカ, ゲッタ板皿, 頭に白で(L1)
50L6GT, マツダ, 黒スート, 頭にオレンジ色で(V 12), 管壁に(V)