ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

Radio Tubes After WWII/戦後のラジオ球

6. Miniature Tubes/MT管

6JH. History of Japanese MT

6JB. Early Japanese MT

6JA. Japanese MT

6JP. Japanese Type

6JC. Early TV & Com MT

6A. American MT

6X. Electrodes

6ER. European Rimlock

6EU. European MT

6FM. FM Tuner


Page 61B Early-Time Japanese Miniature Tubes for Radio Receiver after WWII/戦後日本の初期のラジオ用ミニアチュア管

3rd Edition (2006.10.29)-(2011.8.16)-(2013.5.5)

HomePageVT/Radio_tube_6JB.html

(Note) File name was changed from Radio_tube_61B to Radio_tube_6JB at (2011.8.20).


Nippon Electric (NEC) During 1951-54
Toshiba-Matusda since 1952
Hitachi/日立
Matsushita/松下

Red/赤の球

6AT6, 6X4, 6AT6, 6X4, 6AU6

6BE6, 6BD6, 6AV6, 6AR5, 5M-K9, 6AR5(Silver)

6BE6, 6BD6, 6AU6, 6AT6, 6AR5, 5M-K9

6BE6, 6BD6, 6AV6

6AV6

Table of Early-Time Samples/初期の標本の表

 


Early-Time Samples/初期の標本

Collection (Red=not yet described)

Tube

NEC

TEN

Matsuda

Toshiba

Matsushita

Hitachi

Elevam

Besto

DON

Horizon

Dyne

6BE6

12BE6

casiopea 赤

-

HJ4=58

GG3=57, II4=59

52,馬てい,黒P, 点不明

-

箱MT, RH (1954.8)

 

ロゴ

 

 

無印

 

6BA6

12BA6

オレンジ

-

 

白,青

OG(15)

 

6BD6

12BD6

-

GG1=57, II2P=59

-

LL=55, dt

RH (1954.8), 01/MI=59.9 ナショナルLogo

-

ロゴ

 

 

31-ヲ, 31-メ, 31-ヌ

-

PJ(16)

PB(16), MJ(13)

6AT6

12AT6

箱,赤,溶接

-

54?, 中段,点なし,角

-

RH (1954.8)

 

無印

無印

F57

F57

6AV6

12AV6

casiopea 赤

-

-

GH5=57, IJ4=59

-

LU=56

箱MT

 

ロゴ

 

白(J1,S)

白(トリ),無印

36-ハ

 

6AQ5

LU=56,4穴

6AR5

casiopea 赤, RO L 赤, 銀411=56?

DE1=54, FJ3=56

KP=61?

RH(E) (1954.8)

31-F

6X4

箱,赤,溶接

LL=54-55 nopnt, ft

LL=55, ft, リーク

RH(E) (1954.8)

青9L

5M-K9

casiopea 赤

DC1=54, GL1=57, HF2=58

53-54

31ハ,36-オ

PA(16)

無印

30C5

50C5

?=59

-

白(ヘホ), 字消

白(レシ)

無印

 

30A5

RU=57

白(7I)

35W4

II1=59

無印

25M-K15

19A3

6AU6

12AU6

D1赤

-

6C4

LL=55, ft

6AL5

LL=55, ft

12AU7

ロゴ XLソ

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Nippon Electric (NEC) 6.3V Tubes since 1950/NECの6.3V管(1950年から)

Part2で紹介した日本電気NEC製の初期のミニアチュア真空管を集めました。

1951年頃の「大量生産」は高々月産数万本の規模でした。特異な名前を持つ希少管は誰にでも発掘できますが,名前が同じ,顔も同じという極めて月並みな球で,しかも後年,月産数百万本という時代もあったのですから,今の時代にこの種のサンプルを発掘するのは容易ではありません。しかし,ついに探し当てました!

