ANTIQUE JAPANESE RADIO/日本の古いラジオ

written by Koji HAYASHI, Ibaraki JAPAN

Mini-Museum of Japanese Radios/日本のラジオのミニ博物館

Radio Tubes After WWII/戦後のラジオ球

6. Miniature Tubes/MT管

6JH. History of Japanese MT

6JB. Early Japanese MT

6JA. Japanese MT

6JP. Japanese Type

6JC. Early TV & Com MT

6A. American MT

6X. Electrodes

6ER. European Rimlock

6EU. European MT

6FM. FM Tuner


Page-Min. History and Samples of American Miniature Tubes for Radio Receiver/米国のラジオ用ミニアチュア管の歴史とサンプル

4th Edition (2010.5.7), 3rd Edition (2006.10.31)-(2011.8.19)

HomePageVT/Radio_tube_6A.html

(Note) File name was changed from Radio_tube_Miniature to Radio_tube_6A at (2011.8.19).


History of Miniature Tubes/ミニアチュア管の歴史

RCA 1947

1. Early Time/初期

2. During WWII/戦時中

3. After WWII/戦後 - RCA Table in 1947

4. Battery Tubes after 1945/電池管その後,

4'. Miniature Tubes for Communication/通信用のミニアチュア管

5. Standard Tubes for Five Tube Super/5球スーパーの定番, - Table

6. Table of Early Time Miniature Tubes/初期のミニアチュア管一覧

7. 100mA Series Five Tube Super/100mA系5球スーパー

Samples:

6.3V
150 mA
1st Ages

Ray (1)

6BE6; <Raytheon>, <RCA-1>,<RCA-2>, <GE-1>, <GE-2>, <GE-3>, <Sylvania>, <TungSol>,

12BE6; <GE>, <TungSol>,

6BA6; <RCA>, <WH>, <KenRad-GE-1>, <GE-2>, <Sylvania-1>, <Sylvania-2>, <TungSol>,

12BA6; <Raytheon>, <RCA>, <Philips-OEM>,

6AT6; None,

12AT6; None,

6AQ5; <Sylvania-Philco>, <TungSol>, Others -see American Type Small Beam Power Tube/米国ビーム出力管2参照),

12AQ5; <Philips-OEM>, 50B5; <Sylvania>,

6X4; (see Rectifier Tube Page)

35W4; <TungSol>

2nd Ages

RCA (4)

6BD6; <Raytheon-1>, <Raytheon-2>,

12BD6; None,

6AV6; <RCA>, <TungSol>,

12AV6, <WH>, <Philips-OEM>,

6AR5 see American Type Power Pentode/米国5極出力管参照

50C5; None

FM and pp Amplifier

RCA (3)

6AU6; <Raytheon-1>, <Raytheon-2>, <RCA-1>, <RCA-2>, <WH>, <GE>, <CBS>, <Sylvania>,

12AU6; <RCA>,

6BF6; <RCA>,

12BF6; <RCA>,

6AL5; < RCA>,

12AL5; None,

6C4; <Sylvania>,

Apendix

- TV tubes; 3AU6 ;<CBS>, 6CB6A; <CBS>

Maker's Index

Raytheon(280)

RCA(274)

Westing House (337)

Ken-Rad/ GE(188)

CBS- Hytron (210)

Sylvania (312) Philco (260/ 1063)

Tung-Sol (322)

Philips OEM(-);

Sample

<6AU6-1>, <6AU6-2>, <6BD6-1>, <6BD6-2>, <6BE6>, <12BA6>

<6AU6-1>, <6AU6-2>, <6AV6>, <6BA6>, <6BE6-1>,<6BE6-2>, <6BF6>, < 6AL5>, <12AU6>, <12BA6>, <12BF6>,

<6AU6>, <6BA6>, <12AV6>

<6AU6>, <6BA6-1>, <6BA6-2>, <6BE6-1>, <6BE6-2>, <6BE6-3>, <12BE6>

<3AU6, 6AU6, 6CB6A>

<6BE6>, <6AU6>, <6BA6-1>, <6C4>, <6BA6-2>, <50B5>, <6AQ5>

<6BE6>, <12BE6>, <6BA6>, <6AV6>, <6AQ5>, <35W4>

<12BA6>, <12AV6>, <12AQ5>


History of Miniature Tubes/ミニアチュア管の歴史

真空管式ラジオの定番となった5球スーパのミニアチュア管,例えば,国内では6BE6, 6BD6, 6AV6, 6AR5, 5M-K9がありますが,これらはいつ頃誕生したのでしょうか。ほとんどの人はその歴史を知りません。以下にその歴史を概説しましょう。

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1. Early Times/初期

真空管を小型化するメリットと言えばラジオが小型化できる点でしょう。RCAのミニアチュア管は,直径18mmの小型真空管で,何よりの特長は従来のST管やGT管に用いられてきたベークライト・ベースを外した全ガラス管です。ボタン・ステムを採用し,7本足のリード線をそのままソケット・ピンとしているので,製造機械を作ると全自動化が容易です。設備投資には莫大な資金が必要なのですが,一旦作り始めると短時間のうちに大量生産でき,製品自身は廉価になるという大企業向きの真空管です。

ミニアチュア管は,ラジオ用電池管のところでも紹介したように,戦前の1939年に米国RCAが携帯ラジオ用の4種の直熱管1R5, 1T4, 1S5, 1S4を開発したのが始まりです。米国内では1941年頃には各ラジオ会社が競って携帯ラジオを製品化しました。国内では,最大手の東京電気(マツダ,現東芝)は1940年に1R5, 1T4, 1U4, 1U5, 3S4を試作したという記録がありますが,製品は出荷しませんでした。一方,戦前に有名だった品川電機(トウ)は米国型ミニアチュア管1T4のヒータ規格(50mA)を独自の規格(60mA)としたB-01, B-03などを開発,戦時中には量産し軍用に供給しました。開発時期は不明ですが,米国の新製品情報や現物の入手を考えると1940年頃であって,東京電気と同じかやや早い時期であったと想像できます。

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2. During WWII/戦時中

真空管を小型化するもう1つのメリットは,電極引き出し線が短くなるため高周波特性が良いという点です。また,ボタンステムと短い電極引き出し線という構造のミニアチュア管は,製造機械さえ作れば自動化できるとあって大量生産に向き,軍事兵器向きとも言えます。電池管以後,第2次大戦にあっては,高周波管の開発に応用され,1941-1942年頃には,従来のエーコン管954, 955, 956をミニアチュア化した9000番台の真空管や通常のRETMA名を持つ6C4が作られました。これらが傍熱型ミニアチュア管の始まりとなりました。さらに,1942年後期には,RCAにより6J6, 6AL5, 6AQ6, 6AG5, 6AK6が開発され,ミニアチュア管で400MHzまで動作する無線機が設計できるようになりました。またWEにより6AG5の改良が行われ1942-1943年に6AK5, 6AJ5が誕生しました。

