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6JH. History of Japanese MT |
6JB. Early Japanese MT |
6JA. Japanese MT |
6JP. Japanese Type |
6JC. Early TV & Com MT |
6A. American MT |
6X. Electrodes |
6ER. European Rimlock |
6EU. European MT |
6FM. FM Tuner |
1. History of Tuner Tube for FM Broadcasting/FM放送用のチューナー管の歴史
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2. Twin Triode FM Tuner Tubes/双3極FMチューナー管 | |||||||||||
3. Twin Tetorode FM Tuner Tubes/双4極管FMチューナー管 |
Samples
2. Twin Triode FM Tuner Tubes |
3. Twin Tetorode FM Tuner Tubes | ||||
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ECC85/6AQ8, 12AQ8, UCC85/26AQ8, PCC85/9AQ8, HCC85/17EW8
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(1) Begining of FM Broadcast -1940/FM放送の始まり-1940年代
FM放送はBC帯のAM放送に比べるとの歴史が浅く,米国で1941年に始められたのが最初である。周波数帯は何と43-50MHz帯であった。その後,戦争による中断を経て,戦後の1945年に米国では今日馴染みの深い88-108MHz帯に変更された。放送局数は1949年に700以上を数え,その後TVの発達で一時期局数が減少したが1960年代には1100局以上となったそうである。一方,欧州では戦後すぐに始まった。BC帯の周波数割り当て競争に漏れた敗戦国を中心にFM局が急速に盛んになり1960年頃にはイタリアで800局,ドイツで150局,オーストリアで54局に発達した。
(2) American FM Receiving Tubes, From before WWII to Early 1950s/米国のFM受信専用管-戦前から1950s初頭まで
米国の真空管産業から見ると,戦前はFM放送の周波数も低かったこともあり,特にFMを意識した民生用の球というのはなく,短波帯の球が使用された。戦時中の1942年になるとレーダーなど軍用に高周波増幅管6AK5などが開発され,また1944年にはFM検波にも使える2重2極管6AL5が開発された。
戦争が終わるとFM放送は同じVHFでも現行の高い周波数に移行し,また1945年には新型のミニアチュア・ラジオ管の周波数変換管6BE6,高周波増幅管6BA6などがFMを意識して発表され,FMラジオには従来のオクタル管6SA7などとともに利用されはじめた。さらに翌年の1946年には,従来のペンタグリッド管の路線に改良を重ねたFM帯専用のオクタル管として,周波数変換管6SB7Y(メタル管),1948年には3重2極3極AM-FM検波増幅管6S8GT(ガラス管),周波数変換管6BA7/12BA7(6SB7Yのガラス管),ミニアチュア管のリモートカットオフRF増幅管6BJ6が発表された。またTV関係では1948年にチューナー管12AT7が発表され,また1949年にはGEからTV音声(FM変調)のFM検波用ゲーテッド・ビーム管6BN6,1950年にSylvaniaからロクタル管(ロックイン管)のFM検波用多極管FM-1000が登場している。ミニアチュア管である2重2極3極FM検波増幅管19T6なども登場した。FM放送は1949年頃には軌道に乗りはじめたが,FM放送用ラジオは1950年代にはいっても,周波数変換管には6BE6, 発振管に6C4という構成のラジオも相変わらず普及していたのである。
(3) European FM Receiving Tubes -Early 1950s/欧州のFM受信専用管-1950s初頭
一方,欧州ではPhilipsがはじめに米国球として1949年にEB91/6AL5,1951年にEC92/6AB4,ECC81/12AT7を作ったが,1951年頃から1953年にかけて,FM-AM兼用ラジオのためのオリジナルの球を開発した。トランスレス用もある。1951年に万能RF5極管EF80/6BX6,リモートカットオフRF増幅管EF85/6BY7,UF85,双2極整流管EZ80/6V4,周波数変換・発振用7極3極管ECH81/6AJ8, UCH81/19D8,2極双2極・3極低周波増幅管EABC80/6AK8,UABC80などである。1952年にはFM検波管として9極管EQ80を発表した。特にFM-AM兼用の周波数変換・増幅管は米国に無い品種で,欧州はやはり一歩先を行っていたのである。ラジオは
7球 FM/AM
EF80/6BX6-ECH81/6AJ8-EF85/6BY7-EABC80/6AK8-EL41+EZ80/6V4-EM4
5球 FM/AM オールバンド
E/UCH81-E/UF85-E/UABC80-EL84/UL41-EZ80/UY41