Early-Time 6.3V Tubes for Entertainment/初期の民生用6.3V管の例

Red and White Print Tubes During 1951-54/赤の球

[4aP]

Early-Time, Nippon Electric (NEC) Box of 6AT6, 6X4 in 1951-53

NECのミニアチュア管販売当時の箱。新品が入手できた。箱は米国の戦時中の軍用箱を真似た構造だった。

[4aP]

Nippon Electric (NEC) 6AT6, 6X4

まずは,プリントのインクが赤いことに注目ください。右の6X4のボタンステムもとくと御覧ください。いかにも不細工なガラス細工でしょう。これが初期の特徴です。

[4aP]

Nippon Electric (NEC) 6AT6, 6X4, 6AU6 (6AU6は橋本明洋氏寄贈)

 

[4aP]

Bottom of 6AT6, 6X4, 6AU6

6AT6には無いが底には赤いスタンプが押してある。(-, H, D)

[4aP]

Nippon Electric (NEC) NEC Five Tubes; 6BE6, 6BD6, 6AV6, 6AR5, 5M-K9

日本の5球スーパー定番の真空管。2台のラジオから集めた。6AR5だけは酒井氏寄贈。5M-K9は抜いてからソケットに戻したらステムのガラスがピキっと音を立てて割れて真空漏れを起こした。

[4aP]

Bottom View of Five Tubes

底に赤字印,K, N, J, H, L (11, 14, 10, 8, 12)

[4aP]

6AR5s, Red Print Age's and Silver Print Age's

左のサンプルは初期のもので,プリントは赤色だが禿げたもの。管長がやや短い。一方の,右のサンプルは元々銀色のプリントが退色したもの。時代を表しているのはプレート材の色で初期の材料と同じ「黒光りする燻し?ニッケル,炭化ニッケル」である。これ以後(1955年から56年頃),灰色,アルミ被覆鉄になってしまう。またこれ以後はひし形のNECロゴの下に製造コードの3桁の数字が印字されるがこのサンプルではまだ出ていない。

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Toshiba-Matusda Early-Time 6.3V Tubes since 1952/東芝マツダの初期の6.3V管(1952年から)

東京芝浦電気(東芝,ブランド名マツダ=1959年まで使用)は,戦後しばらくはST管の6.3V化,次いでST管からGT管への切り替えを目指して生産体制を整えつつあったのですが,米国ではGT管にとってかわってミニアチュア管が東芝の想像を超えた勢いで普及しているとの海外情報を耳にしてようやく方針転換,ミニアチュア管製造を開始したのが1951年でした。とは言っても,その狙いはラジオ管というよりはTVや通信用のミニアチュア管にあったようです。したがって,ラジオ管の品揃えにはさらに数年を要しました。しかし,東芝は戦前から早川金属工業(シャープ),松下無線(松下電器産業ナショナル),ナナオラ,テレビアンなどのラジオ製造会社に幅広いシェアを持っていたので,一旦製造を開始すると早くも翌年の1952年始めには各社に供給を開始しました。さらに,東芝は戦後始めたラジオ・セットの自社組立にも本腰を入れて参入し「マツダ」ラジオを売り出していました。自らマツダ・ラジオにミニアチュア管の使用を開始したのは1954年頃が初めてと思われます。

[3jB]

Early-Time Sample of 6BE6, Matsuda, photo by Mr. Akihiro Hashimoto

Dome-top (no flat-top), no neck bottom and No rib plate.

Early-Time Samples from 1952 to 1954/1952-54年頃の初期の球

[2fT]

Toshiba-Matsuda Eraly-Time samples; 6BE6, 6BD6 and 6AU6 (1952?), and 6AT6(1953-54). The outline has a Flat-top and a neck-bottom. The Matsuda Logo without Pointer is located in Center. U-type Getter is used in Former three and Square-type in later one.