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3. AC-DC Power Operated Tubes After WWII/戦後のAC-DC電源の球

米国では戦争が終結する頃になると真空管会社は次の需要の開拓を迫られ,再び民生用ラジオ管の開発が始まりました。まず,RCAにより1945年9月にはAC-DC(トランスレス)ラジオ用傍熱型真空管として,12BE6, 12BA6, 12AT6, 50B5, 35W4が開発され,さらに少し遅れて12月にはFM放送や自動車ラジオ用の新シリーズとして6.3V系列の有名な6BE6, 6BA6, 6AT6, 6BF6, 6AQ5, 6X4, それに6AG5の12V管12AW6などが開発されました。これらの新型管は従来から知られているメタル管やGT管のミニアチュア化,さらには戦時中に開発されたミニアチュア管の12V管であったので,短期間のうちに開発が完了できた訳です。

Miniature

Prototype

Miniature

Prototype

6BE6

6SA7

12BE6

12SA7

6BA6

6SG7

12BA6

12SG7

6AU6

6SH7

12AU6

12SH7

6AT6

6SQ7

12AT6

12SQ7

6BF6

6SR7

12BF6

12SR7

6AQ5

6V6

50B5

50L6

6X4

6X5

35W4

35Z5

しかし,ミニアチュア管は直ちに普及した訳ではありません。戦争直後ということもあって,戦時中に大量に作られたメタル管やGT管が市場に溢れ,まずその利用が進められました。当時の通信機やラジオはどれもこれもメタル管やGT管ばかりです。当時の雑誌を見る限り,RCAは1946年1月にIRE誌にFM, TV, 通信用の球としてミニアチュア管のイメージ広告を出しましたが,その後の広告も管の名前が出てくるのは送信管や業務管ばかりでした。勿論,水面下では各社がミニアチュア管の製造を開始,主に自動車ラジオの業界が最新鋭の真空管を積んだラジオを製造したようです。

まる1年たった1947年1月になって広告が解禁されたのでしょうか?RCAは"A Complete Comlement of RCA Miniatures for Auto Radio Receivers"と題して,6BA6, 6BE6, 6AT6, 6BF6, 6AQ5, 6X4を写真入りで登場させました。

[1i8]

from Advatize Page of RCA, IRE, Jan 1947.

今日から見ると2本の検波増幅管6AT66BF6は馴染みのない顔ぶれで,しかも何で2本も用意したの?という疑問が残りますが,当時は真面目に「6AT66AQ5のシングル・アンプのセットに,6BF6はppアンプのドライバー用に」と説明されています。さらにRCAは1947年7月になって,リストだけではありますがミニアチュア管の広告が出し,以下の表を掲載しました。

なお,有名なトランスレス版の出力管50C5, 35C5は1948年になって初めてリストに登場します。それとともに,50B5, 35B5が消えて無くなりました。また検波増幅管6AV6, 12AV6もようやく登場し,6AT6, 12AT6が姿を消しました。オーディオで有名になった12AX7も登場しました。消えうせた品種はまだいくつかありますが諸略。表には現れた品種だけ太文字で記載。

RCA Miniatures in July 1947 and September 1948

Class

Function

Tubes in July 1947

Tubes in September 1948

Rectifiers

Half-wave

Full-wave

35W4, 45Z3, 117Z3, 1654

6X4

Diode Detectors;

Single Unit

Twin Unit

1A3, 9006

6AL5

Triode Amplifiers

Single Unit

Twin Unit

6C4, 6J4, 9002

3A5, 6J6, 12AU7

 

12AX7

Diode- Triode Amplifiers

High mu

Medium mu

6AQ6, 6AT6, 12AT6

6BF6, 26C6

6AV6, 12AV6

 

Pentode Voltage Amplifiers

Sharp-cutoff

Remote-Cutoff

1L4, 1S5, 1U4, 6AG5, 6AK5, 6AU6, 12AU6, 12AW6, 9001

1T4, 6BA6, 12BA6, 26A6, 9003

 

6BJ6

Pentode Power Amplifiers

1S4, 3A4, 3Q4, 3S4, 3V4, 6AK6

Beam Power Amplifiers

6AQ5, 35B5, 50B5

35C5, 50C5

Pentagrid Converters

1R5, 6BE6, 12BE6, 26D6

Thyratrons

2D21

Voltage Regulators

0A2

RCA以外の真空管製造会社の動きを説明すると,次のようです。

(1)Sylvaniaは1946年にはかなり多くのミニアチュア管を製造開始しています。同社の真空管マニュアル(1946年版)を見ると次の球が掲載されています。

(Battery) 1R5, 1S4, 1S5, 1T4, 1U5, 3A4, 3A5, 3Q4, 3S4, 3V4, 45Z3

(6.3V) 6AG5, 6AK5, 6AL5, 6AQ6, 6AT6, 6AU6, 6BE6, 6BA6, 6C4, 6D4, 6J6,

(Less)12BE6, 12BA6, 12AT6, 50B5, 35W4,

こうして見ると,電池管の整流管117Z3や6.3V管の整流管6X4がまだ見えませんが,開発直後の時期にあっても民生用ラジオや通信用には十分対応した品揃えであることが分かります。ちなみに,SylvaniaはPhilco社向けに真空管を製造しており,Philcoの名前の入ったミニアチュア管が自動車ラジオを初めとして出荷されたものと思われます。

(2)Tung-Solは広告を出し始めたのが,1946年1月。4月まで,6AK5の絵(ただし管名は無し,Actual sizeとだけ表示)を掲載しミニアチュア管製造のTung-Solを宣伝しています。イメージ広告でした。そして,1946年5月に117Z3とマークのある真空管の絵に変わりました。初めて真空管の名前と仕様が出た訳です。本文中には35W4, 6X4の名前も登場しました。以後,1946年9月に50B5の絵, 1946年10月に6AT6の絵と1S5, 6AQ6, 6AT6, 12AT6の文字, 1946年11月に6BA6の絵と12BA6の名前が,1946年12月に12BE6の絵と本文中にはTung-Sol "BE6"とあり6/12の両方を意味していた?, 1947年1月に35W4の絵, 1947年3月に6BJ6の絵,4月に6X4の絵, 1947年6月に6AK5の絵と続きました。Tung-Solも自動車ラジオの会社に出荷していました。

(3)General Electricは戦後,Ken-Radを傘下に納めてに民生用真空管の製造に乗りだしました。Ken-Radの広告が現れるのは1948年4月にTV用真空管の広告で,12AT7, 6AU6, 12AU7, 6BG6-G, 1B3-GT/8016を掲載しています。特に12AT7は1948年9月のRCAの広告のリストでも現れていない品種ですので,GEの開発によるものかもしれません。GEも自動車ラジオの会社に出荷していました。