さらに,FMチューナーには双3極管によるグリッド接地型GG-RFamp,自励コンバータの組み合わせが用いられていた。GG-ampの欠点は増幅率であったが1955年頃にはPhilipsからGG-RFampの代わりにブリッジで中和を取ったGK-RFamp(Zwischenbasis回路)が発表された。実用回路の設計は難しいが低コスト,簡単組立の特徴を持ち,以後FMチューナーといえばこれが定番になった。そこに使われた球が1954年頃に現れたPhilipsの新鋭管ECC85/6AQ8であった。この球は直線性が良くプリアンプにも活躍した。
(4) Begining of Japanese FM Broadcast/我が国のFM放送の始まり
我が国のFM放送は世界的に見ると10年以上出遅れ1950年代末になった。FM放送は,米国では放送をより謳歌しようという贅沢な要求から,また欧州ではバンドの混雑を避ける目的でやむをえず発達したのに対して,我が国ではFM放送を行う積極的な理由が見つからなかったのが遅れた理由である。戦後のBC放送の復興と民放の登場による活性化,次いでTV放送の着手と産業レベルでの興隆に目途が付いた頃になって,Hi-Fi放送がにわかに脚光を浴びる存在として浮上し,ようやくFM放送を望む機運が訪れた。1957年東京でVHF帯の実験放送が始められたのが我が国のFM放送の始まりとされている。翌年には大阪でも開始された。
Freq. 周波数 |
Po 出力 |
Call Sign コールサイン |
Name 名称 |
Place 場所 |
86.5MHz |
1kW |
JS2AO |
東海大学超短波放送実験局 |
東京都渋谷区富ヶ谷 東海大学(代々木校舎)で行われた東海大学教育放送JS2AO/86.5MHz(1959年マルチキャストFM-FM方式) |
87.3MHz |
1kW |
JOAK-FMX |
東京超短波放送実験局 |
東京都千代田区内幸町 |
88.1MHz |
1kW |
JOBK-FMX |
大阪超短波放送実験局 |
大阪市東区馬場町 |
1958年には60局を越える申請がなされたが,当局は許可を渋り,許可された局もながらく実験放送のまま放置された。東海大学の実験局は1962年に民放第1号FM東海となったが,経営母体が東海大学ということで郵政省は難色を示し,東海大学の支配権を弱めた別会社FM東京を設立することにより1970年に本免許が降りたようである。
(5) Japanese FM Radio Receivers and Tubes/我が国のFMラジオと真空管
国内FM受信機セットメーカーや管球メーカは需要あっての供給であるから,国内FM放送の10年以上の遅れはそのままFM受信機やFM用受信管の製造にも当てはまる。FM受信機の分野においても日本はこれまた後進国であった。FM受信機のチューナー部に関する1958年当時の国内の文献には,米国方式(ペントードアンプ+他励式ミキサー)と欧州方式(双3極管によるGGアンプ+自励コンバータ)の両方が登場し,日本のユーザーは既に確立されているどちらかの方式を選べば良かった訳である。しかし,同じ外国技術の模倣/コピーから始まった大正時代のBC帯ラジオ受信機や戦前のTV受像機などがやがて並3,14インチ白黒という具合に日本独自のスタイルを形成していったのに対し,国内FM放送は真空管からトランジスタへの移行期に始まったこともあり,真空管式FM受信機は日本独自のスタイルを形成する前に終わりをとげてしまったのである。真空管時代の日本が果たした寄与は極わずかだったと言えよう。日本独自といえるのは僅かにコンバータの周波数が異なる,日本はアジア地域に属し周波数帯が欧州や米国と違う76-90MHzになり,コンバータのパラメータが幾分異なるといった事位ではなかったかと思われる。
管球メーカーの動向はというと,1957年に東芝はHi-Fi用真空管を発表,FM受信機用にも検波増幅用に6T8/19T8を国産化,1958年には,東芝, NEC, 日立などは一斉にFM専用チューナー管として欧州型の 6AQ8/17EW8, 米国型の6DT8/12DT8,それにAMコンバータ兼IFアンプ管6AJ8/12AJ7を国産化している。日立は1959年にTV用チューナー管6R-HH2を150mA系トランスレス化した17R-HH2を試みたが需要は生まれなかった。自社の製品には6R-HH2そのものを用いたセットも出している。
(6) Behavior of Parts Industory/部品産業の動き
さて,真空管を用いたセットの状況であるが,実験放送が始まった1957年には何も売っていなかった。部品もバリコン,IFTが秋葉原では入手できない。自作では米国ジャンクIFTをまき直すことが流行った。しかし,1958年になると事情は一変。日本のFMバンドはまだ決定されていなかったのだが,国内FMラジオの製造においては,実験放送を受信でき,かつ米国の周波数帯80-108MHzをカバーするような製品が作られ販売し始めた。セットメーカが作るということは,部品メーカがそれに応じて供給体制を整えたということだ。各社一斉に動いた。バリコンメーカの片岡電気アルプス,松下が発売,IFTはトリオ,スター,松下の各メーカーが発売,マジックアイメーカの東洋はやや遅れてFM用を準備した。
松下は欧州型のチューナーキットAF-K1を紹介する際にアマチュア向けに米国型セットも紹介した。
(1) 欧州型AM-FM兼用(AF-K1) 6AQ8-6AJ8-6BA6-6AL5-6AV6-6X4-6DA5,レシオ検波
