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6JH. History of Japanese MT |
6JB. Early Japanese MT |
6JA. Japanese MT |
6JP. Japanese Type |
6JC. Early TV & Com MT |
6A. American MT |
6X. Electrodes |
6ER. European Rimlock |
6EU. European MT |
6FM. FM Tuner |
About European Miniature and Noval Tubes/ミニアチュア管について | |
1. History/歴史 | |
2. Variation of European Miniature and Noval Tubes/欧州ミニアチュア管の色々 | |
3. European Nover Tube and Japanese Radio Receiver/欧州ノーバル管と日本のラジオ | |
European Noval Tubes for Five Tube Super Radio/5球スーパー用の欧州ノーバル管 |
Frequency Changer |
IF Amplifier and Detector |
Detector and AF Amplifier |
Output Pentode |
Full-wave Rectifier |
Magic Eye | ||||
ECH81/6AJ8, HCH81/12AJ7, UCH81/19D8 |
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EABC80(6AK8) Telfunken |
EL84/6BQ5 |
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私はオランダ贔屓(びいき)なので,オランダPhilipsのリムロック管には大層興味があります。続Philipsの球です。
米国の7ピンミニアチュア管のサイズでは,1945年末にRCAが発表した米国型の周波数変換用7極管6BE6が,またビーム出力管6AQ5があり,後に世界標準となりましたが,この直径17mmの規格では欧州型ラジオ管の遺産を継承させられません。1946, 7年頃になってリムロック管と同じ外径を持つ9ピン・ミニアチュア管(NOVAL, 直径21mm)が米国で誕生しましたが,全ガラスののっぺらぼーであり,高周波遮蔽の徹底と出力管の熱損失の観点から最大限に出力を絞り出すという概念のうえに立った設計思想の点では米国よりも欧州Philipsに部があったように思えます。ただ,残念なことにリムロック管の世界制覇は夢と消え,平凡な米国型9ピン・ミニアチュア管(NOVAL管)が後に世界標準となりました。しかし,Philipsは経済戦略を考慮してか1940年代末にリムロック管から米国型9ピン・ミニアチュア管に路線変更し,優れたTV管やオーディオ管を開発したことが,米国型9ピン・ミニアチュア管を世界標準化したことにつながったともいえましょう。ただし,ここで取り上げるラジオ管はTV管に比べると欧州文化圏以外の地域ではマイナーな存在でした。
下の表に品種を挙げました。
Mullard/ Philips Telef |
Date Purpose |
Other Europe |
British Mazda/ Edswan |
Marconi Emitron Osram |
Cossor |
Brimar / USA (EIA) |
British CV number |
ECH81 UCH82 |
1952 Triode Hexode Frequency Changer |
- - |
- |
X719
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19D8 |
6AJ8 19AJ8 |
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EF85 UF85 |
1952 Variable mu RF Pentode |
- - |
- - |
W719 - |
- - |
6BY7 19BY7 |
-
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EF89 |
Variable mu RF Pentode |
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6DA6 |
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EBF80 UBF80 |
1949 Double Diode Variable mu RF Pentode |
- - |
- - |
ZD152 WD709 - |
- 171DDP |
6N8 17N8 |
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EBF89 |
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6DC8 |
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EABC80 UABC80 |
1952 Triple Diode Triode |
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- - |
DH719 - |
- - |
6T8 6AK8 - |
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EQ80 UQ80 |
1950 Enneode |
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- |
- |
- |
6BE7 12BE7 |
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EL84 |
1956 Output Pentode |