(4) 米国の通信販売の店Naiagara Radio Supply Corp.1947年10月の広告によれば,世はGT管時代でしたので,ミニアチュア管として当時流通していたのは,電池管1A3(0.98), 1L4(1.10), 1T4(1.10), 1R5(1.10), 1S5(1.10), 3Q4(1.10), 3S4(1.10)であって,6.3V管は僅かに2D21(0.75), それに戦時中軍用に用いられた6AG5(0.99), 6AK5(0.99), 6AL5(0.99), 6AT5(0.99), 6C4(0.64), 6J4(1.50), 6J6(0.89), 9001(1.15),9002(0.98)..,9006(0.98)でした。戦後登場した民生用のトランスレス管が僅かにあり35W4(0.89), 50B5(1.59)となってます。

それが,わずか半年後の1948年3月には,トランスレス管12AT6(1.10), 12BA6(.89), 12BE6(.89)が掲載された他,35W4(.69), 50B5(.89)が廉価になりました。また電池管や6.3V管も拡充し,3A4(0.49), 117Z3(0.89), 6AQ5(0.75), 6AT6(0.75), 6AU6(0.89), 6D4(0.89), 6X4(0.98)が増え,既に掲載されている球はぐんと値下がりするものが出てきました。いろんな真空管製造会社が1946年には製造を開始したので,流通が改善され,いよいよ販売合戦により廉価になっていくとともに爆発的に広まっていく様子が分かります。

(5) 1947年4月に,米国のAutomatic Manufacturing Co.という会社が,IFTとマイカ・トリマの宣伝のために,6BA6, 6BE6, 6AT6が鎮座している5球スーパーの高周波部のシャーシの写真を掲載しています。ある意味ではミニアチュア管専用のIFTの広告であったかもしれません。1947年9月にはREVERE Copper and Brass Inco.という会社がミニアチュア管5本のラジオの原始的なプリント基板を掲載しています。正確にいうとプリントではなく,銅板の鳩目留めした基板なのですが。ミニアチュア管の1つは(6-39 274)という製造コードが読め,RCAが1946年に製造したミニアチュア管であることが分かります。いずれの広告もコストのことを謳っており,ミニアチュア管が民生向けの製造が産業界にかなり浸透している様子が分かるとともに,産業界はミニアチュア管を用いていかに廉価に作るかという時代に入っていることを伺い知ることができます。

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4. Battery Tubes after 1945/電池管その後

米国では戦争の終結はポータブル・ラジオのブームを引き起こしたようです。1945年には電池管式ポータブル・ラジオのAC電源用として,整流管の117Z3が開発されました。また,従来のリモートカットオフ管1T4の省エネ兼感度アップのためかシャープカットオフ管1U4が作られました。AVCがかからない場合には消費電流が少なく感度も良いシャープカットオフ管が有利。従来1L4があったのですが,1U4は同等のgmを持ち,バイアスが浅く,+Bが1/3とぐっと省電力になりました。また,既存の品種のピン配置を改良した版として,出力管3Q4から3V4が,また検波増幅管1S5から1U5が生まれました。どれだけ使いやすくなったかは不明です。

1946年にはRCAが船舶など+B26Vで働く業務用の傍熱型ミニアチュア・ラジオ管として,26A6, 26C6, 26D6を開発しました。原型は12BA6, 12AT6, 12BE6です。双5極出力管26A7-GTや他の12V管(例えば12AU7を26Vで使う)と合わせて受信機が構成できます。RCAはこれらの球を一般民生用のマニュアルには掲載せずにReceiving Type Industrial Tubeという分類で,高信頼管などと同様に業務用のカタログに掲載したので知名度は低いようです。

米国の直熱型ミニアチュア電池管の開発は,1949年にSylvaniaが周波数変換管1L6を開発したのが最後となりました。

4'. Miniature Tubes for Communication/通信用のミニアチュア管

戦後のもう1つの動きとして,電話などの通信業務用のミニアチュア管が開発されています。戦時中にRCAとは別系統のWestern Electricが軍用球の開発に参加し,RCAの6AG5を改良した高周波増幅5球管6AK5, 6AJ5, 6AS6などを1942年から開発したことは有名です。戦争終結後,民生用機器の製造再開を受けてRCAのミニアチュア管の開発の動きは早く,また華やかだったのですが,通信業務用機器の分野は戦争で米国本土が荒廃した訳でもなく,どちらかというと既に満ち足りていた状態にあったといえましょう。軍用機器がだぶつき気味であったとすればなおさらです。Western Electricはミニアチュア管の通信機器への応用をどちらかというと地味に続けました。

まず,1946年に,新しい9ピンのミニアチュア管396Aを開発,1948年には送信管名称制度に2C51と登録したようです。その他は従来の品種を発展させる形で開発が進められました。1947年から1948年にかけて6AJ5を原型に401A,401B, EIAに登録した5590, また6AK5を原型に403A, 403B, 408A, EIAに登録した5591を開発しました。さらに,1948年にはRCAの電池管1T4, 1R5を原型として,直熱型管399A,400Aを開発しています。こんな状況でした。

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5. Standard Tubes for Five Tube Super/5球スーパーの定番

さて,1947年の段階では,まだまだ有名な5球スーパの球,6.3Vでは6BD6, 6AV66AR5,それにトランスレス用の出力管50C5, 30C5が登場しません。

6BD6, 12BD6はRaytheonが1946年10月に広告を出しました。6D6, 6U7G, 6K7, 6SK7, 12SK7GTなどの廃止管の埋め合わせをするタイプとして登場,High gmという特長は無いが受信機の設計において約20年間はぐくまれてきた特性を持つ球であって,6SK7, 12SK7と等価ということです。後に日本で喜ばれ,トランス付きのラジオでは定番になったのは歴史上の事実です。

さて,6AV6/12AV66AR5の歴史的資料は未だ手に入りませんが,その開発時期は1947年頃と推定されます。RCAの1948年9月の広告リストには6AV6/12AV6の名前が登場します。岡田章さんの「12AX7とその改良管」のページによれば,6AV6/12AV6は1948年にRC-15の付録にも登場するとのこと。RCAが開発者ならばRCA HB-3のデータの日付から開発は1947年となりますが,他社の開発だともう少し時期が早くなります。何せ,RETMA登録名の順番から言えば,もっと早い時期であることが想像できます。

出力管6AR5についても同じ事が言えます。RCAのHB-3のデータは1949年ですが,名称からすれば1947年頃でもおかしくなく,Raytheonあたりが6BD6の例に習ってミニアチュア化した可能性も残されています。

トランスレス出力管35C5, 50C5はRCAの1948年9月の広告リストに初めて登場します。RC-17によれば「端子接続と規格が幾分大きいということを除けば35B5と同様である。」としています。またピン配置については「35C5のピン配置は交直両用受信機の設計に当たってのアンダー・ライター研究室の要望を簡易化している」とあります。従来のピン配置は6AQ5と同じであったが,プレート端子をカソードとスクリーンで囲む配置に改め,発振防止を図っていると思われます。