/初期の東芝マツダ, 扁平頭,ロゴ外周部の点無し, ゲッタは左3つが馬蹄形,右が角型。

東芝マツダの初期のミニアチュア管のサンプルです。マツダ製品は真空管に製造コードが無く,年代特定の手がかりに乏しいのですが,

6BE66BD6, 左の2本は松下製の初期のミニアチュア管ラジオ型番不明(1951-2年頃)に入っていたので製造開始直後の1952年頃の製造と思われます。6AU6のサンプルは入手経緯不明の裸球ですが,特徴が全て同じで同時代のもの。ステムも綺麗で新品に近い球です。

6AT6は箱入り新品で,良く見るマツダの箱に入ってましたが,普通箱のコードが印刷されている下蓋には日本紙化KKKと印刷されているだけで,上蓋の折り曲げ部に箱のコードSB-326 DBがありました。1950年代後半の箱にはさらにひらがな1文字と2桁の数字が並記されるのですが,この箱には無いのでマツダの箱の中でも初期の箱であることは確かです。1953-54年頃と見ました。

さて,初期の球にはどんな違いがあるでしょう。いつもの顔をしていて何も違いが無いって?

LOGO and Tube Name/ロゴと管名

1) 東芝の「マツダ」ロゴのミニアチュア管は1950年代にのみ製造され,ガラス管面に銀色で丸いマツダのロゴと枠付きの管名を印字しました。丸ロゴには縦長楕円と真円がありますが,ロゴと管名のスタイルは一貫して同じです。しかし,実は印字位置が時代とともに異なります。初期から1955年頃までは,管名の位置がほぼ中央にくるようになっていました。真空管をころがして印刷する場合に頭を揃えるようで,ガラス管頭部の肩からロゴ上端部までの長さが,外形T18-2の球(6BE6など)で6mm,T18-3(6AR5など)で12mm程度です。ところが,1955年度中にT18-2もT18-3も4-5mmに改められました。こちらの方が印刷しやすかったのかもしれません。このため,管名位置が上にずれました。T18-3で4mm程度,T18-3で8mm程高い位置に移りました。丸ロゴには縦長楕円と真円があり,mT21では1958年まで縦長楕円,1959年には真円となります。(59年はToshibaに切り替わるので,真円はあるいは業務管の印だったかもしれません)。

もう1つ,東芝マツダは製造コードを印字しませんでしたが,製造日を示すマークを付けました。それが1つは長方形の管名枠の切り込みです。これはまだ解読できていません。もう1つは,マツダの丸ロゴの周囲にある点です。これは年代を示すと思われます。(左下),(左上),(右上),(右下)と時計方向に回ります。点の位置が4つしかないので4年しか表現できません。初期の頃,1951-54年はマツダロゴ外周部に点が見られません。点が現れるのは1955年からのようです。(左下)=1955年,59年,(左上)=56年,60年,(右上)=57年,(右下あるいはなし)=58年,となります。(右下)は使われなかったかもしれません。58年は点がないものがあります。点なしは54年以前もそうですが,印字位置がことなります。59年は実は秋頃に民生用真空管はToshibaロゴに切り替わりました。通信用の一部だけがマツダロゴを使用し続けました。55年と59年の区別はロゴの印字位置の違いで見分ける以外に手はありません。もっとも,製品に実装されて出荷された真空管には58年の中頃から黄色文字で(8A)から(8L), (9A)から(9L)まで並記してある事が多いので,多分区別ができると思われます。(注)年と書きましたが,1959年の点の位置でも58年の後半のものが含まれているので,ひょっとしたら年度かもしれません。その場合,年表示はマイナス1年してください。現在のところ9月まで遡ることを確認しています。

Glass Forming-Stem and Head/ガラス加工-ステムと頭

2) 初期の頃,ガラス管の下部からボタンステムにかけて絞り込んだ形状になっていました。当時のマツダのミニアチュア管の広告にはこのくびれが描かれています。マニュアルの外形図にもこのくびれが見えます。マツダの製品には1950年代末まで僅かな絞り込み,あるいはくびれは見られますが,これほど大きなものはやはり初期に限られるでしょう。後の綺麗なできの球を見慣れていると,希にできそこないに出くわすと邪見にしてしまいますが,このガラス融着技術が未熟だった時代のものが実はミニアチュア管のビンテージ球だったのです。

3)初期のミニアチュア管の外形上のもう一つの特長は頭がとてもフラットだということです。1955年頃には外周部はもう少し丸くなります。トップチップ(頭の排気管の封止)の形状も排気管が段付きになっている(先端が極めて細い)のが特長。