- |
- |
N709 |
- |
6BQ5 |
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UL84 |
1956 Output Pentode |
- |
- |
- |
- |
45B5 |
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EC92 UC92 |
1952/1951 Triode |
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6AB4 9AB4 |
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EZ80 |
1952 Full wave Rectifier |
6GG6 |
- |
- |
- |
6V4 |
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EM80 |
Magic Eye |
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6BR5 |
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EM81 |
Magic Eye |
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6DA5 |
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Battery Tube |
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DK91 |
1948 Octode |
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1C1 |
X17 |
1R5 |
1R5 |
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DK92* |
1951 |
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1C2 |
X18 |
1AC6 |
1AC6* |
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DK97* |
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1AB6* |
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DF91 |
1948 RF Pentode |
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1T4 |
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DF92 |
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1F2 |
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1L4 |
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DF96* |
RF Pentode |
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1F1 |
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1AF4 1AJ4* |
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DF97 |
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1AN5 |
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DAF91 |
1949 Diode AF Pentode |
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1S5 |
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DAF96* |
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1FD1 |
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1AH5* 1AJ5 |
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DL91 |
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1S4 |
1S4 |
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DL92 |
1948 Output Pentode |
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1P10 |
N17 |
3S4 |
3S4 |
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DL93 |
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3A4 1662 |
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DL94 |
1951 |
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1P11 |
N19 |
3V4 |
3V4 |
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DL95 |