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6. Table of Early Time Miniature Tubes/初期のミニアチュア管一覧

下の表はミニアチュア管の初期(1939年)から1948年頃までの球を拾ったものです。球は米国RETMA登録名の末尾3,4,5,6,7,8と分類してます。登録は原則としてアルファベット順に行われるので開発年代を並べるには便利です。RETMAの受信管だけでなく,送信管名称制度(仮称)の球,2C512D21が混じっています。本当はその他にもミニアチュア管がありますが省略しました。2E30など。RETMAでも4桁の数字管があります。9000番代はメーカが勝手に名付けたものと思われるが,1947年頃から5000番代を使いだしました。これは戦後RETMAが管理しています。Wwstern Electricの3桁は独自ですが,一応拾い上げました。

文献により開発年代を調べました。民生用受信管については有坂さんの年表が有力な手がかりとなりました。RCAのHand Book-3のデータの日付は開発年代の参考にはなるが,データの発行日であり,改訂が加えられるとかなり後年のものになってしまうので,Tentative Dataと記されているものが開発年代に近い。そうでないものは(<)と記号を付けた。また本来RCAの開発でない真空管も混じっており,全部が全部RCAの掲載年代に従う訳ではない。広告で見つけた球だけは記しておいた。例えばRaytheonの6BD6/12BD6など。やはり開発年代は早い。Western Electricの開発年代はBernard Magersの文献によるが,6AK5の開発年代は1943年と記されているがWEの広告にある歴史では1942年となっている。他の文献も調べて,Developper and Yearに記したのが私の見解。広告の掲載年を記しているものもある。それらを総合すると,やはり,初めに書いたように,RETMA登録順が一番矛盾ないように思えます。

Tables

List of Battery Operated Miniature Tubes and Its Developpers

Name

Developper and Year

From Arisaka's Table

From RCA HB-3 Data

Prototype

Tube Type Section

117Z3

RCA 1945.12

1945

< 7-50

45Z3

RCA

1941

*

1A3

RCA 1942

1L4

RCA 1942

1942

6-42

1U4

1S4

RCA 1939

1939

<1-42

1T4

RCA 1939

1939

<1-55

1U4

1945

<11-54

1N5GT

3A4

RCA 1942

1942

<12-44

-

R Industrial

3Q4

1941

5-41

3Q5GT

3S4

1940

<1-55

1S4

3V4

1945

<1-55

3Q4

1R5

RCA 1939

1939

<5-42

-

1S5

RCA 1939

1939

<6-47

-

1U5

1945

6-47

3A5

RCA 1942

6-42

R Industrial

26A6

RCA

1946

6-46

12BA6

R Industrial

26C6

RCA

1946

6-46

12AT6

R Industrial

26D6

RCA

1946

6-46

12BE6

R Industrial

List of Number Tube -AC-DC Operated Miniature Tubes and Its Developpers

Name

Developper and Year

From Arisaka's Table

From RCA HB-3 Data

()=other source

Prototype

Tube Type Section

9001

RCA 1942

10-43

954

9002

RCA 1942

10-43

955

9003

RCA 1942

1943

10-43

956

9006

RCA 1942

10-43

WE 396A

WE 1946

(1946)

=2C51 9-pin

WE 399A

WE 1948

(1948)

-1T4

WE 400A

WE 1947

(1947)

-1R5

WE 401A

WE 1947

(1947)

6AJ5

WE 401B

WE 1948

(1948)

6AJ5, 401A

WE 403A

WE 1948

(1948)

6AK5

WE 403B

WE 1948

(1948)

6AK5, 403A

WE 407A

WE 1948

(1948)

396A/2C51

WE 408A

WE 1948

(1948)

6AK5

1654

RCA -1947

(<RCA 1947)

Rectifier

5590

WE 1948

(1947)

6AJ5, 401A, =401B

5591

WE 1948

(1947)

6AK5, 403A, =403B

5651

RCA 1948

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List of 2-5 Series AC-DC Operated Miniature Tubes and Its Developpers

Name

Developper and Year

From Arisaka's Table

From RCA HB-3 Data

()=other source

Prototype

Tube Type Section

0A2

RCA

1945

<11-54

0D3/VR150

2C51

WE 1948

(1946)

9-pin

2D21

RCA 1947

(<RCA 1947)

6C4

RCA 1942

1942

<11-54

6D4

Sylvania

(Sylvania <1946)

6J4

RCA 1944?

1944

4-44

6AB4

<5-52

6X4

RCA 12-1945

1946

<10-53

6X5

35W4

RCA 9-1945

1945

<9-50

35Z5GT

6AG5

RCA 1942

1942

<1-55

6AJ5

WE (1944*)

6AK5

WE 1942 (1943*)

1943

<1-55

6AL5

12AL5

RCA 1942? Hytron 1944

RCA 12-1945

1944

1947

<5-54

6AN5

1948

6AQ5

RCA 12-1945

1946

<5-52

6V6

6AR5

?

1947

<5-49

6K6

6AS5

1948

3-48

35B5

RCA

1946

12-46

35L6GT

50B5

RCA 9-1945

1945

1-46

50L6GT

35C5

RCA 9-1948

<1-55

35B5

50C5

RCA 9-1948

<1-55

50B5

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List of 6-8 Series AC-DC Operated Miniature Tubes and Its Developpers

Name

Developper and Year

From Arisaka's Table

From RCA HB-3 Data

()=other source

Prototype

Tube Type Section

6J6

RCA 1942?

1942

<3-55

6AH6*

Raytheon 12-1946

11-49

6AK6

RCA 1942

1943

10-43

6G6G

6AM6

1949

6AN6

Raytheon ?

1946

6AQ6

RCA 1942

1944

6-44

6SZ7

6AS6

WE 1948 (1945)

1947

2-50

R Industrial

6AT6

12AT6

RCA 9-1945

RCA 9-1945

1946

1945

<9-55

>5-54

6SQ7

12SQ7

6AU6

12AU6

RCA

1945

1946

<2-57

<6-57

6SH7

12SH7

6AV6

12AV6

RCA 1948

RCA 1948

 

1947

<8-54

<10-47

12AW6

RCA 12-1945

1947

4-47

6AG5

6BA6

12BA6

RCA 9-1945

RCA 9-1945

1945

1945

<5-54

<11-52

6SG7

12SG7

6BD6

12BD6

Raytheon 10-1946

1947

1946

2-50

<11-52

6SK7

12SK7

6BE6

12BE6

RCA 9-1945

RCA 9-1945

 