4) 外形寸法も長いようです。マツダの1951年から1955年のマニュアルには底からトップチップまで最大48mmと規定されていますが,写真のサンプルはすべて48.5mmで,0.5mmオーバーしています。ガラス管平坦部の長さに規定はありませんが上から下までの長さが42mm程度あります。1956年頃にCESの規格に準拠することになりましたので,1958年のマニュアルでは最大47.5mmとなりました。55年頃にまず少し短くなり規格に入るようになり,後の製品はガラス管平坦部の長さが約2mm低くなり余裕で規格に納まるようになりました。

Getter/ゲッター

5) ゲッター・サポート金具も形状が違います。ミニアチュア管時代のゲッタは,1本の短い真っ直ぐな棒に充填されていますが,これに他の金属の針金を付けて環にしたもの(支持金具)を使います。東芝のミニアチュア管では始めは馬蹄形の支持金具が用いられましたが,その後,長方形となり,6BA6などの頭部は狭いのでさらに正方形に近い角形が使われました。私はそれらを馬蹄形,角形と勝手に呼んでいますが,正式には皆リングゲッターです。支持金具の形状は機械的強度や電極共振以外に差異はありません。1960年代になるとゲッタ充填部分が環になったゲッターが登場しますが,これは日本ではドーナツ・ゲッターと呼ばれました。

さて,6BE6, 6BD6, 6AU6はやや大型の馬蹄形のゲッタで,逆に馬蹄形のゲッタは1952-53年頃に使われていたことが分かります。6AT6のゲッタは既に角形が付いていますから,やや新しいことが分かります。1953-1954年頃の製品と思われます。

Plate Material/プレート材料

コンバーター管6BE6の円筒プレートと高周波増幅管6BD66AU6の円筒外部シールドは,同じ材料を使用するのが一般的ですが,この時代,6BE6の円筒プレートは着炭黒化型ですが,6BD6は濃い灰色(アルミ被覆鉄)です。

さらに6BE6のプレートの切り欠き部は5mmx3mmの長方形,6BD66AU6のシールド筒は10mm幅x1mmの広いスリット状です。東芝の切り欠き部の形状は同一品種の球であってもその後1960年代後半まで2種類が平行して現れます。電極の部品製造会社が2社あった,あるいは組立工場が2カ所以上あったのかもしれません。

samples from 1953-1954

[2gL]

Toshiba-Matsuda Flat-top; two 5M-K9s(1953-54), 6AR5(1954), all are Center-Logo without Pointer/頭が扁平,中央にロゴ,外周部に点なし。

5M-K9は,ガラス頭が扁平で,ステムもくびれがあります。マツダロゴ外周部に点がないので1953-54年頃と思われます。角ゲッタ。2つの5M-K9はプレートのカシメ穴の形状に僅かに違いがあります。左は中古(em=46),右は箱入り(未計測)(SB-351-DA つ10)。

6AR5はマツダラジオ(1954製)に入っていたもので,頭が扁平です。マツダロゴ外周部に点がない。ロゴと管名は銀色でしたが撮影のためにシンプルグリーンで軽く擦ったら落ちてしまいました。プレート筒の綴じ方がスポット溶接です。


Eary-Time Tubes for Communications and TV- Samples from 1954-1955

6AK5, 12AU7, 12AX7, 6AH6については,別ページをご覧下さい。

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HITACHI/日立

最初期の日立のラジオ用ミニアチュア管です。ロゴが特徴です。

[Ae7][Ae7][4aP][Ae7]

Hitachi 6BE6, 6AV6, 6BD6, and 6BD6

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Matsushita/松下

最初期の松下のラジオ用ミニアチュア管です。頭の尖りと箱の作りが特徴です。

[AfDr]

[AfD]

Matsushita National 6AV6 in 1954

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(c)2004, 2006, 2011, 2013 Koji HAYASHI All rights are reserved.
1st edition (2004.2.2), 2nd Ed. (2004.12.25), (2006.9.10)