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N18 |
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3Q4 |
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DL96* |
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1P1 |
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3C4* 3E5 |
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DL97* |
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3Y4* |
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DL98 |
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3B4 |
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我が国では,欧州型のラジオ用ミニアチュア管の中でも,AC用の球は余り普及しなかった。高級過ぎた?からであろうか。そもそも,欧州では狭い地域に放送局が林立し,狭いバンド内に放送電波がひしめいている状態であるから,ラジオの使命は良く分離して,しかも遠距離のものも感度良く受信できること,またマルチバンドであること,などが要求された。だから,戦前から中波,複数の短波,それに長波まで受信できるマルチバンド受信機が普及した。並四,高1型の再生受信機でもマルチバンド型だった。したがって,戦後のミニアチュア管も相当高級な受信機が構成できる球が開発されている。
一方,我が国では戦後米国で開発されたミニアチュア管が,1950年代中頃まで高級なラジオのみに採用されたくらいなので,とても欧州型の球を使う余裕は生まれなかった。我が国では1950年代中頃からようやく短波放送が始まり,短波付きの2バンドラジオが普及しだしたのであるが,日本人は日本語放送以外聞かない(日本人は周辺国の言語を理解できない),国内放送では,民間放送が少なく,受信できるプログラムが意外と少ない,などの理由から,中波さえ受信できれば良い,短波はおまけに有れば良い,という事情にあった。
欧州型コンバータ管ECH81/6AJ8は低雑音高感度という利点が買われて,1960年代にHi-Fiチューナーにだけ採用されたが,他の球は余りメリットがなく使用されなかった。松下だけがわずかにEBF89/6DC8をやマジックアイEM81/6DA5を製造し自社製ラジオに使用した。しかし,ラジオ以外の欧州管はTVやオーディオに大活躍したのは皆様もご存じなはずである。6BQ5/EL84, 6BM8/ECL82などは今日でも有名。日本向けに唯一作られた欧州管はトランスレス・ラジオ用ミニアチュア出力管HL94/30A5ではないかと思っている。これは欧州PhilipsのEL86/6CW5の7ピン版なのであって,その源流はリムロック管に遡るのであった。
1950年前半のオランダPhilipsの9ピンMT管を用いた5球スーパは,驚くなかれたったの5球でFM/AMマルチバンド受信機であり,(4バンド); LF 152-400kHz, MF 517-1620kHz, SW 6-18.75 MHz, FM 87.5-100 MHz)という具合であった。構成は以下の通り。
ECH81-EF85-EABC80-EL84-EZ80 または
UCH81-UF85-UABC80-UL41-UY41
トランスレスはリムロック管との混成である。6.3V管7球スーパーというものもあって,TVで有名なEF80/6BX6がFMバンドの高周波増幅管として使われている他,マジックアイEM4(P-Base)が使われているところが違う。出力管はリムロック管EL41であった。これが1955年までの状況である。
その後,欧州ラジオの構成は,1950年代末からFMチューナ管にECC85/6AQ8が使われ,ミクサー管ECH81/6AJ8はIF1段目に使われ,またIF管がEF89あるいはEBF89に置き換わった。私のコレクションはその頃のラジオ管である。
(以前,FM Tunerのページに掲載していたものを引越してきました('11.8.21))
ECH81/6AJ8は,1951年頃オランダPhilipsが開発したBC帯の周波数変換用7極管・発振用3管であるが,また7極管部は10.7MHzのFM中間周波増幅にも使えるよう設計されている。FM/AM兼用の欧州型のチューナーには必ず使用されており,国内でも1958年には松下により国産化され,以後他社も製造した。FMチューナー付き総合アンプで言えば,サンスイは欧州型の回路を好んで用いた。米国ではFM/AM兼用の場合,BC帯に6BE6を用いるとIF管には6BA6などを使用する必要があり不経済になるので,欧州型とは呼ばれるが米国でもも使われた。感度も6BE6より優れている。
ECH81/6AJ8はトランスレス用に12.6V/150mA管HCH81/12AJ7,19V/100mA管UCH81/19D8もある。トランスレス・ラジオは戦前より長らく150mAが使われてきたが,1959年にトランスレス100mAシリーズがSylvaniaから発表されると,商用電圧の高い米国やカナダではそれ以後次第に100mA管も使われた。1960年代後半の例では,UCC85/26AQ8-UCH81/19D8-UBF89/19FL8-UCL82/50BM8という構成のラジオがあった。
国内ではECH81/6AJ8は松下が早くからAM受信用にEBF89/6DC8とともに国産化していたが,東芝,日立,NECなどもFM放送開始に合わせて1958年に製造,トランスレス用HCH81/12AJ7は,日立,NECが1958年に国産化,また東芝,松下も1959年に製造開始した。1960年代前半にはサンスイなどFM付きステレオレシーバーのメーカーが採用したこともあって,かなり普及した。しかし,Philipsと提携関係にあった松下だけが欧州系のチューナーの普及に努めたためか,松下製以外の球を見ることはなかった。