1945

<5-54

<5-54

6SA7

12SA7

6BF6

12BF6

RCA 12-1945

RCA 1952

1946

1945

<11-52

<11-52

6SR7

12SR7

6BH6

1947

<9-55

6BJ6

1946

<9-55

6BN6

GE

1949

2-56

12AT7

1948 GE/ KenRad?

1947

<3-54

12AU7

1947 RCA

1946

<3-55

12AX7

1948 RCA

1947

<11-54

6BA7

12BA7

1948 RCA

6T8

1947

<4-56

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7. 100mA Series Five Tube Super/100mA系5球スーパー

(2010.5.7追記)

[Ae7]

1959年3月,米国Sylvaniaはヒータ電力を全体で約33%削減し経済的なラジオが作れるとした100mA系のトランスレス管を発表しました。18FX6, 18FW6, 18FY6, 32ET5, 36AM3です。ただ,広告の写真で18FX6はDual control miniature semi-remote cut-off pentodeと「間違った?」説明がなされ,また18FY6はまるで多極管の構造をしたものが映されていました。

ついで,Sylvaniaは,シャープカットオフの18GD6, mu=70の双2極3極管18GE6を作りました。一方,最大手のRCAもおくれて1959年に100mA管の製造に着手しました。18V管は12BE6, 12BA6, 12AV6のヒータ焼き直しですから簡単です。しかし,出力管と整流管は新品種を開発して対抗しました。それが34DG536AM3Aです。34DG5は少し出力が増加し,36AM3Aはパービアンスを改善しました。

また,当事業界(EIA)の申し合せによってかヒーターウォームアップ時間が規格化されたので,SylvaniaはAのついた18FX6A, 18FW6A, 18FY6AをEIA登録したようです。32ET5A, 36AM3Bは登録時期,登録者不明ですが,同じ意味です。

Name

EIA登録

Ph W

Compatible

Ph W

1959.3

18FX6

Sylvania

Penta-grid Conv

1.8

12BE6

1.89

18FW6

Sylvania

RCO RF Pentode

1.8

12BA6

1.89

18FY6

Sylvania

Dual Diode High mu Triode

1.8

12AV6

1.89

32ET5

Sylvania

Beam Power

3.2

35C5/50C5

5.25/7.5

36AM3

Sylvania

Halfwave Rectifier

3.6

35W4

5.25

1959.5-1960.5

34GD5

RCA

Beam Power

3.4

New

36AM3A

RCA

Halfwave Rectifier

3.6

New

18FX6A

Sylvania

s.a. (Heater W.up)

18FW6A

Sylvania

s.a.. (Heater W.up)

18FY6A

Sylvania

s.a.. (Heater W.up)

18GD6A

Sylvania

SCO RF Pentode . (Heater W.up)

1.8

12AU6

1.89

18GE6A

Sylvania

Duplex-Diode High mu Triode (mu70) . (Heater W.up)

1.8

12AT6

1.89

50FA5

Sylvania

Beam Power

5.0

New

50FK5

RCA

Beam Power

5.0

New

40FR5

Sylvania

Beam Power

4.0

New

1961.5-1962.5

34GD5A

RCA

s.a. (Heater W.up)

3.4

1962.5-

36AM3B

-

s.a. (Heater W.up)

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American Miniature Tubes

ここに紹介する米国ミニアチュア管のサンプルは自動車ラジオ(オートラジオ)の抜き球(ジャンク球)と思われるものである。様々な自動車ラジオ・メーカー名が印刷されている。DELCO, FoMoCo, PHILCO, Admiralなど。さらに,これらラジオ・メーカーに真空管を供給していた真空管製造メーカは,RCA, Raytheon, GE/Ken-Rad, Westinghouse, Tung-Sol, Sylvania, Hytron/CBSなど様々である。管名枠や文字も時代により変わる。また,管球メーカは相互に球を融通しあい,Raytheon製なのにRCAの名前を付けたり,また,他社の製造の球を自社のコードを付けて自動車ラジオメーカに出荷したり,複雑怪奇である。電極材料も一貫して同じものを使っている一方で全く違う造りの球が出現する。だから,一概に会社別の球を分類するのは不可能に近い。しかし,あえて,拾ったサンプルだけを紹介しよう。

最も古いものはRCAのVictorブランド6AU66BF6(ともに1948年製), RaytheonのDELCO向け6BE6(1949年製), Ken-Rad/GE製のDELCO向け製品6BE6(1950年製), SylvaniaのPhilco向け6AU6(1950年製)などがある。1945,6年まで遡ることはできなかった。逆に米国でのミニアチュア管の流行は,私の少ないジャンク品で見る限り,1948年のRCAに次いで,各社が1949-50年頃に一斉に出荷をはじめたことが分かる。

サンプルは字が消えかかったり,完全に消えてしまったものもある。OEM製品も多い。一体,どうやって見分けるのかというと,真空管を並べて比較する以外ない?字が残っていれば,社名,またEIA(電子工業会)の社名コードにより製造会社も分かる。製造年月(週)もコードがあるのである。電極構造も分類の一助である。

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Raytheon -280

米国Raytheonは,サブミニアチュア管など軍用真空管で有名な会社ですが,1940年代後半の戦後しばらくの間はTVの新時代に対応すべく民生用ミニアチュア管の新種も開発,製造しました。しかし,1950年代にはいると軍用に重点を置いて主にサブミニアチュア管を開発製造していました。そして1960年代には民生管は海外の製品をRaytheonブランドで売るという商社としてのみ活躍しました。

我が国で有名なラジオ管6BD6はRaytheonが1947年頃に発表したものですが,1950年代にはRCAにも供給したようです。1950年代末には早くも廃止管に指定されました。

Raytheon (1)

[2gL]

Raytheon 6AU6(280 0-17, 1950), DELCO/Raytheon 6BE6(280 9-43A, 1949) and two Motorola/Raytheon 6BD6s(280 1-47, 1951).

Raytheonは1940年代から1950年代中頃まで管名表示を頭部に印字しました(写真では見えません)。

Raytheon 6AU6(280 0-17, 1950), 管名は8角枠に。1950年製は管名印字が例外で側面に印字しています。他社製とも考えられます。プレート外周の色が良く似ているのはPhilco/Sylvaniaの一部の製品です。上部シールド板やプレート外周のシールド筒の切り込みは後年のPhilcoそのもの(ただし,シールド筒の色は黒化されています)。

DELCO/Raytheon 6BE6(280 9-43A, 1949)。管名は頭にある標準タイプです。プレート筒の材料が前年から様変わり,黒光沢の2リブ型に変わりました。ヒータはコイル型。

Motorola/Raytheon 6BD6s(280 1-47, 1951), 管名は頭に。ヒータはヘアピン。電極上部にカソードとグリッド支柱を覆うシールドあり。この形状のシールド板はPhilcoの60年頃にも見られます。

Raytheon (2)

[2gL]

FoMoCo/Raytheon 6AU6(5-45 B, 1955), RCA/Raytheon? 6BD6(-) and Unknown 12BA6(-)

以下の3つのサンプルは管名が側面に印字されています。1つ目ははっきりとRaytheon=280が記されています。1950年代半ばから印字場所が変わったのでしょうか。それ以後のTV球は側面に印字されています。

FoMoCo/Raytheon 6AU6(5-45 B, 1955),

RCA/Raytheon? 6BD6(-), Raytheonを示すものは何も印字されておらず一見RCA製です。しかし,内容はまるっきりRaytheon製です。6BD6はもともとRaytheonが作った球。RCAはRaytheonから供給を受けていたのではないか?