(2) 米国型AM-FM兼用(参考図1) 6BA6-12AT7-6BD6-6BE6-6DC8-6AL5-6DA5-6X4,レシオ検波,
(3) 米国型FM専用(参考図2)6BA6-12AT7,6BA6,6BA6, 6AL5, 6X4
中央無線QQQは米国型AM-FM兼用として米国型ペントードアンプを採用していた。
(4) RFamp 6U8(P)-Mix 6U8(T)-Osc 6U8(T)-AFC 6U8(P)
RF増幅にペントードアンプ,グリッド注入型ミキサと局発を別々に置く米国型は,作りやすく調整しやすいのが利点でアマチュア向きであったが,半面ペントードアンプではS/Nが悪化,またグリッド注入型ではRF段における不要輻射が大きいのが欠点であって,次第に姿を消していった。
(7) Response of Radio Manifucturers/ラジオメーカの動き
さて,各社とも勢い良く作ったが放送の方が追いつかない。1959年になっても本放送は開始されずセットメーカは苦慮したであろう。1960年頃からマジックアイメーカの東洋がラジケータを販売しはじめアイの時代は終わった。1961年頃にはBC帯において,2波によるステレオ放送が行われ,2波を受信できるHi-Fiラジオやトライアンプが登場し販売されたが,FM受信機の販売は低迷した。しかし,海外輸出で生き延びたらしい。三星電機産業というFMラジオ専用メーカが米国向けラジオで名を馳せた。
1962年になると,日本バンドは76-90MHzと決定され,本放送開始決定のニュースが流れ新製品が登場した。ただし,本放送が開始されたのは大分後で1960年後半のようである。さらに,FMステレオ放送は混迷を極めた。東芝の例を見ると1962年には中級機7球3bandの7FM-10のみ,1963年には普及機6FM-20,チューナFMT-100を出した。この頃ようやくトランジスタラジオもFM付きが出だした。1964年東芝6-FM-30。東芝はこれで真空管式のFMラジオから撤退した。このように,日本のFM受信機は決して未来が明るい門出ではなかったようである。
(8) Stereo Hi-Fi Set/ステレオHi-Fiセット
FM受信はラジオよりはむしろステレオHi-Fiセットで普及した感が強い。1958年以降チューナーは各社から売り出されたものの,むしろトライアンプとして輸出向けに爆発的に売れ,ステレオ御三家,サンスイ,トリオ,パイオニアが勢い良かった。トライアンプはレコード再生,AMチューナー,FMチューナーが付いているのだが,初期の頃はモノラルアンプ,1960年位から国内でAM2波ステレオ放送が始まったこともありステレオ・アンプが付くようになった。1962年には数10Wという大出力のトライアンプが登場し,完成の域に入った。ただし,FMチューナーのコンバータに関する限りどの会社も代わりばえのない製品だったといえよう。FMステレオ放送はまだ無く,各社ともステレオ・マルチプレクサのアダプタを付けられるように対応した製品を出荷していたのが実状。
(9) FM Stereo Broadcastings and Tubes/FMステレオ放送と真空管
我が国のFMステレオ放送の方式は1963年になってようやく目途がついた。これは輸出産業が大事な我が国は独自の道を開くことなく世界の趨勢が決まるまで待つという他力本願から来ていた。米国FCCは1961年,Zenithのスイッチング方式とGEのマトリクス方式を混合したAM-FMステレオ方式を米国標準方式として採用し,またイギリスは翌1962年同方式を採用した。これによって世界の趨勢はこの米国FCCのAM-FM方式に固まったと伝えられている。そこで,我が国でもこの方式を電波技術審議会が推奨することとなり,1963年にはNHK-FMで実験放送が開始された。
その後,FM局の免許状況は依然NHK優先で民放は許可されなかった。国内FMバンド76-90MHzのうち,実に70%以上に当たる80-90MHzがNHK放送網に割り当てられ,1960年代のうちに地方局が次々と開局していった。民放が花咲いたのは実に1990年代に入ってからで主として76-80MHzに配置されたのは記憶に新しい。国内FMステレオ局のステレオ放送網はNHKによって全国ネットが整備されその第一陣が1964年にほぼ完成した。1964年4月にはNHK-FMステレオ放送13局が揃って開局し,同一プログラムによる放送がはじまり,その年にはさらに13局が追加され合計26局がステレオ放送されたとのことである。
ステレオ放送の開始は真空管産業にも影響を及ぼ新型管開発の動きがあった。それまでのチューナー管といえば,欧州系の実務派ECC85/6AQ8, 米国の廉価版12DT8のどちらかに集約され,1962年頃には欧州系ではオランダPhilips, ドイツTelefunken, ノルトメンデ, ガーラー, イタリア・タスチェラス, デンマーク・トロータ,米国フィッシャーなどが採用し,また米国系ではガーラーなどが採用していたようである。少数派と思われるが,1950年代末に米国RCAはRF増幅に古いFM用5極管6BJ6, コンバータにTV管19X8,ホッフマンはTV用カスコード管6BK7Bを転用したセットも出している。