From Left, Philips ECH81(ADUANA Nacional, 1950s), Matsushita 6AJ8(1962?), Matsushita 6AJ8(01 ND, 1958).
ゲッタはPhilips ECH81と松下の1958年製6AJ8が 角型,松下1962年がドーナツ型
左2本はサイド・ゲッタだが右1本だけは頂部ゲッターで,側面に鏡面が無いので内部の様子が見える。7極部は下に,3極部は上にある。7極部のプレートは6CB6のように板2枚をU字型のベルトで結んだ形状,3極部のプレートは12AT7よりも縦寸法がやや短い。ともに中古。gm=(81,111), (75,77), (64,56)。
EF89は6BA6相当の高周波増幅用バリミュー5極管である。ヒータ電力を削減しgmを落としEF85を使いやすくしたものと言える。1950年代中頃にPhilips?が開発。
EF89)6.3V, 0.2A, 250V, 5k, -2V, 9mA, 3mA, 1M, 3.6mA/V
EF85)6.3V, 0.3A, 250V, 60k, -2V, 10mA, 2.5mA, 500k, 6mA/V
Telefunken EF89, (..2009), 岡田章さん寄贈
プレートは,ステム部の引出線,それにプレートを上部マイカ板に留めるカシメ突起に至るまで徹底的にシールドされている。
EBF80は6BD6相当の高周波増幅用バリミュー5極管と検波用2極管を2つ持つ球である。1949年にPhilipsが開発。
6.3V, 0.3A, 250V, 95k, Rk296ohm, 5mA, 1.75mA, 1.4M, 2.2mA/V, Cgp=0.0025pF
Back of VER R-F-T EBF80 S04 (46-54), Telefunken EBF80 (Bma02, Head 836)
全体は出力管のようなプレートに見えるがこれはシールド筒。電極サポートは上下2枚のマイカの爪で行っているが,5極部上部のマイカがもう1枚内部にある。電極下部に5極部,上部に2つの2極部がある。カソード・スリーブは1本で共通である。7, 8ピンに2極部プレートがあり,米国系6AV6等と異なる点は他の電極に対してシールドされている点。RFTは皿ペレットゲッタ。Telefunkenはドーナツ・ゲッタ。
EBF80は低周波増幅用3極管と検波用2極管を3つ持つ球である。Philipsが1952年に開発。原型は米国の6T8で,AM検波用ダイオード1個とFM検波用ダイオード2個を封入したもの。ヒータ引出線の振り回し方を変えてノイズ対策したのがEBF80と考えられる。
6.3V, 0.45A,
(t)250V, -3V, 1.0mA, 58k, 1.2mA/V, mu70
(t)100V, -1V, 0.8mA, 54k, 1.3mA/V, mu70
(d1)350V, 1mA, rp=5k
(d2,d3)350Vmax, 10mA, rp=200ohm
from left Raytheon 6T8 (oJ9 260 51-03), front and side of Telefunken EABC80, (62014)
まるで3つの3極部ユニットが並んでいるように見える。EABC80の3ユニットのうち左が3極部,中央が2極部第1,第3ユニット,右が2極部第2ユニットである。2極部はプレートのように見える外側の箱はシールド電極(3極部カソード等電位)であって,グリッド支柱のように見える棒がプレートとなる。2極部の第1,第3ユニットはカソードスリーブが共通のため合計3本しかなく,ヒータ給電は電極上部で直列に行っている。そのため,ステム部からヒータの引出線がリブ付きの逆L型金具2本が電極上部にまで立てられ,また電極上部に電信柱のような十字架2本を介して行っている。箱入り,新品。gm=[52]. em=[52,43,43]
see European Power Pentode in Japan (Part2)/日本の中の欧州系5極出力管参照(Audio_EU_Pentode2.html)
EZ80はPhilipsが1950年頃に開発したラジオ受信機用に全波整流管で,米国EIAに登録して6V4という名称をもらった。米国の6X4に類似した構造だが,ヒータ定格が0.4Aから0.6Aへと50%アップし,出力も60mAから90mAへと出力電流を大きくした改良型であって,7ピンミニアチュアから9ピン・ノーバルへと拡大したのもうなずける。その原型は1947年に開発したリムロック管EZ40/6BT4であり,ノーバル管(9pin MT)に焼きなおしたものがEZ80/6V4なのである。もっぱら欧州で比較的消費電流の大きいマルチバンド用のラジオ受信機の標準管として出力管EL84/6BQ5などとともに用いられた。我が国ではしばらくは国産化されなかったが,1961年に入って輸出用に東芝が作った記録がある。
これはイギリスの商社ブランドの球で,最近秋葉原でラジオの保守用として求めたもの。構造は1950年代の米国RCA 6X4と全く同じで,各ユニットはU字型の横顔を持ち,これを2つ組み合わせると十字型断面となる。EZ80/6V4の電極サイズは6X4と比べて一回り大きいことが分かる。プレートはアルミ被覆鉄製で,全てスポット溶接の堅牢な造り。ドーナツ・ゲッタ。ヒータは松下と同じコイル型。造りは良いことが分かるが,うっすらと管名がプリントされているだけで,製造会社を含め素性不明。ガラス面には何のコードもなくPhilips系の製造ではないと思われる。新品未計測。
サンプルはこの他にラジオに入った1950年代のPhilips Miniwatt EZ80があるのだが,残念なことに物置から出てこないので眺められない。
EM80/6BR5は,欧州標準のマジックアイ。バリミュー型。欧州で1952-53年頃開発?米国EIAに1954年頃登録。サンプルは欧州ラジオX(20), 1955年頃?, から取り出したPhilips Miniwatt (Lm r8R)。別ページに紹介している。 (see Magic Eye -European Type Page)。なお,6DA5/EM81なども同じページで紹介している。