Unknown 12BA6(-), 管名表示がRCAと同じで,造りがRaytheonです。白い字が消えるとなんだか分からなくなりますが。

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RCA -274

RCAは1945年から6.3V管や12V管の製造を始め,翌年には各社も製造を開始したようですが,一般に普及するのは時間がかかりました。

(1) Silver Tube Name Frame/銀色の管名枠

まず紹介するのは,RCA Victorの表示が入った1949年製。それぞれ1949年第48週,30週の製造で,管名は銀色である。RCA VictorはRCAの管球部門で球は自社ブランドの製品に使われた球。これがRCAのコレクションの中で一番古い。

RCA (1)

[1I7]

RCA Victor 6AU6(9-48) and 6BF6(9-30)

6AU6は,外側のシールド筒は着炭黒化。開口部から内部のプレートの縁が見える。電極下部のマイカ板に張り付いたシールド円盤とボタンステム底のピン中央に貼り付けたシールド皿は黒化処理されている。ヒータはコイル型(ダブルスパイラル)である。カソード・スリーブは頂部が潰してある。g1支柱は銅色。ゲッタは板状の棒をU字型のフレームに張って四角くしたキックゲッタ(Kemet Laboratories Company, Inc.が供給したKIC Barium Getters)である。後年のものと比較して形状は変わらないがサイズが心持ち大きい。

6BF6のプレート筒は着炭黒化している。ヒータはコイル型(ダブルスパイラル)である。ゲッタは電極上部にあり,2極部シールドに接続されている。ゲッターフレームの形状は馬蹄形というよりは半月円に近い。

(2) Silver Tube Name Frame Part2/銀色の管名枠(Part2)

RCAは1945年からラジオ用傍熱型ミニアチュア管を製造しましたが,それまでの製造コード(6-39)などでは旧製品との見分けがつかなくなるので,1955年の途中から管名枠に2巡目という目印を付けたと思われます。管名枠右下,左下,左上,右上に線が少し膨らんで太くなっている部分がそれです。

手元の管名表示が銀色のサンプルで,1955年のはじめまでに作られた次の2例,FoMoCo 6AU6(-), RCA 6BA6(504, 1955年)は管名枠に目印がありません。電極下部のシールド円盤とピン間のシールド皿は黒化処理。ヒータは全てコイル型(ダブルスパイラル)。

一方,1955年から1956年にかけて作られた次の3例から目印が付きます。

RCA (2)

[1I7]

From Left, FoMoCo 12AU6 (274 5-52), DELCO 12BA6 (1218804, 274 6-09 made in USA), DELCO 12AU6 (7266601, 274 6-04 made in USA)

全てOEM製品で,製造はRCA(=274)。管名表示は銀色。FoMoCoやDELCOは自動車ラジオのメーカで,GT管などいっしょに用いたようです。これらの球は年代推定が悩めるところです。製造コードは1957年以降は57と表示しているのですが,5-52や6-04は1945年, 1946年なのか10年後の1955年,1956年なのか分かりません。1946年の広告でも6-と表示しており同じコードが使われています。造りはRCA Victorの1949年製とほぼ同じですが,ヒータがヘアピンです。RCAが他社と差別化するためにダブルスパイラル型のヒータやカソードスリーブの頭を潰すなどしていることを1952年頃に広告していますが,これは1949年製でも見られます。しかし,それより前にヘアピン・ヒータを使用していたかどうか分かりません。そこで,先に述べた管名枠に注目しますと,1955年途中から一部太い目印があるので,1950年代と分かります。

FoMoCo 12AU6の製造年代は1955年第52週。ゲッタは角形。カソード・スリーブは頂部が潰してある。ヒータはヘアピン。管壁には黄色文字で"REPLACE ONLY A GENUINE WITH FoMoCo TUBE"と書かれている。

DELCO 12BA6の製造年代は1956年第9週,g1支柱は白色でやや太い。ゲッタは角形。カソード・スリーブは頂部が潰してある。ヒータはヘアピン。

DELCO 12AU6の製造年代は1956年の第4週である。ゲッタは角形。カソード・スリーブは頂部が潰してある。ヒータはコイル型(ダブルスパイラル)。この頃,ヘアピンに変わった?

ヘアピン・ヒータは他社は1950年頃に一斉に切り換えた模様で,RCAは何故かそのまま使っていました。しかし,RCAも1955年頃に一旦ヘアピンに切り換えたのですが,オーディオ管についてはまた再びコイル型にもどしたようです。

(3) White Tube Name Frame/白色の管名枠

RCA (3)

[1I8]

RCA 6BE6(KG?), DELCO 12BF6 (1220... 274 5-52 made in USA) and RCA 6AL5(1?-09)

管名表示が縦長のR.C.Aのロゴと同様に白のペイントになった3本。プレートが白っぽいクリーム色の3本である。

6BE6はKG?(1957年頃かもしれない)プレートの開口部は後の6BA6と同じであるが,プレートが(ジルコニウム塗布のように)白っぽいクリーム色。マイカ板は薄い白で,上下マイカ板にはガス抜き用の穴が4つある。ヒータがヘアピン型。角形ゲッタ。

12BF6は(5-52)でしかも50年代に現れる品種なので1955年製と分かる。3極部はプレートが白っぽいクリーム色となり,マイカ板も無処理(透明)。3極部上部のシールド・カバーが省略され,マイカ板に穴だけが残されている。ゲッタは側面角形。ヒータはヘアピン型。その意味で廉価版?6BF6は1946年頃に開発されたが,その150mA版12BF6はRCAは1952年頃にはじめて掲載した。

6AL5は管名は銀色,プレートは白っぽいクリーム色。ヒータはコイル巻き。弓形ゲッタ。1951年?

RCAで6BD6(製造時期不明)があるが,シールド筒は黒化光沢ありで,いままでのスタイルと全く違う。形状からこれはRaytheon製のようである。

RCA (4)

[1I8]

RCA 6BE6(-), RCA 6BA6(LG), RCA 6AU6(LG?) and FoMoCo/RCA 6AV6(-).