1950年代後半から1960年代始めには欧州系が世界をリードしていたように見える。実際,この傾向は真空管時代が終わるまで続いたのであるが,米国では面白い動きがあった。1960年代に入り米国の主導でステレオ放送方式が決定され,また米国では電波法の改訂により不要輻射の制限が厳しくなった。そこで,FMチューナーにも従来よりも高感度・高S/Nかつ不要輻射の低減が求められ,1961年初頭に米国SylvaniaはTVチューナーで開発された技術を投入してFM受信専用の双4極管6C9を発表した。感度と不要輻射の改善,さらに部品点数の削減と調整の容易さによる低コスト化を図ったのである。しかし,市場の反応はいまいちであった。Sylvaniaはミニアチュア管サイズで双4極管を実現するために,変則的な10ピンmT管(デカル)を開発し,6C9のベースに採用したのであるが,これが受け入れを難しくした一因となった。さらに,1964年頃にPhilips系の米国会社Amperexから(?),6C9の改良版とも言える6AB9が発表された。フレーム・グリッドを採用し高gm化したことで,感度・不要輻射がさらに少し改善された。ただし,これもSylvaniaとは異なるが変則10ピンmT管であり,新規採用を躊躇させる原因を作った。
一方,国内ではこの頃になってステレオ放送が実現の運びとなり,日立が6C9/17C9を1963年に国産化,次いで東芝も1964年はじめに製造した。また,6AB9/17AB9は松下,東芝,NEC(新日電)が1964年に国産化,製造している。したがって,FMラジオと言えば,トランス付きのチューナーでは従来の3極管ECC85/6AQ8に加えて6AB9が,また,トランスレス・ラジオでは,HCC85/17EW8や12DT8が使われた。
選択肢の1つとなったが,6C9系は採用するメーカーは現れなかったようで,東芝は1965年には保守品種に指定し,1968年にはリストから消えていた。またFMモノラルの輸出では17AB9も活躍したようである。しかし,1960年代後半にはトランジスタへの移行が進んだため,これら新型双4極管の商品寿命は国産後数年と短かった。需要は国内よりは輸出の方が多かったのではないかと思われる。一部の酔狂な音響メーカーはRCAのニュービスタ管6CW4の使用を試みたこともあるがコストの点では断然不利でもちろん主流にはなれなかった。
ステレオ・マルチプレクサ関係では,6BN6(GE 1949年11/1950年), 6AR8(GE, 1954年1/3月), 7360(RCA, 1960年/1963)。
日立は1963年にスイッチング専用管の7360を国産化,東芝も1964年に7360, 6AR8を作った。しかし,この種の専用管は高価であることから,むしろ一般管を用いた形式が普及した。例えば,国産のTrio FX-46(K)では,ゲルマニウム・ダイオードによるスイッチング方式を採用し,Ge-Di(0A90)4本の他,真空管は廉価な一般管6AW8A, 6AN8各1本で済ましている。
Sylvaniaは1961年マルチプレクサ回路のコスト低減を狙って,ハイゲイン2重3極管6JK8も発表している。これは6AQ8の半分とハイゲインアンプに6GK5を詰め込んだようなフレーム・グリッド管であった。このように,専用のスイッチング管はほとんど活躍できないまま半導体時代に入り消え失せた。また,ステレオ放送開始当時はステレオ・プログラムは短時間であり,一般聴取者にとってそれほど面白いものでもなかったので,これまでにFMチューナー総合アンプといえば必ずといって良い程ステレオ・マルチプレクサの端子付きの物が販売されたものだが,わざわざアダプタを購入するユーザーはほとんどなくそのまま放置された。また新規セットではステレオ回路がコスト的にかなりのウエイトを占めるため高級機だけに実装され,どんな普及機にも実装されるようになったのはマルチプレクサ用リニアーICが普及する1970年代に入ってからであった。
その後,国内管球メーカーは斜陽産業といわれながらも輸出が好調で,TV球の製造は国内向けには1970年代初頭まで,また輸出向けには1970年代後半まで続いたが,FM専用管に関する限り1960年代末頃には終わりを遂げたものと思われる。日本のFM受信管の歴史はどう転んでも輝かしい足跡は残せなかったのである。
2000年現在,米国の球屋,例えばAES(Antique Elevtronic Supply)では,従来型の3極管17EW8($2.75),12DT8($6.10)は比較的安価であるのに対し,6C9($11.15),17C9($6.85)は高価である。また17AB9は廉価($3.05)であるのに対し6AB9は在庫が無い。6AQ8はオーデイオ用に使用され高騰しているので除外するとして,これらの値段は,そのまま米国でこれらを使用した機器の普及状況ならびに当時どの球が優位であったかを裏付けるものであり,また値段の逆数は,我が国の管球輸出産業の出荷品種と量をそのまま反映しているのではないかと思われる。米国では12DT8は主流であり,6C9,17C9も希に使われたが,その他の球は需要が少ない割に供給が過多と見られる。6AB9は国内だけの需要に限られていたと見ることができよう。
(10) Early-Time FM Receiving Sets/初期のFM受信セット
以下に目に付いた製品をまとめた。
SANSUI/サンスイ |
1958 |
FM Tuner/ チューナー AM-FM Tri-Amp/ トライアンプ |
FM-5, FM-7 AF-350, PM-800 |
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1959 |
AM-FM Tri-Amp/ トライアンプ |
PM-900 SM20 |
(6BQ5s), (6BM8pp) |
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1960 |
AM-FM Tri-Amp/ トライアンプ |
SM-30(st), PM-8(mono) |
|
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1961 |
AM-FM Tri-Amp/ トライアンプ |
SM-80 |
(25E5pp)6AQ8-6BA6(80-108MHz)+Radicator/ラジケータ |
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1962 |
AM-FM Tri-Amp/ トライアンプ Stereo/ ステレオ |
SM-10 APS10( with SM10/内蔵) |
(6GW8s)6AQ8-6AJ8(80-108MHz)*,
|
Trio/トリオ |
1958 |
FM Tuner/ チューナー AM-FM Tuner/ チューナー FM Tri-Amp/ トライアンプ |
FM-100 AF-200 AF-R5 |
|
|
1959 |
FM Tuner/ チューナー
Tri-Amp/ トライアンプ
Stereo Tri-Amp/ ステレオトライアンプ |
FM-102, FM-110C (kit), AF-30, AF-20(6BM8s), AF-10(6BM8pp), AF-220, W-12 AF-Q5 |
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|
1961 |
Tri-Amp/ トライアンプ |
W-10 W-38 |
(6BQ5s), (6BM8pp) |
|
1962 |
Tri-Amp/ トライアンプ |
W-10S AF-23 W-36, FM-108 |
(6BQ5s) Tube Unknown/ 球不明(76-96MHz), (6BM8s)(76-90MHz) (6BM8pp)(80-108MHz)* - |
Pioneer/パイオニア |
1959 |
Tri-Amp/ トライアンプ |
FM-P300 FM-R301 |
(6R-P15pp), (6AR5pp) |
|
1960 |
Tri-Amp with Eye/ トライアンプ(アイ)(80-108MHz),
Stereo Tuner/ ステレオ・チューナー |
SM-B60 SM-B200 AFT12 |
(6BM8s), (6AQ8-, 6BM8pp) 6AQ8-, 80-108MHz) |
|
1961 |
Tri-Amp/ トライアンプ |
SM-801 SM-W203 |
(7591pp) (6CW5SEPPst)(80-108MHz) |
Matsushita- National/ 松下 |
1958 |
FM Tuner/ チューナー AM-FM 2band 2speaker Hi-Fi Radio/ ラジオ |
ES-901 EA-765 |
|
|
1959 |
Tri-Amp/ トライアンプ |
RA-41 |
(6BQ5s) |
Victor/ ビクター |
1958 |
FM-AM3band 11 Tube Tuner/ チューナー FM-AM3band Hi-Fi Radio/ ラジオ |
FU-3000 FA-3100 |
|
|
1962 |
Radio with FM/ FM付きラジオ |
F15 |
(76-90MHz) |
Sharp/ シャープ |
1958 |
FM Tuner/ チューナー FM AM3band 2speaker Hi-Fi Radio/ ラジオ |
FT-1 9HF-2 |
|
STAR/ スター |
1958 |
FM Tuner/ チューナー
Tri-Amp/ トライアンプ |
F-12(80-90MHz) FM-120 SH-80 |
RF-1, IF-3, 8球。AFC, リミッタ付き。当初\13,500, KIT\10,000,
|
|
1959 |
FM Tuner/ チューナー FM Tri-Amp/ トライアンプ |
FM-121 SA-80,SA-150 |
KIT\9,100
|
Clysler/ クライスラー電気 |
1958 |
Tri-Amp/ トライアンプ Tuner Kit/ チューナーkit |
FA-7K FM-60K |
|
|
1959 |
Tri-Amp/ トライアンプ |
FA-900 FA-8K, STU-800 |
(6BQ5s) |
|
1960 |
Tri-Amp with Eye/ トライアンプs(アイ) |
FA-880 |
|
Riging/ ライジング |
1958 |
FM Tuner Kit/ チューナー(KIT) |
FM-80 |
|
Primo/ プリモ |
1958 |
AM-FM Tuner/ チューナー |
AF700, AF750(80-90MHz) |
|
Sato-Shylark/ 佐藤無線スカイラーク |
1958 |
FM Tuner Kit/ チューナー(KIT) |
SF-158 |
|
Chuou-Radio/ 中央無線QQQ |
1959 |
Tri-Amp/ トライアンプ, Tuner Kit/ チューナーユニット |
FQ-100SC FAT-11C |
|
ALps/ アルプス |
1962 |
Tuner Unit/ チューナーユニット |
BFA01 |
(6DT8/12DT8,6AQ8用)(76-90MHz) |
US Fisher 米国 |
1959 |
AM-FM Tuner/ チューナー |
101-R |