管名表示が縦長のR.C.Aのロゴと同様に白のペイントになった4本。製造コードは失われているが,1950年代中頃から1957年頃まで製造と思われる。

RCA 6BE6(-)のプレート筒は1949年製の6AU6と同じで管名が白ペイントの初期1953年頃。RCA 6BA6(LG), RCA 6AU6(-0-)はシールド筒は開口部が短く改良され,やや後の時代。電極下部のシールド円盤とピン間のシールド皿は黒化から金属色(無処理)に変わった。FoMoCo 6AV6(-)の造りは1949年製の6BF6とほぼ同様で,3極部プレートは黒化であるが,ゲッタが2極プレート下部側面に移った。ヒータは全てコイル型(ダブルスパイラル)。

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Westinghouse -337

Westinghouseは1952年に真空管部門を全て統合し増強,新工場を2つ作って民生用真空管にも参入しました。Reliatronと名付けています。さて,その製品ですが,サンプルを見るとRCA製にうりふたつです。RCAにも供給したかもしれません。

WH (1)

[2gL]

OEM/Westinghouse 6AU6 (337 322, 1953), 6BA6 (60-R04, 1960) and 12AV6 (337 404, 1954)

6AU6 (337 322)どこかのOEM製品なのだがWH製である。1953年。管名は銀。枠は8角。ヒータはコイル型(ダブルスパイラル)。

6BA6 (60-R04), 1960年製?管名は銀だが,文字大きく,枠無し。ヒータはヘアピン型。

12AV6 (337 404), 1954年製。管名は銀。枠は8角。ヒータはヘアピン型。

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Ken-Rad/General Electric -188

(1) Ken-Rad Ages/KenRad時代

民生用受信管市場はTV放送の再開による爆発的な経済効果が期待できたため,各社が受信管製造に参入,あるいは再参入しました。GEも復帰組の一人で,受信管の老舗Ken-Radを1946年に傘下に組み入れ,GEの受信管製造部門とし,しばらくはKen-Radブランドで販売しました。

GE (1)

[1I8]

(Photo-2) Ken-Rad 6BA6(0-22 188-5?),1950 and (-). /うっすらとKの文字,Rの文字が残っている。

(Photo-2) Ken-Rad/GE 6BA6は1950年第22週製。KEN-RAD受信管部門の時代の製品。(Photo-1より後の製造)。管名枠は写真では見えないが,横長で縦にも少し幅がある角を落とした8角形。電極外側のシールド筒は,この年2リブ付きで開口部が極めて大きい(約3.8x5mm)形に変更される。電極上部,下部のシールド板は艶消し金属色。g1,g2の支柱は銅色。ヒータはコイル巻き(ダブル・スパイラル)。マイカはやや白っぽい。ゲッタリングは馬蹄形。馬蹄形といっても円形に近いもので,GEは完全な円形(ドーナツ型)に切り替わる1960年代初頭まで6AV6などの球を除きこの形を採用していました。外側から見るとドーナツゲッタと間違えてしまいます。

GE (2)

[1I8]

(Photo-1) DELCO/GE 6BE6 (188-5 0-13, 1950), (Photo-3) GE 6AU6 (1-30 188-5, 1951)

(Photo-1) DELCO 6BE6 (1950年第5週製)は,自動車ラジオ・メーカDELCOに向けたGEのOEM製品。 GEを示す188-5がうっすらと残っている。KEN-RAD受信管部門の時代の製品。管名枠は写真では見えないが,横長で縦にも少し幅がある角を落とした8角形。外部シールド筒はリブ無しで,開口部の様子は後のGE製品と異なり(約1.5x5mm)と高さが短い。g1, g3支柱は銅色,他は銀色。コイル・ヒータ。ゲッタは馬蹄形。この球,できが悪い。ステムがガラス筒と曲がって融着している。

(2) GE Ages/GEの時代

1951年にはKen-Radの表示がGEになり,従来の銀色のインクで書いた管名のスタイルを一新,まず硝子に砂を吹き付けて文字を書く砂文字を採用しました。6AU6の文字はとぎれとぎれになっているし,文字は大きい。

(Photo-3) GE 6AU6(1951年製)はGE Electronic Tubeと表示される。管名枠が無くなり少し大きな文字で直接管名6AU6が表示される。シールド筒はPhoto-2と同じリブ付き。g1, g2支柱は銅色。ヒータはコイル巻きからヘアピンと変更になる。以後,GE製品はヘアピン型となる。ピン中央のシールド板は黒化されている。

砂文字は発展し,1950年代はじめには管名の下に幾つかの点で表される製造コードを刷り込みました。はじめは4列の点でしたが,後に5列になりました。点3つで8進数を表し,製造コードは4桁または5桁の数字で表す仕組みと思われますが,まだ解読はできていません。以下,そのサンプル。

GE (3)

[1I8]

(Photo-5)GE 12BE6(1950s), (Photo-7)GE 6BE6(?3-04 188-5, 1963?), (Photo-4)FoMoco/GE 6BA6(1950s) and (Photo-6)GE 6BE6(1950s)

1950年代から1960年代初頭の製造と推定される4本。管名の文字がやたら大きくなる。電極の造りはほぼ同じ。

(Photo-4)FoMoCo 6BA6はグリッド支柱はg1支柱のみ銅色,他は銀色。馬蹄形。ヒータはヘアピン。1950年代。

(Photo-5)GE 12BE6はグリッド支柱は全て銀色。ヒータはヘアピン。ゲッタは馬蹄形。1950年代。

(Photo-6)GE 6BE6はグリッド支柱は全て銀色。ヒータはヘアピン。ゲッタは馬蹄形。1950年代。

(Photo-7)GE 6BE6はグリッド支柱は全て銀色。ヒータはヘアピン。ゲッタはドーナツ・ゲッタになる。一番新しい。恐らく1963年。

この時代をへて,GEは電極シールド筒(もしくはプレート)は黒い着炭型もしくは灰色のアルミ被覆鉄に変わる。

[AfEr][AfEr]

GE 6AV6 (60-26) without top-cathode shield

さて、ここで、日本のラジオ関係のサイトで6AV6の上部2極管のカソードシールドにまつわる話(音量を絞っても音が出るラジオの話)がでていたので、トップカソードシールドが無い球を調べてみました。6AV6は2極管のカソードと3極管のカソードは共通です。2極管のカソードは3極部の上部にむき出しになっています。2極管のプレートも3極管の上部にあります。3極管上部には3極部のグリッド支柱もでていますので、原設計ではグリッド支柱をカソードと同電位になるように金属カバーで覆い、2極管のプレートに対してシールドしています。もし、このシールドが無いと、2極部プレートに加わった検波電圧が、静電容量を通じて、3極管グリッドに現れてしまいます。これが音量のリークの原因です。日本の製造メーカ、例えば、エレバム等は、これを省略したモデルを製造し、米国にも輸出していました。しかし、誰がそんなことをはじめたのでしょうか。調べていたら、米国のGEのサンプルに行き着きました。製造コードは1960年を示していますし、工場はGE(188-5)ですし、砂文字もGEの特徴ですので、これは間違いなくGEの製造です。この改良(部品と組み立ての手間の削減、コストダウン)または改悪(音が漏れる性能劣化)は米国で発明され、日本に伝わったことになります。

[AfKr]

Unknown 12AV6 and Delco 12BF6 without top-cathode shield

[AfKr][AfK]

GE 12BF6 (60-48) without top-cathode shield

[AfKr]

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CBS-Hytron 210

3AU6はTV球だが,ラジオ球と同じつくりなので掲載した。CBSはHytronを吸収し,TV球を製造したが,ラジオの分野ではサンプルが案外少ない。ロゴが消えるとGEの管名にそっくりになるのが一因か?