ECC88/6DJ8,ECC85/6AQ8, EBF89/6DC8 |
German Telefunken 独 |
1961 |
Stereo/ ステレオ |
Hymnus 5116Wk |
(ECL86pp) ECC85-ECH81 |
Company |
Year |
Parts |
Detail |
STAR/ 富士製作所 |
1958 |
IFT for FM; FM-2 |
FM受信機用のIFT, IF-1段,フォスターシーレー4本組。ミニアチュア管よりも小さい。 |
Matsushita National/ 松下 |
1958 |
VC; For FM; 2JC-02, 3JC-02, VC; For AM-FM; 2FC-43, 3FC-43, IFT for FM; FMI-1, IFT for AM-FM; AFI-1 Wired Sub-chassis, includes Tuner Unit (6AQ8); AF-P1 |
FM専用IFT AM-FM両用レシオ検波型 /配線調整済みサブシャーシ, 6AQ8を用いたチューナー |
|
1959 |
IFT for AM-FM; AF-P1, IFT for FM only; FM-P1 |
(AM-FMコンバータ+レシオ検波IFT) (FM専用+フォスターシーレー検波) |
Kataoka Electric ALPS/ 片岡電気アルプス |
1958 |
VC for FM; FMB72, B512, B513 VC for FM-AM; B523, B521, B531 |
FM専用バリコン; FM-AM両用バリコン; |
Name |
Base |
Out- line |
gm mA/V |
mu |
Heater 6.3V(A) |
600mA |
450mA |
300mA |
150mA |
7 Series |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
ECC81/ 12AT7 |
9A |
6-2 |
5.5 |
60 |
0.3 |
XCC81/ 6AT7 |
|
|
|
8 Series |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
ECC85/ 6AQ8 FM Tuner |
9AJ |
6-2 |
5.9 |
57 |
0.435 |
|
|
|
|
HCC85/ 17EW8 TV/FM Tuner |
9AJ |
6-2 |
5.8 |
48 |
(0.429) (0.417) |
|
|
PCC85/ 9AQ8 9.0V |
HCC85/ 17EW8 17.5V |
6DT8 FM Tuner |
9DE |
6-2 |
5.5 |
60 |
0.3 |
|
|
|
12DT8 |
6HK8/ 6RHH2 |
9AJ |
6-2 |
8.0 |
36 |
0.4 |
|
|
|
17RHH2 |
Name |
Base |
Out- line |
gm mA/V |
mu |
Heater 6.3V(A) |
600mA |
450mA |
300mA |
150mA |
8 Series Sheet Beam |
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6AR8 6AR8A |
9DP |
6-3 |
4.0 |
- |
0.3 |
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7360 |
9KS |
6-3 |
5.4 |
- |
0.35 |
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7763 |
9NF |
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6HW8 |
9NQ |
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6JH8 |
9DP |
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6ME8 Color TV |
9RU |
6-3 |
4.4 |
- |
0.3 |
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8 Series Double Triode |
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6JK8 FG FM MPX Syl61 |
9AJ |
6-2 |
1)6.8 2)13 |
1)55 2)70 |
0.4 |
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8JK8 |
17JK8 |
12AT7/ECC81は,1947年頃米国(GE?)で開発された高周波増幅用中増幅率双3極管で,欧州ではPhilipsが1951年頃ECC81として製造した。我がWeb-pageにおいても,TVチューナーのカスコード高周波増幅管として,また周波数変換管として,紹介しているが,欧州Philipsの1951年頃のマニュアルに記載されているように,FMチューナーのGGアンプと自励コンバータという使い方もあり,欧州では初期の頃,そのように使われたらしい。しかし,欧州ではやがてgmが大きくユニット間遮蔽の付いたECC85/6AQ8を開発しバトンタッチした。
12DT8は,1957年に米国RCAがPhilipsに対抗して開発したFM用チューナー管で,12AT7にユニット間シールドを設けたもの。PhilipsのECC85/6AQ8は大変優れていたが,いかんせん,欧州生まれであって,米国RCAにとっては目の上のたんこぶ的存在だったに違いない。ECC85/6AQ8の唯一の欠点はヒーター電力が大きいこと。そこに目を付けて,墓場から省電力の12AT7を呼び戻して改良を加えて現役に復帰させたのがこの球である。
国内では1958年にPhilips系の松下を除く各社(東芝,日立,NEC,TEN)が6DT8/12DT8を一斉に国産化,松下は1962年頃作った。初期の頃,希に6DT8を使うセットがあったが,その後はほとんどトランスレス用の12DT8だけが流通した。
From Left, Hitachi 12DT8((42)A5, in 1964), Matsushita-National 12DT8(3E A, in 1963)
ユニット間にシールド板がある点を除けばともに12AT7に良く似ている。松下製(右)はピンまでの引き出しが最短になるように電極ユニットを配置しスッキリしている。日立製(左)は電極の向きが松下と90度異なり,引き出し線がむだに長くなる。そこで高周波インピーダンスが高くなるのを防ぐ目的でわざわざグリッドはマイカ上に横に這わせた太い金属板を介してステムの引き出し線に接続している。
ECC85/6AQ8は,1954年頃オランダPhilipsが開発した高周波増幅用中増幅率双3極管で,米国では1954-5年頃6AQ8とEAIに登録され,爆発的に普及した。ヒーター電流は6.3V/0.365A。100mA系にUCC85/26AQ8がある。100mA系は米国では1959年にSylvaniaがAM5球スーパーラジオ用のトランスレス球18FW6などを発表しているが,欧州では商用電源が220Vと高いため1952年頃という早い時期にミニアチュア管UCH81/19D8なども作っており,その流れである。米国名26AQ8は1960年代後半にEIA登録された名称と思われる。米国Sylvaniaは,おどろくことにヒータ電流が中途半端な12.6Vの12AQ8も作った。これはトランスレス用ではなく,ヒータ・バッテリー点火,+B電圧はチョパーの移動用と思われる。
国内ではまず6AQ8が1957年頃松下によって国産化され,1958年頃に東芝,1960年にNECなど各社が製造した。
HCC85/17EW8(米国EIA名)のうち,すくなくとも17EW8は1958年頃現れた球で,FMラジオ用150mA系のチューナー管であり,ECC85/6AQ8一族なのだが,何故かEIA登録の時に17AQ8ではなく別名となった。東芝の資料では全くの同族であり,松下の資料ではTVの混合発振用に改良を加えた300mA系のPCC85/9AQ8と同族とある。この松下の場合はgmは原型のECC85/6AQ8とほぼ同じだが,ゼロバイアス電流が20%程度大きく増幅率muが15%以上小さい。この両者の違いは米国流規格と欧州流規格の違いから来ているのかもしれない。ヒータは同じ電力であっても発熱効率が電圧によって異なる。米国流ではヒーター電力が同じ同族管は同じ電気的特性を持つようにエージングの際にエミッションを調整するのに対して,欧州流では同じ電気的特性を持つようにヒーター規格を定めるのである。したがって,欧州系で同じヒータ電力の場合にはエミッションが異なりヒーター電圧が高いとゼロ・バイアス電流も大きくなる。したがって松下系のHCC85/17EW8は,発振電力が大きく取れ,その分低い+B供給電圧でも動作できるはずである。ともあれ,HCC85/17EW8は,いずれにしても簡易型のトランスレスFMラジオに多用された。
国内では17EW8は東芝1958年,松下1959年,NEC1960年,日立1961年?,に製造した。
Name |
Base |
Out-line |
gm mA/V |
Cgp pF |
Heater 6.3V(A) |
600mA |
450mA |
300mA |
150mA (V) |
9-Series |
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6C9 |
10F |
6-13 |
8.0 |
0.055 |
0.4 |
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17C9 16.8V 17C9A |
19Q9 |
10H |
6-13 |
8.0 |
- |
- |
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19Q9 18.9V |
6AB9 |
10N |
6-TX |
10 |
0.055 |
0.365 |
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17AB9 16.8V 15AB9 15.0V |
Name |
Base |
Out-line |
gm mA/V |
Cgp pF |
Heater V/A |
600mA |
450mA |
300mA |
150mA (V) |
9-Series |
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19Q9 |
10H |
6-13 |
(P)6.5 (T)8.0 |
- - |
18.9V 0.15A |