CBS (1)

[2gL]

CBS-Hytron 3AU6(1957), 6BA6(-) and 6CB6A(1962)

Hytronは1940年代末にCBSに吸収されたが,その後TV球を作った。僅かにサンプルがあるが,GEと同じように砂文字を使った。

3 AU6 Motrola made in USA 210 5713

6 BA6 (無印), 造りはTung-Solと全く同じで,表面の印字が砂文字になっているのが異なる。ひょっとしたらTung-Solが供給したかもしれない。

6 CB6A CBS made in USA 62?-35

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Sylvania 312, Philco 260 or1063

SylvaniaはPhilcoの真空管を供給したことで有名ですが,ミニアチュア管も1946年にはかなりの品揃えとなり,ラジオ用傍熱管では6.3V管,トランスレス管ともに製造開始しています。Sylvaniaの初期のサンプルはPhilcoの名前の入ったミニアチュア管の中に見つかるのではないかと思われます。 下に1950年のサンプルがある。

Sylvania (1)

[2gL]

Motolora/Sylvania? 6BE6(J1J), PHILCO/Sylvania 6AU6(I0B), (312 5049, 1950), 6AU6 (A3T), Philico 6AU6 (1063 6013 APY) and Sylvania 6BA6(EL W AP..)

Motolora/Sylvania? 6BE6 (J1J), 管名(8角形枠有, 銀, 文字小), 1951年? 電極の造りは下に同じ。

Philco/Sylvania 6AU6 (I0B), (312 5049)。製造は1950年。管名(8角形枠有, 銀, 文字小) 黄色表示, when renewing insist on a genuine PHILCO TUBE, シールド筒は灰色。上下シールド円盤は光沢金属,ステム・ピン間シールドは黒化板。ヘアピン型ヒータ。角型ゲッタ。

?/Sylvania 6AU6 (A3T), 管名(下線付き, 銀, 中文字), 1953年? 電極の造りは上に同じ。

Philico 6AU6 (1063 6013 APY)。1960年製。管名(銀, 大文字)のみ, 珍しいことにPhilcoの社名コード1063が表示されている。この頃,Philcoは独自の真空管製造部門を持っていたのだろうか?造りはシールド筒の切り込み開口面積が大きくなったこと。電極上部のカソード・グリッド支柱を覆い隠すゲッター遮蔽板が付いたこと。

Sylvania 6BA6 (EL W AP..), 管名(銀, 大文字)のみ, 1960年代。先のPhilcoの6AU6と全く同じ造り。

Sylvania (2)

[2gL]

Philco/Sylvania? 6C4(G9E), PHILCO? 6BA6 (LF1C), PHILCO/Sylvania? 50B5 (EOE), PHILCO 6AQ5 (LC3D) and PHILCO/Sylvania? 6AQ5 (H0E)

上記サンプルで製造社名コードがあるのはこの6AQ5 (LC3D)のみ。ここに260=(Philco社)とある。残りは管名枠や管名下の製造コードから分類した。同じPhilcoブランドでも上記6BA6(LF1C)と6AQ5(LC3D)は製造コードが他(Sylvania)と異なり,Raytheonのコードかもしれない。Raytheonの12AU7(LC1E 280 648, 1956年製)や上記の6AQ5(LC3D), (260 5526, 1955年製)を考えると,末尾A,B,C,D, E, ...が1952, 53, 54, 55, 56を示すようである。

Philco/Sylvania 6C4 G9E, 管名(8角枠有, 銀, 文字小), 1949年製?

PHILCO/(Raytheon?) 6BA6 (LF1C), 管名(長方形枠有, 銀, 文字小), 1954年製?

PHILCO/Sylvania? 50B5 (EOE), 管名(8角枠有, 銀, 文字小),1950年製?50B5は50C5の原型で主に1940年代に使われた。

PHILCO/(Raytheon?) 6AQ5 (LC3D), (260 5526), 管名(長方形枠有, 銀, 文字小), 1955年製造。右の6AQ5より新しい造り。プレートは灰色でアルミ被覆鉄。ヒータも松下に見られるコイルヒータ。

PHILCO/Sylvania? 6AQ5 (H0E), 管名(8角枠有, 銀, 文字小), 1950年製?左の6AQ5よりも古い造り。プレートは黒化し,硝子内面にもカーボンスート。グリッドフィンもある。ヒータはヘアピン。1940年代から50年代初頭と思われる。

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Tung-Sol 322

Tung-Solは辛うじて文字が読める。管名は銀,枠は独特で数字1などが上にあるのでTung-Solと分かる。322Jなどが読めるが年代は消えている。1960年代か。

TungSol (1)

[2gL]

FoMoCo/Tung-Sol 6BE6, Tung-Sol 12BE6, Tung-Sol 6BA6 and FoMoCo/Tung-Sol 6AV6

6BE6 (1) FoMoCo, ゲッタはGEと同じ馬蹄形, ヘアピンヒータ。

12BE6 (1) Tung-Sol, 上に同じ。

6BA6 (1) Tung-Sol, 上に同じ。

6AV6 (1) FoMoCo, 上に同じ。特にゲッタはGEの場合,小型の角形を用いているが,Tung-Solは大きな円形に近い馬蹄形ゲッタを2極部を避けるようにそのままはめている。

TungSol (2)

[2gL]

FoMoCo/Tung-Sol 6AQ5, Motorola/Tung-Sol 35W4

6AQ5 (1) FoMoCo/Tung-Sol, ゲッタは角形を折り曲げている。

35W4 Motorola/Tung-Sol? 無印,ゲッタは角形。

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Philips/フィリップス系

欧州Philipsは米国に真空管を輸出した。文字が残っていないが3本の球がある。外見上は松下ナショナルの球にそっくりだが,ガラス管下のコードがあるところを見ると本家Philipsか英国の球またはその親族だが,Hollandの文字を確認した。ガラスは十字クロス。これもFoMoCoブランドで使用された。

Philips (1)

[2gL]

Fomoco/Philips 12BA6, 12AV6 and 12AQ5, 1955?

12BA6 (-Delta 5L), GEのような円形にちかいゲッタ。

12AV6 FoMoCo..(341/Delta 5J, Holland), 半月状の馬蹄形ゲッタ

12AQ5 FoMoCo..(ZG0/Delta 5I), ゲッタ遮蔽円盤

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