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19Q9 18.9V |
FMチューナー管の変わり種第1弾。米国Sylvaniaが1960年頃に開発したmT10ピンの第1段。Sylvaniaは1950年代終わり頃にTVのフロントエンド用に高周波4極管を開発していた。6CY5, 6EA5, 6EV5(TVチューナーの項参照)の名前が残っている。6C9/17C9はその成果をFMチューナーに転用したもので,2つの4極管をmT管の容器に詰め込んだ球である。中身は6EA5相当と見られる。6AQ8, 6DT8系に比べ,gmが高いので感度が高く低雑音,さらにCgpが小さいので不要輻射が少なく,また中和回路が不要であるためセットの製作が容易である,という利点を有する。
ただし,従来の9ピンmT管では足が1本不足するため,Sylvaniaは新たにmT10ピンの規格を作り採用した。Sylvaniaの10ピンは従来シールドとして使っていたmT9ピンの中央部に足を1本に付け足したもので,ここに接地電位が来るようにピン接続を工夫した。6C9/17C9の場合,ここには第2ユニットのカソードが接地する形で接続されている。6C9/17C9を用いたセットを組立工場で生産する場合には特殊なソケットを使用しても何も困ることは無かったであろうが,一般ユーザーや家電製品のメインテナンスを手がける電気店には不評であった。ソケットが入手できないからだ。Sylvania型の10pin-mTは同族管として知られているのは僅かに2品種,6J9(AES調べで2000年現在$2.75), 19Q9(同$2.75)があるだけである。市場に出たソケットは極端に少なく今日ではお目に掛かることはまず無いであろう。
6C9系は国内では日立が1963年にステレオ放送向けに7360(スイッチング回路用)とともに国産化,東芝も1964年頃,7360, 6AR8とともに製造した。NEC(新日電)も1964年に製造。6AQ8の定価が各社とも570円(1967年の実売価格は300円程度)に対して東芝製6C9/17C9定価は1,000円だった。しかし,6C9の寿命は短く,6AB9が発表されたために東芝は1966年には保守品種にしてしまった。
プリントはRCAだが中身はSylvania製と思われる。電極構造は3極管を無理矢理4極にしたような構造。コントロール・グリッドとスクリーン・グリッド巻き線は平面型で近接しているので,一見3極管のように見える。サプレッサ・グリッドが無いのでプレート内部を覗くとスクリーンとプレート間隔は大きくあいているように見える。プレートの形状は5極管の6AH6や6CB6系の場合Cgpを減らすためにカソード対抗面以外はできるだけ削り取っているのだが,6C9はサプレッサーグリッドが無いためにスクリーングリッド全体を全て覆う必要があり,プレート側面の削り代は少ない。2ユニット間ならびに電極上部・下部マイカ板上にはシールド板があり全てグランド電位である。ゲッタはドーナツ型である。
FMチューナー管の変わり種第2弾。1964年頃にPhilips系(Amperexか?)が開発した6C9/17C9の改良版でフレームグリッド化し感度2割upした。このソケットは欧州型mT10ピンと呼ばれるもので,通常のmT9pinのピン間隔を狭くして10本押し込んだもの。
このタイプの真空管はTV用にも作られた。同族管として9品種知られている。LCF201/5U9(AES調べ2000年現在$3.80)-ECF201/6U9(同$2.75)-PCF201/8U9(同$3.70), LCF200/5X9(-)-ECF200/6X9(同$4.75)-PCF200/8X9(同$3.70), EFL200/6Y9(同$3.50)-LFL200/11Y9(同$3.25)-PFL200/16Y9(同$8.20)がある。なお,6AB9系だけに欧州名が無く活躍の場は北米と日本のみに限定されていたと思われる。Sylvania型に比べるとソケットはまだ入手し易い。
国内ではこの6AB9/17AB9は松下が1964年に国産化,東芝も1964年に6AB9/17AB9を準備し,実際には17AB9だけを製造した。6AQ8の定価が各社とも570円(1967年の実売価格は330円)に対して松下製6AB9の定価は700円だった。1960年代中頃に販売されたFMラジオやFMチューナーなどにも使用されていたようである。松下電器が松下電器特約店に卸した保守用真空管セットには必ずといって良いくらい6AB9/17AB9が入っており,流通した球の数はFMチューナーよりも多いのではないかと疑われる。
電極構造は,カソード・プレート間隔は6C9とほぼ同じだが,平面型カソードの幅が大きく,また各グリッドの支柱間隔もかなり大きい。コントロール(第1)・グリッドはフレーム・グリッドであるがもちろんフレーム構造は目で確認できない。2ユニット間にシールド板があり,また電極上部・下部マイカ板上にもシールド板があるが,ユニット間はグランド電位,マイカ板シールドは6C9とは異なりユニット間シールドと分離しており,スクリーン・グリッド等電位である。同時にスクリーン・グリッド支柱のフレームを形成して機械的強度も高めている。そのマイカ板シールドは1966年まではマイカ板に密着していたが,漏洩電流を減らす対策だろうが1967年になると箱型になり密着部分をできるだけ少なくする設計に変更された。ヒーターは6AB9, 17AB9ともにコイル型である。上のサンプルは6AB9は1969年頃に秋葉原で当時の流通価格で購入した新品,右は1980年頃に秋葉原で50円で購入した新品。